説明

常圧マイクロ波プラズマ処理多孔性膜

本発明の形態は、組成物および1つまたは複数の、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を持つポリマー多孔性膜を含む組成物を作製する方法を含む。修飾多孔性膜は安定で、非−濡れ破壊性であり、その機械的強度を保持する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
濾過は、製品純度および方法純度を与えるために、製薬、マイクロエレクトロニクス、化学および食品工業で使用することができる。これらの用途において、多孔性膜は、流体から粒子、イオンおよび他の汚染物質を除去することができる。細孔径が、限外濾過(およそ0.001μm)から精密濾過(およそ10μm)の範囲であることができるこれらの多孔性膜は、化学的に適合性であり、機械的に安定なポリマーマトリックスから作製することができ、適度の保持力、細孔径または細孔径分布および厚さを有する。微小孔膜における細孔の径は、約0.01から約5.0ミクロン程度の範囲であることができ、除去される不純物の粒径またはタイプ、圧損要件および用途の粘度要件によって選択することができる。使用において、多孔性膜は、一般に、粒子、微生物またはプロセス流体からの溶質の除去を行うために、流体の流れの内に挿入するために適合されたデバイス中へ組み込まれる。
【0002】
流体濾過または精製は、下流側におけるよりも膜の上流側で高圧の帯域を創り出す膜を横断する圧力差の下で、プロセス流体を膜フィルターに通すことにより通常行われる。濾過される液体は、多孔性膜を横切る圧損を経験し、膜は機械的ストレスに掛けられる。この圧力差は、また、液体からの溶解したガスの沈殿をもたらすことができ、多孔性膜の上流側での液体は、多孔性膜の下流側での液体よりも溶解したガスの高濃度を有する。これは、空気等のガスが、低圧での液体におけるよりも高圧での液体中で大きな溶解度を有するために起る。液体が多孔性膜の上流側から下流側へと通過する際に、溶解したガスは溶液の外に出て液体中でおよびまたは多孔性膜表面上で泡を形成し得る。ガスのこの沈殿は、普通、液体のガス発生と称される。液体のガス発生は、また、液体が溶解ガスを含み、ガスを溶液の外へ出すための推進力、例えば、核生成部位、温度における変化、または多孔性膜の表面上で泡またはガスポケットの形成をもたらす化学組成における変化が存在する限り、圧力差なしで自然に起り得る。医薬、半導体デバイスおよびディスプレーの製造において一般的に使用されるガス発生液体としては、非常に高純度の水、オゾン化水、過酸化物含有液体、アルコール等の有機溶剤および化学的に活性な他の液体、例えば、酸化剤を含むことのできる濃縮水性酸または塩基を挙げることができる。
【0003】
これらの化学的に活性な液体の膜濾過は、使用中のフィルターから放出される抽出性物質をもたらし得る膜劣化および一体性の損失を防ぐために化学的に不活性なフィルターの使用から恩恵を受ける。ハロゲン化ポリオレフィン、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素含有ポリマーで作製された膜フィルターは、普通、これらの用途において利用される。フッ素含有ポリマーは、これらの化学的不活性および化学的攻撃に対する優れた抵抗性が良く知られている。フッ素含有ポリマー膜は低い表面エネルギーを有し、これらは疎水性であり、したがって、そのようなポリマーで作製された膜は、膜の表面エネルギーよりも著しく大きい表面張力を有する水性液体または他の液体で濡らすことが難しい。ガス発生液体を疎水性多孔性膜で濾過する間に、多孔性膜は、濾過工程中の圧力差の推進力下で、溶解ガスが溶液の外へ出るための核生成部位を用意することができる。内部細孔表面および外部または幾何学的表面を含めた疎水性膜表面上のこれらの核生成部位で溶液の外へ出るガスは、膜へ接着するガスポケットを形成し得る。これらのガスポケットは、連続のガス発生によりサイズが成長するので、これらは、膜の有効濾過面積を減少させ得る膜の細孔から液体の置換えを開始し得る。この現象は、多孔性膜の液体で濡れた、または液体で満ちた部分が、ガスで、満ちた部分に徐々に転換されるので、通常、多孔性膜の濡れ破壊(dewetting)と称される。
【0004】
多孔性膜の濡れ破壊は、また、例えば、水性流体で濡れた疎水性膜等の湿潤膜が空気等のガスに暴露される場合に自然に起り得る。この濡れ破壊現象は、フルオロカーボンを基にした膜においてより頻繁に起り、一層目立つことが分かった。また、濡れ破壊が起る割合は、大きな径の細孔膜におけるよりも、0.2ミクロン以下のような小さな径の細孔膜において大きいことも分かった。
【0005】
このように、膜フィルターは時間と共に乾くので、フィルターが新たに装着され、したがって完全に濡れている場合と比べて、単位時間当たりのプロセス液体の同じ容量を精製または濾過することが一層難しくなる。新たなフィルターの装着、乾いたフィルターの再湿潤化、即ち減少した液体流量を補償するためのプロセスにおける変更は、使用者にとって高い運転コストへ姿を変える。再湿潤化は時間を消費し、多くの場合、処理されねばならない引火性液体を利用し、時間の掛かる洗浄を必要とする。
【0006】
PTFE膜表面は、これらの性質を修飾して、それらをより親水性にするために処理されている。国際特許公開第WO03/070784号で記載されている一方法は、膜を反応体溶液、例えば、ジクロロメタンのような溶媒中の水素化ホウ素ナトリウムおよびアントラキノンに暴露し、膜および溶液を熱またはUVに暴露することにより、膜の生体適合性を改善するための方法を開示している。国際特許公開第WO/04/007060号は、NaSOまたは他の化学物質の存在において、UV放射線によりPTFE膜を修飾するための方法を開示している。これらの方法は、膜から金属抽出性物質をもたらし、高純度用途における使用前に膜の徹底的な洗浄を必要とし得るナトリウム含有試薬の使用を含む。親水性PTFE膜を作製するための他の方法は、米国特許出願公開第20020144944号および国際特許公開第WO/01/58577号で記載されている、PTFEを親水性化学物質で被覆することである。多孔性膜の被覆は、コンポジット膜の表面エネルギーを変更するのに使用することができるが、被覆は、一般的に、溶剤、例えば有機溶剤から膜へ適用され、硬化ステップを必要とする。この被覆方法は、多孔性膜の細孔径を変更し、膜製造のためのコストおよび時間に加わる、除去および処理を必要とする化学的廃棄物を創り出す。
【0007】
乾燥方法は多孔性PTFE膜を修飾するのに使用することができる。米国特許第5282965号は、膜修飾を行い、膜の小繊維破壊を防ぐために、約0.01torrと10torrの間の圧力でPTFE膜を処理する高周波(RF)真空プラズマを開示している。それは、また、膜が、膜表面に対する損傷を防ぎまたは避けるために、1から20cmの、電極と膜との距離に膜を置くことを開示している。常圧がまたは多孔性膜の電極との接触が、多孔性膜の弱体化につながる細繊維破壊または膜損傷を引き起すことなく膜を修飾するために使用することができることは、この開示からは明らかとなっていない。
【0008】
US6074534は、真空条件において、マイクロ波発生プラズマ中で多孔体の湿潤性を増加する方法を実施するためのデバイスを開示している。この多孔体は、焼結粉末、例えばポリエチレンから作製され、1ミクロンから約50ミクロンの範囲の細孔を有するマーカーチップを形成する。この開示は、組成物を開示せず、またはPTFEのような相対的に不活性なポリマーの薄い多孔性膜もしくは微小孔膜が、安定な湿潤性および高強度を持つ多孔性材料を形成するために如何にして常圧で処理できるかを示していない。
【0009】
常圧不平衡プラズマと結び付いたマイクロ波を使用して(Shenton et al.、J.Polymer Science:Part A、vol.40、95頁−109頁、(2002年)、およびShenton et al.、J.Phys D:Applied Physics、vol.34、2761頁−2768頁、(2001年))、シェントン(Shenton)は、表面クリーニング(グリース、離型剤または表面汚染等の弱い境界層の除去)、架橋および分枝ならびに厚さ0.1から1mmの非多孔性商品ポリマー基体(HDPE、LDPE、ポリプロピレンおよびPET等)の表面−化学構造修飾を観察した。シェントンは、基体の表面エネルギー等の表面の性質の強化を観察した。シェントンらは、薄い多孔性膜を修飾しなかった、および非−濡れ破壊性(non−dewetting)であり、ベース膜強度を実質的に保持した、長期間湿潤性を持つ多孔性膜接触湿潤可能材料を調製しなかった。
【0010】
米国特許第6709718号は、気泡形成剤を含む多孔性膜のRF常圧プラズマ処理を開示している。RF常圧プラズマ処理は、膜(気泡形成剤を含むポリオレフィンの0.1ミクロンから10ミクロンの細孔の多孔性シート)の親水性を改善することが報告されている。インク浸透試験を受けたフィルムサンプルは約60%未満の値を有し、この多孔性膜はインクと完全には接触湿潤可能ではないことを示した。
【0011】
米国特許第5895558号は、プラスチックフィルム、繊維または多孔性基体を親水性にするための常圧RFプラズマ(13.5MHz)処理を開示している。短時間処理、例えば、15、8および5秒の短時間処理が、不織ポリプロピレンサンプルを水濡れ可能とするために使用された。これらの材料は直ぐに湿潤性とはならなかった。約3から約10秒の吸収時間を必要することは明らかである。短い暴露時間および厚い溶融吹込み材料の使用が、処理される基体への損傷を減少させるために使用された。特に薄い多孔性膜上で親水性材料を形成するために、膜に対する損傷を引き起すことなく、より長い処理時間を使用することは明らかにされていない。
【0012】
米国特許第6118218号は、プラズマ処理システムの電極の1つにおいて多孔性金属層を導入することを開示している。プラズマガスは、実質的に常圧で電極中へ注入され、多孔性層を通って拡散することができ、それによって均質なグロー放電プラズマを形成する。食品包装工業において通常使用されているポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリエチレンテレフタレート基体等の有機フィルムは、常圧条件でのプラズマ中で処理された。種々のAC−電圧周波数が、結果において顕著な差のない60Hzから20kHzの範囲で使用された。安定したグロー放電が、以前に可能なものよりも実質的に低い周波数で生成できることが開示された。多数のテストは、1kHzで成功裡に常態的に行われ、良好なグロー放電は、60Hzと低い周波数で生成された。修飾されたフィルムの表面エネルギーは、常圧プラズマ処理後に時間と共に減少し、幾つかは20%以上まで減少することが明らかであった。
【0013】
T.Kasemura、S.Ozawa、K.Hattori、「Surface Modification of Fluorinated Polymers by Microwave Plasmas」、J.Adhesion、33:33頁(1990年)は、減圧で、マイクロ波プラズマ処理フィルムサンプルの改善された湿潤性を観察した。
【発明の開示】
【0014】
要旨
本発明の形態は、膜の1つまたは複数表面が常圧マイクロ波(APMW)プラズマにより修飾されている多孔性ポリマー膜を含む組成物を含む。プラズマ修飾膜は、非−濡れ破壊性であり、水中のMeOHの初めの溶液との接触で濡れることができる(APMWプラズマ修飾多孔性膜を接触湿潤するための初めの溶液における水中のMeOHの最少量が、接触が多孔性膜の未処理のそのままのサンプルを湿潤する参照または対照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少ない。)。本発明の幾つかの形態において、この膜は、プラズマ発生デバイスの回転電極と接触しながら修飾される。この膜は、フィルターを含む、熱および物質移動用の種々の物品ならびに液体膜で使用することができる。
