説明

平面型表示機器及びその製造方法

【課題】大型化する表示パネルの発熱に対し、効率の良い冷却を簡素な構造によって実現する平面型表示機器を提供すること。
【解決手段】シャーシ部材5は、上下方向に複数のシャーシ片51,52,53に分割して表示パネル3からの発熱を受熱し、各シャーシ片内において熱拡散し通風する空気中に放熱する。表示パネルの高温部aからの発熱はシャーシ片の中で下部側に配置するシャーシ片51によって受熱される形状とし、熱拡散後の温度状態は、下部側に配置するシャーシ片が51上部側に配置するシャーシ片53よりも高温になるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ装置などの平面型表示機器に係わり、表示パネルの発熱を冷却するに適するシャーシ構造を有した平面型表示機器及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の表示機器の需要は、地上波ディジタル放送への移行等を背景に大画面の平面型表示機器に大きくシフトしている。この平面型表示機器の1つにプラズマディスプレイ装置がある。プラズマディスプレイ装置は、放電する素子をセル状に配置し、二枚のガラス基板を張り合わせて封止し、この放電素子を封止空間で放電させて、ガラス基板上の蛍光体を発光して画像を表示させるものであり、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)は、この放電時に発熱することになる。PDPの発熱による温度上昇は、蛍光体の発光輝度を変化させることから画質の劣化となるだけではなく、ガラス基板の局部的な温度分布によってガラス基板の破損を招くこともある。このため、PDPにおいて発生した熱は、粘着性高熱伝導性シート等を介して熱伝導性の良い金属製シャーシ部材に熱伝達させ、空気中に放熱する構成としている。また、シャーシ部材は、PDPのガラス基板背面側で粘着性高熱伝導シート等によって固着されるが、PDPの放熱のみならず、PDPの強度的な補強、及びPDPを駆動、操作する回路基板をPDPの固着平面側と反対の平面側において保持する部材としての役目を担っている。
【0003】
プラズマディスプレイ装置における温度上昇の問題に対し、次のような技術が開示されている。特許文献1に記載されているプラズマディスプレイ装置は、PDPの面内での温度むらを低減し、表示される画像の特性や画像表示装置としての寿命に対する悪影響を抑制することを目的として、PDPの背面側に略密着するように設けた熱伝導性シートと空隙を隔てて回路基板を背面側に支持したフレームシャーシを配置している。
【0004】
特許文献2に記載されているプラズマディスプレイ装置は、熱伝導部材に対するPDPとシャーシベースの結合構造を改善して、熱変形されたPDPを熱伝導部材に均一に密着させることができるようにするために、PDPと熱伝導部材を固定する第1の接着層、及び熱伝導部材とシャーシベースを固定する第2の接着層において、第1の接着層の結合力を第2の接着層の結合力より大きい構造としている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−39072号公報
【特許文献2】特開2006−119593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラズマディスプレイ装置において、PDPが放電時に発生する熱は、表示される画像の内容や放電素子の配列位置等の関係によって温度分布を有し、効率の良い冷却を行う上で課題となる。
【0007】
図3は、従来の平面型表示機器におけるシャーシ部材の伝熱状態を示す図である。図3(a)はシャーシ部材における発熱状態を示し、PDP3からの発熱は、ほぼ中央部分が高温状態となりやすい。すなわち、楕円の等高線で示すように、中央部分が高温部aで周辺部分が低温部eの分布になる。PDP3からの発熱は、高熱伝導性粘着部材4を介してシャーシ部材5に熱伝達される。シャーシ部材5内では矢印100で示すように放射状に熱拡散し、全面領域で均一な温度分布になろうとする。図3(b)はシャーシ部材の放熱状態を示し、シャーシ部材5内で拡散された熱は、シャーシ面を下方部から上方部へ通風する冷却風200にて熱伝達され放熱される。その際、下方部でシャーシ部材から熱伝達を行った空気は、上方部では熱伝達の飽和状態に近づくことになって熱伝達熱効率が低下する。その結果、シャーシ部材の放熱後の温度分布は、上端部が高温部aで下端部が低温部eの温度分布になる。この傾向は、PDPの大型化、高輝度化、高精細化などに伴う発熱量の増大によって顕著であり、このような温度分布の発生は、放熱動作の効率を悪化させ、PDPの信頼性を損ねる恐れがある。
【0008】
