説明

嵌め殺しサッシ及びサッシ

【課題】竪枠のパネル体受け片と下枠の天板との間のシール作業が不要で水密性の良好な嵌め殺しサッシ及びサッシを提供する。
【解決手段】 本発明の嵌め殺しサッシ1において、竪枠3はパネル7の室内側面7aを受ける室内側パネル受け片9を竪枠3の長手方向に有し、下枠5はパネル取付溝37を有すると共にパネル7の室内側に位置する天板29の竪枠側端部に、竪枠3の室内側パネル受け片9の下端部を呑み込む欠除部35を有し、室内側パネル受け片9の下端9aが下枠5の天板29よりも下方で且つパネル取付溝37の溝底39との間に垂下しており、室内側パネル受け片9の下端部の室内側面9b及び枠内周側面9cが欠除部35の縁部41、43に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌め殺しサッシ及びサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下枠の竪枠側端部に欠除部を設け、パネル体受け片の下端部を欠除部に呑み込ませると共にパネル体受け片の下端を立上壁から室外側に突設する基盤に当接して設けることが開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開平5−87197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、室内側パネル体受け片の下端が下枠の基板に当接しているので、下枠の基板にある水が表面張力や室内と室外との気圧差等によりパネル体受け片の室内側面や内周側面を伝わって上昇し、パネル体受け片と天板との隙間から室内側に入り込むおそれがあった。この為、パネル体受け片と下枠の天板との間をシール材でシールしていたので、シール作業に手間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、竪枠のパネル体受け片と下枠の天板との間のシール作業が不要で水密性の良好な嵌め殺しサッシ及びサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、竪枠と下枠とパネルとを備え、竪枠はパネルの室内側面を受ける室内側パネル受け片を竪枠の長手方向に有し、下枠はパネル取付溝を有すると共にパネルの室内側に位置する天板の竪枠側端部に、竪枠の室内側パネル受け片の下端部を呑み込む欠除部を有し、室内側パネル受け片の下端が下枠の天板よりも下方で且つパネル取付溝の溝底との間に垂下しており、室内側パネル受け片の下端部の室内側面及び枠内周側面が欠除部の縁部に当接していることを特徴とする嵌め殺しサッシである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、竪枠と下枠とパネル体とを備え、竪枠はパネル体の室内側面を受けるパネル体受け片を竪枠の長手方向に有し、下枠は基板と基板の上方に位置し且つパネル体の室内側に位置するパネル体受け片とを下枠の長手方向に有し、天板は竪枠側端部にパネル体受け片の下端部を呑み込む欠除部を有し、パネル体受け片の下端が下枠の天板よりも下方で且つ下枠の基板との間に垂下しており、パネル体受け片の下端部の室内側面及び枠内周側面が欠除部の縁部に当接していることを特徴とするサッシである。
パネル体は、パネル、障子又は扉である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、室内側パネル受け片の室外側面を伝わって落下してきた水が、室内と室外との気圧差等によりパネル受け片の室内側面や内周側面に回り込んで天板上面に浸入することがない。
更に、室内側パネル受け片の下端は溝底との間に隙間をあけているので、溝底にある水が表面張力や室内と室外との気圧差等により室内側パネル受け片の室内側面や内周側面を伝わって天板上面に浸入することがない。
したがって、室内側パネル受け片と天板との間をシールするシール作業が不用であり、しかも水密性が良い。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、パネル体受け片の室外側面を伝わって落下してきた水が、室内と室外との気圧差等によりパネル体受け片の室内側面や内周側面に回り込んで天板上面に浸入することがない。
更に、室内側パネル体受け片の下端は基板との間に隙間をあけているので、基板にある水が表面張力や室内と室外との気圧差等により室内側パネル受け片の室内側面や枠内周側面を伝わって天板上面に浸入することがない。
