説明

平面検出器および媒体検出装置

【課題】平面検出器において、外部からのノイズを遮蔽してノイズによる誤検知を防止すること。
【解決手段】本発明は、交番磁界を発生する第1の導体配線P1と、非磁性体非金属から成り、第1の導体配線P1を一方面で保持する第1の保持体11と、非磁性体金属から成り、第1の保持体11の少なくとも他方面に設けられる第1の積層体12と、第1の導体配線P1から発生した交番磁界を受けて検出対象となる磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線P2と、非磁性体非金属から成り、第2の導体配線P2を一方面で保持する第2の保持体21と、非磁性体金属から成り、第2の保持体21の少なくとも他方面に設けられる第2の積層体22とを有する平面検出器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面検出器および媒体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、フレキシブル基板に担持された線状の導体パターンを所定の輪郭形状で同芯状に引き回してなるアンテナの構成が開示されている。また、特許文献2では、被検知物を励磁させるために所定領域範囲に交番磁界を発生させる送信コイル部と、被検知物からの磁気信号を検知する受信コイルとが、積層されてなる平面フレキシブルアンテナが開示されている。また、特許文献3では、第1の方向に複数本の導体パターンが基板上に所定距離にわたって平行に平成された第1のブロックパターンと、第1の方向と直交する方向に複数本の導体パターンが基板上に所定距離にわたって平行に形成された第2のブロックパターンとを具備する平面アンテナが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−88812号公報
【特許文献2】特開2007−74334号公報
【特許文献3】特開2008−85779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁性体を交番磁界によって磁化反転させ、これによって生じる信号を検出する平面検出器では、外部からのノイズを誤検出するという問題がある。
【0005】
本発明は、外部からのノイズを平面検出器が誤検出することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る発明は、交番磁界を発生する第1の導体配線と、非磁性体非金属から成り、前記第1の導体配線を一方面で保持する第1の保持体と、非磁性体金属から成り、前記第1の保持体の少なくとも他方面に設けられる第1の積層体と、前記第1の導体配線から発生した交番磁界を受けて検出対象となる磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線と、非磁性体非金属から成り、前記第2の導体配線を一方面で保持する第2の保持体と、非磁性体金属から成り、前記第2の保持体の少なくとも他方面に設けられる第2の積層体とを有する平面検出器である。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、前記第1の保持体および前記第2の保持体の厚さが、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さである請求項1記載の平面検出器である。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、前記第1の積層体および前記第2の積層体の厚さが、10μm以上、1mm以下である請求項1または2記載の平面検出器である。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、前記第1の積層体および前記第2の積層体が、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の露出面以外を覆う状態に形成されている請求項1から3のうちいずれか1項に記載の平面検出器である。
【0010】
本願請求項5に係る発明は、前記第1の積層体および前記第2の積層体が、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の表面の延長上に延設されている請求項4記載の平面検出器である。
【0011】
本願請求項6に係る発明は、前記第1の保持体および前記第2の保持体が、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の裏面から側面まで覆う状態に形成されている請求項1から3のうちいずれか1項に記載の平面検出器である。
【0012】
本願請求項7に係る発明は、前記第1の積層体および前記第2の積層体が、前記第1の保持体および前記第2の保持体の前記他方面から側面まで覆う状態に形成されている請求項6記載の平面検出器である。
【0013】
本願請求項8に係る発明は、前記第1の積層体および前記第2の積層体が、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の表面の延長上に延設されている請求項7記載の平面検出器である。
【0014】
本願請求項9に係る発明は、前記第1の導体配線と前記第2の導体配線とが予め定められた間隔で対向配置されている請求項1から7のうちいずれか1項に記載の平面検出器である。
【0015】
