説明

廃トナー回収装置及び画像形成装置

【課題】廃トナーを収容率高く回収できる廃トナー回収装置及びこの回収装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】廃トナー回収装置100は廃トナー回収容器101と、これに内蔵された廃トナー搬送部材102を含んでいる。搬送部材102は廃トナーを搬送するための螺旋溝1021が周設された円筒形容器形状の部材であり、廃トナー回収口部103から容器101内へ搬入される廃トナーを螺旋溝1021で搬送して、搬送先の搬送部材端部の底面BSで容器101内に詰め込むことができ、該詰め込みにより搬送部材底面BSが廃トナー反力を受けることで新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮可能である。画像形成装置Aは廃トナー回収装置100を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を形成する複写機、プリンター、ファクシミリ機又はこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置のトナークリーニング装置から排出される廃トナーを回収する廃トナー回収装置に関し、そのような廃トナー回収装置を備えた画像形成装置にも関係している。
【背景技術】
【0002】
トナー像を形成する複写機、プリンター、ファクシミリ機又はこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置では、感光体のような像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該可視トナー像を記録紙等の記録媒体に転写し、或いは一旦中間転写ベルト等の中間転写体に1次転写し、該中間転写体から記録媒体に2次転写し、このように記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。像担持体上に形成されるトナー像を転写体上に保持させた記録媒体に転写し、該記録媒体に定着させる画像形成装置もある。
【0003】
像担持体上に形成されたトナー像が記録媒体又は中間転写体に転写されたあと像担持体上に残留する転写残トナーや記録媒体粉等は像担持体用のトナークリーニング装置により除去清掃される。中間転写体に1次転写されたトナー像が記録媒体に2次転写されたあと中間転写体上に残留する転写残トナーや記録媒体粉等は中間転写体用のトナークリーニング装置により除去清掃される。また、転写体上に保持された記録媒体にトナー像が転写される画像形成装置では、該転写体上に残留することがあるトナーや記録媒体粉等が該転写体用のトナークリーニング装置で除去清掃されることもある。トナークリーニング装置で除去清掃されるトナー、或いはトナーと記録媒体粉等は一般に廃トナーと称されている。
【0004】
トナークリーニング装置により像担持体等から除去された廃トナーは、プリント枚数(画像形成枚数)の増加とともにトナークリーニング装置内に溜まっていくので、トナークリーニング装置内の廃トナーはトナー搬送スクリュー等のトナー搬送部材で該クリーニング装置から排出され、廃トナー回収装置へ搬送される。
【0005】
このような廃トナー回収装置は廃トナー回収容器を含んでおり、廃トナー回収容器は通常、廃トナーで満杯状態になると交換できるようになっている。
【0006】
かかる廃トナー回収容器は、今日の画像形成装置の小型化の要求に応えるため、画像形成装置における空きスペースに設置可能な横長形状のものが多くなってきている。
【0007】
例えば、特開2010−224284号公報には、水平方向に長い廃トナー回収容器が記載されており、該廃トナー回収容器の上面に設けた廃トナー回収口部から廃トナーを該回収容器内に受け入れて回収し、回収口部の下方に堆積する廃トナーを水平方向の回転軸を有する搬送スクリューで回収容器内の空きスペースへ移動させて、スペースを有効に利用しようとすることが記されている。
【0008】
