説明

帯電部材、並びに、これを用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができると共に、感光体と接触させて保管しても画質欠陥が生じない帯電部材を提供すること。
【解決手段】基材と、該基材上に設けられ且つ被帯電体に接触する最外層とを少なくとも含み、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材において、前記最外層に、下記に示す比表面積およびpHを満たす2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b))が少なくとも含まれることを特徴とする帯電部材。・カーボンブラック(a):比表面積が400m2/g以下、且つ、pHが4.0以下・カーボンブラック(b):比表面積が400m2/gより大きく、且つ、pHが4.0以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、プリンタ等の画像形成装置において、電子写真や静電記録プロセスに用いられる帯電部材並びにこれを用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、像担持体(感光体)上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像してトナー像とする。そして、前記トナー像を、中間転写体を介して、或いは、直接記録材媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得ることができる。
【0003】
上述のように、電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体上に一様な電荷を形成する帯電処理が行われている。このような帯電処理を行う帯電部材の一つして、接触式帯電部材がある。このような接触式帯電部材は、一般的に印加する電流が小さく、非接触式帯電部材であるコロトロンあるいはスコロトロンに比べ、オゾン発生量が非常に少ないという利点がある。
【0004】
接触式帯電部材は、芯材に導電性弾性体層を形成してなるものであり、電子写真装置において感光体に当接され、当該帯電部材と感光体との間に所定の電圧を印加することで、感光体に帯電電位を付与するものである。接触式帯電部材では、感光体を均一に帯電させる均一帯電性能や、感光体にピンホール(小径の穴等の微小な欠陥)が発生したときピンホール部分に電流が集中しないようにする耐リーク性能を両立させるために、半導電領域における精密な抵抗制御が必須となる。
【0005】
接触式帯電部材の抵抗の調節には、従来、高分子中にカーボンブラックや金属酸化物などの導電性粒子を分散させる方法に加えて、抵抗を均一にするために高分子中にイオン導電剤を含有させる方法(特許文献1参照)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴムのような半導電に近い抵抗をした高分子を用いる方法(特許文献2参照)が多用されている。
このような、カーボンブラックや金属酸化物を高分子中に分散した帯電ロールは、帯電性能の環境変動や、長期間使用した場合に帯電性能(抵抗)が低下しにくい性能(帯電維持性能)において優れている。
【0006】
しかし、このタイプの帯電ロールでは、以下に示すような問題が生じる。すなわち、感光体表面を所望の電位に帯電させる帯電能力を向上させるために、帯電ロールの抵抗を低くすると、耐リーク性能の悪化を引き起こすため、帯電能力と耐リーク性能との両立が容易ではない。
【0007】
これに対して、イオン導電剤を高分子中に含有させる方法や半導電に近い抵抗を有する高分子を帯電部材に用いる方法では、帯電能力と耐リーク性能との両立は、導電性粒子を分散させる方法と比較して容易であるが、帯電性能や耐リーク性能の環境による変動が大きい。また、イオン導電剤を使用すると、イオン導電剤のブリードアウトにより感光体を汚染する。
【0008】
また、導電性粒子を分散させた帯電部材は、半導電領域における精密な抵抗制御により帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができても、高温高湿下で、この帯電部材を感光体と接触させた状態で保管すると、帯電部材の微小領域において導電性粒子の分散状態に変化が生じ、感光体と接触している部分の抵抗が上昇することがある。このような帯電部材表面の部分的な抵抗値の上昇により、ロール状の帯電部材を用いて画像を形成した場合には、帯電部材の軸方向の部分的な抵抗値の上昇に対応したスジ状の画質欠陥が生じる。
【特許文献1】特開平2−198470号公報
【特許文献2】特開平1−142569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができると共に、感光体と接触させて保管しても画質欠陥が生じない帯電部材、並びに、これを用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
基材と、該基材上に設けられ且つ被帯電体に接触する最外層とを少なくとも含み、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材において、
前記最外層に、下記に示す比表面積およびpHを満たす2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b))が少なくとも含まれることを特徴とする帯電部材である。
・カーボンブラック(a):比表面積が400m2/g以下、且つ、pHが4.0以下
・カーボンブラック(b):比表面積が400m2/gより大きく、且つ、pHが4.0以下
【0011】
<2>
前記最外層に含まれる前記カーボンブラック(a)と前記カーボンブラック(b)との含有比率(カーボンブラック(a)/カーボンブラック(b))が、1/9〜9/1の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の帯電部材である。
【0012】
<3>
前記カーボンブラック(a)のDBP吸油量が120ml/100g以下、かつ、前記カーボンブラック(b)のDBP吸油量が120ml/100gより大きいことを特徴とする<1>または<2>のいずれかに記載の帯電部材である。
【0013】
<4>
前記帯電部材の形状が、ロール状であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の帯電部材である。
【0014】
<5>
像担持体と、該像担持体に接触する帯電手段とを少なくとも備え、画像形成装置に対して脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電手段が、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0015】
<6>
像担持体と、該像担持体に接触する帯電手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、
