平面導波路素子
【課題】分波時のクロストークを低減することができる、光学的ブロッホ振動を用いた平面導波路素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る平面導波路素子は、導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子である。その導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射角を調整している。これにより平面導波路素子を用いた分波器のクロストークを低減することができる。
【解決手段】本発明に係る平面導波路素子は、導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子である。その導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射角を調整している。これにより平面導波路素子を用いた分波器のクロストークを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分波器として利用される平面導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及による通信需要の爆発的な増加にともなって、ネットワークの伝送速度は飛躍的に増大している。この速度の増加に対応するため、銅線によるネットワークが構築されてきた加入者系においても、光によるネットワークの構築が進んでいる。
【0003】
光によるネットワークでは、波長多重(Wavelength Division Multiplexing:以下、「WDM」という。)光通信が利用されている。WDM光通信では、多重化された信号波が1本の光ファイバで伝送されるため、大容量かつ高速の光通信が実現される。
【0004】
一方、WDM光通信においては、個々の信号波が指定されたポートから出力されるように、多重化された信号波を分波する素子が必要である。分波素子としては、光学的ブロッホ振動(Optical Bloch Oscillations:以下、「OBO」という。)を利用する平面導波路素子(以下、「OBO平面導波路素子」という。)が、提案されている。
【0005】
OBOとは、導波路アレイの各導波路の実効屈折率を順に増加させたときに、導波路アレイに入射した光が、導波路を伝搬しながら導波路と垂直な方向に伝搬方向を変え、導波路アレイ内を振動しながら伝搬する現象である。
【0006】
これにより、入射した導波路とは違う導波路から、光線を出射することが可能となる。OBOは、入射光の波長、実効屈折率の増加量、隣接導波路間のモードの結合定数のうち少なくともひとつを変化させることにより光が出射される位置が変わる。そのため、OBO平面導波路素子は分波器および光スイッチとなる。
【0007】
この中で、分波器は、入射光の波長を変えると、導波路の延びる方向と垂直方向にOBOの振幅が変化することを利用している。以上のようなOBO平面導波路素子は、例えば、後述する非特許文献1、2に示されている。
【0008】
非特許文献1では、AlGaAs(アルミニウムガリウムヒ素)のリッジ構造からなる導波路を基本構造として、導波路アレイを作製している。この導波路アレイは、導波路と垂直な方向に、各導波路のリッジ幅を順に広げることで、導波路の実効屈折率が線形に増加する構成である。このような構造はチャープ型導波路アレイと呼ばれている。
【0009】
この従来例では、チャープ型導波路アレイによる、各導波路の実効屈折率の線形増加を利用して、OBOを発生させている。この従来例では、導波路に入射する入射光に関しては、入射角度や、入射光の波面の位相についてはなんら記載されていない。
【0010】
非特許文献2では、ポリマーで作製したストライプ型構造の導波路による導波路アレイにおいて、導波路が延びる方向と垂直方向に温度勾配を形成することで、OBOを用いた平面導波路素子を作製している。
【0011】
図14は非特許文献2における平面導波路素子の平面図である。図14に示す平面導波路素子は、無機有機コポリマーで作製されたコア301、無機有機コポリマーで作製されたクラッド302、クーラー303、ヒーター304を含む。この平面導波路素子に入射光305を入射すると、伝搬光306のように伝搬し、出射光307として出射される。
【0012】
図15は、図14に示す点線部分XV−XVにおける断面図である。平面導波路素子は、酸化シリコン基板308を有している。この従来例は、コア301を等間隔で並べることで導波路アレイを作製し、その導波路アレイの両端に設けたクーラー303とヒーター304により導波路アレイに温度勾配を形成している。
【0013】
この平面導波路素子では温度上昇によりポリマーの屈折率が減少する熱光学効果を利用している。具体的には、導波路アレイにおけるヒーター304からの距離に比例して、導波路の屈折率が線形に増加することを利用して、OBOを発生させている。
【0014】
波長によってOBOの振幅が違うため、入射光305が同じ位置であっても、伝搬光306のように波長ごとに違う伝搬を示す。そのため、この平面導波路素子においては、波長により違う導波路から出射光307が出射される。そのため、この導波路アレイからなる平面導波路素子は分波器として機能する。この従来例でも、導波路に入射する入射光に関しては、入射角度や、入射光の波面の位相についてはなんら記載されていない。
【非特許文献1】R.Morandotti, U.Peschel, J.S.Aitchison, H.S.Eisenberg, and Y.Silberberg, ”Experimental Observation of Linear and Nonlinear Optical Bloch Oscillations”, Physical Review Letters, vol.83, No.23, pp.4756-4759(1999).
