説明

干渉顔料検出装置

【課題】媒体上の干渉顔料の種類によらず干渉顔料の検出が可能な干渉願顔料検出装置を提供する。
【解決手段】光源1aおよび1bから発光した紫外線を干渉フィルタ2aおよび2bを介して媒体5に照射し、この媒体からの反射光を受光部3で受光してその受光光量に対応した信号を判定部4に出力させ、判定部4は干渉フィルタ2aを通過した光を受光したときの受光部3の出力信号と干渉フィルタ2bを通過したときの受光部3の出力信号の差の値と閾値とを比較して、媒体5の干渉顔料の有無を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は紙幣や有価証券等に干渉顔料が使用されているか否かを検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣や有価証券等の偽造防止のため、光学的変化インキやパールインキなどが使用されている。
この光学的変化インキやパールインキを構成する顔料(以下、干渉顔料と記す。)は、誘電体の多層構造となっており、見る角度によって色が変わる等の見え方が変化する光学的変化特性をもっている。
これらは人間の目で確認することができることを主眼としているが、干渉顔料を検出するための装置としては、以下のような装置が提案されている。
まず、予め真正品に貼付するラベルには、誘電体薄膜の多層構造からなる第一の光フィルタ(干渉顔料)が組込まれる。
【0003】
次に、疑わしい物品があった場合、その物品のラベルを第二の光フィルタ有する装置を通して係官が観察することによって干渉顔料が使用されているか否かを検出する。
ここで、上記干渉顔料及び第二の光フィルタの関係を説明すると、干渉顔料の透過率対波長特性(以下、スペクトル特性と記す。)を示す波形は、規則的な山(ピーク)を有しており、第二の光フィルタのスペクトル特性を示す波形は規則的な谷(ノッチ)を有している。
【0004】
これら光フィルタのピークとノッチを比較すると、干渉顔料のピークが第二の光フィルタのノッチと一致するようになっており、これを相補形と呼ぶ。
そして、干渉顔料が組込まれたラベルをそのまま観察した場合は、ラベルに記載されている文字をはっきりと見て取ることができるが、上記のように干渉顔料に対して相補形の第二の光フィルタを通して観察すると黒く見えるようになっている。
【0005】
このように、第2の光フィルタと相補形である干渉顔料が組込まれているかを係官が観察することで干渉顔料の検出を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表平10−500495号公報(第4−7頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した装置は、干渉顔料と相補形の第二の光フィルタ有する装置を用いなければ干渉顔料を検出することができない。
このような性質を持つ干渉顔料は偽造することが困難であるため、機械でも検出を行えるようにし、これを自動取扱機に用いることで、紙幣や有価証券等の真偽の識別に利用したいという要望があるが、紙幣や有価証券等では、その種類によってスペクトル特性が異なる干渉顔料を用いるので、そのスペクトル特性に応じた第二の光フィルタを有する装置をすべて備えるにはコストがかかるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するため、紙幣や有価証券等上の干渉顔料の種類によらず干渉顔料の検出が可能な装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、媒体に紫外線を照射する光源と、紫外線の透過特性が異なる第一および第二のフィルタと、前記光から照射され、前記媒体で反射される前または反射された後に前記第一および第二のフィルタを通過した光を受光して、その受光光量に対応した信号を出力する受光部と、判定部とを有し、該判定部は、第一のフィルタを通過した光を受光したときの受光部の出力信号と第二のフィルタを通過したときの受光部の出力信号の差の値と閾値とを比較して、前記媒体の干渉顔料の有無を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、干渉顔料の種類によらず、一つの装置で干渉顔料の検出が可能となり、コストを抑えることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による干渉顔料検出装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本実施例における干渉顔料検出装置の構成を示す図であり、この干渉顔料検出装置は、光源1aおよび1b、干渉フィルタ2a(例えば第一のフィルタ)および干渉フィルタ2b(例えば第2のフィルタ)、受光部3、判定部4から構成され、紙幣や有価証券等の媒体5に、誘電体により構成される顔料(以下、干渉顔料と記す。)が使用されているか否かを検出する装置である。
