説明

平板状軟磁性金属粒子及びその製造方法

【課題】均一な形状で、厚みが薄く、高アスペクト比を有し、さらには分散性に優れた高透磁率の平板状軟磁性金属粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の平板状軟磁性金属粒子は、平均粒子径が200nm以下の球状のニッケルまたはニッケル基合金からなる軟磁性金属粒子をボールミル等を用いて混合しつつ機械的に凝着させたものであり、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状軟磁性金属粒子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、均一な形状で、厚みが薄く、高アスペクト比を有し、さらには分散性に優れた高透磁率の平板状軟磁性金属粒子、及び、この平板状軟磁性金属粒子を、均一な形状で、工業的に安価に製造することが可能な平板状軟磁性金属粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、軟磁性の金属粒子は、磁性顔料として有機バインダーに分散した塗料を塗布した塗膜、樹脂中に磁性フィラーとして分散した軟磁性金属/樹脂複合体、等として様々な分野で用いられている。
塗膜としては、磁気シールド膜が挙げられ、電気機器の電子回路や電子部品を外部磁界から保護したり、あるいは電気機器から生じる磁界が外部へ漏洩するのを防止するために用いられている。また、この磁気シールド膜は、クレジットカード等の磁気カードにおいても、データの偽造や変造を防止する目的で用いられている。さらに、ICタグ(RFIDシステム)においても、軟磁性金属の高透磁率による磁界収束効果を応用した電磁シールド膜が用いられている。
一方、軟磁性金属/樹脂複合体は、高透磁率による波長短縮効果でアンテナの小型化や電子回路の消費電力の低下が可能であることから、小型アンテナ基板や高周波電子回路基板に用いられている。
【0003】
このような軟磁性金属としては、センダストと称されるAl−Si−Fe系合金(特許文献1)やパーマロイ(商品名)と称されるNi−Fe系合金(特許文献2)等の高透磁率合金が用いられている。
また、軟磁性の金属粒子としては、厚みが1μm以下の平板形状であることが求められており、扁平状、鱗片状、フレーク状等、様々な平板形状の軟磁性金属粒子が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
これらの平板形状の軟磁性金属粒子は、塗膜や軟磁性金属/樹脂複合体の表面平滑性を高めるだけでなく、塗料を塗布する際あるいは軟磁性金属/樹脂複合体を成形する際に外部磁場をかけることで、平板形状の軟磁性金属粒子が特定方向に平行に整列(配向)させ、面方向の反磁場係数を低くし、配向方向の透磁率を高めることができる。また、厚みが1μm以下であることから、表皮効果により交流電流を透過させることができ、渦電流による損失を低減することができる。
【0004】
これら平板形状の軟磁性金属粒子は、アトマイズ法により作製した不定形状粒子を機械的に粉砕あるいは塑性変形することによる、いわゆるブレークダウン法により作製されていた。
【特許文献1】特開昭63−35701号公報
【特許文献2】特許2735615号公報
【特許文献3】特開平1−188606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の機械的に粉砕する方法では、得られた金属粒子の粒度分布がシャープにならず、粗大粒子や微細な破片の混入を防ぐことはできない。したがって、均一な形状の軟磁性金属粒子を得ることが困難であるという問題点があった。
また、塑性変形する方法では、アトマイズ法にて工業的に量産可能な軟磁性金属粒子の粒径が概ね10μmであることから、この軟磁性金属粒子を厚み1μm以下の平板状に塑性変形すると、平均粒径は数十〜数百μmにもなる。したがって、このように大きな平板状の軟磁性金属粒子は、塗料や複合体中に分散することが困難である上に、機械的な応力により破損し易いために微細な破片を生成し易いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、均一な形状で、厚みが薄く、高アスペクト比を有し、さらには分散性に優れた高透磁率の平板状軟磁性金属粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子を、ボールミル等を用いて混合しつつ、これらの軟磁性金属粒子をボールとボールとの間あるいはボールとボールミル内壁との間の狭い二次元空間にて粒子同士の圧接による付着(以下、凝着という)により、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上の平板状軟磁性金属粒子が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の平板状軟磁性金属粒子は、軟磁性金属からなる平板状の粒子であって、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上であることを特徴とする。
前記軟磁性金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であることが好ましい。
【0009】
本発明の平板状軟磁性金属粒子の製造方法は、平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子を混合しつつ機械的に凝着させ、平板状の軟磁性金属粒子とすることを特徴とする。
