説明

廃プラスチック油化製造方法とその装置。

【課題】オフガスの防爆管理と共に廃プラスチック油の製造原価を極めて廉価にする廃プラスチック油化製造装置とその方法を提供する。
【解決手段】加熱、熱源は廃プラスチックを加熱する時に発生する、オフガスと言われている廃ガスを主な燃料源にして、燃費を低く押える手段として、旋回流熱風炉5及び球形サイクロン冷却器10によって、温度管理を安全に廉価に速やかに制御する方法と、暖気運転時の燃料のみ、天然ガス又はプロパンガスを使用し触媒は砂のみで、最後は防爆対策を徹底することで、安全で廉価のランニングコストの廃プラスチック油化製造方法とその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃プラスチック油化製造方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は廃プラスチックの油化を目的にした装置が多数出願され、一部は実用化を試みながら、ガス洩れによる爆発が起き、加熱方法と伝熱手段の稚拙さから油化コストの上昇を招き、安心して使用できる装置に至っていなかった。
【0003】
廃プラスチックを加熱すると泡状の溶融物が発生し、プラスチックの種類、例えばポリエチレンは触媒を使って、泡を消した後冷却しても油化することが出来ず、可燃性ガスになり、通常はオフガスとして大気放出している。着火して燃焼処理後、大気放出する等の方法が取られていた。
【0004】
オフガスに新鮮空気、即ち酸素混合を行なうと極めて危険な状態になり、大気放出前に配管内で大量発生して圧力が上昇し、電気のスパ−クやその他引火物が近くにあると爆発を起こすなど大事故になる危険性を孕んでいる。
【発明の開示】
【0005】
特許公開2003−213276でプラスチックの油化方法及び油化プラントがあるが自治体に納入して爆発を起こし撤退している。
非特許技術ではホームペ−ジで固体産業廃棄物処理に詳しく明示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の方法では、爆発を避けるため電気加熱を採用しても暖気運転に2時間以上掛かり、ランニングコストが上昇した上オフガスの発生は必ず付きものなので、大きな課題になっていた。
【0007】
加熱に一番不利な電気を使用すること事態意味が無くなるので、初期の熱源には天然ガスやプロパンガスで旋回流熱風炉を用いて短時間で暖気運転を行なった後は、廃プラスチック加熱時に発生するオフガスを、旋回流熱風炉の熱源として使用し、燃費の軽減化を図る。
【0008】
本発明は、従来技術では解決出来なかった問題を解決しようとするものであり、既に油化するものだけに限られていたプラスチックの種類の垣根をはずし、総て破砕した上液化を目的にしてもオフガスにしかならないプラスチックもあるので、その対策が望まれていた。
【0009】
オフガスの酸素混合は構造上全く混合しない方法を工夫し、水封やプラスチック溶融液による封印を徹底して設計し、納入した欧州の有力企業製の廃プラスチック油化装置も数億円で自治体に納入しながら爆発事故で撤退している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
総ての廃プラスチックを混入して破砕することにより油化できるものと、ガス化し加熱して燃料に使用できるものが大別されて、2方向に分けられ、油は軽質油と重質油の槽に回収し、更に精製の上、市販の軽油に匹敵する商品を形成する、重質油はA重油に精製され使用される。オフガスはガスコントロールされた上、廃プラスチック加熱バーナー用燃料に利用される。
【0011】
上記で述べたように加熱用燃料としてオフガスを利用した上、熱効率の高い旋回流熱風炉を使用することによって廃プラスチックの油化・ガス化に拘るランニングコストが極めて廉価になると思われる。
【0012】
本発明は上記目的を達成するため、油化できるプラスチック、ガス化に限定されたプラスチックも総て混合して破砕機で粉砕し、任意の大きさにした廃プラスチックを、一定量を送るために、時間当り定量管理したロータリ−バルブを経由してキルン内に導入し、ガスバーナーで一定温度に上昇し、泡状から砂触媒でガス化する。
【0013】
ガス化した廃プラスチックは防爆用高速爆発遮断バルブを経て、急速冷却用球形サイクロン冷却器へ導入し、重質油とオフガスに分離し、オフガスは再度高速爆発遮断バルブを経由して軽質油分離槽で軽質油とオフガスに分離し、オフガスは水封層を経由してガス槽に貯留され、圧力を一定にした上で、加熱用メインバーナーで燃焼用ガスに利用する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術では廃プラスチックは圧縮加工して、韓国や中国へ原料として輸出されていたが、最近のニュ−スでは発泡スチロ−ルやプラスチックを圧縮することによって有害物質が発生し、圧縮加工場の近隣住民がその被害に遭っていることが報道されたが、圧縮処理方法も安全なものではなくなったといえる。
【0015】
