説明

庇構成体における構成部材の連結構造

【課題】建物の外壁に沿って横向きの延長方向に配置される長尺の庇パネルを備えた横張り形式の庇構成体に関して、構成部材の連結構造を提供する。
【解決手段】庇構成部材の一方を第1構成部材(M1)とし、他方を第2構成部材(M2)として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向(L)に延びる長尺の連結部材(26)を介して、相互に連結する構造である。第1構成部材(M1)と第2構成部材(M2)は、相互に上側凸部(29)を上側凹部(35)に嵌入し、下側凸部(36)を下側凹部(30)に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝(32)(38)によりトンネル状空間(44)を形成する。該トンネル状空間(44)に連結部材(26)を圧入することにより受入溝(32)(38)を上下に押し広げると、上向きの嵌着リブ(33)がパッキン収納溝(31)に嵌入されると共にパッキン(43)を圧縮し、下向きの嵌着リブ(37)が係止溝(39)に嵌入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に沿って横向きの延長方向に配置される長尺の庇パネルを備えた横張り形式の庇構成体における構成部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁に取付けられる庇構成体は、庇パネルの配置態様により「縦張り形式」と「横張り形式」に分類される。
【0003】
「縦張り形式」の庇構成体は、図11(A)に示すように、建物の外壁から屋外方向に延びるように配置された多数の庇パネルp1を支持部材S1を介して外壁の横方向に列設することにより庇構成体P1が形成される。従って、出幅Wに相当する比較的短尺の庇パネルp1を現場に搬送すれば良いので、運搬が容易である。また、庇パネルp1は、長尺のパネルを前記出幅Wに応じて切断することにより得られるので、自由な出幅寸法とした庇構成体P1を設計できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、「縦張り形式」の場合、前述のように長尺のパネルを出幅Wに応じて正確に切断することにより多数の庇パネルp1を準備する必要があり、しかも、現場で列設される多数の庇パネルp1を相互に、逐一、連結しなければならないため、作業が煩雑となる。そして、外壁の出隅コーナ部C1に庇パネルp1を配置しようとしても、それを支持することができないので、コーナ庇部PCを形成することができないという問題がある。
【0005】
これに対して、「横張り形式」の庇構成体は、図11(B)に示すように、長尺の庇パネルp2を建物の外壁に沿って横向きの延長方向Lに配置することにより庇構成体P2が形成される。従って、庇パネルp2を外壁の出隅コーナ部C2に至るように延長することによりコーナ庇部PCを形成することができる。庇パネルp2は、外壁に支持部材S2を介して固着されているので、庇パネルp2と一体に形成されたコーナ庇部PCの荷重は支持部材S2により支持される。
【0006】
しかしながら、「横張り形式」の場合、建物の外壁に支持部材S2を介して固設されるベース部材bと、該ベース部材から出幅W方向に配置される庇パネルp2と、該庇パネルp2の先端に配置される先端部材eを相互に連結した状態で、庇構成体P2が支持部材S2に片持ち状に支持されるため、それぞれの連結部において高い連結強度が求められる。この点に関して、例えば、庇構成体P2を梁部材Bで剛体化し、該梁部材Bを支持部材S2に支持する場合は、露出する梁部材Bにより庇構成体P2の意匠が損なわれるため、望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−145078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の「横張り形式」の庇構成体は、ベース部材bと、庇パネルp2と、先端部材eの相互の連結部に関して、連結作業が容易であると共に、強固な連結を実現する連結構造を提供することが課題となる。
【0009】