さらには、大型化されたシャーシ部材の絶対的な温度上昇は、PDPとシャーシ部材との熱膨張率の差によって、双方の部材間における歪み量の差を拡大させることになる。このことは、PDPを強度的に補強するために接合されたシャーシ部材が、熱膨張の変位によって、逆にPDPに応力を付与することになり、放電素子の性能劣化や破損への要因となる。
【0009】
前記特許文献1,2では、上記したPDP内の発熱分布、及び冷却風の通風により発生する温度分布については何ら考慮されていない。また、前記特許文献1,2では次の問題点を有する。
【0010】
特許文献1に記載されるプラズマディスプレイ装置は、シャーシ部材とPDPを離間して配置するため、回路部品の発熱をPDPに影響させることを回避できるメリットを有する。しかし、PDPの発熱を熱伝導性シートから放熱して冷却するには、熱伝導性シートは従来のフレームシャーシに勝る熱伝導性能を必要とし、高価な熱伝導性シートを設けることでコスト高になる。
【0011】
特許文献2に記載されるプラズマディスプレイ装置は、発熱体であるPDPの変形に関わらず、第1の接着層の結合力によって熱伝導部材をPDP側に固着維持させて、PDPからの発熱を放熱させようとするものである。しかしながら、第2の接着層がシャーシベースと離間することによってシャーシベースへの熱伝達が損なわれる。シャーシベースによる放熱性よりも、熱伝導部材の放熱性が優れる場合には問題がないが、この放熱性を得るためには、特許文献1と同様にコスト高となる。さらには、シャーシベースの放熱性を期待しないならば、第2の接着層は割愛できるものである。
【0012】
本発明の目的は、表示パネルの発熱に対し、効率の良い冷却を簡素な構造によって実現する平面型表示機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、表示パネルの発熱をシャーシ部材によって放熱する平面型表示機器において、シャーシ部材は、上下方向に複数のシャーシ片に分割して表示パネルに高熱伝導性の粘着部材にて固着し、表示パネルの発熱を受熱して各シャーシ片内において熱拡散し、通風する空気中に放熱する構造である。その際、表示パネルの高温部からの発熱は複数のシャーシ片のうちで下部側に配置するシャーシ片によって受熱される形状とし、各シャーシ片における熱拡散後の温度状態は、下部側に配置するシャーシ片が上部側に配置するシャーシ片よりも高温になるように構成した。
【0014】
また、本発明は、表示パネルの発熱をシャーシ部材によって放熱する平面型表示機器の製造方法において、表示パネルのサイズに合わせてシャーシ部材を複数のシャーシ片に分割し、表示パネルの高温部からの発熱を下部側に位置するシャーシ片にて受熱するように配置し、各シャーシ片を表示パネルに高熱伝導性の粘着部材にて固着するものである。そして、表示パネルのサイズが異なる平面型表示機器の場合、それらの機器に用いるシャーシ片について少なくとも一部のシャーシ片を互いに共通の形状とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示パネルの発熱に対し、効率の良い冷却を簡素な構造によって実現し、平面型表示装置の性能と信頼性を向上させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明による平面型表示機器の一実施例の構成を概念的に示す図である。(a)は正面図、(b)は側面図であり、説明の便宜上、表示パネル(PDP)等の構成部品の一部は透過して示す。平面型表示機器1は、筐体2の内部に自発光型の表示パネル(PDP)3を有している。表示パネル3は、放電セル層を前面ガラス基板と背面ガラス基板とで挟持した構成である。表示パネル3の背面ガラス基板側には、高熱伝導性の両面接着テープあるいは接着剤等の粘着部材4によって、シャーシ部材5を固着している。さらにシャーシ部材5の背面側の後方には、支持部材6によって複数の回路基板7を搭載し、回路基板7には表示パネル3を駆動する回路部品及び平面型表示機器1を操作する回路部品を載置する。
【0017】
ここにシャーシ部材5は、伝導性の良いアルミニウム等の金属材であり、表示パネル3からの発熱を受熱し、部材内で熱拡散して空気中に放熱する。その際、自然対流として下方から上方へ向う冷却風により放熱する構成としている。また回路基板7には、表示パネル3との電気的接続を行うための複数個のコネクタ8を有する。複数個のコネクタ8と表示パネル3から引き出された電極は、複数個のフレキシブルプリント配線基板9で電気的に接続される。
【0018】
