説明

帯紐ベルト

【解決手段】帯紐ベルト(1)であって、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延び、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸(5)から形成され、モノフィラメントの糸(5)は、少なくともひとつの他の糸(6,7,9)と組み合わせられている帯紐ベルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯紐ベルトに関し、特に、自動車の安全ベルトとして使用するのに適した帯紐ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
帯紐ベルトは、自動車の、また、航空機の安全ベルトとして使用されており、帯紐ベルトには、例えば、登山者の安全ベルトなどの他の用途もある。
【0003】
帯紐ベルト、特に、安全ベルトとして使用される帯紐ベルトは代表的に、たて糸とよこ糸とから編まれ、たて糸及びよこ糸はマルチフィラメントの糸である。そうした技術を使用して形成されたベルトは、非常に柔らかい。
【0004】
特に、ベルトが安全ベルトとして使用される場合には、事故発生時にベルトに作用する荷重を分散するために、横方向に比較的堅い帯紐ベルトを作ることが望ましい。横方向の剛性は、マルチフィラメントの構造のよこ糸を用いずに、代わりに、モノフィラメントのよこ糸を用いることで得られる。
【0005】
ベルトの製造にモノフィラメントのよこ糸を使用した場合に生じる問題点は、ベルトの縁部が非常に硬くなることである。これは、特に、ベルトが自動車の安全ベルトとして使用される文脈においては、明らかに不都合である。
【0006】
余分なよこ糸を使用して、縁部部分に編む工程によって、モノフィラメントのよこ糸を有するベルトに、比較的柔らかい縁部を提供することが以前に提案されている。このタイプの構成は、WO 01/48285号に開示されている。この技術は、余分なよこ糸の使用と、追加的な作業とを必要とするので、かかる技術は、比較的費用を要し、時間がかかる。
【0007】
また、2本のよこ糸、すなわち、モノフィラメントの糸とマルチフィラメントの糸とを平行に使用することも提案されている。モノフィラメントは、モノフィラメントの糸が常にベルトの縁部から所定の距離だけ間隔を隔てるように編まれる。従って、ベルトの縁部の領域には、比較的柔らかいマルチフィラメントの糸だけが存在する。この構成は、比較的複雑で、追加的なよこ糸の提供を必要とする。
【0008】
また、DE2,446,837号に示されるように、ベルトの縁部に柔らかい輪郭を織り込んだり、DE2,508,732号に示されるように、ベルトの縁部に繊維のループを織り込んで中空な部分を得ることも提案されている。これらのすべての構成は、特殊な織機を必要とし、または、ベルトの中央領域に比べて、縁部部分が大きな厚みになる。これは、特に、ベルトがリトラクタのスプールに巻き上げられる場合に、明らかに不都合である。
【0009】
【特許文献1】WO 01/48285号
【特許文献2】DE2,446,837号
【特許文献3】DE2,508,732号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改良されたベルトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のひとつの観点によれば、帯紐ベルトが提供され、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延び、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸から形成され、モノフィラメントの糸は、少なくともひとつの他の糸と組み合わせて提供されている。
【0012】
ひとつの実施形態においては、前記他方の糸は、第2のモノフィラメントの糸である。
【0013】
本発明の別の観点によれば、帯紐ベルトが提供され、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延び、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸から形成され、モノフィラメントの糸は、第2のモノフィラメントの糸と組み合わせて提供されている。
【0014】
第1及び第2のモノフィラメントの糸は、互いに撚り合わせられて、よこ糸を形成しているならば、都合が良い。
【0015】
変形例としては、モノフィラメントの糸は、よこ糸を形成するために、2以上の他のモノフィラメントの糸と組み合わされている。
【0016】
好ましくは、すべてのモノフィラメントの糸は、よこ糸を形成するために、互いに編まれている。
【0017】
変形例としては、2対のモノフィラメントの糸は、互いに撚り合わせられて、2本の中間的なフィラメントを形成し、2本の中間的なフィラメントは、互いに撚り合わせられて、よこ糸を形成している。
【0018】
変形例としては、モノフィラメントの糸は、少なくともひとつのマルチフィラメントの糸と組み合わせて提供される。