また、庇構成体P2の出幅Wを大きく構成するためには、複数の庇パネルp2、p2を屋外方向に並設して連設することになるが、この場合、隣接する庇パネルp2、p2の相互の連結部に関しても、連結作業が容易であると共に、強固な連結を実現する連結構造を提供することが課題となる。
【0010】
更に、前述のような庇構成体P2の構成部材の連結部は、雨水が該連結部を浸透して下方に滴下することがないように、水密的に連結することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、「横張り形式」の庇構成体における構成部材に関して、上記課題を解決した連結構造を提供するものである。
【0012】
本発明の第1発明は、「横張り形式」の庇構成体におけるベース部材と庇パネルの連結構造に関するものであり、前記ベース部材と前記庇パネルは、前記延長方向Lに押出成形された金属成形材により構成されており、一方を第1構成部材とし、他方を第2構成部材として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向Lに延びる長尺の連結部材を介して、相互に連結する構造を提供する。
【0013】
本発明の第2発明は、「横張り形式」の庇構成体における庇パネルと先端部材の連結構造に関するものであり、前記庇パネルと前記先端部材は、前記延長方向Lに押出成形された金属成形材により構成されており、一方を第1構成部材とし、他方を第2構成部材として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向Lに延びる長尺の連結部材を介して、相互に連結する構造を提供する。
【0014】
本発明の第3発明は、「横張り形式」の庇構成体における並設状に配置される複数の庇パネルの連結構造に関するものであり、前記庇パネルは、前記延長方向Lに押出成形された金属成形材により構成されており、隣り合う庇パネルの一方を第1構成部材とし、他方を第2構成部材として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向Lに延びる長尺の連結部材を介して、相互に連結する構造を提供する。
【0015】
前記第1発明ないし第3発明において、前記第1構成部材は、対面部分に関して、上部に上側凸部を設けると共に下部に下側凹部を設け、上側凸部の上面にパッキン収納溝を形成すると共に下面に受入溝を形成し、下側凹部の下縁に上向きの嵌着リブを設けており、前記第2構成部材は、対面部分に関して、上部に上側凹部を設けると共に下部に下側凸部を設け、上側凹部の上縁に下向きの嵌着リブを設け、下側凸部の上面に受入溝を形成すると共に下面に係止溝を形成しており、前記パッキン収納溝にパッキンを収納した前記第1構成部材の上側凸部を第2構成部材の上側凹部に嵌入し、前記第2構成部材の下側凸部を第1構成部材の下側凹部に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝により形成されたトンネル状空間に連結部材を圧入することにより、該受入溝を上下方向に押し広げ、第2構成部材の嵌着リブを第1構成部材のパッキン収納溝に嵌入させてパッキンを圧縮すると共に、第1構成部材の嵌着リブを第2構成部材の係止溝に嵌入させるように構成している。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、前記延長方向Lに延びる長尺の連結部材は、前記トンネル状空間に圧入される棒状部と、該棒状部の側面から突出するリブを一体に備え、該リブを介して前記延長方向に湾曲しないように直線姿勢を保持されており、前記第1構成部材と第2構成部材は、それぞれの受入溝の両側に対向部を設け、該受入溝を上下方向に押し広げたとき、相互に対向する対向部が離反することにより隙間を形成するように構成されており、前記連結部材をトンネル状空間に圧入したとき、棒状部が受入溝を上下方向に押し広げ、リブが前記隙間に挿入されるように構成されている。
【0017】
