説明

平面表示装置のシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法、および検査装置

【課題】平面表示装置の開発、設計、および製造を効率良く安価に行うことを可能とするシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法および検査装置を提供することにある。
【解決手段】液晶表示装置の設計に基づく種々のパラメータに応じて擬似的な点欠陥を想定し、かつ、この点欠陥をリペア回路によって修正した際の擬似的な修正画素部を、他の正常画素部に対し階調差を持たせて表示することにより、点状欠陥を修正した後の液晶表示装置の表示状態をシミュレーションする。製品検査においては、実際に製造され点状欠陥が修正された液晶表示装置を駆動し、液晶表示装置の画面に実際の修正画素部と、シミュレーションによる擬似的な修正画素部とを同時に表示し、比較検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面表示装置の表示状態をシミュレーションするシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法、および検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】平面表示装置として、例えば、液晶表示装置は、薄型、軽量であり、消費電力が少ないなどの特徴から、ノート型パソコンやワープロ、小型TV、更には、デスクトップパソコンのモニタ装置として種々の分野で広く用いられている。そして、現在では、更なる大画面化、高精細化、薄型化を目指して開発が進められている。
【0003】液晶表示装置は、走査線、信号線等の電極や薄膜トランジスタ等の素子によって構成されており、薄膜の成膜工程、フォトレジストマスクを形成するPEP工程、薄膜の不要部分を除去するエッチングエ程などを繰り返すことにより製造される。
【0004】上記のような製造工程はクリーンルームで行われるが、ダストや静電気等に起因して欠陥が発生し表示の不良が起こる場合がある。表示不良には、配線の断線や短絡によって生じた線状の欠陥によるもの、あるいは、薄膜トランジスタの異常によって生じた点状の欠陥によるもなど種々のモードがある。点状欠陥においては、薄膜トランジスタが特性不良により対応する画素が作動しない、ノ一マリーホワイト液晶パネルの場合輝点として表示される。
【0005】製造中における検査工程では、画面上に生じた点状欠陥の数、位置、輝度によってその液晶パネルの良、不良か判定される。また、液晶パネルにおいては、発生した点状欠陥をリペアするための回路が予め形成され、検査において点状欠陥が検出された際には、リペアすることにより欠陥を目立たなくする方法が取られている。
【0006】このようなリアペア用の回路としては、欠陥が生じた画素と信号線とを接続可能としたもの、あるいは、欠陥が生じた画素、およびこれに隣合う画素を互いに接続可能とするもの等がある。前者の回路では、レーザ照射により、欠陥が生じた画素と信号線とを電気的に接続し、周辺の画素に近い輝度を得ることにより点状欠陥を目立たせなくしている。また、後者の回路では、レーザ照射により、欠陥が生じた画素、およびこれに隣合う画素を互いに接続し、2画素を同電位に近づけることにより、点状欠陥を目立ないようにしている。
【0007】一方、近年、液晶表示装置の大画面化に伴い、製造装置にも大画面に対応するものが要求されている。製造工程中におけるフォトレジストの露光については、画面を複数の領域に分けて露光する分割露光を行うことにより、従来の小型の露光装置を用いて大画面に対応することができる。
【0008】一般に、分割露光する場合、分割ラインに露光時のずれが視認されるときがあり、この対策として分割ラインを折り返しや島状にした領域で形成し、境界の特性の変化勾配を緩衝化して継ぎ目を目立たないようにしている。
【0009】しかしながら、実際には、上記のような対策を施しても、露光時の各分割領域間のずれ量が大きい場合、隣合う領域間に輝度差が生じ、分割ラインが視認されてしまい不良品となる。このような不良品は、製造中の検査工程で除外される。通常、露光ずれに起因する不良品の検査は、液晶セルが完成した段階で行われる。この場合、液晶セルに設けられた駆動回路接続用のパッドにプローブの針を立てて実際にいくつかのパターンの画面を表示する。そして、検査員は、目視によって分割ラインを視認可能か否かの判定を行なう。その際、試作などで得られた限定見本を基準として判定を行う。
【0010】
【発明が解決しよととする課題】上述したようなレーザによるリペア用の回路は、各製品毎にその設計が異なり、配線抵抗やトランジスタ特性等を設計パラメータとして数回試作するとともに、レーザによる修理の試行を繰り返し、経験によって適正な回路を決定している。すなわち、リペア回路により点状欠陥を修理した場合、修正画素部はその輝度が変化するため、実際に人の目にどのように認識されるかどうか、修正画素部を目立たなくすることができるかどうかは、実際に液晶パネルを試作した上で表示状態を検査して見なければ確認することができなかった。従って、製品の開発、、設計、製造に多くの時間および費用が掛かる。
【0011】また、大画面の液晶パネルを分割露光により形成する場合、最適な分割ラインのパターン形状や大きさは、液晶パネルの種類、つまり、画素の大きさや画素数、配線抵抗等によって異なってくる。これらのパラメータは、製品によって異なっているため、製品を開発する毎に数回の試作を行い、経験によって、輝度ムラを緩和する分割ラインの形状や大きさを決定しなければならない。
【0012】更に、検査工程において、分割ラインを視認可能か否かの判定は、経験を積んだ検査員でなければ確実な判定を行うことが困難であり、また、判定の基準となる見本も製品毎に作成しなければならず、製品の開発、設計、製造に多くの時間および費用が掛かる。
【0013】この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、平面表示装置の開発、設計、および製造を効率良く安価に行うことを可能とするシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法、および検査装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明は、多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態をシミュレーションする方法において、上記リペア回路により点状欠陥を修正した場合の擬似的な修正画素部を、他の正常画素部に対して階調差を持って表示し、点状欠陥を修正した後の平面表示装置の表示状態をシミュレーションすることを特徴としている。