また、特開2010−224284号公報記載の廃トナー回収装置においては、廃トナー回収容器内に堆積する廃トナーが搬送スクリューへ固着し、回収口部付近で廃トナー詰まりを発生させることを防止するためにトナー固着防止部材を設け、それにより回収容器内スペースを無駄なく活用しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−224284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の廃トナー回収装置では、搬送スクリューは廃トナー回収容器内の廃トナーの一部分しか撹拌できないため、廃トナー回収容器に、どうしても廃トナーが行きわたらないデッドスペースが生じてしまう。換言すれば廃トナー回収容器における廃トナー収容率(充填率)を満足できるものにし難い。
【0011】
また、廃トナー収容率を向上させようとして廃トナー回収容器内に設けた搬送スクリューや廃トナー固着防止部材が、逆に容器内の廃トナー回収スペースを減少させてしまい、結果、廃トナーの収容量を減少させることも難点である。
【0012】
そこで本発明は、トナー像を形成する画像形成装置において発生する廃トナーを回収するための廃トナー回収装置であって、廃トナーを収容率高く回収できる廃トナー回収装置を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、トナー画像を形成でき、廃トナー回収装置を備えた画像形成装置であって、廃トナー回収装置による廃トナー収容率が高く、それにより廃トナー回収容器の交換頻度を低くして、廃トナー回収容器の交換によるプリント生産性の低下を抑制できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため本発明は、次の廃トナー回収装置及び画像形成装置を提供する。
(1)廃トナー回収装置
トナー像を形成する画像形成装置において発生する廃トナーを回収するための廃トナー回収装置であり、廃トナー回収容器と、前記廃トナー回収容器に内蔵され、回転により廃トナー搬送可能な廃トナー搬送部材を含んでおり、
前記廃トナー回収容器は廃トナーの回収口部を有しており、
前記廃トナー搬送部材は回転中心線方向に廃トナーを搬送するための螺旋溝が周設された円筒形容器形状の部材であり、
前記廃トナーの回収口部は前記廃トナー回収容器の前記廃トナー搬送部材の回転中心線方向における片側端部寄りの部位に前記廃トナー搬送部材に臨むように形成されており、
前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナーの回収口部から前記廃トナー回収容器内へ搬入される廃トナーを回転駆動されることにより前記螺旋溝にて搬送して、該搬送先の廃トナー搬送部材端部の底面で廃トナー回収容器内に詰め込むことができ、該詰め込みにより廃トナー搬送部材底面が廃トナー反力を受けることで新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮可能である廃トナー回収装置。
【0015】
(2)画像形成装置
トナー像を形成する画像形成装置であり、本発明に係る廃トナー回収装置を備えているとともに該廃トナーナー回収装置の廃トナー搬送部材の回転駆動部を備えている画像形成装置。
【0016】
本発明に係る廃トナー回収装置によると、回転中心線方向に廃トナーを搬送するための螺旋溝が周設された円筒形容器形状の廃トナー搬送部材が廃トナー回収容器に内蔵されており、また、廃トナー回収容器の廃トナー搬送部材の回転中心線方向における片側端部寄りの部位に廃トナー搬送部材に臨むように廃トナー回収口部が設けられている。
【0017】
この廃トナー搬送部材は回転駆動されることで、廃トナー回収口部から廃トナー回収容器内へ搬入される廃トナーを螺旋溝で搬送し、搬送先の廃トナー搬送部材端部の底面、さらに言えば、円筒形容器形状の廃トナー搬送部材の底面で廃トナー回収容器内に詰め込んでいく。
【0018】
さらに、該廃トナー詰め込みにより廃トナー搬送部材底面が廃トナー反力を受けることで新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮する。その後に送られて来る廃トナーは、このようにして形成される新たな廃トナー収容スペースに詰め込まれていく。廃トナー搬送部材は該廃トナー詰め込みにより再び廃トナー搬送部材底面が廃トナー反力を受けることで再び新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮する。