【0015】
本発明の幾つかの形態は、膜の1つまたは複数の表面が常圧マイクロ波プラズマ処理で修飾された構造および化学を有する、ハロゲン化ポリオレフィンから作製された未被覆多孔性ポリマー膜を含む組成物である。プラズマ修飾膜は非−濡れ破壊性であり、水中のMeOHの96重量%以下の溶液で湿潤可能である。一方、未処理サンプルは水中のMeOHの97重量%の溶液で接触湿潤である。
【0016】
膜の表面は酸素源を含むAPMWプラズマ中で修飾されることができる。非−濡れ破壊性表面修飾膜は、未処理膜とは異なる酸素対炭素比を有することができる。この多孔性膜組成物の形態において、O/C比は、APMWプラズマ修飾多孔性膜を接触湿潤するための初めの溶液における水中のMeOHの最少量が、接触が多孔性膜の未処理のそのままのサンプルを湿潤する参照または対照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、水中のMeOHの初めの溶液と均一に湿潤可能である膜を特徴付ける。幾つかの形態において、初めの溶液は、MeOHの96重量%以下を有する、メタノールおよび水の混合物である。本発明の幾つかの形態において、修飾膜表面のO/C比は、約0.06および約0.08の間にあることができる。本発明の幾つかの形態において、修飾膜表面のO/C比は、約0.04および約0.08の間にあることができる。
【0017】
本発明の形態における常圧マイクロ波プラズマで修飾された多孔性膜の表面は、多孔性膜を接触湿潤するための初めの溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理のサンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、幾つかの形態においては少なくとも4%少ない、水中のMeOHの初めの溶液と膜を接触湿潤可能とする表面官能基および形態を有する。これらのマイクロ波プラズマ処理ポリマー膜表面の接触湿潤性は、10日以上の間変化せずにまたは本質的に変化せずに残りおよびまたは安定してまたは本質的に安定して残る。プラズマ修飾ポリマー多孔性膜は、組成物が、ガス含有液体に接触した後も液体との濡れを残すような非−濡れ破壊性である。
【0018】
常圧マイクロ波プラズマ修飾される多孔性膜は、篩分け粒子保持を与える細孔または細孔の分布を有する単独層であることができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は、種々の層において同じかまたは異なる径を有する細孔を有することができる1つまたは複数の層を含むことができる。この多孔性膜は、その意図した使用に適した厚さおよび化学抵抗性を有することができ、幾つかの形態において、膜は約30ミクロン未満の厚さである。この多孔性膜は未被覆であることができる。
【0019】
本発明の形態において、マイクロ波力、膜温度、ガスタイプおよびガス流量、プラズマ密度ならびに処理時間の組合せが多孔性膜の表面を官能化して、未修飾の多孔性膜の強度を実質的に維持しつつ改善された安定な湿潤性を多孔性膜に与える。プラズマ条件の組合せは、非−濡れ破壊性である多孔性膜を与える。これらの常圧マイクロ波プラズマ表面修飾多孔性膜は、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を持たない多孔性膜の強度の少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%以上である強度を有することができる。
【0020】
本発明の一形態は、ハロゲン化ポリオレフィンの微小孔ポリマー膜を含む組成物であり、この微小孔膜は、水のような液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する。この微小孔膜は、修飾表面上に置かれた水中の96重量%以下のMeOHの溶液で急速に、例えば1−2秒で、均一に濡れる、膜上の1つまたは複数の常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を有する。APMWプラズマ修飾多孔性膜表面は、組成物の湿潤性が、周囲貯蔵下で10日以上後、幾つかの形態においては70日以上後でも変化せずまたは本質的に同じであるように安定である。本発明の形態における微小孔膜は、貴ガスまたは酸素源を伴う貴ガスを含む常圧マイクロ波プラズマで修飾された表面を含むことができる。常圧マイクロ波プラズマ修飾微小孔膜は、水のような液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する。幾つかの形態において、微小孔ポリマー膜は、常圧マイクロ波プラズマ処理前は被覆なしである。
【0021】
本発明の一形態は、ハロゲン化ポリオレフィンの微小孔ポリマー膜からなるまたは含む組成物であり、この微小孔膜は、水のような液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する。この微小孔膜は、処理された多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のメタノールの最少量が、未処理の多孔性膜を接触湿潤するために使用される参照溶液における水中のメタノールの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、幾つかの実施形態において、少なくとも4重量%少ない溶液と接触湿潤である、膜上の1つまたは複数の常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を有する。APMWプラズマ修飾多孔性膜表面は、組成物の湿潤性が、空気中の乾燥膜として、周囲条件下で貯蔵して10日以上後も、幾つかの形態においては70日以上後も変化せずまたは本質的に同じであるように安定である。本発明の形態における微小孔膜は、貴ガスまたは酸素源を伴う貴ガスを含む常圧マイクロ波プラズマで修飾された表面を含むことができる。常圧マイクロ波プラズマ修飾微小孔膜は、水のような液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する。幾つかの形態において、微小孔ポリマー膜は、常圧マイクロ波プラズマ処理前は被覆なしである。
【0022】
微小孔膜の表面は、酸素源を含むことのできるプラズマ中で修飾されることができる。非−濡れ破壊性表面修飾膜は、非プラズマ処理ベース微小孔膜とは異なる酸素対炭素比を有することができる。この組成物の形態において、修飾表面のO/C比は、多孔性膜を接触湿潤するための初めの溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、水中のMeOHの初めの溶液と均一に湿潤可能である、または接触湿潤可能である膜を特徴付ける。本発明の幾つかの形態において、修飾微小孔膜表面のO/C比は、約0.04および約0.08の間または約0.06から約0.08であることができる。幾つかの形態において、微小孔ポリマー膜は、酸素源を含むプラズマでの常圧マイクロ波プラズマ処理前は被覆なしである。
【0023】
ポリマー微小孔膜の常圧マイクロ波プラズマ修飾表面は、表面官能基と多孔性膜を接触湿潤するための初めの溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理のサンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、水中のMeOHの初めの溶液と湿潤可能である構造または形態を有し、これらの表面の湿潤性は、10日以上後も本質的に変化せずまたは本質的に安定である。プラズマ修飾ポリマー多孔性膜表面は、組成物が、ガス含有液体に接触した後も液体との濡れを残すような非−濡れ破壊性である。
【0024】
常圧マイクロ波プラズマ修飾される微小孔膜は、篩分粒子保持を与える細孔または細孔の分布を有する単独層であることができる。幾つかの形態において、この微小孔膜は、種々の層において同じか異なる径を有する細孔を有することができる1つまたは複数の層を含むことができる。この微小孔膜は、その意図した使用に適した厚さおよび化学抵抗性を有することができ、幾つかの形態において、この膜は約30ミクロン未満の厚さである。本発明の幾つかの形態において、常圧マイクロ波プラズマ修飾微小孔膜は、液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有し、幾つかの形態において、これは、液体中で0.05ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有し、なお他の形態において、修飾微小孔膜は、液体中で0.03ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有することができる。
【0025】
力、温度、ガスタイプおよびガス流量、プラズマ密度ならびにプラズマ処理時間の条件は、多孔性膜の表面を官能化し、ガス含有液体との接触後に非−濡れ破壊性であり、未処理膜の強度特性を実質的に維持する接触湿潤可能な多孔性膜を形成する。これらの常圧マイクロ波プラズマ表面修飾多孔性膜は、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を持たない多孔性膜の強度の少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である強度を有する。これらの常圧プラズマ修飾微小孔膜は、フィルターを含めた種々の物品および液体膜で使用することができる。
【0026】
本発明の一形態は、多孔性物品の1つまたは複数の表面の親液性を修飾する方法である。この方法は、多孔性膜を、幾つかの例においては未被覆多孔性膜を、ガス含有常圧マイクロ波プラズマと接触させる行為またはステップおよび多孔性膜の表面をプラズマで処理する行為またはステップを含むことができる。処理された多孔性膜表面は、結節点、細繊維、細孔内部、細孔の部分、膜の外側表面およびこれらの組合せを含み得る。この多孔性膜の表面はプラズマと相互作用およびまたは反応する。このプラズマと多孔性膜との相互作用は、多孔性膜が非−濡れ破壊性であり、膜の強度または平均強度が、未被覆多孔性膜の強度の約70%未満に減少しないように、物品の接触湿潤性が増加するまで続く。この処理は連続方法において行うことができる。
【0027】
本発明の幾つかの形態において、この多孔性膜は微小孔膜であり、なお他の形態において、この多孔性膜は未被覆微小孔膜であることができる。この微小孔膜は、液体中で0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRV、液体中で0.05ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRV、液体中で0.03ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有することができる。この多孔性または微小孔膜はハロゲン化ポリオレフィンを含むことができる。
【0028】