【0015】また、この発明によれば、リペア回路により点状欠陥を修正した場合に修正画素部に生じる画素容量変化を階調差に換算し、上記階調差に応じて上記擬似的な修正画素部の階調を変化させて表示することを特徴としている。
【0016】この発明に係るシミュレーション装置は、画像を表示する表示部と、シミュレーションの対象となる平面表示装置の設計に基いて、点状欠陥を上記リペア回路により修正した場合の擬似的な修正画素部の輝度、および正常画素部の輝度をそれぞれ算出し、上記修正画素部および正常画素部を階調差を持って上記表示部に表示する輝度演算部と、を備えたことを特徴としている。
【0017】また、多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態を検査する検査方法において、この発明に係る検査方法は、検査対象となる平面表示装置に点状欠陥がある場合、上記リペア回路により上記点状欠陥を修正した後、上記平面表示装置を駆動して画像を表示するとともに、上記修正画素部と異なる位置で、平面表示装置に、所定輝度の基準画像を表示し、上記修正画素部分の輝度と基準画像の輝度とを比較して、修正画素部の良否を検査することを特徴としている。
【0018】この発明に係る検査装置は、検査対象となる平面表示装置の設計に基いて、点状欠陥を上記リペア回路により修正した時の擬似的な修正画素部の輝度を算出する輝度演算部と、上記リペア回路により点状欠陥を修正された実際の修正画素部を有する検査対象の平面表示装置を駆動して画像を表示するとともに、上記輝度演算部により算出された輝度を有する擬似的な修正画素部を、上記実際の修正画素部と異なる位置で上記平面表示装置に表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】更に、絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の表示画像をシミュレーションするシミュレーション方法において、この発明に係るシミュレーション方法は、上記分割ラインと同一の分割ラインにより分割された複数の分割領域を表示するとともに、分割露光時に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じた分割領域間の画素特性差を階調差に換算し、上記複数の分割領域に上記階調差を与えて表示することを特徴としている。
【0020】更に、この発明に係るシミュレーション装置は、絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の表示画像をシミュレーションするシミュレーション装置において、上記分割ラインと同一の擬似的な分割ラインを設定する分割ライン設定手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された複数の分割領域を分割露光した際に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じて、上記分割領域間の輝度差を算出する輝度演算手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された上記複数の分割領域に、上記算出された輝度差を与えて表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】また、絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の検査方法において、この発明に係る検査方法は、絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の検査方法において、検査対象となる平面表示装置を駆動して隣合う少なくとも2つの分割露光領域に画像を表示し、上記表示された分割露光領域間の分割ラインと異なる位置に、上記分割ラインと同一の大きさおよび形状を有する擬似的な分割ラインによって分割されているとともに予め算出された階調差を有する2つの基準画像を表示し、上記表示された分割露光領域と上記基準画像とを比較して、上記表示画像の良否を検査することを特徴としている。
【0022】更に、この発明に係る液晶表示装置の検査装置は、上記分割ラインと同一の形状および寸法を有する擬似的な分割ラインを設定する分割ライン設定手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された複数の分割領域を分割露光した際に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じた、上記分割領域間の輝度差を算出する輝度演算手段と、上記検査対象となる平面表示装置を駆動して隣合う少なくとも2つの分割露光領域に画像を表示するとともに、上記擬似的な分割ラインにより分割され上記算出された輝度差を有する複数の擬似的な分割領域を上記平面表示装置に同時に表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係るシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法、および検査装置について詳細に説明する。まず、この発明におけるシミュレーションおよび検査の対象となるアクティブマトリクス型の液晶表示装置に一例ついて説明する。
【0024】図1に示すように、アクティブマトリクス型液晶表示装置10は、光透過型の液晶表示装置として構成され、例えば、対角12.1インチの表示領域30を備えている。
【0025】この液晶表示装置10は、液晶表示パネル12、液晶表示パネルを駆動するための信号線駆動回路基板14、走査線駆動回路基板16、各駆動回路基板と液晶表示パネルとを電気的に接続した複数のテープキャリアパッケージ(TCPと称する)18を備えている。