本願請求項10に係る発明は、磁性体が付与された媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された媒体に付与されている磁性体を磁化反転させる交番磁界を発生させ、当該交番磁界を受けて磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する平面検出器と、前記平面検出器による前記信号の検出結果に応じて、前記平面検出器を通過した前記媒体の搬送経路を切り替えて前記記録媒体を仕分ける仕分け手段とを備える媒体検出装置である。この媒体検出装置において、平面アンテナが、前記交番磁界を発生する第1の導体配線と、非磁性体非金属から成り、前記第1の導体配線を一方面で保持する第1の保持体と、非磁性体金属から成り、前記第1の保持体の少なくとも他方面に設けられる第1の積層体と、前記第1の導体配線から発生した交番磁界を受けて前記媒体の磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線と、非磁性体非金属から成り、前記第2の導体配線を一方面で保持する第2の保持体と、非磁性体金属から成り、前記第2の保持体の少なくとも他方面に設けられる第2の積層体とを有する媒体検出装置である。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1に係る発明では、請求項1に記載の構成を有しない場合に比較して、外部からのノイズを誤検出することを抑えることが可能となる。
【0017】
本願請求項2に係る発明では、請求項2に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の積層体および第2の積層体に渦電流が発生することを抑えることが可能となる。
【0018】
本願請求項3に係る発明では、請求項3に記載の構成を有しない場合に比較して、外部からのノイズを第1の積層体および第2の積層体でより効果的に遮蔽することが可能となる。
【0019】
本願請求項4に係る発明では、請求項4に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の導体配線および第2の導体配線の周囲から回り込むノイズを遮蔽することが可能となる。
【0020】
本願請求項5に係る発明では、請求項5に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の導体配線および第2の導体配線の表面の延長上から入り込むノイズをより効果的に遮蔽することが可能となる。
【0021】
本願請求項6に係る発明では、請求項6に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の導体配線および第2の導体配線の周囲から回り込むノイズをより効果的に遮蔽することが可能となる。
【0022】
本願請求項7に係る発明では、請求項7に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の導体配線および第2の導体配線の周囲から回り込むノイズをより効果的に遮蔽することが可能となる。
【0023】
本願請求項8に係る発明では、請求項8に記載の構成を有しない場合に比較して、第1の導体配線および第2の導体配線の表面の延長上から入り込むノイズをより効果的に遮蔽することが可能となる。
【0024】
本願請求項9に係る発明では、第2の導体配線の面内での磁性体の磁化反転による信号の検出精度のムラを抑えることが可能となる。
【0025】
本願請求項10に係る発明では、請求項10に記載の構成を有しない場合に比較して、搬送手段や仕分け手段から一定以上のノイズが発生する場合であっても、仕分けの精度を保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.平面検出器の構成(第1〜第6実施形態、その他の実施形態)
2.媒体検出装置(装置構成、媒体検出の動作、適用例)
【0027】
<1.平面検出器の構成>
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。この平面検出器1は、交番磁界を発生する第1の導体配線P1と、第1の導体配線を一方面で保持する第1の保持体11と、第1の保持体11の他方面に設けられる第1の積層体12と、第1の導体配線P1から発生した交番磁界を受けて検出対象となる磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線P2と、第2の導体配線P2を一方面で保持する第2の保持体21と、第2の保持体21の他方面に設けられる第2の積層体22とを有する。
【0028】
第1の導体配線P1は、平面検出器の送信アンテナとして用いられるもので、配線構造は、例えば特許文献3に開示されるブロックパターン(導体)が絶縁体に形成されたものである。この第1の導体配線P1に電流が流れることで略一様な交番磁界が発生する。第1の導体配線P1の近傍を検出対象となる磁性体が通過すると、第1の導体配線P1から発生された交番磁界によって磁性体が磁化反転することになる。
【0029】
第1の保持体11は、第1の導体配線P1を一方面に取り付けて保持する基材である。第1の保持体11の一方面は第1の導体配線P1の表面形状を規定する役目も果たしている。例えば、第1の導体配線P1が平面であれば、それに合わせて第1の保持体11の一方面も平面となっている。また、第1の導体配線P1が湾曲面であれば、それに合わせて第1の保持体11の一方面も湾曲面となっている。第1の保持体11は、非磁性体の非金属から成り、金属を用いる場合にくらべ、渦電流の発生が抑えられている。例えば、樹脂、ガラス、木材が用いられる。
【0030】
第1の保持体11の厚さd1は、第1の導体配線P1によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さとなっている。このような厚さd1に設定することで、後述する第1の積層体に流れる渦電流を抑制している。なお、厚さd1の上限としては、実用上、交番磁界の磁界強度が0.05ガウス程度である。