【0010】
前記混合の際に、アルコールを添加することが好ましい。
前記球状の軟磁性金属粒子は、この軟磁性金属粒子の金属成分を金属イオンとして含む溶液を還元することにより合成されることが好ましい。
前記金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の平板状軟磁性金属粒子によれば、厚みを平板状軟磁性金属粒子によれば、厚みを1μm以下、平均粒子径を5μm以下、アスペクト比を2以上としたので、有機バインダーや有機高分子等に対する分散性を向上させることができる。また、この平板状軟磁性金属粒子を塗膜や軟磁性金属/樹脂複合体に適用することにより、これら塗膜や複合体の表面平滑性を向上させることができる。
【0012】
また、この平板状軟磁性金属粒子に外部磁場をかけることで、その平板状の面内の一方向に、同体積の球状の軟磁性金属粒子よりも強く磁化させることができ、その面内の一方向の透磁率を同体積の球状の軟磁性金属粒子に比べて格段に大きくすることができる。
したがって、特定方向の磁場に対して強く磁性を示す高透磁率材料を得ることができる。また、この平板状軟磁性金属粒子が高透磁率材料であることから、この平板状軟磁性金属粒子を樹脂等の非磁性材料中にフィラーとして配向分散させることにより、高透磁率の軟磁性金属/樹脂複合体を得ることができる。
【0013】
本発明の平板状軟磁性金属粒子の製造方法によれば、平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子を混合しつつ機械的に凝着させ、平板状の軟磁性金属粒子とするので、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上の平板状軟磁性金属粒子を、効率よく、工業的規模で廉価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の平板状軟磁性金属粒子及びその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明の平板状軟磁性金属粒子は、軟磁性金属からなる平板状の粒子であり、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上である。
この軟磁性金属としては、高透磁率材料であるニッケル(Ni)またはニッケル基合金が好ましく、ニッケル基合金としては、78パーマロイ(Ni:Fe=78:22)や45パーマロイ(Ni:Fe=45:55)等のNiを40重量%〜90重量%含み残部がFe及び不可避不純物からなるNi−Fe系合金、Moパーマロイ(Ni:Fe:Mo=80:17:3)等のNi−Fe−Mo系合金等が好ましい。
【0016】
この平板状軟磁性金属粒子の厚みは、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。
また、その平均粒子径は、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
さらに、そのアスペクト比は、2以上が好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。
【0017】
この平板状軟磁性金属粒子は、外部磁場をかけることにより、その平板状の面内の一方向に沿って、同体積の球状の軟磁性金属粒子よりも強く磁化される。よって、その面内の一方向の透磁率が同体積の球状の軟磁性金属粒子に比べて格段に大きくなる。これにより、特定方向の磁場に対して強く磁性を示す高透磁率材料が容易に得られる。
また、この平板状軟磁性金属粒子を樹脂等の非磁性材料中にフィラーとして配向分散させることにより、高透磁率の軟磁性金属/樹脂複合体が得られる。
【0018】
また、この平板状軟磁性金属粒子を非極性の溶媒中に分散させることにより、塗料やペーストとすることが可能である。このような塗料やペーストは、電気機器やICタグ(RFIDシステム)等に塗布して磁気シールド膜を形成することにより、これら電気機器やICタグ(RFIDシステム)等に磁気シールド性を付与することが可能である。
また、この平板状軟磁性金属粒子は、金属であることから導電性をも有するので、回路基板における電極材料、燃料電池や二次電池における電極材料としても好適である。
さらに、この平板状軟磁性金属粒子は、平板状であることから隠蔽性にも優れているので、各種装飾品、あるいは表面処理等にも適用可能である。
【0019】
次に、本発明の平板状軟磁性金属粒子の製造方法について説明する。
本発明の平板状軟磁性金属粒子の製造方法は、平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子を混合しつつ機械的に凝着させ、平板状の軟磁性金属粒子とする方法である。
この方法は、球状の軟磁性金属粒子にメカニカルアロイングと称される合金製造法を適用し、球状の軟磁性金属粒子同士を凝着(機械的エネルギーにより粒子同士を圧接させることにより付着させること)により、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上の平板状軟磁性金属粒子を、効率よく、工業的規模で廉価に製造することを可能としたものである。
【0020】