【非特許文献2】T.Pertsch, P.Dannberg, W.Elflein, A.Brauer, and F.Lederer, “Optical Bloch Oscillations in Temperature Tuned Waveguide Arrays”, Physical Review Letters, vol.83, No.23, pp.4752-4755(1999).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、OBOを用いた従来の平面導波路素子では次のような課題があった。すなわち、従来のOBOを用いた平面導波路素子では分波した違う波長を持った光が重なるクロストークについて考えられてこなかった。また、分波特性を測定したところ、クロストークが起き、分波機能が十分でないという問題があった。
【0016】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、クロストークを低減した平面導波路素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは鋭意研究を行なうことで、平面導波路素子への入射モードが複数の導波路にわたって広がっている場合、出射光の位置は、入射時の隣接導波路間の光の位相差の影響を受けることを見出した。この位相差は、導波路へ光が入射する際に、導波路の延びる方向と入射光の入射方向とが平行からずれることにより生じる入射角に起因している。つまり、入射角により隣接導波路との間に光路長の差ができ、光路長の差が隣接導波路間での位相差として現れ、この入射時に生じる隣接導波路間の位相差によりOBOの出射位置を変えることを見出した。さらに、この隣接導波路間の位相差が波長ごとに違うことを利用して、分波された光の出射位置を大きく変え、OBOを用いた平面導波路素子による分波器のクロストークの低減ができることを見出した。
【0018】
この発明に基づいた平面導波路素子に従えば、導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子である。その導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射されている。
【0019】
また、平面導波路素子への入射光のうち最も波長の長い入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射されることが好ましい。
【0020】
隣接導波路間の位相差を設けるためには、平面導波路素子へ入射される光は、平面導波路素子を構成する導波路が延びる方向と平行な方向に対して傾斜するように入射されることが好ましい。
【0021】
また、平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に対して垂直に形成され、平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直な方向に対して傾斜するように入射させてもよい。
【0022】
平面導波路素子を構成する導波路と入射端面とを垂直とするには、導波路はへき開面に対して垂直もしくは、平行となるように形成され、入射端面をへき開面としてもよい。
【0023】
また、平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に垂直な方向に対して傾斜して形成され、平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直に入射させてもよい。
【0024】
平面導波路素子を構成する導波路と入射端面とを垂直からずらすためには、導波路はへき開面に垂直な方向または平行な方向に対して傾斜して形成され、入射端面をへき開面としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る平面導波路素子によると、入射時に波長ごとに異なる隣接導波路間の位相差が付与されることにより、OBOによる光の出射位置が波長により大きく変わり、分波時のクロストークを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。図1に示す平面導波路素子は、上部クラッド層101、導波路間の溝部102、入射端面103、出射端面104を含む。
【0028】
上部クラッド層101はストライプ状に形成されて導波路を構成している。導波路の幅は、導波路番号が大きくなるにしたがって広くなっている。導波路の幅の増加は、隣接導波路との実効屈折率の差が一定値で増加するように設定されている。
【0029】
また、導波路の中心間距離は、導波路番号が大きくなるにしたがって短くなり、隣接導波路との結合定数を一定とするように設定されている。なお、本実施の形態では導波路番号(1)の上部クラッド層1の幅は2.0μm、導波路番号(25)の上部クラッド層1の幅は、3.4μmである。
【0030】
一方、導波路番号(1)から(2)の間では、導波路の中心間距離は5.5μmであり、導波路番号24から25の間では導波路の中心間距離は5.1μmとなっている。この平面導波路素子の導波路が延びる方向の長さは3000μmであり、これはOBOの1周期の半分だけ振動する長さとしている。
【0031】
導波路の延びる方向に垂直方向の幅は130μmである。図1に示される平面導波路素子に入射した入射光105は、導波路アレイ内を伝搬光106で示されるように伝搬し、出射光107として出射する。
【0032】
図2は、図1に示す点線部分II−IIにおける断面図である。図2に示す平面導波路素子は、コア層108、下部クラッド層109、基板110を有している。上部クラッド層101および下部クラッド層109はAl0.3Ga0.7Asであり、コア層108はAl0.2Ga0.8Asであり、基板110はGaAs(ガリウムヒ素)である。
【0033】
基板110に対して、下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層101の順に積層されている。それぞれの層の厚さは、下部クラッド層109が4.0μm、コア層108が1.5μm、上部クラッド層101が1.5μmである。導波路間の溝部102の深さは1.5μmである。
【0034】
本実施の形態での入射光105は波長λ2が1.5μmであり、波長λ1は波長λ2の半分の長さである。入射光105は導波路番号(11)から(14)の4本の導波路にわたって広がって入射端面103から入射している。
【0035】
本実施の形態における平面導波路素子では、入射光105が入射する入射端面103に対して垂直に延びる導波路からなる導波路アレイ構造を用いている。入射光105を入射端面103に垂直から角度θだけ傾斜させて入射させることで、導波路が延びる方向と平行な方向から角度θだけ傾斜させて入射する。
【0036】
なお、入射端面103と導波路とを垂直にするために、へき開面に対して垂直もしくは平行となるように導波路を作製しており、へき開面を入射端面103として用いる。この構成では、入射角はθとなり、隣接導波路間の位相差をmとすると、次式(1)が導かれる。
【0037】
dSinθ=mλ/2πn (1)
ここでdは隣接導波路間の距離(5.3μm)、θは入射角、λは入射光の波長、nは空気の屈折率(n=1.0)、mは隣接導波路間の位相差である。式(1)によると、入射角θが同じでも、隣接導波路間の位相差mは波長λに反比例する。
【0038】
次に、図3から図8を参照して図1および図2に示す平面導波路素子の作製方法を説明する。
【0039】
まず、下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層101を基板110上に順に積層したウェハーを、図3に示すように、ウェハー端面111、112付近でへき開し、互いに直交するへき開面113、114を形成する。
【0040】
次に、図4に示すように、下部クラッド層109、コア層108および、上部クラッド層101が順番に積層された基板110の上部クラッド層101の上にレジスト115を塗布する。
【0041】