ここで、本実施例におけるシャーシ部材5の構造を詳細に説明する。シャーシ部材5は、表示パネル3の全面に略等しい平面において、複数個に分割した状態で固着する。図1では、3個のシャーシ部材(シャーシ片)51,52,53に分割している。それらの形状は、表示パネル3の横方向(X方向)に略等しい長さで、表示パネル3の縦方向(Y方向)に3分割している。ただし、各シャーシ片の形状は、単純な矩形状ではなく、凸形状と凹形状(またはH形状)の組合わせを含む積み木細工状に分割する。すなわち、下段のシャーシ片51は表示パネル中央部を含むような略凸形状とし、中段のシャーシ片52は表示パネル中央部を避けるような略H形状としている。また上段のシャーシ片53は、表示パネル中央部に向う略逆凸形状としている。これらのシャーシ片の形状は、後述するように、表示パネルの発熱分布と冷却風の方向に基づいて決定したもので、また、シャーシ部材5の分割数は、3分割に限定されるものではない。
【0019】
図2は、図1の平面型表示機器の冷却動作を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図で、シャーシ部材5及び表示パネル3の部分を取り出して示す。表示パネル3の発熱状態は、楕円の等高線で示すように、中央部分が高温部aとなり、周辺部分が低温部eとなるのが一般的な傾向である。
【0020】
本実施例のシャーシ部材5は、図1に示したように3個のシャーシ片51,52,53に分割している。表示パネル3の放電素子からの発熱は、熱伝導性の粘着部材4を介して各々のシャーシ片51,52,53で受熱する。そして、各々のシャーシ片51,52,53内で熱拡散するが、拡散方向は分割形状により規制されることから、各々のシャーシ片5の温度上昇は分割形状に依存して異なることになる。
【0021】
ここで、分割したシャーシ部材5における伝熱について説明する。まず、表示パネル3の中央部に生じる高温部aの熱は、高温部aに対向する下段のシャーシ片51で受熱し、シャーシ片51の内部で矢印101で示すように下方の低温部eに向けて熱拡散する。なぜなら、中段のシャーシ片52とは伝熱経路が分断されており、上方へは熱伝導できず熱拡散できないからである。その結果、シャーシ片51は温度T1になる。これに対し中段のシャーシ片52では、中温部bの熱を熱伝達して受熱し、矢印102で示すように横方向に熱伝導によって熱拡散して温度T2となる。また、上段のシャーシ片53では、中温部cの熱を熱伝達して受熱し、矢印103で示すように上方に熱伝導によって熱拡散して温度T3になる。それぞれのシャーシ片51,52,53において熱源の最高温度が異なる結果、各シャーシ片51,52,53での熱拡散された後の温度状態は異なり、T1>T2>T3の関係になる。
【0022】
次に、シャーシ部材5に対して空気が自然対流することによる放熱動作について説明する。図3で示したように従来のシャーシ部材5の連続一体構造では、表示パネルからの熱が全平面に拡散され、シャーシ部材全面でほぼ均一な温度状態になる。そして、シャーシ部材から空気への熱伝達により加熱された空気が下方から上方に向かって自然対流することになる。空気における所定の熱を伝達することの可能な速度境界層は、下端側では薄く熱伝達効率が高いが、上端側ほど厚くなり熱伝達効率が悪くなる。すなわち、上端側では空気への熱伝達が飽和状態になることから、シャーシ部材の上端側での放熱が不十分で、高温部が残存することになる。
【0023】
これに対し本実施例においては、図2のように、シャーシ部材5を自然対流による通風200の方向に分割している。そしてシャーシ片の分割形状に基づき熱拡散を規制することで、表示パネル3からの発熱によるシャーシ片51,52,53の温度状態は、下端側ほど高い状態を作っている(T1>T2>T3)。このように、温度の高い領域(T1)をシャーシ部材の下端部に形成し、一方下端部は空気の速度境界層が薄く熱伝達効率が高いことから、下端部のシャーシ片51にて効率よく放熱を行うことができる。すなわち、表示パネル3の高温部aの発熱に対し最も効率の良い経路で冷却することができる。
【0024】
一方、下端部のシャーシ片51から吸熱した空気は、上方へ自然対流し、引き続きシャーシ片52及びシャーシ片53から吸熱することになるが、上端側に行くほど熱伝達効率は低下することになる。しかし、シャーシ片52及びシャーシ片53の温度状態は上端側ほど低くしてあるので(T3<T2<T1)、所望の温度まで冷却させるのに要する放熱(熱伝達)量は少なくて良い。よって、シャーシ部材3の上端部に高温部が残存することがない。これらの結果、シャーシ部材5全体を均一な温度に効率良く冷却することができる。
【0025】
さらには、シャーシ部材5が分割されていることから、各シャーシ片51,52,53において、各々の速度境界層を独自に構成し、自然対流における上流側のシャーシ片51(52)の速度境界層と、下流側のシャーシ片52(53)の速度境界層とを混合して新たな速度境界層を形成することができる。その結果、シャーシ片52及びシャーシ片53の熱伝達効率を改善させ、表示パネル3の冷却効率をより向上させることができる。
