説明

帯電装置、画像形成ユニットおよび画像形成装置

【課題】
長期保存した場合においても、ブルームまたはブリードの発生を防止し、安定した導電特性を有する弾性層を備えた定着装置を提供することを目的とする。また、この定着装置を備えた画像形成ユニットおよび当該画像ユニットを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】
導電性の金属体と、金属体上に形成された弾性層と、金属体に接続され、金属体に電圧を印加する電源供給部とを備え、弾性層の少なくとも最外層はクロロプレンゴムを主体とする層であって、弾性層はイソシアネートを含有する処理液で処理された表面を有することを特徴とする帯電装置。また、この帯電装置を備えた画像形成ユニット及び当該画像ユニットを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電装置、画像形成ユニットおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の電子写真方式の画像形成装置において、静電潜像が形成される像担持体を帯電させるための帯電装置として、コロナ放電方式の帯電装置が多用されてきた。コロナ放電方式とは、タングステン等の細いワイヤーに高電圧を印加することでコロナ放電を誘発し、像担持体を帯電させる帯電方式である。
【0003】
しかしながら、このコロナ放電方式の帯電装置には、高電圧を印加するための高圧電源を要することや、コロナ放電により高濃度のオゾンが発生するといった問題があった。
【0004】
そこで、近年では、上述したコロナ放電方式の帯電装置に換えて、電圧が印加された帯電ローラを像担持体に接触または近接させることにより、像担持体を帯電させるローラ方式の帯電装置が好まれて利用されている。
【0005】
ローラ方式の帯電装置において、像担持体を帯電させるための帯電ローラの弾性層には、所定の導電性、像担持体への非汚染性等の諸性質が求められる。このような性質を備えた弾性層として、これまでにイオン導電性のエピクロルヒドリンゴムが広く用いられてきた(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−39582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エピクロルヒドリンゴムにおいては、像担持体の汚染防止を目的として、脱塩素のための架橋剤や加硫を補助する加硫促進剤が配合される場合が多い。例えば、加硫促進剤として酸化亜鉛等の金属酸化物が配合されたエピクロルヒドリンゴムを弾性層として用いた帯電ローラを長期間保存した場合、弾性層にブルームまたはブリードが発生し、弾性層表面に金属酸化物が浮き出てくることがある。これにより、弾性層表面に金属酸化物が付着し、結果的に像担持体の均一な帯電が妨げられるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、長期保存した場合においても、ブルームまたはブリードの発生を防止し、安定した導電特性を有する弾性層を備えた帯電装置を提供することを目的とする。また、この帯電装置を備えた画像形成ユニットおよび当該画像ユニットを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は鋭意研究した結果、弾性層の少なくとも最外層にクロロプレンゴムを主成分とした層を有し、当該弾性層の表面をイソシアネートを含有する処理液で処理することにより、上記課題を解決することができるとの知見を得るに至った。すなわち、本発明にかかる帯電装置は、導電性の金属体と、金属体上に形成された弾性層と、金属体に接続され、金属体に電圧を印加する電源供給部とを備え、弾性層の少なくとも最外層はクロロプレンゴムを主体とする層であって、弾性層はイソシアネートを含有する処理液で処理された表面を有することを特徴とする。
【0010】
クロロプレンゴムは、機械的強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性、耐寒性、耐油性のいずれにおいても、バランスが取れた汎用ゴムである。このような特性を有するクロロプレンゴムを主体とした層を少なくとも最外層に有する弾性層の表面をイソシアネートを含有する処理液で処理することで、表面を硬化させ、より優れた耐久性を得ることができる。したがって、長期保存されてもブルームまたはブリードの発生を防止することができる。
【0011】
また、本発明にかかる画像形成ユニットは、静電潜像が形成される像担持体と、像担持体に接触して設けられ、像担持体を帯電させる帯電部材とを備えた画像形成ユニットであって、帯電部材は、導電性の金属体と、金属体上に形成され、表面がイソシアネートを含有する処理液で処理され、かつ、少なくとも最外層はクロロプレンゴムを主体とする弾性層とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成ユニットは、静電潜像が形成される像担持体に接触して設けられた帯電部材を備える。この帯電部材は導電性の金属体と、金属体上に形成され、表面がイソシアネートを含有する処理液で処理され、かつ、最外層はクロロプレンゴムを主体とする弾性層とをそなえる。この弾性層は耐久性が増加しているため、長期保存されてもブルーム又はブリードの発生による表面の粗さは増加しない。したがって、安定して像担持体を均一に帯電させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、長期保存した場合においても、ブルームまたはブリードの発生を防止し、安定した導電特性を有する弾性層を備えた帯電装置を提供することができる。また、この帯電装置を備えた画像形成ユニットおよび当該画像ユニットを備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置としてのプリンタ100の構成例を示す概略構成図である。なお、本実施形態の説明においては、帯電部材として帯電ローラを備えた帯電装置を一例として説明する。本説明では、まず、プリンタ100の全体構成を説明し、次いで本実施形態にかかる帯電ローラを備えた画像形成ユニット、本実施形態にかかる帯電ローラの順で説明する。
【0016】
まず、プリンタ100について説明する。
プリンタ100は、トナー像を形成する画像形成ユニット20と、入力された印刷データに基づき発光することで後述する感光ドラム1上に静電潜像を形成する露光装置21と、画像形成ユニット20で形成されたトナー像を用紙24に転写させる転写装置22と、用紙24上に転写されたトナー像を定着させる定着装置23と、画像が形成される用紙24と、用紙24を給紙する給紙ローラ25と、用紙24をガイドする搬送ガイド26a,26bと、用紙24を搬送する搬送ローラ27と、定着装置23から搬送された用紙24を排出する排出ローラ28と、排出ローラ28により排出された用紙24がスタックされるスタッカー29とを備える。
【0017】
画像形成ユニット20は、用紙搬送経路上に設けられ、露光装置21によって形成された静電潜像に基づくトナー像を形成する。画像形成ユニット20の構成については、後ほど詳細に説明する。
【0018】
露光装置21は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子とレンズアレイ等を備え、発光素子から出力される照射光が後述する像担持体としての感光ドラム1の表面に結像する位置に配設される。露光装置21は、入力された印刷データに基づき発光することで、感光ドラム1の外周表面に静電潜像を形成する。
【0019】
転写装置22は、用紙24を静電吸着して搬送する図示せぬ無端の搬送ベルトと、図示せぬ駆動系から伝達された動力により回転することで、搬送ベルトを駆動する図示せぬ駆動ローラと、搬送ベルトを介して感光ドラム1に圧接するように配設された転写ローラとを備える。転写ローラには、図示せぬ電源供給系から高圧電圧が印加され、画像形成ユニット20で形成されたトナー像を用紙24に転写する。
【0020】
定着装置23は、中心軸周りに回転可能なヒートローラ23aと、このヒートローラに圧接するように設けられた加圧ローラ23bとを備える。ヒートローラ23aは内部に加熱部材としてのハロゲンランプが内蔵されたアルミニウムや鉄といった金属製の芯金を有し、その表面にシリコンゴムといった弾性体が設けられている。そして、弾性体の表面には用紙24に転写されたトナー像との分離性を確保するためのコーティング層または同じ機能を有するチューブが被覆されている。加圧ローラ23bは、図示せぬテンションバネにより、ヒートローラの表面と一定の圧力で接触するように設けられている。定着装置23は、ヒートローラ23aと加圧ローラ23bとで形成されるニップにおいて用紙24を挟持搬送することにより、用紙24に熱及び圧力を付与する。
【0021】
用紙24は、画像が形成される例えばシート状の記録用紙である。
【0022】
給紙ローラ25は、少なくとも1対のローラを有し、図示せぬ駆動系から伝達された動力により回転することで、用紙24を1枚ずつ分離し、画像形成ユニット20方向に用紙24を搬送する。
【0023】
搬送ガイド26a,26bは、用紙24を搬送経路に沿ってガイドするガイド部材である。搬送ガイド26aは、給紙ローラ25から搬送された用紙24を画像形成ユニット20にガイドする。また、搬送ガイド26bは、定着装置23から搬送された用紙24を排出ローラ28にガイドする。
【0024】
搬送ローラ27は、1対のローラから構成され、搬送ガイド26aの用紙搬送方向終端に設けられる。搬送ローラ27は、搬送ガイド26aに沿ってガイドされた用紙24を画像形成ユニット20に搬送する。