続いて、図5に示すように、通常のフォトリソグラフィーを用いて、導波路を形成するためのパターンをレジスト115に形成する。このとき、レジストパターンは図1に示される上部クラッド層101のパターンとなるようにストライプ状に形成する。ここでこのストライプはへき開面113に垂直かつ、へき開面114に平行となるように形成される。
【0042】
続いて、図6に示すように、上述のレジストパターンが形成されたレジスト115をエッチングマスクとして用いて、上部クラッド層101を通常のドライエッチングにより除去する。
【0043】
最後に残ったレジスト115を剥離液で除去することにより、図7に示される断面を有し、図8で示される平面構造を有する導波路アレイウェハーが完成する。
【0044】
このウェハーを、へき開面113と平行となるように、一定間間隔でへき開し、このへき開面を入射端面103とすることで、平面導波路素子が完成する。
【0045】
次に、作製した平面導波路素子によるOBOの動作原理を説明する。
平面導波路素子における導波路アレイの延びる方向の伝搬定数βと、導波路アレイの延びる方向と垂直方向の伝搬定数κの関係を図9に示す。図9に示すように、導波路アレイでは、κとβの関係は周期的な分散関係(バンド)をもち、その周期は2πである。図9には、従来例である入射角0°および、本実施の形態である入射角θで、導波路番号(11)〜(14)の4本の導波路へ入射した場合の、波数空間での入射光の入射位置の関係も示している。なお、この入射した光は導波路の実効屈折率の増加によって、κ軸に対して正の方向に進行する。
【0046】
このとき、図9のバンドの傾きにより、導波路アレイ内の伝搬は決まる。すなわち、バンドの傾きが正であれば、実効屈折率が増加する方向、つまり導波路の幅が広がる方向へと伝搬し、バンドの傾きが負であれば、実効屈折率が減少する方向、つまり導波路の幅が狭くなる方向へと伝搬する。バンドは周期的に繰り返されているため、バンドの傾きが周期的に正と負とが繰り返され、導波路アレイ内の伝搬光は、振動しながら伝搬する。
【0047】
入射角と伝搬光との関係は、図9に示すように、θ=0°の場合、隣接導波路間の位相差が0であり、入射時のκが0となるため、入射光の波数空間での位置116aはバンドの中央に位置し、導波路の幅が広がる方向へ伝搬する。
【0048】
θ≠0°の場合、隣接導波路間の位相差がmであり、入射時のκがmとなるため、入射光の波数空間での位置116bはバンドの中央からmずれた位置にあり、θ=0°の場合とは伝搬光の進行方向が変わる。例えば、隣接導波路間の位相差mがπの場合、光は導波路の幅が狭くなる方向へと伝搬する。
【0049】
また、隣接導波路間の位相差mが2πのときは、隣接導波路間の位相差が0の場合と同様に導波路の幅が広がる方向へ伝搬する。そして、隣接導波路間の位相差mがπから2πの間の場合は、隣接導波路間の位相差πと2πのときに伝搬する軌道の間で伝搬する。
【0050】
ただし、隣接導波路間の位相差mが−π/8以上、π/8以下の場合、隣接導波路間の位相差が0の場合と同様に導波路の幅が広がる方向へ伝搬し、隣接導波路間の位相差が0の場合と同じ出射位置となる。
【0051】
したがって、隣接導波路間の位相差による出射光の出射位置を変える効果を得るためには、隣接導波路間の位相差mは−π/8以下またはπ/8以上となるように光を入射することが必要である。隣接導波路間の位相差mを−π/8以下またはπ/8以上とするためには、本実施の形態においては、入射角θを−1.0°以下または1.0°以上とする必要がある。
【0052】
次に、本実施の形態におけるOBO平面導波路素子による光の分波について説明する。
本実施の形態では、波長λ1および波長λ2の光を平面導波路素子へ入射させた場合の分波について示すが、本発明による平面導波路素子では、波長λ1、λ2のみに限らず、2種類以上の波長の光も同様に分波することができる。
【0053】
従来例のように入射角や隣接導波路間の位相差を考慮せずに入射した場合、つまり入射角θ=0°のとき、波長λ1、λ2ともに隣接導波路間の位相差が0で同じである。そのため、波長λ1、λ2の入射光の波数空間での位置は、バンドの中央部であり、波長λ1、λ2ともに入射直後から同一方向へと進行する。
【0054】
その結果、これらの波長の出射光の位置の差は小さく、OBOの振幅に対して10%であり、出射光の一部が重なってしまい、クロストークが生じる。
【0055】
一方、本実施の形態では入射角θを0°からずらすことで隣接導波路間の位相差を設けている。このとき、式(1)から次式(2)の関係が導かれる。
【0056】
m1/m2=λ2/λ1 (2)
ここで、m1、m2はそれぞれ波長λ1、λ2における隣接導波路間の位相差である。
【0057】
式(2)より、波長λ1、λ2の比により、それぞれの波長での隣接導波路間の位相差の比が決まる。すなわち、波長λ1が小さいほど、隣接導波路間の位相差の比(m1/m2)が大きくなり、波長λ1とλ2との出射位置の差が大きくなる。
【0058】
最も長い波長λ2の隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)のとき、どの波長の伝搬光も最も長い波長λ2の伝搬光と交わることがなく、波長λ1とλ2との出射位置の差は波長λ2の隣接導波路間の位相差に対して最大となる。
【0059】
そのため、入射角θを調節して波長λ2の光に対する隣接導波路間の位相差m2をπとすると、伝搬光は図1に示すように波長λ2の光は導波路の幅が狭くなる方向へ進行する。一方、波長λ1は波長が小さくなるにしたがって、隣接導波路間の位相差の比(m1/m2)が大きくなり、波長λ1での隣接導波路間の位相差m1が大きくなる。
【0060】
この場合、波長λ1は伝搬途中まで、導波路の幅が狭くなる方向へ進行し、その後、導波路の幅が広くなる方向へと進行する。その結果、波長λ1とλ2の出射光の位置の差は、入射角が0°の場合と比べ大きくなるため、波長λ1とλ2の出射光の重なりが少なくなり、クロストークは低減する。
【0061】
本実施の形態のように、波長λ1が波長λ2の半分の波長の場合、入射角θ=8.1°で、波長λ1の隣接導波路間の位相差は2πとなる。このとき、図1に示すように波長λ1の伝搬光は導波路の幅が広くなる方向へ伝搬し、波長λ1とλ2の出射光の位置の差は、OBOの振幅に対して80%となる。その結果、波長λ1とλ2の出射光の重なりがなくなり、クロストークも低減している。
【0062】
この入射角θの調整は、たとえば次のように行なうことができる。平面導波路素子を回転する台座に取り付け、入射端面に光を入射する。回転する台座を入射角θに相当する角度だけ回転させることで入射角を調整する。
【0063】
本実施の形態における平面導波路素子は、へき開により形成された入射端面103と導波路とを垂直にし、導波路に入射角θで光を入射している。これにより、隣接導波路間に光路長差を生じ、入射時に波長ごとに異なる隣接導波路間の位相差となる。
【0064】
この隣接導波路間の位相差により波長ごとに伝搬光の伝搬方向が変わり、出射光の位置が波長により大きく変わることにより、クロストークが低減できた。最も波長の長い入射光の隣接導波路間の位相差を−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射角を調整すると、他の波長の入射光の波長が短くなればなるほど、最も波長の長い入射光とは違う方向へ入射直後から伝搬するため、出射位置の差が大きくなる。そのため、隣接導波路間の位相差を定めないときより分波器のクロストークが低減できる。
【0065】
なお、本実施の形態では、OBOを発生させる導波路の構造として、チャープ型導波路アレイを用いたが、OBOを発生させる構造であればこれに限定されない。たとえば均一な導波路幅と導波路間隔を有する導波路アレイに屈折率勾配を形成した構造であっても構わない。
【0066】
本実施の形態では、導波路の高さ、導波路の幅および、導波路間の中心間距離を例示して説明したが、OBOが起こるのであればこれに限られるものではない。
【0067】
さらに平面導波路素子は左右反転して、導波路番号の小さい側が大きい側よりも導波路の幅が広い構造としても構わない。
【0068】