【0026】図1ないし図3に示すように、液晶表示パネル12はアレイ基板20および対向基板22を備え、これら基板は、周縁部を図示しないシール剤によって貼り合わせることにより、所定のギャップをおいて対向配置されている。そして、アレイ基板20と対向基板22との間には、それぞれ配向膜23、24を介して、光変調層としての液晶組成物26が封入されている。アレイ基板20および対向基板22の外表面には、それぞれ偏光板28、30が、その偏光軸が直交するように配置されている。
【0027】アレイ基板20は絶縁基板としてのガラス基板31を有し、このガラス基板上には、配線として多数の信号線32と多数の走査線34とがほぼ直交するようにマトリクス状に設けられている。信号線32と走査線34とで囲まれる領域には、それぞれITOからなる画素電極36が設けられ、各画素電極は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(以下TFTと称する)38を介して、信号線32と走査線34との交差部に接続されている。
【0028】各画素電極36はほぼ矩形状に形成され、1画素を構成している。信号線32はアレイ基板20の長辺側に引き出され、TCP18を介して信号線駆動回路基板14に接続されている。また、走査線34はアレイ基板20の短辺側に引き出され、TCP18を介して走査線駆動回路16に接続されている。
【0029】図2および図3に示すように、各TFT38は、走査線34自体をゲート電極40とし、ゲート電極上に酸化シリコン、窒化シリコン等の誘電体層からなるゲート絶縁膜42が配置され、更に、ゲート絶縁膜42上には半導体膜43が形成されている。また、半導体膜43上には、走査線34に自己整合されて成るチャネル保護膜44として窒化シリコン膜が配置されている。
【0030】そして、半導体膜43は、低抵抗半導体膜46として配置されたn+型a−Si膜およびソース電極48を介して画素電極36に電気的に接続されている。また、半導体膜43は、低抵抗半導体膜46として配置されるn+型a−Si膜および信号線32から延出したドレイン電極50を介して信号線32に電気的に接続されている。
【0031】一方、対向基板22は透明なガラス基板60を備え、このガラス基板上には、クロム(Cr)の酸化膜からなる第1遮光層62、および第1遮光層上に積層されたクロム(Cr)から成る第2遮光層63が形成されている。これら第1および第2遮光層62、63は、アレイ基板20上のTFT38、信号線32と画素電極36との間隙、および走査線34と画素電極36との間隙をそれぞれを遮光するように、マトリクス状に形成されている。また、ガラス基板60上において、アレイ基板20側の画素電極36と対向する位置には、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ層64が形成されている。
【0032】また、上記構成の液晶表示装置において、TFTの特性不良が生じると、これに接続された画素電極は作動せず、ノ一マリーホワイトの液晶表示パネルでは輝点(点状欠陥)として表示される。そこで、図2および図4に示すように、アレイ基板20は、点欠陥が発生した際にこれをリペアし目立たなくするための複数のリペア回路70を備えている。各リペア回路70は、信号線32の延出方向に沿って隣合う2つの画素電極36を互いに電気的に導通可能としたもので、製造時にTFT38の特性不良が生じた際、このTFTに接続されている画素電極36を隣の画素電極と導通する。
【0033】すなわち、リペア回路70は、走査線34と同層の金属層からなる接続層72と、ゲート絶縁膜42を介して接続層72上に形成された一対のリペア層74と、を有し、これらのリペア層はそれぞれ隣合う画素電極36に接続されている。そして、リペア時には、図4R>4に矢印で示すように、各リペア層74の接続層72と重なり合う端部にレーザを照射してゲート絶縁膜42を除去し、この端部と接続層72とを導通させる。これにより、隣合う2つの画素電極36がリペア層74、接続層72を介して、互いに電気的に接続される。
【0034】上記構成の液晶表示装置の表示状態をシミュレーションするシミュレーション装置は、図5に示すように、例えば、液晶表示装置からなる画面表示部80、シミュレーションの対象となる液晶表示装置に関する種々のデータを入力するための入力部82、入力されたデータに基いて液晶表示装置の各画素の輝度を算出する輝度演算部84、および装置全体の動作を制御する制御部86を備えている。
【0035】画面表示部80は、シミュレーションの対象となる液晶表示装置と同等以上の表示性能を備えたもので用いられ、例えば、XGA規格の場合、解像度の最大値はX方向が3072(1024×3)画素、Y方向が768画素となっている。RGBの3つの点を1つの画素としてX方向を設定することも可能であり、この場合、1024−R等の記述になる。
【0036】なお、画面表示部80は、液晶の他、CRT、PDPなどの表示装置を使用することができる。シミュレーションの対象となる液晶表示装置と設計パラメータが同じ画素を使った液晶製品が既にあれば、それを使用するのが最も適しているが、より高精細な表示ができるCRTなどによって表示することも可能である。
【0037】操作者は、入力部82を介して、シミュレーションの対象となる液晶表示装置の設計パラメータに基づき、画素数、画素ピッチ、画素容量、画素寄生容量、TFT特性、配線ピッチ、リペア回路特性、等のデータを輝度演算部84に入力する。更に、操作者は、対象となる液晶表示装置において発生した点状欠陥をリペアした場合の表示状態をシミュレーションする場合、リペアにより互いに導通された修正画素の位置を、入力部82を介して入力する。
【0038】輝度演算部38は、入力部82を介して入力された種々のデータに基づき、リペア回路70によるリペアによって互いに接続された2つの修正画素部の輝度、および背景となる正常画素部の輝度をそれぞれ算出し、画像表示部80に算出データを入力する。そして、画像表示部80は、入力された輝度算出データに応じた画像を表示する。
【0039】図6は、画像表示部80に表示された画像の一例を示すもので、これは、TFTの特性不良による点状欠陥を生じた画素aを正常な画素bに接続した液晶表示パネルで全面黒色のパターンを表示している。
【0040】通常、このような修正を行った場合、画素aは正常な画素bのトランジスタによって画素bと同電位になるように信号の書き込みが行われる。しかしながら、画素電極が増大することにより容量が増加し、これらの修正画素a、bは目的の電圧まで達することができず、その結果周囲の正常画素との輝度の差が生じる。