【0019】
かくして本発明に係る廃トナー回収装置によると、円筒形容器形状の廃トナー搬送部材が新たな廃トナー収容スペースを廃トナー回収容器内に提供するように収縮できなくなるまで、廃トナーを廃トナー回収容器内に詰め込み収容できるので、廃トナーを収容率高く回収でき、画像形成装置に搭載して用いた場合、廃トナー回収容器の交換頻度を低くして、廃トナー回収容器の交換によるプリント生産性の低下を抑制できる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置では、廃トナー回収装置として本発明に係る廃トナー回収装置を採用しているので、トナー回収装置による廃トナー収容率が高く、それにより廃トナー回収容器の交換頻度を低くして、廃トナー回収容器の交換によるプリント生産性の低下を抑制できる。
【0021】
前記廃トナー搬送部材は、前記螺旋溝を有するものであるが、この螺旋溝を利用して回転中心線方向に収縮できるものとしてもよい。そのために、前記廃トナー搬送部材の周側壁として、前記螺旋溝と該螺旋溝に沿った螺旋畝状部とともに廃トナー搬送部材の回転中心線方向に伸縮可能な蛇腹状壁を提供するものを例示できる。
【0022】
このように周側壁を蛇腹状壁とした廃トナー搬送部材は底面が詰め込まれた廃トナーから反力を受けることで、該反力に応じて収縮することができる。
【0023】
廃トナー回収装置は、廃トナー搬送部材底面が詰め込まれた廃トナーから反力を受けることでより確実に廃トナー搬送部材が該反力に応じて収縮することができるように廃トナー反力応答収縮手段を有していてもよい。
このような手段の1例として収縮時の内圧を逃がすための通気孔を(例えば前記廃トナー回収口部側の端壁に)設けてもよい。
【0024】
廃トナー反力応答収縮手段として、上記通気孔のほか、円筒形容器形状の廃トナー搬送部材の底面が詰め込まれた廃トナーから反力を受けて廃トナー搬送部材内気圧が予め定めた気圧以上になるとその気圧で開き、それにより廃トナー搬送部材内気圧が予め定めた気圧へ下がると閉じる逃圧弁を例示できる。廃トナー搬送部材はこのような逃圧弁を(例えば前記廃トナー回収口部側の端壁に)備えていてもよい。このような逃圧弁を設ける場合、前記通気孔は設けなくてもよい。
【0025】
また、廃トナー反力応答収縮手段として、廃トナー搬送部材内にその回転中心線方向に延在するように、且つ、回転不能に配置されて前記底面を提供する廃トナー搬送部材の底壁に設けた雌ネジ部に螺合する雄ネジ棒を採用してもよい。この場合、該雄ネジ棒として、廃トナー搬送部材の回転により廃トナーが詰め込まれつつ、且つ、該詰め込まれた廃トナーの反力が予め定めた反力範囲に入るように詰め込まれつつ、廃トナー搬送部材の底壁を廃トナー搬送部材収縮方向へ駆動する雄ネジ棒を採用すればよい。
【0026】
また、廃トナー反力応答収縮手段として、廃トナー搬送部材の回転により廃トナーが詰め込まれるにつれ、弾性変形するバネを採用してもよい。
【0027】
このようなバネとして、例えば廃トナー搬送部材の螺旋溝に沿って配置されたコイルバネを挙げることができる。このようなバネは、廃トナー搬送部材底面が詰め込まれた廃トナーから反力を受けることで廃トナー搬送部材が収縮して新たな廃トナーの詰め込みが可能となるにつれ、次第に圧縮されて弾性復元力が増し、より多くの廃トナーを詰め込みやすくする。このようなバネを採用する場合、前記の通気孔或いは逃圧弁を併用してもよい。
【0028】
いずれにしても、前記円筒形容器形状の廃トナー搬送部材は未使用時において内部を補給トナー収容スペースとして使用できる部材であってもよい。
【0029】
本発明に係る画像形成装置は本発明に係る廃トナー回収装置を備えており、該廃トナー回収装置の廃トナー搬送部材の回転駆動部を備えているが、これに対し、該廃トナー搬送部材はそのような廃トナー搬送部材駆動部にて回転駆動される従動部を有することができる。
【0030】
