説明

干渉顔料種の表色系

本発明はCIELUV表色系において最適な顔料色相角hu'v'i(i=1〜N)の指定により最大の色域を示すことで際立っている干渉顔料N(3以上)種のシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の任意の数Nに対して、色相角hU'V'i(i=1〜N、ここでN≧3)が表色系の色域を最大化することによって区別される、干渉顔料N種のシステムに関する。この表色系は、様々な高着色力の干渉顔料、及びそれらのブレンドを含む。
【背景技術】
【0002】
光輝又は効果顔料は、多くの産業分野に、特に工業用及び自動車用ペンキ及び塗料、装飾用塗料の分野に、プラスチックに、インク、印刷用インクに並びに化粧品に使用される。
【0003】
隠ぺい力、光沢及び色は、通常、配合物中で単一の顔料のみによって達成されることはないので、しばしば顔料は互いに混合される。干渉顔料で実現されるそれぞれの独立した色の数は、配合において一般に不十分である、つまり、デザイナーの最大限可能な数の異なる色に対する要望を満たすには、市販の顔料から混合物を調製しなければならないことを意味している。しかしながら、経済的理由で、できる限り少ない顔料で済ませることが必要である。したがって、効果顔料からできる限り多くの色を混合することができるような性質である効果顔料に対する需要があり、ここではこの目的のために必要な異なるタイプの顔料の数は、小さいはずである。
【0004】
品質保証のため、あるいは表面コーティング配合物の一般的な他の成分とブレンドすることによる色の実現性を評価するため、効果顔料の色の計量特性解析が、効果顔料から調製した試料について偏角分光光度計(goniospectrometer)により先行技術に従って実施される。次いで、得られたスペクトルは、標準に規定した基準状態(光源の性質、観測装置の性質等)を参照して、色座標X、Y、Z、又はx、y、Y、又はL*、a*及びb*に変換して、効果顔料の角度依存性の色挙動の評価、また2種以上の効果顔料間の違いの評価の両方に利用されうる。表面塗装やインク産業の分野では、CIEL***表色系が好まれ、ここではx、y、YからDIN標準DIN5033に規定されているL***に変換される。この非線形変換から判断すると、x、y、Y表色系にまだ存在している、光の色の加算性の特性が、L***表色系にもはや当てはまらないということになる。しかしながら、ここで考慮される透明な効果顔料は「光の色の様に互いに混合する」(加法混色)ので、L***表色系は、この最適化作業に適していない。しかしながら、この目的に適した色座標u’、v’及びYを用いる色座標系が存在し、この系では
a)x、y、Y表色系からの加法混色の直線性を保持し、
b)x、y、Yと比較して、知覚される色差の等距離を改良している。
【0005】
そこで、u’v’色相角は、x、y表色系と同様に、下記数式にて定義することができる:
【0006】
【数1】

【0007】
彩度Su'v'は、CIEL***色空間と同様に、ここでは下記式のデカルト距離(Cartesian metric)に比例する。
【0008】
【数2】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、干渉顔料のブレンドがCIELUV表色系におけるu’,v’,Y色空間のu’,v’平面に最大限の色域を有する干渉顔料を見出すことである。正確に定義された色を有する有色干渉顔料を選択及び調製することにより、目的は干渉顔料N種を含む所与の表色系にとって最大の色域を達成することである。適切な色効果を実現するために、個々の顔料の値δ=Su'v'/13が少なくとも0.05に達すること、好ましくは0.15を超えることが必要条件である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚いたことに、定義された色相角hu'v'i(i=1〜N、ここでN≧3)を有する干渉顔料N種からなる表色系が、干渉顔料N種から生じさせることができる最大限の色域をもたらすことが、ここで分かった。
【0011】
このように、干渉顔料の「構成キット」が存在し、様々な組成物における干渉顔料の相互のブレンドが、この「構成キット」により定義された色空間で可能な個々のすべての色の作出を可能にする。