この際、前記連結部材は、棒状部を断面矩形に形成すると共に、該棒状部の両側面にリブを突設しており、前記第1構成部材と第2構成部材の上下から対向する受入溝は、それぞれ断面ほぼコ字形に形成され、両受入溝の底部に突条を形成している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし請求項3に記載の本発明によれば、パッキン収納溝31にパッキン43を収納した第1構成部材M1の上側凸部29を第2構成部材M2の上側凹部35に嵌入し、第2構成部材M2の下側凸部36を第1構成部材M1の下側凹部30に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝32、38により形成されたトンネル状空間44に連結部材26を圧入することにより、該受入溝32、38を上下方向に押し広げ、第2構成部材M2の嵌着リブ37を第1構成部材M1のパッキン収納溝31に嵌入させてパッキン43を圧縮すると共に、第1構成部材M1の嵌着リブ33を第2構成部材M2の係止溝39に嵌入させる構成であるから、強固な連結構造7が達成され、該連結構造7を介して第1構成部材M1と第2構成部材M2の全体を剛体化し、片持ち支持に耐える庇構成体1を提供できる。
【0019】
しかも、連結の際は、第1構成部材M1と第2構成部材M2の受入溝32、38により形成されたトンネル状空間44の開口端に連結部材26の先端を挿入した後、該連結部材26を圧入するだけで良く、これにより、圧入された連結部材26が先端から受入溝32、38を押し広げながら進入し、第1構成部材M1と第2構成部材M2を全長にわたり強固に結合するので、作業を迅速容易に行うことができる。
【0020】
そして、連結構造7の上部に位置して、嵌着リブ37によりパッキン43を圧縮させる構成であるから、圧縮されたパッキン43の復元力により受入溝32、38の底部を連結部材26の上下面に圧接させることができ、これによりガタツキのない連結を達成すると共に、雨漏り等のない水密的シールを実現する。
【0021】
請求項4に記載の本発明によれば、連結部材26は、棒状部27にリブ28、28を一体に形成することにより、延長方向Lに湾曲せずに、直線状態を保持するように構成されているので、上述のようなトンネル状空間44に対する圧入作業が容易となる。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、連結部材26の棒状部27が断面矩形に形成されており、これに対して受入溝32、38が断面ほぼコ字形に形成されると共に底部に突条34、40を形成しているので、棒状部27の圧入時の摩擦抵抗を軽減し、圧入作業を容易とする。そして、万一、パッキン43の劣化等により雨水の浸入を許した場合でも、突条34、40が棒状部27の上下面に圧接されているので、雨水の通過を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の庇構成体に関して、各構成体を相互に連結した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の庇構成体に関して、各構成体を相互に分離した状態を示す断面図である。
【図3】連結部材の1実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の庇構成体に関して、庇パネルを連装した実施形態を示し、各構成体を相互に連結した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の庇構成体に関して、連結構造を拡大して示す断面図である。
【図6】連結構造の連結方法を示しており、(A)は連結前の状態を示す断面図、(B)は連結中の状態を示す断面図、(C)は連結後の状態を示す断面である。
【図7】連結構造に関して連結状態を示す断面図である。
【図8】本発明の庇構成体に関して、庇パネルを連装した実施形態に吊持部材を取付けた状態を示す断面図である。
【図9】図8のA部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の庇構成体に関して、庇パネルの連装枚数を増加した実施形態に吊持部材を取付けた状態を示す断面図である。
【図11】本発明を理解するための参考例を示しており、(A)は「縦張り形式」の庇構成体を示す平面図、(B)は「横張り形式」の庇構成体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0025】
図1に示す庇構成体1は、図11((B)に基づいて上述したような長尺の庇パネル2を建物の外壁3に沿って横向きの延長方向Lに配置した「横張り形式」の庇構成体を構成する。
【0026】