【0026】
上記実施例では、自然対流による放熱の場合を述べたが、冷却ファン等により空気を強制的に通風する場合にも同様に適用できる。その場合にも、表示パネル3の発熱状態と冷却風の方向に合わせて、シャーシ部材の分割形状や分割形態を適宜決定すれば良い。
【0027】
このように本実施例によれば、表示パネルの発熱に対し、効率の良い冷却を簡素な構造によって実現する平面型表示機器を提供することができる。
【0028】
次に、シャーシ部材5を分割することによる機械強度的な効果について説明する。図1に示すように、シャーシ部材5には複数の回路基板7が載置され、各回路基板7からはコネクタ8を介してフレキシブルプリント配線基板9にて表示パネル3の電極に接続されている。フレキシブルプリント配線基板9は、表示パネル3の外周位置にて奥行き方向(Z方向)に延在して取り付けられる。
【0029】
表示パネル3にて放電表示を行うと、その発熱により熱接続されたシャーシ部材5が温度上昇することは前述した通りである。そのとき、表示パネル3とシャーシ部材とに熱膨張の差があると、バイメタル現象により表示パネル及びシャーシ部材に反り(歪み)が発生し、極端な場合パネルが破損する問題がある。また、表示パネル及びシャーシ部材の反りは、フレキシブルプリント配線基板9に対し接続位置のX方向またはY方向の変形をもたらし、コネクタ8の脱落や破損を生じる問題がある。これに対し本実施例のようにシャーシ部材5を分割することは、これらの問題を緩和させる効果がある。
【0030】
ここで、表示パネル3とシャーシ部材5の熱膨張差の問題について説明する。表示パネル3の代表的な基板材であるガラスの熱線膨張率は約8.5×10−6/Kであり、シャーシ部材5の代表的な材料であるアルミニウムの熱線膨張率は約23.0×10−6/Kであることから、双方の部材は温度上昇における伸び量が異なる。その結果、表示パネル3とシャーシ部材5とは、表示パネル3側が凹状となるような反りが発生する。また、双方の部材に接合されているフレキシブルプリント配線9の接続両端の設定位置は、反りの発生に伴い、常温時の設定位置から変位することになる。ここでフレキシブルプリント配線基板9は、表示パネル3と回路基板7上のコネクタ8との間を湾曲状に伸延して接続しているので、フレキシブルプリント配線基板9の接続の延在方向(Z方向)への変位に対しては湾曲変形により吸収できるので問題はない。しかし、接続方向と直交する方向(X方向またはY方向)への変位に対しては、フレキシブルプリント配線基板9の湾曲変形では吸収できず、コネクタ8からの脱落や破損を生じる恐れがある。
【0031】
しかしながら、本実施例のようにシャーシ部材5を小面積のシャーシ片に分割することによって、この反り量(歪み量)を低減することができる。また、フレキシブルプリント配線9の接続位置の変位も低減し、コネクタが脱落する問題もなくなる。
【0032】
このように本実施例によれば、発熱による表示パネルとシャーシ部材との熱膨張率の違いによって生じる構成部品の変形や歪みを低減して、平面型表示装置の信頼性を向上できる。
【0033】
なお、分割されたシャーシ部材5は、常温時に各シャーシ片51,52,53が隙間Dを有するように配置して表示パネル3に固着している。固着する粘着部材4は粘性を有するので、各シャーシ片は、温度上昇とともに四方に膨張して、隣接するシャーシ片の端部が衝突して剥離等の事故を生じる恐れがある。これを回避するため、常温時の隙間Dは、シャーシ部材と表示パネルの熱膨張差よりも大きい寸法とするのが良い。また隙間Dは、シャーシ片のサイズにも依存する。シャーシ片が小さい(シャーシ部材5の分割数が多い)ほど、熱膨張差は小さくなることから、隙間Dを小さくできる。
【0034】
次に、本実施例のように分割したシャーシ部材を用いた平面型表示機器の製造方法について説明する。
平面型表示機器1の大型化に伴い、表示パネル3を固着するシャーシ部材5も大型化する。シャーシ部材5の大型化は、シャーシ部材5の生産設備の大型化や、組み立て時の作業性の低下等、コスト高の原因となる。これに対して、大画面用のシャーシ部材5を分割して構成することにより、小形の生産設備によって対応できることになる。
【0035】
シャーシ部材5の分割数を多くすることは、部品の管理や、表示パネル3への固着作業性の観点では好ましい方向ではない。この場合、分割したシャーシ片52,52,53を表示パネル3への固着位置関係を保ちながら、保持テープ等の保持部材によって仮接合し、一体にして管理することで製造時(固着時)の作業性を改善できる。
【0036】