【0031】
第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。第1の積層体12は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第1の積層体12により、外部からのノイズを遮蔽する。
【0032】
第1の積層体12の厚さd2は、10μm以上、1mm以下となっている。厚さd2が10μm以上であれば、外部からのノイズを遮蔽して、第1の導体配線P1の発生する交番磁界への影響が抑えられる。第1の積層体12の厚さd2の上限は、実用上、1mm以下が望ましい。
【0033】
第2の導体配線P2は、平面検出器1の受信アンテナとして用いられるもので、配線構造は、例えば特許文献3に開示されるブロックパターン(導体)が絶縁体に形成されたものである。第2の導体配線P2は、第1の導体配線P1から発生した交番磁界を受けて検出対象となる磁性体が磁化反転することにより生じる信号(大バルクハウゼン信号)を電流値として検出する。
【0034】
第2の保持体21は、第2の導体配線P2を一方面に取り付けて保持する基材である。第2の保持体21の一方面は第2の導体配線P2の表面形状を規定する役目も果たしている。例えば、第2の導体配線P2が平面であれば、それに合わせて第2の保持体21の一方面も平面となっている。また、第2の導体配線P2が湾曲面であれば、それに合わせて第2の保持体21の一方面も湾曲面となっている。第2の保持体21は、非磁性体の非金属から成る。例えば、樹脂、ガラス、木材が用いられる。
【0035】
第2の保持体21の厚さd1は、第2の導体配線P2によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さとなっている。このような厚さd1に設定することで、後述する第2の積層体22に流れる渦電流を抑制している。なお、厚さd1の上限としては、実用上、交番磁界の磁界強度が0.05ガウス程度である。
【0036】
第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、外部からのノイズを遮蔽する。
【0037】
第2の積層体22の厚さd2は、10μm以上、1mm以下となっている。厚さd2が10μm以上であれば、外部からのノイズを遮蔽して、第2の導体配線P2で検出する信号への影響が抑えられる。第2の積層体22の厚さd2の上限は、実用上、1mm以下が望ましい。
【0038】
本実施形態の平面検出器では、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2とが所定の間隔で対向配置されている。また、本実施形態の平面検出器では、第1の保持体11および第2の保持体21の一方面の表面形状を合わせることで、対向配置される第1の導体配線P1と第2の導体配線P2との間隔が一定となっている。
【0039】
この平面検出器では、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2との間に用紙等の媒体を通過させる。この媒体に検出対象となる磁性体が付与されていると、第1の導体配線P1から発生した交番磁界によって磁性体の磁極が反転する(磁化反転)。第2の導体配線P2は、この磁性体の磁化反転によって生ずる信号を検出する。したがって、第2の導体配線P2によりこの信号を検出すれば、磁性体が付与された媒体である判別する。一方、第2の導体配線P2によりこの信号を検出しなければ、磁性体が付与された媒体ではないと判別することになる。
【0040】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。第2実施形態に係る平面検出器1は、第1実施形態に係る平面検出器1と比べ、第1の積層体12および第2の積層体22の構成が異なっている。その他、第1の導体配線P1、第1の保持体11、第2の導体配線P2、第2の保持体21については第1実施形態と同じであるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0041】
第2実施形態に係る平面検出器1の第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11および第1の導体配線P1の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。これにより、第1の積層体12は、第1の導体配線P1の露出面以外を覆う状態に形成されることになる。
【0042】
第1の積層体12は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第1の積層体12により、第1の導体配線P1の側面側から回り込むノイズを遮蔽する。
【0043】
第2実施形態に係る平面検出器1の第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。また、第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられる部分のほか、第2の保持体21および第2の導体配線P2の側面に取り付けられる部分22aも設けられている。これにより、第2の積層体12は、第2の導体配線P2の露出面以外を覆う状態に形成されることになる。
【0044】
第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、第2の導体配線P2の側面側から回り込むノイズを遮蔽する。