庇構成体1は、外壁3に支持部材4を介して固設されるベース部材5と、該庇構成体1の先端縁を構成する先端部材6と、前記ベース部材5と先端部材6の間に配置される庇パネル2から成り、ベース部材5、庇パネル2、先端部材6は、前記延長方向Lに押出成形されたアルミニウム成形材等の金属成形材により構成されている。
【0027】
そこで、ベース部材5と庇パネル2の相互に関しては、一方を第1構成部材M1とし、他方を第2構成部材M2として、両部材を対面させた状態で連結可能とする連結構造7aが設けられている。
【0028】
また、庇パネル2と先端部材6の相互に関しては、一方を第1構成部材M1とし、他方を第2構成部材M2として、両部材を対面させた状態で連結可能とする連結構造7bが設けられている。
【0029】
更に、図4に示すように、2枚以上の庇パネル2、2を出幅方向に連装した実施形態に関しては、隣り合う庇パネル2、2のうち、一方を第1構成部材M1とし、他方を第2構成部材M2として、両部材を対面させた状態で連結可能とする連結構造7cが設けられている。
【0030】
図2に示すように、支持部材4は、建物の外壁3にアンカーボルト等のボルト8により固着される板状部9を備え、該板状部9の上下にそれぞれ前方(室外方向)に突出する上側リップ10及び下側リップ11を設けている。
【0031】
これに対して、ベース部材5は、上下に位置する上板部12と下板部13を内部壁14により連結した中空体を構成し、前記上側リップ10及び下側リップ11に上下から重ね合わせられる固着片15、16を一体に備えている。尚、上板部12は、屋外に向けて下り勾配を有する斜壁を形成し、前記固着片15、16は、それぞれ上板部12及び下板部13から内側に向かう段部を介して延設されることにより、それぞれ段状ポケット17、18を形成する。
【0032】
そこで、前記固着片15、16は、上側リップ10及び下側リップ11に重ね合わせた状態で、それぞれビス19、20により固着され、図1に示すように、上側の段状ポケット17にシーリング材21が充填され、下側の段状ポケット18は、蓋板22を嵌着することにより閉鎖される。
【0033】
庇パネル2は、上下に位置する上板部23と下板部24をほぼ中央部で複数の内部壁25、25により連結した中空パネルを構成している。
【0034】
先端部材6は、図2に実線で示すような鼻先部材6aと、鎖線で示すような樋部材6bから選択可能となるように構成されている。
【0035】
図示の実施形態において、前記連結構造7a、7b、7cは、概ね同一構成とされているので、以下、これを連結構造7として説明する。尚、本発明は、前記連結構造7a、7b、7cのうち、少なくとも1つに本発明の連結構造7を備えるものであり、それ以外の連結構造には本発明と異なる構造を採用しても良い。
【0036】
本発明の連結構造7は、第1構成部材M1と第2構成部材M2を対面させた状態で、図3に示すような、前記延長方向Lに延びる長尺の連結部材26を介して、相互に連結される。連結部材26は、第1構成部材M1及び第2構成部材M2の延長方向Lの全長に延びる棒状部27と、該棒状部27の側面から突出するリブ28を一体に備えており、アルミニウム等の金属又は強靱な合成樹脂又は高硬度のゴム等により押出成形されている。図示のように、連結部材26は、棒状部27を分厚い断面矩形に形成すると共に、該棒状部27の両側面に比較的薄い板状のリブ28、28を突設し、全体として断面をほぼ十文字状に形成されており、これにより、前記延長方向Lに向けて湾曲することなく直線状に延びる。即ち、連結部材26は、細く長く延びるものであるため、断面が単なる円形や矩形の場合は延長方向に向けて湾曲し易いが、棒状部27にリブ28、28を一体に設けているので、延長方向に湾曲せず直線状態を保持し、後述するような連結構造7に対する圧入作業を容易とする。従って、図例の場合、棒状部27の両側面にリブ28、28を設けた断面ほぼ十文字状のものを示しているが、リブ28の本数を問うものではない。
【0037】
図5に示すように、連結構造7は、相互に対面させられた第1構成部材M1と第2構成部材M2の対面部分に位置して、連結されたときに相互に上下方向に合致するように肉厚方向の中間部を延びる基準横線C1、C2と、連結されたときに相互に前後方向に合致する鉛直方向の基準縦線Vに関して、凸部と凹部を嵌合させ、溝とリブを嵌合させるように構成されている。
【0038】