【0025】
排出ローラ28は、少なくとも1対のローラから構成され、搬送ガイド26bの用紙搬送方向終端に設けられる。排出ローラ28は、搬送ガイド26bに沿ってガイドされた用紙24をスタッカー29に排出する。
【0026】
スタッカー29は、プリンタ100の筐体外側面の一面を利用して形成されている。スタッカー29は、排出ローラ28から排出された用紙24を積載する。
【0027】
なお、図1においては、単色の現像剤を備えた一つの画像形成ユニット20を装着したプリンタ100が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、異なる4色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の現像剤を備えた複数の画像形成ユニット20を用紙搬送経路上に連続して装着することにより、カラー画像の印刷も可能である。
【0028】
次に、画像形成ユニット20の構成について図2を用いて説明する。図2は、画像形成ユニット20の概略構成を説明する要部構成図である。
【0029】
画像形成ユニット20は、露光装置21により外周表面に静電潜像が形成される像担持体としての感光ドラム1と、感光ドラム1の外周表面を一様に帯電させる帯電ローラ2と、感光ドラム1に形成された静電潜像に現像剤を供給しトナー像を形成させる現像装置4と、転写ベルトに残存する現像剤5や感光ドラム1に付着した汚れを掻き落とすクリーニング装置8とを備える。
【0030】
感光ドラム1は、円筒型に加工された導電性支持体上に感光層を塗布した感光層部から構成される。感光層部は、導電性支持体の表面から順に、ブロッキング層、電荷発生層、電荷輸送層の構成で積層構造となっている。最表面の電荷輸送層には、例えば、ポリカーボネート樹脂を主成分として、電荷輸送化合物、および酸化防止剤等が含まれる。印刷時には、感光ドラム1は図示せぬ駆動系により伝達された動力により中心軸回りに矢印方向(時計回り)に回転する。
【0031】
帯電ローラ2は導電性を有する、例えば金属性の軸体等から成る芯金を有し、この芯金の両端部を除く外周面に導電性の弾性層を有する。弾性層には、感光ドラム1との適正な放電を得るため、感光ドラム1と適正なニップが得られるようにゴム材が好んで使用される。この場合のゴム材の硬さは、タイプAデュロメーター(JIS K 6253 A)で30〜80が好ましい。帯電ローラ2の導電特性は、一般に抵抗が大きすぎると感光ドラム1の外周表面の帯電ムラや帯電不良による画像不良が発生する場合がある。また、逆に抵抗が小さすぎると感光ドラム1の外周表面の傷等にリーク電流が流れるため画像不良が発生する場合がある。したがって、帯電ローラ2の導電特性には適正な抵抗領域が存在する。適正な導電特性を有する帯電ローラ2は、感光ドラム1の外周周面に接して設けられる。印刷時には、帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して矢印方向(反時計回り)に回転する。帯電ローラ2の芯金には電圧が印加され、矢印方向に回転しながら感光ドラム1を帯電させる。このような帯電ローラ2と電源供給系を備えた帯電装置3については、後ほどさらに詳細に説明する。
【0032】
現像装置4は、静電潜像に付着することで静電潜像を可視化する現像剤5と、現像剤5を収容する現像剤ボックス6と、現像剤5を担持し、感光ドラム1に現像剤を供給する現像ローラ7とを備える。
【0033】
現像剤5は、トナーと凝集物により構成される。トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母粒子に無機微粉体等の外添剤が添加されたものである。凝集物は、外添剤を凝集し塊状となるものである。
【0034】
現像剤ボックス6は、現像剤を収容する中空構造の筐体である。
【0035】
現像ローラ7は金属シャフトと半導電性ウレタン層とを備え、感光ドラム1の外周表面に接して設けられる。印刷時には、現像ローラ7は感光ドラム1の回転に従動して矢印方向(反時計回り)に回転する。現像ローラ7の金属シャフトには電圧が印加され、図示せぬ供給ローラより供給された現像剤5を吸着し、矢印方向に回転搬送することで現像剤5を感光ドラム1に供給する。
【0036】
このような構成から成る現像装置4は、画像形成ユニット20の所定の位置において着脱自在に装着可能となっている。
【0037】
クリーニング装置8は、転写ベルトに残存する現像剤5や感光ドラム1に付着した汚れを掻き落とすクリーニングブレード9と、クリーニングブレード9が掻き落とした現像剤5を回収する廃現像剤タンク10とを備える。
【0038】
クリーニングブレード9は、例えばウレタンゴム等で形成することができる。クリーニングブレード9は、感光ドラム1の中心軸方向に沿って平行に配置され、その先端部が感光ドラム1の外周表面に当接するように、その根元部分が剛性の支持基盤に取り付けられ固定される。
【0039】
廃現像剤タンク10は、クリーニングブレード9の下位部に配置され、クリーニングブレード9が掻き落とした現像剤5を回収する。
【0040】
上述した構成を有する画像形成ユニット20を装着したプリンタ100の印刷動作について説明する。
【0041】
まず、プリンタ100に印刷データが入力されると、図示せぬ印刷制御部は図示せぬ駆動系に印刷開始指示を供給する。印刷指示の供給を受けた駆動系は動力を給紙ローラ25、搬送ローラ27に伝達する。動力が伝達された給紙ローラ25、搬送ローラ27は回転を開始する。給紙ローラ25は、用紙24を1枚ずつ分離して画像形成ユニット20方向に用紙24を搬送する。
【0042】
搬送ガイド26aに沿ってガイドされた用紙24は、搬送ローラ27の回転により画像形成ユニット20に搬送される。
【0043】
この時、画像形成ユニット20内の感光ドラム1には図示せぬ駆動系により動力が伝達され、感光ドラム1は図2中の矢印方向に一定速度で回転を開始する。感光ドラム1の外周表面に接触して設けられた帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に従動して図2中の矢印方向に一定速度で回転を開始する。
【0044】
帯電ローラ2には−1000V前後の直流電圧が印加されており、帯電ローラ2は、従動回転しながら感光ドラム1の外周表面を帯電させる。帯電ローラ2から供給された電圧により、感光ドラム1の外周表面は、−500Vの表面電位となる。次に、感光ドラム1に対向して設けられた露光装置21は、受信した印刷データの画像信号に基づく光を感光ドラム1の外周表面に照射し、光照射部分の電位を光減衰させて静電潜像を形成する。この時、露光された部分の表面電位は、0〜−100Vとなる。
【0045】
次に、現像装置4内の現像ローラ7は、図示せぬ供給ローラから供給された現像剤5を感光ドラム1の外周表面に形成された静電潜像に付着させ、静電潜像を反転現像しトナー像を形成する。
【0046】
図示せぬ電源供給系から高圧電圧が印加されている転写装置22は、用紙24の感光ドラム1への到達タイミングに合せて、感光ドラム1の外周表面に形成されているトナー像を用紙24に転写する。トナー像が転写された用紙24は、定着装置23に搬送される。定着装置23を構成するヒートローラ23a及び加圧ローラ23bは、用紙24を挟持搬送することで、用紙24に対し熱及び圧力を付与する。用紙24上に転写されたトナー像は定着装置23から付与された熱及び圧力により定着される。
【0047】
トナー像が定着された用紙24は、搬送ガイド26bに沿ってガイドされ排出ローラ28に搬送される。排出ローラ28は、図示せぬ駆動系から伝達された動力により回転し、用紙24をスタッカー29に排出する。
【0048】
用紙24に転写されずに感光ドラム1の外周表面上に残存する現像剤や転写動作時に感光ドラム1に付着した紙粉等は、クリーニング装置8により除去される。クリーニングされた感光ドラム1の外周表面は帯電ローラ2により再び帯電され、次の画像形成が開始される。以降、このプロセスが繰り返して実行される。
【0049】
次に、本発明の第1の実施形態にかかる帯電装置3についてより詳細に説明する。
【0050】
本実施例の帯電装置3は、図3に示すように感光ドラム1の外周表面を一様に帯電させる帯電ローラ2と、帯電ローラ2に直流電圧を印加する帯電装置電源14aとを備える。
【0051】
前述したように、帯電ローラ2は感光ドラム1と対向し接触するように設けられている。また、帯電ローラ2は感光ドラム1の回転により従動し、図3中の矢印方向(反時計方向)に一定速度で回転し、感光ドラム1の外周表面を帯電させる。
【0052】
このような帯電ローラ2は、図4及び図5に示すように、帯電装置電源14aから電圧が印加される芯金11の外周表面に導電性弾性層12を有し、その導電性弾性層12の表面には、一様に表面処理層13が設けられている。
【0053】
この導電性弾性層12は、クロロプレンゴムを主成分とし、他のゴムがブレンドされたゴム材から構成される。また、導電性弾性層12には導電性を付与するための導電剤が含まれており、導電性弾性層12をローラ状に成型した際に適正な抵抗値を示すように、体積抵抗は1012Ω・cm以下に設定されている。
【0054】
導電剤としては、特に限定されないが、カーボンブラック等の電子導電剤を使用するのが好ましい。また、電子導電剤に加え、さらにイオン導電剤を添加することにより、電子伝導とイオン導電のハイブリットの導電特性を示す導電性弾性層12としてもよい。
【0055】
添加した導電剤を均一に分散させるために混練りを行う際は、必要添加量の一部分の加硫剤を添加した状態で混練りを行うのが好ましい。導電剤の分散を高めた後、再練りを行い、残りの加硫剤を添加することで抵抗値のばらつきを抑えることができる。