したがって、竪枠のパネル体受け片の下端部の室内側面及び枠内周側面と天板との間をシールするシール作業が不用であり、水密性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。先ず、図1〜図4を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。図1(a)は第1実施の形態にかかるサッシの下コーナ部を切断して示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図であり、図2は下枠の竪框側端部を示す平面図であり、図3は第1実施の形態にかかるサッシの縦断面図であり、図4は第1実施の形態にかかるサッシの横断面図である。
第1実施の形態にかかる嵌め殺しサッシ1は、竪枠3と下枠5とパネル7とを備えており、下枠5の長手方向の端に竪枠3を載置して固定してある。尚、サッシ1の左右の下コーナ部は同一の構成であるから、以下の説明では右下コーナ部のみの説明をして、左下コーナ部の説明は省略する。
竪枠3はパネル7の室内側面7aを受ける室内側パネル受け片9と、パネル7の室外側面7bを受ける室外側パネル受け片11とを各々竪枠3の長手方向に亘って設けてある。室内側パネル受け片9は、枠内周側に突設した脚部13と、脚部13の枠内周側端部から室外側に向けて突設したシール材保持部15が設けてある。シール材保持部15とパネル7との間にバックアップ材17が嵌め込まれていると共にバックアップ材17の内周側にシール材19が充填されている。
室外側パネル受け片11は、室内側パネル受け片9と間隔をあけて略平行に竪枠3設けてあり、室内側パネル受け片9と同様に脚部21と、脚部21の枠内周側端部から室内側に向けて突設したシール材保持部23とを有し、シール材保持部23とパネル7との間にバックアップ材17及びシール材19が設けてある。
下枠5は、長手方向に亘ってパネル取付溝37を有している。また、下枠5にはパネル7の室内側に天板29が設けてある。天板29の室外側端にはパネル7の室内側面を受ける室内側パネル受け片25が設けてあり、室内側パネル受け片25とパネル7との間には、バックアップ材17及びシール材19が設けてある。
パネル取付溝37の室外側には室外側パネル受け片27が設けてあり、室外側パネル受け片27とパネル7との間にはバックアップ材及びシール材19が設けてある。
パネル取付溝37の溝底39には、水抜き孔33が形成されている(図3参照)。
下枠5の天板29において、竪枠側端部には、竪枠3の室内側パネル受け片9の下端部を呑み込む欠除部35が設けてある。欠除部35は、図2に示すように、下枠5の天板29及び室内側パネル受け片25を室外側縁部41と枠内周側縁部43とで平面視略L字形状に切除して形成している。
竪枠3の室内側パネル受け片9の下端9aは下枠5の天板29よりも下方で且つパネル取付溝37の溝底39との間に垂下している。本実施の形態では、竪枠3の室内側パネル受け片9の下端9aは、パネル取付溝37の上下方向略中央に位置している。
室内側パネル受け片9の下端部の室内側面9bを欠除部35の室外側縁部41に当接し、枠内周側面9cを欠除部35の枠内周側面縁部43に当接している。
【0011】
次に、本実施の形態にかかるサッシ1における作用及び効果について説明する。
図1(b)に示すように、室内側パネル受け片9の室外側面9dを伝わって落下してきた水は、天板29よりも下方に位置してパネル取付溝37内に垂下している下端9aからパネル取付溝37内に落下する。
本実施の形態によれば、室内側パネル受け片9の室外側面9dを伝わって落下してきた水が室内と室外との気圧差等によりパネル受け片9の室内側面9bや内周側面9cに回り込んで天板29の上面に浸入することがない。
更に、室内側パネル受け片9の下端9aは溝底39との間に隙間をあけているので、溝底39にある水が表面張力や室内と室外との気圧差等により室内側パネル受け片9の室内側面や内周側面を伝わって天板上面に浸入することがない。
したがって、竪枠3の室内側パネル受け片9の下端部の室内側面9b及び枠内周側面9cと天板29との間をシールするシール作業が不用であり、水密性が良い。
【0012】
次に、図5を参照して本発明の第2実施の形態について説明するが、以下に説明する実施の形態において、第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。図5は第2実施の形態にかかるサッシ40の下コーナ部を切断して示す斜視図である。
