説明

帯電装置および画像形成装置

【課題】クリーニングパッドをチャージワイヤに対して往復移動させる際の駆動モータの負荷を一定にすることができる帯電装置を提供する。
【解決手段】チャージワイヤ102は、一端にスプリング109を有し、帯電装置19に張架されている。クリーニングパッド111,111’は、支持軸114から回転力を受けてチャージワイヤ102に圧接し、チャージワイヤ102に対して摺動することでチャージワイヤ102をクリーニングする。駆動モータ120は、クリーニングパッド111,111’をチャージワイヤ102に対して平行に往復移動させる。レバー押圧部106,107は、クリーニングパッド111,111’をチャージワイヤ102に対して平行に往復移動させるときの移動方向に応じてクリーニングパッド111,111’によるチャージワイヤ102への摩擦力を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体の表面に静電潜像を形成させる帯電装置およびこの帯電装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FAX、プリンタ、複写機などの画像形成装置では、その表面が一様に帯電された感光体ドラムなどの像担持体の表面を露光することによって静電潜像を形成し、その静電潜像を現像することによって可視化し、可視化した画像を記録紙などに転写して定着することで記録画像を得ている。
【0003】
このような画像形成装置では、露光前の像担持体を帯電するために、放電用電極としてチャージワイヤを備えた帯電装置が一般的に用いられている。
【0004】
そしてこの帯電装置には、使用によって経時的に汚れてくるチャージワイヤを清掃するためのチャージワイヤ清掃装置が設けられている。チャージワイヤ清掃装置としては、クリーニングパッドなどのクリーニング手段を支持する支持体を往復移動させてチャージワイヤに摺動させることにより、チャージワイヤの清掃を行う構成のものが知られている。
【0005】
帯電装置におけるチャージワイヤは、その一端部に弾性部材(スプリング)を設け、一定のテンションがかかるようにして固定されているため、放電を均一化でき、良質な画像を形成することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−293014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているように、帯電装置におけるチャージワイヤは、その一端部に弾性部材を設け、一定のテンションがかかるようにして固定されているため、クリーニングパッドをチャージワイヤに対して平行に往復移動させた場合、クリーニングパッドをスプリングが設けられている方向へ移動させる場合はクリーニングパッドを移動させる駆動手段の負荷トルクは少なくて済むが、クリーニングパッドをスプリングが設けられている方向と逆の方向へ移動させる場合は駆動手段の負荷トルクが大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記課題に鑑み、クリーニング手段をチャージワイヤに対して往復移動させる際の駆動手段の負荷トルクを一定にすることができる帯電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の帯電装置は、チャージワイヤ、クリーニング手段、駆動手段および切換手段を備える。
【0009】
チャージワイヤは、一端に弾性部材を有し、帯電装置本体に張架されている。クリーニング手段は、回動支点から回転力を受けてチャージワイヤに圧接し、チャージワイヤに対して摺動することでチャージワイヤをクリーニングする。駆動手段は、クリーニング手段をチャージワイヤに対して平行に往復移動させる。切換手段は、クリーニング手段をチャージワイヤに対して平行に往復移動させるときの移動方向に応じてクリーニング手段によるチャージワイヤへの摩擦力を切り換える。
【0010】
この構成では、クリーニング手段が弾性部材の弾性力に逆らう方向に摺動する場合と弾性部材の弾性力に従う方向に摺動する場合とでは駆動手段にかかる負荷トルクが異なる。そこで、切換手段によりクリーニング手段のチャージワイヤへの摩擦力を切り換えることでクリーニング手段の摺動方向にかかわらず駆動手段にかかる負荷トルクを一定にすることができる。したがって、駆動手段に過度な負荷がかからず、駆動手段のコストダウンおよび消費電力の削減を行える。
【0011】
クリーニング手段は、回動支点からの距離を複数の距離の中から選択でき、切換手段は、クリーニング手段の回動支点からの距離を変更することでチャージワイヤに対するクリーニング手段の接触圧を切り換え、それにより摩擦力を切り換えると好ましい。
【0012】
この構成では、切換手段によってクリーニング手段の回動支点からの距離を変更することでチャージワイヤに対するクリーニング手段の接触圧が切り換わり、結果としてクリーニング手段のチャージワイヤへの摩擦力が切り換わる。
【0013】
クリーニング手段は、チャージワイヤに直交する方向においてチャージワイヤに対する接触面積が異なり、切換手段は、クリーニング手段をチャージワイヤに直交する方向にシフトさせることでチャージワイヤに対するクリーニング手段の接触面積を切り換え、それにより摩擦力を切り換えると好ましい。
