説明

帯電防止剤塗布装置

【課題】 補給する帯電防止剤の濃度にバラツキが生じるのを抑制することができるとともに、帯電防止剤を確実に且つ効率良く補給することができる帯電防止剤塗布装置を提供する。
【解決手段】 供給用貯め手段26に帯電防止剤を補給する補給手段30を備える。補給手段30は、補給用の帯電防止剤が貯められる補給用貯め手段44と、補給用貯め手段44と供給用貯め手段26とを相互に連通する連通流路42と、補給用貯め手段44に帯電防止剤の原液を供給する原液供給手段54と、補給用貯め手段44に帯電防止剤の希釈液を供給する希釈液供給手段52と、を有している。原液供給手段54により供給された原液と、希釈液供給手段52により供給された希釈液とが混合されることにより所定濃度の帯電防止剤が生成され、この生成された帯電防止剤が供給用貯め手段26に補給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブに帯電防止剤を塗布してウェブを加湿するための帯電防止剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフセット輪転機は、給紙装置、印刷ユニット、乾燥装置、冷却装置、帯電防止剤塗布装置及び折機を備えている。給紙装置より供給されたウェブは、印刷ユニットに送られて印刷が施される。次いで、ウェブは、乾燥装置に送られて乾燥処理が施された後に、冷却装置に送られて冷却処理が施される。その後、ウェブは、帯電防止剤塗布装置に送られて加湿された後に、折機に送られて折り畳みや裁断等が施される。
【0003】
上述した乾燥装置では、高温ガス(熱風)によってウェブが加熱乾燥されることにより、ウェブに付着したインキ中の溶剤が蒸発されるとともに、ウェブに含まれる水分が蒸発される。このように水分が蒸発されることによって、静電気の発生によりウェブが帯電し易くなる。このため、後工程である帯電防止剤塗布装置にてウェブに帯電防止剤(例えば、所定濃度のシリコン剤)を塗布することにより、ウェブを加湿してウェブの帯電を防止している。
【0004】
従来の帯電防止剤塗布装置は、回転自在に支持された塗布ローラと、塗布ローラの下方に設けられた水舟と、帯電防止剤が貯められるタンクと、水舟とタンクとの間で帯電防止剤を循環させる循環流路と、循環流路に配設された循環ポンプと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。タンクに貯められた帯電防止剤は、循環ポンプの作用によって循環流路を通して水舟に供給される。水舟に供給された帯電防止剤の一部は、循環ポンプの作用によって循環流路を通してタンクに戻され、これにより水舟には所定量の帯電防止剤が貯められるようになる。塗布ローラの一部は、水舟内の帯電防止剤に浸漬されている。塗布ローラは、その回転によって水舟内の帯電防止剤を吸い上げ、ウェブの表面(又は裏面)に帯電防止剤を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−157920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように塗布ローラにて帯電防止剤が消費されることにより、タンク内の帯電防止剤の水位がある程度まで低下すると、帯電防止剤をタンク内に補給する必要がある。従来の帯電防止剤塗布装置では、帯電防止剤の補給は手作業で行われており、バケツ等の容器に帯電防止剤の原液と希釈液(水)とを混合させ、この容器内の混合液をタンク内に投入していた。
【0007】
しかしながら、このような従来の帯電防止剤塗布装置では、次のような問題がある。第1に、作業員等がタンク内の帯電防止剤の水位を目視で確認しているが、作業員等による確認が遅れるなどした場合には、帯電防止剤が補給されずにタンク内が空になるおそれがある。第2に、帯電防止剤を補給する際に、何度も容器に混合液を作成してこれをタンク内に投入しなければならず、作業効率が著しく低下してしまう。第3に、容器に帯電防止剤の原液と希釈液とを混合させる際に、希釈率にバラツキが生じてしまい、タンク内の帯電防止剤の濃度を一定に保つことが難しい。例えば、帯電防止剤の濃度が所定濃度よりも薄いと、ウェブの帯電を効果的に防止することができず、また帯電防止剤の濃度が上記所定濃度よりも濃いと、ウェブの表面及び裏面の滑り性が過度となり紙揃えをきれいに行うことができない。
【0008】