【0012】
従って、本発明は、CIELUV表色系において許容差±2°で、個々の顔料の0.05以上のCu'v'及び最適な色相角hu'v'i(i=1〜N)で、この目的のために最大の色域を有することを特徴とする干渉顔料N(3以上)種のシステムに関する。
【0013】
本発明は、干渉顔料N種のシステムの成分として、定義された色相角及び彩度を有する高着色力の着色干渉顔料にも関する。
【0014】
3種以上の効果顔料の定義された選択の色域は、表面コーティング層において所与の照明(角度、光源、開口)及び検出(角度、開口)に対し、これらの干渉顔料の加法混色により達成することができる色座標の範囲である。ここで色域は、u’v’Y表色系のu’v’面における多角形領域として使用されるので、慣行により指定された範囲(d<50μm及びPMC<30m%)におけるコーティング層の厚さd及び/又は効果顔料の顔料重量濃度(PMC)の変動によって、(a**色域に比べ)色域に変化は起こらない。すべての効果顔料コーティング層の色座標は、従来の変角測色法による測定配置の1つで測定される。
【0015】
従って、反射光のスペクトル組成を測定するためにここで使用される45°/120°測定配置が好ましいのは、この測定配置がASTM E2194及びDIN6175−2に従う、またメタリックに特に好ましい測定配置の組及び、さらに同様にASTM WK 1164 2006年4月に従う、また干渉顔料に特に好ましい測色範囲の両方に入るためである。平面のカラー試料の測定データをとるのに利用できるすべての多角度測色計において測定配置が満たされている。
【0016】
単純化のために、しかし一般論を制限することはないが、ここでの色試料は、顔料重量濃度16.3m%、下地塗りの層の厚さ15μmであり、下地塗りと上を覆う仕上げ塗りとの両方でエアー塗布を使用するものを常に意味するとする。
【0017】
次の条件:高屈折率、透明金属酸化物/透明基材/高屈折率金属酸化物を満たす効果顔料のすべての色位置は、u'v'表色系において無彩色点の周囲に、らせん状であるが交差曲線上にある。E(u',v')に置かれるこの曲線の凸状の包絡線は、各々存在する色相角に潜在的に可能であるもっとも色度の高い効果顔料の価値を明らかにする。効果顔料の各混合物(E(u',v')に位置する)は、これらの2種の効果顔料をつなぐ線上である色位置だけを生じることができ、したがって、E(u',v')は、N=3〜iである多角形P(u'i,v'i)の面積に置換される。
【0018】
曲線E(u',v')は、反射面から同じ角距離を有する測定配置に対して、視角の急角度から浅い角度への移行において「反時計回りに回転する」。照明方向が一定のままであるならば、曲線E(u',v')は反射面に近接の視角から反射面から遠い視角への移行において、無彩色点の周囲で小回りになる。
【0019】
しかしながら、曲線E(u',v')の形状は、すべての測定配置に対して、実質上一定のままであり、その結果、最適な色相角hu'v'を有する顔料、すなわち、例えば45°/120°で[ASTM規格案「干渉顔料で色付けられた物質の多角度色測定の実務(Practice for Multiangle Color Measurement of Materials Colored with Interference Pigments)」、2004において記載の方式に従って]u’,v’色域を最大化するものは、別の測定配置において、色相角が異なっているが、今は最大の色域を生じさせるものでもあることが明らかになった。
【0020】
基材の層厚の変動が100nm超である本発明の多層構造(高屈折率、透明金属酸化物(MeO)/透明基材/高屈折率、透明金属酸化物)に対する曲線E(u',v')は、適切な正確さ(ΔE<1)で単層表色系の干渉曲線から理論的に導くことができる。対応する公式は、関連文献(例えばVasicek,A.著、薄膜の光学(Optics of Thin Films)、1960、North Holland Pub.Comp.、Amsterdam)で知られている。
【0021】