本発明の実施形態は、水中で0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3のLRVを有するハロゲン化ポリオレフィン微小孔膜を含む組成物を含むことができ、修飾された膜は約0.06を超えるO/C比を持つ1つまたは複数の表面を有する。この多孔性膜の実施形態は、水中のMeOHの96重量%以下の溶液と10日以上の後に接触湿潤可能であり、水中で約135℃の温度で、約40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性である。この組成物の幾つかの形態において、ハロゲン化ポリオレフィンはポリテトラフルオロエチレンである。この組成物の形態は、膜が約30ミクロン以下の厚さを有する場合に少なくとも12ニュートンの繊維方向強度(WD)および(機械方向強度)MDを有する微小孔膜であることができる。幾つかの実施形態において、この微小孔膜は、水中のMeOHの94重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、水中で約135℃の温度で、約40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性である。
【0029】
これらの接触湿潤可能な微小孔膜は、1つまたは複数の領域または層を有することができ、カルシウムおよびナトリウムを含む抽出性イオンを合計約200ppb未満有する。幾つかの実施形態において、この多孔性膜表面のO/C比は約0.06から約0.08の範囲である。
【0030】
この多孔性膜の表面は、酸素源を、幾つかの形態において、その組成が空気とは異なる、不活性ガスまたは貴ガスにおける酸素源を含むことのできる常圧マイクロ波プラズマ中で修飾することができる。非−濡れ破壊性表面修飾多孔性膜は、非プラズマ処理ベース多孔性膜とは異なる酸素対炭素比を有することができる。この組成物の形態において、修飾表面のO/C比は、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、水中のMeOHの溶液と均一に湿潤可能である、または接触湿潤可能である多孔性膜を特徴付ける。本発明の幾つかの形態において、修飾多孔性膜表面のO/C比は約0.04および約0.08の間または約0.06から約0.08であることができる。
【0031】
常圧マイクロ波プラズマ方法は、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、水中のMeOHの溶液と湿潤可能であり好ましくは接触湿潤可能である表面官能基および構造または形態を有する、ポリマー多孔性膜上の修飾表面を形成し、これらの表面の湿潤性は、10日以上後も本質的に変わらずまたは本質的に安定である。常圧マイクロ波プラズマ修飾ポリマー多孔性膜表面は、組成物が、ガス含有液体に接触した後も液体との濡れを残すような非−濡れ破壊性である。
【0032】
本方法は、被覆なしまたは被覆多孔性膜を修飾するために使用することができる。この多孔性膜は、本発明の幾つかの形態においては微小孔膜であることができる。本発明の形態における常圧マイクロ波プラズマ方法は、1つまたは複数の層を含むことのできる多孔性膜を修飾するために使用することができる。例えば、この多孔性膜は、篩分粒子保持を与える細孔または細孔の分布を持つ単独層を有することができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は、種々の層において同じか異なる径を有する細孔を有することができる1つまたは複数の層を含むことができる。この微小孔膜は、その意図した使用に適した厚さおよび化学抵抗性を有することができ、幾つかの形態において、この膜は約30ミクロン未満の厚さである。常圧マイクロ波プラズマ方法は、脱イオン水または純水のような液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有し、液体中で0.05ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有し、または液体中で0.03ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する微小孔膜を修飾するために使用することができる。
【0033】
常圧マイクロ波プラズマ処理方法のために使用される力、温度、ガスタイプおよびガス流量、プラズマ密度ならびに時間の条件は膜の表面を官能化する。この方法により形成される多孔性膜は接触湿潤可能であり、非−濡れ破壊性であり、未処理膜の強度の実質的部分または大部分を保持する。常圧マイクロ波プラズマ表面修飾多孔性膜は、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を持たない多孔性膜の強度の少なくとも70%、幾つかの形態においては少なくとも80%、または他の形態においては少なくとも90%である強度を有する。この膜は、水中で約135℃の温度で、40分または約40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性である。これらの常圧プラズマ修飾多孔性膜は、フィルターを含めた種々の物品および液体膜で使用することができる。
【0034】
多孔性膜を常圧マイクロ波プラズマで処理するための方法は、膜の接触湿潤性を改善するガスを含む雰囲気を含むことができる。幾つかの実施形態において、ガスは酸素源を含むことができる。幾つかの形態において、酸素源は、プラズマガス組成物が空気とは異なる、不活性ガス、ヘリウムのような貴ガスまたはこれらの組合せとの混合物において存在してもよい。酸素源は任意の酸素含有化合物であることができる。幾つかの実施形態において、酸素源は水蒸気、アルコール、酸素ガスまたはこれらの組合せ等の化合物であることができる。幾つかの形態において、酸素源は空気である。本発明の形態は、異なるMeOHおよび水溶液で測定される、未処理膜サンプルと比較して改善された接触湿潤性を有する修飾多孔性膜を形成するためにそのようなガスでAPMW処理された多孔性膜を含み、幾つかの形態において、APMWプラズマ処理された膜は、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する参照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、幾つかの実施形態においては少なくとも4重量%少ない、水中のMeOHの溶液と接触湿潤であることができる。
【0035】
本方法は、常圧マイクロ波プラズマ修飾多孔性膜と1つまたは複数の支持体、例えば、繊維、ネット、コア、ケージ、エンドキャップまたはこれらの任意の組合せであってこれらに限定されない支持体とを結合して、フィルター等の種々の物品を形成する行為またはステップを更に含むことができる。この膜は、修飾膜を、1つまたは複数の任意の支持体、例えば、ネット、繊維、排水層またはこれらの組合せ等であってこれらに限定され支持体と一緒にひだ付けする行為により更に修飾することができる。
【0036】
有利なことに、本発明の形態は、未処理ベース膜と比べて、細繊維または他の粒子篩分構造の損失なしで、改善された湿潤性および改善された非−濡れ破壊性を持つ表面修飾多孔性膜を提供する。常圧プラズママイクロ波修飾多孔性膜材料は、ベース膜の強度および粒子保持性の大部分を維持する。予想外にも、この処理は、常圧で、多孔性膜の厚さ全体を通して改善された安定な湿潤性をもたらす。
【0037】
有利なことに、本発明の形態における常圧プラズマ修飾多孔性膜は被覆なしで作製することができる。例えば、常圧マイクロ波プラズマ処理は、膜表面非−濡れ破壊性および接触湿潤可能性を与えるために、ペルフルオロカーボンコポリマー組成物または他の結合被覆なしで、非−濡れ破壊性多孔性膜を形成することができる。
【0038】
本発明の形態における膜の常圧マイクロ波プラズマ処理は、未処理多孔性膜と実質的に同じ強度を有する、親液性として安定な、湿潤可能な膜を作製するための連続方法で使用することができる。この方法は常圧で実施できるので、真空ポンプは使用されず、多孔性膜の真空プラズマ処理と比較して、処理時間および運転コストを減少させる。多孔性膜上の、外部から適用される溶液を基にした被覆は、湿潤可能な多孔性膜を直接作製するためには使用されないので、流量損失およびまたは添加される抽出性物質に対する可能性が最小化されまたは回避され得る。同様に、有機液体およびイオン含有試薬は、本発明の形態における多孔性膜の表面を修飾するために使用されないので、多孔性膜およびそれを作製するための方法は、ナトリウムおよび他の金属イオンのような汚染物質ならびに、徹底的な洗浄、乾燥および膜修飾溶剤または試薬の廃棄を回避する。
【0039】
説明
本発明組成物および方法を説明する前に、本発明は、説明されている特定の分子、組成物、方法またはプロトコルに限定されるものではなく、これらは変動するものであることが理解されるべきである。また、説明で使用される用語は特定の形態だけを説明することの目的のためであって、添付の特許請求の範囲でのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0040】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別途指示しない限り、複数参照を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「細孔」と言う場合は、当業者に公知の1つまたは複数の細孔およびこの均等物を意味する等々。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において説明されているものと同様か均等の任意の方法および材料は本発明の形態の実施またはテストで使用することができるが、方法、デバイスおよび材料の非限定的例がここでは説明される。本明細書において言及された全ての刊行物は参照により組み込まれる。本発明が、先行発明に基づく開示が先行するために権利が与えられないとすることを是認するものとして解釈されるべきものはここにおいては全く存在しない。
【0041】
本発明の形態は、膜の1つまたは複数の表面が常圧マイクロ波(APMW)プラズマで修飾された多孔性ポリマー膜を含む。この膜は、ハロゲン化ポリオレフィン、例えばポリテトラフルオロエチレンまたは修飾ポリテトラフルオロエチレン等であってこれらに限定されないハロゲン化ポリオレフィンから作製することができる。多孔性ポリマー膜は未被覆多孔性膜であることができ、幾つかの形態において、微小孔膜であることができる。
【0042】
幾つかの形態において、本発明の多孔性ポリマー膜、即ち、常圧マイクロ波(APMW)プラズマ表面修飾膜は、未処理膜とは異なる酸素対炭素比を有し、幾つかの実施形態において、0.06および0.08の間の多孔性膜表面のO/C比を有する。常圧マイクロ波(APMW)プラズマ表面修飾多孔性膜は、処理された多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のメタノールの最少量が、(APMWプラズマ処理されていない)多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤するための参照溶液における水中のメタノールの最少量よりも少なくとも1重量%少ないような、幾つかの形態において、処理された多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のメタノールの最少量が未処理の多孔性膜を接触湿潤するための参照溶液における水中のメタノールの最少量よりも少なくとも4重量%少ないような表面構造を有する。本発明の幾つかの形態において、APMWプラズマ処理多孔性膜は、水中で135℃の温度で、40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性である。
【0043】
常圧マイクロ波(APMW)プラズマ表面修飾多孔性膜の形態は、処理された膜が、メタノールの96重量%以下を有するメタノールおよび水混合物の初めの溶液で濡れることのできるような表面構造を有することができる。幾つかの形態において、処理された多孔性膜は、10日後に、メタノール96重量%の水溶液で接触湿潤可能である。多孔性膜は、過フッ素化材料、ハロゲン化ポリオレフィンまたは他の組成物であることができる。