本発明に係る廃トナー回収装置の廃トナー搬送部材は、回転により廃トナーを搬送する螺旋溝が周設された部材であるから、水平方向にも、重力方向にも、それらの中間の方向にも廃トナーを搬送することができ、従って、画像形成装置の廃トナー回収装置の配置スペースに応じて向き、大きさ等を選択でき、設計、製作し易い利点もある。
【0031】
また、本発明に係る廃トナー回収装置の廃トナー搬送部材は、回転により廃トナーを搬送する螺旋溝が周設された部材であるから、画像形成装置におけるトナークリーニング装置からの廃トナー排出手段の方向や位置に応じて廃トナー回収口部位置を選択しやすく、この点でも設計、製作し易い。
【0032】
例えば、前記廃トナー搬送部材は、画像形成装置において、廃トナーを水平方向に搬送する搬送部材としたり、重力方向に搬送する搬送部材としたりできる。
【0033】
本発明に係る画像形成装置では、例えば、前記廃トナー搬送部材の回転駆動部の制御部を設け、該制御部は、画像形成終了に伴って廃トナー回収容器への廃トナー搬入が止んだ後も予め定めた時間、前記廃トナー搬送部材が回転されるように前記回転駆動部を制御するものとしてもよい。これにより、回収口部からこぼれ落ちる廃トナー量を低減でき、例えば、廃トナー零れを抑制しつつ廃トナー回収装置を交換しやすくなる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように本発明によると、トナー像を形成する画像形成装置において発生する廃トナーを回収するための廃トナー回収装置であって、廃トナーを収容率高く回収できる廃トナー回収装置を提供することができる。
【0035】
また、本発明によると、トナー画像を形成でき、廃トナー回収装置を備えた画像形成装置であって、廃トナー回収装置による廃トナー収容率が高く、廃トナー回収容器の交換頻度を低くして、廃トナー回収容器の交換によるプリント生産性の低下を抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る廃トナー回収装置の例を搭載した画像形成装置例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1に示す廃トナー回収装置の概略斜視図である。
【図3】図1に示す廃トナー回収装置を一部切断して示す斜視図である。
【図4】図2、図3に示す廃トナー回収装置で廃トナーを収容し始める様子を示す図である。
【図5】図4に示す状態に続いて廃トナーが廃トナー回収容器内に詰め込まれる様子を示す図である。
【図6】図5に続き、詰め込まれた廃トナー反力で廃トナー搬送部材が収縮した状態例を示す図である。
【図7】本発明に係る廃トナー回収装置の他の例の概略断面図である。
【図8】本発明に係る廃トナー回収装置のさらに他の例の概略断面図である。
【図9】廃トナー搬送部材による廃トナーの重力方向下方への搬送を示す図である。
【図10】廃トナー搬送部材による廃トナーの重力方向上方への搬送を示す図である。
【図11】図11(A)は廃トナー回収容器を補給トナー収容容器として利用する例を示す図であり、図11(B)は廃トナー回収容器を補給トナー収容容器として利用する他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る廃トナー回収装置の例及び画像形成装置の例を図面を参照して説明する。
【0038】
図1は本発明に係る廃トナー回収装置の1例を搭載した画像形成装置の1例を示している。 図1に示す画像形成装置Aは、電子写真方式のモノクロ画像形成装置であり、複写機、プリンター、ファクシミリ機等の機能を有する複合機である。
【0039】
画像形成装置Aは、プリンター部10に画像読取装置IRを搭載したものであり、画像形成装置Aの動作を制御する制御部Contも含んでいる。画像形成装置各部の動作は制御部Contの指示のもとになされる。画像読取装置IRはそれ自体既に知られているもので、原稿画像を読み取り、読み取った画像情報を原稿複写やファクシミリ送信等に供することができる。
【0040】