効果顔料粒子によって異なる干渉特性、及び効果顔料粒子の異なる配向を有する微粒子系では、実際の顔料コーティングの曲線に関して観測することができるような曲線E(u',v')の形状は、一定のままであるが、無限に拡大される理想的層構造のuv彩度Cu'v'は、通常実現されない。雲母上に液相から析出される二酸化チタンのコーティングについて、図1に示す曲線E(u',v')は、すべての表色系(MeO/層厚の標準偏差100nm超である透明な基材/MeO)のための代表的方法において、理論的及び実際的な限界曲線(包絡線)として決定する。したがって、このようにコーティングによる金属酸化物の光学的厚さにおいてあらゆる所望の設定で干渉顔料試料について決定したすべてのu’v’色の位置(吸収基材上で45°/120°測定配置において測定)は、曲線E(u',v')又は縮小されたuv彩度を有する合同な曲線の内側に見ることができる。
【0022】
包絡曲線E(u',v')の形状(図1を参照)は、効果顔料hu'v'i(i=1〜N、ここでN≧3)の良好な「カットオフ角」の選択のための最適化手順の基礎となる。
【0023】
このような方法にして、包絡曲線上に数がNの顔料を配置すること、そこで以下に述べる2つの基準のうち一方を満たす干渉顔料の表色系を考案することが可能である;
a)選択される顔料について二次元多角形の最大u’v’面積を有すること、又は
b)選択される顔料について三次元多面体の最大u’v’Y体積を有すること。
【0024】
後の方の基準は、選択された顔料の使用濃度及び顔料の材料定数から独立していないので、u’v’表色系における包絡曲線E(u',v')(そして色相角hu'v')のu’,v’明度比に対応する潜在的に可能なすべての多角形P(u'i,v'i)の領域が、数値的に最大化されるa)に従って最適化を実施し、さらにN=3〜8に対して、この目的のために必要である最適な色相角hu'v'を決定する。
【0025】
このようにして、色の位置のu’,v’座標が、単独又はブレンドにより最小数の顔料で最大数の色を容易に作る干渉顔料に対して得られる。
【0026】
本発明による特に好ましい顔料は、次の色相範囲を有する(黒色における純色調(pure tone)、45°/120°色測定配置[ASTM規格案「干渉顔料で色付けられた物質の多角度色測定の実務」、2004における記載の方式に従って]において、エアースプレー塗布)。
【0027】
【表1】

【0028】
特に、次の色相角及び彩度範囲からの有色干渉顔料が、顔料N種を含む顔料混合物の調製のために好ましい(ここでδ=Su'v'/13=[(u'-u'n)2+(v'-v'n)2]1/2):
【0029】
【表2】

【0030】
干渉顔料3〜20種(N=3〜20)を、混合物の頂点として選択するのが好ましい。Nは特に好ましくは4〜12であり、とりわけN=5〜8であり、ここで最適な色相角は、もちろん選択される干渉顔料の数によって決まる。
【0031】
特に、適当な顔料は微小板状の透明な基材をベースにした干渉顔料である。好ましい基材はフィロケイ酸塩である。特に適しているのは、天然及び/又は合成雲母、微小板状酸化アルミニウム、ガラス微小板、SiO2微小板、TiO2微小板、合成サポートフリー(support-free)微小板、BiOCl又は他の類似の物質である。ガラス微小板、Al23微小板及びSiO2微小板は、ドープしていてもよい。
【0032】
異なる基材の混合物又は異なる粒径を有する同一の基材の混合物を使用することも可能である。基材はすべての重量比で互いに混合することができる。10:1〜1:10混合物、特に1:1混合物の使用が好ましい。特に好ましいのは、異なる粒径を有する雲母微小板からなる基材混合物であり、特にN雲母(60μm未満)とF雲母(25μm未満)の混合物である。
【0033】
ベース基材のサイズは、それ自体重要ではなく、具体的な用途に合わせることができる。
【0034】
一般に、微小板状基材は0.05〜5μm、特に0.1〜1μmの厚さを有する。他の二次元におけるサイズは、通常1〜250μmであり、好ましくは2〜200μmであり、特に5〜60μmである。
【0035】
ベース基材上の少なくとも1層の個々の層の厚さは、顔料の光学特性に欠かせない。顔料は少なくとも1層の光学活性層、好ましくは高屈折率層を有さなければならない。ここで、高屈折率層とは、n>1.8、好ましくはn≧2.0の屈折率を有するすべての層を意味するとする。
【0036】