【0014】
この構成では、切換手段によってクリーニング手段のチャージワイヤに対する接触面積を切り換えることができ、結果としてクリーニング手段のチャージワイヤへの摩擦力が切り換わる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、感光体、感光体の表面に静電潜像を形成する露光装置、感光体の表面に形成された静電潜像を顕像化する現像装置および本発明の帯電装置を備える。
【0016】
この構成では、本発明の帯電装置における駆動手段に過度な負荷がかからないようにすることで、駆動手段のコストダウンおよび消費電力の削減を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における帯電装置は、クリーニング手段をチャージワイヤに対して往復移動させる際の駆動手段の負荷トルクを一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の実施形態に係る帯電装置およびこの帯電装置を備える画像形成装置を、図面を参照にしつつ詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る帯電装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。
【0020】
画像形成装置11は、外部から受け取った画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)にモノクロ画像を形成するものである。
【0021】
画像形成装置11は、露光装置13、現像装置15、感光体ドラム17、本発明に係る帯電装置19、クリーナユニット21、定着ユニット23、給紙トレイ25、排紙トレイ33が備えられている。また給紙トレイ25から上方に延びる給紙搬送路27と、給紙搬送路27の終端から排紙トレイ33に用紙を搬送するための用紙搬送路31とが備えられる。用紙搬送路31を搬送される用紙は、レジストローラ29、転写ベルト45および定着ユニット23を経て排紙トレイ33に排紙される。
【0022】
帯電装置19は、感光体ドラム17の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、放電電極としてチャージワイヤを備えたチャージャ型の帯電装置が用いられる。このチャージワイヤを清掃するために、チャージワイヤ清掃装置が備えられる。
【0023】
露光装置13は、レーザ照射部35および反射ミラー37を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いている。またこの他、露光装置13として、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法もある。
【0024】
さらに画像形成装置11は、高速印字処理を行うために複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減するために2ビーム手法を採用している。そして帯電装置19によって均一に帯電された感光体ドラム17を、入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム17の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。感光体ドラム17は静電潜像による画像を担持する像担持体である。
【0025】
現像装置15は、感光体ドラム17上に形成された静電潜像をトナーで顕像化するものである。クリーナユニット21は、現像・画像転写後における感光体ドラム17上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
【0026】
前述のようにして感光体ドラム17上で顕像化されたトナーは、用紙搬送路31を搬送される用紙上に転写される。このための転写機構39(転写ベルト45によるユニット)は、トナーが有する電荷の逆極性の電界を印加して、用紙上にトナーを転写するための機構である。例えば、静電像が(−)極性の電荷を有しているときは、転写機構39への印加極性は(+)極性となる。
【0027】
画像形成装置11の転写機構39は、駆動ローラ41、従動ローラ43および他のローラで架橋され、所定の抵抗値(1×10〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト45を備えている。また感光体ドラム17と転写ベルト45との接触部47には、駆動ローラ41や従動ローラ43とは別に、転写ベルト45に対して転写電界を印加しうる弾性導電性ローラ49が配置されている。弾性導電性ローラ49は弾性を有する。これによって、感光体ドラム17と転写ベルト45とは、線接触でなく、互いが所定の幅(転写ニップ部と呼ばれる)を有して面接触する。これによって搬送される用紙への転写効率の向上が図られる。
【0028】
さらに転写ベルト45の転写領域の下流側には、接触部47を通過する際に印加された電圧により帯電した用紙を除去し、次工程への搬送をスムーズに行うための除電ローラ51が配置されている。除電ローラ51は、転写ベルト45の背面に配置されている。
【0029】