【0019】
好ましくは、当該又はそれぞれのマルチフィラメントの糸は、よこ糸を形成するために、モノフィラメントの糸のまわりに巻き付けられている。
【0020】
複数のマルチフィラメントの糸が提供され、マルチフィラメントの糸は、すべてモノフィラメントの糸のまわりに巻き付けられて、よこ糸を形成しているならば、都合が良い。
【0021】
変形例としては、複数のマルチフィラメントの糸が、モノフィラメントの糸のまわりに編まれ、よこ糸を形成している。
【0022】
好ましくは、本発明によるベルトは、乗り物の安全ベルトである。
【0023】
本発明が容易に理解されるように、また、本発明の更なる特徴が認識されるように、以下、本発明について、添付図面を参照して例示的に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明に従って形成された安全ベルト1を示している。安全ベルトは、帯紐ベルトであって、安全ベルトの一方の側縁部から他方の側縁部に延在し、横断方向に延びたよこ糸と、安全ベルトの片端から他端に延在する比較的長いたて糸とから形成されている。
【0025】
よこ糸は、帯紐ベルトが横断方向に比較的堅くなるように選択された複合よこ糸である。これは、事故発生時に、ベルトに作用する荷重を分散する助けとなる。また、ベルトが比較的堅いならば、帯紐ベルトは、リトラクタからの引出し中、及びリトラクタへの回収中に、良好な挙動を呈する。帯紐ベルトは、帯紐ベルトの横方向の剛性を高めるように選択され、これは、安全ベルトの帯紐ベルトに従来から取り付けられている舌片にて、または、ピラーループ調節器にて、帯紐ベルトが捕らえられ及び/又は捻れることを防ぐ助けになる。
【0026】
比較的硬いモノフィルのよこ糸の折り返し箇所をカバーするのに、特別な縁部構造を用いることの代わりに、本発明の実施形態においては、後述するように、所望の比較的堅い特性を呈するけれども、前述した「硬い縁部」の問題点を引き起こさないようなよこ糸が使用される。
【0027】
本発明の実施形態においては、よこ糸は、マルチフィルの特性を有する糸であり、複合糸は、少なくともひとつの他の糸と組み合わせられた、モノフィラメントの糸から形成される。よこ糸は、2以上のモノフィラメントの糸を一緒に撚り合わせ及び/又は編むことで形成され、または、少なくともひとつのマルチフィラメントの糸と組み合わせて少なくともひとつのモノフィラメントを提供することで形成される。得られたよこ糸は、ベルトのよこ糸を形成するのに使用され、シートベルトの片方の長手方向の縁部から他方の長手方向の縁部によこ糸は延在する。
【0028】
最初に図2を参照すると、図1に示したタイプのシートベルトにおいて、よこ糸として使用するのに適した糸は、2本のモノフィラメントの糸3,4から構成され、これらはそれぞれ0.05〜0.30mmの直径を有し、糸は単に互いに撚り合わせられて、よこ糸が作られている。
【0029】
図3は、より複雑なよこ糸を示していて、それぞれが0.05〜0.30の直径を有してなる2本のモノフィラメントの糸5,6が撚り合わせられて、第1の複合糸7を形成し、2本の対応するモノフィルの糸7,8が、同一方向に撚り合わせられて、他の中間的な糸10を形成している。2本の中間的な糸7,10は、反対方向に撚り合わせられて、単一の複合よこ糸を形成している。
【0030】
図4は、本発明のさらに別の実施形態を示していて、4本のモノフィルの糸11,12,13,14が編み合わせられて、単一のよこ糸を形成している。
【0031】
図5に示した実施形態においては、4本のマルチフィラメントの糸15,16,17,18が、コアとして働く単一の中心のモノフィルの糸19のまわりに編まれて、よこ糸が作られている。
【0032】
図6は、さらに別の実施形態を示していて、3本のマルチフィラメントの糸20,21,22が、モノフィラメントのコア23のまわりに巻き付けられて、よこ糸が作られている。任意の適切な数のマルチフィラメントの糸を、このように、単一のモノフィラメントの糸のまわりに巻き付けても良い。
【0033】
驚いたことに、上述した様々なタイプのよこ糸から織られた安全ベルトは、複雑な織りのセットアップを必要とせずに、快適な縁部を有することが見い出された。余分な縁部糸のための要求条件は存在せず、また、よこ糸挿入機構のための要求条件も存在しない。
【0034】
本発明の多くの実施形態において、縁部材料の雑音低減が存在することが見い出されたが、これは、よこ糸として、マルチフィルの糸に組み合わせて、硬いモノフィルの糸を含めたことに起因し、または、マルチフィラメントの糸が使用されない場合には、使用されたモノフィラメントの糸が比較的細いサイズであったことに起因すると信じられている。
【0035】
上述したタイプのよこ糸から作られた安全ベルトは、帯紐の縁部と、帯紐によって保護されるべき座席上の人物との間の接触に関して、良好な特性を呈することが見い出された。縁部は、快適で、すり減らないことが見い出された。
【0036】
さらに、本発明の多くの好ましい実施形態において、帯紐ベルトは良好な「縫われる能力」の特性を呈することが見い出された。
【0037】