光学層は好ましくは、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnO又はこれらの混合物もしくは組合せからなる。この層は非ドープでも、ドープでもよい。適当なドーパントは、例えばアルカリ土類金属又はこれらの化合物であり、特にカルシウム及びマグネシウムである。ドーピング割合は、一般に各層に対し高くても5重量%である。
【0037】
光学層は特に好ましくは無色の層であり、とりわけTiO2層である。ここで、TiO2は、ルチル型及びアナターゼ型の形態であってよく、好ましくはルチルである。
【0038】
光学活性層の厚さは、好ましくは30〜350nmであり、特に50〜250nmである。
【0039】
特に好ましい干渉顔料は、以下に示される:
雲母微小板+TiO2
雲母微小板+ZrO2
SiO2微小板+TiO2
SiO2微小板+ZrO2
Al23微小板+TiO2
Al23微小板+ZrO2
ガラス微小板+TiO2
ガラス微小板+ZrO2
ガラス微小板+SiO2+TiO2
【0040】
適当な干渉顔料は、少なくとも1層及び多くても2層の同一の光学活性層を有する限りで同様の多層顔料である。特に好ましいのは、TiO2−SiO2(光学不活性層)−TiO2層順を有する多層顔料である。この種類の顔料は、例えばEP0882099B1で知られている。一般に光学不活性層は、層の厚さ10nm未満、好ましくは5nm未満を有するSiO2及び/又はAl23層である。加えて顔料は、例えばルチル化、粒子成長の制御のため、又は光活性を抑制するために、干渉層の上又は下に別の補助層を備えることもできる。
【0041】
干渉顔料の調製は、何度も文献に記述されており、当業者に公知である。
【0042】
金属酸化物層は、湿式化学法によって形成されることが好ましく、真珠光沢顔料の調製のために開発された湿式化学コート法を利用することができる。この種の方法は、例えば、DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017又は当業者に既知の別の特許文書及び他の刊行物に記載されている。
【0043】
湿式コーティングの場合は、基材粒子が水中に懸濁され、さらに1種以上の可溶性金属塩が、加水分解に好適であるpHで加えられる。このときのpHは、二次析出を生じることなく金属酸化物又は金属酸化物水和物が微小板の上に直接析出するように選択される。pHは、通常、塩基又は酸を同時に計量されて添加することにより一定に保たれる。その後、顔料は分離され、洗浄及び乾燥され、場合により焼成される。焼成温度は、各場合に含まれる被覆に関係して最適化される。一般に、焼成温度は250〜1000℃であり、好ましくは350〜900℃である。必要に応じて、個々の被覆をした後に、顔料は分離され、乾燥され、場合により焼成され、次いで更なる層の析出のために再懸濁される。
【0044】
さらにコーティングは、流動床反応器で気相コーティングによっても実施することができ、例えば、真珠光沢顔料の調製のために、EP0045851及びEP0106235において提案された方法を準用することができる。
【0045】
顔料の色は、コーティングの量又は得られる層についての種々の選択によって幅広い範囲内で変えることができる。一定の色相のための微調整は、単なる量の選択を超えて、視覚又は測定技術による制御のもと所望の色に近づけることにより達成することができる。干渉顔料についての色の位置及び彩度の最適化は、析出した層の厚さ及び適当な析出パラメータの選択により実施される。この目的のための方法は、当業者に公知である。干渉顔料のより高い彩度は、EP0882099に記載された多層構造によって達成することもできる。
【0046】