さらに転写機構39には、転写ベルト45のトナー汚れを除去するクリーニングユニット53と、転写ベルト45の除電を行う除電機構55とが配置されている。除電機構55は、画像形成装置11を介して接地する手法、もしくは積極的に前記転写電界の極性とは逆極性を印加する手法がある。転写機構39で用紙上に転写されたトナーは、定着ユニット23に搬送される。
【0030】
定着ユニット23は、加熱ローラ57と加圧ローラ59とを備え、加熱ローラ57の外周部には用紙剥離爪61、ローラ表面温度検出部材(サーミスタ)63、ローラ表面クリーニング部材65が配置される。また、加熱ローラ57の内周部には、その表面を所定温度(定着設定温度:概ね160℃〜200℃)に加熱するための熱源67が配置されている。
【0031】
他方、加圧ローラ59の両端部には、加熱ローラ57に対し所定圧量で加圧ローラ59が圧接することが可能な加圧部材が配置され、さらに加圧ローラ59の外周には、加熱ローラ57の外周と同様に用紙剥離爪61とローラ表面クリーニング部材65とが配置されている。
【0032】
定着ユニット23は、加熱ローラ57と加圧ローラ59の圧接部(定着ニップ部)において、搬送される用紙上の未定着トナーを加熱ローラ57表面の温度で加熱して溶融させ、かつ、加圧ローラ59による圧接力で用紙上の未定着トナーを投鋲作用で用紙上に定着させる。
【0033】
給紙トレイ25は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置11では、画像形成部の下側および側壁面に設けられている。画像形成装置11は、高速印字処理を行うことを目的とするため、画像形成部の下方に配置される給紙トレイ25として、定型サイズを各々のトレイに500枚〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ25が配置されている。他方、画像形成装置11の側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット(LCC)73ならびに主として不定型サイズの印字等に用いる手差しトレイ75が配置されている。
【0034】
排紙トレイ33は、画像形成装置11の手差しトレイ75とは反対側の側面に配置されているが、排紙トレイ33に変わって、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等)、複数段排紙トレイ33をオプションとして配置することも可能な構成となっている。
【0035】
そして、画像形成装置11は、図示しない制御部を備える。制御部は、画像形成装置11の動作を制御するものであり、たとえばマイクロコンピュータとそのマイクロコンピュータが実行する処理の手順である制御プログラムを格納するROM、作業用のワークエリアを提供するRAM、制御に必要なデータをバックアップして保持する不揮発性メモリ、センサーやスイッチからの入力信号が接続され、入力バッファやA/D変換回路を含む入力回路、モータやソレノイド、ランプなどの負荷を駆動するためのドライバを含む出力回路などから構成される。
【0036】
画像形成装置11の処理モードに対応する用紙搬送工程を説明する。制御部のマイクロコンピュータにより、印字要求に適合する用紙は、複数の給紙トレイ25の中から選択され、レジストローラ29まで搬送され一旦停止する。
【0037】
マイクロコンピュータは、用紙の先端と感光体ドラム17上の画像情報を合致させるタイミングでレジストローラ29を再回転させ、これによって用紙が転写機構39に搬送される。転写機構39では、用紙上に画像情報に対応するトナーが転写され、その後用紙が定着ユニット23へ導かれてトナーが用紙上に固着される。さらにその後、用紙は排紙トレイ33に排出される。
【0038】
マイクロコンピュータは、印字のモード(コピアモード、プリンタモードもしくはFAXモード等)、および印字処理手法(片面印字または両面印字等)に応じて、定着ユニット23以降から排紙トレイ33までの搬送方向を制御する。通常コピアモードでは、ユーザが画像形成装置11の近傍で操作を行うことから、印字面を上側にして排出するように用紙搬送制御することが多い。これは、フェースアップ排出と呼ばれる。一方、プリンタ、FAXの各モードでは、ユーザが画像形成装置11の近傍にいないことから、排出用紙のページ順を揃えるフェースダウン排出手法が多く用いられている。
【0039】
したがって、画像形成装置11では、印字のモードに応じてフェースアップ排出とフェースダウン排出とを切り換え得る機構を有している。この機構は、定着ユニット23を通過した用紙が排出トレイ33に排出されるまでの間に、複数の搬送路と複数の分岐爪を配置し、これによって印字モードに応じた用紙排出を行うように構成されている。
【0040】
図2は、本発明の前提となる帯電装置(基本帯電装置と称する。)の構成を示す図である。後述のように、本発明の実施形態に係る帯電装置は、この基本帯電装置の構造に基づいて構成される。以下、本発明の前提となる基本帯電装置も、基本構造がそれと同じである本発明の実施形態に係る帯電装置も、説明上、符号が同一の帯電装置19とする。帯電装置19を構成する部品についても、基本帯電装置および本発明の実施形態に係る帯電装置において、同じ符号を使うこととする。
【0041】