プリンター部10は画像形成部1を含んでおり、画像形成部1は静電潜像担持体として回転駆動されるドラム型感光体11を備えている。感光体11の周囲に帯電器12、現像器14、転写器15、トナークリーニング装置16等がこの順序で配置されている。帯電器12と現像器14の間から感光体11へ画像露光を施す画像露光装置13も設けられている。転写器15はここでは転写ローラー151によりトナー像転写を行うものである。画像露光装置13はここでは画像読取装置IRや図示省略のコンピュータ等から画像情報を供給されてレーザ光により画像露光を施すものである。
【0041】
記録媒体搬送方向において転写ローラー151の上流側にはタイミングローラー対Tが、下流側に定着装置17がそれぞれ設けられている。タイミングローラー対Tのさらに上流側には記録媒体供給部2が設けられている。
【0042】
供給部2は記録媒体収容カセット21に収容された記録媒体(記録紙等)Sをピックアップローラー22で拾い上げ、媒体供給ローラー211と捌きローラー212にて一枚ずつタイミングローラー対Tへ供給できる。定着装置17の下流側には媒体排出ローラー対18及び媒体排出トレイ19も設けられている。
【0043】
さらに、画像形成部1と記録媒体収容カセット21の間に廃トナー回収装置100が配置されている。なお、図中rは記録媒体案内ローラーである。
【0044】
この画像形成装置Aによると、感光体11が図中時計方向に回転駆動され、該感光体表面が帯電器12にて所定電位に帯電され、該帯電域に画像露光装置13から形成しようとする画像に応じた画像露光が施される。これにより感光体11上に静電潜像が形成され、該潜像が現像器14で現像されて可視トナー像となる。
【0045】
一方、記録媒体(記録紙等)供給部2からタイミングローラー対Tへ記録媒体Sが供給され、タイミングローラー対Tは感光体11上のトナー像が転写ローラー151へ到来するタイミングで記録媒体Sを転写領域へ送り込む。
【0046】
かくして、感光体上トナー像が転写器15(転写ローラー151)により記録媒体Sに転写され、ひき続き該記録媒体Sが定着装置17に通されることで該記録媒体Sに定着される。その後記録媒体Sは排出ローラ対18にて媒体排出トレイ19へ排出される。
【0047】
トナー像転写後感光体11上に残留する転写残トナーや記録媒体粉等はトナークリーニング装置16にて除去清掃される。
【0048】
記録媒体供給カセット21の上側空間を利用してそこに廃トナー回収装置100が配置されている。クリーニング装置16にて除去されたトナー等は廃トナーとしてスクリューコンベア等の搬送部材(図示省略)を内蔵した廃トナー搬送管161で廃トナー回収装置100の廃トナー回収容器101へ送られ、該容器に回収される。
【0049】
図2は画像形成装置Aにおける廃トナー回収装置100の概略斜視図であり、図3は廃トナー回収装置100の一部を切断して示す斜視図である。
【0050】
図2、図3に示すように、廃トナー回収装置100は、廃トナー回収容器101と、これに内蔵された廃トナー搬送部材102を含んでいる。廃トナー回収容器101は例えば円筒形状等のものでもよいが、ここでは直方体形状のものであり、前記廃トナー搬送管161が取り外し可能に接続される廃トナー回収口部103を有している。
【0051】
廃トナー搬送部材102は回転により廃トナー搬送可能な部材である。
さらに言えば、廃トナー搬送部材102は回転中心線CL方向に廃トナーtを搬送するための螺旋溝1021が周設された中空の円筒形容器形状の部材である。
【0052】
廃トナーtの回収口部103は廃トナー回収容器101の廃トナー搬送部材の回転中心線CL方向における片側端部寄りの部位に廃トナー搬送部材102に臨むように形成されている。
【0053】
廃トナー搬送部材102は廃トナー回収口部103に近い廃トナー回収容器の端壁w1に回転軸104を有しており、回転軸104は回収容器101に回転可能に支持されるとともに容器101の外まで突出している。回転軸104の容器101外へ突出した部分には従動ギアgが設けられている。
【0054】
図1に示すように廃トナー回収装置100が画像形成装置Aに装着される状態では、廃トナー搬送部材102の回転中心線CLは、図1において手前側から奥側へ水平に配置される。そして、廃トナー搬送部材102は、画像形成装置A内の駆動部(ここでは歯車伝動機構Gとその駆動モーターM)にて制御部Contの指示のもとに回転駆動可能となる。