第1構成部材M1は、前記対面部分に位置して、上部に上側凸部29を設けると共に下部に下側凹部30を設け、上側凸部29の上面にパッキン収納溝31を形成すると共に下面に受入溝32を形成し、下側凹部30の下縁に上向きの嵌着リブ33を設けており、前記パッキン収納溝31の内側の開口縁31aと、前記受入溝32の中心と、前記嵌着リブ33の外側縁33aが基準縦線Vにほぼ合致するように構成している。前記受入溝32は、基準横線C1よりもやや上方に位置して下向きに開口する断面ほぼコ字形に形成され、開口縁の両側に対向部32a、32aを設けると共に、該受入溝32の底部中心に突条34を設けている。
【0039】
第2構成部材M2は、前記対面部分に位置して、上部に上側凹部35を設けると共に下部に下側凸部36を設け、上側凹部35の上縁に下向きの嵌着リブ37を設け、下側凸部36の上面に受入溝38を形成すると共に下面に係止溝39を形成しており、前記嵌着リブ37の外側縁37aと、前記受入溝38の中心と、前記係止溝39の内側溝壁39aが基準縦線Vにほぼ合致するように構成している。前記受入溝38は、基準横線C2よりもやや下方に位置して上向きに開口する断面ほぼコ字形に形成され、開口縁の両側に対向部38a、38aを設けると共に、該受入溝38の底部中心に突条40を設けている。
【0040】
尚、第1構成部材M1は、前記基準横線C1に位置して、受入溝32の内側の対向部32a及び下側凹部30の裏面から中空部に向けて(対面方向と反対方向に向けて)ほぼ筒状の補強片41を突設し、同様に、第2構成部材M2は、前記基準横線C2に位置して、上側凹部35の裏面及び受入溝38の内側の対向部38aから中空部に向けて(対面方向と反対方向に向けて)ほぼ筒状の補強片42を突設している。
【0041】
上記のように構成された連結構造7の連結方法を図6に示している。
【0042】
図6(A)に示すように、第1構成部材M1のパッキン収納溝31にパッキン43を収納した状態で、第1構成部材M1の基準横線C1を下位に位置させ、第2構成部材M2の基準横線C2を上位に位置させることにより、相互に偏位させた状態で対面させ、図示の矢印で示すように、第1構成部材M1の上側凸部29を第2構成部材M2の上側凹部35に嵌入させると共に、第2構成部材M2の下側凸部36を第1構成部材M1の下側凹部30に嵌入させる。
【0043】
図6(B)に示すように、第2構成部材M2の嵌着リブ37を第1構成部材M1のパッキン収納溝31の内側開口縁31aに当接させ、第1構成部材M1の嵌着リブ33を第2構成部材M2の係止溝39の内側溝壁39aに当接させると、第1構成部材M1と第2構成部材M2は、相互に基準縦線Vを合致する。この状態で、嵌着リブ37とパッキン収納溝31の相互、嵌着リブ33と係止溝39の相互は、未だ嵌合されておらず、上下に対向する受入溝32、38の対向部32a、38aが近接しているが、図示の矢印で示すように、基準縦線Vに沿って、第1構成部材M1を上向きに移動させ、第2構成部材M2を下向きに移動させると、受入溝32、38が上下方向に広がると共に、嵌着リブ37とパッキン収納溝31、嵌着リブ33と係止溝39がそれぞれ相互に嵌合されることになる。
【0044】
そこで、上下に対向する受入溝32、38により形成されたトンネル状空間44に連結部材26の棒状部27を圧入すると、図6(C)に示すように、受入溝32、38が上下方向に押し広げられることにより、第1構成部材M1が矢印Uで示すように上動すると共に、第2構成部材M2が矢印Dで示すように下動することにより、それぞれの基準横線C1、C2を合致させる位置まで移動し、嵌着リブ37をパッキン収納溝31に嵌入させてパッキン43を圧縮すると共に、嵌着リブ33を係止溝39に嵌入し、これにより連結構造7を強固に連結する。
【0045】
連結部材26の棒状部27をトンネル状空間44に圧入する作業を容易にするためには、例えば、図3に示すように、棒状部27の先端にテーパ部27aを形成しておけば良いが、このようなテーパ部27aを形成することは必須ではない。何れの場合でも、少なくとも棒状部27の挿入を開始するトンネル状空間44の開口端に位置して、第1構成部材M1と第2構成部材M2を図6(B)の矢印で示すように相互に基準横線C1、C2が合致する方向に力を加えて移動させ、広げられた受入溝32、38の開口端から棒状部27の先端を挿入し圧入すれば良い。これにより、棒状部27の先端が受入溝32、38を押し広げながら延長方向Lに圧入されるので、圧入後の第1構成部材M1と第2構成部材M2は、相互に全長にわたり基準横線C1、C2を合致させられる。