【0041】輝度演算回路84は、入力されたデータに基づき、修正画素a、bの電圧降下に対応する輝度の低下を算出し、これら修正画素と周辺の正常画素とを輝度差に応じた階調差を持って画像表示部80に表示する。これにより、擬似的に点状欠陥を修正した場合の液晶表示装置の表示状態をシミュレーションすることができる。
【0042】なお、画像表示部80を構成する液晶表示装置は64階調を出力できるものが一般的であり、更に、フレームレート制御を利用することにより、256階調以上の表示を実現することができる。
【0043】このように、液晶表示装置の表示状態、特に、点状欠陥を修正した場合の表示状態をシミュレーション装置によって表示することにより、実際に液晶表示装置を製造することなく、設計の段階で表示状態をシミュレーションすることができる。そして、シミュレーションされた表示画像から、点状欠陥を修理した際の擬似的な修理画素部a、bが目立つか否かを判断することができ、目立たない場合には、液晶表示装置全体の設計が適正であることを確認でき、逆に、修理画素部が目立つ場合には、液晶表示装置全体の設計が不適切であることを認識することができる。従って、各種製品および設計毎に実際の液晶表示装置を製造および試験することなくシミュレーション装置によって予め表示状態を確認でき、液晶表示装置の開発、設計、および製造を効率良く、かつ、安価に行うことが可能となる。
【0044】次に、実際に製造された上記液晶表示装置の表示状態を検査する検査方法および検査装置について説明する。図7に示すように、検査装置は、前述したシミュレーション装置と同様に、検査の対象となる液晶表示装置に関する種々のデータを入力するための入力部90、入力されたデータに基いて液晶表示装置の各画素の輝度を算出する輝度演算部92、液晶表示パネルを駆動するための駆動回路として機能する駆動部94、および装置全体の動作を制御する制御部96を備えている。
【0045】輝度演算回路92は、前述したシミュレーション装置の輝度演算回路と同様に構成され、入力されたデータに基づき、各部の画素の輝度を算出し、擬似的な修正画素部を他の正常画素部と輝度さを持って表示可能となっている。
【0046】また、液晶表示装置の検査は、工程により、信号線駆動回路基板14および走査線駆動回路基板16が取り付けられていない液晶表示パネル12の段階で検査する場合と、駆動回路基板が取り付けられた段階で検査する場合とがある。前者は、液晶組成物の封入が終了した液晶セル完成段階で行われる検査の時であり、周辺駆動回路基板が接続されていないため、検査装置の駆動部94によって液晶表示パネルを駆動して表示を行う。この場合、液晶表示パネル12への信号は、基板上のパッドに押し当てされたプローブによって送られる。
【0047】また、組み立て後の液晶表示装置10の検査において、液晶表示装置自身の駆動回路基板を用いて駆動可能であるため 駆動部94は不要であり、液晶表示装置は輝度演算部92から直接信号を入力される。
【0048】続いて、上記検査装置を用いて液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12の表示状態を検査する検査方法について、特に、TFTの特性不良による点状欠陥をリペア回路70によって修正し、修正画素部d、eを備えた液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12について、点状欠陥が適正に修正されているか否かを検査する方法について説明する。
【0049】まず、図8に示すように、検査装置に液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12を装着し、全面黒色のパターンを表示する。この際、修正画素部d、eは、他の部分に比較して輝度差を持って表示される。また、修理を行った画素は事前に座標が分かっているため、修正画素部d、eの位置が明確となるように、その周辺に修正画素部を強調するパターンfを表示する。
【0050】一方、操作者は、入力部92を介して、検査の対象となる液晶表示装置10の設計パラメータに基づき、画素数、画素ピッチ、画素容量、画素寄生容量、TFT特性、配線ピッチ、リペア回路特性、等のデータを輝度演算部84に入力する。そして、輝度演算部38は、入力部82を介して入力された種々のデータに基づき、リペア回路70によるリペアによって互いに接続された場合の修正画素部の輝度を算出し、この算出結果に応じた輝度を有する擬似的な修正画素部a、bを、実際の修正画素部d、eの近傍に同時に表示する。この場合、擬似的な修正画素部a、bの輝度は、適正に修正された時の輝度であり、良否判定の基準、つまり、限度見本となる。
【0051】操作者は、液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12に表示された実際の修正画素部d、eを、基準となる擬似的な修正画素部a、bと比較することにより、つまり、これらの輝度差を比較することにより、修正画素部d、eの良否判断を行う。つまり、修正画素部d、eの輝度が、基準修正画素部a、bの輝度と同等で目立たない場合、適正に修理がなされ良品であると判断し、逆に、基準修正画素部a、bの輝度よりも高く目立つ場合、修理が不適切であり不良品であると判断することができる。
【0052】このように、上記検査装置および検査方法によれば、液晶表示装置の画面に実際の修正画素部と、基準となる擬似的な修正画素部とを同時に表示することができ、修正後の液晶表示装置の画像表示状態を容易に検査することができる。また、この場合、限度見本となる擬似的な修正画素部は、検査する液晶表示装置の機種、特性等に応じて自由に設定することができ、1つの検査装置によって種々の液晶表示装置を検査することが可能となる。従って、液晶表示装置の開発、設計、および製造を効率良く、かつ、安価に行うことができる。
【0053】なお、上述した液晶表示装置において、リペア回路70は隣合う画素電極36同志を電気的に接続する回路に限らず、図9に示すように、TFT38に特性不良が発生した画素電極36を隣接した信号線32に電気的に接続する回路として形成されていてもよい。