このメカニカルアロイングとは、複数種の金属を加熱・溶解を経ることなく固体状態のまま合金化する方法であり、具体的には、複数種の金属粉に不活性ガス中にて長時間機械的エネルギーを与えることにより、これらの金属粉を徐々に混合し、金属成分を固体状態のまま原子レベルの混合状態を達成する方法である。機械的エネルギーを与える方法としては、ボールミルが用いられるが、この他に圧延機、粉末鍛造機等も用いることが可能である(参考文献:齋籐文良編、「粉砕・分級と表面改質」、(有)エヌジーテイー、2001年4月20日、p.262−268)。
【0021】
ここで、球状の軟磁性金属粒子の平均粒子径は、200nm以下が好ましい。
平均粒子径を200nm以下とすることにより、球状の軟磁性金属粒子が極めて微細となり、粒子表面が高活性となるので、粒子同士の親和性も高くなる。これにより、機械的エネルギーにより粒子同士を圧接及びせん断運動させることにより、粒子同士が反応して2次元方向へ結合し、この結合を繰り返すことにより最終的に平板形状の軟磁性金属粒子となる。
【0022】
この軟磁性金属粒子を混合しつつ機械的に凝着させる手段、すなわちメカニカルアロイングする手段としては、ボールミル、アトライタ、振動ミル、遊星ミル等の湿式混合機の他、圧延機、粉末鍛造機等も用いることが可能であるが、粒子同士の結合に有効なせん断エネルギーを効果的に加えることができる点、さらには取り扱いの容易さ、工程のスケールアップの容易さ等を考慮すると、湿式混合機が好ましく、特にボールミルが好ましい。
【0023】
ボールミルを用いる場合、充填するボールの量は、ボールミルの内容積の20〜50体積%が好ましい。また、ボールの材質としては、上記の軟磁性金属粒子を汚染する虞が無く、せん断エネルギーを効果的に加えることができるものであればよく、比重の大きな金属製ボールがよく、特に、耐食性等からステンレススチール製のボールが好ましい。
また、充填する球状の軟磁性金属粒子の量は、ボールの重量に対して1/10〜1/100の重量が好ましい。
【0024】
このメカニカルアロイングする時間としては、平板状の軟磁性金属粒子が得られる時間、例えば30時間〜100時間が好ましい。
また、球状の軟磁性金属粒子を充填する際にアルコールを添加することにより、メカニカルアロイングを促進することができる。
アルコールは、軟磁性金属粒子の凝集を防いで不均一性を緩和する他、金属粒子の表面の酸化皮膜を還元反応により除去し、粒子同士の凝着を容易にする。
アルコールとしては特に制限はないが、反応後の回収を考慮すると低沸点のメタノールやエタノールが好ましい。アルコールの添加量としては、軟磁性金属粒子の重量の2倍〜5倍が好ましい。
【0025】
球状の軟磁性金属粒子をメカニカルアロイングすることにより、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上の平板状軟磁性金属粒子が得られる。
【0026】
この方法では、元々平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子に機械的エネルギーを加えることにより、粒子同士を圧接及びせん断運動させて2次元方向へ成長させるので、厚み方向への成長はほとんどない。よって、平板の厚みは1μm以下に制限される。
また、ボールとボールあるいはボールとボールミルの内壁との間で衝突エネルギーあるいはせん断エネルギーが加わる範囲は、5μm以下の極めて狭い範囲であるから、平板の粒径も5μm以下に制限される。
【0027】
次に、平板状軟磁性金属粒子として平板状78パーマロイ粒子を例に取り、この平板状78パーマロイ粒子の製造方法について説明する。
まず、平均粒子径が200nm以下の球状の78パーマロイ粒子を作製する。
作製法としては、気相還元法、液中還元法のいずれかが用いられるが、経済性と量産性の点から液相還元法が好ましい。
【0028】
ここでは、所定量のニッケルイオンと鉄イオンを含む水溶液を作製し、この水溶液に還元剤を添加して水溶液中に含まれるニッケルイオン及び鉄イオンを同時に還元し、ニッケルと鉄の合金である78パーマロイを得る。
還元剤として水酸化ナトリウムとヒドラジンを用いた場合、平均粒子径が100nm〜200nmの78パーマロイ球形粒子が得られる。
また、液相還元法だけでは十分に合金化しない場合には、平均粒子径が200nmを越えない温度範囲で熱処理し、合金化を促進してもかまわない。
【0029】
次いで、この78パーマロイ球形粒子にメカニカルアロイングを行う。
ボールミルを用いる場合、ボールミルに適量の78パーマロイ球形粒子及びボールを充填し、必要に応じてアルコールを添加し、このボールミルを所定時間回転させ、78パーマロイ球形粒子を混合しつつ機械的に凝着させ、平板状の78パーマロイ球形粒子とする。
これにより、厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上の平板状78パーマロイ粒子を、効率よく、工業的規模で廉価に製造することができる。
なお、他の軟磁性金属粒子、例えばニッケル粒子、45パーマロイ粒子、Moパーマロイ粒子等についても、同様にして作製することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0031】
「実施例1」
ニッケルと鉄のモル比が78:22となるように調製した塩化ニッケル及び塩化第一鉄を含む水溶液を作製し、この水溶液を50℃に加温し、さらに水酸化ナトリウム水溶液及びヒドラジンを添加して反応させ、平均粒子径が160nmの78パーマロイ球形粒子を得た。
次いで、この78パーマロイ球形粒子8gと、直径が0.8mmのステンレススチール製のボール240g及びエタノール24gを、内容積が110mLのステンレス容器内に充填し、このステンレス容器を69時間回転させてメカニカルアロイングを行った。