【0045】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。第3実施形態に係る平面検出器1は、第2実施形態に係る平面検出器1と比べ、第1の積層体12および第2の積層体22の構成が異なっている。その他、第1の導体配線P1、第1の保持体11、第2の導体配線P2、第2の保持体21については第2実施形態と同じであるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0046】
第3実施形態に係る平面検出器1の第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11および第1の導体配線P1の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。さらに、第1の積層体12は、側面に取り付けられる部分12aから第1の導体配線P1の表面の延長上に延設される部分12bも設けられている。
【0047】
第1の積層体12は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第1の積層体12により、第1の導体配線P1の側面側や第1の導体配線P1の表面の延長上方向から回り込むノイズを遮蔽する。つまり、検出対象となる磁性体が付与された媒体の搬送経路の上手側、下手側の両方向からのノイズを遮蔽する。
【0048】
第3実施形態に係る平面検出器1の第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。また、第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられる部分のほか、第2の保持体21および第2の導体配線P2の側面に取り付けられる部分22aも設けられている。さらに、第2の積層体22は、側面に取り付けられる部分22aから第2の導体配線P2の表面の延長上に延設される部分22bも設けられている。
【0049】
第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、第2の導体配線P2の側面側や第2の導体配線P2の表面の延長上方向から回り込むノイズを遮蔽する。つまり、検出対象となる磁性体が付与された媒体の搬送経路の上手側、下手側の両方向からのノイズを遮蔽する。
【0050】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。第4実施形態に係る平面検出器1は、第1実施形態に係る平面検出器1と比べ、第1の保持体11および第2の保持体21の構成が異なっている。その他、第1の導体配線P1、第1の積層体12、第2の導体配線P2、第2の積層体22については第1実施形態と同じであるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0051】
第4実施形態に係る平面検出器1の第1の保持体11は、第1の導体配線P1の裏面から側面まで覆う状態に形成されている。第1の保持体11は、非磁性体の非金属から成り、金属を用いる場合に比べて渦電流の発生が抑えられている。例えば、樹脂、ガラス、木材が用いられる。
【0052】
第1の保持体11の厚さ(第1の導体配線P1の裏面側の厚さ)d1は、第1の導体配線P1によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さとなっている。このような厚さd1に設定することで、第1の積層体12に流れる渦電流を抑制している。なお、厚さd1の上限としては、実用上、交番磁界の磁界強度が0.05ガウス程度である。
【0053】
第1の積層体12の厚さd2は、10μm以上、1mm以下となっている。厚さd2が10μm以上であれば、外部からのノイズを遮蔽して、第1の導体配線P1の発生する交番磁界による影響を抑えられる。第1の積層体12の厚さd2の上限は、実用上、1mm以下が望ましい。
【0054】
第4実施形態に係る平面検出器1の第2の保持体21は、第2の導体配線P2の裏面から側面まで覆う状態に形成されている。第2の保持体21は、非磁性体の非金属から成り、金属を用いる場合に比べて渦電流の発生が抑えられている。例えば、樹脂、ガラス、木材が用いられる。
【0055】
第2の保持体21の厚さ(第2の導体配線P2の裏面側の厚さ)d1は、第2の導体配線P2によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さとなっている。このような厚さd1に設定すると、第2の積層体22に流れる渦電流を抑制している。なお、厚さd1の上限としては、実用上、交番磁界の磁界強度が0.05ガウス程度である。
【0056】
第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、外部からのノイズを遮蔽する。
【0057】
[第5実施形態]
図5は、第5実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。第5実施形態に係る平面検出器1は、第4実施形態に係る平面検出器1と比べ、第1の積層体12および第2の積層体22の構成が異なっている。その他、第1の導体配線P1、第1の保持体11、第2の導体配線P2、第2の保持体21については第4実施形態と同じであるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0058】
第5実施形態に係る平面検出器1の第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。
【0059】