【0054】この場合、リペア回路70は、走査線34と同層の金属層からなる接続層130と、ゲート絶縁膜42を介して接続層130上に形成された一対のリペア層132と、を有し、一方のリペア層は画素電極36に接続され、他方のリペア層は隣接した信号線32に接続されている。そして、リペア時には、図9(b)に矢印で示すように、各リペア層132の接続層130と重なり合う端部にレーザを照射してゲート絶縁膜42を除去し、この端部と接続層130とを導通させる。これにより、画素電極36がリペア層132、接続層130を介して、信号線32に電気的に接続される。
【0055】次に、前述したシミュレーション装置、および検査装置を用いて、分割露光により製造される液晶表示パネルにおける分割ラインの設計、および画像表示状態の検査を行う場合について説明する。
【0056】前述した構成の液晶表示パネル12において、アレイ基板20を製造する場合には、ガラス基板31上に複数の導電体層、誘電体層を形成し、各層を所定パターンにフォトエッチングすることにより、上述した信号線、走査線、画素電極、ゲート絶縁膜、TFT等を形成している。
【0057】例えば、画素電極36を形成する場合には、ガラス基板31全面にITO層を形成し、その上にレジスト層を形成した後、このレジスト層を所定パターンに露光し、更に、エッチングすることにより形成する。
【0058】レジスト層を露光する際、ガラス基板31を複数の領域、例えば、図10に示すように、6つの領域A〜Fに分割して露光を行う。各領域はほぼ矩形状をなし、隣合う分割領域間の境界領域97の中心線は、水平に延びる水平境界線aおよびこれと直交する2本の垂直境界線bとで構成されている。
【0059】図11に示すように、各分割領域の水平および垂直方向の境界線、つまり、分割ライン98は、ほぼパルス波形状にジグザグに形成され、隣合う分割領域の境界線と噛み合って境界領域97を構成している。このように各分割領域の分割ライン98をジグザグに形成し、境界領域97内で勾配を持たせることにより、境界領域97の光学的な特性変化の勾配を緩衝化し、水平および垂直方向の分割ラインを目立たなくすることができる。
【0060】分割露光において、例えば、分割領域Aと分割領域Bとの露光は違うマスクを用いて行われる。図1111において、領域Gは分割領域Aと分割領域Bとが重なった部分で、この領域は2回露光される。分割領域Aおよび分割領域Bを露光する場合、これらの境界、つまり、分割ライン98は数μの所定幅だけ重なって露光されることが望ましいが、場合によっては分割領域Aおよび分割領域Bの境界に露光ずれが生じる。
【0061】露光ずれが生じた場合、配線間、あるいは配線と画素電極間の寄生容量が分割領域Aと分割領域Bとで相違し、画素電極に実質的かかる電圧が違ってくる。その差は、液晶表示画面において、分割領域Aと分割領域Bと輝度差となりムラとなって表示される。
【0062】従って、分割ライン98に相当する画素を境界線として、隣合う分割領域の輝度を変化させて表示することにより、露光ずれ量に応じて生じる表示ムラをシミュレーションすることができる。また、露光ずれによって生じる表示ムラは、分割ラインの形状、大きさによって異なり 分割ラインの形状および大きさを最適に設定することにより、露光ずれ量が最大値内で変化した場合でも、表示ムラ、特に、隣合う分割領域間の輝度差を目立たなくすることが可能となる。
【0063】そこで、本実施の形態では、シミュレーション装置により、任意に設計された形状および大きさの分割ラインによって分割露光された各分割領域の輝度を任意に設定して表示し、露光ずれが生じた時の表示状態をシミュレーションし、分割ラインの最適な設計を可能にするものである。
【0064】前述したように、液晶表示装置は64階調を出力できるものが一般的であり、更に、フレームレート制御を利用することにより、256階調以上の表示を実現することが可能である。このような液晶表示装置において、分割領域間の境界領域が緩和されていない場合、隣合う分割領域の輝度差が1階調分でも境界線が十分視認できる。しかし、分割ラインをジグザグにして境界領域を緩和した場合、2〜3階調差があつても目立たなくすることが可能である。
【0065】分割ラインの形状を工夫し、かつ、振幅を拡大することによって更に大きな階調差でも目だたせなくすることが可能であるるが、緩和領域の面積を大きくすると各分割領域のショットの重なりが大きくなり、結果として使用するマスク数が増加し実用的はない。設計時にはマスク数の制限の中で分割ラインの形状、大きさを最適に決定しなければならない。
【0066】本実施の形態に係るシミュレーション装置は、図12に示すように、例えば、液晶表示装置からなる画面表示部110、シミュレーションの対象となる液晶表示装置に関する種々のデータを入力するための入力部112、入力されたデータに基いて液晶表示装置の各画素の輝度を算出する輝度演算部114、分割ラインの形状および寸法を設定する分割ライン設定部116、および装置全体の動作を制御する制御部118を備えている。
【0067】画面表示部110は、シミュレーションの対象となる液晶表示装置と同等以上の表示性能を備えたもので用いられ、例えば、XGA規格の場合、解像度の最大値はX方向が3072(1024×3)画素、Y方向が768画素となっている。RGBの3つの点を1つの画素としてX方向を設定することも可能であり、この場合、1024−R等の記述になる。
【0068】なお、画面表示部110は、液晶の他、CRT、PDPなどの表示装置を使用することができる。シミュレーションの対象となる液晶表示装置と設計パラメータが同じ画素を使った液晶製品が既にあれば、それを使用するのが最も適しているが、より高精細な表示ができるCRTなどによって表示することも可能である。
【0069】操作者は、入力部112を介して、シミュレーションの対象となる液晶表示装置の設計パラメータに基づき、画素数、画素ピッチ、画素容量、画素寄生容量、TFT特性、配線ピッチ、分割ラインの発生領域の大きさ、等のデータを入力する。
【0070】図13に示すように、分割ライン設定部116は、操作者によって入力された画素ピッチ、発生領域の大きさ等に応じて分割ライン98の形状および大きさを設定し、画面表示部110に分割ラインの基本ブロックHを表示する。本実施の形態では、発生領域の大きさを画素3個を1単位とした値で入力する。
【0071】図11および図13に示すように、分割ライン98はマスクの画素境界部分にジグザグに設けられる。ジグザグの振幅はランダムに発生させるのが一般的であるが、分割ライン設定部116ではランダム発生機能に加えて手動で編集する機能も持っている。