本発明の目的は、補給する帯電防止剤の濃度にバラツキが生じるのを抑制することができるとともに、帯電防止剤を確実に且つ効率良く補給することができる帯電防止剤塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の帯電防止剤塗布装置は、帯電防止剤をウェブに塗布する塗布手段と、帯電防止剤が貯められる供給用貯め手段と、前記供給用貯め手段と前記塗布手段との間で帯電防止剤を循環させる循環手段と、前記供給用貯め手段に帯電防止剤を補給する補給手段と、を備え、
前記補給手段は、補給用の帯電防止剤が貯められる補給用貯め手段と、前記補給用貯め手段と前記供給用貯め手段とを相互に連通する連通流路と、前記補給用貯め手段に帯電防止剤の原液を供給する原液供給手段と、前記補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液を供給する希釈液供給手段と、を有しており、
前記原液供給手段により供給された帯電防止剤の原液と、前記希釈液供給手段により供給された帯電防止剤の希釈液とが混合されることにより、所定濃度の帯電防止剤が前記補給用貯め手段に生成され、この生成された帯電防止剤が前記連通手段を通して前記供給用貯め手段に補給されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の帯電防止剤塗布装置は、前記補給用貯め手段に関連して、前記補給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位を検知する水位検知手段が設けられ、前記希釈液供給手段は、希釈液を供給する希釈液供給源と、前記希釈液供給源からの希釈液を前記補給用貯め手段に供給する希釈液供給流路と、前記希釈液供給流路に配設された第1開閉弁と、前記第1開閉弁を開閉制御する第1制御手段と、を有しており、
前記補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液が供給される際には、前記第1制御手段は、前記水位検知手段による検知水位が第1の水位から前記第1の水位よりも高い第2の水位まで上昇するまでの間、前記第1開閉弁を開状態に保持することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の帯電防止剤塗布装置は、前記原液供給手段は、原液を供給する原液供給源と、前記原液供給源からの原液を前記補給用貯め手段に供給する原液供給流路と、前記原液供給流路に配設された第2開閉弁と、前記第2開閉弁を開閉制御する第2制御手段と、を有しており、
前記補給用貯め手段に帯電防止剤の原液が供給される際には、前記第2制御手段は、所定時間の間前記第2開閉弁を開状態に保持することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の帯電防止剤塗布装置は、前記補給手段は、前記第2制御手段により前記第2開閉弁が開状態に保持される時間を設定するためのタイマと、前記原液供給源から前記補給用貯め手段に供給される原液の量を計量するための計量手段と、を更に有していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の帯電防止剤塗布装置は、前記供給用貯め手段に関連して、前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段への帯電防止剤の供給及び供給停止を行うためのボールタップが設けられ、前記ボールタップは、前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位に連動して昇降するフロートと、前記フロートの昇降に連動して、前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段へ帯電防止剤が供給される第1の切替状態及び前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段への帯電防止剤の供給が停止される第2の切替状態に切り替えられる切替弁と、を有しており、
前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位が所定水位から低下すると、前記フロートの下降に連動して前記切替弁が前記第1の切替状態に保持され、前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位が前記所定水位まで上昇すると、前記フロートの上昇に連動して前記切替弁が前記第2の切替状態に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の帯電防止剤塗布装置によれば、供給用貯め手段に帯電防止剤を補給する補給手段を備えており、この補給手段は、補給用の帯電防止剤が貯められる補給用貯め手段と、補給用貯め手段に帯電防止剤の原液を供給する原液供給手段と、補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液を供給する希釈液供給手段と、を有している。