【0011】
ここで、光源1aおよび1bは紫外線を発光する光源で、媒体5に向けて適当な角度で紫外線を照射するように配置されている。
干渉フィルタ2aおよび2bは、紫外線領域の中でもそれぞれ異なる波長の光を透過する透過特性をもち、この干渉フィルタ2aおよび2bは光源1aおよび1bに対向して設けられ、光源1aおよび1bで発光した紫外線が干渉フィルタ2aまたは2bを通過して媒体5に順次照射されるようになっている。
受光部3は、媒体5で反射した反射光を受光する部位であり、反射光を受光した受光部3は分光測定を行い、その反射光の強度、すなわち受光した反射光の光量を信号に変換してその信号を順次判定部4に送る機能を有している。
【0012】
図2は判定部4の構成を示すブロック図である。
図に示すように、判定部4は受光光量記憶部11aおよび11b、減算部12、閾値記憶部13、比較部14から構成される。
受光光量記憶部11aおよび11bは、受光部3から受けた受光光量の信号をそれぞれ記憶しておく。
【0013】
減算部12は、受光光量記憶部11aおよび11bから信号を受け取ってそれらの差をとり、その結果を比較部14へ送る。
閾値記憶部13は、媒体5に干渉顔料が使用されているか否かの検出に用いる閾値を記憶しておく。
比較部14は、減算部12から受取った結果と閾値記憶部13に記憶されている閾値とを比較し、媒体5に干渉顔料が使用されているか否かを検出する。
【0014】
図3は干渉顔料における反射光の反射強度対波長の特性を示す一例であり、図4は一般インキにおける反射光の反射強度対波長の特性を示す一例である。
図において、縦軸は反射光の反射強度をパーセンテージで示し、横軸は反射光の波長をナノメートルで示している。
本発明で検出しようとする干渉顔料は、誘電体の多層構造となっており、この干渉顔料に当たった光は誘電体の各層で反射し、それらの反射光が相互に干渉する。
このような干渉顔料における反射光の反射強度対波長の特性(以下、反射スペクトルという。)を観察してみると、図3のように、反射スペクトルに規則的なピークがあり、特にこの反射スペクトルは紫外線領域である波長400ナノメートル付近について特徴的なピークを有している。
【0015】
一方、一般インキでは図4に示すように、反射スペクトルの紫外線領域がほぼ平坦となっている。
そこで、紫外線領域におけるピークの有無を検出することで、干渉顔料が使用されているか否かを検出する。
なお、この紫外線領域において、干渉顔料の反射スペクトルの波形変化は単調増加または単調減少となればよい。
【0016】
干渉顔料を構成する誘電体層の厚さと屈折率より、得られる反射スペクトルは異なるが、媒体の色が変化するような光学的変化特性を生じさせるためには、顔料の厚さや屈折率は、ある範囲に限定されると考えられる。
そのため媒体5に利用されているほとんどの干渉顔料のスペクトル波形が、単調増加または単調減少している傾向をある程度推定することができるので、そのような範囲内で検出を行うものとする。
【0017】
次に、上述した構成の作用について説明する。
なお、以下の説明において、光源の紫外線領域における発光スペクトルは波長に対して一定の強さであり、また受光部の受光特性は波長に対して一定の感度を持つものとする。
また、本実施例における干渉顔料検出装置は、以下に説明する処理において前記干渉顔料検出装置内に設けられた図示しない制御部により図示しない記憶部に格納されたプログラムに基づいて制御されて以下のように動作するもので、前記判定部はこの制御部とソフトウェア、及びメモリ等により実現されるものとする。
【0018】
図5は、干渉フィルタの透過特性を示す図、図6は受光部3で得られる反射スペクトルを示す図である。
図5において、101a(実線部)は干渉フィルタ2aの透過特性、101b(点線部)は干渉フィルタ2bの透過特性であり、102は媒体の反射スペクトルとする。
図で示すように、干渉フィルタ2aと2bは、紫外線領域の中でも異なる波長の光を透過する。
【0019】
まず、光源1aを点灯して媒体5に紫外線を発光する。このとき、光源1bは消灯しておく。
光源1aから発光した紫外線は、図5の101aで示す透過特性をもつ干渉フィルタ2aを通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射光は受光部3で受光される。