【0046】
このような連結部材26の圧入に際して、連結部材26は、リブ28、28を設けることにより断面ほぼ十文字状に形成され、直線状態を保持しているため、これにより圧入作業を容易とする。また、受入溝32、38の底部には突条34、40が設けられているので、棒状部27の圧入時の摩擦抵抗を軽減する。
【0047】
そして、棒状部27が受入溝32、38を押し広げると、相互に対向する対向部32a、32aと対向部38a、38aが離反させられることにより隙間45、45を形成するので、連結部材26のリブ28、28を該隙間45、45に挿入させる。
【0048】
図7に拡大して示すように、連結構造7は、連結部材26をトンネル状空間44に圧入した状態で、棒状部27が第1構成部材M1の受入溝32を矢印Uで示すように押し上げると共に、第2構成部材M2の受入溝38を矢印Dで示すように押し下げ、これにより離反した対向部32a、32aと対向部38a、38aの間に形成された隙間45、45にリブ28、28を挿入している。
【0049】
そこで、連結構造7の上部においては、第1構成部材M1のパッキン43を収納したパッキン収納溝31が矢印U1のように押し上げられ、第2構成部材M2の嵌着リブ37が押し下げられることにより、パッキン43を圧縮すると共に、嵌着リブ37とパッキン収納溝31を深さE1に相当して係合している。
【0050】
また、連結構造7の下部においては、第1構成部材M1の嵌着リブ33が矢印U2のように押し上げられ、第2構成部材M2の係止溝39が矢印D2のように押し下げられることにより、深さE2に相当して係合している。
【0051】
これにより、第1構成部材M1と第2構成部材M2は、相互に離反しないように強固に連結されている。この状態で、圧縮されたパッキン43の復元力を受けることにより、棒状部27の上下面に対して受入溝32、38の底部が強く圧接されており、これによりガタツキのない連結を達成する。
【0052】
連結構造7の上部は、嵌着リブ37とパッキン43により水密的にシールされているので、雨水が浸入することはなく、従って、雨水が庇構成体1の下方に滴下するようなことはない。この際、万一、パッキン43の劣化等により雨水が浸入したとしても、最上部における嵌着リブ37とパッキン収納溝31の接合部分から、最下部における嵌着リブ33と係止溝39の接合部分に至る経路は、曲折したラビリンス(迷路)を形成しているので、雨水の通過を困難としており、しかも、受入溝32、38の底部に設けた突条34、40を棒状部27の上下面に圧接しているので、雨水の通過を阻止する。
【0053】
上記の結果、庇構成体1を構成する第1構成部材M1と第2構成部材M2は、連結構造7により強固に連結され庇構成体1の全体を剛体化するので、ベース部材5と庇パネル2の相互間、庇パネル2と先端部材6の相互間において、十分な強度のもとで片持ち支持される。しかしながら、図8ないし図10に示すように、庇構成体1の出幅を大きくするために、複数枚の庇パネル2、2を並設する場合は、図示のような吊下装置46により庇構成体1を外壁3に吊持させても良い。
【0054】
この場合、図9に示すように、吊下装置46の下側ブラケット47を固着するための固着金具48を庇パネル2の中空部に挿入し、ボルト・ナット49で下側ブラケット47を固着金具48に固着するように構成することができる。このため、図示の実施例の場合、庇パネル2の筒状の補強片42と、これが対向する内部壁25のそれぞれに、相互に対向する爪50、51を形成しており、固着板48を上壁部23の下面に重ね合わせた状態で、該固着板48の下向き折曲片48aを爪50、51に架設するように構成している。
【符号の説明】
【0055】
1 庇構成体
2 庇パネル
3 外壁
4 支持部材
5 ベース部材
6 先端部材
7(7a、7b、7c) 連結構造
M1 第1構成部材
M2 第2構成部材
26 連結部材
27 棒状部
28 リブ
29 上側凸部
30 下側凹部
31 パッキン収納溝
32 受入溝
32a 対向部
33 嵌着リブ
34 突条
35 上側凹部
36 下側凸部
37 嵌着リブ
38 受入溝