本発明では、素子を作製するとき、2つのへき開面113、114を形成したが、へき開面は1つでも構わない。へき開面が1つのときは、導波路がへき開面に対して平行もしくは垂直のどちらか一方となるようにストライプの方向を設定すればよい。
【0069】
また、本実施の形態ではコア層やクラッド層の材料をAlGaAsとしたが、入射光に対して透明な材料であれば、ポリマー、Si、InGaAsP、SiO2を用いても構わない。また、クラッド層は空気でもよい。
【0070】
さらに、入射光の広がり幅は、導波路4本分に限るものではない。
本実施の形態では、入射光の波長や多重化される波長の数を例示して説明したが、これに限るものではない。
【0071】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2に係るAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。図10における平面導波路素子は、上部クラッド層201、導波路間の溝部202、入射端面203、出射端面204を含む。
【0072】
上部クラッド層201は実施の形態1と同様に導波路番号が大きくなるにしたがって広くなっている。また、導波路の中心間距離は、実施の形態1と同様に導波路番号が大きくなるにしたがって短くなっている。導波路の幅と導波路の中心間距離は実施の形態1と同じである。図11は、図10に示す点線部分XI−XIにおける断面図である。
【0073】
本実施の形態で用いたチャープ型導波路アレイは、上部クラッド201、導波路間の溝部202からなるストライプ型導波路が入射端面203に対して垂直な方向から角度θだけ傾斜している点および入射光205が入射端面203に対して垂直に入射している点が実施の形態1と異なる。
【0074】
入射端面に対して斜めに光を入射する実施の形態1とは違い、本実施の形態は、入射光を入射端面に対して垂直に入射するため、入射角に関する調整が不要であり、アライメントが容易となる。
【0075】
本実施の形態では、実施の形態1と同様にチャープ型導波路アレイによりOBOを引き起こしている。その導波路アレイが入射端面203に対して角度θで傾いており、入射光205を入射端面203に対して垂直に入射することで、実施の形態1での入射角θで光を入射した場合と同じ隣接導波路間の位相差が付与される。なお、実施の形態1と同様、入射端面203はへき開面を利用している。
【0076】
作製方法は、実施の形態1と同様に図12に示すように下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層201を基板110上に順に積層したウェハーを、ウェハー端面111、112付近でへき開し、互いに直交するへき開面208、209を形成する。
【0077】
その後、実施の形態1と同様にレジストを塗布する。その後、レジストパターンを形成する際に、実施の形態1とは異なり、へき開面に垂直な方向または平行な方向のいずれか一方から角度θだけ傾斜させて導波路パターンを形成する。
【0078】
その後、実施の形態1と同様にエッチング、レジスト膜の剥離をすることで、図13に示される平面図の構造を有し、実施の形態1の図7に示される断面図と同じ構造を有する、実施の形態2の導波路アレイウェハーが作製できる。この導波路アレイウェハーを一定間隔でへき開することで、実施の形態2の平面導波路素子を作製する。
【0079】
本実施の形態における平面導波路素子は、入射端面203と導波路アレイの延びる方向とを傾斜させ、入射端面203に対して垂直に光を入射している。そのため、本実施の形態では実施の形態1と同様に入射光205を、導波路アレイに対して、導波路が延びる方向に平行な方向から角度θだけ傾斜して入射させることができ、光路長に差が生じ、波長ごとに式(1)で表される隣接導波路間の位相差が生じる。この入射時の隣接導波路間の位相差により、実施の形態1と同様に波長ごとにOBOの方向を変えることができ、クロストークの低減ができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、OBOを引き起こす導波路の構造として、チャープ型導波路アレイを用いたが、OBOを引き起こす構造であれば本実施の形態に限らず、たとえば均一な導波路幅と導波路間隔を有する導波路アレイに屈折率勾配を形成した構造であっても構わない。
【0081】
さらに平面導波路素子は左右反転して、導波路番号の小さい側が大きい側よりも導波路の幅が広い構造としてもかまわない。
【0082】
本発明では、素子を作製するとき、2つのへき開面208、209を形成したが、へき開面は1つでも構わない。へき開面が1つのときは、導波路がへき開面に対して平行もしくは垂直のどちらか一方から角度θ傾けるようにストライプの方向を設定すればよい。
【0083】
また、本実施の形態ではコア層やクラッド層の材料をAlGaAsとしたが、入射光に対して透明な材料であれば、ポリマー、Si、InGaAsP、SiO2を用いても構わない。また、クラッド層は空気でもよい。
【0084】
さらに、本実施の形態では、入射端面と導波路との角度θを例示して説明したが、入射光の波長ごとに違った隣接導波路間の位相差が生じる角度であれば、これに限るものではない。
【0085】
さらに、入射光の広がり幅は、導波路4本分に限るものではない。
本実施の形態では、入射光の波長や多重化された波長の数を例示して説明したが、これに限るものではない。
【0086】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図5】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図6】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図7】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図8】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図9】導波路の延びる方向と垂直方向の伝搬定数κと導波路の延びる方向の伝搬定数βの関係を説明するためのグラフである。
【図10】この発明に基づいた実施の形態2におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。
【図11】この発明に基づいた実施の形態2におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の断面図である。
【図12】この発明に基づいた実施の形態2におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図13】この発明に基づいた実施の形態2におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図14】従来の技術におけるポリマーを用いた導波路アレイの平面図である。
【図15】従来の技術におけるポリマーを用いた導波路アレイの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
101,201 上部クラッド層、102,202 導波路間の溝部、103,203 入射端面、104,204 出射端面、105,205 入射光、106,206 伝搬光、107,207 出射光、108 コア層、109 下部クラッド層、110 基板、111,112 ウェハー端面、113,114,208,209 へき開面、115 レジスト、116a,116b 入射光の波数空間での位置。
【技術分野】
【0001】
この発明は、分波器として利用される平面導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及による通信需要の爆発的な増加にともなって、ネットワークの伝送速度は飛躍的に増大している。この速度の増加に対応するため、銅線によるネットワークが構築されてきた加入者系においても、光によるネットワークの構築が進んでいる。
【0003】
光によるネットワークでは、波長多重(Wavelength Division Multiplexing:以下、「WDM」という。)光通信が利用されている。WDM光通信では、多重化された信号波が1本の光ファイバで伝送されるため、大容量かつ高速の光通信が実現される。