上記したように本発明の廃プラスチック油化製造装置は過去の爆発事例などから学習して、全く爆発させない対策に重点を置き、購入した顧客が安心して使用できる装置を提供する。
【0016】
オフガスの防爆管理と共に廃プラスチック油の製造原価を極めて廉価にすることで、顧客の投下資本が早い期間に回収できるというコストメリットを生み出す機種として御利用して戴けるものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0018】
図においては、1は破砕機で総てのプラスチックを任意の大きさに破砕し、コンベア2でロータリ−バルブ付ホッパ−3に送られる。キルン4は旋回流熱風炉5に隣接し、ガスバーナー(オフガスを利用する)6で加熱した熱風は、ブロア7によって球形内を旋回し、旋回流熱風を起こし、キルン4内へ旋回しながら熱風がキルン内壁を暖め、速やかに破砕した廃プラスチックを泡化する。
【0019】
予めキルン4で暖められた砂と泡化した廃プラスチックはキルン4の回転と共にキルン内に取付けられた切替え羽8で上に掻き上げられてから下に落とされることを繰り返し乍ら消泡される。消泡したガスは高速爆発遮断バルブ9を経由して球形サイクロン冷却器10に導入され急速冷却により油化とオフガスに分離され油は重質油貯留槽11に貯えられる。
【0020】
冷却しても油化しなかったオフガスは、高速爆発遮断バルブ12を経て軽質油分離槽13に送られ、再度油化したものは軽質油貯留槽14に貯えられる。オフガスは水封槽15で封印され、水封槽15を通過したガスはガスタンク16に貯えられ、一定圧力を確保した後バーナー6に送られ燃焼する。廃プラスチックを加熱した後の残渣は残渣層17に回収される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態を示す廃プラスチック油化製造装置とその方法の外観断面図
【符号の説明】
【0022】
1.破砕機
2.コンベア
3.ロ−タリ−バルブ付ホッパ−
4.回転炉(キルン)
5.旋回流熱風炉
6.バーナー(オフガス処理)
6.バーナー(オフガス処理)
7.ブロア
8.切替刃(キルン内)
9.高速爆発遮断バルブ
10.球形サイクロン冷却器
11.重質油貯留層
12.高速爆発遮断バルブ
13.軽質油分離槽
14.軽質油貯留槽
15.水封槽
16.ガスタンク
17.残渣槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人特願(2000−404312)旋回流熱風乾燥装置に表示した旋回流熱源を用い、キルンを2層構造にして、廃プラ高温ガスに新鮮空気を混合して、爆発しない構造としたことを特徴とする廃プラスチック油化製造方法とその装置。
【請求項2】
上記請求項1において、本人特願(2000−404312)の旋回流熱風炉はφ1750mmのキルンを暖気する時間が通常2〜3時間を要するのに対して、15分間で乾燥作業に入ることを可能にし、更に乾燥コストを極めて廉価にした実績を、基にしたことを特徴とする廃プラスチック油化製造方法とその装置。
【請求項3】
上記請求項1・2において廃プラスチックを脱酸素状態で加熱し、泡状に煮えたぎる時、消泡の為、砂を混入して均一の温度にし、一定温度の砂と廃プラスチックがキルン内で上下左右に切替しすることによって、泡消し用触媒に替る砂触媒を使用したことを特徴とする廃プラスチック油化製造方法とその装置。
【請求項4】
上記請求項1・2・3において、消泡したガスを油化するとき、温度を急速に冷却する必要がある。本願冷却器に使用している球形サイクロンは本人特許(日本、1999741独国、P3876910.7−08米国,第4,908,049英国、10307821B1仏国、030782181加国、1,332,048豪国、606207伯国、P18801778−8墨国、172006)をチラ−として使用し、急速冷却により液化を促がすことを特徴とする廃プラスチック油化製造方法とその装置。
【請求項5】
上記請求項1・2・3・4において廃プラスチックを熱して泡状から気化し、該気体に酸素が混合されると爆発し易い状態になる為、配管の任意の場所に防爆用高速爆発遮断バルブを取付けたことを特徴とする廃プラスチック油化製造方法とその装置。
【請求項6】
上記請求項1・2・3・4・5において旋回流熱風が容易に温度上昇に寄与する為、廃プラスチックを加熱することによって発生するオフガスを主な燃料として使用し、装置の稼働時、廃プラスチックのオフガス発生までの間だけ天然ガスやプロパンガスを使用することを特徴とする極めて経済的な廃プラスチック油化製造方法とその装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−7537(P2009−7537A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192601(P2007−192601)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000159906)
【Fターム(参考)】