説明

常温収縮チューブの装着補助具及び常温収縮チューブの装着方法

【課題】常温収縮チューブを電力ケーブルの接続部に良好に装着するための常温収縮チューブの装着補助具及び常温収縮チューブの装着方法を実現する。
【解決手段】装着補助具10の内側支持部12が、拡径保持用筒体20の他端22側を内面から支えるので、解体されて短くなった拡径保持用筒体20が常温収縮チューブ30の収縮力によって潰れてしまうことはなく、紐状体2をスムーズに引き抜いて拡径保持用筒体20を良好に解体することができる。特に、外側支持部13が支持している内側支持部12は、拡径保持用筒体20を解体し終えるまで、電力ケーブル40が延在する方向に沿う姿勢を維持して、拡径保持用筒体20を支えることができるので、全ての紐状体2をスムーズに引き抜いて拡径保持用筒体20を良好に解体し、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41に良好に装着することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温収縮チューブの装着補助具及び常温収縮チューブの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)等の電力ケーブルを繋ぎ合わせた中間接続部を常温収縮チューブで被覆し、その中間接続部を絶縁保護することがある。
常温収縮チューブは、常温で伸縮可能なゴムなどの弾性材料で作られた筒状体である。この常温収縮チューブを拡径し、その内部に中間接続部を配した状態で常温収縮チューブを収縮させて、中間接続部の周囲に常温収縮チューブを密着させることで、常温収縮チューブを中間接続部に装着することができる。
【0003】
そして、図9に示すように、紐状体2をスパイラル状に巻回して組み立てた拡径保持用筒体20の外周に常温収縮チューブ30を拡径した状態で保持し、拡径保持用筒体20の内側に電力ケーブル40の中間接続部41を配置した後、拡径保持用筒体20の一端21側から解いた紐状体2を、その拡径保持用筒体20の内側を通して他端22側から引き抜くことで拡径保持用筒体20を解体していき、拡径保持用筒体20が解体された部分から徐々に常温収縮チューブ30を縮径して中間接続部41に装着する技術が知られている。
ここで、常温収縮チューブが高電圧ケーブルの接続に用いる大型のものである場合は、拡径保持用筒体20の他端22側の開口内には、解体されて短くなった拡径保持用筒体20が、常温収縮チューブ30の収縮力によって潰れないように、拡径保持用筒体20の形崩れを防止する補助治具50を取り付けている(例えば、特許文献1参照。)。なお、紐状体2は、補助治具50と電力ケーブル40の間を通して、拡径保持用筒体20の他端22側から引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−37064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の場合、短くなった拡径保持用筒体20とともに補助治具50の姿勢が乱れて、図10に示すように、拡径保持用筒体20および補助治具50の軸心が電力ケーブル40からずれてしまうことがある。
拡径保持用筒体20および補助治具50が、電力ケーブル40に対して斜めになった状態では、補助治具50と電力ケーブル40の間に紐状体2が挟まれて、紐状体2を引き抜くことが困難になることがある。また、そのような無理な状態で引き抜かれた紐状体2や補助治具50が電力ケーブル40の外面や常温収縮チューブ30の内面を擦って損傷させてしまい、中間接続部41を適切に絶縁保護できなくなることがある。
【0006】
本発明の課題は、常温収縮チューブを電力ケーブルの接続部に良好に装着するために用いる常温収縮チューブの装着補助具及び常温収縮チューブの装着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様は、
紐状体をスパイラル状に巻回して形成した拡径保持用筒体の外周に拡径した状態で常温収縮チューブを保持し、その拡径保持用筒体の内側に電力ケーブルの接続部を配置して、前記拡径保持用筒体の一端から解いた前記紐状体を当該拡径保持用筒体の内側を通して他端側へ引き抜き、前記拡径保持用筒体を一端側から順次解体することで、前記常温収縮チューブを順次縮径させて、その常温収縮チューブを前記接続部に装着する際に用いる常温収縮チューブの装着補助具であって、
前記拡径保持用筒体の他端側に挿入して、その他端側を内面から支える筒状の内側支持部と、
前記常温収縮チューブの外面に被さり、前記電力ケーブルの軸心に前記内側支持部の軸心を合わせて、その内側支持部を支持する外側支持部と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