【0072】分割ライン98は、電気的特性を考慮して、TFT38部分や配線32、34部分をできる限り避けて設定する。また、ジグザグの分割ラインは、マスクデータの容量を少なくするため、図13に示したような分割ラインの一部を構成する基本ブロックHを設定してメモリに格納し、以後、この基本ブロックを繰り返し発生させることによって分割ラインを全体を形成する。
【0073】輝度演算部114は、入力部112を介して入力された種々のデータに基づき、分割ライン98で分けられた2つの分割領域の輝度をそれぞれ算出し、画像表示部110に出力する。この際、輝度演算部114は、上記2つの分割領域間の露光ずれ量に対応する階調差を算出し、これに応じた輝度差を2つの分割領域に与える。ここで、露光ずれ量としては、露光装置等に起因して生じる最大ずれ量、例えば、5μ程度を想定して入力する。設定する露光ずれ量が大きい程、輝度差も大きくなる。
【0074】なお、本シミュレーション装置では、RGB画素3個を1単位とし、256階調のグレースケールで0〜255までの値の設定が可能である。もちろん分割ライン98が画素1個単位であればRGBそれぞれ0〜255まで単独に設定することも可能である。
【0075】また、前述したように、分割ライン98は電気的特性を考慮してTFT38部分や配線32、34部分をできる限り避けて形成されるため、分割ライン上に位置した画素36の輝度は、2つの分割領域の輝度の間の値をとる。この値は、分割ラインの通り方に応じた奇生容量を計算して決めることができる。
【0076】図14は、画像表示部110に表示された分割領域の一例を示すもので、2つの分割領域A、Bは露光ずれ量に応じた輝度差を持って表示され、設定された分割ライン98により分割されている。これにより、設定された分割ラインにより分割露光を行い、かつ、露光ずれが生じた場合の液晶表示装置の表示状態をシミュレーションすることができる。そして、操作者は、シミュレーションされた表示画像から、分割領域A、Bを観察し、分割ライン98が目立つか否かを判断することができる。分割ライン98が目立たない場合、設定された分割ライン98の形状、大きさ適正であることを確認でき、逆に、分割ライン修理画素部が目立つ場合には、分割ラインの設計が不適切であることを認識することができる。
【0077】このように、液晶表示装置の表示状態、特に、設定した任意の分割ラインに従って液晶表示装置を製造する際に露光ずれが生じた場合の表示状態をシミュレーション装置によって表示することにより、実際に液晶表示装置を製造することなく、設計の段階で表示状態をシミュレーションすることができる。従って、各種製品および設計毎に実際の液晶表示装置を製造および試験することなくシミュレーション装置によって予め表示状態を確認することにより、最適な分割ラインの設計が可能となる。これにより、液晶表示装置の開発、設計、および製造を効率良く、かつ、安価に行うことができる。
【0078】次に、実際に分割露光により製造された上記液晶表示装置の表示状態を検査する検査方法および検査装置について説明する。図15に示すように、検査装置は、前述したシミュレーション装置と同様に、検査の対象となる液晶表示装置に関する種々のデータを入力するための入力部120、入力されたデータに基いて分割ラインを設定する分割ライン設定部124、入力されたデータに基いて隣合う2つの分割領域の輝度を算出する輝度演算部122、液晶表示パネルを駆動するための駆動回路として機能する駆動部128、および装置全体の動作を制御する制御部126を備えている。
【0079】輝度演算回路92は、前述したシミュレーション装置の輝度演算回路と同様に構成され、分割ライン設定部124により設定された分割ライン98および入力されたデータに基づき、分割ライン98を介して隣合う2つの分割領域の輝度、特に、露光ずれが生じた場合の各分割領域の輝度を算出し、輝度差を持った擬似的な分割領域を表示可能となっている。
【0080】また、液晶表示装置の検査は、工程により、信号線駆動回路基板14および走査線駆動回路基板16が取り付けられていない液晶表示パネル12の段階で検査する場合と、駆動回路基板が取り付けられた段階で検査する場合とがある。前者は、液晶組成物の封入が終了した液晶セル完成段階で行われる検査の時であり、周辺駆動回路基板が接続されていないため、検査装置の駆動部128によって液晶表示パネル12を駆動して表示を行う。この場合、液晶表示パネル12への信号は、基板上のパッドに押し当てされたプローブによって送られる。
【0081】また、組み立て後の液晶表示装置10を検査する場合は、液晶表示装置自身の駆動回路基板を用いて駆動可能であるため 駆動部128は不要であり、液晶表示装置は輝度演算部122から直接信号を入力される。
【0082】続いて、上記検査装置を用いて液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12の表示状態を検査する検査方法について、特に、分割露光時の露光ずれに起因する表示ムラがあり分割ラインが目立つか否かを検査する方法について説明する。
【0083】まず、図16に示すように、検査装置に検査対象となる液晶表示装置10あるいは液晶表示パネル12を装着して駆動し、一定パターンの画像を全面に表示する。図に示す例では、液晶表示パネル12が持っている特性によって発生した表示ムラが表れ、分割領域aは、分割ライン98を境に他の領域bと比較して輝度が異なっている。この輝度差は、分割露光時の露光ずれ量に相当している。
【0084】次に、操作者は、入力部120を介して、検査対象となる液晶表示装置10の設計パラメータに基づき、画素数、画素ピッチ、画素容量、画素寄生容量、TFT特性、配線ピッチ、リペア回路特性、等のデータを分割ライン設定部124および輝度演算部122に入力する。そして、分割ライン設定部124は、入力されたデータに基いて分割ラインを設定する。この際、分割ラインは、検査対象となる液晶表示装置10における実際の分割ライン98と同一の形状および寸法に設定する。また、輝度演算部122は、設定された分割ラインを境にして隣合う分割領域の輝度をそれぞれ算出する。この際、各分割領域の輝度は、所定量の露光ずれ、例えば、規定最大露光ずれ量がある場合を想定して算出される。
【0085】そして、検出装置は、図17に示すように、上記のように設定された擬似的な分割ライン98’、およびこの分割ライン98’を境にして輝度差を与えた擬似的な分割領域cを液晶表示装置10に表示する。ここで、領域bの輝度は図16における領域bと同一であり、分割領域cは領域bと比較して輝度差を与えて表示する。