【0056】
次に上述した導電性弾性層12の表面処理について説明する。
ローラ状に成型した導電性弾性層12をイソシアネート成分を含有する表面処理液に浸透させ、硬化させることにより表面処理層13が形成される。表面処理液中のイソシアネート成分は、導電性弾性層12の表面から浸透し硬化することで表面処理層13を形成するが、この表面処理層13と導電性弾性層12との明確な境界はない。導電性弾性層12の表面を硬化させることにより、導電性弾性層12が感光ドラム1の外周表面に接触しても、感光ドラム1が汚染されることを防止し、現像剤やその外添剤等の離形性を確保することができる。
【0057】
表面処理液は、前述したようにイソシアネート成分を含有する。この表面処理液は、イソシアネート化合物を有機溶剤に溶解させたものであり、更に、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、シリコン系ジオール、アクリルフッ素系ポリマー、アクリルシリコーン系ポリマーの何れか1つを添加してもよい。また、この表面処理液には、更にカーボンブラック等の導電剤を添加することも可能である。
【0058】
前述したイソシアネート化合物としては、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、タフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの多重体、又はこれらの変性体が挙げられる。このイソシアネート化合物の分子量Mwは、600〜12000が好ましく、700〜3000のものがより好ましい。
【0059】
有機溶剤は、特に限定するものではないが、イソシアネート化合物との親和性が高く、揮発性であり、比較的に安価に入手できるものがよい。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、又はキシレン等を挙げることができる。
【0060】
なお、本実施形態の帯電ローラ2は、ゴム練り、ローラ形状への押出し、加硫、ローラの芯金への圧入、二次加硫、研磨、及び表面処理の工程の順で成型されるが、本実施形態の帯電ローラ2の成型方法はこれに限定されるものではない。
【0061】
以下に説明する実施例では、主成分としてクロロピレンゴムを使用し、ブレンドする添加剤の配合比を変えて導電性弾性層12を作製した。また、導電性弾性層12の表面処理は、条件に応じて組成比を変えた表面処理液を使用して行った。
【0062】
芯金11には、外径が6mm、軸方向長さ252mmのSUM材に無電解ニッケル鍍金した金属シャフトを使用した。また、導電性弾性層12の層厚は約3.0mmに設定した。この場合、導電性弾性層12の外径はおよそ12.0mmとなる。さらに、導電性弾性層12の軸方向長さは224.0mmに設定した。
【0063】
作製した帯電ローラ2については、(1)物性測定を行った。
(1)物性測定
物性測定は、作製した帯電ローラ2をそのまま使用して測定を行った。以下にその測定方法を説明する。
【0064】
(1−1)抵抗値測定(抵抗ムラ)
抵抗値測定には、ハイレジスタンスメータ4339B(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。図6に示すように、帯電ローラ2に、幅2.0mm、直径6.0mmのSUS材のベアリング31を10gfの力で当接させ、芯金11との抵抗値を測定した。ベアリング31はP1からP6までの6箇所あり、P1から順に切り替えて測定した。具体的には、帯電ローラ2を回転させながら、P1からP6まで各1周100ポイント、計600ポイントの抵抗値を測定した。このときの平均抵抗値を帯電ローラ2の抵抗値とし、最大抵抗値を最小抵抗値で除した値を抵抗ムラとした。なお、測定時の芯金11への印加電圧は300Vとした。
【0065】
(1−2)硬さ(度)測定
導電性弾性層12の硬さ測定には、A型アスカー硬度計(高分子計器社製)、定圧荷重器(高分子計器社製)を使用した。芯金11のシャフト両端を固定し、測定圧を1000gfとして測定した。
【0066】
(1−3)表面粗さ(最大高さRy)測定
導電性弾性層12の表面粗さ測定は、検出器PU−DJ2Sを備えた表面粗度計SE−3500(小坂研究所社製)を使用した。測定条件は、JIS B0610:1994に準拠し、カットオフλcを0.8mm、基準長を0.8mm、測定長を4.0mm、送り速度を0.1mm/sとして測定した。
【0067】
[実施例1−1]
実施例1−1の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を10重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0068】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.1×10Ωであり、抵抗ムラは2.9倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、2.8×10Ωであり、抵抗ムラは4.2倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは74度であり、表面粗さの最大高さRyは10.6μmであった。
【0069】
[実施例1−2]
実施例1−2の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0070】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.5×10Ωであり、抵抗ムラは2.4倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、3.4×10Ωであり、抵抗ムラは4.6倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは70度であり、表面粗さの最大高さRyは11.2μmであった。
【0071】
[実施例1−3]
実施例1−3の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を90重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0072】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.0×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、9.5×10Ωであり、抵抗ムラは8.6倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは67度であり、表面粗さの最大高さRyは11.7μmであった。
【0073】
[実施例1−4]
実施例1−4の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0074】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.9×10Ωであり、抵抗ムラは2.3倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、5.4×10Ωであり、抵抗ムラは4.5倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは61度であり、表面粗さの最大高さRyは9.2μmであった。
【0075】
[実施例1−5]
実施例1−5の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0076】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において2.8×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、9.9×10Ωであり、抵抗ムラは8.8倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは66度であり、表面粗さの最大高さRyは12.1μmであった。
【0077】
[実施例1−6]
実施例1−6の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0078】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において5.6×10Ωであり、抵抗ムラは2.2倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、8.6×10Ωであり、抵抗ムラは4.3倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは59度であり、表面粗さの最大高さRyは10.9μmであった。
【0079】
[実施例1−7]
実施例1−7の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を16重量部、ポリカーボネート系ポリオールを4重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0080】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.7×10Ωであり、抵抗ムラは2.5倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、4.3×10Ωであり、抵抗ムラは5.1倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは71度であり、表面粗さの最大高さRyは10.4μmであった。