得られた78パーマロイ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図1に示す。
【0032】
「実施例2」
ニッケルと鉄のモル比が45:55となるように調製した塩化ニッケル及び塩化第一鉄を含む水溶液を作製し、この水溶液を50℃に加温し、さらに水酸化ナトリウム水溶液及びヒドラジンを添加して反応させ、得られた沈殿物を水素雰囲気中、500℃にて1時間焼成し、平均粒子径が180nmの45パーマロイ球形粒子を得た。
次いで、この45パーマロイ球形粒子24gと、直径が0.8mmのステンレススチール製のボール960g及びエタノール96gを、内容積が400mLのステンレス容器内に充填し、このステンレス容器を50時間回転させてメカニカルアロイングを行った。
得られた45パーマロイ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図2に示す。
【0033】
「実施例3」
ニッケルと鉄とモリブデンのモル比が80:17:3となるように調製した塩化ニッケル、塩化第一鉄及び塩化モリブデンを含む水溶液を作製し、この水溶液を50℃に加温し、さらに水酸化ナトリウム水溶液及びヒドラジンを添加して反応させ、平均粒子径が150nmのMoパーマロイ球形粒子を得た。
次いで、このMoパーマロイ球形粒子8gと、直径が0.8mmのステンレススチール製のボール240g及びエタノール24gを、内容積が110mLのステンレス容器内に充填し、このステンレス容器を50時間回転させてメカニカルアロイングを行った。
得られたMoパーマロイ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図3に示す。
【0034】
「実施例4」
塩化ニッケルの水溶液を作製し、この水溶液を50℃に加温し、さらに水酸化ナトリウム水溶液及びヒドラジンを添加して反応させ、平均粒子径が150nmのニッケル球形粒子を得た。
次いで、このニッケル球形粒子8gと、直径が0.8mmのステンレススチール製のボール240g及びエタノール24gを、内容積が110mLのステンレス容器内に充填し、このステンレス容器を20時間回転させてメカニカルアロイングを行った。
得られたニッケル粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。
【0035】
図1〜図4によれば、得られた粒子は、いずれも厚みが200nm〜400nm、平均粒子径が2μm〜5μmであり、アスペクト比が2以上の平板粒子であった。
また、これらの粒子のメカニカルアロイング前後における結晶構造をX線回折(XRD)により調べたところ、いずれも結晶構造に変化はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の平板状軟磁性金属粒子は、厚みを1μm以下、平均粒子径を5μm以下、アスペクト比を2以上としたものであるから、樹脂、ガラス等の非磁性材料中にフィラーとして分散させることで該非磁性材料に磁性を付与することはもちろんのこと、磁気シールド性、導電性が求められる各種デバイスや基板材料、各種装飾品等に対しても適用可能であり、その有用性は非常に大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1の78パーマロイ粒子を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図2】本発明の実施例2の45パーマロイ粒子を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図3】本発明の実施例3のMoパーマロイ粒子を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図4】本発明の実施例4のニッケル粒子を示す走査型電子顕微鏡像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性金属からなる平板状の粒子であって、
厚みが1μm以下、平均粒子径が5μm以下、アスペクト比が2以上であることを特徴とする平板状軟磁性金属粒子。
【請求項2】
前記軟磁性金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であることを特徴とする請求項1記載の平板状軟磁性金属粒子。
【請求項3】
平均粒子径が200nm以下の球状の軟磁性金属粒子を混合しつつ機械的に凝着させ、平板状の軟磁性金属粒子とすることを特徴とする平板状軟磁性金属粒子の製造方法。
【請求項4】
前記混合の際に、アルコールを添加することを特徴とする請求項3記載の平板状軟磁性金属粒子の製造方法。
【請求項5】
前記球状の軟磁性金属粒子は、この軟磁性金属粒子の金属成分を金属イオンとして含む溶液を還元することにより合成されることを特徴とする請求項3または4記載の平板状軟磁性金属粒子の製造方法。
【請求項6】
前記金属は、ニッケルまたはニッケル基合金であることを特徴とする請求項3、4または5記載の平板状軟磁性金属粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−69381(P2008−69381A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246894(P2006−246894)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】