第1の積層体12は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第1の積層体12により、第1の導体配線P1の側面側から回り込むノイズを遮蔽する。
【0060】
第5実施形態に係る平面検出器1の第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。また、第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられる部分のほか、第2の保持体21の側面に取り付けられる部分22aも設けられている。
【0061】
第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、第2の導体配線P2の側面側から回り込むノイズを遮蔽する。
【0062】
[第6実施形態]
図6は、第6実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。第6実施形態に係る平面検出器1は、第5実施形態に係る平面検出器1と比べ、第1の積層体12および第2の積層体22の構成が異なっている。その他、第1の導体配線P1、第1の保持体11、第2の導体配線P2、第2の保持体21については第5実施形態と同じであるため、以下では相違点を中心に説明する。
【0063】
第6実施形態に係る平面検出器1の第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。さらに、第1の積層体12は、側面に取り付けられる部分12aから第1の導体配線P1の表面の延長上に延設される部分12bも設けられている。
【0064】
第1の積層体12は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第1の積層体12により、第1の導体配線P1の側面側や第1の導体配線P1の表面の延長上方向から回り込むノイズを遮蔽する。つまり、検出対象となる磁性体が付与された媒体の搬送経路の上手側、下手側の両方向からのノイズを遮蔽する。
【0065】
第6実施形態に係る平面検出器1の第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられている。また、第2の積層体22は、第2の保持体21の他方面に取り付けられる部分のほか、第2の保持体21の側面に取り付けられる部分22aも設けられている。さらに、第2の積層体22は、側面に取り付けられる部分22aから第2の導体配線P2の表面の延長上に延設される部分22bも設けられている。
【0066】
第2の積層体22は、非磁性体金属から成る。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタン、亜鉛が用いられる。この第2の積層体22により、第2の導体配線P2の側面側や第2の導体配線P2の表面の延長上方向から回り込むノイズを遮蔽する。つまり、検出対象となる磁性体が付与された媒体の搬送経路の上手側、下手側の両方向からのノイズを遮蔽する。
【0067】
[他の実施形態]
図7、図8は他の実施形態を説明する模式断面図である。これら他の実施形態は、第1の保持体11の一方面に、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2との両方が設けられている例である。このような構成は、図1〜図6に示す第1〜第6実施形態の全てで適用可能であるが、ここでは第3実施形態の構成に適用した例を図7に、第6実施形態の構成に適用した例を図8に示す。
【0068】
図7に示す平面検出器1では、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2とが同じ絶縁体に電気的に分離した状態で形成され、これが第1の保持体11の一方面に取り付けられている。
【0069】
また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11および第1の導体配線P1の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。さらに、第1の積層体12は、側面に取り付けられる部分12aから第1の導体配線P1の表面の延長上に延設される部分12bも設けられている。
【0070】
図8に示す平面検出器1では、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2とが同じ絶縁体に電気的に分離した状態で形成され、これが第1の保持体11の一方面に取り付けられている。また、第1の保持体11が、第1の導体配線P1および第2の導体配線P2の側面まで覆う状態に形成されている。
【0071】
また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられている。また、第1の積層体12は、第1の保持体11の他方面に取り付けられる部分のほか、第1の保持体11の側面に取り付けられる部分12aも設けられている。さらに、第1の積層体12は、側面に取り付けられる部分12aから第1の導体配線P1の表面の延長上に延設される部分12bも設けられている。
【0072】
これらの平面検出器1では、第1の導体配線P1と第2の導体配線P2とが設けられる露出面の近傍に用紙等の媒体を通過させる。この媒体に検出対象となる磁性体が付与されていると、第1の導体配線P1から発生した交番磁界によって磁性体の磁極が反転する(磁化反転)。第2の導体配線P2は、この磁性体の磁化反転によって生ずる信号を検出する。したがって、第2の導体配線P2によりこの信号を検出すれば、磁性体が付与された媒体である判別する。一方、第2の導体配線P2によりこの信号を検出しなければ、磁性体が付与された媒体ではないと判別することになる。