図6(a)はこのときに受光部3で得られる反射スペクトル103aを示すものであり、また、103aで囲まれる斜線部の面積は受光部3で受光する反射光の光量を表している。
【0020】
受光部3はこの面積で表される受光光量に対応した値を信号B1として判定部4へ出力し、信号B1を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11aに格納しておく。
次に光源1aを消灯し、光源1bを点灯して紫外線を発光する。
光源1bから発光した紫外線は、101bで示す透過特性をもつ干渉フィルタ2bを通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射光は受光部3で受光される。
【0021】
図6(b)は、このときに受光部3にて得られる反射光の反射スペクトル103bを示すものであり、受光部3で受光する反射光の光量は、図6(b)の103bで囲まれる斜線部の面積で表される。
この反射光を受光した受光部3は上記と同様に、斜線部の面積で表される受光光量に対応した値を信号B2として判定部4へ出力し、信号B2を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11bに格納しておく。
このように受光部3から出力された信号B1とB2を得た判定部4は、この出力信号を用い干渉顔料の検出を行う。
まず、判定部4では、減算部12にて、受光光量記憶部11aおよび11bに格納している信号B1およびB2の差δB(δB=B1−B2)の絶対値を求める。
【0022】
即ち、図3で示す干渉顔料の反射スペクトルのように、紫外線領域においてもピークが存在する波形の場合には、B1とB2はそれぞれ異なる値をとるため、両者の差δBがある値をとることとなる。
一方、図4で示す一般インキの反射スペクトルのように、紫外線領域のスペクトル特性が一定であれば、B1およびB2の値はほぼ同じであり、差δBはほとんどなない。
したがって、ここで求めた差δBと、閾値記憶部13に記憶されている閾値とを比較部14で比較し、ピークの存在の有無を検出する。
つまり、δBの値が閾値を超えていれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在するので干渉顔料の使用を検出でき、δBが閾値未満であれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在しないので干渉顔料の使用を検出できないということになる。
【0023】
以上説明したように、紫外線領域におけるピークの有無により干渉顔料を検出するので、干渉顔料の種類による反射スペクトルの違いによらず一つの装置で干渉顔料を検出することができ、コストを抑えることができるという効果がある。
【実施例2】
【0024】
図7は実施例2の干渉顔料検出装置の構成を示す図である。
図に示すように、本実施例の干渉顔料検出装置の構成は、光源1、受光部3、判定部4は実施例1と同様であるが、使用する光源は一個の光源1とし、フィルタ切替装置6を備えるものとする。
図8はフィルタ切替装置6の構成図であり、このフィルタ切替装置6は光源1に設けられるものである。
【0025】
図に示すように、このフィルタ切替装置6は実施例1と同様の透過特性をもつ干渉フィルタ2a、2bと、フィルタ保持部7と、このフィルタ保持部7を回転するための図示しないモータから構成される。
フィルタ切替装置6において、干渉フィルタ2a、2bはフィルタ保持部7に光源と対向可能に取り付けられており、図示しない制御部の制御によってモータが駆動することでフィルタ保持部7が回転し、これにより干渉フィルタの一方が光源1に対向するよう切替えられる。
【0026】
ここで、干渉フィルタ2a、2bは、図5で説明したものと同様の透過特性をもち、さらに、図6において説明したものと同様の反射スペクトルが受光部3で得られるのものとし、以下の説明においてはこの図5及び図6を参照して説明する。
次に、上述した構成の作用について説明する。
また、本実施例における干渉顔料検出装置は、上記実施例と同様に図示しない制御部により制御されて以下のように動作するものとする。
【0027】
まず、光源1を点灯して紫外線を発光し、フィルタ切替装置6のフィルタ保持部7を図示しないモータで回転し、干渉フィルタ2aが光源1と対向するよう切替を行って紫外線が干渉フィルタ2aにあたるようにする。
これにより、光源1から発光した紫外線は実施例1と同様に、図5の101aで示す透過特性をもつ干渉フィルタ2aを通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射光は受光部3で受光される。