【0044】
常圧マイクロ波プラズマで処理された多孔性ポリマー膜は、篩分粒子保持を与える細孔径または細孔径の分布を有する単独層膜であることができる。幾つかの形態において、処理された多孔性膜は、種々の層において同じ径を有する細孔を有する複数の層を含み、またはなお他の形態において、多孔性膜は、種々の層において異なるサイズを有する細孔を有する複数の層を含むことができる。APMW処理微小孔膜は、水中で0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有する。1つまたは複数の領域もしくは層を有するAPMWプラズマ処理微小孔膜は、カルシウムおよびナトリウムを含めて、例えば、10%HClで一晩中の抽出で抽出可能なイオンを合計で10億当たり200部未満を有することができる。
【0045】
本発明の幾つかの形態において、1つまたは複数の領域もしくは層を有するAPMWプラズマ処理微小孔膜は、未処理の多孔性膜の強度の少なくとも70%である強度を有することができ、幾つかの形態において、この微小孔膜は30ミクロン未満の厚さであることができる。幾つかの形態において、1つまたは複数の領域もしくは層を有するAPMWプラズマ処理微小孔膜は、膜が30ミクロン以下の厚さを有する場合に、少なくとも12ニュートンの繊維方向強度(WD)および機械方向強度MDを有することができる。
【0046】
本発明の一形態は、多孔性物品、例えば、多孔性または微小孔膜の1つまたは複数の表面の親液性を修飾するための処理方法であり、この方法は、多孔性物品を、ガスを含む常圧マイクロ波プラズマと接触させるステップ、および多孔性物品の表面をプラズマで処理するステップを含む。多孔性膜は被覆または未被覆多孔性膜であることができる。
【0047】
本発明方法で処理された、微小孔膜も含めた多孔性ポリマー膜は、未処理の多孔性膜の強度の少なくとも70%である強度を有することができる。幾つかの形態において、1つまたは複数の領域もしくは層を有するAPMWプラズマ処理微小孔膜は、膜が30ミクロン以下の厚さを有する場合に、少なくとも12ニュートンの繊維方向強度(WD)および機械方向強度MDを有することができる。
【0048】
多孔性または微小孔膜はハロゲン化ポリオレフィンを含むことができる。幾つかの形態において、この膜は、ポリテトラフルオロエチレンまたは修飾ポリテトラフルオロエチレンを含むことができる。幾つかの形態において、微小孔ポリマー膜は、常圧マイクロ波プラズマ処理前に被覆なしであることができる。
【0049】
常圧マイクロ波プラズマ処理方法は、結節点、細繊維、細孔内部、細孔の部分、膜の外側表面およびこれらの任意の組合せから選択される多孔性膜表面を処理して、これらを、未処理の多孔性膜表面よりも更に親水性または親液性にするために使用することができる。この処理は、多孔性物品の濡れ破壊性を修飾するのに役立つ。本発明の幾つかの形態において、プラズマと多孔性膜との相互作用は、処理された多孔性膜が非−濡れ破壊性であり、膜の強度または平均強度が、未処理の多孔性膜の強度の70%未満に減少しないように、処理された膜の接触湿潤性が増加するまで続けられる。
【0050】
本発明方法の幾つかの形態において、膜の表面は、酸素源を含むAPMWプラズマ中で修飾される。酸素源は、水蒸気、アルコール、空気またはこれらの任意の組合せから選択することができる。本発明方法の幾つかの形態において、プラズマは、貴ガスを含み、他の形態において、1つまたは複数の貴ガスまたは不活性ガスだけを含む。膜のAPMWプラズマ処理は、多孔性材料シートのスプールから連続方法において実施することができる。
【0051】
APMWプラズマ処理多孔性膜は、1つまたは複数の支持体へ結合させることができる。この支持体は、濾過カートリッジを形成するために、繊維、ネット、コア、ケージ、エンドキャップまたはこれらの任意の組合せから選択することができる。本発明の幾つかの形態において、処理された膜は、処理された膜を1つまたは複数の支持体と一緒にひだ付けする行為により更に修飾される。ひだ付けされる膜用の支持体は、ネット、繊維、排水層、またはこれらの任意の組合せから選択することができる。
【0052】
本発明の形態は、ポリマー多孔性膜組成物および膜上に1つまたは複数の、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を含む組成物を作製する方法を含むことができる。多孔性膜の常圧マイクロ波プラズマ処理は、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する対照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少ない、水中のMeOHの溶液と接触湿潤可能である材料を提供する。これらの組成物は、また、安定な湿潤性、ベース膜の機械的強度の実質的な部分の保持を与え、低い抽出性物質を有し、非−濡れ破壊性多孔性膜でありまたはこれらの性質の組合せである。
【0053】
これらの多孔性膜は、多孔性ポリマー膜の1つまたは複数の表面を、ガスを伴う、約大気圧の圧力のマイクロ波を発生するプラズマと、多孔性膜が、未処理の多孔性膜を接触湿潤するために使用されるメタノールおよび水の溶液よりも少ないメタノールを含むメタノールおよび水の溶液と接触湿潤可能であるまで接触させる行為またはステップを含むことができる方法により調製され得る。幾つかの形態において、この方法は、水中で96重量%以下のメタノールの溶液で接触湿潤可能である修飾ハロゲン化ポリオレフィン多孔性膜を形成し、幾つかの形態において、この修飾多孔性膜は、水中でMeOHの95重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、幾つかの形態において、この修飾多孔性膜は、水中でMeOHの94重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、幾つかの形態において、この修飾多孔性膜は、水中でMeOHの93重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、幾つかの形態において、この修飾多孔性膜は、水中でMeOHの92重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、幾つかの形態において、この修飾多孔性膜は、水中でMeOHの90重量%以下の溶液と接触湿潤可能である。これらの実施形態において、未修飾多孔性膜は水中でMeOHの97重量%の溶液と接触湿潤可能である。この方法により調製された、改善された湿潤性を持つAPMWプラズマ処理膜は、未処理膜の強度特性を実質的に保持し、例えば、水での膜のオートクレーブテストにおけるように、ガス含有液体との接触により決定されるような非−濡れ破壊性である。この方法により調製された、改善された湿潤性を持つAPMWプラズマ処理膜は、約1%以下の、溶液におけるMeOH濃度内に、メタノールおよび水溶液とこれらの接触湿潤性を実質的に保持し、この多孔性膜は、約10日を超え、幾つかの形態において、約70日を超える時間の間これらの湿潤性を保持する。本発明の幾つかの形態において、APMWプラズマ処理膜は、10日以上後、幾つかの形態においては70日以上後の、空気中の周囲貯蔵後のその接触湿潤性を保持した。
【0054】
常圧マイクロ波プラズマ処理のための条件は、常圧マイクロ波プラズマ修飾表面を持たない未修飾ベース多孔性膜の強度の少なくとも70%、幾つかの形態においては少なくとも80%、または他の形態においては少なくとも90%、なお他の形態においては少なくとも95%である強度を有する表面修飾多孔性膜を与えるために選択することができる。例えば、膜の引張り強度が特徴付けられ、未処理の多孔性膜と比較され得る。サンプルの引張り強度は、多孔性膜サンプル、例えば約2.5cm×7.5cmのサンプルを用いて、機械方向(MD)および繊維方向(WD)のそれぞれにおいて決定するこができる。膜サンプルは、ヘッド間において約2.5cmの間隙を持つ2つのヘッドで締め付け、次いで、一端から引張ることができる。引張られた膜サンプルについての力データは記録することができ、膜サンプルが破断した場合の最大荷重を決定することができる。修飾されたまたは対照多孔性膜サンプルの引張り強度は、測定された最大荷重およびサンプルサイズに基づいて計算することができる。
【0055】
本発明の形態における修飾膜を作製するために使用することのできるマイクロ波周波数は、約300MHzより上のマイクロ波周波数を含むことができる。本発明の幾つかの形態において、多孔性ベース膜を処理するために使用することのできるマイクロ波周波数の範囲は、約800MHzから約2450MHzであることができる。本発明の幾つかの形態において、源のマイクロ波周波数は約2.45GHz(2450MHz)である。
【0056】
本方法は、物質およびまたは熱移動操作にとって有用な交換カートリッジを形成するために、APMWプラズマ修飾膜と、1つまたは複数の支持体、例えば、繊維、ネット、コア、ケージ、エンドキャップまたはこれらの任意の組合せであってこれらに限定されない支持体とを結合する行為を含みまたは含有する。この方法は、結合前にAPMWプラズマ修飾膜をひだ付けするための行為を更に含むことができる。
【0057】
APMWプラズマ処理多孔性膜は、修飾膜に接触する流体に伴う不純物、交換エネルギーまたはこれらの任意の組合せを除去するために使用することができる。この状態調整された流体は、他の液体、粉末または基体と一緒に化学反応または方法で使用することができる。
【0058】
多孔性膜の常圧マイクロ波プラズマ処理は、接触湿潤性、膜強度、安定な湿潤性、非−濡れ破壊性またはこれらの組合せの所望の組合せおよび程度を与える期間中に起る。多孔性膜は、静的(バッチ)方式、連続方法、またはこれらの組合せにおいて処理することができる。本発明の幾つかの形態において、膜は、プラズマ発生デバイスの移動または回転電極と接触しながら修飾される。プラズマ処理は、多孔性膜の繊維またはフィルムについて単独プラズマ暴露、連続暴露方法において起すことができ、あるいは、それは、常圧マイクロ波プラズマを通る1つまたは複数通過を含むことができる。連続処理方法の幾つかの形態において、マイクロ波プラズマを通る多孔性膜の通過の速度は、約1メートル/秒から約25メートル/秒の範囲であることができる。幾つかの形態において、遅い処理速度が、良好な処理結果を得るために使用されてもよい。この方法の幾つかの形態において、プラズマを通る膜またはこの膜の部分的修飾形態の通過の回数は、約1から約10回通過の範囲であることができる。幾つかの形態において、多孔性膜は、約30秒から約180秒間APMWプラズマで処理される。
【0059】
本発明の形態において利用されるプラズマ発生パラメータは、これらが、安定な湿潤性、ベース膜の機械的強度の大部分、低い抽出性物質、非−濡れ破壊性多孔性膜またはこれらの組合せ等であってこれらに限定されない性質を持つ多孔性膜を作製するために選択されること以外は、いずれの特定の密度または力に限定されない。幾つかの形態において、多孔性膜は、約30から約150ワット/cmの範囲であることのできる全力密度で処理することができる。幾つかの形態において、プラズマ処理密度は、約90から約510ワット−秒/cmの範囲であることができる。この力は、約400から約2400wの範囲であることができる。幾つかの形態において、この力は2400ワット以上であることができる。任意の前および後プラズマ暴露処理が、膜の表面を更に官能化するために選択することができる。
【0060】