光、水及び天候に対する安定性を増大させるために、用途に応じて、干渉顔料にポストコーティング又は後処理を加えることが望ましいことが多い。適当なポストコーティング又は後処理は、例えばDE2215191、DE−A3151354、DE−A3235017、DE−A3334598、DE4030727A1、EP0649886A2、WO97/29059、WO99/57204、US5759255に記載されている方法である。このポストコーティングは、さらに顔料の化学安定性を増大させ、又は顔料の取扱い、特に種々の媒質への混入を簡略化する。湿潤性、分散性及び/又は使用媒質との適合性を改良するために、Al23もしくはZrO2又はこれらの混合物もしくは混合相の機能性コーティングを、顔料表面に施すことができる。さらに、有機又は有機/無機複合ポストコーティングは、例えばEP0090259、EP0634459、WO99/57204、WO96/32446、WO99/57204、US5759255、US5571851、WO01/92425又はJ.J.Ponjee、Philips Technical Review、第44巻、3号、81ff.及びP.H.Harding J.C.Berg、J.Adhesion Sci.Technol.第11巻、4号、471〜493頁に記載されているように、例えば、シランにより可能である。
【0047】
本発明による顔料システムは、光学活性層が顔料の完成後(すなわち焼成及び表面改質後)に、第1表又は第2表から色相角の1つを有することが確実であると言えるすべてのプロセスにより調製することができる。
【0048】
本発明による顔料システム又は混合物は、好ましくは、ペンキ、塗料及び印刷用インクの分野で、カラー表色系の多様性と適合する。表面塗料、粉末塗料、ペンキ、印刷用インクの調製のために、バインダーの多様性が適している。バインダーは水性ベース又は溶剤ベースの構造を有していてもよい。
【0049】
本発明による顔料システムは、さらに流動性顔料組成物及び乾燥製剤の調製に適している。顔料組成物及び乾燥調合物は、本発明による顔料システム、バインダー及び任意選択で1種以上の添加剤を含むことにより区別される。
【0050】
本発明による干渉顔料は、表面塗料、印刷用インク、プラスチック、農業用シート、種子被覆剤、食品着色料、ボタンペースト(button pastes)、医薬用被覆剤、又は化粧品の着色に使用することができる。着色する用途表色系における顔料混合物の濃度は、表色系中の固体の総含有量に対し、一般に0.1〜70重量%であり、好ましくは0.1〜50重量%であり、特に0.5〜10重量%である。濃度は一般に特定用途によって決まる。
【0051】
塗料部門、特に自動車用塗料又は自動車用補修塗料部門では、本発明による顔料システムが、3度塗り仕上げを含めて、0.1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%の量で使用される。
【0052】
本発明による顔料システムは、有機染料、有機顔料又は例えば透明な白及び乳白色顔料、着色ならびに黒色顔料などの他の顔料とのブレンドで、様々な用途の目的に有利に使用されうることは言うまでもない。表色系はこれらの市販の顔料及び充てん剤とすべての重量比で混合することができる。
【0053】
したがって、本発明は、本発明による顔料システムを含む配合物にも関する。
【0054】
本発明の別の実施形態は、実施例及び特許請求の範囲により明らかにする。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図し、本発明を限定するものではない。
【0056】
干渉顔料の調製
実施例1:単層顔料
3gのSnCl4・5H2Oの水溶液60ml及び濃塩酸10mlを、粒径10〜60μmの粉末にされ、分級された雲母100gの水2l中の懸濁液に、75℃で1時間掛けて加え、この間、希苛性ソーダ溶液を同時に加えて、pH1.8に保つ。その後、20重量%TiCl4水溶液を加え、この間、希苛性ソーダ溶液を用いてpH1.6に保つ。
【0057】
緑の干渉色が実現された後、混合物はさらに約30分間撹拌され、顔料は分離されて、塩がなくなるまで水で洗浄され、乾燥され、さらに850℃で30分間焼成される。
【0058】
別の有色干渉顔料は、TiO2の析出量によって既定のカットオフポイントに近づけることによりこの方法で調製されうる。
【0059】
実施例2:光学不活性層を有する多層顔料
粒径10〜60μmの雲母100gが、脱塩水2l中に懸濁される。75℃に加熱されている、懸濁液は、希塩酸を用いてpH=1.8に調整される。その後、SnCl4溶液(脱塩水100ml中に2.2gのSnCl4及び0.75gの濃塩酸から調製)を3.3ml/minで加えることにより、SnO2のコーティングが施される。この添加の間、32%苛性ソーダ溶液を用いてpHが一定に保たれる。続いて、混合物はさらに15分間撹拌され、TiCl4溶液(TiCl4400g/l)がpH=1.8及び75℃で加えられ、この間、32%苛性ソーダ溶液を用いて、pHは一定に保たれる。二次緑色終点が実現された後、コーティング操作は中断され、混合物はさらに15分間撹拌され、希苛性ソーダ溶液を用いてpHが8.0に調整され、混合物はさらに10分間撹拌される。