【0028】
反射光を受光した受光部3は、図6(a)の103aで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B1として判定部4へ出力し、信号B1を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11aに格納しておく。
次に、光源1を点灯したまま、フィルタ切替装置6のフィルタ保持部7を回転し、干渉フィルタ2bが光源1と対向するように切替を行い、干渉フィルタ2bに紫外線があたるようにする。
【0029】
これにより、光源1から発光した紫外線は実施例1と同様に、101bで示す透過特性をもつ干渉フィルタ2bを通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射光は受光部3で受光される。
反射光を受光した受光部3は、図6(b)の103bで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B2として判定部4へ出力し、信号B2を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11bに格納しておく。
このように受光部3から出力された信号B1とB2を得た判定部4はこの出力信号を用い、実施例1と同様に干渉顔料の検出を行う。
判定部4では、減算部12にて、受光光量記憶部11aおよび11bに格納している信号B1およびB2の差δB(δB=B1−B2)の絶対値を求め、ここで求めた差δBと、閾値記憶部13に記憶されている閾値とを比較部14で比較し、ピークの存在の有無を検出する。
【0030】
つまり、δBの値が閾値を超えていれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在するので干渉顔料の使用を検出でき、δBが閾値未満であれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在しないので干渉顔料の使用を検出できないということになる。
以上説明したように、紫外線領域におけるピークの有無により干渉顔料を検出するので、干渉顔料の種類による反射スペクトルの違いによらず一つの装置で干渉顔料を検出することができ、コストを抑えることができるという効果がある。
【0031】
さらに、光源を一つとしたことで、この一つの光源からの反射光を受光できるよう受光部と光源を構成すればよく、光源が2つある場合よりも装置の設計が容易となる。
なお、本実施例2において、図示しないモータがフィルタ保持部7を回転させることで、干渉フィルタ2a、2bの一方が光源1と対向するよう切替えを行うとして説明したが、フィルタ保持部7をモータによりスライドさせて干渉フィルタ2a、2bを切替えるようにしてもよい。
【実施例3】
【0032】
図9は実施例3の干渉顔料検出装置の構成を示す図である。
本実施例の干渉顔料検出装置の構成は、光源1、受光部3、判定部4と、波長可変フィルタ8を用いて構成される。
本実施例で使用される波長可変フィルタ8は、光源1と対向するように設けられ、紫外線領域の中でも異なる波長の光を透過する2つの透過特性を有し、図示しない制御部による制御信号によって透過特性を交互に切替えることで、第一および第二のフィルタとして使用することができる。
【0033】
このような透過特性が可変である波長可変フィルタ8の例としては、例えば液晶チューナブルフィルタと呼ばれるフィルタ(フォトテクニカ株式会社製液晶フィルタ「VariSpec」参照。)などがある。
なお、以下の説明において、波長可変フィルタ8は、図5の101aで示す透過特性と、101bの透過特性をもつものとする。
【0034】
さらに、波長可変フィルタ8を通過した反射光の一方から図6(a)において説明したものと同様の反射スペクトルが受光部3で得られるものとし、波長可変フィルタ8を通過した他方の反射光から図6(b)のものと同様の反射スペクトルが受光部3で得られるものとして、以下の説明においてはこの図5及び図6を参照して説明する。
次に、上述した構成の作用について説明する。
なお、本実施例における干渉顔料検出装置は、上記実施例と同様に図示しない制御部により制御されて以下のように動作するものとする。
【0035】
まず、光源1を点灯して紫外線を発光し、波長可変フィルタ8の透過特性を設定する。
このときの透過特性は図5の101aで示される透過特性が設定されるものとする。