本発明は、多孔性膜およびこれらを作製する方法を含むことができ、この多孔性膜は、初めに存在するまたはプラズマ装置中へ供給されるガスの存在においてAPMWプラズマ処理されていて、この処理は、未処理の多孔性膜サンプルと比較して、多孔性膜の接触湿潤性を改善する。例えば、ヘリウムまたはアルゴンのような貴ガス、酸素のような活性ガス、窒素のような不活性ガス、不活性または貴ガスの精製源または二酸化炭素およびアンモニアのような更に複雑なガス分子等のガスがプラズマ中へ供給されてよく、またはプラズマ中で存在してもよい。種々の実施形態において、これらのガスは(2つ以上のガスの)混合物で使用されてよい。適当な混合物の例としては、空気、水または他の酸素含有液体等の添加される蒸気の制御された量を伴う特別清浄な乾燥空気源を挙げることができるが、これらに限定されず(例えば、2004年7月21日出願で、その全体を参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2005/010619号、Lithographic Projection Apparatus、Gas Purging Method、Device Manufacturing method and Purge Gas Supply System、Parekh et al.を参照されたい)、空気とは異なる酸素源を伴う貴ガスまたは不活性ガスの混合物、貴ガスおよび酸素を含有するガスまたは他の適当なガス混合物が使用されてよい。本発明の幾つかの形態において、プラズマは酸素源を含むガスから誘導される。例えば、不活性または貴ガスと酸素の混合物。幾つかの形態において、酸素源は、空気、酸素、二酸化炭素、水蒸気またはこれらの組合せであってよいがこれらに限定されない。幾つかの形態において、酸素源は、酸素含有化合物、例えば、過酸化物、メタノールのような有機液体、水、またはこれらの組合せ等から発生した蒸気を含むことができる。幾つかの形態において、酸素源は、オゾン、オゾンおよび酸素、二酸化硫黄または空気を除く他のガスのようなガスである。幾つかの形態において、酸素源を含むガス混合物は、空気において見出されるものとは異なる、ガスおよび酸素の混合物を形成するために相対的割合において組み合わせることができる。本発明の幾つかの形態において、膜は空気の雰囲気から誘導されるプラズマで修飾される。貴ガスとは、He、Ne、Ar、これらの混合物等を意味し、貴ガスは空気において見出されるよりも多い量において存在する。
【0061】
常圧プラズマを形成するガスの圧力は、プラズマを維持し、多孔性膜と相互作用してその性質を修飾する。本発明の幾つかの形態において、プラズマ室の圧力は、機械的真空ポンプの使用なしで維持することができる。プラズマの圧力はほぼ大気圧であることができる。本発明の幾つかの形態において、膜が常圧マイクロ波プラズマで処理される室の圧力は約±250torr内の大気圧であることができ、幾つかの形態において、圧力は約±50torr内の大気圧であることができる。機械的真空ポンプなしで達成することのできる大気圧以外の圧力は、温度、平均自由経路および多孔性膜表面と相互作用するガス種の数を変更するために使用することができる。
【0062】
常圧マイクロ波プラズマ処理膜は、積み重ねディスク(プレートおよびフレームモデュール)、渦巻形モデュール、コアおよびケージカートリッジ、フラットシート、中空繊維モデュール等の濾過デバイスで使用することができる。APMWプラズマ処理膜は、1つまたは複数の支持体、コア、ケージまたは1つもしくは複数のエンドキャップへ結合させることができる。これらの支持体、コア、ケージ、エンドキャップまたは他の流体接触表面の一部もしくは全部は、また、プラズマ処理されてもよい。1つまたは複数のネットもしくは排水層は、また、ひだ付けして、処理膜のいずれかの側面に結合させることができる。常圧マイクロ波プラズマ処理膜、支持体、コア、ケージおよびエンドキャップは一緒に結合してカートリッジを形成することができる。幾つかの濾過用途において、フィルターデバイスは、プロセス流動路において入口および出口部を有するハウジングにおいて載置された置換可能なまたは永久に結合されたフィルターカートリッジの形態であることができる。そのようなフィルターカートリッジは、円筒状構成において配置されたひだ付け膜を有することができる。
【0063】
大気圧、プラズマ中のガス、マイクロ波周波数およびマイクロ波プラズマの熱的条件の組合せは、膜の強度を維持し、安定な接触湿潤性を与え、非−濡れ破壊性膜を与える化学的および物理的構造を持つ膜表面をもたらす。
【0064】
本発明の形態における常圧マイクロ波プラズマ修飾多孔性膜表面は、未修飾多孔性膜と比較して、増加した湿潤性または増加した表面エネルギーを与える化学的構造を有する。この修飾は、接触湿潤性が経時的に本質的に一定のままであり、または湿潤性が、初期プラズマ処理後に膜を接触湿潤するために使用される溶液におけるMeOHの添加量において1%以下で変化するように安定である。処理膜の幾つかの形態において、湿潤性は、少なくとも10日後、幾つかの形態において、少なくとも30日後、なお幾つかの他の形態において、少なくとも70日以上後の空気中の周囲貯蔵後の時間と共に変化しない。安定な接触湿潤性は、プラズマ処理後に貯蔵された処理膜が、使用中または貯蔵中に一貫した性質を有し、貯蔵寿命により制限されないので有益である。
【0065】
マイクロ波プラズマとの反応または相互作用により修飾された1つまたは複数の多孔性膜表面は、未処理膜の約±25%以内、幾つかの形態において、未処理膜の約±15%以内、なお他の形態において、未処理膜の±10%以内である、圧損、篩分粒子保持特性、膜強度、膜厚またはこれらの任意の組合せを有する処理基体を形成する。これは、存在する膜が、これらの強度または物理的構造特性に実質的に悪影響を及ぼすことなくAPMWプラズマ処理することができるので有利である。
【0066】
本発明の形態における常圧マイクロ波プラズマ修飾膜の非−濡れ破壊性表面は、多孔性膜の表面上に形成される極性官能基を含むことができ、これらの官能基は膜表面の化学的構造を修飾する。これらの官能基は、多孔性膜とのプラズマ相互作用または反応における1つまたは複数のガスにより形成することができる。官能基としては、膜表面の湿潤性または表面エネルギーを増加する、−C−O−C−、−C−OH、−C=O、−C(F)=O、−SOH、−SO−ならびに他の親液性およびまたは親水性基を挙げることができるがこれらに限定されない。膜表面の表面エネルギーを増加することにより、膜は液体と更に親液性になり、接触湿潤可能になる。幾つかの形態において、膜は、液体が水であり、水を含みまたは水溶液である場合、更に親水性になることで特徴付けられる。更なる親水性膜は、接触が膜を湿潤にする水との混合物におけるMeOHの量の減少によって例示される。親液性表面は、常圧マイクロ波プラズマ処理により、多孔性膜の流体接触表面の1つまたは複数の上に形成される。
【0067】
幾つかの実施形態において、多孔性膜の1つまたは複数の表面上の表面ポリマー基は、活性化と称されてもよいプラズマ処理中に化学基で置き換えられる。活性化中、プラズマは、ポリマーの表面上のポリマー結合を破壊し、それらを、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基または例えば、アミン官能基等の他の望ましい基で置換えまたは修飾することができる。活性化は、薄い被覆が化学的またはプラズマ処理で膜の表面上に形成される堆積方法とは異なる。
【0068】
修飾膜表面は、XPSで分析される表面が、未処理膜とは異なる酸素対炭素比、O/C比を有する組成物を有することができる。APMWプラズマ修飾膜の幾つかの形態において、この表面は、XPSで分析される表面が、未処理膜とは異なるフッ素対炭素比、F/C比を有する組成物を有することができる。本発明の幾つかの形態において、O/C比は、約0.06および約0.08の間であることができる。なお本発明の形態において、O/C比は、約0.04および約0.08の間であることができる。
【0069】
常圧マイクロ波プラズマ修飾多孔性膜は、それを未処理膜よりも低い表面エネルギーの溶液で接触湿潤可能とする表面構造および化学を有する。例えば、水の表面エネルギーは、アルコール等の混和性有機液体の異なる量を水へ添加することにより修飾することができる。幾つかの実施形態において、常圧プラズマで処理された多孔性ポリマー膜は水中のMeOHの種々の溶液で決定されてよい改善された接触湿潤性を有する。幾つかの形態において、改善された湿潤性を持つAPMWプラズマ処理膜は、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤するために使用される、水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ないMeOHを含む水溶液における水中のMeOHの最少量で接触湿潤であることができる。他の形態において、APMWプラズマ処理膜サンプルを接触湿潤させる溶液におけるMeOHの最少量は、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤するために使用される水中のMeOHの最少量よりも少なくとも2重量%少ない、幾つかの場合において少なくとも3重量%少ない、なお他の場合において少なくとも4重量%少ない、なお他の形態において少なくとも約4重量%から約少なくとも7重量%少ないMeOHを含む。例えば、本発明の幾つかの形態における未修飾膜は、水中の95−97重量%のMeOHで湿潤することができるが、調製された修飾多孔性膜表面は、水中のMeOHの96重量%以下の溶液で接触湿潤可能であり、他の形態において、この多孔性膜は、それを水中のMeOHの95重量%以下、水中のMeOHの94重量%以下、水中のMeOHの93重量%以下、水中のMeOHの92重量%以下または水中のMeOHの90重量%以下の溶液で接触湿潤可能とする表面構造および化学を有する。溶液におけるMeOHの含有量が低ければ低いほど、その非−濡れ破壊性を改善する処理膜の表面エネルギーは益々高くなる。常圧マイクロ波プラズマ処理膜の接触湿潤性は、空気において室温で少なくとも10日間の乾燥膜として周囲貯蔵後に、幾つかの形態において、少なくとも30日間の周囲貯蔵後に、他の形態において、70日以上の周囲貯蔵後に安定である。これは、フィルターの長期間使用およびガス発生液体における一貫した流動性にとって有益である。
【0070】
常圧マイクロ波プラズマ修飾多孔性膜は、それを未処理膜よりも低い表面エネルギーの溶液で接触湿潤可能とする表面構造および化学を有する。例えば、水の表面エネルギーは、アルコール等の混和性有機液体の異なる量を水へ添加することにより修飾することができる。調製された修飾多孔性膜表面の形態は、水中のMeOHの96重量%以下の溶液で接触湿潤可能であり、他の形態において、APMWプラズマ処理多孔性膜は、それを水中のMeOHの95重量%以下、水中のMeOHの94重量%以下、水中のMeOHの93重量%以下、水中のMeOHの92重量%以下、または水中のMeOHの90重量%以下の溶液で接触湿潤可能とする表面構造および化学を有する。溶液におけるMeOHの含有量が低ければ低いほど、その非−濡れ破壊性を改善する処理膜の表面エネルギーは益々高くなる。常圧マイクロ波プラズマ処理膜の接触湿潤性は、空気において少なくとも10日間の周囲貯蔵後に、幾つかの形態において、少なくとも30日後に、他の形態において、空気において70日以上の周囲貯蔵後に安定である。これは、フィルターの長期間使用およびガス発生液体における一貫した流動性にとって有益である。
【0071】
常圧マイクロ波プラズマで処理された多孔性膜は、膜の粒子保持特性に直接関係する名目の細孔径により特徴付けられてもよい。幾つかの形態において、この多孔性膜は、篩分メカニズムにより粒子を除去する篩分フィルターである。細孔径は篩分濾過により保持される粒子のサイズに比例し、細孔径は膜を通過する流量に関係し得る。粒子保持および流量の両方を最大にすることが望ましい。これらの特徴の1つを顕著に増加しながらこれらの特徴の他の1つを顕著に減少させることは望ましいことではなく、膜を修飾するための溶液を基にした被覆の使用を除外する本発明の形態において回避することができる。