38a 対向部
39 係止溝
40 突条
43 パッキン
44 トンネル状空間
45 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に沿って横向きの延長方向(L)に配置される長尺の庇パネル(2)を備えた横張り形式の庇構成体であり、
前記庇構成体(1)は、建物の外壁に支持部材(4)を介して固設されるベース部材(5)と、該庇構成体の先端縁を構成する先端部材(6)と、前記ベース部材(5)と先端部材(6)の間に配置される庇パネル(2)から成り、少なくとも、前記ベース部材(5)と前記庇パネル(2)は、前記延長方向(L)に押出成形された金属成形材により構成されたものにおいて、
前記ベース部材(5)と庇パネル(2)のうち、一方を第1構成部材(M1)とし、他方を第2構成部材(M2)として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向(L)に延びる長尺の連結部材(26)を介して、相互に連結する構造(7a)であり、
前記第1構成部材(M1)は、対面部分に関して、上部に上側凸部(29)を設けると共に下部に下側凹部(30)を設け、上側凸部(29)の上面にパッキン収納溝(31)を形成すると共に下面に受入溝(32)を形成し、下側凹部(30)の下縁に上向きの嵌着リブ(33)を設けており、
前記第2構成部材(M2)は、対面部分に関して、上部に上側凹部(35)を設けると共に下部に下側凸部(36)を設け、上側凹部(35)の上縁に下向きの嵌着リブ(37)を設け、下側凸部(36)の上面に受入溝(38)を形成すると共に下面に係止溝(39)を形成しており、
前記パッキン収納溝(31)にパッキン(43)を収納した前記第1構成部材(M1)の上側凸部(29)を第2構成部材(M2)の上側凹部(35)に嵌入し、前記第2構成部材(M2)の下側凸部(36)を第1構成部材(M1)の下側凹部(30)に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝(32)(38)により形成されたトンネル状空間(44)に連結部材(26)を圧入することにより、該受入溝(32)(38)を上下方向に押し広げ、第2構成部材(M2)の嵌着リブ(37)を第1構成部材(M1)のパッキン収納溝(31)に嵌入させてパッキン(43)を圧縮すると共に、第1構成部材(M1)の嵌着リブ(33)を第2構成部材(M2)の係止溝(39)に嵌入させるように構成して成ることを特徴とする庇構成体における構成部材の連結構造。
【請求項2】
建物の外壁に沿って横向きの延長方向(L)に配置される長尺の庇パネル(2)を備えた横張り形式の庇構成体であり、
前記庇構成体(1)は、建物の外壁に支持部材(4)を介して固設されるベース部材(5)と、該庇構成体の先端縁を構成する先端部材(6)と、前記ベース部材(5)と先端部材(6)の間に配置される庇パネル(2)から成り、少なくとも、前記庇パネル(2)と前記先端部材(6)は、前記延長方向に押出成形された金属成形材により構成されたものにおいて、
前記庇パネル(2)と先端部材(6)のうち、一方を第1構成部材(M1)とし、他方を第2構成部材(M2)として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向(L)に延びる長尺の連結部材(26)を介して、相互に連結する構造(7b)であり、
前記第1構成部材(M1)は、対面部分に関して、上部に上側凸部(29)を設けると共に下部に下側凹部(30)を設け、上側凸部(29)の上面にパッキン収納溝(31)を形成すると共に下面に受入溝(32)を形成し、下側凹部(30)の下縁に上向きの嵌着リブ(33)を設けており、
前記第2構成部材(M2)は、対面部分に関して、上部に上側凹部(35)を設けると共に下部に下側凸部(36)を設け、上側凹部(35)の上縁に下向きの嵌着リブ(37)を設け、下側凸部(36)の上面に受入溝(38)を形成すると共に下面に係止溝(39)を形成しており、