上述したように、画像形成装置11には、像担持体である感光体ドラム17の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電装置19が備えられる。帯電装置19は、放電電極であるチャージワイヤ102に高電圧を印加してコロナ放電させることにより、感光体ドラム17を帯電させるチャージャ型の帯電装置である。ここでは帯電装置19が、感光体ドラム17の近傍に固定配置される。
【0042】
図2(A)において、帯電装置19には、チャージワイヤ102に対して摺動することによりチャージワイヤ102の清掃を行うクリーニングパッド111を備えたスライダ101と、スライダ101をチャージワイヤ102に平行に往復移動させるスクリューシャフト103とを備えている。クリーニングパッド111は、本発明のクリーニング手段に相当する。
【0043】
本実施形態では、放電電極であるチャージワイヤ102が2本設けられる。これらのチャージワイヤ102は一端にスプリング109を設け、MCホルダー104,105に張架されて、高電圧が印加されるようになっている。スプリング109は、本発明の弾性部材に相当する。
【0044】
またスライダ101は、スクリューシャフト103のスクリュー溝に係合し、スクリューシャフト103の回動に応じて、矢印M方向に往復移動できるようになっている。図2(B)に示すように、スクリューシャフト103のギア91が帯電装置19本体に設けられる駆動モータ120のギア92と噛合し、スクリューシャフト103は、駆動モータ120によって正逆に回動可能に制御される。駆動モータ120は、本発明の駆動手段に相当する。
【0045】
矢印M方向は、チャージワイヤ102が張架された方向であって、感光体ドラム17の軸方向に一致する方向である。これによりチャージャワイヤ102は、感光体ドラム17の表面に平行に配置される。また矢印M方向は、感光体ドラム17を走査する走査光の主走査方向でもある。
【0046】
そしてスライダ101が往復動作を行うことによって、スライダ101に取り付けられたクリーニングパッド111がチャージワイヤ102を摺動し、チャージワイヤ102の清掃を行う。スライダ101の往復移動動作は、帯電装置19のウォームアップ時に実行される。
【0047】
図3は、本発明の前提となる帯電装置のスライダの構成を示す図である。
【0048】
図3は、スライダ101を図2(A)における矢印P方向から見た図である。スライダ101には、チャージワイヤ102を清掃するためのクリーニングパッド111が設けられている。クリーニングパッド111は、1本のチャージワイヤ102に対して2つ設けられ、チャージワイヤ102の2箇所で接触するようになっている。そして2本のチャージワイヤ102に対してそれぞれ2つのクリーニングパッド111が接触するため、スライダ101には、合計4つのクリーニングパッド111が接触することになる。
【0049】
スライダ101は、スクリューシャフト103に係合し、スクリューシャフト103の回動動作に応じて往復移動を行うベース部112と、ベース部112に対して回動可能に軸支されたヘッド部113とからなっている。ここではヘッド部113には支持軸114が備えられる。支持軸114は、本発明の回動支点に相当する。支持軸114は、ヘッド部113を図示時計回りに回動させるスプリング等の回動部材が内蔵されている。その結果、ヘッド部113は回動部材から回転力を受け、一方のクリーニングパッド111は矢印R方向にチャージワイヤ102に圧接し、他方のクリーニングパッド111は矢印S方向にチャージワイヤ102に圧接する。
【0050】
クリーニングパッド111によってチャージワイヤ102をどのように清掃するかを説明する。1本のチャージワイヤ102に接触する2つのクリーニングパッド111は、互いに離間した位置で、チャージワイヤ102の上下からチャージワイヤ102を挟むような形態で接触するようになっている。つまり2つのクリーニングパッド111のうち、一方のクリーニングパッド111は、チャージワイヤ102に対して一方の側から接触し、他方のクリーニングパッド111は、チャージワイヤ102に対してその反対側から接触するように配置されている。
【0051】
このときクリーニングパッド111は、チャージワイヤ102に圧接された状態となる。そしてスクリューシャフト103を回動させてスライダ101を往復動作させることにより、チャージワイヤ102を清掃できるようになっている。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係る帯電装置の概略構成図および同帯電装置に使用される切換手段による切換機構を示す図である。切換機構は、クリーニングパッドの切り換えを行う。
【0053】
上述したように、本発明の実施形態に係る帯電装置は、図2および図3に示す基本帯電装置の基本構造を採用している。以下、この実施形態に係る帯電装置について説明する。
【0054】
ヘッド部113の先端部110には2つのクリーニングパッド(第1のクリーニングパッド111と第2のクリーニングパッド111’)が取り付けられている。また、先端部110は、クリーニングパッド111,111’を切り換えるために回転可能となっている。先端部110が回転することにより、クリーニングパッド111,111’と支点114’との距離が変わる。したがって、クリーニングパッド111,111’は支点114’からの距離を複数選択(本実施形態では2通り)できる。なお、支点114’とは、図3の支持軸114の作用によってチャージワイヤ102上に想定される、クリーニングパッド111,111’の回転中心位置(回転モーメント力中心位置)を示している。