【0004】
一方、WDM光通信においては、個々の信号波が指定されたポートから出力されるように、多重化された信号波を分波する素子が必要である。分波素子としては、光学的ブロッホ振動(Optical Bloch Oscillations:以下、「OBO」という。)を利用する平面導波路素子(以下、「OBO平面導波路素子」という。)が、提案されている。
【0005】
OBOとは、導波路アレイの各導波路の実効屈折率を順に増加させたときに、導波路アレイに入射した光が、導波路を伝搬しながら導波路と垂直な方向に伝搬方向を変え、導波路アレイ内を振動しながら伝搬する現象である。
【0006】
これにより、入射した導波路とは違う導波路から、光線を出射することが可能となる。OBOは、入射光の波長、実効屈折率の増加量、隣接導波路間のモードの結合定数のうち少なくともひとつを変化させることにより光が出射される位置が変わる。そのため、OBO平面導波路素子は分波器および光スイッチとなる。
【0007】
この中で、分波器は、入射光の波長を変えると、導波路の延びる方向と垂直方向にOBOの振幅が変化することを利用している。以上のようなOBO平面導波路素子は、例えば、後述する非特許文献1、2に示されている。
【0008】
非特許文献1では、AlGaAs(アルミニウムガリウムヒ素)のリッジ構造からなる導波路を基本構造として、導波路アレイを作製している。この導波路アレイは、導波路と垂直な方向に、各導波路のリッジ幅を順に広げることで、導波路の実効屈折率が線形に増加する構成である。このような構造はチャープ型導波路アレイと呼ばれている。
【0009】
この従来例では、チャープ型導波路アレイによる、各導波路の実効屈折率の線形増加を利用して、OBOを発生させている。この従来例では、導波路に入射する入射光に関しては、入射角度や、入射光の波面の位相についてはなんら記載されていない。
【0010】
非特許文献2では、ポリマーで作製したストライプ型構造の導波路による導波路アレイにおいて、導波路が延びる方向と垂直方向に温度勾配を形成することで、OBOを用いた平面導波路素子を作製している。
【0011】
図14は非特許文献2における平面導波路素子の平面図である。図14に示す平面導波路素子は、無機有機コポリマーで作製されたコア301、無機有機コポリマーで作製されたクラッド302、クーラー303、ヒーター304を含む。この平面導波路素子に入射光305を入射すると、伝搬光306のように伝搬し、出射光307として出射される。
【0012】
図15は、図14に示す点線部分XV−XVにおける断面図である。平面導波路素子は、酸化シリコン基板308を有している。この従来例は、コア301を等間隔で並べることで導波路アレイを作製し、その導波路アレイの両端に設けたクーラー303とヒーター304により導波路アレイに温度勾配を形成している。
【0013】
この平面導波路素子では温度上昇によりポリマーの屈折率が減少する熱光学効果を利用している。具体的には、導波路アレイにおけるヒーター304からの距離に比例して、導波路の屈折率が線形に増加することを利用して、OBOを発生させている。
【0014】
波長によってOBOの振幅が違うため、入射光305が同じ位置であっても、伝搬光306のように波長ごとに違う伝搬を示す。そのため、この平面導波路素子においては、波長により違う導波路から出射光307が出射される。そのため、この導波路アレイからなる平面導波路素子は分波器として機能する。この従来例でも、導波路に入射する入射光に関しては、入射角度や、入射光の波面の位相についてはなんら記載されていない。
【非特許文献1】R.Morandotti, U.Peschel, J.S.Aitchison, H.S.Eisenberg, and Y.Silberberg, ”Experimental Observation of Linear and Nonlinear Optical Bloch Oscillations”, Physical Review Letters, vol.83, No.23, pp.4756-4759(1999).
【非特許文献2】T.Pertsch, P.Dannberg, W.Elflein, A.Brauer, and F.Lederer, “Optical Bloch Oscillations in Temperature Tuned Waveguide Arrays”, Physical Review Letters, vol.83, No.23, pp.4752-4755(1999).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、OBOを用いた従来の平面導波路素子では次のような課題があった。すなわち、従来のOBOを用いた平面導波路素子では分波した違う波長を持った光が重なるクロストークについて考えられてこなかった。また、分波特性を測定したところ、クロストークが起き、分波機能が十分でないという問題があった。
【0016】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、クロストークを低減した平面導波路素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは鋭意研究を行なうことで、平面導波路素子への入射モードが複数の導波路にわたって広がっている場合、出射光の位置は、入射時の隣接導波路間の光の位相差の影響を受けることを見出した。この位相差は、導波路へ光が入射する際に、導波路の延びる方向と入射光の入射方向とが平行からずれることにより生じる入射角に起因している。つまり、入射角により隣接導波路との間に光路長の差ができ、光路長の差が隣接導波路間での位相差として現れ、この入射時に生じる隣接導波路間の位相差によりOBOの出射位置を変えることを見出した。さらに、この隣接導波路間の位相差が波長ごとに違うことを利用して、分波された光の出射位置を大きく変え、OBOを用いた平面導波路素子による分波器のクロストークの低減ができることを見出した。
【0018】
この発明に基づいた平面導波路素子に従えば、導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子である。その導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射されている。
【0019】
また、平面導波路素子への入射光のうち最も波長の長い入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射されることが好ましい。
【0020】
隣接導波路間の位相差を設けるためには、平面導波路素子へ入射される光は、平面導波路素子を構成する導波路が延びる方向と平行な方向に対して傾斜するように入射されることが好ましい。
【0021】
また、平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に対して垂直に形成され、平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直な方向に対して傾斜するように入射させてもよい。
【0022】
平面導波路素子を構成する導波路と入射端面とを垂直とするには、導波路はへき開面に対して垂直もしくは、平行となるように形成され、入射端面をへき開面としてもよい。
【0023】
また、平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に垂直な方向に対して傾斜して形成され、平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直に入射させてもよい。
【0024】