この装着補助具を用いると、拡径した状態の常温収縮チューブを保持している拡径保持用筒体を一端側から順次解体して常温収縮チューブを順次縮径させて、その常温収縮チューブを接続部に装着する際に、装着補助具の内側支持部が、拡径保持用筒体の他端側を内面から支えているため、解体されて短くなった拡径保持用筒体が常温収縮チューブの収縮力によって潰れないので、紐状体をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体を良好に解体することができる。
特に、装着補助具の外側支持部は、拡径保持用筒体を解体し終えるまで、電力ケーブルの軸心に内側支持部の軸心を合わせて、その内側支持部を電力ケーブルに沿って延在する向きに支持した状態に維持しようとするので、内側支持部が斜めになることを抑制でき、紐状体をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体を良好に解体し、常温収縮チューブを電力ケーブルの接続部に良好に装着することができる。
【0009】
また、前記外側支持部が前記電力ケーブルに沿う方向に延在する長さは、前記内側支持部が前記拡径保持用筒体に沿う長さよりも長いことが好ましい。
【0010】
外側支持部を内側支持部よりも長くすれば、電力ケーブルが延在する方向に内側支持部をより安定した状態で延在させて支持することができる。
【0011】
また、前記外側支持部は、常温収縮チューブの縮径に追従して変形して常温収縮チューブの外面に当接し続けることが可能な部分を有していることが好ましい。
【0012】
常温収縮チューブの縮径に追従して変形し、常温収縮チューブの外面に当接し続ける部分を外側支持部に設ければ、内側支持部をより安定した状態で支えることができる。
【0013】
また、本発明の他の態様は、
紐状体をスパイラル状に巻回して形成した拡径保持用筒体の外周に、拡径した状態で常温収縮チューブを保持し、
次いで、前記拡径保持用筒体の内側に電力ケーブルの接続部を配置し、
次いで、前記拡径保持用筒体の一端から解いた前記紐状体を当該拡径保持用筒体の内側を通して他端側へ引き抜き、前記拡径保持用筒体を一端側から順次解体することで、前記常温収縮チューブを順次縮径させて前記接続部に装着させる常温収縮チューブの装着方法において、
内側支持部と外側支持部を備える装着補助具(例えば、請求項1に記載の装着補助具)を用い、
前記拡径保持用筒体の他端側の内面を前記内側支持部で支持するとともに、前記常温収縮チューブの外面に被さる前記外側支持部が、前記内側支持部を前記電力ケーブルに沿って延在する向きに支持した状態で、前記拡径保持用筒体を解体することを特徴としている。
【0014】
この常温収縮チューブの装着方法によれば、拡径した状態の常温収縮チューブを保持している拡径保持用筒体を一端側から順次解体して常温収縮チューブを順次縮径させて、その常温収縮チューブを接続部に装着する際に、装着補助具の内側支持部が、拡径保持用筒体の他端側を内面から支えているため、解体されて短くなった拡径保持用筒体が常温収縮チューブの収縮力によって潰れないので、全ての紐状体をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体を良好に解体することができる。
特に、内側支持部を支える外側支持部は、拡径保持用筒体を解体し終えるまで、内側支持部を電力ケーブルに沿って延在する向きに支持した状態に維持しようとするので、内側支持部が斜めになることを抑制でき、紐状体をスムーズに引き抜き拡径保持用筒体を良好に解体し、常温収縮チューブを電力ケーブルの接続部に良好に装着することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、拡径した状態の常温収縮チューブを保持している拡径保持用筒体を一端側から順次解体して常温収縮チューブを順次縮径させて、その常温収縮チューブを接続部に装着する際に、拡径保持用筒体の他端内に装着補助具の内側支持部を取り付けて、その内側支持部で拡径保持用筒体の他端側の内面を支えることによって、解体されて短くなった拡径保持用筒体が常温収縮チューブの収縮力によって潰れないようにすることができる。そして、全ての紐状体をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体を良好に解体することができる。
特に、常温収縮チューブの外面に被さる外側支持部が内側支持部を支持しており、拡径保持用筒体を解体し終えるまで、電力ケーブルが延在する方向に内側支持部を延在させた状態に安定させて維持しようとするので、紐状体をスムーズに引き抜き拡径保持用筒体を良好に解体し、常温収縮チューブを電力ケーブルの接続部に良好に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電力ケーブルの中間接続部に常温収縮チューブを装着する際に、装着補助具を用いる状態を示す説明図である。