【0073】
<2.媒体検出装置>
[装置構成]
図9は、本実施形態に係る媒体検出装置を説明する構成図である。媒体検出装置100は、搬送部110、検知部120、仕分け部130を備える。媒体検出装置100は、搬送部110から送り出される用紙等の媒体を仕分けする。具体的には、媒体に磁性体が付与されているものと、付与されていないものとを仕分けする。また、媒体検出装置100は、媒体に付与されている磁性体の配列に応じた固有の情報を検出して仕分ける機能を有する場合もある。媒体は、主として用紙であるが、他のものであってもよい。ここで、磁性体が付与された媒体をPa、磁性体が付与されていない媒体をPbとして説明する。
【0074】
搬送部110は、搬送制御部1101、媒体Pa、Pbを収納する収納部1102を備えている。搬送制御部1101は、所定のタイミングで搬送ロールに指示に与え、収納部1102に収納された媒体Pa、Pbを1枚ずつ検知部120の方向へ送り出していく。
【0075】
検知部120は、本実施形態に係る平面検出器1と、検知制御部1201、送信部1202、受信部1203、判別部1204を備えている。本実施形態に係る平面検出器1は、上記説明したいずれの実施形態に係るものでもよい。ここでは、例として第1実施形態に係る平面検出器1を用いるものとする。
【0076】
検知制御部1201は、送信部1202、受信部1203および検知部1204を制御する。送信部1202は、平面検出器1の第1の導体配線P1に電流を流して交番磁界を発生させる励磁回路を備えている。受信部1203は、平面検出器1の第2の導体配線P2で検出した信号を取り込む制御を行う。判別部1204は、受信部1203で取り込んだ信号に基づき媒体Pa、Pbの判別処理を行う。
【0077】
仕分け部130は、仕分け制御部1301、パドル駆動部1302、仕分け収納部1303を備えている。仕分け制御部1301は、検知部120の判別部1204で判別した結果を受けて、パドル駆動部1302に指示を与える。
【0078】
パドル駆動部1302は、仕分け制御部1301から送られる指示に応じてパドル131を駆動し、向きの切り替えを行う。仕分け収納部1303には、少なくとも2つの仕分け領域A、Bが設けられている。仕分け部130では、パドル131の向きによって媒体Paを仕分け領域Aに、媒体Pbを仕分け領域Bに仕分けする。
【0079】
[媒体検出の動作]
先ず、搬送部110の搬送制御部1101から収納部1102に指示を与え、収納部1102の搬送ロールを駆動し、収納部1102に収納されている媒体Pa、Pbを1枚ずつ検知部120に送り出していく。
【0080】
検知部120では、送信部1202から第1の導体配線P1に電流を与え交番磁界を発生させる。搬送部110の収納部1102から送り出された媒体Pa、Pbは検知部120の平面検出器1の近傍を通過する。この際、平面検出器1の第1の導体配線P1から発生された交番磁界によって、媒体Paに付与された磁性体は磁化反転し、この磁化反転によって信号を発生することになる。一方、磁性体が付与されていない媒体Pbでは、この信号は発生しない。
【0081】
媒体Pa、Pbが平面検出器1の近傍を通過する間、平面検出器1の第2の導体配線P2は、磁性体の磁化反転によって発生する信号の検出を行う。受信部1203で取り込んだ信号は判別部1204に送られ、ここで磁性体の磁化反転によって発生した信号の有無を判別する。判別部1204は、この信号の有無の判別結果を検知制御部1201に送る。
【0082】
検知制御部1201は、判別部1204から送られた判別結果を仕分け制御部1301に送る。ここで、検知制御部1201は、媒体Pa、Pbの先端が検知部120を通過して仕分け部130のパドル131の位置に達する前までに判別結果を仕分け制御部1301に送る。
【0083】
仕分け制御部1301は、検知制御部1201から送られた判別結果に応じてパドル駆動部1302に指示を与える。すなわち、判別結果が信号ありの場合、磁性体の付与された媒体Paであるとして、この媒体Paが仕分け領域Aに送るようパドル131の向きを切り替える指示を送る。一方、判別結果が信号なしの場合、磁性体の付与されていない媒体Pbであるとして、この媒体Pbが仕分け領域Bに送るようパドル131の向きを切り替える指示を送る。
【0084】
パドル駆動部1302は、仕分け制御部1301の指示に応じてパドル131の向きを切り替える。この切り替えは媒体Pa、Pbの先端がパドル131に達する前に完了し、これによって磁性体が付与された媒体Paは仕分け領域Aに、磁性体が付与された媒体Pbは仕分け領域Bに送られることになる。
【0085】
本実施形態に係る媒体検出装置100では、記録媒体Pa、Pbを搬送部110から検知部120へ送り出す搬送ローラ1103、および記録媒体Pa、Pbを検知部120から仕分け部139へ引き入れる搬送ローラ1304を、図示しないステッピングモータにより駆動している。平面検出器1が第1実施形態で説明したような、非磁性体の金属からなる第1の保持体11および第2の保持体21と、非磁性金属からなる第1の積層体12および第2の積層体22とを有していない場合、第2の導体配線P2がステッピングモータのオン/オフの切り替え時のノイズを検出する信号の強度の方が、媒体Paの磁化反転を検出する信号の強度よりも大きくなってしまう。本実施形態では、第1実施形態で示した平面検出器1を用いることで、ステッピングモータのオン/オフの切り替え時に発生するノイズを遮蔽し、第2の導体配線P2で検出する信号への影響を抑えている。
【0086】
[適用例]