【0081】
[実施例1−8]
実施例1−8の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を10重量部、ポリカーボネート系ポリオールを10重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0082】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.2×10Ωであり、抵抗ムラは2.7倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、7.4×10Ωであり、抵抗ムラは6.8倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは72度であり、表面粗さの最大高さRyは10.7μmであった。
【0083】
[実施例1−9]
実施例1−9の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部、ポリカーボネート系ポリオールを5重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0084】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.9×10Ωであり、抵抗ムラは2.8倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、8.6×10Ωであり、抵抗ムラは7.9倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは72度であり、表面粗さの最大高さRyは9.9μmであった。
【0085】
[実施例1−10]
実施例1−10の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を10重量部、ポリカーボネート系ポリオールを10重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0086】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.1×10Ωであり、抵抗ムラは2.5倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、10.9×10Ωであり、抵抗ムラは9.1倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは67度であり、表面粗さの最大高さRyは11.7μmであった。
【0087】
[実施例1−11]
実施例1−11の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を10重量部、ポリカーボネート系ポリオールを10重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0088】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において6.5×10Ωであり、抵抗ムラは2.7倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、10.8×10Ωであり、抵抗ムラは4.7倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは60度であり、表面粗さの最大高さRyは10.1μmであった。
【0089】
[実施例1−12]
実施例1−12の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を10重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を10重量部、ポリカーボネート系ポリオールを10重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0090】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.6×10Ωであり、抵抗ムラは3.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、3.4×10Ωであり、抵抗ムラは5.1倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは75度であり、表面粗さの最大高さRyは9.8μmであった。
【0091】
[実施例1−13]
実施例1−13の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を10重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を10重量部、ポリカーボネート系ポリオールを10重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0092】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.0×10Ωであり、抵抗ムラは3.4倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、4.4×10Ωであり、抵抗ムラは6.7倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは72度であり、表面粗さの最大高さRyは12.3μmであった。
【0093】
[実施例1−14]
実施例1−14の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を15重量部、シリコーンジオールを5重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、シリコーンジオールは、分子量Mwでおよそ1000のものを使用した。
【0094】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において2.6×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、3.1×10Ωであり、抵抗ムラは3.7倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは69度であり、表面粗さの最大高さRyは8.7μmであった。
【0095】
[比較例1−1]
比較例1−1の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を200重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0096】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において1.2×10Ωであり、抵抗ムラは1.4倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、24.6×10Ωであり、抵抗ムラは2.7倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは60度であり、表面粗さの最大高さRyは13.5μmであった。
【0097】
[比較例1−2]
比較例1−2の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を120重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0098】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において2.1×10Ωであり、抵抗ムラは1.6倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、12.9×10Ωであり、抵抗ムラは4.3倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは64度であり、表面粗さの最大高さRyは11.7μmであった。
【0099】
[比較例1−3]
比較例1−3の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。比較例1−3の導電性弾性層12の表面処理は行わなかった。
【0100】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において1.8×10Ωであり、抵抗ムラは1.7倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、1.5×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは69度であり、表面粗さの最大高さRyは12.1μmであった。
【0101】
[比較例1−4]
実施例1−4の帯電ローラ2においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、ポリカーボネート系ポリオールを20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0102】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において5.1×10Ωであり、抵抗ムラは3.4倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、16.7×10Ωであり、抵抗ムラは15.3倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは73度であり、表面粗さの最大高さRyは10.9μmであった。