前記帯電手段が、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の帯電部材であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように本発明によれば、帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができると共に、感光体と接触させて保管しても画質欠陥が生じない帯電部材、並びに、これを用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(帯電部材)
本発明の帯電部材は、基材と、該基材上に設けられ且つ被帯電体に接触する最外層とを少なくとも含み、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材において、前記最外層に、下記に示す比表面積およびpHを満たす2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b))が少なくとも含まれることを特徴とする。
・カーボンブラック(a):比表面積が400m2/g以下、且つ、pHが4.0以下
・カーボンブラック(b):比表面積が400m2/gより大きく、且つ、pHが4.0以下
【0018】
従って、本発明の帯電部材は、帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができると共に、感光体と接触させて保管しても画質欠陥が生じない。なお、上記の比表面積は、BET方式による窒素の比表面積値であり、例えばBET方式の比表面積測定器(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
【0019】
比表面積が400m2/g以下であるカーボンブラック(a)は、カーボンブラック同士の凝集力が小さく分散性に優れるため、最外層へのカーボンブラック(a)の添加量に対する抵抗変化が少なく半導電領域における抵抗制御が容易である。そのため帯電能力と耐リーク性能との両立が容易である。
また、pHが4.0以下であるカーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b)は、表面に存在するカルボキシル等の官能基が多いため、これら官能基の存在が少ないpHが4.0より大きいカーボンブラックと比較して、カーボンブラックの極表面部分の抵抗が高い。それゆえ、pHが4.0以下であるカーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b)を最外層に含む本発明の帯電部材を用いた場合、感光体(被帯電体)表面にピンホールが存在していても、このピンホール部分への急激な電流の集中が小さくなるため、優れた耐リーク性能を得ることができる。
【0020】
しかし、比表面積が400m2/g以下のカーボンブラック(a)は、カーボンブラック粒子間の距離に変化が生じると抵抗の変動が起こり易い。このような抵抗変動の発生は、特に高温高湿環境下で、比表面積が400m2/g以下のカーボンブラック(a)のみを含む帯電部材と感光体とを接触させて保管したような場合において、感光体と接触する帯電部材表面の局所的な抵抗値の上昇を招くため、帯電部材がロール状の場合には、既述したようにスジ状の画質欠陥が発生する。
この問題を解決するために、カーボンブラック(a)からなるカーボンブラック粒子間の距離に変化が生じても抵抗の変動を抑える方法について本発明者らが鋭意検討したところ、カーボンブラック(a)に対して、比表面積が400m2/gより大きくかつpHが4.0以下であるカーボンブラック(b)を併用することが極めて有効であることを見出した。
【0021】
この点については、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、比表面積が400m2/gよりも大きいカーボンブラック(b)は、最外層を構成するマトリックス中において凝集しやすい(分散性が劣る)傾向にある。このため、帯電部材と感光体とを接触させて保管する前後のように、最外層の厚み方向に加わる圧力が変動して、カーボンブラック(b)からなるカーボンブラック粒子間の距離に変化が生じても、これらカーボンブラック粒子に起因する電流の流れは、最外層の厚み方向のみならず、厚み方向と平行な方向にも形成されると考えられる。そして、厚み方向と平行な方向に形成される電流の流れの存在が、結果的に最外層の厚み方向に加わる圧力の変動に係わりなく、抵抗の変動を抑制できる原因であると考えられる。
従って、カーボンブラック(a)からなるカーボンブラック粒子間の距離に変化が生じて発生する抵抗の変動を、カーボンブラック(b)を併用することによって相殺し、最外層全体としては抵抗の変動を抑制できる効果が得られるものと考えられる。
【0022】
なお、最外層の厚み方向に加わる圧力変動による抵抗の変動を抑制することもできる本発明の帯電部材は、上述したことから、最外層の厚みがより薄い場合、すなわち、最外層の変形が大きく、カーボンブラック粒子間の距離の変動がより大きくなり易い場合により効果を発揮できるといえる。
それゆえ、このような観点からは、本発明の帯電部材は、最外層の厚さが好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である帯電部材においてより効果を発揮できる。
【0023】
また、本発明の帯電部材は、最外層に添加される導電剤として上述したような2種類のカーボンブラックを主成分として用いるため、基本的にイオン導電剤を用いる必要がない。それゆえ、イオン導電剤のブリードによる感光体汚染を防止することができると共に、優れた帯電維持性も得ることができる。
なお、感光体の汚染が生じない範囲であれば、最外層には補助的にイオン導電剤を用いてもよい。また、帯電部材が、基材上に、導電性弾性層と、表面層(最外層)とをこの順に積層したような積層構成を有する場合には、イオン導電剤の帯電部材表面へのブリード自体が起こり難い最外層よりも内側に設けられる層(導電性弾性層)にも必要に応じてイオン導電剤を用いることができる。
【0024】
なお、カーボンブラック(a)の比表面積は400m2/g以下であることが必要であるが、350m2/g以下であることが好ましい。一方、下限値は特に限定されるものではないが、実用上は、100m2/g以上であることが好ましい。
また、カーボンブラック(b)の比表面積は400m2/gより大きいことが必要であるが、450m2/g以上であることが好ましい。一方、上限値は特に限定されるものではないが、実用上は、550m2/g以下であることが好ましい。
【0025】
さらに、カーボンブラック(a)の比表面積と、カーボンブラック(b)の比表面積との差は120m2/g以上であることが好ましく、200m2/g以上であることがより好ましい。2種類のカーボンブラックの比表面積の差が100m2/g未満の場合には、帯電能力と耐リーク性能とを両立させることが困難になったり、感光体と接触させて保管した際に画質欠陥が生じる場合がある。2種類のカーボンブラックの比表面積の差は、上述した観点から大きければ大きい程よいが、材料の選択肢が限られてしまう等の実用上の観点からは、400m2/g以下であることが好ましい。