平面導波路素子を構成する導波路と入射端面とを垂直からずらすためには、導波路はへき開面に垂直な方向または平行な方向に対して傾斜して形成され、入射端面をへき開面としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る平面導波路素子によると、入射時に波長ごとに異なる隣接導波路間の位相差が付与されることにより、OBOによる光の出射位置が波長により大きく変わり、分波時のクロストークを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。図1に示す平面導波路素子は、上部クラッド層101、導波路間の溝部102、入射端面103、出射端面104を含む。
【0028】
上部クラッド層101はストライプ状に形成されて導波路を構成している。導波路の幅は、導波路番号が大きくなるにしたがって広くなっている。導波路の幅の増加は、隣接導波路との実効屈折率の差が一定値で増加するように設定されている。
【0029】
また、導波路の中心間距離は、導波路番号が大きくなるにしたがって短くなり、隣接導波路との結合定数を一定とするように設定されている。なお、本実施の形態では導波路番号(1)の上部クラッド層1の幅は2.0μm、導波路番号(25)の上部クラッド層1の幅は、3.4μmである。
【0030】
一方、導波路番号(1)から(2)の間では、導波路の中心間距離は5.5μmであり、導波路番号24から25の間では導波路の中心間距離は5.1μmとなっている。この平面導波路素子の導波路が延びる方向の長さは3000μmであり、これはOBOの1周期の半分だけ振動する長さとしている。
【0031】
導波路の延びる方向に垂直方向の幅は130μmである。図1に示される平面導波路素子に入射した入射光105は、導波路アレイ内を伝搬光106で示されるように伝搬し、出射光107として出射する。
【0032】
図2は、図1に示す点線部分II−IIにおける断面図である。図2に示す平面導波路素子は、コア層108、下部クラッド層109、基板110を有している。上部クラッド層101および下部クラッド層109はAl0.3Ga0.7Asであり、コア層108はAl0.2Ga0.8Asであり、基板110はGaAs(ガリウムヒ素)である。
【0033】
基板110に対して、下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層101の順に積層されている。それぞれの層の厚さは、下部クラッド層109が4.0μm、コア層108が1.5μm、上部クラッド層101が1.5μmである。導波路間の溝部102の深さは1.5μmである。
【0034】
本実施の形態での入射光105は波長λ2が1.5μmであり、波長λ1は波長λ2の半分の長さである。入射光105は導波路番号(11)から(14)の4本の導波路にわたって広がって入射端面103から入射している。
【0035】
本実施の形態における平面導波路素子では、入射光105が入射する入射端面103に対して垂直に延びる導波路からなる導波路アレイ構造を用いている。入射光105を入射端面103に垂直から角度θだけ傾斜させて入射させることで、導波路が延びる方向と平行な方向から角度θだけ傾斜させて入射する。
【0036】
なお、入射端面103と導波路とを垂直にするために、へき開面に対して垂直もしくは平行となるように導波路を作製しており、へき開面を入射端面103として用いる。この構成では、入射角はθとなり、隣接導波路間の位相差をmとすると、次式(1)が導かれる。
【0037】
dSinθ=mλ/2πn (1)
ここでdは隣接導波路間の距離(5.3μm)、θは入射角、λは入射光の波長、nは空気の屈折率(n=1.0)、mは隣接導波路間の位相差である。式(1)によると、入射角θが同じでも、隣接導波路間の位相差mは波長λに反比例する。
【0038】
次に、図3から図8を参照して図1および図2に示す平面導波路素子の作製方法を説明する。
【0039】
まず、下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層101を基板110上に順に積層したウェハーを、図3に示すように、ウェハー端面111、112付近でへき開し、互いに直交するへき開面113、114を形成する。
【0040】
次に、図4に示すように、下部クラッド層109、コア層108および、上部クラッド層101が順番に積層された基板110の上部クラッド層101の上にレジスト115を塗布する。
【0041】
続いて、図5に示すように、通常のフォトリソグラフィーを用いて、導波路を形成するためのパターンをレジスト115に形成する。このとき、レジストパターンは図1に示される上部クラッド層101のパターンとなるようにストライプ状に形成する。ここでこのストライプはへき開面113に垂直かつ、へき開面114に平行となるように形成される。
【0042】
続いて、図6に示すように、上述のレジストパターンが形成されたレジスト115をエッチングマスクとして用いて、上部クラッド層101を通常のドライエッチングにより除去する。
【0043】
最後に残ったレジスト115を剥離液で除去することにより、図7に示される断面を有し、図8で示される平面構造を有する導波路アレイウェハーが完成する。
【0044】
このウェハーを、へき開面113と平行となるように、一定間間隔でへき開し、このへき開面を入射端面103とすることで、平面導波路素子が完成する。
【0045】
次に、作製した平面導波路素子によるOBOの動作原理を説明する。
平面導波路素子における導波路アレイの延びる方向の伝搬定数βと、導波路アレイの延びる方向と垂直方向の伝搬定数κの関係を図9に示す。図9に示すように、導波路アレイでは、κとβの関係は周期的な分散関係(バンド)をもち、その周期は2πである。図9には、従来例である入射角0°および、本実施の形態である入射角θで、導波路番号(11)〜(14)の4本の導波路へ入射した場合の、波数空間での入射光の入射位置の関係も示している。なお、この入射した光は導波路の実効屈折率の増加によって、κ軸に対して正の方向に進行する。
【0046】
このとき、図9のバンドの傾きにより、導波路アレイ内の伝搬は決まる。すなわち、バンドの傾きが正であれば、実効屈折率が増加する方向、つまり導波路の幅が広がる方向へと伝搬し、バンドの傾きが負であれば、実効屈折率が減少する方向、つまり導波路の幅が狭くなる方向へと伝搬する。バンドは周期的に繰り返されているため、バンドの傾きが周期的に正と負とが繰り返され、導波路アレイ内の伝搬光は、振動しながら伝搬する。
【0047】
入射角と伝搬光との関係は、図9に示すように、θ=0°の場合、隣接導波路間の位相差が0であり、入射時のκが0となるため、入射光の波数空間での位置116aはバンドの中央に位置し、導波路の幅が広がる方向へ伝搬する。
【0048】
θ≠0°の場合、隣接導波路間の位相差がmであり、入射時のκがmとなるため、入射光の波数空間での位置116bはバンドの中央からmずれた位置にあり、θ=0°の場合とは伝搬光の進行方向が変わる。例えば、隣接導波路間の位相差mがπの場合、光は導波路の幅が狭くなる方向へと伝搬する。
【0049】
また、隣接導波路間の位相差mが2πのときは、隣接導波路間の位相差が0の場合と同様に導波路の幅が広がる方向へ伝搬する。そして、隣接導波路間の位相差mがπから2πの間の場合は、隣接導波路間の位相差πと2πのときに伝搬する軌道の間で伝搬する。
【0050】
ただし、隣接導波路間の位相差mが−π/8以上、π/8以下の場合、隣接導波路間の位相差が0の場合と同様に導波路の幅が広がる方向へ伝搬し、隣接導波路間の位相差が0の場合と同じ出射位置となる。
【0051】
したがって、隣接導波路間の位相差による出射光の出射位置を変える効果を得るためには、隣接導波路間の位相差mは−π/8以下またはπ/8以上となるように光を入射することが必要である。隣接導波路間の位相差mを−π/8以下またはπ/8以上とするためには、本実施の形態においては、入射角θを−1.0°以下または1.0°以上とする必要がある。
【0052】
次に、本実施の形態におけるOBO平面導波路素子による光の分波について説明する。
本実施の形態では、波長λ1および波長λ2の光を平面導波路素子へ入射させた場合の分波について示すが、本発明による平面導波路素子では、波長λ1、λ2のみに限らず、2種類以上の波長の光も同様に分波することができる。
【0053】