【0086】液晶表示装置10に表示された擬似的な分割ライン98’および領域b、c間の輝度差は、分割露光時の露光ずれ量が適正な範囲内にある時の表示状態であり、良否判定の基準、つまり、限度見本となる。そして、このような限度見本を液晶表示装置10に表示することにより、操作者は、液晶表示装置10の実際の分割領域aと領域bとの繋がり具合および分割ライン98と、判定基準となる領域bと領域cとの繋がり具合および分割ライン98’を同じ画面上で容易に比較することができる。
【0087】比較の結果、分割領域aと領域bとの輝度差が基準となる領域b、c間の輝度差よりも大きく、分割ライン98が擬似的な分割ライン98’よりも目立つ場合には、製造時の露光ずれ量が規定値よりも大きく、不良品であると判断することができる。また、分割領域aと領域bとの輝度差が領域b、c間の輝度差とほぼ等しいかあるいは小さく、分割ライン98も目立ない場合には、製造時の露光ずれ量が規定範囲内であり、良品であると判断することができる。
【0088】なお、検査対象の液晶表示装置の分割ライン98に重ねて全く同じ形状および寸法の擬似的な輝度差による分割ラインを表示することも可能である。この場合、分割ラインが見えなくなるように階調差を調整して輝度差の判定を行う。
【0089】以上のように構成された検査装置および検査方法によれば、液晶表示装置の画面に実際の表示ムラと、基準となる擬似的な表示ムラとを同時に表示することができ、分割露光により製造された液晶表示装置の画像表示状態を容易に検査することができる。また、この場合、限度見本となる擬似的な分割ライン、擬似的な表示領域は、検査する液晶表示装置の機種、特性等に応じて自由に設定することができ、1つの検査装置により種々の液晶表示装置を検査することが可能となる。従って、液晶表示装置の開発、設計、および製造を効率良く、かつ、安価に行うことができる。
【0090】なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、この発明は、液晶表示装置の表示状態のシミュレーションおよび検査にに限らず、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイ等の他の平面表示装置にも適用可能である。
【0091】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、平面表示装置の表示状態をシミュレーションすることにより、また、シミュレーションにより表示した比較基準の画像と実際の画像とを同一画面上に表示することにより、平面表示装置の開発、設計、および製造を効率良く安価に行うことを可能とするシミュレーション方法、シミュレーション装置、検査方法、および検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る製造方法によって製造されるアクティブマトリクス型液晶表示装置の一例を示す斜視図。
【図2】上記アクティブマトリクス型液晶表示装置のアレイ基板を概略的に示す平面図。
【図3】図2の線A−Aに沿った断面図。
【図4】図2の線B−Bに沿った断面図。
【図5】この発明の実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図6】上記シミュレーション装置により、修正画素部の表示状態をシミュレーションした画像を示す図。
【図7】この発明の実施の形態に係る検査装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図8】上記検査装置により、検査対象となる液晶表示装置に擬似的な修正画素部と実際の修正画素部とを同時に表示した状態を示す図。
【図9】図9(a)は、上記液晶表示装置のリペア回路の変形例を示す平面図、図9(b)は図9(a)の線C−Cに沿った断面図。
【図10】上記液晶表示装置のアレイ基板を分割露光する際の分割領域を示す平面図。
【図11】上記分割領域間の分割ライン部分を拡大して示す平面図。
【図12】この発明の他の実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図13】上記シミュレーション装置により設定した分割ラインの基準ブロックを示す図。
【図14】上記シミュレーション装置により擬似的な分割ライン、輝度差を持った分割領域を表示した状態を示す図。
【図15】この発明の他の実施の形態に係る検査装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図16】上記検査装置により、検査対象の液晶表示装置に一定パターンの画像を表示した状態を示す図。
【図17】上記検査装置により、検査対象の液晶表示装置に、実際の表示画像と、擬似的な分割ラインおよび輝度差を持った分割領域と、を同時に表示した状態を示す図。
【符号の説明】
10…液晶表示装置
12…液晶表示パネル
20…アレイ基板
22…対向基板
26…液晶組成物
31…ガラス基板
32…信号線
34…走査線
36…画素電極
38…TFT
70…リペア回路
80、110…表示部
84、92、114、122…輝度演算部
82、90、112、120…入力部
98…分割ライン
116、124…分割ライン設定部
A、B、C、D、E、F…分割領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態をシミュレーションする方法において、上記リペア回路により点状欠陥を修正した場合の擬似的な修正画素部を、他の正常画素部に対して階調差を持って表示し、点状欠陥を修正した後の平面表示装置の表示状態をシミュレーションすることを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項2】上記リペア回路により点状欠陥を修正した場合に修正画素部に生じる画素容量変化を輝度差に換算し、上記輝度差に応じて上記擬似的な修正画素部の階調を変化させて表示することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項3】多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態をシミュレーションするシミュレーション装置において、シミュレーションの対象となる平面表示装置の設計パラメータに基いて、点状欠陥を上記リペア回