【0026】
一方、カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b)のpHは4以下であることが必要であるが、3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。また、pHの下限値は特に限定されるものではないが、実用上は2.0以上であることが好ましい。
【0027】
また、最外層に含まれるカーボンブラック(a)とカーボンブラック(b)との含有比率(カーボンブラック(a)/カーボンブラック(b))は、1/9〜9/1の範囲内であることが好ましく、4/6〜8/2の範囲内がより好ましく、5/5〜7/3がさらに好ましい。
含有比率(カーボンブラック(a)/カーボンブラック(b))が1/9〜9/1の範囲外である場合には、帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができなくなる場合や、帯電部材を感光体と接触させて保管した場合に画質欠陥が生じる場合がある。
【0028】
また、カーボンブラック(a)のDBP吸油量は120ml/100g以下であり、且つ、カーボンブラック(b)のDBP吸油量が120ml/100gより大きいことが好ましい。カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b)のDBP吸油量が上述した値を同時に満たさない場合には帯電能力と耐リーク性能とを両立させることができなくなる場合や、帯電部材を感光体と接触させて保管した場合に画質欠陥が生じる場合がある。
なお、カーボンブラック(a)のDBP吸油量は110ml/100g以下であることがより好ましい。また、カーボンブラック(a)のDBP吸油量の下限値は特に限定されないが、実用上は60ml/100g以上であることが好ましい。
さらに、カーボンブラック(b)のDBP吸油量は150ml/100g以上であることがより好ましい。また、カーボンブラック(b)のDBP吸油量の上限値は特に限定されないが、実用上は180ml/100g以下であることが好ましい。
このカーボンブラックのDBP吸油量は、ASTM D2414−6TTに定義されたDBP(ジブチルフタレート)吸油量であり、このDBP吸油量は、カーボンブラック100gに吸収されるDBP量(ml)で定義され、ASTM D2414−6TTに規定された方法により測定される。
【0029】
次に、本発明の帯電部材全体の構成や、上述した2種類のカーボンブラック以外の構成材料等についてより詳細に説明する。
本発明の帯電部材は、基材と、該基材上に設けられた最外層とを少なくとも含む構成を有するものであれば、その形状や層構成は特に限定されるものではない。なお、最外層は、帯電部材の使用に際しては、その表面が感光体等の被帯電体と接触するものである。
【0030】
本発明の帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状等を挙げることができる。これらの中でもロール状(いわゆる帯電ロール)であることが好ましい。
また、本発明の帯電部材は、基材と、該基材上に設けられた最外層とを少なくとも含むものであれば、その層構成は特に限定されず、基材上に直接最外層を設けてもよく、基材と最外層との間に導電性の弾性層等、1層以上の中間層を設けることもできる。
なお、本発明の帯電部材は、基材表面に導電性の弾性層と、表面層(最外層)とをこの順に設けた層構成を有し、ロール状の形状からなる帯電ロールであることが好ましい。
以下、本発明の帯電部材が帯電ロールであることを前提に、基材、導電性弾性層、および、表面層についてより詳細に説明するが、勿論、これら各層の構成材料は、他の形状の帯電部材についても同様に利用することができる。
【0031】
基材(導電性支持体)は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものを用いることができる。
【0032】
導電性弾性層は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBRおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0033】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。
また、イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
【0034】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、導電性弾性層中に添加される導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、15〜25質量部の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲であることがより好ましい。
【0035】
なお、導電性弾性層が最外層となる場合(表面層が設けられない場合)には、導電剤として上述した2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)、および、カーボンブラック(b))が必ず用いられることが必要である。また、感光体の汚染を防ぐために、イオン導電剤は出来る限り用いないことが好ましい。
導電性弾性層が最外層となる場合において、導電性弾性層中に添加される2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)、および、カーボンブラック(b))の添加量は特に制限はないが、ゴム材100質量部に対して、5〜50質量部の範囲であることが好ましく、10〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
【0036】
導電性弾性層の形成に際しては、この層を構成する導電剤、ゴム材、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダー等で混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法が挙げられる。
【0037】
表面層(最外層)には、高分子材料と、上述した2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)、および、カーボンブラック(b))とが少なくとも含まれ、必要に応じてその他の成分を添加してもよい。
高分子材料としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。
【0038】
また表面層には、2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)、および、カーボンブラック(b))が含まれ、その添加量は特に限定されないが、高分子材料100質量部に対して、1〜50質量部の範囲であることが好ましく、5〜20質量部の範囲であることがより好ましい。