このように構成されているので、原液供給手段により供給された帯電防止剤の原液と、希釈液供給手段により供給された帯電防止剤の希釈液とが混合されることにより、所定濃度の帯電防止剤が補給用貯め手段に生成されるようになる。これにより、帯電防止剤の原液を精度良く希釈することができるようになり、補給する帯電防止剤の濃度にバラツキが生じるのを抑制することができる。また、補給用貯め手段にて生成された帯電防止剤が連通流路を通して供給用貯め手段に補給されるので、帯電防止剤の補給を確実に且つ容易に行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の帯電防止剤塗布装置によれば、補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液が供給される際には、希釈液供給手段の第1制御手段は、水位検知手段による検知水位が第1の水位から第1の水位よりも高い第2の水位まで上昇するまでの間、第1開閉弁を開状態に保持するので、補給用貯め手段に供給される帯電防止剤の希釈液の量を精度良く且つ容易に制御することができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の帯電防止剤塗布装置によれば、補給用貯め手段に帯電防止剤の原液が供給される際には、原液供給手段の第2制御手段は、所定時間の間第2開閉弁を開状態に保持するので、補給用貯め手段に供給される帯電防止剤の原液の量を精度良く且つ容易に制御することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の帯電防止剤塗布装置によれば、補給手段は、第2制御手段により第2開閉弁が開状態に保持される時間を設定するためのタイマと、原液供給源から補給用貯め手段に供給される原液の量を計量するための計量手段と、を更に有している。この計量手段を用いて、原液供給源から補給用貯め手段へ所定量の原液が供給される時間を計測することにより、この計測した時間をタイマの設定時間として設定することができる。このように設定したタイマの設定時間の間、第2制御手段によって第2開閉弁が開状態に保持されることにより、原液供給源から補給用貯め手段へ上記所定量の原液が供給されるようになる。これにより、例えば帯電防止剤の濃度を変更する場合において、原液供給源から補給用貯め手段への原液の供給量を変更する際に、タイマの設定時間を容易に設定変更することができる。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載の帯電防止剤塗布装置によれば、補給用貯め手段から供給用貯め手段への帯電防止剤の供給及び供給停止を行うためのボールタップが設けられているので、供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位が低下した際には、補給用貯め手段から供給用貯め手段へ帯電防止剤を自動的に供給することができ、帯電防止剤の補給を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による輪転機の構成を示す概略図である。
【図2】図1の帯電防止剤塗布装置の構成を示す概略図である。
【図3】コントローラによる第1開閉弁及び第2開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態による帯電防止剤塗布装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う帯電防止剤塗布装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による輪転機の構成を示す概略図であり、図2は、図1の帯電防止剤塗布装置の構成を示す概略図であり、図3は、コントローラによる第1開閉弁及び第2開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【0021】
図1を参照して、図示の輪転機2(オフセット輪転機)は、給紙装置4、印刷ユニット6、乾燥装置8、冷却装置10、帯電防止剤塗布装置12及び折機14を備えている。給紙装置4は、ロール状シート16からウェブ18を供給するためのものである。印刷ユニット6には4つの印刷装置20が設けられており、各印刷装置20によってウェブ18に所定の多色印刷が施される。乾燥装置8では、印刷が施されたウェブ18が高温ガス(熱風)により加熱乾燥される。冷却装置10には複数の冷却ローラ22が設けられ、これら複数の冷却ローラ22にウェブ18を通すことによって、加熱乾燥されたウェブ18が冷却される。帯電防止剤塗布装置12では、後述するようにして、加熱乾燥により水分が奪われたウェブ18が加湿される。また、折機14では、加湿されたウェブ18に折り畳みや裁断等が施される。