従来例のように入射角や隣接導波路間の位相差を考慮せずに入射した場合、つまり入射角θ=0°のとき、波長λ1、λ2ともに隣接導波路間の位相差が0で同じである。そのため、波長λ1、λ2の入射光の波数空間での位置は、バンドの中央部であり、波長λ1、λ2ともに入射直後から同一方向へと進行する。
【0054】
その結果、これらの波長の出射光の位置の差は小さく、OBOの振幅に対して10%であり、出射光の一部が重なってしまい、クロストークが生じる。
【0055】
一方、本実施の形態では入射角θを0°からずらすことで隣接導波路間の位相差を設けている。このとき、式(1)から次式(2)の関係が導かれる。
【0056】
m1/m2=λ2/λ1 (2)
ここで、m1、m2はそれぞれ波長λ1、λ2における隣接導波路間の位相差である。
【0057】
式(2)より、波長λ1、λ2の比により、それぞれの波長での隣接導波路間の位相差の比が決まる。すなわち、波長λ1が小さいほど、隣接導波路間の位相差の比(m1/m2)が大きくなり、波長λ1とλ2との出射位置の差が大きくなる。
【0058】
最も長い波長λ2の隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)のとき、どの波長の伝搬光も最も長い波長λ2の伝搬光と交わることがなく、波長λ1とλ2との出射位置の差は波長λ2の隣接導波路間の位相差に対して最大となる。
【0059】
そのため、入射角θを調節して波長λ2の光に対する隣接導波路間の位相差m2をπとすると、伝搬光は図1に示すように波長λ2の光は導波路の幅が狭くなる方向へ進行する。一方、波長λ1は波長が小さくなるにしたがって、隣接導波路間の位相差の比(m1/m2)が大きくなり、波長λ1での隣接導波路間の位相差m1が大きくなる。
【0060】
この場合、波長λ1は伝搬途中まで、導波路の幅が狭くなる方向へ進行し、その後、導波路の幅が広くなる方向へと進行する。その結果、波長λ1とλ2の出射光の位置の差は、入射角が0°の場合と比べ大きくなるため、波長λ1とλ2の出射光の重なりが少なくなり、クロストークは低減する。
【0061】
本実施の形態のように、波長λ1が波長λ2の半分の波長の場合、入射角θ=8.1°で、波長λ1の隣接導波路間の位相差は2πとなる。このとき、図1に示すように波長λ1の伝搬光は導波路の幅が広くなる方向へ伝搬し、波長λ1とλ2の出射光の位置の差は、OBOの振幅に対して80%となる。その結果、波長λ1とλ2の出射光の重なりがなくなり、クロストークも低減している。
【0062】
この入射角θの調整は、たとえば次のように行なうことができる。平面導波路素子を回転する台座に取り付け、入射端面に光を入射する。回転する台座を入射角θに相当する角度だけ回転させることで入射角を調整する。
【0063】
本実施の形態における平面導波路素子は、へき開により形成された入射端面103と導波路とを垂直にし、導波路に入射角θで光を入射している。これにより、隣接導波路間に光路長差を生じ、入射時に波長ごとに異なる隣接導波路間の位相差となる。
【0064】
この隣接導波路間の位相差により波長ごとに伝搬光の伝搬方向が変わり、出射光の位置が波長により大きく変わることにより、クロストークが低減できた。最も波長の長い入射光の隣接導波路間の位相差を−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射角を調整すると、他の波長の入射光の波長が短くなればなるほど、最も波長の長い入射光とは違う方向へ入射直後から伝搬するため、出射位置の差が大きくなる。そのため、隣接導波路間の位相差を定めないときより分波器のクロストークが低減できる。
【0065】
なお、本実施の形態では、OBOを発生させる導波路の構造として、チャープ型導波路アレイを用いたが、OBOを発生させる構造であればこれに限定されない。たとえば均一な導波路幅と導波路間隔を有する導波路アレイに屈折率勾配を形成した構造であっても構わない。
【0066】
本実施の形態では、導波路の高さ、導波路の幅および、導波路間の中心間距離を例示して説明したが、OBOが起こるのであればこれに限られるものではない。
【0067】
さらに平面導波路素子は左右反転して、導波路番号の小さい側が大きい側よりも導波路の幅が広い構造としても構わない。
【0068】
本発明では、素子を作製するとき、2つのへき開面113、114を形成したが、へき開面は1つでも構わない。へき開面が1つのときは、導波路がへき開面に対して平行もしくは垂直のどちらか一方となるようにストライプの方向を設定すればよい。
【0069】
また、本実施の形態ではコア層やクラッド層の材料をAlGaAsとしたが、入射光に対して透明な材料であれば、ポリマー、Si、InGaAsP、SiO2を用いても構わない。また、クラッド層は空気でもよい。
【0070】
さらに、入射光の広がり幅は、導波路4本分に限るものではない。
本実施の形態では、入射光の波長や多重化される波長の数を例示して説明したが、これに限るものではない。
【0071】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2に係るAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。図10における平面導波路素子は、上部クラッド層201、導波路間の溝部202、入射端面203、出射端面204を含む。
【0072】
上部クラッド層201は実施の形態1と同様に導波路番号が大きくなるにしたがって広くなっている。また、導波路の中心間距離は、実施の形態1と同様に導波路番号が大きくなるにしたがって短くなっている。導波路の幅と導波路の中心間距離は実施の形態1と同じである。図11は、図10に示す点線部分XI−XIにおける断面図である。
【0073】
本実施の形態で用いたチャープ型導波路アレイは、上部クラッド201、導波路間の溝部202からなるストライプ型導波路が入射端面203に対して垂直な方向から角度θだけ傾斜している点および入射光205が入射端面203に対して垂直に入射している点が実施の形態1と異なる。
【0074】
入射端面に対して斜めに光を入射する実施の形態1とは違い、本実施の形態は、入射光を入射端面に対して垂直に入射するため、入射角に関する調整が不要であり、アライメントが容易となる。
【0075】
本実施の形態では、実施の形態1と同様にチャープ型導波路アレイによりOBOを引き起こしている。その導波路アレイが入射端面203に対して角度θで傾いており、入射光205を入射端面203に対して垂直に入射することで、実施の形態1での入射角θで光を入射した場合と同じ隣接導波路間の位相差が付与される。なお、実施の形態1と同様、入射端面203はへき開面を利用している。
【0076】
作製方法は、実施の形態1と同様に図12に示すように下部クラッド層109、コア層108、上部クラッド層201を基板110上に順に積層したウェハーを、ウェハー端面111、112付近でへき開し、互いに直交するへき開面208、209を形成する。
【0077】
その後、実施の形態1と同様にレジストを塗布する。その後、レジストパターンを形成する際に、実施の形態1とは異なり、へき開面に垂直な方向または平行な方向のいずれか一方から角度θだけ傾斜させて導波路パターンを形成する。
【0078】
その後、実施の形態1と同様にエッチング、レジスト膜の剥離をすることで、図13に示される平面図の構造を有し、実施の形態1の図7に示される断面図と同じ構造を有する、実施の形態2の導波路アレイウェハーが作製できる。この導波路アレイウェハーを一定間隔でへき開することで、実施の形態2の平面導波路素子を作製する。
【0079】
本実施の形態における平面導波路素子は、入射端面203と導波路アレイの延びる方向とを傾斜させ、入射端面203に対して垂直に光を入射している。そのため、本実施の形態では実施の形態1と同様に入射光205を、導波路アレイに対して、導波路が延びる方向に平行な方向から角度θだけ傾斜して入射させることができ、光路長に差が生じ、波長ごとに式(1)で表される隣接導波路間の位相差が生じる。この入射時の隣接導波路間の位相差により、実施の形態1と同様に波長ごとにOBOの方向を変えることができ、クロストークの低減ができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、OBOを引き起こす導波路の構造として、チャープ型導波路アレイを用いたが、OBOを引き起こす構造であれば本実施の形態に限らず、たとえば均一な導波路幅と導波路間隔を有する導波路アレイに屈折率勾配を形成した構造であっても構わない。