【0055】
図4(A)は、スライダ101がMCホルダー105からMCホルダー104に向かう方向、つまり矢印V方向に動作している図である。スライダ101が矢印V方向に動作すると同時に第1のクリーニングパッド111がチャージワイヤ102に摺動するが、チャージワイヤ102に設けられたスプリング109の弾性力に逆らう方向にスライダ101が動作することとなり、第1のクリーニングパッド111とチャージワイヤ102との間には大きな摩擦力が生じる。そのため、スライダ101が矢印V方向に動作する場合には、支点114’からの距離を大きくとって第1のクリーニングパッド111のチャージワイヤ102に対する接触圧を減少し、第1のクリーニングパッド111とチャージワイヤ102との間の摩擦力を低減している。つまり、支点114’は一定のモーメントを有しており、支点114’からの距離を大きくとることで第1のクリーニングパッド111のチャージワイヤ102に対する接触圧が減少される。こうすることで、スライダ101を動作させる際に生じる駆動モータ120の負荷トルクを低減させることができる。
【0056】
図4(B)は、スライダ101がMCホルダー104の近傍まで到達したときの図である。先端部110は、レバー108が押圧されることで回転可能となっている。先端部110は、回転することによって先端部110に取り付けられた2つのクリーニングパッド111,111’がチャージワイヤ102に圧接するそれぞれの位置をとることが可能であり、レバー108が所定の方向(図4(A)における矢印T方向)に押圧されない限りその位置で固定される。MCホルダー104は、チャージワイヤ102の平行方向において突出したレバー押圧部106を設けている。レバー押圧部106は、本発明の切換手段に相当する。レバー押圧部106は、MCホルダー104に固定された固定部材である。スライダ101がMCホルダー104に到達する手前でスライダ101が矢印V方向に動作することによって、レバー108がレバー押圧部106に押圧されて先端部110が矢印T方向に回転し、チャージワイヤ102に接触するクリーニングパッドが111から111’に切り換わる。図4(B)における第2のクリーニングパッド111’の支点114’からの距離は、図4(A)における場合よりも小さくなっている。第2のクリーニングパッド111’と支点114’との距離は相対的に小さいから、第2のクリーニングパッド111’のチャージワイヤ102に対する接触圧が増加し、第2のクリーニングパッド111’とチャージワイヤ102との間の摩擦力を増加している。この原理は、上述したモーメントによるものである。したがって、第1のクリーニングパッド111から支点114’までの距離と、第2のクリーニングパッド111’から支点114’までの距離とを適切に設定することにより、スライダ101がMCホルダー105からMCホルダー104に向かう方向である矢印V方向に動作する場合とスライダ101がMCホルダー104からMCホルダー105に向かう方向である矢印W方向に動作する場合との駆動モータ120の負荷トルクを一定にすることができる。
【0057】
図5は、本発明の実施形態に係る帯電装置の切換手段の切換機構を示す図である。
【0058】
図5は、スライダ101を図2(A)における矢印Q方向から見た図である。図5では、帯電装置19の主要部分のみを示す。ヘッド部113の先端部110には2つのクリーニングパッド111,111’が取り付けられている。また、先端部110は、クリーニングパッド111,111’を切り換えるために回転可能となっている。先端部110が回転することにより、クリーニングパッド111,111’と支点114’との距離が変わる。したがって、クリーニングパッド111,111’は支点114’からの距離を複数選択(本実施形態では2通り)できる。
【0059】
図5(A)は、スライダ101がMCホルダー104からMCホルダー105に向かう方向、つまり矢印W方向に動作している図である。スライダ101が矢印W方向に動作すると同時に第2のクリーニングパッド111’がチャージワイヤ102に摺動するが、チャージワイヤ102に設けられたスプリング109の弾性力に従う方向にスライダ101が動作することとなり、第2のクリーニングパッド111’とチャージワイヤ102との間にはさほど大きな摩擦力は生じない。そのため、スライダ101が矢印W方向に動作する場合には、支点114’からの距離を小さくとって第2のクリーニングパッド111’のチャージワイヤ102に対する接触圧を増加し、第2のクリーニングパッド111’とチャージワイヤ102との間の摩擦力を増加している。つまり、支点114’は一定のモーメントを有しており、支点114’からの距離を小さくとることで第2のクリーニングパッド111’のチャージワイヤ102に対する接触圧が増加される。こうすることで、第2のクリーニングパッド111’によるチャージワイヤ102の清掃効率を増加させることができる。
【0060】