【図2】常温収縮チューブの装着補助具を示す斜視図である。
【図3】装着補助具を分解した状態を示す斜視図である。
【図4】電力ケーブルの中間接続部に常温収縮チューブを装着する過程を示す説明図である。
【図5】中間接続部に装着完了した常温収縮チューブを示す説明図である。
【図6】他の実施形態の装着補助具を用いて電力ケーブルの中間接続部に常温収縮チューブを装着する過程を示す説明図である。
【図7】装着補助具の変形例を示す斜視図である。
【図8】装着補助具の変形例を示す斜視図である。
【図9】従来の常温収縮チューブの装着方法を示す説明図である。
【図10】従来の装着方法における不具合であって、短くなった拡径保持用筒体とともに補助治具の姿勢が乱れて斜めになった状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、電力ケーブル40を繋ぎ合わせた中間接続部41に、常温収縮チューブ30を装着する際に、装着補助具10を用いている状態を一部断面視して示す側面図である。
図2は、常温収縮チューブの装着補助具10を示す斜視図である。
【0019】
電力ケーブル40は、例えば、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)である。この電力ケーブル40の先端部を段剥ぎして露出させたケーブル導体同士を、例えば接続スリーブによって接続した部分が中間接続部41である。この中間接続部41を絶縁保護するために、常温収縮チューブ30を取り付ける。
【0020】
常温収縮チューブ30は、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴムなど、常温で伸縮可能な弾性材料で作られた筒状体である。なお、図示は省略するが、常温収縮チューブ30の主要部はシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴムなどの絶縁性ゴムで形成された絶縁層となっており、その内面には半導電性を有する内部電極層が設けられ、外面には半導電性を有する外部電極層が設けられている。内部電極層および外部電極層は、例えば、シリコーンゴムやエチレンプロピレンゴムにカーボンを添加した半導電性ゴムからなり、常温収縮チューブ30に一体成型した電極層である。
この常温収縮チューブ30の内径は、電力ケーブル40(中間接続部41)の外径よりも細い寸法である。常温収縮チューブ30の内径と電力ケーブル40の外径とに径差があることによって、電力ケーブル40の外周面に常温収縮チューブ30の内周面を密着させて装着することができる。
【0021】
拡径保持用筒体20は、例えば、プラスチック製の紐状体2を相互に一部分重ね合わせるようにスパイラル状(螺旋状)に巻回し、その重ね合わせた部分を融着もしくは勘合して形成した円筒形の芯材である。
この拡径保持用筒体20は、螺旋状の融着面に沿って紐状体2を解くことが可能になっている。そして例えば、拡径保持用筒体20の一端21から解いた紐状体2を、その拡径保持用筒体20の内側を通して他端22側へ引き抜くことによって、拡径保持用筒体20を一端21側から順次解体することができる。
拡径保持用筒体20の内径寸法は、電力ケーブル40の外径よりも太いサイズを有している。この拡径保持用筒体20の内側に電力ケーブル40を挿通して、拡径保持用筒体20内に電力ケーブル40の中間接続部41を配置することができる。
また、拡径保持用筒体20は、その外周に拡径保持用筒体20の外径寸法に拡径した常温収縮チューブ30を保持する。
【0022】
装着補助具10は、図1、図2に示すように、略中央に略円形の開口11aを有する平板状の基部11と、基部11の開口11aの縁から垂直に立設した円筒状の内側支持部12と、基部11の外縁の近傍から垂直に立設した円筒状の外側支持部13と、を備えている。
内側支持部12と外側支持部13は、基部11から同じ方向に延在しており、内側支持部12と外側支持部13とは、互いに平行な向きを成している。また、外側支持部13は内側支持部12よりも長く延出している。
【0023】
内側支持部12は、拡径保持用筒体20の内側に挿入可能であり、拡径保持用筒体20の内面に接して、拡径保持用筒体20を内側から支える。
また、内側支持部12の内径寸法は、電力ケーブル40の外径よりも太いサイズを有しており、その内側支持部12と電力ケーブル40の間に、紐状体2が通過可能な隙間ができるようになっている。
【0024】
外側支持部13は、拡径保持用筒体20の外周に保持された常温収縮チューブ30の外面に殆ど隙間のない状態で被さり、拡径保持用筒体20及び常温収縮チューブ30が延在する方向であって、電力ケーブル40が延在する方向と略平行な配置をとる。なお、外側支持部13は、常温収縮チューブ30の端部から略中央に達する長さ(つまり、常温収縮チューブ30の半分程度の長さ)を有している。
そして、外側支持部13は、電力ケーブル40に沿って延在する向きに内側支持部12を支持する。具体的に、外側支持部13は、電力ケーブル40の軸心に内側支持部12の軸心を合わせて、電力ケーブル40が延在する方向に内側支持部12を延在させて支持する。
【0025】
なお、装着補助具10は、図2、図3に示すように、略半円筒形状を呈する半円筒部材5を2つ組み合わせて形成している。この装着補助具10は2つに分解することができるので、装着補助具10を拡径保持用筒体20及び常温収縮チューブ30に取り付ける際や、電力ケーブル40から取り外す際に、手際よく作業するうえで役立つ。
装着補助具10は、例えば、銅、アルミニウム、鉄などの金属材料や、FRP(Fiber Reinforced Plastic)を含むプラスチック材料等、適度な剛性を有する材料で作られている。
【0026】
次に、装着補助具10を用いて常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41に装着する、常温収縮チューブの装着方法について説明する。
【0027】
まず、拡径保持用筒体20の外周に、拡径した状態の常温収縮チューブ30を保持させ、拡径保持用筒体20と常温収縮チューブ30とからなる常温収縮チューブユニット31を製造する。
次に、拡径保持用筒体20の他端22側に装着補助具10の内側支持部12を挿入するとともに、常温収縮チューブ30の外面に装着補助具10の外側支持部13を沿わして、その装着補助具10を常温収縮チューブユニット31に取り付ける。
【0028】
装着補助具10を常温収縮チューブユニット31に取り付けた後、接続する一方の電力ケーブル40を拡径保持用筒体20および装着補助具10に挿入する。ついで、電力ケーブル40同士を接続した後、必要に応じて半導電性テープ巻き処理などを行う。次に、こうして処理した中間接続部41上に常温収縮チューブユニット31を引き戻す。
拡径保持用筒体20の一端21の紐状体2を電力ケーブル40にテープ止めしておくと、電力ケーブル40の中間接続部41に常温収縮チューブユニット31を引き戻す際に、紐状体2を装着補助具10の内側支持部12内を通過させて、図1に示すように、紐状体2を拡径保持用筒体20の他端22側から引き出すことができる。
【0029】
そして、中間接続部41を常温収縮チューブ30の略中央に相当する位置に配した状態で、紐状体2を拡径保持用筒体20の他端22側から引き抜いて、拡径保持用筒体20を一端21側から順次解体する。拡径保持用筒体20を一端21側から解体すると、図4に示すように、拡径保持用筒体20を取り除いた部分から常温収縮チューブ30は順次縮径し、電力ケーブル40の中間接続部41に装着される。
なお、この常温収縮チューブ30は肉厚が厚いため、その内周面側が縮径しても外周面側の形状は殆ど変化なく、常温収縮チューブ30の外径は殆ど変わらないので、装着補助具10の外側支持部13は、常温収縮チューブ30の外周面にほぼ当接し続けるようになっている。
【0030】
ここで、図4に示すように、装着補助具10の内側支持部12が、拡径保持用筒体20の他端22側を内面から支持しているので、解体されて短くなった拡径保持用筒体20が、常温収縮チューブ30の収縮力によって潰れてしまわないようになっている。
特に、その内側支持部12は、常温収縮チューブ30の外面に当接する外側支持部13によってその配置や向きが支持されている。そして、外側支持部13が内側支持部12の軸心を電力ケーブル40の軸心に合わせて、その内側支持部12を電力ケーブル40が延在する方向に概ね延在させて支持しているので、従来のように、短くなった拡径保持用筒体20とともに内側支持部12(装着補助具10)が、電力ケーブル40に対して斜めにずれてしまうことを抑制できる。
そのため、スムーズに紐状体2を引き抜くことができ、電力ケーブル40や常温収縮チューブ30を損傷することなく、拡径保持用筒体20を解体して、常温収縮チューブ30を中間接続部41(電力ケーブル40)に密着させることができる。
なお、装着補助具10の内側支持部12の端部まで紐状体2を引き抜き、拡径保持用筒体20を解体して除去すると、装着補助具10の内側支持部12は、常温収縮チューブ30の収縮力で押し出される。
【0031】
そして、紐状体2を全て引き抜いて拡径保持用筒体20を解体除去した後、装着補助具10を電力ケーブル40から取り外すことで、図5に示すように、電力ケーブル40の中間接続部41に、常温収縮チューブ30を装着する作業が完了する。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、適度な剛性を有する装着補助具10の内側支持部12が、拡径保持用筒体20の他端22側を内面から支えるので、解体されて短くなった拡径保持用筒体20が常温収縮チューブ30の収縮力によって潰れて破損してしまうことはなく、全ての紐状体2をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体20を良好に解体することができる。