【0039】
表面層には、その他の成分として導電性弾性層に用いられる導電剤や各種微粒子を添加してもよい。なお、ブリードによる感光体表面の汚染を防ぐためイオン導電剤は用いないことが好ましい。
上記微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0040】
表面層の形成に際しては、導電性弾性層表面に表面層を構成する材料を含む塗布液を浸漬塗布等の公知の塗布法を利用して塗膜を形成し、この塗膜を加熱乾燥させて表面層を形成してもよい。また、予めチューブ状に形成した表面層を導電性弾性層表面にかぶせて、形成してもよい。
なお、チューブ状の表面層を用いる場合には、接着剤を用いて導電性弾性層表面と接着固定してもよい。あるいは、基材および導電性弾性層からなるロールの外径よりも、内径が若干小さいチューブ状の表面層を用いる場合は、チューブ状の表面層の内周側に空気等の流体を注入した状態とし、この状態で表面層内周側にロールを挿入し、その後、流体の注入を停止させることで導電性弾性層表面に表面層を固定してもよい。
【0041】
<画像形成装置およびプロセスカートリッジ>
次に、上述した本発明の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置およびプロセスカートリッジについて説明する。
本発明の画像形成装置は、像担持体(感光体)と、この像担持体に接触する帯電手段とを少なくとも備えたものであればその構成は特に限定されるものではないが、帯電手段としては、上述した本発明の帯電部材が用いられる。
なお、このような画像形成装置において、像担持体と、該像担持体に接触する帯電手段とを含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(いわゆるプロセスカートリッジ)であってもよい。
以下、本発明の帯電部材が好適に適用される画像形成装置(本発明の画像形成装置)の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部のみを説明し、その他はその説明を省略する。
【0042】
図1は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ステーション10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ステーション(以下、単にステーションと称する)10Y、10M、10C、10Kは、略水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらステーション10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0043】
各ステーション10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ステーションを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、横方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて張設され、第1ステーション10Yから第4ステーション10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないいバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者の間に巻回された中間転写ベルト20に所定のテンションが与えられている。また、中間転写ベルト20の像担持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
【0044】
上述した第1〜第4ステーション10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ステーション10Yについて代表して説明する。尚、第1ステーション10Yと同一の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0045】
第1ステーション10Yは、像担持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナー(現像剤)を供給して静電潜像を現像する現像装置4Y、現像したトナー像(現像剤像)を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部(制御手段)による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0046】
以下、第1ステーション10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0047】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0048】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤とワックスと結着樹脂と脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂にて形成された体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0049】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ステーション10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に定電流制御されている。
【0050】
また、第2ステーション10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
こうして、第1ステーション10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
【0051】
第1〜第4ステーションを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像担持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(転写材)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
【0052】
この後、記録紙Pは定着装置28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0053】
上記図1に示す画像形成装置においては、本発明の帯電部材は、帯電ローラ2Y、2M、2C、2K(帯電手段)として用いられるが、この他にも、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K(転写手段)、さらに2次転写ローラ26(転写手段)として用いてもよい。
【0054】