この明細書と特許請求の範囲において使用される場合、「備え」及び「備える」という用語、及びこれらのバリエーションは、特定の特徴、段階、又は構造体が含まれることを意味している。用語は、他の特徴、段階、又は構成要素の存在を排斥するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】安全ベルトの一部分を示した模式図である。
【図2】ひとつの形態による、よこ糸を示した模式図である。
【図3】変形例の形態による、よこ糸を示した模式図である。
【図4】他の形態による、よこ糸を示した図である。
【図5】さらに別の形態による、よこ糸を示した図である。
【図6】さらに別の形態による、よこ糸を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯紐ベルトであって、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延びてなる上記帯紐ベルトにおいて、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸(3)から形成され、モノフィラメントの糸(3)は、少なくともひとつの他の糸(4)と組み合わせられていることを特徴とするベルト。
【請求項2】
帯紐ベルトであって、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延びてなる上記帯紐ベルトにおいて、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸(3)から形成され、モノフィラメントの糸(3)は、第2のモノフィラメントの糸(4)と組み合わせられていることを特徴とするベルト。
【請求項3】
前記他方の糸(4)は、第2のモノフィラメントの糸であることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項4】
第1及び第2のモノフィラメントの糸(3,4)は、互いに撚り合わせられて、よこ糸を形成していることを特徴とする請求項2又は3に記載のベルト。
【請求項5】
モノフィラメントの糸(3)は、よこ糸を形成するために、2以上の他のモノフィラメントの糸(11〜14)と組み合わされていることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項6】
すべてのモノフィラメントの糸(11〜14)は、よこ糸を形成するために、互いに編まれていることを特徴とする請求項5に記載のベルト。
【請求項7】
2対のモノフィラメントの糸(5,6及び8,9)は、互いに撚り合わせられて、2本の中間的なフィラメントを形成し、2本の中間的なフィラメント(7,10)は、互いに撚り合わせられて、よこ糸を形成していることを特徴とする請求項5に記載のベルト。
【請求項8】
モノフィラメントの糸(23)は、少なくともひとつのマルチフィラメントの糸(20〜22)と組み合わせて提供されることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項9】
当該又はそれぞれのマルチフィラメントの糸(20〜22)は、よこ糸を形成するために、モノフィラメントの糸(23)のまわりに巻き付けられていることを特徴とする請求項8に記載のベルト。
【請求項10】
複数のマルチフィラメントの糸(20〜22)が提供され、マルチフィラメントの糸(20〜22)は、すべてモノフィラメントの糸(23)のまわりに巻き付けられて、よこ糸を形成していることを特徴とする請求項9に記載のベルト。
【請求項11】
複数のマルチフィラメントの糸(15〜18)が、モノフィラメントの糸(19)のまわりに編まれ、よこ糸を形成していることを特徴とする請求項9に記載のベルト。
【請求項12】
乗り物の安全ベルトの形態であることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載のベルト。
【請求項13】
帯紐ベルトであって、帯紐ベルトは、よこ糸とたて糸とから形成され、よこ糸はベルトの横から横へ横切って延び、たて糸はベルトの長手方向に延び、よこ糸は、少なくともひとつのモノフィラメントの糸(3)から形成され、モノフィラメントの糸(3)は、第2のモノフィラメントの糸(4)と組み合わせて提供され、第1及び第2のモノフィラメントの糸(3,4)は、互いに撚り合わせられて、よこ糸を形成していることを特徴とするベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−539336(P2008−539336A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508110(P2008−508110)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003413
【国際公開番号】WO2006/114207
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(504449929)オートリブ ディヴェロプメント アクチボラゲット (20)
【Fターム(参考)】