【0081】
さらに平面導波路素子は左右反転して、導波路番号の小さい側が大きい側よりも導波路の幅が広い構造としてもかまわない。
【0082】
本発明では、素子を作製するとき、2つのへき開面208、209を形成したが、へき開面は1つでも構わない。へき開面が1つのときは、導波路がへき開面に対して平行もしくは垂直のどちらか一方から角度θ傾けるようにストライプの方向を設定すればよい。
【0083】
また、本実施の形態ではコア層やクラッド層の材料をAlGaAsとしたが、入射光に対して透明な材料であれば、ポリマー、Si、InGaAsP、SiO2を用いても構わない。また、クラッド層は空気でもよい。
【0084】
さらに、本実施の形態では、入射端面と導波路との角度θを例示して説明したが、入射光の波長ごとに違った隣接導波路間の位相差が生じる角度であれば、これに限るものではない。
【0085】
さらに、入射光の広がり幅は、導波路4本分に限るものではない。
本実施の形態では、入射光の波長や多重化された波長の数を例示して説明したが、これに限るものではない。
【0086】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図5】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図6】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図7】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す断面工程である。
【図8】この発明に基づいた実施の形態1におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図9】導波路の延びる方向と垂直方向の伝搬定数κと導波路の延びる方向の伝搬定数βの関係を説明するためのグラフである。
【図10】この発明に基づいた実施の形態2におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の平面図である。
【図11】この発明に基づいた実施の形態2におけるAlGaAsを用いたチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の断面図である。
【図12】この発明に基づいた実施の形態2におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図13】この発明に基づいた実施の形態2におけるチャープ型導波路アレイからなる平面導波路素子の作製工程を示す導波路アレイウェハーの平面図である。
【図14】従来の技術におけるポリマーを用いた導波路アレイの平面図である。
【図15】従来の技術におけるポリマーを用いた導波路アレイの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
101,201 上部クラッド層、102,202 導波路間の溝部、103,203 入射端面、104,204 出射端面、105,205 入射光、106,206 伝搬光、107,207 出射光、108 コア層、109 下部クラッド層、110 基板、111,112 ウェハー端面、113,114,208,209 へき開面、115 レジスト、116a,116b 入射光の波数空間での位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子であって、
導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射される、平面導波路素子。
【請求項2】
前記平面導波路素子への入射光のうち最も波長の長い入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射される、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項3】
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子を構成する導波路が延びる方向と平行な方向に対して傾斜するように入射される、請求項1または2に記載の平面導波路素子。
【請求項4】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に対して垂直に形成され、
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直な方向に対して傾斜するように入射される、請求項3に記載の平面導波路素子。
【請求項5】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、へき開面に対して垂直または平行となるように形成され、入射端面がへき開面である、請求項4に記載の平面導波路素子。
【請求項6】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に垂直な方向に対して傾斜して形成され、
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直に入射される、請求項3に記載の平面導波路素子。
【請求項7】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、へき開面に垂直な方向または平行な方向に対して傾斜して形成され、入射端面がへき開面である、請求項6に記載の平面導波路素子。
【請求項1】
導波路の実効屈折率が順に増加する導波路アレイからなる平面導波路素子であって、
導波路アレイ中の複数の導波路に入射する入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8以下またはπ/8以上となるように入射される、平面導波路素子。
【請求項2】
前記平面導波路素子への入射光のうち最も波長の長い入射光は、隣接導波路間の位相差が−π/8+(2s+1)π以上、π/8+(2s+1)π以下(sは整数)となるように入射される、請求項1に記載の平面導波路素子。
【請求項3】
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子を構成する導波路が延びる方向と平行な方向に対して傾斜するように入射される、請求項1または2に記載の平面導波路素子。
【請求項4】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に対して垂直に形成され、
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直な方向に対して傾斜するように入射される、請求項3に記載の平面導波路素子。
【請求項5】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、へき開面に対して垂直または平行となるように形成され、入射端面がへき開面である、請求項4に記載の平面導波路素子。
【請求項6】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、入射端面に垂直な方向に対して傾斜して形成され、
前記平面導波路素子への入射光は、平面導波路素子の入射端面に垂直に入射される、請求項3に記載の平面導波路素子。
【請求項7】
前記平面導波路素子を構成する導波路は、へき開面に垂直な方向または平行な方向に対して傾斜して形成され、入射端面がへき開面である、請求項6に記載の平面導波路素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−20415(P2009−20415A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184311(P2007−184311)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]