【0022】
次に、本実施形態の帯電防止剤塗布装置12の構成について説明する。図2を参照して、図示の帯電防止剤塗布装置12は、帯電防止剤(例えば、所定濃度のシリコン剤)をウェブ18に塗布する塗布手段24と、帯電防止剤が貯められる供給用タンク26(供給用貯め手段を構成する)と、供給用タンク26と塗布手段24との間で帯電防止剤を循環させる循環手段28と、供給用タンク26に帯電防止剤を補給する補給手段30と、を備えている。
【0023】
塗布手段24は、回転自在に支持された塗布ローラ32と、塗布ローラ32の下方に配設された水舟34と、を有している。水舟34には所定量の帯電防止剤が貯められており、塗布ローラ32の一部は、水舟34内の帯電防止剤に浸漬されている。塗布手段24は、ウェブ18の表面側及び裏面側にそれぞれ配設されている(図1参照)。なお、図2では、ウェブ18の表面側に配設された塗布手段24のみを図示している。塗布ローラ32は、ウェブ18の表面(又は裏面)に接触するように配設されている。塗布ローラ32が所定方向に回転すると、塗布ローラ32は、その回転によって水舟34内の帯電防止剤を吸い上げ、ウェブ18の表面(又は裏面)に帯電防止剤を塗布する。このように帯電防止剤が塗布されることによって、ウェブ18が加湿される。
【0024】
供給用タンク26には、所定濃度(例えば約8%)の帯電防止剤が例えば最大30〜40L程度貯められるように構成されている。供給用タンク26の内部には、ボールタップ36が設けられている。このボールタップ36は、供給用タンク26に貯められた帯電防止剤の水位に連動して昇降するフロート38と、フロート38の昇降に連動して第1の切替状態又は第2の切替状態に切り替えられる切替弁40と、を有している。切替弁40は、連通流路42(後述する)と供給用タンク26との接続部に配設されている。切替弁40が第1の切替状態に保持されると、補給用タンク44(後述する)から供給用タンク26へ帯電防止剤が供給され、また切替弁40が第2の切替状態に保持されると、補給用タンク44から供給用タンク26への帯電防止剤の供給が停止される。図2中の二点鎖線で示すように、供給用タンク26内の帯電防止剤の水位が所定水位より低下すると、フロート38の下降に連動して切替弁40が第1の切替状態に保持される。また、図2中の実線で示すように、供給用タンク26内の帯電防止剤の水位が所定水位まで上昇すると、フロート38の上昇に連動して切替弁40が第2の切替状態に保持される。
【0025】
循環手段28は、供給用タンク26と水舟34とを相互に連通する往き流路46及び戻り流路48と、往き流路46に配設された循環ポンプ50と、を有している。循環ポンプ50の作用によって、供給用タンク26に貯められた帯電防止剤が往き流路46を通して水舟34に供給されるとともに、水舟34内の帯電防止剤が戻り流路48を通して供給用タンク26に戻される。
【0026】
補給手段30は、補給用の帯電防止剤が貯められる補給用タンク44と、補給用タンク44と供給用タンク26とを相互に連通する連通流路42と、補給用タンク44に帯電防止剤の希釈液を供給する希釈液供給手段52と、補給用タンク44に帯電防止剤の原液を供給する原液供給手段54と、を有している。
【0027】
補給用タンク44には、上記所定濃度の帯電防止剤が最大5〜6リットル程度貯められるように構成されている。補給用タンク44の内部には、帯電防止剤の水位を検知するための水位検知センサ56(水位検知手段を構成する)が設けられている。本実施形態では、水位検知センサ56は、補給用タンク44の上端部に支持された本体部58と、本体部58から下方に延びる長さの異なる第1〜第3電極棒60,62,64と、を有している。最も長さの長い第1電極棒60は、補給用タンク44の内底面まで延びており、この第1電極棒60よりも幾分長さの短い第2電極棒62は、補給用タンク44の内底面より幾分上方まで延びている。最も長さの短い第3電極棒64は、補給用タンク44の上端部より幾分下方まで延びている。補給用タンク44内の帯電防止剤の水位が第2電極棒62の先端部(電極部)よりも低下すると、第1電極棒60と第2電極棒62との電気的導通が遮断され、これにより帯電防止剤の水位が第1の水位LV1であることが検知される。また、補給用タンク44内の帯電防止剤の水位が上昇して第3電極棒64の先端部(電極部)に到達すると、第1電極棒60と第3電極棒64とが電気的に導通され、これにより帯電防止剤の水位が第1の水位LV1よりも高い第2の水位LV2であることが検知される。