帯電ローラとして用いる場合には、その抵抗値は104〜106Ωの範囲に調整されていることが好ましい。抵抗値が104Ω未満であると、被帯電体(感光体)表面に過剰電流が流れ、被帯電体表面にピンホールリークが発生しやすい場合がある。一方、抵抗値が106Ωより大きくなると、低電圧での被帯電体への帯電が困難となり、帯電電位の不足により画質欠陥が生じる場合がある。
【0055】
また、転写ローラとして用いる場合には、その抵抗値は105〜1010Ωの範囲であることが好ましい。この抵抗値がこれより低いと、印加される転写バイアスにより生じる電流量が多すぎてトナー層間での電荷の注入や放電が発生し、トナーを逆極性に帯電させ十分に中間転写ベルトや記録紙Pへ移動(転写)させることができなくなることがある。一方、抵抗値が高すぎると、トナーを転写するのに十分な強度の転写電界を形成できず、転写不良を生じてしまうことがある。
【0056】
なお、上記抵抗値は、金属板上にローラを置き、ローラの両端部に500gずつ荷重し、高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)を用いて、ローラの芯金と金属板との間に100Vの電圧を10秒印加後、得られた電流値を測定しローラ抵抗値を求めた。
また、本発明の帯電部材が、前記帯電ローラや転写ローラとして用いられる場合の硬度としては、アスカーC硬度で25〜80度の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(帯電ロールの作製)
−導電性弾性層の形成−
下記組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径8mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの導電性弾性ロールAを得た。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Gechron3106:日本ゼオン社製):100質量部
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製):15質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製):5質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム):1質量部
・加硫剤(硫黄 200メッシュ:鶴見化学工業社製):1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製):2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製):0.5質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製):3質量部
・ステアリン酸:1.5質量部
【0058】
−表面層の形成−
下記組成の混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、MEK(メチルエチルケトン)で希釈し、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ7μmの表面層を形成し、帯電ロール1を得た。
・高分子材料(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液 バイロン30SS:東洋紡績社製):100質量部
・硬化剤(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製):26.3質量部
・導電剤a1(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製、比表面積:343m2/g、DBP吸油量:105ml/100g、pH:2.5):5質量部
・導電剤b1(カーボンブラック FW200:デグサ社製、比表面積:460m2/g、DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5):5質量部
【0059】
<実施例2>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0060】
−表面層の形成−
導電剤a1(5質量部)の代わりに、下記に示す導電剤a2(5質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Bを、実施例1と同様に導電性弾性ロールA表面に塗布して帯電ロール2を得た。
・導電剤a2(カーボンブラック Special Black 4:デグサ社製、比表面積:180m2/g、DBP吸油量:110ml/100g、pH:3.0):5質量部
【0061】
<実施例3>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0062】
−表面層の形成−
導電剤b1(5質量部)の代わりに、下記に示す導電剤b2(5質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Cを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール3を得た。
・導電剤b2(カーボンブラック MONARCH1300:キャボット社製、比表面積:560m2/g、DBP吸油量:100ml/100g、pH:2.5):5質量部
【0063】
<実施例4>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0064】
−表面層の形成−
導電剤a1(5質量部)の代わりに、下記に示す導電剤a3(5質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Dを実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール4を得た。
・導電剤a3(カーボンブラック REGAL 400R:キャボット社製、比表面積:96m2/g、DBP吸油量:72ml/100g、pH:4.0):5質量部
【0065】
<実施例5>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0066】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から7質量部に変更し、導電剤b1の使用量を5質量部から3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Eを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール5を得た。
【0067】
<実施例6>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0068】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から4質量部に変更し、導電剤b1の使用量を5質量部から6質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Fを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール6を得た。