本実施形態に係る媒体検出装置100は、媒体Pa、Pbの仕分けのみを行う単独の装置のほか、複写機、複合機、プリンタ等の画像処理装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図2】第2実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図3】第3実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図4】第4実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図5】第5実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図6】第6実施形態に係る平面検出器の構成を説明する模式断面図である。
【図7】他の実施形態(その1)を説明する模式断面図である。
【図8】他の実施形態(その2)を説明する模式断面図である。
【図9】本実施形態に係る媒体検出装置を説明する構成図である。
【符号の説明】
【0088】
1…平面検出器、P1…第1の導体配線、11…第1の保持体、12…第1の積層体、P2…第2の導体配線、21…第2の保持体、22…第2の積層体、100…媒体検出装置、110…搬送部、120…検知部、130…仕分け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番磁界を発生する第1の導体配線と、
非磁性体非金属から成り、前記第1の導体配線を一方面で保持する第1の保持体と、
非磁性体金属から成り、前記第1の保持体の少なくとも他方面に設けられる第1の積層体と、
前記第1の導体配線から発生した交番磁界を受けて検出対象となる磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線と、
非磁性体非金属から成り、前記第2の導体配線を一方面で保持する第2の保持体と、
非磁性体金属から成り、前記第2の保持体の少なくとも他方面に設けられる第2の積層体と
を有する平面検出器。
【請求項2】
前記第1の保持体および前記第2の保持体の厚さは、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線によって発生する交番磁界の磁界強度が1ガウス以下となる距離以上の厚さである
請求項1記載の平面検出器。
【請求項3】
前記第1の積層体および前記第2の積層体の厚さは、10μm以上、1mm以下である
請求項1または2記載の平面検出器。
【請求項4】
前記第1の積層体および前記第2の積層体は、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の露出面以外を覆う状態に形成されている
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の平面検出器。
【請求項5】
前記第1の積層体および前記第2の積層体は、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の表面の延長上に延設されている
請求項4記載の平面検出器。
【請求項6】
前記第1の保持体および前記第2の保持体は、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の裏面から側面まで覆う状態に形成されている
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の平面検出器。
【請求項7】
前記第1の積層体および前記第2の積層体は、前記第1の保持体および前記第2の保持体の前記他方面から側面まで覆う状態に形成されている
請求項6記載の平面検出器。
【請求項8】
前記第1の積層体および前記第2の積層体は、前記第1の導体配線および前記第2の導体配線の表面の延長上に延設されている
請求項7記載の平面検出器。
【請求項9】
前記第1の導体配線と前記第2の導体配線とが予め定められた間隔で対向配置されている
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の平面検出器。
【請求項10】
磁性体が付与された媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された媒体に付与されている磁性体を磁化反転させる交番磁界を発生させ、当該交番磁界を受けて磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する平面検出器と、
前記平面検出器による前記信号の検出結果に応じて、前記平面検出器を通過した前記媒体の搬送経路を切り替えて前記記録媒体を仕分ける仕分け手段とを備え、
前記平面検出器が、
前記交番磁界を発生する第1の導体配線と、
非磁性体非金属から成り、前記第1の導体配線を一方面で保持する第1の保持体と、
非磁性体金属から成り、前記第1の保持体の少なくとも他方面に設けられる第1の積層体と、
前記第1の導体配線から発生した交番磁界を受けて前記媒体の磁性体が磁化反転することにより生じる信号を検出する第2の導体配線と、
非磁性体非金属から成り、前記第2の導体配線を一方面で保持する第2の保持体と、
非磁性体金属から成り、前記第2の保持体の少なくとも他方面に設けられる第2の積層体とを有する
媒体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−118820(P2010−118820A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289642(P2008−289642)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】