【0072】
多孔性膜の常圧マイクロ波プラズマ処理は、全体として、例えば、力密度、処理時間、処理の回数、プラズマを通過する膜の供給速度またはこれらの任意の組合せを利用することができ、その結果、処理された多孔性膜基体は実質的に弱体化することなく、または粒子を流すことにおいて実質的な増加を示し、または粒子保持において実質的な変化を示し、または圧損において実質的な変化を示し、または純水の濾過中にこれらの膜の性質の任意の組合せを示す。純水は脱イオン水または蒸留水であることができる。幾つかの場合において、純水は、10億当たり2部から10億当たり6部までまたはそれ以下の範囲のTOC、17.7メガオーム−cmから18.2メガオーム−cmまたはそれ以上の抵抗性、および0.05ミクロンの大きさの粒子に対して800カウント未満/リットルの平均粒子カウントを有する水であることができる。例えば、本発明のAPMWプラズマ修飾多孔性膜は、未修飾多孔性膜基体として圧損で測定されたものと実質的に同じ浸透性を有する。即ち、この圧損は、未修飾多孔性膜基体を横切る圧損と比較した場合、本発明の修飾多孔性膜で±25%を超えて変動しない。APMWプラズマ処理多孔性膜の幾つかの形態において、この圧損変動は、±15%を超えず、幾つかの形態において、この変動は、未修飾多孔性膜基体を横切る圧損と比較して±10%を超えない。
【0073】
本発明により修飾された膜は、未修飾基体の流量特性を実質的に維持しながら、未修飾膜の粒子保持性を有することができる。更に、常圧マイクロ波プラズマ処理多孔性膜組成物は、ガス発生液体との接触においてまたはその濾過中に、膜の表面上でガスの核生成を促進せず、これらの膜は非−濡れ破壊性として特徴付けることができる。したがって、マイクロエレクトロニクス製造で使用されるウエハ用のSC1またはSC2洗浄浴等であってこれらに限定されないガス発生液体を濾過する場合、本発明の膜の有効寿命は、未修飾多孔性膜の有効寿命よりも著しく長い。多孔性膜はオートクレーブ処理することができ、液体との濡れを残す。
【0074】
開始のSEMとAPMWプラズマ処理膜の比較は、外観において明らかな変化を示さない。膜の篩分粒子保持性は、変化せず、または未処理膜の篩分粒子保持の約±25%以下、±15%以下、幾つかの形態において±10%以下以内であることが期待される。処理膜の粒子開口は、この分析の基準のベース膜と類似していると思われる。本発明の形態における常圧マイクロ波プラズマ修飾多孔性膜は、液体中で、0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有することができ、液体中で、0.05ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有することができ、液体中で、0.03ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3の篩分LRVを有することができる微小孔膜であり得る。LRVまたは対数減少値は、供給物(濾液)における粒子の数を、膜を通過した後の透過液体における粒子の数で割ったlog10値を意味する。
【0075】
常圧マイクロ波プラズマ処理多孔性膜表面は、多孔性膜を親水性にするために多孔性膜に適用される被覆材料の溶液において存在し得るイオンおよびまたは有機抽出性物質のないものにすることができる。これにより、抽出性物質、例えば、濾過される液体を汚すイオンおよび有機物質の微量を最小限にすることができる。幾つかの実施形態において、APMWプラズマ修飾膜は、ナトリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、銅、カリウムおよびアルミニウム等の抽出性イオンを合計で約200ppb未満有する。幾つかの実施形態において、APMWプラズマ修飾膜は、ナトリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、銅、カリウムおよびアルミニウム等の抽出性イオンを合計で約20ppb未満有する。修飾多孔性膜の抽出性物質含有量は、HClまたは硝酸の酸溶液において、1日または複数日間膜の一部を浸し、酸溶液をICPMSまたは他の適当な方法で分析することにより決定することができる。抽出溶液は、脱イオン水中の37%HClの10%v/vであることができる。幾つかの形態において、APMWプラズマ修飾膜は、TOCの約20ppb未満を有する。
【0076】
APMWプラズマ処理で修飾された多孔性膜としては、液体を濾過するために使用される、未被覆キャスト膜、押出し膜、共押出し膜またはラミネート膜を挙げることができる。この多孔性膜は、ポリテトラフルオロエチレンのようなハロゲン化ポリオレフィン、修飾ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(ビニルアルキルエーテル)、FEP、UPE、ポリスルホンまたは他の膜材料等の熱可塑性プラスチックから作製された単独多孔性層、細孔径勾配を有する層または複数層(例えば、異なる細孔径を有する1つまたは複数の層を持つ押出しもしくはラミネート膜)を含むことができる。この多孔性膜は、レース状、糸状および結節状、開放セル状、結節状または他の膜形態等の種々の形態を含むことができる。この膜は対称または非対称細孔構造を有することができる。幾つかの形態において、膜用の熱可塑性プラスチックの結晶化度は約65%を超え、幾つかの形態において、約75%を超え、なお他の形態において、約85%を超える。理論に拘泥する積りはないが、膜の結晶化度が高いほど、親液性表面修飾は一層耐久性を増す。
【0077】
常圧マイクロ波プラズマ処理多孔性膜は、1つまたは複数の層を含むことができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は、1つまたは複数の支持体層または異なる空隙率の層で支持された濾過層を含んでよい。この層は、内部濾過層のための支持体、例えば、緊密な小さい細孔濾過層のいずれかの側に大きな細孔径支持体層を用意することができる。この層は、むき出しの膜であってよく、識別できる層構造を持たない膜であってよく、または、細孔の勾配もしくは細孔径の分布を含んでよい。この層は、共押出し、ラミネート、結合または一緒に溶融結合することができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は微小孔膜である。
【0078】
本発明の常圧マイクロ波プラズマ処理膜は一体的であって、ピンホール欠陥がない。これらは、フラットシート媒体として使用することができ、これらはひだ付けのための十分な強度を保持し、ピンホールのないひだ付き膜パックを形成するために使用することができ、またはこれらは他の支持体へ結合させるための十分な強度を保持する。例えば、APMWプラズマ処理膜は、1つまたは複数の支持体または排水支持体ネットと一緒にひだ付けすることのできる十分な強度および一体性を有する。ひだ付けされたAPMWプラズマ修飾膜、排水ネット、コア、ケージおよびエンドキャップは、一緒に結合させてフィルターカートリッジを形成することができる。
【0079】
本発明の幾つかの形態において、多孔性ベース膜は、常圧マイクロ波プラズマ処理前にモノマーの外部的に適用される被覆を持たない。あるいは、幾つかの実施形態において、プラズマを形成するために使用されるガスは重合性モノマーがない。
【0080】
この多孔性膜基体は、薄いポリマー組成物であり、流体またはスラリーから粒子、イオン、タンパク質、ゲルのような不純物を分離するために使用することができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は、篩分フィルターの保持および構造的特徴を有し、深さ媒体とは対照的に篩分メカニズムにより粒子を除去する。この膜は、APMWプラズマで処理した場合に、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する対照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少ない、水中のMeOHの溶液と接触湿潤可能になるそれらの限外濾過または精密濾過膜であることができる。幾つかの形態において、この多孔性膜は微小孔膜または限外濾過膜である。この膜の細孔径は、約10ミクロンから約0.001ミクロンの範囲内であることができる。膜基体は、フラットシート、波形シート、中空繊維等を含む膜の部分の上に親液性または親水性表面を形成するために常圧マイクロ波プラズマ処理することができる任意の都合のよい幾何学構成を有することができる。この膜は、支持されても支持されなくてもよく、等方性または異方性、むき出しまたはむき出しでないものであることができ、あるいはコンポジット膜であることができる。この膜基体は、約5ミクロンおよび約250ミクロンの間、好ましくは約10ミクロンおよび約200ミクロンの間、更に好ましくは約10および約30ミクロンの間の厚さを有することができる。多孔性膜基体としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の、多孔性または微小孔ハロゲン化ポリオレフィンを挙げることができる。多孔性膜基体としては、約100万から約600万の間の分子量を持つ超高分子ポリエチレン(UHMWPE)を含めたポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン等のポリオレフィンを挙げることができる。多孔性膜としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドおよびポリアミドを挙げることができる。フッ素含有ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーまたはペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)を挙げることができる。幾つかの形態において、フッ素含有ポリマーは、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、これらの混合物等であってこれらに限定されない修飾剤で修飾された、少なくとも98パーセントのテトラフルオロエチレンを含むPTFE樹脂であることができる。本発明の幾つかの形態において、多孔性ポリマーはPTFEまたは発泡PTFEである。
【0081】
本発明の一形態において、表面修飾多孔性膜は、0.05ミクロン以下の平均細孔径を持たせて形成される。この膜は、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素含有ポリマー膜基体から形成される。この多孔性膜基体は、約400ワットを超える力で、常圧マイクロ波プラズマ装置を通る通過により修飾された表面を有する。プラズマ修飾多孔性膜は、水中で96重量%以下のMeOHを含む溶液で接触湿潤可能であり、この修飾多孔性膜は非−濡れ破壊性であり、この膜は、約135℃で約40分間の水中のオートクレーブ処理後に半透明性のままである。
【0082】
常圧マイクロ波プラズマ処理は、プラズマ処理多孔性膜表面の1つまたは複数の表面エネルギーを修飾する。これらの表面は、外側取扱い表面ならびに内側細孔表面を含むことができる。ポリマー多孔性膜は、APMWプラズマ処理された1つまたは複数の流体接触表面の部分を有することができ、またはこの多孔性膜は、完全に常圧マイクロ波プラズマ修飾された流体接触表面の全てを有することができる。この多孔性膜の両側は、処理キャビティーを通る1つまたは複数の通路を使用するプラズマ中で処理することができる。この多孔性膜表面上に形成される表面基の密度が高ければ高いほど、湿潤性は大きくなり、更にこの多孔性膜は、ガス含有液体、ガス発生液体または他の類似の液体を濾過する場合に濡れ破壊に対して抵抗力が大きくなる。