これにより、光源1から発光した紫外線は、図5の101aで示す透過特性をもつ波長可変フィルタ8を通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射した反射光は受光部3で受光される。
【0036】
反射光を受光した受光部3は、図6(a)の103aで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B1として判定部4へ出力し、信号B1を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11aに格納しておく。
次に、光源1を点灯したまま波長可変フィルタ8の透過特性を切替える。
このときの透過特性は図5の101bで示される透過特性が設定されるものとする。
【0037】
これにより、光源1から発光した紫外線は、101bで示す透過特性をもつ波長可変フィルタ8を通って媒体5に照射し、その媒体5からの反射した反射光は受光部3が受光する。
反射光を受光した受光部3は、図6(b)の103bで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B2として判定部4へ出力し、信号B2を受取った判定部4は、これを受光光量記憶部11aに格納しておく。
このように受光部3から出力された信号B1とB2を得た判定部4はこの出力信号を用い、干渉顔料の検出を行う。
【0038】
判定部4では、減算部12にて、受光光量記憶部11aおよび11bに格納している信号B1およびB2の差δB(δB=B1−B2)の絶対値を求め、ここで求めた差δBと、閾値記憶部13に記憶されている閾値とを比較部14で比較し、ピークの存在の有無を検出する。
つまり、δBの値が閾値を超えていれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在するので干渉顔料の使用を検出でき、δBが閾値未満であれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在しないので干渉顔料の使用を検出できないということになる。
【0039】
以上説明したように、紫外線領域におけるピークの有無により干渉顔料を検出するので、干渉顔料の種類による反射スペクトルの違いによらず一つの装置で干渉顔料を検出することができ、コストを抑えることができるという効果がある。
また、一つのフィルタで異なる2つの透過特性を有する波長可変フィルタを用いることで、装置を小型化することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0040】
図9は実施例4の干渉顔料検出装置の構成を示す図である。
本実施例の干渉顔料検出装置は、一つの光源1と、二つの干渉フィルタ2aと2bと、二つの受光部3aと3bおよび、判定部4にて構成され、受光部が2つあり、干渉フィルタ2aと2bは受光部3aと3bにそれぞれ対向して設けられている。
ここで、干渉フィルタ2a、2bは、図5で説明したものと同様の透過特性をもち、さらに、図6において説明したものと同様の反射スペクトルが受光部3で得られるのものとし、以下の説明においてはこの図5及び図6を参照して説明する。
【0041】
次に、上述した構成の作用について説明する。
なお、上記実施例と同様に図示しない制御部により制御されて以下のように動作するものとする。
まず、光源1を点灯して紫外線を照射する。
これにより、光源1から発光した紫外線は媒体5に照射し、その媒体5からの反射した反射光は図5の101aで示す透過特性をもつ干渉フィルタ2aと、101bで示す透過特性をもつ2bを通ってそれぞれ受光部3aと3bに受光される。
【0042】
反射光を受光した受光部3aは、図6(a)の103aで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B1として判定部4へ出力する。
一方、反射光を受光した受光部3bでは、上記受光部3bと平行して図6(b)の103bで囲まれた斜線部の面積が表す受光光量に対応した値を信号B2として判定部4へ出力する。
【0043】
受光部3aから信号B1、受光部3bから信号B2を同時に受取った判定部4は、信号B1を受光光量記憶部11aに格納し、信号B2を受光光量記憶部11aに格納しておく。
このように受光部3から出力された信号B1とB2を得た判定部4はこの出力信号を用い、干渉顔料の検出を行う。
【0044】
判定部4では、減算部12にて、受光光量記憶部11aおよび11bに格納している信号B1およびB2の差δB(δB=B1−B2)の絶対値を求め、ここで求めた差δBと、閾値記憶部13に記憶されている閾値とを比較部14で比較し、ピークの存在の有無を検出する。