【0055】
廃トナー搬送部材102の周側壁Wは、前記螺旋溝1021と螺旋溝1021に沿った螺旋畝状部1022とともに廃トナー搬送部材回転中心線CL方向に伸縮可能な蛇腹状壁を提供している。
【0056】
廃トナー回収容器101の外側に逃圧弁Vが配置されており、これは廃トナー搬送部材102の回転軸104中を通る管Pにより搬送部材102内へ連通している。逃圧弁Vについては後ほど述べる。
【0057】
廃トナー搬送部材102の前記端壁w1とは反対側の端壁w2は円筒形容器形状である搬送部材102の廃トナー搬送先の底壁となっている。底壁w2にはトナー撹拌用突起aが突設されている。
【0058】
以上説明した廃トナー回収装置100は画像形成装置Aに搭載され、廃トナー搬送部材102がその螺旋溝1021でトナーを底壁w2側へ搬送できるように回転駆動され、トナークリーニング装置16から排出管161にて排出されてくる廃トナーtを回収口部103で受け入れて回収容器101内に収容できる。
【0059】
図4から図6は廃トナー回収容器101内に廃トナーtが収容率高く収容される様子を示している。
この廃トナー収容動作において、廃トナー搬送部材102は、廃トナー回収口部103から容器101内へ搬入される廃トナーtを螺旋溝1021で搬送して、搬送先の廃トナー搬送部材底壁w2が提供する底面BSで廃トナー回収容器101内にその奥側から詰め込む(図4、図5参照)。
【0060】
この廃トナー詰め込みにより廃トナー搬送部材底面BSが廃トナー反力を受けることで新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線CL方向に収縮する。
【0061】
その後に送られて来る廃トナーは、このようにして形成される新たな廃トナー収容スペースに詰め込まれていく。廃トナー搬送部材102は該廃トナー詰め込みにより再び廃トナー搬送部材底面BSが廃トナー反力を受けることで再び新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮する(図6参照)。
【0062】
かくして廃トナー回収装置100によると、円筒形容器形状の廃トナー搬送部材102が新たな廃トナー収容スペースを廃トナー回収容器101内に提供するように収縮できなくなるまで、廃トナーtを廃トナー回収容器101内に詰め込み収容できるので、廃トナーtを収容率高く回収できる。
【0063】
画像形成装置Aでは、トナー回収装置100による廃トナー収容率が高いので、廃トナー回収容器の交換頻度を低くして、廃トナー回収容器の交換によるプリント生産性の低下を抑制できる。
【0064】
廃トナー回収装置100では、廃トナー搬送部材102は周側壁が伸縮可能な蛇腹状壁に形成された円筒形容器形状の部材であるから、廃トナー搬送部材底面BSが詰め込まれた廃トナーから反力を受けることで廃トナー搬送部材102が該反力に応じて収縮することができるが、本例では、逃圧弁Vの作用でより確実に収縮できる。
【0065】
すなわち、逃圧弁Vは円筒形容器形状の廃トナー搬送部材102の底面BSが詰め込まれた廃トナー tから反力を受けて廃トナー搬送部材内気圧が予め定めた気圧以上になるとその気圧で開き、それにより廃トナー搬送部材内気圧が予め定めた気圧へ下がると閉じる弁である。従って、廃トナー搬送部材102は逃圧弁Vの作用で、詰め込まれた廃トナー反力に応じてより確実に収縮できる。
【0066】
画像形成装置Aの制御部Contは、画像形成終了に伴って廃トナー回収容器101への廃トナー搬入が止んだ後も予め定めた時間、廃トナー搬送部材102が回転されるように回転駆動部のモーターMを制御する。これにより、回収口部103からこぼれ落ちる廃トナー量を低減でき、例えば、廃トナー零れを抑制しつつ廃トナー回収装置100を交換しやすくなる。
【0067】
図7は本発明に係る廃トナー回収装置の他の例を示している。図7の廃トナー回収装置100’は、先の装置100において逃圧弁Vに代えて雄ネジ棒105を採用したものである。その他の点は装置100と同じである。装置100と同じ部品、部分には装置100と同じ参照符号を付してある。