【0083】
フィルターの圧損は、フィルター対液体流動の抵抗の目安である。高い圧損は、例えば、フィルターが乾き、または膜細孔においてガスもしくは粒子により目詰まりした場合のような高い液体流動抵抗を示す。低い圧損は、フィルターが新しく、または完全に濡れている場合等、低い液体流動抵抗を示す。殆どの場合において、圧損データは、常圧マイクロ波プラズマ処理の前および後で同じフィルターに関して考慮されるべきである。圧損は、毎分1.0U.S.ガロン(gpm)または毎分3.78リットル(lpm)の一定液体流量で規格化されたフィルターを横切る圧力差の平方インチ当たりのポンド(psi)またはパスカルにおいて測定することができる。テスト中、圧損は、最も好ましくは、前以て濡らして洗い流したフィルターにおいて純水で測定される。
【0084】
接触湿潤性とは、膜の厚さ全体にわたってテスト液体で膜の細孔を充填するように多孔性膜の部分へ適用されるテスト液体のサンプルの能力を意味する。膜の湿潤部分は膜の非湿潤部分と比較して透明に見える。接触湿潤性とは、膜が、適用される液体で濡れていない膜の部分の不透明な外見に関して透明に見えるように、テスト液体で、膜の厚さ全体にわたって膜の細孔を、直ちに、または約1−2秒以内に充填するために、多孔性膜の部分へ適用されるテスト液体のサンプルの能力を意味する。多孔性膜の湿潤部分は、膜を通過する液体の流動を可能にする。反対に、ベース膜またはそれを親液性もしくは親水性にするためにAPMWプラズマで不十分に処理された多孔性膜は、テスト液体が膜に適用される場合は不透明のまま残る、または膜は、ゆっくりと、約5から約15秒を超えて、それに適用された液体で多孔性膜の部分を湿潤し始める。
【0085】
膜の湿潤性は、種々の表面エネルギーのテスト液体を本発明の形態におけるプラズマ修飾ポリマー膜へ適用することにより決定することができる。
【0086】
接触湿潤可能である常圧マイクロ波プラズマ修飾ポリマー多孔性膜表面は、また非−濡れ破壊性である。非−濡れ破壊性とは、ガス含有液体に接触またはそれを濾過した後に液体で湿潤したままの修飾多孔性膜組成物を意味する。即ちガスが膜の細孔から十分な液体を置き換えないと、不透明性を増加し、圧損を増加し、またはAPMWプラズマ処理膜表面の流動時間特性を増加することになる。25%を超える、任意のこれらの特性の増加は、乾いた膜と見なされる。
【0087】
本発明のAPMWプラズマ処理多孔性膜の非−濡れ破壊性は、液体で濡れた膜サンプルを、液体の沸点より上のオートクレーブにおいて加熱することにより決定することができる。多孔性膜サンプルが非−濡れ破壊性である場合、サンプルは、オートクレーブ処理後に濡れたままで半透明である。例えば、濡れたAPMWプラズマ処理多孔性膜サンプルが非−濡れ破壊性である場合、サンプルは、オートクレーブ処理後に濡れたままで半透明である。濡れたベース膜またはそれを親液性もしくは親水性にするために不十分に処理された濡れたAPMWプラズマが同じオートクレーブ処理に掛けられる場合、それは、オートクレーブ処理後に乾いて不透明に見える。別の例示的例において、水で濡れたAPMWプラズマ処理PTFE多孔性膜は、水中で135℃の温度で、40分間のオートクレーブ処理後に、多孔性膜が半透明で残れば、非−濡れ破壊性である。非−濡れ破壊性は、非−濡れ破壊性が、膜の外側表面だけでなく膜の厚さ全体にわたる膜の湿潤性を意味する点で、フィルムの表面エネルギーの接触角測定とは異なる。
【0088】
濡れ破壊性は、処理された多孔性膜クーポンで測定することができる。膜は、低表面張力液体で濡れていてもよい。例えば、膜は、イソプロパノールで湿潤することができ、次いで、水で洗浄または洗い流して膜からIPAを除去することができる。膜は水と一緒に容器中へ置くことができ、135℃で約40分間オートクレーブ中へ置くことができる。オートクレーブ処理中に、水中で溶解したガスは溶液の外に出て行き、水中のガスの溶解度はオートクレーブにおいて減少し、ガスは、未処理膜において水を置き換えることができる。これが、膜に接触するガス含有液体の一例である。オートクレーブ処理の前および後の流動時間が、オートクレーブ処理後の流動時間における変化を決定するものであってもよい。オートクレーブ処理後の25%を超える、DI水の流動時間における増加は、乾き膜を特徴付けるために使用することができる。
【0089】
APMWプラズマ修飾多孔性膜組成物は、また、膜が、膜の乾燥を引き起すのに十分長い期間暴露されない限り、空気等のガスへの膜の暴露中の濡れ破壊を防ぎまたは減少する。これは、例えば、乾燥重量と比較した湿潤膜サンプルの重量変化により決定することができた。濾過工程における使用中に、フィルターは、例えば、濾過される液体の置換中等にフィルターを横切る小さな圧力差の下で空気に暴露され得る。
【0090】
多孔性膜サンプルの流動時間は、低表面張力液体で膜のサンプルを湿潤させ、次いで、残留湿潤液体を除去するために膜を洗浄することにより決定することができる。膜に対する一定の注入圧力および液体の既知容量で、膜の領域を通過する液体(粘度に対して補正された温度であることができる。)を流動させるのに必要な時間を測定することができる。緊密な膜に対しては、流動時間は、より開放的な膜よりも長くなる。例えば、約10−12psiの圧力を、約20cmの面積および測定された時間を有する、IPAで湿潤し、水で洗浄した多孔性膜を通過する水の約100mlを流動させるために使用することができる。このテストは、多孔性膜の対照、APMWプラズマ処理サンプル、およびオートクレーブ処理サンプルならびに測定される流動時間および温度について行うことができる。テストは、液体として、濾過水を使用することができる。これは、液体における粘度差によるまたは膜表面で捕捉されることになる、液体から除去される粒子に起因する増加した流動抵抗による、他の潜在的流動速度減少効果を排除するのを助ける。
【0091】
本発明の形態は、流体流動回路において液体から汚染物質を除去するために配置されたAPMWプラズマ処理膜を含んでよい。この膜は、フィルターカートリッジにおいて配置されてよく、このフィルターは、再循環または単独通過ウエハ洗浄デバイスにおけるSC1またはSC2洗浄浴から粒子を除去するために使用される。
【0092】
水泡立ち点圧力テストは、また、APMWプラズマ処理多孔性膜または対照多孔性膜において観察される乾きの程度を特徴付けるのに使用することができる。一般に、膜の水泡立ち点圧力が低ければ低いほど、空気への暴露による乾きに対する可能性は益々高くなる。本発明のAPMWプラズマ処理多孔性膜の水泡立ち点圧力は、不十分に未修飾のまたは対照多孔性膜基体の水泡立ち点圧力よりも大きい。水泡立ち点圧力テスト方法は、予め水で満たされた膜の細孔に空気を強制的に通過させるために使用される圧力を測定する。
【0093】
APMWプラズマ処理多孔性膜の粒子保持特性は、参照により本明細書に組み込まれる、Millipore Corporation、Bedford、Mass.、USAから入手できるMillipore Corporation Technical Document MA041に記載されている改良SEMATECH粒子保持方法により測定されるように、未修飾表面を有する多孔性膜基体と比較することができる。本発明の幾つかの形態において、処理膜の粒子保持特性は、未修飾膜よりも約±25%以下以内で実質的に同じである。
【実施例1】
【0094】
複数層(支持体、濾過、支持体)の0.03ミクロンPTFE膜サンプルの常圧マイクロ波プラズマ処理を、異なるガス種、流量、力、電圧および処理時間(線速度)で行った。この実施例において、膜の一片を12”×4”片に切断し、回転電極(1つの電極は移動し、他の1つは固定されている。)で種々の条件で常圧プラズマ処理した。実験条件および結果は表1に列挙される。
【0095】
対照およびAPMWプラズマ修飾多孔性膜の強度(最大荷重)は表1においてまとめてある。この結果は、修飾膜がこの膜の元の強度の70%(実質的に)を超えて保持し、対照サンプルと比較して改善された湿潤性を有することを示す。条件の選択によって、修飾膜の強度は、未処理多孔性膜の80%を超え、90%を超え、および95%を超えることができる。高い強度は、それが、膜の一体性を維持しながら、使用される高い圧力差およびまたは温度を可能とし、また、結合およびカートリッジ作製操作中の高い収率を提供するので有利である。
【0096】
初期処理、0日、およびその後の延長された周囲貯蔵、71日後の常圧プラズマ処理多孔性膜(サンプル1−12)の接触湿潤性は、また、表1で与えられている。APMWプラズマ処理後の多孔性膜のそれぞれの接触湿潤性は、重量で少ないMeOHを伴うテスト液体が、APMWプラズマ処理多孔性膜を接触湿潤するのに使用することができたので、対照サンプルに関して改善された。空気中の延長された貯蔵後の湿潤性は、サンプルがサンプル9における条件下で作製された以外は、接触湿潤性における変化が71日後に起らなかったことを示した。サンプル9において、接触湿潤性は僅かに変化し、膜を湿潤するのに使用されたMeOHの量は93重量%から94重量%まで増加した。膜は、対照よりも良好な湿潤性を有していた。これらの結果は、多孔性膜のAPMWプラズマ処理が、安定な接触湿潤可能な多孔性膜を形成するために使用できることを示す。
【0097】
【表1】

【0098】
表1の例2−12におけるサンプルに対する結果は、湿潤性が常圧プラズマ処理後に改善されたことを示していた。これらの結果は、HeまたはHeと酸素源の混合物等を含むガスの存在において常圧マイクロ波プラズマにより処理されたポリマー多孔性膜が、多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理サンプルを接触湿潤する対照溶液における水中のMeOHの最少量よりも少なくとも1重量%少ない、幾つかの場合においては少なくとも2重量%少ない、水中のMeOHの溶液と接触湿潤可能である修飾多孔性膜をもたらすことを示す。種々の水性メタノールおよび水溶液に対するdyne/cmにおける表面張力は、Lange’s Handbook of Chemistry、11thEdにおいて見出すことができる。例えば、未処理サンプル1の初期0.03μmPTFE膜は、水中で95重量%以上のMeOH濃度のMeOH溶液により湿潤できた。常圧マイクロ波プラズマ処理後に、修飾膜は93−94重量%MeOH溶液により湿潤できたが、これは、修飾膜の良好な湿潤性および減少した表面エネルギーを示す。この結果は、また、初期湿潤および空気中の乾燥後に、膜が、10日以上後および70日以上後の空気中の室温での周囲貯蔵後に接触湿潤性を保持したことを示す。これらの結果は、接触湿潤性が経時的に本質的に一定であり、または湿潤性が、初期プラズマ処理後に膜を接触湿潤するために使用される水溶液におけるMeOHの追加量において1%以下で変化するように、APMWプラズマ修飾が安定であることを示す(例えば、サンプル(9)を参照されたい)。
【実施例2】
【0099】
単独層0.05ミクロンPTFE多孔性膜の常圧マイクロ波プラズマ処理の条件および結果を表2において列挙する。
【0100】
【表2】

【0101】
サンプル13は、湿潤性が常圧プラズマ処理後に改善され、膜は強度の80%を超えて保持したことを示した。未処理の対照サンプルの初期0.05ミクロンPTFE膜は、MeOH97重量%以上のMeOH濃度のMeOH溶液により湿潤することができた。常圧マイクロ波プラズマ処理後に、修飾膜サンプル13は、96重量%MeOH溶液により接触湿潤であることができたが、これは良好な湿潤性を示す。この結果は、膜が、10日以上後および70日以上後の周囲貯蔵後に接触湿潤性を保持したことを示す。例えば、APMW膜は、サンプルの接触湿潤性を決定するために種々のMeOHおよび水溶液で初期接触湿潤であった。次いで、その後、修飾膜は空気中で乾燥させた。室温、即ち周囲条件で空気中の10日の貯蔵後に、乾燥修飾膜は、MeOHおよび水溶液で接触湿潤され、修飾膜の接触湿潤性を再度決定した。この湿潤膜を乾燥させ、周囲条件における合計71日の貯蔵後に、乾燥修飾膜は、MeOHおよび水溶液で接触湿潤され、修飾膜の接触湿潤性を再度決定した。