【0028】
希釈液供給手段52は、希釈液(例えば水)を供給する希釈液供給源66と、希釈液供給源66と補給用タンク44とを相互に連通する希釈液供給流路68と、希釈液供給流路68に配設された第1開閉弁70と、水位検知センサ56の検知水位に基づいて第1開閉弁70を開閉制御するコントローラ72(第1制御手段を構成する)と、を有している。希釈液供給源66は、例えば水が貯められたタンクや水道管等から構成される。第1開閉弁70が開状態に保持されると、希釈液供給源66からの希釈液が補給用タンク44に供給され、また第1開閉弁70が閉状態に保持されると、希釈液供給源66からの希釈液が補給用タンク44へ供給されるのが停止される。コントローラ72は、水位検知センサ56により第1の水位LV1が検知されると、第1開閉弁70を開状態に保持し、また水位検知センサ56により第2の水位LV2が検知されると、第1開閉弁70を閉状態に保持する。従って、補給用タンク44内の帯電防止剤がほぼ空になると、コントローラ72は、水位検知センサ56による検知水位が第1の水位LV1から第2の水位LV2まで上昇するまでの間(換言すると、補給用タンク44がほぼ空の状態から満水になるまでの間)、第1開閉弁70を開状態に保持するようになる。これにより、補給用タンク44には、所定量(例えば5L)の希釈液が供給されるようになる。
【0029】
原液供給手段54は、帯電防止剤の原液が貯められる原液タンク74(原液供給源を構成する)と、原液タンク74と補給用タンク44とを相互に連通する原液供給流路76と、原液供給流路76に配設された第2開閉弁78と、第2開閉弁78を開閉制御するコントローラ72(第2制御手段を構成する)と、を有している。第2開閉弁78が開状態に保持されると、原液タンク74からの原液が補給用タンク44に供給され、また第2開閉弁78が閉状態に保持されると、原液タンク74からの原液が補給用タンク44へ供給されるのが停止される。コントローラ72にはタイマ80が設けられ、このタイマ80は、第2開閉弁78が開状態に保持されてから所定時間(例えば10秒)が経過するのをカウントする。コントローラ72は、水位検知センサ56により第1の水位LV1が検知されると、第2開閉弁78を開状態に保持し、またタイマ80のカウント時間が上記所定時間になると、第2開閉弁78を閉状態に保持する。従って、補給用タンク44内の帯電防止剤がほぼ空になると、コントローラ72は、上記所定時間の間、第2開閉弁78を開状態に保持するようになる。これにより、補給用タンク44には、所定量(例えば400mL)の原液が供給される。なお、タイマ80によりカウントされる上記所定時間は、原液の供給量(即ち、帯電防止剤の濃度)に応じて適宜設定することができる。
【0030】
次に、図3をも参照して、コントローラ72による第1開閉弁70及び第2開閉弁78の開閉制御の流れについて説明する。上述したように、塗布ローラ22によってウェブ18に帯電防止剤が塗布されることにより、供給用タンク26内の帯電防止剤の水位が徐々に低下する。供給用タンク26内の帯電防止剤の水位が所定水位より低下すると、フロート38の下降に連動して切替弁40が第1の切替状態に保持され、補給用タンク44内の帯電防止剤が連通流路42を通して供給用タンク26に供給される。供給用タンク26内の帯電防止剤の水位が所定水位まで上昇すると、フロート38の上昇に連動して切替弁40が第2の切替状態に保持され、補給用タンク44から供給用タンク26への帯電防止剤の供給が停止される。
【0031】
このように補給用タンク44内の帯電防止剤が供給用タンク26に複数回供給されると、補給用タンク44内の帯電防止剤の水位が第1の水位LV1まで低下するようになる。なお、帯電防止剤の水位が第1の水位LV1よりも上昇している状態では、コントローラ72によって第1開閉弁70及び第2開閉弁78はそれぞれ閉状態に保持されている(ステップS1)。水位検知センサ56により第1の水位LV1が検知されると(ステップS2)、コントローラ72は、水位検知センサ56からの検知信号に基づいて第1開閉弁70及び第2開閉弁78をそれぞれ開状態に保持し(ステップS3)、タイマ80による上記所定時間のカウントが開始される(ステップS4)。これにより、希釈液供給源66からの希釈液が希釈液供給流路68を通して補給用タンク44に供給されるとともに、原液タンク74からの原液が原液供給流路76を通して補給用タンク44に供給される(ステップS5)。