【0068】
図7の装置100’では、廃トナー搬送部材102内に雄ネジ棒105が配置されている。雄ネジ棒105は長手方向中心線が搬送部材回転中心線と同位置にある。雄ネジ棒105は一端部105aが搬送部材102の回転軸104に回転可能に内嵌支持されており、他端部105bは搬送部材底壁w2に設けた雌ネジ部106に螺合しつつ搬送部材102外へ突出して容器101に回転不能に固定支持されている。
【0069】
雄ネジ棒105として、廃トナー搬送部材102の回転により廃トナーtが詰め込まれつつ、且つ、該詰め込まれた廃トナーtの反力が予め定めた反力範囲に入るように詰め込まれつつ、廃トナー搬送部材102の底壁 w2を廃トナー搬送部材収縮方向へ駆動する雄ネジ棒が採用されている。
【0070】
図8は廃トナー回収装置の他の例を示している。図8の廃トナー回収装置100”は廃トナー搬送部材102の螺旋溝1021に沿ってコイルバネ107設け、搬送部材回転軸104に搬送部材内外を連通させる通気孔104aを設けたものである。その他の点は図2等に示す回収装置100と実質上同じである。バネ107は、廃トナー搬送部材底面BSが詰め込まれた廃トナーから反力を受けることで廃トナー搬送部材102が収縮して新たな廃トナーの詰め込みが可能となるにつれ、次第に圧縮されて弾性復元力が増し、より多くの廃トナーを詰め込みやすくする。
【0071】
以上説明した廃トナー回収装置100、100’、100”の廃トナー搬送部材102は、回転により廃トナーを搬送する螺旋溝1021が周設された部材であるから、図1に示す水平方向だけでなく、重力方向にも、それらの中間の方向にも廃トナーを搬送することができる。例えば図9、図10示すように重力方向下方へも、上方へも搬送できる。
【0072】
従って、画像形成装置Aの廃トナー回収装置の配置スペースに応じて向き、大きさ等を選択でき、設計、製作し易い。
【0073】
また、廃トナー搬送部材102は、未使用時おいて内部を補給トナー収容スペースとして使用できる。
図11はその例を示している。図11(A)に示す廃トナー回収装置100xでは、廃トナー搬送部材102の回転軸104に補給トナー供給口部1041が形成されており、廃トナー搬送部材102内に予め収容しておいた補給トナー(新トナー)を、搬送部材102が廃トナー詰め込みにより次第に収縮していくにつれ、補給トナー供給口部1041から、画像形成装置中の現像器位置等に応じて直接、或いは適当な搬送手段を介して現像器14へ供給することができる。新トナーを円滑に取り出すために補給トナー供給口部1041或いはさらにその奥までトナー撹拌スクリューのような部材を設けてもよい。
【0074】
図11(B)に示す廃トナー回収装置100yでは、廃トナー搬送部材102の回転軸104側の周側壁端部に補給トナー排出口(図示省略)が設けられ、廃トナー回収容器101に該補給トナー排出口から出て来るトナーを現像器へ供給するための補給トナー供給口部1042が設けられ、さらに廃トナー回収容器101内の前記搬送部材102の補給トナー排出口(図示省略)と廃トナー回収口部103の間に仕切り108が設けられている。
【0075】
廃トナー回収装置100yによると、廃トナー搬送部材102内に予め収容しておいた補給トナー(新トナー)を、搬送部材102が廃トナー詰め込みにより次第に収縮していくにつれ、補給トナー排出口(図示省略)から容器101内へ、さらに補給トナー供給口部1042から、画像形成装置中の現像器位置等に応じて直接、或いは適当な搬送手段を介して現像器14へ供給することができる。新トナーを円滑に取り出すために補給トナー供給口部1042或いは搬送部材102内等にトナー撹拌スクリューのような部材を設けてもよい。
【0076】
以上説明した画像形成装置Aはモノクロ画像形成装置であったが、本発明はカラー画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明はトナー像を形成する画像形成装置において発生する廃トナーを回収するための廃トナー回収装置であって、廃トナー収容率が高い廃トナー回収装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0078】