つまり、δBの値が閾値を超えていれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在するので干渉顔料の使用を検出でき、δBが閾値未満であれば、反射スペクトルの紫外線領域にピークが存在しないので干渉顔料の使用を検出できないということになる。
【0045】
以上説明したように、紫外線領域におけるピークの有無により干渉顔料を検出するので、干渉顔料の種類による反射スペクトルの違いによらず一つの装置で干渉顔料を検出することができ、コストを抑えることができるという効果がある。
さらに、受光部を2つ設け、それらの受光部に異なる透過特性をもつフィルタをそれぞれ取り付けるようにしたので、そのフィルタを透過した反射光を同時に得ることができることとなり、紙幣や有価証券等の媒体を扱う自動取扱機にこの装置を適用した場合には、媒体が搬送されている場合でも、媒体の同一地点から反射光を得ることができ、媒体上の干渉顔料の検出をより正確に行うことができるという効果が得られる。
【0046】
なお、上記各実施例においては媒体上の干渉顔料の検出を確実に行うことができるので、紙幣や有価証券等の媒体を扱う自動取扱機に用い、媒体の真偽判断に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1における干渉顔料検出装置の構成を示す図
【図2】判定部4の構成を示すブロック図
【図3】干渉顔料における反射光の反射強度対波長の特性を示す一例
【図4】一般インキにおける反射光の反射強度対波長の特性を示す一例
【図5】干渉フィルタの透過特性を示す図
【図6】受光部3で得られる反射スペクトルを示す図
【図7】実施例2の干渉顔料検出装置の構成を示す図
【図8】フィルタ切替装置6の構成図
【図9】実施例3の干渉顔料検出装置の構成を示す図
【図10】実施例4の干渉顔料検出装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0048】
1a、1b 光源
2a、2b 干渉フィルタ
3 受光部
4 判定部
5 媒体
6 フィルタ切替装置
7 フィルタ保持部
8 波長可変フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に紫外線を照射する光源と、
紫外線の透過特性が異なる第一および第二のフィルタと、
前記光源から照射され、前記媒体で反射される前または反射された後に前記第一および第二のフィルタを通過した光を受光して、その受光光量に対応した信号を出力する受光部と、
判定部とを有し、
該判定部は、第一のフィルタを通過した光を受光したときの受光部の出力信号と第二のフィルタを通過したときの受光部の出力信号の差の値と閾値とを比較して、前記媒体の干渉顔料の有無を検出することを特徴とする干渉顔料検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の干渉顔料検出装置において、
前記光源は二個備えられ、前記第一および第二のフィルタを前記二個の光源に対向するよう設けたことを特徴とする干渉顔料検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の干渉顔料検出装置において、
前記光源は一個とし、
前記第一および第二のフィルタをフィルタ保持部に取り付けて、一方のフィルタが前記光源と対向するようにフィルタ保持部を移動させることで前記第一および第二のフィルタを切替えるようにしたことを特徴とする干渉顔料検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の干渉顔料検出装置において、
前記光源は1個とし、
前記光源と対向するように設けられ、透過特性を可変とした一個の波長可変フィルタを備え、
前記波長可変フィルタに制御信号を与えることで前記波長可変フィルタの透過特性を切替えて第一および第二のフィルタとして使用することを特徴とする干渉顔料検出装置。
【請求項5】
請求項1記載の干渉顔料検出装置において、
一個の光源と二個の受光部を有し、
前記第一および第二のフィルタを前記二個の受光部に対向するよう設けたことことを特徴とする干渉顔料検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−133054(P2006−133054A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321795(P2004−321795)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】