図5(B)は、スライダ101がMCホルダー105の近傍まで到達したときの図である。先端部110は、レバー108が押圧されることで回転可能となっている。先端部110は、先端部110に取り付けられた2つのクリーニングパッド111,111’がチャージワイヤ102に圧接するそれぞれの位置をとることが可能であり、レバー108が所定の方向(図5(A)における矢印U方向)に押圧されない限りその位置で固定される。MCホルダー104は、チャージワイヤ102の平行方向において突出したレバー押圧部107を設けている。レバー押圧部107は、本発明の切換手段に相当する。レバー押圧部107は、MCホルダー105に固定された固定部材である。スライダ101がMCホルダー105に到達する手前で、スライダ101が矢印W方向に動作することによってレバー108がレバー押圧部107に押圧されて先端部110が矢印U方向に回転し、チャージワイヤ102に接触するクリーニングパッドが111’から111に切り換わる。図5(B)における第1のクリーニングパッド111の支点114’からの距離は、図5(A)における場合よりも大きくなっている。第1のクリーニングパッド111と支点114’との距離は相対的に大きいから、第1のクリーニングパッド111のチャージワイヤ102に対する接触圧が減少し、第1のクリーニングパッド111とチャージワイヤ102との間の摩擦力を低減している。したがって、第1のクリーニングパッド111から支点114’までの距離と、第2のクリーニングパッド111’から支点114’までの距離とを適切に設定することにより、スライダ101がMCホルダー104からMCホルダー105に向かう方向である矢印W方向に動作する場合とスライダ101がMCホルダー105からMCホルダー104に向かう方向である矢印V方向に動作する場合との駆動モータ120の負荷トルクを一定にすることができる。
【0061】
図6は、本発明の第2実施形態に係る帯電装置の切換手段の切換機構を示す図である。
【0062】
図6は、帯電装置19の上面からスライダ119を見た図である。なお、本実施形態における特徴部分を具体的に示すために、チャージワイヤ102の上側におけるヘッド部113を省略している。本実施形態に係るスライダ119には、下方に突設された足部116および足部117が設けられている。また、スライダ119のヘッド部113には、チャージワイヤ102の張架方向と直交する方向においてチャージワイヤ102の張架方向への幅が異なるように設計されたクリーニングパッド118が備えられている。さらに、MCホルダー104には、コの字状のシフト部材123が設けられ、MCホルダー105には、コの字状のシフト部材122が設けられている。シフト部材122,123は、本発明の切換手段に相当する。シフト部材122は、足部116と係合可能であり、シフト部材123は、足部117と係合可能である。
【0063】
図6(A)は、スライダ119が矢印V方向に動作し、MCホルダー104の近傍に到達した図である。クリーニングパッド118は、支点114’のモーメントによってチャージワイヤ102に圧接してスライダ119の動作により摺動するため、スライダ119の矢印V方向への動作は、スプリング109の弾性力に逆らう方向となり、クリーニングパッド118とチャージワイヤ102との間には大きな摩擦力が生じる。そこで本実施形態では、矢印V方向へのスライダ119の動作時においてはクリーニングパッド118のチャージワイヤ102に対する接触面積を少なくしてクリーニングパッド118とチャージワイヤ102との間の摩擦力を低減している。したがって、スライダ119を動作させる際に生じる駆動モータ120の負荷トルクを低減させることができる。
【0064】
スライダ119がMCホルダー104の近傍に到達すると、足部117がシフト部材123と係合し、シフト部材123が矢印X方向に移動することによってスライダ119が矢印X方向にシフトする。したがって、スライダ119が矢印W方向に移動する際には、チャージワイヤ102に対するクリーニングパッド118の接触面積が大きくなる。
【0065】
図6(B)は、スライダ119が矢印W方向に動作し、MCホルダー105の近傍に到達した図である。クリーニングパッド118は、支点114’のモーメントによってチャージワイヤ102に圧接してスライダ119の動作により摺動するため、スライダ119の矢印W方向への動作は、スプリング109の弾性力に従う方向となり、クリーニングパッド118とチャージワイヤ102との間にはさほど大きな摩擦力が生じない。そこで本実施形態では、矢印W方向へのスライダ119の動作時においてはクリーニングパッド118のチャージワイヤ102に対する接触面積を大きくしてクリーニングパッド118とチャージワイヤ102との間の摩擦力を増加している。したがって、クリーニングパッド118の接触面積を適切に設定することにより、スライダ119がMCホルダー105からMCホルダー104に向かう方向である矢印V方向に動作する場合とスライダ101がMCホルダー104からMCホルダー105に向かう方向である矢印W方向に動作する場合との駆動モータ120の負荷トルクを一定にすることができる。
【0066】
スライダ119がMCホルダー105の近傍に到達すると、足部116がシフト部材122と係合し、シフト部材122が矢印Y方向に移動することによってスライダ119が矢印Y方向にシフトする。したがって、スライダ119が矢印V方向に移動する際には、チャージワイヤ102に対するクリーニングパッド118の接触面積が小さくなる。