A 画像形成装置
1 画像形成部
11 感光体
12 帯電器
13 画像露光装置
14 現像器
15 転写器
151 転写ローラー
16 トナークリーニング装置
T タイミングローラー対
17 定着装置
18 媒体排出ローラー対
19 排出トレイ
2 記録媒体収容部
21 記録媒体収容カセット
S 記録媒体
100、100’、100”、100x、100y 廃トナートナー回収装置
101廃トナー回収容器
103 廃トナー回収口部
102 廃トナー搬送部材
w1 端壁
w2 底壁
BS 底面
W 周側壁(蛇腹状壁)
104 回転軸
V 逃圧弁
t 廃トナー
105 雄ネジ棒
106 雌ネジ部
107 コイルバネ
1041、1042 補給トナー供給口部
108 仕切り


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する画像形成装置において発生する廃トナーを回収するための廃トナー回収装置であり、廃トナー回収容器と、前記廃トナー回収容器に内蔵され、回転により廃トナー搬送可能な廃トナー搬送部材を含んでおり、
前記廃トナー回収容器は廃トナーの回収口部を有しており、
前記廃トナー搬送部材は回転中心線方向に廃トナーを搬送するための螺旋溝が周設された円筒形容器形状の部材であり、
前記廃トナーの回収口部は前記廃トナー回収容器の前記廃トナー搬送部材の回転中心線方向における片側端部寄りの部位に前記廃トナー搬送部材に臨むように形成されており、
前記廃トナー搬送部材は、前記廃トナーの回収口部から前記廃トナー回収容器内へ搬入される廃トナーを回転駆動されることにより前記螺旋溝にて搬送して、該搬送先の廃トナー搬送部材端部の底面で廃トナー回収容器内に詰め込むことができ、該詰め込みにより廃トナー搬送部材底面が廃トナー反力を受けることで新たな廃トナー収容スペースを提供するように該反力に応じて回転中心線方向に収縮可能であることを特徴とする廃トナー回収装置。
【請求項2】
前記廃トナー搬送部材の周側壁は、前記螺旋溝と該螺旋溝に沿った螺旋畝状部とともに廃トナー搬送部材の回転中心線方向に伸縮可能な蛇腹状壁を提供している請求項1記載の廃トナー回収装置。
【請求項3】
前記廃トナー搬送部材は廃トナー反力応答収縮手段を備えている請求項2記載の廃トナー回収装置。
【請求項4】
前記廃トナー搬送部材は前記廃トナー回収容器外へ突出する回転軸を有しており、該回転軸に、前記画像形成装置における廃トナー搬送部材駆動部にて回転駆動される従動部が設けられている請求項1、2又は3記載の廃トナー回収装置。
【請求項5】
前記円筒形容器形状の廃トナー搬送部材は未使用時において内部を補給トナー収容スペースとして使用できる部材である請求項1、2、3又は4記載の廃トナー回収装置。
【請求項6】
トナー像を形成する画像形成装置であり、請求項1から5のいずれか1項に記載の廃トナー回収装置を備えているとともに該廃トナー回収装置の廃トナー搬送部材の回転駆動部を備えている画像形成装置。
【請求項7】
前記廃トナー搬送部材は廃トナーを水平方向に搬送する搬送部材である請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記廃トナー搬送部材は廃トナーを重力方向に搬送する搬送部材である請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記廃トナー搬送部材の回転駆動部の制御部を備えており、該制御部は、画像形成終了に伴って廃トナー回収容器への廃トナー搬入が止んだ後も予め定めた時間、前記廃トナー搬送部材が回転されるように前記回転駆動部を制御する請求項6、7又は8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−68745(P2013−68745A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206476(P2011−206476)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】