前記パッキン収納溝(31)にパッキン(43)を収納した前記第1構成部材(M1)の上側凸部(29)を第2構成部材(M2)の上側凹部(35)に嵌入し、前記第2構成部材(M2)の下側凸部(36)を第1構成部材(M1)の下側凹部(30)に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝(32)(38)により形成されたトンネル状空間(44)に連結部材(26)を圧入することにより、該受入溝(32)(38)を上下方向に押し広げ、第2構成部材(M2)の嵌着リブ(37)を第1構成部材(M1)のパッキン収納溝(31)に嵌入させてパッキン(43)を圧縮すると共に、第1構成部材(M1)の嵌着リブ(33)を第2構成部材(M2)の係止溝(39)に嵌入させるように構成して成ることを特徴とする庇構成体における構成部材の連結構造。
【請求項3】
建物の外壁に沿って横向きの延長方向(L)に配置される長尺の庇パネル(2)を備えた横張り形式の庇構成体であり、
前記庇構成体(1)は、建物の外壁に支持部材(4)を介して固設されるベース部材(5)と、該庇構成体の先端縁を構成する先端部材(6)と、前記ベース部材(5)と先端部材(6)の間に並設状に配置される複数の庇パネル(2)(2)から成り、少なくとも、並設された隣り合う庇パネル(2)(2)は、前記延長方向に押出成形された金属成形材により構成されたものにおいて、
前記隣り合う庇パネル(2)(2)のうち、一方を第1構成部材(M1)とし、他方を第2構成部材(M2)として、両部材を対面させた状態で、前記延長方向(L)に延びる長尺の連結部材を介して、相互に連結する構造(7c)であり、
前記第1構成部材(M1)は、対面部分に関して、上部に上側凸部(29)を設けると共に下部に下側凹部(30)を設け、上側凸部(29)の上面にパッキン収納溝(31)を形成すると共に下面に受入溝(32)を形成し、下側凹部(30)の下縁に上向きの嵌着リブ(33)を設けており、
前記第2構成部材(M2)は、対面部分に関して、上部に上側凹部(35)を設けると共に下部に下側凸部(36)を設け、上側凹部(35)の上縁に下向きの嵌着リブ(37)を設け、下側凸部(36)の上面に受入溝(38)を形成すると共に下面に係止溝(39)を形成しており、
前記パッキン収納溝(31)にパッキン(43)を収納した前記第1構成部材(M1)の上側凸部(29)を第2構成部材(M2)の上側凹部(35)に嵌入し、前記第2構成部材(M2)の下側凸部(36)を第1構成部材(M1)の下側凹部(30)に嵌入した状態で、上下から対向する受入溝(32)(38)により形成されたトンネル状空間(44)に連結部材(26)を圧入することにより、該受入溝(32)(38)を上下方向に押し広げ、第2構成部材(M2)の嵌着リブ(37)を第1構成部材(M1)のパッキン収納溝(31)に嵌入させてパッキン(43)を圧縮すると共に、第1構成部材(M1)の嵌着リブ(33)を第2構成部材(M2)の係止溝(39)に嵌入させるように構成して成ることを特徴とする庇構成体における構成部材の連結構造。
【請求項4】
前記延長方向(L)に延びる長尺の連結部材(26)は、前記トンネル状空間(44)に圧入される棒状部(27)と、該棒状部の側面から突出するリブ(28)を一体に備え、該リブを介して前記延長方向に湾曲しないように直線姿勢を保持されており、
前記第1構成部材(M1)と第2構成部材(M2)は、それぞれの受入溝(32)(38)の両側に対向部(32a,32a)(38a,38a)を設け、該受入溝(32)(38)を上下方向に押し広げたとき、相互に対向する対向部が離反することにより隙間(45)(45)を形成するように構成されており、
前記連結部材(26)をトンネル状空間(44)に圧入したとき、棒状部(27)が受入溝(32)(38)を上下方向に押し広げ、リブ(28)が前記隙間(45)に挿入されるように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の庇構成体における構成部材の連結構造。
【請求項5】
前記連結部材(26)は、棒状部(27)を断面矩形に形成すると共に、該棒状部の両側面にリブ(28)(28)を突設しており、
前記第1構成部材(M1)と第2構成部材(M2)の上下から対向する受入溝(32)(38)は、それぞれ断面ほぼコ字形に形成され、両受入溝の底部に突条(34)(40)を形成して成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の庇構成体における構成部材の連結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate