説明

干渉計およびそれを備えた分光器

【課題】平板型のBSを用いたときの2光束の光路差の補償を、光学部品の部品点数を増大させることなく行って、小型で組み立てが容易な構成を実現する。BSへの入射光が軸外光線を有する場合の干渉性能の大幅な低下を回避して、干渉性能を補償する。
【解決手段】移動鏡14は、静止状態において、移動鏡14で反射された光束と固定鏡で反射された光束との光路差がゼロとなる第1の位置Pに対して、平板型のBSの反射透過面で分離される2光束のうち、移動鏡14または固定鏡を介して再度反射透過面に入射するまでにBSの透明基板を透過する側の光束の光路長が、他方の光束の光路長よりも相対的に長くなる第2の位置Qにある。移動鏡14の駆動機構は、第2の位置Qに対してBS側とその反対側とで移動量が対称となるように移動鏡14を移動させることによって、第1の位置Pに対してBS側とその反対側とで移動鏡14の移動量を非対称にさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイケルソン型の干渉計と、その干渉計を備えた分光器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイケルソン型の干渉計を用いたフーリエ変換分光分析装置(以下、分光器と称する)では、光源からの入射光をビームスプリッタ(以下、BSとも称する)で2光束に分離し、各光束をそれぞれ移動鏡および反射鏡で反射させて光路を折り返し、再度BSに入射させて合成し、干渉させる。移動鏡の位置が変化すると、移動鏡で反射される光束と固定鏡で反射される光束とで光路差が生じ、入射光のうちで特定波長の光が干渉する。したがって、移動鏡の位置を変化させながら、干渉光の強度変化を光検出器で検出し、光検出器からの出力信号をフーリエ変換することにより、各波長ごとの強度を検知することができ、これによって入射光の分光分析を行うことができる。
【0003】
ところで、マイケルソン型の干渉計では、上記のBSとして、反射透過膜を2つの透明基材で挟んだキューブ型のBSを用いれば、反射透過膜によって2つに分離された各光束は、BSの透明基材を同じ回数だけ透過した後、干渉するので、2光束でBSに起因する光路差はつかない。この場合、分光分析を行うにあたって、移動鏡の位置変化による2光束の光路差の変動だけを考えればよい。
【0004】
しかし、上記したキューブ型のBSは、コストが高く、体積も大きく、重い。このため、干渉計を小型で構成する場合には、透明基板(平行平板)の片面に反射透過膜をコーティングした平板型のBSが用いられる場合が多い。図6は、平板型のBS101を用いた従来の干渉計の構成を模式的に示している。なお、平板型のBS101を用いる構成は、例えば特許文献1にも開示されている。
【0005】
平板型のBS101を用いた場合、入射光がBS101の透明基板101aを透過し、反射透過膜101bによって2光束に分離される。このうち、一方の光束は、透明基板101aを透過した後、固定鏡103で反射され、再度透明基板101aを透過して反射透過膜101bに入射するのに対して、他方の光束は、移動鏡102で反射された後、反射透過膜101bに入射する。つまり、BS101で分離されて再度合成されるまでに、固定鏡103側の光束は透明基板101aを2回透過するのに対して、移動鏡102側の光束は透明基板101aを透過しない。したがって、平板型のBS101を用いた構成では、BS101で分離された2光束の間で、透明基板101aを透過する回数が異なることに起因する光路差が生ずる。
【0006】
そこで、透明基板101aに相当する平板ガラスを補償板として光路中に配置することにより、BS101に起因する2光束の光路差を補償する方法がある。図7は、平板型のBS101に補償板104を接合した従来の干渉計の構成を模式的に示している。補償板104は、BS101の透明基板101aと同じ材質、同じ厚さで構成されている。また、図8は、BS101とは独立して補償板104を光路中に配置した従来の干渉計の構成を模式的に示している。なお、補償板104を独立して配置した構成は、例えば特許文献2にも開示されている。なお、図7および図8では、説明の理解をしやすくするため、移動鏡102と固定鏡103との位置関係を図6とは逆にしている。
【0007】
図7および図8のように、補償板104を光路中に設けることにより、移動鏡102側の光束と固定鏡103側の光束とで、材質の同じ部材(透明基板101a、補償板104)を透過する回数および光路長が同じになるので、BS101に起因する光路差を補償することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−227237号公報
【特許文献2】特開平8−36105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、図7および図8の構成では、補償板104という独立した光学部品をBS101に接合するか、光路中に独立して配置する必要がある。このため、2光束の光路差の補償にあたって光学部品の部品点数が増大し、干渉計の大型化を招くとともに、干渉計の組み立てが複雑化する。
【0010】
また、例えば移動鏡と固定鏡とのうちのどちらかを、移動鏡の静止状態で光路差ゼロとなる位置に設定することにより、平板型のBSを用いることによって生ずる上記の光路差を、補償板を用いなくても補償することができる。
【0011】
しかし、光源が大きさを持つ光学系では、BSに入射する光として、軸上光線のみならず軸外光線が存在するので、このような軸外光線の影響をさらに考慮する必要がある。すなわち、光源が大きさを持つ光学系では、どのようなコリメータを使っても、BSを透過する際に軸上光線に対して軸外光線が傾いて入射し、軸上光線と軸外光線とで光路差が生じてしまう。軸上光線と軸外光線との光路差が補償されていないと、移動鏡が移動するにつれて干渉性能の低下が起こる。しかも、以下の理由により、移動鏡が静止状態の位置からBS側に移動する場合と、BSとは反対側に移動する場合とで、干渉性能の低下が不均衡に起こる。
【0012】
すなわち、コリメータは正のパワーを持っているため、軸外光はマイナスの波面収差を持つ。このため、BSの反射透過膜で反射されて平行平板(透明基板)を通る側の光路長を短くすると、波面収差がプラス方向に変動し、干渉性が悪くなって性能低下が著しくなる。逆に、上記光路長を長くすると、波面収差はマイナスに変動するが、反射透過膜で反射されて平行平板を通る側では、反射透過膜を透過する側に比べて、元々波面収差が少しプラスになっているため、干渉性の低下は少ない。したがって、例えば、反射透過膜で反射されて平行平板を通る側に移動鏡があり、BSの反射透過膜を透過する側に固定鏡がある場合には、移動鏡がBSに近づくにつれて干渉性能が著しく低下し、BSから遠ざかる方向では干渉性能の低下は少ない。また、BSに対する移動鏡と固定鏡との位置関係が上記とは逆の場合には、移動鏡がBSから遠ざかるにつれて干渉性能が著しく低下し、BSに近づく方向では干渉性能の低下は少ない。
【0013】
なお、大きさを持たない光源(点光源)は、実際には存在しない。点光源として扱えるくらい十分に小さな光源を使用することは可能であるが、干渉計を小型化した上に分光器としての精度を十分確保するためには、明るい光源が必要となる。大きさが小さいまま明るい光源というのは実際にはほとんど存在せず、明るくなるほど光源が大きくなってしまうのが通常である。なお、光源が干渉計の外部に位置している場合でも、BSに入射する光が軸上光線のみならず軸外光線を有している限り、事情は同じである。
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、平板型のBSを用いたときの2光束の光路差の補償を、光学部品の部品点数を増大させることなく行うことができ、これによって、小型で組み立てが容易な構成を実現できるとともに、軸外光線に起因する干渉性能の大幅な低下を回避して、干渉性能を補償することができる干渉計と、その干渉計を備えた分光器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の干渉計は、入射光を2光束に分離するビームスプリッタと、移動鏡および固定鏡と、前記移動鏡を並進駆動する駆動機構とを備え、前記ビームスプリッタで分離された各光束を、前記移動鏡および前記固定鏡で反射させ、前記移動鏡を並進させながら前記ビームスプリッタで合成して干渉させる干渉計であって、前記ビームスプリッタは、透明基板の片面が反射透過面である平板型のビームスプリッタであり、前記移動鏡は、静止状態において、前記移動鏡で反射された光束と前記固定鏡で反射された光束との光路差がゼロとなる第1の位置に対して、前記ビームスプリッタの前記反射透過面で分離される2光束のうち、前記移動鏡または前記固定鏡を介して再度前記反射透過面に入射するまでに前記透明基板を透過する側の光束の光路長が、他方の光束の光路長よりも相対的に長くなる第2の位置にあり、前記駆動機構は、前記第2の位置に対して前記ビームスプリッタ側とその反対側とで移動量が対称となるように前記移動鏡を移動させることによって、前記第1の位置に対して前記ビームスプリッタ側とその反対側とで前記移動鏡の移動量を非対称にさせることを特徴としている。
【0016】
移動鏡の移動量が第1の位置に対して非対称であることから、第1の位置は移動鏡の移動範囲に含まれており、移動鏡は必ず第1の位置を通る。第1の位置では、2光束(移動鏡および固定鏡で反射される各光束)の光路差がゼロとなるため、この第1の位置を基準に2光束の光路差(移動鏡の位置)を考えることにより、平板型のBSに起因する2光束の光路差を補償することができる。つまり、平板型のBSに起因する2光束の光路差の補償を、光学部品の部品点数を増大させることなく(従来のような補償板を用いることなく)行うことができ、小型で組み立てが容易な干渉計を実現することができる。
【0017】
また、移動鏡の移動量が第1の位置に対して非対称であるので、入射光が軸上光線に対して傾いた軸外光線を有している場合でも(入射光がある大きさを持つ光源から出射された光であっても)、軸上光線と軸外光線との光路差に起因して干渉性能が大きく低下する範囲を避けるように移動鏡を移動させることができる。これにより、軸外光線に起因する干渉性能の大幅な低下を回避することができる。つまり、上記構成によれば、平板型のBSに起因する2光束の光路差の補償と、入射光が軸外光線を有している場合の干渉性能の補償とを両方行うことができる。
【0018】
また、駆動機構は、第2の位置に対して移動鏡の移動量を対称にすることによって、第1の位置に対する非対称な移動量を実現するので、移動鏡自体を第1の位置に対して非対称に駆動する特殊な駆動機構を用いなくても済む。さらに、例えば、第1の位置に対して移動鏡の移動量を対称にして、その移動範囲に含まれる、干渉性能が大きく低下する範囲を使用しない(その範囲内に移動鏡が位置する場合の干渉結果を無視する)方法もあるが、この方法では、本発明のように第2の位置に対して移動鏡の移動量を対称にする場合よりも、移動鏡の全体の移動範囲が大きくなるため、駆動機構を大型化する必要がある。言い換えれば、本発明のように、第2の位置に対して移動鏡の移動量を対称にすることによって、第1の位置に対する非対称な移動量を実現することにより、駆動機構を大型化することなく、上記の光路差の補償および干渉性能の補償を行うことができ、この点でも、小型の干渉計を実現することができる。
【0019】
本発明の干渉計は、前記ビームスプリッタから出射される干渉光を受光してその検知信号を出力する光検出器をさらに備え、前記ビームスプリッタと前記固定鏡との距離をL1とし、前記ビームスプリッタと静止状態における前記移動鏡との距離をL2とし、前記移動鏡の移動方向において、距離L1と距離L2とが物理的に等しくなるような前記移動鏡の位置を、第3の位置とすると、前記第2の位置は、前記第1の位置よりも前記第3の位置に近いことが望ましい。
【0020】
BSに対する入射光が軸上光線のみならず、軸外光線を有している場合には、その軸外光線の影響により、L1=L2となる移動鏡の第3の位置で、干渉光のコントラストが最も高くなることがわかっている。したがって、移動鏡の第2の位置を第3の位置に近づけることにより、微小な誤差の検知感度が高くなるため、組み立て時の固定鏡または移動鏡の位置調整が容易になる。つまり、固定鏡または移動鏡の少しの位置ずれでも、光検出器からの出力に基づいてコントラストの低下を検知することができるため、固定鏡または移動鏡の位置調整がしやすくなる。
【0021】
本発明の干渉計において、前記駆動機構は、圧電素子の伸縮によって共振する平行板ばねで構成されていることが望ましい。
【0022】
平行板ばねの共振によって移動鏡を並進させるので、圧電素子を駆動する際の駆動電圧が小さくても、移動鏡を大きく変位させることができる。
【0023】
本発明の干渉計は、光源と、前記光源から出射される光を平行光に変換して前記ビームスプリッタに導くコリメート光学系とをさらに備えていてもよい。
【0024】
通常、光源は、ある大きさの出射面を持っており、どのようなコリメート光学系を用いても、入射光を完全に平行光に変換することはできず、BSに入射する軸上光線に対して軸外光線が傾き、これらの光線の間で光路差が生ずる。したがって、光源とコリメート光学系とを有する干渉計では、上記光路差に起因して、移動鏡の移動に伴う干渉性能の大きな低下が生じやすいため、上記した本発明の構成が非常に有効となる。
【0025】
本発明の分光器は、上述した本発明の干渉計と、前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えている構成であってもよい。
【0026】
本発明の干渉計によれば、従来のような補償板を設けなくても、平板型のBSを設けることによる光路差の補償ができ、また、軸外光線の影響による干渉性能の補償もできるので、そのような干渉計を備えた分光器では、波長ごとの光の強度を示すスペクトルに基づく分光分析を、小型、軽量の構成で精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、2光束の光路差がゼロとなる第1の位置が移動鏡の移動範囲に含まれるように、駆動機構によって移動鏡を駆動することにより、第1の位置を基準に2光束の光路差を考えることができ、これによって、平板型のBSに起因する2光束の光路差を補償することができる。したがって、平板型のBSに起因する2光束の光路差の補償を、光学部品の部品点数を増大させることなく行うことができ、小型で組み立てが容易な干渉計を実現することができる。
【0028】
また、移動鏡の移動量が第1の位置に対して非対称であるので、軸外光線に起因して干渉性能が大きく低下する範囲を避けるように移動鏡を移動させることができる。これにより、軸外光線に起因する干渉性能の大幅な低下を回避して、干渉性能を補償することができる。
【0029】
また、第2の位置に対して移動鏡の移動量を対称にすることによって、第1の位置に対する非対称な移動量を実現することにより、駆動機構を大型化することなく、上記の光路差の補償および干渉性能の補償を行うことができ、この点でも、小型の干渉計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の一形態に係る分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】上記分光器の干渉計が備える駆動機構の概略の構成を示す説明図である。
【図3】上記干渉計の主要部の構成を拡大して示す説明図である。
【図4】上記干渉計の移動鏡の第1の位置に対する移動量と、第2の位置に対する移動量とを模式的に示す説明図である。
【図5】(a)は、上記干渉計における固定鏡側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示しており、(b)は、上記干渉計における上記移動鏡側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示している。
【図6】平板型のBSを用いた従来の干渉計の構成を模式的に示す説明図である。
【図7】従来の干渉計の他の構成であって、平板型のBSに補償板を接合した構成を模式的に示す説明図である。
【図8】従来の干渉計のさらに他の構成であって、BSとは独立して補償板を光路中に配置した構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
(干渉光学系および分光器について)
図1は、本実施形態の分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。分光器1は、フーリエ変換分光分析装置(FTIR;Fourier Transform Infrared Spectroscopy )であり、干渉計2と、演算部3と、出力部4とを有している。
【0033】
演算部3は、干渉計2から出力される信号(干渉光の検知信号)をA/D変換およびフーリエ変換することにより、各波長(波数(=1/波長))の光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部である。出力部4は、演算部3にて生成されたスペクトルを出力(例えば表示)する。
【0034】
干渉計2は、マイケルソン型の干渉計で構成されており、光源11と、コリメート光学系12と、BS(ビームスプリッタ)13と、移動鏡14と、固定鏡15と、光検出器16と、駆動機構21(図2参照)とを備えている。なお、BS13と光検出器16との間の光路中に集光光学系が配置されていてもよい。また、移動鏡14と固定鏡15の位置関係は、逆であってもよい。
【0035】
光源11は、例えば近赤外光(波長900〜2600nm)を出射する。コリメート光学系12は、光源11からの光を平行光に変換してBS13に導く光学系であり、例えば非球面単レンズで構成されている。なお、コリメート光学系12は、色収差を少なくした複数レンズからなるコリメータで構成されてもよいし、回転楕円鏡を用いたコリメータで構成されてもよい。
【0036】
BS13は、光源11からコリメート光学系12を介して入射する光を2光束に分離し、それぞれを移動鏡14および固定鏡15に導くとともに、移動鏡14および固定鏡15にて反射された各光を合成し、干渉させるビームスプリッタである。このBS13は、平板型のビームスプリッタで構成されているが、その詳細については後述する。移動鏡14および固定鏡15は、BS13で分離された各光束を反射させる反射鏡であり、移動鏡14は駆動機構21によって並進駆動され、固定鏡15は固定されている。光検出器16は、BS13から出射される干渉光を受光して検出し、演算部3に出力する。
【0037】
駆動機構21は、BS13と移動鏡14との間の光路長が変化するように移動鏡14を平行移動させる機構である。図2は、駆動機構21の概略の構成を示す説明図である。駆動機構21は、2つの板ばね22・23を剛体24・25を介して平行に配置し、一方の板ばね22上に形成した圧電素子26の伸縮によって共振する平行板ばねで構成されている。移動鏡14は、例えば板ばね22上に形成されており、駆動機構21による共振によって並進駆動される。例えば、水平方向に伸びるような電圧を圧電素子26に印加することにより、板ばね22・23は同図の実線のように変形し、その結果、移動鏡14は下方に(BS13から遠ざかる方向に)変位する。一方、水平方向に縮むような電圧を圧電素子26に印加することにより、板ばね22・23は同図の破線のように変形し、その結果、移動鏡14は上方に(BS13に近づく方向に)変位する。
【0038】
このように、圧電素子26の伸縮によって共振する平行板ばねで駆動機構21を構成することにより、圧電素子26を駆動する際の駆動電圧が小さくても、小型の構成で移動鏡14を大きく変位させることができ、干渉計2の分解能を向上させる点で有利となる。
【0039】
なお、駆動機構21は、VCM(ボイスコイルモータ)や静電アクチュエータを用いて、移動鏡14を並進駆動する構成であってもよい。また、定常状態(静止状態)が移動ストロークの中点付近にある別の駆動方法(レールによる平行移動など)を用いてもよい。さらに、4本のばねを用いて移動鏡14を共振させる構成であってもよい。
【0040】
上記の構成において、光源11から出射された光は、コリメート光学系12によって平行光に変換された後、BS13での透過および反射によって2光束に分離される。分離された一方の光束は移動鏡14で反射され、他方の光束は固定鏡15で反射され、それぞれ元の光路を逆戻りしてBS13で重ね合わせられ、干渉光として試料(図示せず)に照射される。このとき、駆動機構21によって移動鏡14を連続的に移動(並進)させながら試料に光が照射されるが、BS13から各反射鏡(移動鏡14、固定鏡15)までの光路長の差が波長の整数倍のときは、重ね合わされた光の強度は最大となる。一方、移動鏡14の移動によって2つの光路長に差が生じている場合には、重ね合わされた光の強度に変化が生じる。試料を透過した光は、光検出器16に入射し、そこで時間的インターフェログラムとして検出される。
【0041】
干渉計2の光検出器16から出力される信号は、演算部3にてA/D変換およびフーリエ変換され、スペクトルとして出力部4で出力される。したがって、このスペクトルに基づき、試料の特性(材料、構造、成分量など)を知ることができる。また、試料を配置せず、光源11から出射される光自体を分光分析の対象とすることもできる。また、干渉計2は、光源11を内蔵している必要は必ずしもなく、光源11は干渉計2の外部にあってよい。つまり、BS13に入射する光は、干渉計2の内部の光源から入射する光であってもよいし、外部の光源から入射する光であってもよい。
【0042】
(BSの詳細について)
次に、上述したBS13の詳細について説明する。図3は、本実施形態の干渉計2の主要部の構成を拡大して示す説明図である。同図に示すように、BS13は、平行平板である透明基板13aの片面に反射透過膜13bを形成して構成されており、透明基板13aの片面が反射透過面となっている。
【0043】
透明基板13aは、例えばガラス(BK7)で構成されているが、樹脂で構成されてもよい。反射透過膜13bは、透明基板13aの移動鏡14側の面に形成されており、入射光をほぼ50:50の割合で透過光と反射光とに分離する。BS13は、光入射面(BS13における反射透過膜13bの形成面とは反対側の面)の法線と、光源11(図1参照)から出射されてBS13に入射する光束の中心光線とのなす角度が例えば30度となるように配置されているが、他の角度(例えば45度)となるように配置されていてもよい。
【0044】
なお、本実施形態では、BS13の裏面に反射透過膜13bを形成し、反射透過膜13bを透過する光を移動鏡14に導く構成としているが、BS13の表面に反射透過膜13bを形成し、反射透過膜13bで反射される光を移動鏡14に導く構成としてもよい。
【0045】
(移動鏡の位置設定の詳細について)
次に、移動鏡14の位置設定の詳細について説明する。なお、以下での説明の便宜上、図3に示すように、移動鏡14で反射された光束と固定鏡15で反射された光束との光路差がゼロとなるような移動鏡14の位置を、第1の位置Pとする。そして、移動鏡14の静止状態の位置であって、第1の位置Pに対してBS13側の位置を、第2の位置Qとする。なお、この第2の位置Qは、BS13の反射透過面(反射透過膜13b)で分離される2光束のうち、透明基板13aを透過する側の光束(ここでは固定鏡15側の光束)の光路長が、他方の光束(ここでは移動鏡14側の光束)の光路長よりも相対的に長くなるような位置である。また、BS13と固定鏡15との距離をL1(mm)とし、BS13と静止状態における移動鏡14との距離をL2(mm)とし、移動鏡14の移動方向において、距離L1と距離L2とが物理的に等しくなるような移動鏡14の位置を、第3の位置Rとする。
【0046】
また、駆動機構21による駆動によって、移動鏡14がBS13から最も離れる位置を、位置Qとし、移動鏡14がBS13に最も近づく位置を、位置Qとする。図4は、移動鏡14の第1の位置Pに対する移動量と、第2の位置Qに対する移動量とを模式的に示している。以下、「2光束」と記載したときは、特に断らない限り、移動鏡14で反射された光束と固定鏡15で反射された光束とを指すものとする。なお、仮に、移動鏡14を静止状態で第1の位置Pに位置させて移動鏡14を往復で駆動した場合に、第1の位置Pに対して位置Qとは反対側の位置であって、第1の位置Pからの移動量が位置Qまでの移動量と同じ移動量となる位置を、位置Qとする。
【0047】
本実施形態では、上記のように、移動鏡14は、静止状態において、第1の位置Pに対してBS13側の第2の位置Qにある。そして、駆動機構21は、第2の位置Qに対してBS13側とその反対側とで移動量が対称となるように移動鏡14を移動させることによって、第1の位置Pに対してBS13側とその反対側とで移動鏡14の移動量を非対称にさせている。
【0048】
移動鏡14の移動量は、第1の位置Pに対して非対称であることから、第1の位置Pは移動鏡14の移動範囲に含まれており、移動鏡14は駆動機構21の駆動によって第1の位置Pを必ず通過する。この第1の位置Pでは、2光束の光路差がゼロとなるため、分光分析を行う際は、第1の位置Pを基準にして2光束の光路差(移動鏡14の位置)を考えれば、平板型のBS13に起因する2光束の光路差を補償することができる。なお、第1の位置Pでは、光検出器16からの出力信号を演算部3にてフーリエ変換したときに、入射光に含まれる全ての波長について強度が最大となる、いわゆるセンターバーストが起こるため、第1の位置Pを検出することは容易である。
【0049】
このように移動鏡14の移動範囲に第1の位置Pが含まれるように、駆動機構21によって移動鏡14を並進駆動することにより、平板型のBS13に起因する2光束の光路差の補償を、従来のように補償板を用いることなく行うことができ、小型で組み立てが容易な干渉計2を実現することができる。
【0050】
また、移動鏡14の移動量が第1の位置Pに対して非対称であるので、光源11がある大きさを持ち、BS13への入射光が軸上光線に対して傾いた軸外光線を有している場合でも、軸上光線と軸外光線との光路差に起因して干渉性能が大きく低下する範囲を避けるように移動鏡14を移動させることができる。つまり、図4では、位置Qから位置Qまでの範囲で軸外光線に起因して干渉性能が大きく低下するが、この範囲を避けるように、移動鏡14を移動させることができる。これにより、軸外光線に起因する干渉性能の大幅な低下を回避して、干渉性能を補償することができる。
【0051】
つまり、本実施形態の干渉計2の構成によれば、上述した平板型のBS13に起因する2光束の光路差の補償と、光源11が大きさを持つ場合の干渉性能の補償とを両方行うことができる。よって、そのような干渉計2を備えた分光器1では、小型、軽量の構成で分光分析を精度よく行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、第1の位置Pに対して移動鏡14の移動量を非対称にさせるにあたり、駆動機構21は、第2の位置Qに対して移動量が対称となるように移動鏡14を移動させればよく、第1の位置Pを基準として移動鏡14を非対称に駆動するような特殊な駆動機構を用いなくても済む。
【0053】
また、本実施形態と同じ移動鏡14の移動範囲での2光束の干渉を少なくとも実現するために、例えば、第1の位置Pに対して移動鏡14の移動量を対称にするとともに、移動鏡14の全体の移動範囲を位置Qから位置Qまで確保する一方、その移動範囲に含まれる、干渉性能が大きく低下する範囲(位置Qから位置Qまでの範囲)での干渉結果を使用しない方法もある。しかし、この方法では、移動鏡14を位置Qから位置Qまで移動させるだけの駆動能力を駆動機構21が備えている必要がある。
【0054】
これに対して、本実施形態では、駆動機構21は、移動鏡14を位置Qから位置Qまで移動させるだけの駆動能力を備えていれば足り、移動鏡14の全体の移動範囲を上記の方法に比べて少なくすることができる。これにより、駆動機構21を小型で構成することが可能となり、この点でも小型の干渉計2を実現することが可能となる。
【0055】
また、通常、光源11はある大きさの出射面を持っており、どのようなコリメート光学系12を用いても、入射光を完全に平行光に変換することはできず、BS13に入射する軸上光線に対して軸外光線が傾き、これらの光線の間で光路差が生ずる。したがって、光源11とコリメート光学系12とを有する干渉計2では、上記光路差に起因して、移動鏡14の移動に伴う干渉性能の大きな低下が生じやすいため、上記した本実施形態の構成が非常に有効となる。
【0056】
また、図3に示すように、本実施形態では、移動鏡14の静止状態での第2の位置Qは、第1の位置Pよりも第3の位置Rに近くなるように設定されている。これは、以下の理由による。
【0057】
BS13に対する入射光が軸上光線のみであれば、2光束の光路差が光学的にゼロとなる第1の位置Pで、干渉光のコントラストが一番高くなる。しかし、BS13に対する入射光が軸上光線のみならず、軸外光線を有している場合には、その軸外光線の影響により、L1=L2となるような移動鏡14の第3の位置Rで、干渉光のコントラストが最も高くなることが実験的にわかっている。
【0058】
そこで、移動鏡14の移動中間点にあたる第2の位置Qを、第3の位置Rに近づけることにより、干渉計2の組み立ての際の固定鏡15または移動鏡14の位置調整がしやすくなる。つまり、移動鏡14の静止状態で干渉光のコントラストができるだけ高くなる位置を基準にして、固定鏡15または移動鏡14の位置調整を行うと、傾き誤差がわずかに生じたときでもコントラストの低下(光検出器16からの出力低下)が大きくなり、微小な誤差の検知感度が高くなるため、組み立て時の固定鏡15または移動鏡14の位置調整が容易になる。
【0059】
なお、入射光が複数の波長を含む場合、各波長ごとに、干渉光のコントラストが最も高くなる移動鏡の位置14は異なるが、単一の波長を入射光として用いることで、上記の位置調整を行うことができる。すなわち、上記の位置調整を行う場合は、波長幅のある近赤外光ではなく、単一波長の光を光源11から出射させることで、干渉光のコントラストの低下を検知でき、位置調整を行うことができる。
【0060】
なお、以上では、BS13の反射透過面で反射された光束が透明基板13aを透過する側に固定鏡15を配置した例について説明したが、上記光束が透明基板13aを透過する側に移動鏡14を配置した場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。ただし、この場合、移動鏡14の静止状態での第2の位置Qは、BS13の反射透過面で分離される2光束のうち、透明基板13aを透過する側の光束(ここでは移動鏡14側の光束)の光路長が、他方の光束(ここでは固定鏡15側の光束)の光路長よりも相対的に長くなる位置であるので、第1の位置Pに対してBS13とは反対側に位置することになる。
【0061】
(実施例について)
次に、上述した干渉計2の実施例について説明する。実施例1は、図1の光学系に対応した数値実施例であり、そのコンストラクションデータは以下の通りである。なお、説明の理解をしやすくするために、固定鏡15側の光路と移動鏡14側の光路とで、コンストラクションデータを分けて記載する。図5(a)は、干渉計2における固定鏡15側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示しており、図5(b)は、移動鏡14側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示している。
【0062】
以下のコンストラクションデータにおいて、Si(i=0、1、2、・・・)は物体側から数えてi番目の面を指す。
【0063】
具体的には、固定鏡15側の光路では、S0は光源11の発光面、S1およびS2はコリメート光学系12の光入射面および光出射面、S3は仮想絞り面(STO)、S4はBS13の透過面、S5はBS13の反射透過面、S6はS5と同じ面、S7はS4と同じ面、S8は固定鏡15の反射面、S9はS7と同じ面、S10はS5と同じ面、S11は移動鏡14側と光学距離を合わせるためのダミー面、S12はS13と同じ面、S13は仮想干渉面をそれぞれ指す。なお、S11は、S5から1mm離れた位置にS5と平行に位置している。
【0064】
一方、移動鏡14側の光路では、S0は光源11の発光面、S1およびS2はコリメート光学系12の光入射面および光出射面、S3は仮想絞り面(STO)、S4はBS13の透過面、S5はBS13の反射透過面、S6はS5と同じ面、S7は固定鏡15側と面数を合わせるためのダミー面、S8は移動鏡14の反射面、S9はS7と同じ面、S10はS5と同じ面、S11は固定鏡15側と光学距離を合わせるためのダミー面、S12はS13と同じ面、S13は仮想干渉面をそれぞれ指す。なお、S7およびS9は、両側が空気で機能を持たない面であり、S4と同じ位置にある。
【0065】
なお、コンストラクションデータにおいて、特に部品名の表記をしていない面は、偏芯データを入力するためのダミー面である。
【0066】
また、RMDは面の特性を指し、REFLであれば反射面を、表記がない場合は屈折面を指す。また、屈折率の記載がないところは空気であることを指す。曲率半径および軸上面間隔の単位はmmである。
【0067】
ASPは、以下のXY多項式で表される非球面のデータを指す。XY多項式は、光源11から光検出器16に向かう光束の中心光線が進行する軸を光軸としたとき、その光軸方向をZ軸、メリディオナル断面内でZ軸に垂直な方向をY軸、サジタル断面内でZ軸に垂直な方向をX軸として、面頂点からの距離を以下のように表したものである。
z=(C*h)/[1+{1−(1+k)*C*h1/2
+A*h+B*h+C*h+D*h10
ここで、zは面のローカルなZ軸方向の面頂点からの位置、Cは近軸の曲率で曲率半径の逆数(1/mm)、kは円錐定数、hはZ軸からの高さ(h=x+y)、Aは4次の非球面係数、Bは6次の非球面係数、Cは8次の非球面係数、Dは10次の非球面係数である。なお、非球面データにおいて、E−n=×10−nを指す。
【0068】
また、XDEはX方向の平行偏芯、YDEはY方向の平行偏芯、ZDEはZ方向の平行偏芯の各量(mm)をそれぞれ指し、ADEはX軸周りの回転、BDEはY軸周りの回転、CDEはZ軸周りの回転の角度(°)をそれぞれ指す。GLB GiはSi面を基準とするグローバル偏芯(表記がなければローカルな偏芯)であることを指す。回転中心の座標は、入射光束の中央位置を原点としたときの位置である。なお、BS13は、X軸周りに回転するものとする。
【0069】
また、図5(a)(b)において、最初の光線は、左から右に向かって進行し(+Z軸方向)、反射面があれば光線は右から左に向かって進むものとする(計算の便宜上、角度が付いていても同じように考える)。そして、軸上面間隔および屈折率は、光線が左から右に進むときにはプラスとし、右から左に進むときにはマイナスとする。光線が右から左に進むとき、再び反射面があれば光線は左から右に進み、軸上面間隔および屈折率はプラスとなる。
【0070】
したがって、例えば、固定鏡側光路においては、S5は反射面であるので、これ以降の軸上面間隔および屈折率はマイナスとなる。また、S8も反射面(固定鏡15)なので、これ以降の軸上面間隔および屈折率は再びプラスとなる。また、移動鏡側光路においては、S5は透過面となるので、これ以降の軸上面間隔および屈折率はプラスのままである。S8は反射面(移動鏡14)であるため、これ以降の軸上面間隔および屈折率はマイナスとなる。S10は反射面となるので、これ以降の軸上面間隔および屈折率は再びプラスとなる。
【0071】
波長900nmにおけるBK7_SCHOTTの屈折率は1.508997である。また、実施例1では、光源11からの光は、BS13に対して入射角30°で入射しているものとする。
【0072】
<実施例1>
[固定鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率

S0 INFINITY 7.389570

S1 93.21306 3.324607 1.508997
(コリメータ光入射面)
ASP:
K: 0.000000
A:-0.265511E-02 B:0.206250E-03 C:-0.232303E-04 D:0.000000E+00

S2 -4.99769 27.857015
(コリメータ光出射面)
ASP:
K: 0.000000
A:-0.443198E-03 B:0.436195E-04 C:-0.195884E-05 D:-0.170634E-06

S3 INFINITY 0.000000
(STO)

S4 INFINITY 1.154701 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: -1.154701 GLB G3
ADE: 30.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S5 INFINITY 0.000000 REFL -1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G3
ADE: 30.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S6 INFINITY -1.000000 -1.508997
(S5と一致)

S7 INFINITY -9.000000
(S4と一致)

S8 INFINITY 9.000000
(固定鏡反射面)
XDE: 0.000000 YDE: -8.660254 ZDE: -5.000000 GLB G3
ADE: 60.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S9 INFINITY 1.000000 1.508997
(S7と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G7
ADE: 0.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S10 INFINITY 1.000000
(S5と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G5
ADE: 0.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S11 INFINITY 9.000000

S12 INFINITY 0.000000
(S13と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 8.660254 ZDE: 5.000000 GLB G3
ADE: 60.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S13 INFINITY 0.000000
(仮想干渉面)
【0073】
[移動鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率

S0 INFINITY 7.389570

S1 93.21306 3.324607 1.508997
(コリメータ光入射面)
ASP:
K: 0.000000
A:-0.265511E-02 B:0.206250E-03 C:-0.232303E-04 D:0.000000E+00

S2 -4.99769 27.857015
(コリメータ光出射面)
ASP:
K: 0.000000
A:-0.443198E-03 B:0.436195E-04 C:-0.195884E-05 D:-0.170634E-06

S3 INFINITY 0.000000
(STO)

S4 INFINITY 1.154701 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: -1.154701 GLB G3
ADE: 30.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S5 INFINITY 0.000000 1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G3
ADE: 30.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S6 INFINITY 1.000000
(S5と一致)

S7 INFINITY 9.000000

S8 INFINITY -9.000000
(移動鏡反射面)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 10.557727 GLB G3
ADE: 0.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S9 INFINITY -1.000000
(S7と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G7
ADE: 0.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S10 INFINITY 1.000000 REFL
(S5と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 0.000000 ZDE: 0.000000 GLB G5
ADE: 0.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S11 INFINITY 9.000000

S12 INFINITY 0.000000
(S13と一致)
XDE: 0.000000 YDE: 8.660254 ZDE: 5.000000 GLB G3
ADE: 60.000000 BDE: 0.000000 CDE: 0.000000

S13 INFINITY 0.000000
(仮想絞り面)
【0074】
[スペック]
光源の大きさ(直径) 0.3mm
入射瞳(STO)直径 2.62827mm
設計波長 900.00nm
【0075】
表1は、移動鏡14の位置に対する干渉光のコントラストの変化を示している。なお、コントラストは、最も干渉強度の高い状態を1とする相対値で示している。
【0076】
【表1】

【0077】
移動鏡14は、第1の位置Pを基準にして、BS13に近づく側に2.5002mm変位し(−2.5002mm変位し)、BS13から遠ざかる側に0.5004mm変位する(+0.5004mm変位する)。このように、移動鏡14の移動量は、第1の位置Pに対してBS13側とその反対側とで非対称であるが、移動鏡14の両端の2か所の位置(最大変位の位置)でのコントラストはほぼ同じとなっている。
【0078】
つまり、本実施形態のように、移動鏡14の移動量を第1の位置Pに対して非対称とすることにより、干渉性能が大幅に低下する範囲(第1の位置Pから+0.5004〜+1.5003mmの範囲)以外に移動鏡14を位置させて2光束を干渉させることが可能となり、入射光が軸外光線を有している場合でも、干渉性能を補償することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の干渉計は、例えばフーリエ変換分光分析装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 分光器
2 干渉計
3 演算部(スペクトル生成部)
11 光源
12 コリメート光学系
13 BS(ビームスプリッタ)
13a 透明基板
14 移動鏡
15 固定鏡
16 光検出器
21 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を2光束に分離するビームスプリッタと、
移動鏡および固定鏡と、
前記移動鏡を並進駆動する駆動機構とを備え、前記ビームスプリッタで分離された各光束を、前記移動鏡および前記固定鏡で反射させ、前記移動鏡を並進させながら前記ビームスプリッタで合成して干渉させる干渉計であって、
前記ビームスプリッタは、透明基板の片面が反射透過面である平板型のビームスプリッタであり、
前記移動鏡は、静止状態において、前記移動鏡で反射された光束と前記固定鏡で反射された光束との光路差がゼロとなる第1の位置に対して、前記ビームスプリッタの前記反射透過面で分離される2光束のうち、前記移動鏡または前記固定鏡を介して再度前記反射透過面に入射するまでに前記透明基板を透過する側の光束の光路長が、他方の光束の光路長よりも相対的に長くなる第2の位置にあり、
前記駆動機構は、前記第2の位置に対して前記ビームスプリッタ側とその反対側とで移動量が対称となるように前記移動鏡を移動させることによって、前記第1の位置に対して前記ビームスプリッタ側とその反対側とで前記移動鏡の移動量を非対称にさせることを特徴とする干渉計。
【請求項2】
前記ビームスプリッタから出射される干渉光を受光してその検知信号を出力する光検出器をさらに備え、
前記ビームスプリッタと前記固定鏡との距離をL1とし、前記ビームスプリッタと静止状態における前記移動鏡との距離をL2とし、前記移動鏡の移動方向において、距離L1と距離L2とが物理的に等しくなるような前記移動鏡の位置を、第3の位置とすると、
前記第2の位置は、前記第1の位置よりも前記第3の位置に近いことを特徴とする請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
前記駆動機構は、圧電素子の伸縮によって共振する平行板ばねで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の干渉計。
【請求項4】
光源と、
前記光源から出射される光を平行光に変換して前記ビームスプリッタに導くコリメート光学系とをさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の干渉計。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の干渉計と、
前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えていることを特徴とする分光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−107961(P2012−107961A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256335(P2010−256335)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】