【0103】
[比較例1−5]
比較例1−5の帯電ローラ2においては、まず、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0104】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において1.1×10Ωであり、抵抗ムラは1.3倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、71.0×10Ωであり、抵抗ムラは2.5倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは58度であり、表面粗さの最大高さRyは14.2μmであった。
【0105】
[比較例1−6]
比較例1−6の帯電ローラ2においては、まず、エピクロルヒドリンゴム(ECO)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0106】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において2.9×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、16.8×10Ωであり、抵抗ムラは3.3倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは55度であり、表面粗さの最大高さRyは13.7μmであった。
【0107】
[比較例1−7]
比較例1−7の帯電ローラ2においては、まず、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を100重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りしローラ状に押出し形成した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、金属シャフトに圧入し、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚3.0mm,外径12.0mmの導電性弾性層12を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層13を得た。導電性弾性層12を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0108】
このようにして得られた帯電ローラ2の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において5.6×10Ωであり、抵抗ムラは4.3倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、6.3×10Ωであり、抵抗ムラは5.6倍であった。さらに、帯電ローラ2の硬さは52度であり、表面粗さの最大高さRyは15.4μmであった。
【0109】
ところで、帯電性弾性層12の主成分がクロロプレンゴムのみであると、帯電弾性層12が硬く成りすぎたため、結果として感光ドラム1と十分なニップが形成されなかった。したがって、感光ドラム1の帯電ムラが発生することが予測されるため、帯電性弾性層12の主成分がクロロプレンゴムのみの帯電ローラ2については評価試験を行わなかった。クロロプレンゴム1に対して他のゴムを0.1未満にした場合、クロロプレンゴムの特性が強くでてしまい、結果として帯電弾性層12が硬くなる。したがって、帯電弾性層12を形成するゴムは、クロロプレンゴム1に対して0.1以上の割合でブレンドすることが望ましい。なお、感光ドラム1と十分なニップを形成させるために、帯電ローラ2の感光ドラム1に対する当接力を大きくすると、感光ドラム1の感光層の剥がれや回転負荷が発生すると予測される。
【0110】
実施例及び比較例で作製した帯電ローラ2をプリンタ100に組み込んで、(2)評価試験を行った。以下にその評価方法を説明する。
【0111】
(2)評価試験
評価試験にかかる印刷は、図1に示されたプリンタ100を使用して行った。このときの感光ドラム1の外径は30mmとした。この感光ドラム1の最表面層には電荷輸送層としてポリカーボネート樹脂を使用した。また、感光ドラム1の軸方向長さは、帯電ローラ2の導電弾性層12の軸方向長さよりも十分長く設定し、感光ドラム1の印刷時の回転速度を180rpmに設定した。感光ドラム1の外周表面において、帯電ローラ2が一定の圧力をもって当接するように、芯金11の両端が片側450gfの圧力でバネにより押し付けられている。このような構成を有するプリンタ100を使用して評価試験を行った。以下にその試験方法を説明する。
【0112】
(2−1)長期保存評価試験(感光ドラム1の汚染性、及び帯電ローラ2のローラ凹み評価)
長期保存評価試験では、帯電ローラ2を感光ドラム1の外周表面に押し付けた状態で長期保存後の感光ドラム1の汚染性と、帯電ローラ2のローラ凹みの評価を行った。具体的には、感光ドラム1の外周表面において、帯電ローラ2が一定の圧力をもって当接するように、芯金11の両端をそれぞれ500gfの圧力で押し付けた状態で、720時間(およそ1ヶ月)保存した。このときの保存環境は、50℃,90%RH、50℃,55%RH、及び45℃90%RHの3環境である。長期保存後、試験した感光ドラム1及び帯電ローラ2をプリンタ100に組み込み、30%カバレッジの濃度で印刷を行った。ここで、帯電ローラ2周期での横スジ状の濃度段差について、横スジ発生部以外(すなわち、正常な画像部分)の濃度に対して、横スジ部分の濃度が80%以上である場合を○、80%未満である場合を×とした。これらの濃度測定には、濃度計X−Rite504(日本平板社製)を使用した。
【0113】
濃度測定の結果、3環境下全てで○であったものを◎、50℃,90%RHの環境下で×であるが、50℃,55%RH、45℃,90%RHの環境下で○であるものを○、50℃,55%RH、45℃,90%RHの何れかの環境下で×であるものを×とした。ここで、50℃,55%RH、45℃,90%RHの環境下で○であれば、通常使用には問題はないので、50℃,90%RHの環境下で×であっても、評価としては○とした。また、50℃,90%RHの環境下で○のものは、特に長期保存に優れているので◎とした。
【0114】
(2−2)画像評価試験(濃度ムラ)
画像評価試験は、10℃,20%RH(低温低湿:LL)、及び28℃,80%RH(高温高湿:HH)の2環境下で行った。また、画像評価時の帯電ローラ2に印加する電圧を−900V,−1000V,−1100V,−1200Vの4種類の直流電圧に設定し印刷を行った。画像評価の印字は、印字媒体としてA4半紙(エクセレントホワイト:沖データ社製)の縦送りで行い、画像評価に用いた画像は、30%カバレッジ、100%カバレッジ、及び白地(0%カバレッジ)を使用した。このとき発生した横スジ,縦スジ,白抜け,黒点,白地カブリ、濃度ムラ等の画像欠陥を評価の対象とした。
【0115】
横スジ,縦スジ,白抜け,黒点の発生が認められたものは×とした。
【0116】
白地カブリは、正常に帯電した現像剤に対して、低い帯電量の現像剤や逆極性に帯電した現像剤によって画像の背景部分、すなわち、非画像部分(白地)に現像剤が付着することで発生する。白地画像において、印刷する前と印刷した後の印刷用紙の色差Eを、分光測色計(CM2600d:コニカミノルタ社製)で測定し、白地カブリを評価した。この色差Eの値が小さいほど、白地カブリが少ないことを示す。
【0117】
濃度ムラは、30%カバレッジ画像内の色差Eを測定して評価した。この色差Eの値が小さいほど、濃度ムラが少ないことを示す。なお、色差Eは、CIE1976L*a*b*表色系で表される色差であり、CIE1976L*a*b*表色系で得られたL*・a*・b*の値をもって色差とする。比較する2色のL*,a*,b*のそれぞれの差をL1,a1,b1とすると、色差Eは、下記の式で表すことができる。
E=(L1+a1+b11/2
【0118】
色差Eの評価基準は、NBS単位(米国標準局)で以下のように設定されている。
E 0〜0.5 trace(かすかに感じられる)
E 0.5〜1.5 slight(わずかに感じられる)
E 1.5〜3.0 noticeable(かなり感じられる)
E 3.0〜6.0 appreceable(目立って感じられる)
E 6.0〜12.0 much(大きく感じられる)
E 12.0〜 very much(非常に大きく感じられる)
つまり、NBS単位に準拠すると、色差Eが1.5以下であれば、わずかな違いはあるが異色とみなすほどではないものとなる。本評価では、色差Eが0.5以下のものを○、それより大きいものを×とした。
【0119】
(2−3)連続印刷評価試験
連続印刷評価試験は、印字媒体としてA4判の用紙(エクセレントホワイト:沖データ社製)の縦送りで行い、画像評価に用いた画像は、30%カバレッジを使用した。これを連続して5000枚、及び20000枚印刷した後に上述した(2−2)画像評価試験を行った。なお、20000枚連続印刷した時点で、感光ドラム1の回転数は、およそ10万回転となった。
【0120】
上記長期保存評価試験における3環境下における評価を下記表1に示した。また、上記評価方法における評価を下記表2に示した。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