【0060】
その後、SiO2でのコーティングが、pH補正せずにソーダ水ガラス溶液(SiO2を27%含むソーダ水ガラス7.3gと脱塩水80mlから調製)を3ml/minで加えることにより実施される。完了後、混合物はさらに15分間撹拌され、希塩酸を用いてpH1.8に再調整され、さらに第2のTiO2層はSnCl4及びTiCl4溶液の添加により、上記と同様に、析出される。三次緑色比較終点が達成された後、コーティング操作は終了され、混合物はさらに15分間撹拌され、続いて顔料は吸引ろ過され、洗浄され、乾燥され、さらに850℃で30分間焼成される。
【0061】
得られた多層顔料は、濃緑の干渉色を有する。
【0062】
実施例3:最適な顔料色相角hu'v'の選択を通して最大化された色域を有する干渉顔料(ここでN=3)のシステムの調製
赤色、青色及び緑色の色相角領域中で必要とされるhu'v'に対応する干渉顔料を、各調製例1及び2[雲母にルチルの湿式化学析出]に従って調製する。エアー圧が適応された、黒色基材上に15μmの厚さを有する、この顔料を約16m%含むコーティングフィルムは、45°/120°配置における測色法で、以下のu'及びv'の色明度割合を示す。
【0063】
【表3】

【0064】
比較として、Merck KGaA製の市販の干渉顔料(先行技術)
【0065】
【表4】

【0066】
最適化された色相角への取り組み(上の表)は、3種の市販の干渉顔料と比較して色域の顕著な増大を生じさせる。
【0067】
実施例4:最適な顔料色相角hu'v'の選択による最大化された色域を有する8種の干渉顔料のシステムの調製
青色、藍色、菫色、紫色、赤色、黄色、青緑色及び緑色の色領域から最適化された色の位置及び彩度の下記の有色干渉顔料を、調製工程1又は2により合成する。
【0068】
【表5】

【0069】
これらの色相角hu'v'に従って、第1表及び第2表に記載の最適化された色相角の内容は、8種の顔料のシステムのためのものである。
【0070】
8種の干渉顔料を含むこの表色系の色の位置及び得られた色域曲線を図2に示す。
【0071】
実施例5(比較例)
先行技術からの高着色力の市販干渉顔料(製造会社:Merck KGaA)は、同一の試料調製及び測色法において下記の特性を有する。
【0072】
【表6】

【0073】
これらの顔料の色の位置(図2−破線で表示)は、本発明による顔料(図2−黒色点)によって形成される色域曲線の内側にすべてある。このことから判断すると、先行技術からの顔料は、本発明によるいくつかの顔料の組合せにより再現できることになる。
【0074】
例として、紫色及び緑色の色領域中で高着色力の別の2種の市販顔料を測定する。
【0075】
【表7】

【0076】
これらの2種の顔料について色の位置は、本発明による顔料によって形成される色域曲線の内側にすべてある(図2−黒色の正方形)。
【0077】
菫色顔料(Engelhard製、Super Violet 5303 Z)は、対応する色域の外側に位置する(図2)ので、先行技術から所望のあらゆる数の顔料を組み合わせても再現することはできない。対照的に、この再現は第3表からの組の顔料により、実際に多くの顔料混合物により達成することができる。
【0078】
第3表からの組による顔料の色域は、先行技術からの顔料の色域を含み、かつ超えて広がっているので、これらの顔料により再現することができる各色の位置は、同様に第3表からの顔料の組合せによって再現することができる。
【0079】
加えてこの例は、先行技術からの顔料を用いては作り出せない色の位置が、本発明の顔料を用いて混合することにより達成できることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】垂直な面に光入射45°未満で光路長10nm<nd<1000nmに対する理論曲線E(u',v')(細線)及び関連包絡曲線(太線)の図である。