【実施例3】
【0102】
未処理0.05ミクロンPTFE多孔性膜および常圧マイクロ波プラズマ処理後の0.05ミクロンPTFE多孔性膜を、イソプロパノールで初めに湿潤し、次いで、水で完全に洗浄または洗い流した。多孔性膜サンプルをディスクホルダー中につめ込み、135℃で40分間、オートクレーブ内の蒸留水中に浸した。オートクレーブ処理されたサンプル(対照およびAPMWプラズマ処理膜)についての脱イオン(DI)水の流速を、14.2psiの正圧で、オートクレーブ処理前および後で測定した。結果を表3で示す。
【0103】
【表3】

【0104】
未修飾膜、「APMW前」に対しては、表3は、オートクレーブ処理が、濡れ破壊性に起因した約11−33%の流量損失をもたらしたことを示した。しかしながら、表3で示される通り、APMWプラズマ修飾膜サンプルは非−濡れ破壊性であり、オートクレーブテストの1サイクル後に全く流量損失を示さなかった。
【0105】
表3は、常圧マイクロ波プラズマ処理膜の流動時間が、APMW処理前の膜に関して減少しなかったことを示した。理論に拘泥する積りはないが、この流動結果は、膜の細孔が、非最適化引張り機において膜の伸張により拡大されたことを示唆し得る。
【実施例4】
【0106】
ヘリウムガス(表4)および水素ガス(表5)における複数層(支持体、濾過、支持体)0.03ミクロンPTFE膜サンプルの真空プラズマ処理が、水中の94重量%MeOHの溶液における接触湿潤性を有する修飾膜を提供するために準備された。これらの真空プラズマ処理膜は、表1におけるものよりも僅かに低いまたはほぼ同じ接触湿潤性(サンプル1と比較して)を有していた。強度テスト結果は、真空処理サンプルが、APMWプラズマ処理サンプルに対して使用された力(400−2400ワット)と比較して減少した力(250−300W)でも、対照サンプルと比較して強度が殆ど半分減少した修飾多孔性膜をもたらしたことを示す。また、これらの条件下でこれらの多孔性膜に対する約1分の真空プラズマ処理時間は、94%MeOHで湿潤可能であった修飾PTFE多孔性膜を形成しなかったことが認められた(短い時間は、真空プラズマ条件下で膜の強度劣化を最小限にすることを試みるために使用された−この短い処理に対する結果は表4または表5では与えられていない。)。
【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
流動時間テストを行い、この流動時間が真空プラズマ処理により減少しなかったことを示す。流動時間テストを、UPEディスクホルダーで、14.2psiで行った。
【0110】
これらの比較結果は、強い膜が、真空処理膜と比較して湿潤性の同じ水準に対して、APMWプラズマ処理を使用して形成できることを示す。強い多孔性膜は、デバイスへの修飾膜の結合およびまたはひだ付けのために有利であり、強い膜は、一体性の損失なしで大きな処理圧力および温度に耐えることができるので有利である。
【実施例5】
【0111】
この実施例は、多孔性膜の常圧マイクロ波プラズマ処理ならびにこれらの接触湿潤性および強度を例示する。この実験設定に対して、膜は、2.4KWの力および3slmまたは静的空気環境でのヘリウム流速を使用するプラズマ中で10回処理された。この実施例において、サンプルは、約15−20ミクロン、通常は約30ミクロン未満の膜厚を有していた。
【0112】
膜の強度は、繊維方向(WD)および機械方向(MD)において決定した。対照サンプル(14、23、および32)の強度は表6で与えられ、約24ニュートン(N)以上である。処理されたサンプル、例えば34は、12.7NのWDおよび22.7NのMDを有し、これは対照の約70%に相当した。別のサンプル、例えばサンプル18においては、強度は、32.8NのWDおよび40.7NのMDであり、これは対照の約73%に相当した。
【0113】
これらの実験の結果は表6においてまとめられ、改善された接触湿潤性および出発の多孔性膜の約70%を超える平均強度を持つ修飾膜が作製できたことを示す。常圧マイクロ波修飾膜のO/C比は未処理膜とは異なっていた。これらのサンプルにおいて、それは、約0.04から約0.08の範囲であった。サンプル18は、0.063のO/C比を有し、サンプル19は0.064のO/C比を有し、サンプル34は0.077のO/C比を有し、サンプル39は0.044のO/C比を有していた。
【0114】
結果は、Heまたは空気のようなガスを含むガスの存在において常圧マイクロ波プラズマで処理されたポリマー多孔性膜が、多孔性膜を接触湿潤するための溶液において水中のMeOHの最少量が、多孔性膜の未処理のサンプルを接触湿潤する対照溶液において水中のMeOHの最少量よりも、少なくとも1重量%少ない、幾つかの場合において少なくとも2重量%少ない、他の場合においては少なくとも3重量%少ない、なお他の場合においては少なくとも4重量%少ない、幾つかの他の場合においては約4から約7重量%少ない、水中のMeOHの溶液で接触湿潤可能である修飾多孔性膜をもたらすことを示す。例えば、未処理サンプル14、初期0.03μmPTFE膜は、水中で97重量%以上のMeOH濃度を持つMeOH溶液により湿潤できた。ヘリウムの流動を伴う雰囲気における常圧マイクロ波プラズマ処理後に、修飾膜は、MeOHが3重量%少ない94重量%(サンプル16−18)MeOH溶液により湿潤でき、良好な湿潤性を示す。未処理サンプル32、初期0.05μmPTFE膜は、水中で97重量%以上のMeOH濃度を持つMeOH溶液により湿潤できた。空気の流動を伴う雰囲気における常圧マイクロ波プラズマ処理後に、修飾膜は、MeOHが4−7重量%少ない90−93重量%MeOH溶液(サンプル37−40)により湿潤でき、良好な湿潤性を示す。
【0115】
【表6】

【0116】
本発明は、この特定の好ましい形態への参照を以って相当詳細に説明されたが、他の形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、この説明および本明細書内に含まれる好ましい形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.06を超えるO/C比を有する1つまたは複数の表面を含むハロゲン化ポリオレフィン微小孔膜を含み、前記膜は、水中の0.1ミクロン以下の粒子に対して少なくとも3のLRVを有し、前記微小孔膜は、水中のMeOHの96重量%以下の溶液と10日以上後に接触湿潤可能であり、水中で約135℃の温度で約40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性(non−dewetting)である、組成物。
【請求項2】
前記ハロゲン化ポリオレフィンがポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
微小孔膜が、前記膜が約30ミクロン以下の厚さを有する場合に少なくとも12ニュートンのWD強度およびMD強度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記微小孔膜が、水中のMeOHの94重量%以下の溶液と接触湿潤可能であり、水中で約135℃の温度で約40分間のオートクレーブ処理後に非−濡れ破壊性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記膜が1つまたは複数の領域または層を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含むフィルター。
【請求項7】
前記フィルターが、カルシウムおよびナトリウムを含む抽出性イオンを合計約200ppb未満有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
微小孔膜が、約0.06から約0.08のO/C比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ハロゲン化ポリオレフィンが修飾ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
常圧マイクロ波(APMW)プラズマで修飾された多孔性ポリマー膜の1つまたは複数の表面を有する多孔性ポリマー膜。
【請求項11】
前記膜がハロゲン化ポリオレフィンを含む、請求項10に記載の多孔性ポリマー膜。
【請求項12】
前記APMWプラズマで修飾された前記多孔性ポリマー膜のO/C比が、0.06と0.08の間である、請求項10に記載の多孔性ポリマー膜。
【請求項13】
前記APMWプラズマで修飾された前記多孔性膜を接触湿潤するための溶液における水中のメタノールの最少量が、前記多孔性ポリマー膜を接触湿潤するための参照溶液における水中のメタノールの最少量よりも少なくとも約1重量%少ない、請求項10に記載の多孔性ポリマー膜。
【請求項14】
前記APMWプラズマで修飾された前記多孔性膜が、周囲貯蔵の10日後に接触湿潤可能であり、前記APMWプラズマで修飾された前記多孔性膜が、メタノールの96重量%以下の水溶液と接触湿潤可能である、請求項10に記載の多孔性ポリマー膜。
【請求項15】
多孔性ポリマー膜と常圧マイクロ波プラズマとを接触させるステップおよび前記多孔性ポリマー膜の表面を前記プラズマで処理するステップを含む、多孔性ポリマー膜の1つまたは複数の表面の接触湿潤性を修飾するための多孔性ポリマー膜の処理方法。
【請求項16】
前記多孔性または微小孔膜がハロゲン化ポリオレフィンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ハロゲン化ポリオレフィンがポリテトラフルオロエチレンまたは修飾ポリテトラフルオロエチレンである、請求項55に記載の方法。
【請求項18】
前記多孔性ポリマー膜と前記常圧マイクロ波プラズマとの接触が、前記処理された多孔性膜が非−濡れ破壊性(non−dewetting)であり、前記膜の強度または平均強度が未処理の多孔性膜の強度の70%未満に減少しないように、前記処理膜の接触湿潤性が増加するまで続けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記APMWプラズマが酸素源を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記酸素源が、水蒸気、アルコール、空気およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記常圧マイクロ波プラズマが貴ガスを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記処理された多孔性膜が、周囲貯蔵の10日後に、メタノールの96重量%以下の水溶液と接触湿潤可能である、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2009−535433(P2009−535433A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504208(P2009−504208)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/007782
【国際公開番号】WO2007/126967
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】