表1及び表2に示すように、実施例1−1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6,1−7,1−8,1−9,1−10,1−11,1−12,1−13,1−14の帯電ローラ2においては、概ね良好な結果を得ることができた。実施例1−1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6、及び実施例1−14については、表1に示すように、50℃,90%RH環境下における評価は×であったが、50℃,55%RH、45℃,90%RHの両環境下においては、○であり、通常使用には全く問題ないレベルであった。また、イソシアネート化合物を含有する表面処理液で処理することにより、導電性弾性層12の表面を硬化させ、耐久性を向上させることができる。さらに、表面処理液にポリカーボネート系ポリオールを添加することにより、50℃,90%RH環境下における長期保存特性をさらに向上させることが可能であることが明らかとなった(実施例1−7,1−8,1−9,1−10,1−11,1−12)。
【0124】
また、実施例1−1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6,1−7,1−8,1−9,1−10,1−11,1−12,1−13,1−14の帯電ローラ2は、低温低湿(LL)環境下及び高温高湿(HH)環境下において、所定の抵抗特性を示し、その抵抗値間には大きな差がない。この結果は、本実施例にかかる帯電ローラ2は、異なる環境下であっても安定した抵抗特性を発揮し、画像ムラの発生を防止することが可能であることを示している。
【0125】
比較例1−1,1−2,1−3,1−5,1−6,1−7の帯電ローラ2では、表1に示すように、長期保存評価試験において、画像不良が発生した。比較例1−1における画像不良の原因は、導電性弾性層12表面にブルームが発生したことによる帯電ローラ2周期の濃度ムラである。この原因としては、エピクロヒドリンゴムの過剰添加により、ブルームが発生し、導電性弾性層12の表面に金属製酸化物が浮き出てしまい感光ドラム1の帯電電位に影響を与えたことが考えられる。また、比較例1−1の帯電ローラ2においては、高温高湿(HH)環境下において、抵抗が低くなりすぎたことに由来するピンホールリークが確認された。
【0126】
比較例1−2における画像不良の原因は、導電性弾性層12が凹んだことによる帯電ローラ2周期の濃度ムラである。この原因としては、比較例1−1と比較してエピクロルヒドリンゴムの添加量はすくないものの、その添加量は実施例と比較して過剰である。エピクロルヒドリンゴムの添加量が多いと、イオン導電性が強くなり、導電性弾性層12の誘電率が低下する。これにより生じた帯電ローラ2の抵抗ムラが、感光ドラム1の帯電電位に影響を与えたものと考えられる。
【0127】
比較例1−3における画像不良の原因は、感光ドラム1の汚染によるものである。比較例1−3の帯電ローラ2にかかる帯電性弾性層12には表面処理液による表面処理が施されていない。したがって、帯電性弾性層12の表面が直接感光ドラム1の外周表面に接触することになる。クロロプレンゴムは、接着性が大きく、帯電性弾性層12の表面を処理していない状態では、帯電性弾性層12は感光ドラム1の外周表面に張り付いてしまう。また、帯電性弾性層12の表面が表面処理されていないことで、帯電性弾性層12に含まれる一部の物質が帯電性弾性層12の表面に浮き出てしまい、その結果、感光ドラム1を汚染する。比較例1−3の結果は、表面処理液による帯電性弾性層12の表面処理が重要であることを裏付ける結果である。また、これ以外にも比較例1−3の帯電ローラ2には、低温低湿(LL)環境下においてピンホールリークが確認された。
【0128】
比較例1−4における画像不良の原因は、低温低湿(LL)環境下における濃度ムラである。この原因としては、表面処理液にイソシアネート化合物が含有されていないため、帯電性弾性層12内部に表面処理液が浸透せず、帯電性弾性層12表面上にポリカーボネート系ポリオールが残存したためだと考えられる。ポリカーボネート系ポリオールが帯電性弾性層12表面上に残存すると、低温低湿(LL)環境下において、帯電性弾性層12の表面上の抵抗が大きくなり、抵抗ムラが増加する。その結果、濃度ムラが発生し画像不良となったと考えられる。
【0129】
比較例1−5及び1−6における画像不良の原因は、長期保存することにより、ブルームが発生し、感光ドラム1の帯電ムラが生じたためだと考えられる。
【0130】
比較例1−7における画像不良の原因は、帯電性弾性層12の主成分がEPDMのみであるため、長期保存することにより、帯電ローラ2に歪が発生し、感光ドラム1の帯電ムラが生じたためだと考えられる。
【0131】
以上の結果より、クロロプレンゴムを主成分とし、(エピクロルヒドリンゴム又はエチレンプロピレンジエンゴムを含有した)導電性弾性層12の表面をイソシアネートを含有した表面処理液で処理することにより、長期保存した場合においても、ブルームまたはブリードの発生を防止し、安定した導電特性を有する弾性層を備えた帯電ローラ2を提供することができる。
【0132】
第1の実施形態では、芯金11の外周表面にクロロプレンゴムを主成分とする導電性弾性層12を設け、その導電性弾性層12の表面に表面処理層13が設けられる形態として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、導電性弾性層12が複数の層で構成される形態でも構わない。その場合、導電性弾性層12の最外層には、クロロプレンゴムを主成分として他のゴムがブレンドされたゴム材が用いられる。そして、当該最外層、すなわち、導電性弾性層12の表面に表面処理層13が設けられる形態であっても構わない。
【0133】
本発明においては、感光体ドラムと対向する部分について着目したので、導電性弾性層全体がクロロプレンゴムを主成分とする層でなくても、導電性弾性層の最外層、すなわち、導電性弾性層で感光体ドラムに最も近い層がクロロプレンゴムを主成分とする層であれば良い。
【0134】
[第2の実施形態]
第2の実施形態における帯電装置3は、第1の実施形態で示した帯電ローラ2に換えて帯電ブレード40を備えるものとして説明する。一般的に帯電ブレード40は帯電ローラ2に比べ、耐久性には劣るが、帯電部材の小型化、低コスト化の利点がある。したがって、帯電ブレード40を備えた帯電装置3を用いることで、画像形成ユニット20、プリンタ100の小型化、低コスト化を実現することができる。
【0135】
以下、第2の実施形態について説明するが、第2の実施形態にかかる画像形成ユニット20及びプリンタ100の構成及び印刷動作は、第1の実施形態で説明したものと略同一であるため同一のものに関しては同一の符号を付し、説明は省略する。
【0136】
帯電装置3は、図7に示すように感光ドラム1の外周表面を一様に帯電させる帯電ブレード40と、帯電ブレード40に直流電圧を印加する帯電装置電源14bとを備える。
【0137】
帯電ブレード40は、帯電ローラ2と同様に感光ドラム1と接触するように設けられている。また、帯電ブレード40は、感光ドラム1の回転に対して摺接して感光ドラム1の外周表面を帯電させる。
【0138】
このような帯電ブレード40は、図8に示すように、帯電装置電源14bから電圧が印加される導電性のガイド部材41の一側面に設けられた導電性弾性層42を有し、その導電性弾性層42の表面には、一様に表面処理層43が設けられている。
【0139】
ガイド部材41は、例えば金属製の板金を用いることができる。また、導電性弾性層42には実施例1で説明した導電剤を含む導電性のゴム弾性層を用いることができる。この導電性弾性層42上の表面処理層43は、実施例1で説明した表面処理液を用いて形成させることができる。また、この表面処理層43は、導電性弾性層42の表面全体に設けられる形態としても良いし、導電性弾性層42が感光ドラム1と接触する部分のみに設けられる形態としても良い。
【0140】
以下に説明する実施例では、実施例1と同様に、主成分としてクロロピレンゴムを使用し、ブレンドする添加剤の配合比を変えて導電性弾性層42を作製した。また、導電性弾性層42の表面処理は、条件に応じて組成比を変えた表面処理液を使用して行った。
【0141】
ガイド部材41には、厚さ0.5mmの252.0×5.0mmのSUM材に無電解ニッケル鍍金した金属板を使用した。また、導電性弾性層42は、層厚を2.0mmとし、224.0×10.0mmの短冊状とした。さらに、調整した導電性弾性層42をガイド部材41に接着剤を用いて接着し固定した。
【0142】
作製した帯電ブレード40については、以下に説明する(3)物性測定を行った。
(3)物性測定
物性測定は、作製した帯電ブレード40をそのまま使用して測定を行った。以下にその測定方法を説明する。
【0143】
(3−1)抵抗値測定(抵抗ムラ)
抵抗値測定には、ハイレジスタンスメータ4339B(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。図9に示すように、帯電ブレード40に、幅2.0mm、直径6.0mmのSUS材のベアリング45を20gfの力で当接させ、ガイド部材41とベアリング間との抵抗値を測定した。両端の2mmを除く帯電ブレード40の感光ドラム1との接触部をベアリング45を長手方向に移動させながら、1.0mm毎に合計220ポイントの抵抗値を測定した。このときの平均抵抗値を帯電ブレード40の抵抗値とし、最大抵抗値を最小抵抗値で除した値を抵抗ムラとした。なお、測定時のガイド部材41への印加電圧は300Vとした。
【0144】