特に、拡径保持用筒体20を解体し終えるまで、外側支持部13が支持している内側支持部12は、内側支持部12の軸心を電力ケーブル40の軸心に合わせた状態で、電力ケーブル40および常温収縮チューブ30が延在する方向に沿う姿勢を維持して、拡径保持用筒体20を支えることができるので、紐状体2をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体20を良好に解体し、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41に良好に装着することを可能にする。
そして、電力ケーブル40や常温収縮チューブ30に損傷のない状態で、中間接続部41を常温収縮チューブ30で被覆することができるので、その常温収縮チューブ30で中間接続部41を補強するとともに絶縁保護することができる。
【0033】
(実施形態2)
図6は、実施形態1とは構造が異なる装着補助具10Cを用いて、電力ケーブルの中間接続部に常温収縮チューブ30を装着する過程を示す説明図であり、実施形態1と同一構成部分には同一の符号を付して説明を簡素化する。
この実施形態で用いた装着補助具10Cは、内側支持部12Aが実施形態1のものと異なっている。
この装着補助具10Cの内側支持部12Aは、拡径保持用筒体20の外側に緩み無く被さる円筒状であり、拡径保持用筒体20の他端部側の外面に密接して、拡径保持用筒体20が傾かないように、外側から支えている。
この実施形態においては、拡径保持用筒体20を解体し終えるまで、装着補助具10Cの内側支持部12Aが拡径保持用筒体20の他端22側を外側から支えるので、拡径保持用筒体20を傾かないように、電力ケーブル40および常温収縮チューブ30が延在する方向に沿う姿勢に保つことができる。この結果、紐状体2をスムーズに引き抜いて、拡径保持用筒体20を円滑に解体し、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41に良好に装着することを可能にする。
また、常温収縮チューブ30を取り付ける際に、電力ケーブル40や常温収縮チューブ30を傷付ける事故を防止できる。
加えて、この実施形態では、装着補助具10Cの内側支持部12Aが拡径保持用筒体20の外側に嵌まるので、拡径保持用筒体20の内側の空間が狭まることが無く、すなわち紐状体2を引き抜く空間が狭まることが無いので、紐状体2を引き抜き易い利点がある。また、装着補助具10Cを用いないときと同様に拡径保持用筒体20を全て解体することが可能であるという利点もある。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図7に示すように、装着補助具10Aの外側支持部13を、適度な剛性を有するとともに変形可能な樹脂材料で形成し、その外側支持部13の外面に輪ゴム状の収縮付勢部材14を備える構成にしてもよい。この例では、外側支持部13の先端部に収縮付勢部材14を取り付けている。
収縮付勢部材14は、装着補助具10Aの外側支持部13の端部側を締め付けて、外側支持部13を常温収縮チューブ30に付勢し、外側支持部13を常温収縮チューブ30の外周面に当接させ続けるようになっている。
そして、常温収縮チューブ30を中間接続部41(電力ケーブル40)に装着する際、常温収縮チューブ30の内周面側が縮径することに伴い、常温収縮チューブ30の外径も縮径する場合に、装着補助具10Aの外側支持部13が常温収縮チューブ30の縮径に追従して変形する。つまり、装着補助具10Aの外側支持部13の先端側は、縮径する常温収縮チューブ30の外周面に接した状態を維持することができるので、その外側支持部13は、内側支持部12を電力ケーブル40に沿う方向に延在させた姿勢に維持させやすく、より安定した状態で支えることができる。
その結果、この装着補助具10Aを用いた常温収縮チューブの装着方法によっても、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41により良好に装着することができる。
なお、外側支持部13には、ケーブルの長さ方向に沿うスリット設けておいてもよい。
【0035】
また、図8に示すように、装着補助具10Bの基部11に、板ばね状の外側支持部15を複数(図中、3本)設ける構成にしてもよい。
外側支持部15は、基部11の外縁から立設し、その先端側が内側支持部12の軸心に向かって傾いており、その先端を互いに近接させるように窄めた態様を呈している。この外側支持部15は、その先端を互いに離間させる放射方向に弾性変形して撓むことが可能であって、その先端を近接させて窄める態様に復元するようになっている。