【0067】
図7は、本発明の第2実施形態に係る帯電装置の構成の一部を示すブロック図である。
【0068】
帯電装置19には、スライダ119の移動時間を計測するタイマ133、シフト部材122をギアなどを介して駆動させるモータ132およびシフト部材123をギアなどを介して駆動させるモータ133ならびにタイマ133による計測結果を反映してモータ132,133に指令をするCPU131が設けられている。
【0069】
スライダ119は、チャージワイヤ102を清掃するためにチャージワイヤ102に対して平行方向に往復移動する。タイマ133は、スライダ119がシフト部材122(123)によってシフトされた後に計測を開始する。そして、スライダ119がチャージワイヤ102の平行方向に移動し、スライダ119の足部117(116)がシフト部材123(122)と係合する見込み時間に到達すると、その情報をCPU131に伝達する。この見込み時間は、予めプログラムされている。CPU131は、タイマ133からの情報を受け取ると、シフト部材123(122)をシフトさせるためのモータ133(132)を駆動する。シフト部材123(122)がシフトすると、CPU131は、タイマ133をリセットする。その後所定時間経過後、CPU131は、シフト部材123(122)を初期位置に戻すためにモータ133(132)を駆動する。
【0070】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係る帯電装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の前提となる帯電装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の前提となる帯電装置のスライダの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る帯電装置の概略構成図および同帯電装置に使用される切換手段による切換機構を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る帯電装置の切換手段の切換機構を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る帯電装置の切換手段の切換機構を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る帯電装置の構成の一部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
11−画像形成装置
13−露光装置
15−現像装置
17−感光体ドラム
19−帯電装置
102−チャージワイヤ
106,107−レバー押圧部
109−スプリング
111,111’,118−クリーニングパッド
114−支持軸
120−駆動モータ
122,123−シフト部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に弾性部材を有し、帯電装置本体に張架されたチャージワイヤと、
回動支点から回転力を受けて前記チャージワイヤに圧接し、前記チャージワイヤに対して摺動することで前記チャージワイヤをクリーニングするクリーニング手段と、
前記クリーニング手段を前記チャージワイヤに対して平行に往復移動させるための駆動手段と、
前記クリーニング手段を前記チャージワイヤに対して平行に往復移動させるときの移動方向に応じて前記クリーニング手段による前記チャージワイヤへの摩擦力を切り換える切換手段と、
を備える帯電装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段は、前記回動支点からの距離を複数の距離の中から選択でき、
前記切換手段は、前記クリーニング手段の前記回動支点からの距離を変更することで前記チャージワイヤに対する前記クリーニング手段の接触圧を切り換え、それにより前記摩擦力を切り換える請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記クリーニング手段は、前記チャージワイヤに直交する方向において前記チャージワイヤに対する接触面積が異なり、
前記切換手段は、前記クリーニング手段を前記チャージワイヤに直交する方向にシフトさせることで前記チャージワイヤに対する前記クリーニング手段の接触面積を切り換え、それにより前記摩擦力を切り換える請求項1に記載の帯電装置。
【請求項4】
感光体と、
前記感光体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体の表面に形成された静電潜像を顕像化する現像装置と、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−72500(P2010−72500A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241927(P2008−241927)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】