このシャーシ部材5を分割する方法は、表示パネル3の大きさが異なる平面型表示機器の製造に当っても、コスト増を抑制しながら容易に対応できるものである。
図4は、表示パネル3のサイズが異なる2つの平面型表示機器に対応するシャーシ部材5の分割法の一実施例を示した図である。(a)は小さな表示パネル3aの場合で、シャーシ部材5aは、分割したシャーシ片51a,52a,53aで構成する。一方(b)は大きな表示パネル3bの場合で、前記表示パネル3aで用いたシャーシ部材5aの一部を共通に用いる。すなわち、シャーシ片51b,53bは前記シャーシ片51a,53aと共通であり、これに新たにシャーシ片52bと54bを追加して積み木細工様に組合せて構成する。このように構成することで、画面サイズの異なる複数の平面型表示機器に対しての部品の共通化を図り、製造を容易にするものである。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、生産性及び信頼性の高い大画面の平面型表示機器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による平面型表示機器の一実施例の構成を概念的に示す図。
【図2】本実施例の平面型表示機器の冷却動作を説明する図。
【図3】従来の平面型表示機器におけるシャーシ部材の伝熱状態を示す図。
【図4】表示パネルの大きさが異なる場合のシャーシ部材の分割例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1…平面型表示機器
2…筐体
3…表示パネル(PDP)
4…高熱伝導性粘着部材
5,51,52,53…シャーシ部材(シャーシ片)
6…支持部材
7…回路基板
8…コネクタ
9…フレキシブルプリント配線基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの発熱をシャーシ部材によって放熱する平面型表示機器において、
前記シャーシ部材は、上下方向に複数のシャーシ片に分割して前記表示パネルに高熱伝導性の粘着部材にて固着し、前記表示パネルの発熱を受熱して前記各シャーシ片内において熱拡散し、通風する空気中に放熱する構造であって、
前記表示パネルの高温部からの発熱は前記複数のシャーシ片のうちで下部側に配置するシャーシ片によって受熱される形状とし、前記各シャーシ片における熱拡散後の温度状態は、下部側に配置するシャーシ片が上部側に配置するシャーシ片よりも高温になるように構成したことを特徴とする平面型表示機器。
【請求項2】
請求項1に記載の平面型表示機器において、
前記各シャーシ片の形状は、略凸形状と略凹形状の組合わせを含む積み木細工状に分割され、該各シャーシ片の境界には所定の隙間を設けて配置したことを特徴とする平面型表示機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の平面型表示機器において、
前記シャーシ部材に載置される回路基板と、
該回路基板から前記表示パネルに接続されるフレキシブルプリント配線基板を有し、
前記シャーシ部材は、少なくとも、前記フレキシブルプリント配線基板の接続延在方向と直交する方向に分割されたことを特徴とする平面型表示機器。
【請求項4】
表示パネルの発熱をシャーシ部材によって放熱する平面型表示機器の製造方法において、
前記表示パネルのサイズに合わせて、前記シャーシ部材を複数のシャーシ片に分割し、
前記表示パネルの高温部からの発熱を下部側に位置するシャーシ片にて受熱するように配置し、
前記各シャーシ片を前記表示パネルに高熱伝導性の粘着部材にて固着するものであって、
前記表示パネルのサイズが異なる平面型表示機器の場合、それらの機器に用いる前記シャーシ片について少なくとも一部のシャーシ片を互いに共通の形状とすることを特徴とする平面型表示機器の製造方法。
【請求項5】
表示パネルの発熱をシャーシ部材によって放熱する平面型表示機器の製造方法において、
前記表示パネルのサイズに合わせて、前記シャーシ部材を複数のシャーシ片に分割し、
前記表示パネルの高温部からの発熱を下部側に位置するシャーシ片にて受熱するように配置し、
前記各シャーシ片を前記表示パネルに高熱伝導性の粘着部材にて固着するものであって、
前記分割したシャーシ片を固着位置関係を保ちながら保持部材にて仮接合し、一体にして固着作業することを特徴とする平面型表示機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−292824(P2008−292824A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139254(P2007−139254)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】