【0069】
<実施例7>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0070】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から8質量部へと変更し、導電剤b1の使用量を5質量部から2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Gを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール7を得た。
【0071】
<実施例8>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0072】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から1質量部へと変更し、導電剤b1の使用量を5質量部から9質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Hを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール8を得た。
【0073】
<実施例9>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0074】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から9質量部へと変更し、導電剤b1の使用量を5質量部から1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液I、を実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール9を得た。
【0075】
<実施例10>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0076】
−表面層の形成−
下記組成の混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Jを、メタノールで希釈し、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ5μmの表面層を形成し、帯電ロール10を得た。
・高分子材料(共重合ナイロン アラミンCM8000:東レ社製):100質量部
・導電剤a1(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製、比表面積:343m2/g、DBP吸油量:105ml/100g、pH:2.5):6質量部
・導電剤b1(カーボンブラック FW200:デグサ社製、比表面積:460m2/g、DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5):6質量部
・溶剤(メタノール):500質量部
・溶剤(ブタノール):240質量部
【0077】
<実施例11>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
下記組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径8mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの帯電ロール11を得た。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Gechron3106:日本ゼオン社製):100質量部
・導電剤a1(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製、比表面積:343m2/g、DBP吸油量:105ml/100g、pH:2.5):8質量部
・導電剤b1(カーボンブラック FW200:デグサ社製、比表面積:460m2/g、DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5):8質量部
・加硫剤(硫黄 200メッシュ:鶴見化学工業社製):1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製):2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製):0.5質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製):3質量部
・ステアリン酸:1.5質量部
【0078】
<比較例1>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0079】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から10質量部に変更し、導電剤b1を未添加に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Kを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール12を得た。
【0080】
<比較例2>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0081】
−表面層の形成−
導電剤b1の使用量を5質量部から10質量部に変更し、導電剤a1を未添加に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Lを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール13を得た。
【0082】
<比較例3>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0083】
−表面層の形成−
導電剤b1(5質量部)の代わりに下記導電剤a4(5質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Nを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール14を得た。
・導電剤a4(カーボンブラック Special Black 6:デグサ社製、比表面積:300m2/g、DBP吸油量:160ml/100g、pH:2.5):5質量部
【0084】
<比較例4>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0085】
−表面層の形成−
導電剤b1(5質量部)の代わりに導電剤b2(5質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Oを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール15を得た。
【0086】