(3−2)硬さ(度)測定
導電性弾性層42の硬さ測定は、マイクロゴム硬度計MD−1 CapaタイプA(高分子計器社製)を使用して、帯電ブレード40の感光ドラム1との接触面の硬さを測定した。
【0145】
(3−3)表面粗さ(最大高さRy)測定
導電性弾性層42の表面粗さ測定は、実施例1と同様に行った。
【0146】
[実施例2−1]
実施例2−1の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を25重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0147】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.2×10Ωであり、抵抗ムラは1.7倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、4.4×10Ωであり、抵抗ムラは4.2倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは71度であり、表面粗さの最大高さRyは7.9μmであった。
【0148】
[実施例2−2]
実施例2−2の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を25重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0149】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において5.6×10Ωであり、抵抗ムラは1.6倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、6.1×10Ωであり、抵抗ムラは4.3倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは61度であり、表面粗さの最大高さRyは6.9μmであった。
【0150】
[実施例2−3]
実施例2−1の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部、ポリカーボネート系ポリオール5重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0151】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.1×10Ωであり、抵抗ムラは1.8倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、4.9×10Ωであり、抵抗ムラは5.1倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは72度であり、表面粗さの最大高さRyは7.5μmであった。
【0152】
[実施例2−4]
実施例2−4の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を12.5重量部、ポリカーボネート系ポリオール12.5重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0153】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において4.9×10Ωであり、抵抗ムラは2.0倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、6.5×10Ωであり、抵抗ムラは6.7倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは73度であり、表面粗さの最大高さRyは7.3μmであった。
【0154】
[実施例2−5]
実施例2−5の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を20重量部、シリコーンジオール5重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、シリコーンジオールは、分子量Mwでおよそ1000のものを使用した。
【0155】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において3.4×10Ωであり、抵抗ムラは1.4倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、4.3×10Ωであり、抵抗ムラは3.9倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは70度であり、表面粗さの最大高さRyは6.8μmであった。
【0156】
[比較例2−1]
比較例2−1の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を200重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、イソシアネート化合物(HDI)を25重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、イソシアネート化合物は、分子量Mwでおよそ800のものを使用した。
【0157】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において1.4×10Ωであり、抵抗ムラは1.3倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、26.9×10Ωであり、抵抗ムラは2.6倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは61度であり、表面粗さの最大高さRyは10.1μmであった。
【0158】
[比較例2−2]
比較例2−2の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。比較例2−2の導電性弾性層42の表面処理は行わなかった。
【0159】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において2.1×10Ωであり、抵抗ムラは1.2倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、1.9×10Ωであり、抵抗ムラは1.8倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは68度であり、表面粗さの最大高さRyは8.2μmであった。
【0160】
[比較例2−3]
比較例2−3の帯電ブレード40においては、まず、クロロプレンゴム(CR)100重量部に対し、エピクロルヒドリンゴム(ECO)を50重量部、その他に導電剤としてカーボンブラック、加硫剤等を適量添加後、混練りし、短冊状に押出し成型した。150℃,1時間で蒸気加硫した後、さらに150℃,1時間間で二次加硫を行った。室温まで冷却した後、研磨することで層厚2.0mm,224.0×10.0mmの導電性弾性層42を得た。表面処理液には、酢酸エチル100重量部に対し、ポリカーボネート系ポリオールを25重量部混合したものを使用した。この表面処理液に導電性弾性層12を2分間浸漬させ、120℃,1時間加熱することにより、表面処理層43を得た。導電性弾性層42を浸漬させる際の表面処理液の温度は、常に23±2℃に維持した。また、ポリカーボネート系ポリオールは、分子量Mwでおよそ900のものを使用した。
【0161】
このようにして得られた帯電ブレード42の抵抗値は、28℃,80%RH環境下において6.3×10Ωであり、抵抗ムラは2.1倍であった。また、10℃,20%RH環境下における抵抗値は、19.2×10Ωであり、抵抗ムラは13.1倍であった。さらに、帯電ブレード40の硬さは74度であり、表面粗さの最大高さRyは7.3μmであった。
【0162】
実施例及び比較例で作製した帯電ブレード40をプリンタ100に組み込んで、(4)評価試験を行った。以下にその評価方法を説明する。
【0163】
(4)評価試験
評価試験にかかる印刷は、実施例1で説明した試験と同様に行った。
【0164】
(4−1)長期保存評価試験(感光ドラム1の汚染性)
長期保存評価試験では帯電ブレード40を感光ドラム1の外周表面に押し付けた状態で長期保存後の感光ドラム1の汚染性の評価を行った。具体的には、感光ドラム1の外周表面において、帯電ブレード40が一定の圧力をもって当接するように、線圧40gfの圧力で押し付けた状態で、720時間(およそ1ヶ月)保存した。このときの保存環境は、50℃,90%RH、50℃,55%RH、及び45℃90%RHの3環境である。長期保存後、試験した感光ドラム1及び帯電ローラ2をプリンタ100に組み込み、30%カバレッジの濃度で印刷を行った。ここで、帯電ローラ2周期での横スジ状の濃度段差について、横スジ発生部以外(すなわち、正常な画像部分)の濃度に対して、横スジ部分の濃度が80%以上である場合を○、80%未満である場合を×とした。これらの濃度測定には、濃度計X−Rite504(日本平板社製)を使用した。
【0165】
濃度測定の結果、3環境下全てで○であったものを◎、50℃,90%RHの環境下で×であるが、50℃,55%RH、45℃,90%RHの環境下で○であるものを○、50℃,55%RH、45℃,90%RHの何れかの環境下で×であるものを×とした。ここで、50℃,55%RH、45℃,90%RHの環境下で○であれば、通常使用には問題はないので、50℃,90%RHの環境下で×であっても、評価としては○とした。また、50℃,90%RHの環境下で○のものは、特に長期保存に優れているので◎とした。