この装着補助具10Bを常温収縮チューブユニット31に取り付ける際、板ばね状の外側支持部15は、常温収縮チューブ30によって押し広げられて撓み、外側支持部15が常温収縮チューブ30の外周面を付勢して当接するようになる。外側支持部15には、必要に応じて、図8中二点鎖線で示すように、収縮付勢部材14を装着してもよい。
そして、常温収縮チューブ30を中間接続部41(電力ケーブル40)に装着する際、常温収縮チューブ30の内周面側が縮径することに伴い、常温収縮チューブ30の外径も縮径する場合に、装着補助具10Bの外側支持部15が常温収縮チューブ30の縮径に追従して弾性変形する。つまり、装着補助具10Bの外側支持部15の先端側は、縮径する常温収縮チューブ30の外周面に接した状態を維持することができるので、その外側支持部15は、内側支持部12を電力ケーブル40に沿う方向に延在させた姿勢に維持させやすく、より安定した状態で支えることができる。
その結果、この装着補助具10Bを用いた常温収縮チューブの装着方法によっても、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41により良好に装着することができる。
【0036】
なお、以上の実施形態においては、常温収縮チューブ30を電力ケーブル40の中間接続部41に装着する手法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電力ケーブルと導体引き出し棒(棒状の金属導体)が接続される終端接続部など、その他任意の箇所のケーブル接続部に常温収縮チューブ30を装着する際に、本発明を適用してもよい。
【0037】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10、10A、10B、10C 装着補助具
11 基部
12 内側支持部
13 外側支持部
14 収縮付勢部材
15 外側支持部
2 紐状体
20 拡径保持用筒体
21 一端
22 他端
30 常温収縮チューブ
31 常温収縮チューブユニット
40 電力ケーブル
41 中間接続部(接続部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体をスパイラル状に巻回して形成した拡径保持用筒体の外周に拡径した状態で常温収縮チューブを保持し、その拡径保持用筒体の内側に電力ケーブルの接続部を配置して、前記拡径保持用筒体の一端から解いた前記紐状体を当該拡径保持用筒体の内側を通して他端側へ引き抜き、前記拡径保持用筒体を一端側から順次解体することで、前記常温収縮チューブを順次縮径させて、その常温収縮チューブを前記接続部に装着する際に用いる常温収縮チューブの装着補助具であって、
前記拡径保持用筒体の他端側に装着して、その他端側を支える筒状の内側支持部と、
前記常温収縮チューブの外面に被さり、前記電力ケーブルの軸心に前記内側支持部の軸心を合わせて、その内側支持部を支持する外側支持部と、
を備えることを特徴とする常温収縮チューブの装着補助具。
【請求項2】
前記外側支持部が前記電力ケーブルに沿う方向に延在する長さは、前記内側支持部が前記拡径保持用筒体に沿う長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の常温収縮チューブの装着補助具。
【請求項3】
前記外側支持部は、常温収縮チューブの縮径に追従して変形して常温収縮チューブの外面に当接し続けることが可能な部分を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の常温収縮チューブの装着補助具。
【請求項4】
紐状体をスパイラル状に巻回して形成した拡径保持用筒体の外周に、拡径した状態で常温収縮チューブを保持し、
次いで、前記拡径保持用筒体の内側に電力ケーブルの接続部を配置し、
次いで、前記拡径保持用筒体の一端から解いた前記紐状体を当該拡径保持用筒体の内側を通して他端側へ引き抜き、前記拡径保持用筒体を一端側から順次解体することで、前記常温収縮チューブを順次縮径させて前記接続部に装着させる常温収縮チューブの装着方法において、
請求項1の装着補助具を用い、
前記拡径保持用筒体の他端側を前記装着補助具の内側支持部で支持するとともに、前記常温収縮チューブの外面に被さる前記装着補助具の外側支持部が、前記内側支持部を前記電力ケーブルに沿って延在する向きに支持した状態で、前記拡径保持用筒体を解体することを特徴とする常温収縮チューブの装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−50188(P2012−50188A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187768(P2010−187768)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】