<比較例5>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0087】
−表面層の形成−
導電剤a1の使用量を5質量部から3質量部に変更し、導電剤b1(5質量部)の代わりに下記導電剤c1(3質量部)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた分散液Pを実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール16を得た。
・導電剤c1(カーボンブラック ケッチェンブラックEC:ライオン社製、比表面積:800m2/g、DBP吸油量:360ml/100g、pH:9.0):3質量部
【0088】
<比較例6>
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
実施例1と同様にして導電性弾性ロールAを成型した。
【0089】
−表面層の形成−
導電剤a1(5質量部)の代わりに下記導電剤c2(3質量部)を用い、導電剤b1の使用量を5質量部から3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして得られた分散液Qを、実施例1と同様に導電性弾性ロールAの表面に塗布して帯電ロール17を得た。
・導電剤c2(カーボンブラック VULCAN XC72R:キャボット社製、比表面積:254m2/g、DBP吸油量:188ml/100g、pH:8.5):3質量部
【0090】
(帯電ロールの評価)
各実施例および比較例で得られた帯電ロールについて、リーク性、帯電性、および、保管時の画像欠陥の発生の有無について評価した。結果を表1〜3に示す。
なお、表3中の「カーボンブラック(a)」とは比表面積が400m2/g以下、且つ、pHが4.0以下のカーボンブラックを意味し、「カーボンブラック(b)」とは比表面積が400m2/gより大きく、且つ、pHが4.0以下のカーボンブラックを意味し、「その他のカーボンブラック」とは、pHが4を超えるカーボンブラックを意味する。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
なお、表1〜3中のリーク性評価、帯電性評価、保管評価、および、帯電維持性の評価方法および評価基準は以下のとうりである。
【0095】
−リーク性評価−
帯電ロールと、直径0.1mmのピンホールを基材まで貫通させた感光体とを、カラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製のドラムカートリッジに装着し、低温低湿(10℃、15%RH)環境下および高温高湿(28℃、85%RH)環境下で50%ハーフトーン画像を印刷し、感光体ピンホール部分の画像ディフェクトより以下の基準で判定した。
◎:直径1.0mm以下の色点。
○:10mm以下の帯状のディフェクト発生。
△:10mmより長く30mm以下の帯状のディフェクト発生。
×:30mmより長い帯状の画像ディフェクト発生。
【0096】
−帯電性評価−
帯電ロールをDocuCentre Color400CPのドラムカートリッジに装着し、表面電位計Model344:トレック社製とプローブModel555P−1:トレック社製を装着したDocuCentre Color400CPで白紙を印刷したときの感光体表面電位(Vh)を低温低湿(10℃、15%RH)環境下にて測定した。なお、帯電ロールに印加した電圧は、−780Vである。
【0097】
−保管評価−
帯電ロールをDocuCentre Color400CPのドラムカートリッジに装着し、45℃、90%RHで7日間保管後、DocuCentre Color400CPで50%ハーフトーン画像を印刷したときの画像ディフェクトより以下の基準で判定した。
○:画像ディフェクト発生なし。
△:薄い帯状の画像ディフェクトが、帯電ロールの回転ピッチ毎に発生。
×:帯状の画像ディフェクトが、帯電ロールの回転ピッチ毎に発生。
【0098】
−帯電維持性−
帯電ロールをDocuCentre Color400CPのドラムカートリッジに装着し、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で50,000枚)を行った後に、帯電能力評価に記載の評価方法によりVhを測定しテスト前との電位差(テスト前−テスト後)を求めた。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0100】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K ステーション
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上に設けられ且つ被帯電体に接触する最外層とを少なくとも含み、電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材において、
前記最外層に、下記に示す比表面積およびpHを満たす2種類のカーボンブラック(カーボンブラック(a)およびカーボンブラック(b))が少なくとも含まれることを特徴とする帯電部材。
・カーボンブラック(a):比表面積が400m2/g以下、且つ、pHが4.0以下
・カーボンブラック(b):比表面積が400m2/gより大きく、且つ、pHが4.0以下
【請求項2】
前記最外層に含まれる前記カーボンブラック(a)と前記カーボンブラック(b)との含有比率(カーボンブラック(a)/カーボンブラック(b))が、1/9〜9/1の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記カーボンブラック(a)のDBP吸油量が120ml/100g以下、かつ、前記カーボンブラック(b)のDBP吸油量が120ml/100gより大きいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項4】
前記帯電部材の形状が、ロール状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電部材。
【請求項5】
像担持体と、該像担持体に接触する帯電手段とを少なくとも備え、画像形成装置に対して脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電手段が、請求項1〜4のいずれか1つに記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体に接触する帯電手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、
前記帯電手段が、請求項1〜4のいずれか1つに記載の帯電部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−133527(P2006−133527A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322808(P2004−322808)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】