【0032】
タイマ80のカウント時間が上記所定時間(例えば10秒)になると(ステップS6)、コントローラ72は第2開閉弁78を閉状態に保持し(ステップS7)、タイマ80によるカウントが停止される(ステップS8)。これにより、原液の供給が停止される(ステップS9)。このようにして、補給用タンク44には、所定量(例えば400mL)の原液が供給される。
【0033】
また、希釈液供給源66からの希釈液が補給用タンク44に供給されることにより、補給用タンク44内の希釈液と原液との混合液(即ち、帯電防止剤)の水位が第1の水位LV1から第2の水位LV2まで上昇する。水位検知センサ56により第2の水位LV2が検知されると(ステップS10)、コントローラ72は、水位検知センサ56からの検知信号に基づいて第1開閉弁70を閉状態に保持する(ステップS11)。これにより希釈液の供給が停止される(ステップS12)。このようにして、補給用タンク44には、所定量(例えば5L)の希釈液が供給される。
【0034】
上述のように、補給用タンク44に所定量(例えば5L)の希釈液が供給されるとともに、所定量(例えば400mL)の原液が供給されることにより、これら希釈液と原液とが混合されて所定濃度(例えば8%)の帯電防止剤が生成されるようになる。以下、ステップS12からステップS2に戻り、上述したステップS2〜ステップS12が繰り返し行われる。
【0035】
次に、図4を参照して、帯電防止剤塗布装置の他の実施形態について説明する。図4は、本発明の他の実施形態による帯電防止剤塗布装置の構成を示す概略図である。なお、本実施形態において、上述した実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
本実施形態の帯電防止剤塗布装置12Aでは、補給用タンク44の内部に設けられる水位検知センサ56A(水位検知手段を構成する)は、第1センサ82及び第2センサ84を有している。第1センサ82は、補給用タンク44の内底面より幾分上方に配設され、帯電防止剤の水位が第1の水位LV1であることを検知する。第2センサ84は、補給用タンク44の上端部より幾分下方に配設され、帯電防止剤の水位が第2の水位LV2であることを検知する。コントローラ72は、上述した実施形態と同様に、第1センサ82及び第2センサ84からの検知信号に基づいて、第1開閉弁70及び第2開閉弁78をそれぞれ開閉制御する。
【0037】
また、原液供給流路76には計量シリンダ86(計量手段を構成する)が配設され、原液タンク74内の原液の一部が計量シリンダ86内に流入される。計量シリンダ86には、その内部に貯められる原液の量を示す目盛り88が付されている。この目盛り88は、例えば10mL間隔で付されている。この計量シリンダ86は、タイマ80によりカウントされる所定時間を設定する際に用いられる。例えば、帯電防止剤の濃度を変更する場合において、原液タンク74より補給用タンク44に供給される原液の量を400mLから480mLに変更する際には、第2開閉弁78を手動で開状態に保持させる。計量シリンダ86内の原液の水位が低下し始めてから、計量シリンダ86内の原液が500mLの目盛り分だけ減少するまでの時間を計測し、この計測した時間(例えば12秒)をタイマ80によりカウントされる所定時間(即ち、タイマ80の設定時間)として設定する。この設定した所定時間の間、コントローラ72によって第2開閉弁78が開状態に保持されることによって、原液タンク74より補給用タンク44に供給される原液の量が480mLとなる。このようにして、帯電防止剤の濃度を容易に変更することができる。
【0038】
以上、本発明に従う帯電防止剤塗布装置の各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0039】
上記各実施形態では、希釈液供給手段52の第1制御手段と原液供給手段54の第2制御手段とを1つのコントローラ72で構成したが、別々のコントローラで構成するようにしてもよい。
【0040】
また、上記各実施形態では、帯電防止剤塗布装置12(12A)をオフセット輪転機に適用する場合について説明したが、例えば他の種類の印刷機等に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 輪転機
12,12A 帯電防止剤塗布装置
18 ウェブ
24 塗布手段
26 供給用タンク
28 循環手段
30,30A 補給手段
36 ボールタップ
38 フロート
40 切替弁
42 連通流路
44 補給用タンク
52 希釈液供給手段
54 原液供給手段
56,56A 水位検知センサ