【図2】実施例4、表3からの顔料1〜8(実線の曲線)の色域及び色座標u’,v'の図であり、段落0071〜0076に記載のように先行技術からの干渉顔料(破線の色域曲線)、個別の2点は、実施例5からの市販の顔料の色座標であり、これらのすべては、本発明による顔料1〜8を混合することにより、色の位置に関して再現することができる。中が無色の丸印は無彩色点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉顔料が、0.05以上のCu'v'及び顔料色相角hu'v''i(i=1〜N)で、表色系の最大色域を有することを特徴とする干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【請求項2】
N=3〜20であることを特徴とする請求項1に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【請求項3】
干渉顔料が微小板状基材に基づいていることを特徴とする請求項1又は2に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【請求項4】
基質が、天然又は合成雲母微小板、非ドープ又はドープSiO2微小板、非ドープ又はドープAl23微小板、非ドープ又はドープガラス微小板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【請求項5】
干渉顔料が、TiO2被覆微小板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【請求項6】
顔料を含むコーティング層が、45°/120°測定配置において、下記の色相角及び彩度範囲を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステム。
【表1】

【請求項7】
顔料を含むコーティング層が、45°/120°測定配置において、下記の色相角及び彩度の1つを有することを特徴とする、透明基材上に1層以上の無色の金属酸化物層を含む有色干渉顔料。
【表2】

【請求項8】
金属酸化物層が、TiO2、ZrO2、ZnO2又はこれらの混合物若しくは組合せからなることを特徴とする請求項7に記載の有色干渉顔料。
【請求項9】
金属酸化物層が、TiO2からなることを特徴とする請求項7又は8に記載の有色干渉顔料。
【請求項10】
TiO2が、ルチル又はアナターゼの形態であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の有色干渉顔料。
【請求項11】
透明基材が、天然又は合成の雲母微小板、非ドープ又はドープSiO2微小板、非ドープ又はドープAl23微小板、非ドープ又はドープガラス微小板の群から選択されることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の有色干渉顔料。
【請求項12】
基材のコーティングが、湿式化学法により、又は気相中で実施されることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の有色干渉顔料の調製方法。
【請求項13】
ペンキ、塗料、自動車用塗料、自動車補修用ペンキ、工業用塗料、粉末塗料、プラスチック、印刷用インク及び化粧品における、請求項7〜11のいずれか1項に記載の有色干渉顔料の使用。
【請求項14】
ペンキ、塗料、自動車用塗料、自動車補修用ペンキ、工業用塗料、粉末塗料、プラスチック、印刷用インク及び化粧品における、請求項1〜6のいずれか1項に記載の干渉顔料N(3以上)種のシステムの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−503205(P2009−503205A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524401(P2008−524401)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007344
【国際公開番号】WO2007/054144
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】