第2実施の形態にかかるサッシ40は、外開きサッシであり、パネル体47は、障子である。下枠5は、基板49と基板49の上方に位置し且つパネル体47の室内側に位置するパネル体受け片25とを下枠の長手方向に有している。天板29には竪枠側端部にパネル体受け片の下端部を呑み込む欠除部35が設けてある。尚、下枠には天板29から基板49に連続する立上壁51が設けてある。
欠除部35では、竪枠3のパネル体受け片9の下端9aが下枠5の天板29よりも下方で且つ下枠5の基板49との間に垂下しており、パネル体受け片9の下端部9aの室内側面9b及び枠内周側面9cが欠除部35の縁部41、43に当接している。
この第2実施の形態によれば、パネル受け片9の室外側面9dを伝わって落下してきた水が室内と室外との気圧差等によりパネル受け片9の室内側面9bや内周側面9cに回り込んで天板29の上面に浸入することがない。
更に、パネル体受け片9の下端9aは基板49との間に隙間をあけているので、基板49にある水が表面張力や室内と室外との気圧差等により室内側パネル受け片9の室内側面9bや枠内周側面9cを伝わって天板29上面に浸入することがない。
したがって、竪枠3のパネル体受け片9の下端部の室内側面9b及び枠内周側面9cと天板29との間をシールするシール作業が不用であり、水密性が良い。
【0013】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、竪枠3の室内側パネル受け片9の下端9aは、下枠5の天板29の裏面から離れていると共に溝底39との間に隙間を形成していればよく、下枠5のパネル体受け溝37の上下方向略中央に位置することに限らない。
第2実施の形態にかかるサッシ1は、突き出しサッシ、すべり出しサッシやドアであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は第1実施の形態にかかるサッシの下コーナ部を切断して示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】下枠の竪框側端部を示す平面図である。
【図3】本実施の形態にかかる嵌め殺しサッシの縦断面図である。
【図4】本実施の形態にかかる嵌め殺しサッシの横断面図である。
【図5】第2実施の形態にかかるサッシの下コーナ部を切断して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 嵌め殺しサッシ
3 竪枠
5 下枠
7 パネル
9 室内側パネル受け片(パネル体受け片)
9a 下端
9b 室内側面
9c 枠内周側面
29 天板
35 欠除部
37 パネル取付溝
39 溝底
40 サッシ
41 室外側縁部(欠除部の縁部)
43 枠内周側縁部(欠除部の縁部)
47 パネル体
49 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪枠と下枠とパネルとを備え、竪枠はパネルの室内側面を受ける室内側パネル受け片を竪枠の長手方向に有し、下枠はパネル取付溝を有すると共にパネルの室内側に位置する天板の竪枠側端部に、竪枠の室内側パネル受け片の下端部を呑み込む欠除部を有し、室内側パネル受け片の下端が下枠の天板よりも下方で且つパネル取付溝の溝底との間に垂下しており、室内側パネル受け片の下端部の室内側面及び枠内周側面が欠除部の縁部に当接していることを特徴とする嵌め殺しサッシ。
【請求項2】
竪枠と下枠とパネル体とを備え、竪枠はパネル体の室内側面を受けるパネル体受け片を竪枠の長手方向に有し、下枠は基板と基板の上方に位置し且つパネル体の室内側に位置するパネル体受け片とを下枠の長手方向に有し、天板は竪枠側端部にパネル体受け片の下端部を呑み込む欠除部を有し、パネル体受け片の下端が下枠の天板よりも下方で且つ下枠の基板との間に垂下しており、パネル体受け片の下端部の室内側面及び枠内周側面が欠除部の縁部に当接していることを特徴とするサッシ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−120138(P2007−120138A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313706(P2005−313706)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000250605)立山アルミニウム工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】