86 計量シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止剤をウェブに塗布する塗布手段と、帯電防止剤が貯められる供給用貯め手段と、前記供給用貯め手段と前記塗布手段との間で帯電防止剤を循環させる循環手段と、前記供給用貯め手段に帯電防止剤を補給する補給手段と、を備え、
前記補給手段は、補給用の帯電防止剤が貯められる補給用貯め手段と、前記補給用貯め手段と前記供給用貯め手段とを相互に連通する連通流路と、前記補給用貯め手段に帯電防止剤の原液を供給する原液供給手段と、前記補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液を供給する希釈液供給手段と、を有しており、
前記原液供給手段により供給された帯電防止剤の原液と、前記希釈液供給手段により供給された帯電防止剤の希釈液とが混合されることにより、所定濃度の帯電防止剤が前記補給用貯め手段に生成され、この生成された帯電防止剤が前記連通手段を通して前記供給用貯め手段に補給されることを特徴とする帯電防止剤塗布装置。
【請求項2】
前記補給用貯め手段に関連して、前記補給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位を検知する水位検知手段が設けられ、前記希釈液供給手段は、希釈液を供給する希釈液供給源と、前記希釈液供給源からの希釈液を前記補給用貯め手段に供給する希釈液供給流路と、前記希釈液供給流路に配設された第1開閉弁と、前記第1開閉弁を開閉制御する第1制御手段と、を有しており、
前記補給用貯め手段に帯電防止剤の希釈液が供給される際には、前記第1制御手段は、前記水位検知手段による検知水位が第1の水位から前記第1の水位よりも高い第2の水位まで上昇するまでの間、前記第1開閉弁を開状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の帯電防止剤塗布装置。
【請求項3】
前記原液供給手段は、原液を供給する原液供給源と、前記原液供給源からの原液を前記補給用貯め手段に供給する原液供給流路と、前記原液供給流路に配設された第2開閉弁と、前記第2開閉弁を開閉制御する第2制御手段と、を有しており、
前記補給用貯め手段に帯電防止剤の原液が供給される際には、前記第2制御手段は、所定時間の間前記第2開閉弁を開状態に保持することを特徴とする請求項2に記載の帯電防止剤塗布装置。
【請求項4】
前記補給手段は、前記第2制御手段により前記第2開閉弁が開状態に保持される時間を設定するためのタイマと、前記原液供給源から前記補給用貯め手段に供給される原液の量を計量するための計量手段と、を更に有していることを特徴とする請求項3に記載の帯電防止剤塗布装置。
【請求項5】
前記供給用貯め手段に関連して、前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段への帯電防止剤の供給及び供給停止を行うためのボールタップが設けられ、前記ボールタップは、前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位に連動して昇降するフロートと、前記フロートの昇降に連動して、前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段へ帯電防止剤が供給される第1の切替状態及び前記補給用貯め手段から前記供給用貯め手段への帯電防止剤の供給が停止される第2の切替状態に切り替えられる切替弁と、を有しており、
前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位が所定水位から低下すると、前記フロートの下降に連動して前記切替弁が前記第1の切替状態に保持され、前記供給用貯め手段に貯められた帯電防止剤の水位が前記所定水位まで上昇すると、前記フロートの上昇に連動して前記切替弁が前記第2の切替状態に保持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止剤塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−223917(P2012−223917A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91350(P2011−91350)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(501113076)アインズ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】