路により修正した場合の擬似的な修正画素部の輝度、および正常画素部の輝度をそれぞれ算出する輝度演算部と、上記算出された輝度に基づき、上記修正画素部および正常画素部を階調差を持って表示する表示部と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項4】上記表示部は、上記正常画素部の輝度を有する画像を背景とし、上記修正画素部を輝度差を持って表示することを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態を検査する検査方法において、検査対象となる平面表示装置に点状欠陥がある場合、上記リペア回路により上記点状欠陥を修正した後、上記平面表示装置を駆動して画像を表示するとともに、上記修正画素部と異なる位置で、上記平面表示装置に、所定輝度の基準画像を表示し、上記修正画素部分の輝度と基準画像の輝度とを比較して、修正画素部の良否を検査することを特徴とする検査方法。
【請求項6】上記基準画像として、上記リペア回路により点状欠陥を修正した場合をシミュレーションにより算出した輝度を有する画像を表示することを特徴と検査方法。
【請求項7】上記修正画素部の周囲に、修正画素部を強調するパターンを表示することを特徴としている請求項5又は6に記載の検査方法。
【請求項8】多数の画素、および点状欠陥を修正するためのリペア回路を有する平面表示装置の表示状態を検査する検査装置において、検査対象となる平面表示装置の設計に基いて、点状欠陥を上記リペア回路により修正した時の擬似的な修正画素部の輝度を算出する輝度演算部と、上記リペア回路により点状欠陥を修正された実際の修正画素部を有する検査対象の平面表示装置を駆動して画像を表示するとともに、上記輝度演算部により算出された輝度を有する擬似的な修正画素部を、上記実際の修正画素部と異なる位置で上記平面表示装置に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項9】上記表示手段は、上記実際の修正画素部の周囲に欠陥を強調するパターンを表示することを特徴とする請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の表示画像をシミュレーションするシミュレーション方法において、上記分割ラインと同一の分割ラインにより分割された複数の分割領域を表示するとともに、分割露光時に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じた分割領域間の画素特性差を階調差に換算し、上記複数の分割領域に上記階調差を与えて表示することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項11】上記露光ずれ量が規定最大値の時の画素特性差を階調差に換算し、上記複数の分割領域の階調差とすることを特徴とする請求項10に記載のシミュレーション方法。
【請求項12】絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の表示画像をシミュレーションするシミュレーション装置において、上記分割ラインと同一の形状および寸法を有する擬似的な分割ラインを設定する分割ライン設定手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された複数の分割領域を分割露光した際に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じた、上記分割領域間の輝度差を算出する輝度演算手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された上記複数の分割領域に、上記算出された輝度差を与えて表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項13】絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の検査方法において、検査対象となる平面表示装置を駆動して隣合う少なくとも2つの分割露光領域に画像を表示するとともに、上記表示された分割露光領域間の分割ラインと異なる位置に、上記分割ラインと同一の大きさおよび形状を有する擬似的な分割ラインによって分割されているとともに予め算出された階調差を有する2つの基準画像を表示し、上記表示された分割露光領域と上記基準画像とを比較して、上記表示画像の良否を検査することを特徴とする液晶表示装置の検査方法。
【請求項14】絶縁基板上に形成された導電体層及び誘電体層の少なくとも一層を、所望の形状および寸法の分割ラインに沿って複数の領域に分割して露光を行ない所定の配線および画素を形成した液晶表示装置の表示状態を検査する検査装置において、上記分割ラインと同一の形状および寸法を有する擬似的な分割ラインを設定する分割ライン設定手段と、上記擬似的な分割ラインにより分割された複数の分割領域を分割露光した際に生じる分割領域間の露光ずれ量に応じた、上記分割領域間の輝度差を算出する輝度演算手段と、上記検査対象となる平面表示装置を駆動して隣合う少なくとも2つの分割露光領域に画像を表示するとともに、上記擬似的な分割ラインにより分割され上記算出された輝度差を有する複数の擬似的な分割領域を上記平面表示装置に同時に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置の検査装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図12】
image rotate


【図15】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図13】
image rotate


【図14】
image rotate


【図16】
image rotate


【図17】
image rotate


【公開番号】特開2000−111858(P2000−111858A)
【公開日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−284276
【出願日】平成10年10月6日(1998.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221339)東芝電子エンジニアリング株式会社 (238)
【Fターム(参考)】