【0166】
(4−2)画像評価試験(濃度ムラ)
画像評価試験は、実施例1で説明した試験と同様に行った。
【0167】
(4−3)ピンホールリーク評価試験
ピンホールリーク評価試験は、感光ドラム1の外周表面にΦ0.3.0mmの傷を導電性支持体に達するまで付け、(4−2)画像評価試験を行った。
【0168】
(4−4)連続印刷評価試験
連続印刷評価試験は、印字媒体としてA4半紙(エクセレントホワイト:沖データ社製)の縦送りで行い、画像評価に用いた画像は、30%カバレッジを使用した。これを連続して1000枚、及び5000枚印刷した後に上述した(4−2)画像評価試験を行った。
【0169】
上記長期保存評価試験における3環境下における評価を下記表3に示した。また、上記評価方法における評価を下記表4に示した。
【0170】
【表3】

【0171】
【表4】

【0172】
表3及び表4に示すように、実施例2−1,2−2,2−3,2−4,2−5の帯電ブレード40においては、概ね良好な結果を得ることができた。実施例2−1,2−2,及び実施例2−5については、表3に示すように、50℃,90%RH環境下における評価は×であったが、50℃,55%RH、45℃,90%RHの両環境下においては、○であり、通常使用には全く問題ないレベルであった。また、イソシアネート化合物を含有する表面処理液で処理することにより、導電性弾性層42の表面を硬化させ、耐久性を向上させることができる。さらに、表面処理液にポリカーボネート系ポリオールを添加することにより、50℃,90%RH環境下における長期保存特性をさらに向上させることが可能であることが明らかとなった(実施例2−3及び2−4)。
【0173】
また、実施例2−1,2−2,2−3,2−4,2−5の帯電ブレード42は、低温低湿(LL)環境下及び高温高湿(HH)環境下において、所定の抵抗特性を示し、その抵抗値間には大きな差がない。この結果は、本実施例にかかる帯電ローラ2は、異なる環境下であっても安定した抵抗特性を発揮し、画像ムラの発生を防止することが可能であることを示している。
【0174】
比較例2−1,2−2,2−3の帯電ブレード40では、表3に示すように、長期保存評価試験において、画像不良が発生した。比較例2−1における画像不良の原因は、高温高湿(HH)環境下におけるピンホールリークによるものである。これは、高温高湿(HH)環境下において、抵抗が低くなりすぎることによるものだと考えられる。仮に、高温高湿(HH)環境下において、抵抗が低くならないように加える導電剤の量を少なくしたとしても、低温低湿(LL)環境下においては抵抗が高くなりすぎて、正常な帯電が出来なくなる恐れがある。
【0175】
比較例2−2における画像不良の原因は、感光ドラム1の汚染によるものである。比較例2−2の帯電ブレード40にかかる帯電性弾性層42には表面処理液による表面処理が施されていない。したがって、帯電性弾性層42の表面が直接感光ドラム1の外周表面に接触することになる。クロロプレンゴムは、接着性が大きく、帯電性弾性層42の表面を処理していない状態では、帯電性弾性層42は感光ドラム1の外周表面に張り付いてしまう。また、帯電性弾性層42の表面が表面処理されていないことで、帯電性弾性層42に含まれる一部の物質が帯電性弾性層42の表面に浮き出てしまい、その結果、感光ドラム1を汚染する。比較例2−3の結果は、表面処理液による帯電性弾性層42の表面処理が重要であることを裏付ける結果である。また、これ以外にも比較例2−2の帯電ブレード40には、低温低湿(LL)環境下においてピンホールリークが確認された。
【0176】
比較例2−3における画像不良の原因は、低温低湿(LL)環境下における濃度ムラである。この原因としては、表面処理液にイソシアネート化合物が含有されていないため、帯電性弾性層42内部に表面処理液が浸透せず、帯電性弾性層42表面上にポリカーボネート系ポリオールが残存したためだと考えられる。ポリカーボネート系ポリオールが帯電性弾性層42表面上に残存すると、低温低湿(LL)環境下において、帯電性弾性層42の表面上の抵抗が大きくなり、抵抗ムラが増加する。その結果、濃度ムラが発生し画像不良となったと考えられる。
【0177】
以上の結果より、クロロプレンゴムを主成分とし、(エピクロルヒドリンゴム又はエチレンプロピレンジエンゴムを含有した)導電性弾性層42の表面をイソシアネートを含有した表面処理液で処理することにより、長期保存した場合においても、ブルームまたはブリードの発生を防止し、安定した導電特性を有する弾性層を備えた帯電ブレード42を提供することができる。
【0178】
本発明においては、感光体ドラムと対向する部分について着目したので、導電性弾性層全体がクロロプレンゴムを主成分とする層でなくても、導電性弾性層の最外層、すなわち、導電性弾性層で感光体ドラムに最も近い層がクロロプレンゴムを主成分とする層であれば良い。そのため、導電性弾性層42の最外層、すなわち、導電性弾性層で感光体ドラムに最も近い層がクロロプレンゴムを主成分として他のゴムがブレンドされたゴム材が用いられる層であれば良い。そして、当該最外層、すなわち、導電性弾性層の表面に表面処理層43が設けられる形態であっても構わない。
【0179】
尚、本発明の帯電装置、画像形成ユニットおよび画像形成装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】プリンタ100の概略構成図である。
【図2】画像形成ユニット20の概略構成図である。
【図3】帯電装置3の概略構成図である。
【図4】帯電ローラ2を説明する図である。
【図5】帯電ローラ2を説明する図である。
【図6】抵抗値測定を説明する図である。
【図7】帯電装置3の概略構成図である。
【図8】帯電ブレード40を説明する図である。
【図9】抵抗値測定を説明する図である。
【符号の説明】
【0181】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 帯電装置
4 現像装置
5 現像剤
6 現像剤ボックス
7 現像ローラ
8 クリーニング装置
9 クリーニングブレード
10 廃現像剤タンク
11 芯金
12 導電性弾性層
13 表面処理層
14a 帯電装置電源
14b 帯電装置電源
20 画像形成ユニット
21 露光装置
22 転写装置
23 定着装置
24 用紙
25 給紙ローラ
26a 搬送ガイド
26b 搬送ガイド
27 搬送ローラ
28 排出ローラ
29 スタッカー
30 ハイレジスタンスメータ
31 ベアリング
40 帯電ブレード
41 ガイド部材
42 導電性弾性層
43 表面処理層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の金属体と、
前記金属体上に形成された弾性層と、
前記金属体に接続され、前記金属体に電圧を印加する電源供給部とを備え、
前記弾性層の少なくとも最外層はクロロプレンゴムを主体とする層であって、
前記弾性層はイソシアネートを含有する処理液で処理された表面を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記最外層はエピクロルヒドリンゴムを含有することを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記最外層はエチレンプロピレンジエンゴムを含有することを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項4】
前記弾性層はカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の帯電装置。
【請求項5】
前記処理液はポリカーボネート系ポリオールを含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の帯電装置。
【請求項6】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に接触して設けられ、前記像担持体を帯電させる帯電部材とを備えた画像形成ユニットであって、
前記帯電部材は、
導電性の金属体と、
前記金属体上に形成され、表面がイソシアネートを含有する処理液で処理され、かつ、少なくとも最外層はクロロプレンゴムを主体とする弾性層とを備えることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項7】
前記最外層はエピクロルヒドリンゴムを含有することを特徴とする請求項6記載の画像形成ユニット。
【請求項8】
前記最外層はエチレンプロピレンジエンゴムを含有することを特徴とする請求項6記載の画像形成ユニット。
【請求項9】
前記弾性層はカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の画像形成ユニット。
【請求項10】
前記処理液は、ポリカーボネート系ポリオールを含有することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の画像形成ユニット。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れかに記載の画像形成ユニットを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−223214(P2009−223214A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70093(P2008−70093)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】