説明

廃棄物処理装置及びその運転方法

【課題】ろ過体を劣化させずにその再生を行うことにより、除塵装置ろ過体のベース差圧の上昇を防止し、廃棄物処理装置の運転継続が可能になる運転方法を得る。
【解決手段】部分酸化炉1にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスを除塵装置2に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法において、除塵装置2のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときに、除塵装置2内を酸化雰囲気にすることにより、ろ過体の再生を行なうろ過体再生工程を有し、該ろ過体再生工程において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分酸化炉にて廃棄物を部分酸化又は熱分解して可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスを、ろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置及びその運転方法に関する。
なお、本明細書において廃棄物というときは、都市ごみ、産業廃棄物、廃プラスチック、汚泥、バイオマスおよびこれらの混合物をいう。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ、産業廃棄物あるいはバイオマス等を部分酸化させて、ガス化した後に可燃性ガスを燃焼させる廃棄物処理装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に提案された廃棄物処理装置は、図3に示すように、廃棄物が投入されると共に部分酸化用の空気が供給され、部分酸化によって可燃性ガスを発生する部分酸化炉121と、部分酸化炉121で発生した可燃性ガスの除塵を行う除塵装置122と、除塵装置122で除塵された可燃性ガスを燃焼する燃焼炉123と、燃焼したガスの熱回収を行うボイラ124が順次接続されている。
廃棄物やバイオマス等からガス化した可燃性ガスにはボイラの腐食を引き起こすダストが含まれるが、燃焼炉に供給する可燃性ガス中のダストを除塵装置で除塵することにより、ボイラの腐食を防止することができ、より高温域の熱回収ができるため、廃棄物やバイオマス等を利用して発電する効率を高めることができる。
【0003】
上記構成の廃棄物処理装置における除塵装置122においては、可燃性ガスを、その温度を250〜500℃に保ちつつ、ろ過体に導入して可燃性ガス中のダスト濃度を0.1g/Nm以下まで低減するとしている。可燃性ガスの温度を上記範囲に設定した理由は、250℃未満では可燃性ガスに含まれるタールの大部分が凝縮して液状であるため除塵装置へ可燃性ガスを導入するダクト内面や除塵装置入口付近に付着して、可燃性ガスの流通に支障が生じる問題があり、500℃より高いとダスト中の塩類が溶融してろ過体の目詰まりが生じる問題があるからである。
さらに、酸素濃度5%以下のガスあるいは窒素ガスで定期的にろ過体の付着物を払い落とすこととしている。
【0004】
上記廃棄物処理装置における除塵装置122は、例えば図4に示すように、部分酸化炉から発生する可燃性ガスの通過路となるケーシング131の内部に複数のフィルタ133を有し、該フィルタ133に付着したダストを払い落とし用パルスジェットによって払い落とす払落し装置135を備えてなるものである。そして、この払落し装置135によって定期的にフィルタ内側からパルスジェット気体を吹込み、フィルタ133に付着したダストを払い落とすのである。
【0005】
図5は払落し装置135による払い落とし動作とフィルタ133の差圧との関係を示すグラフであり、縦軸がフィルタ差圧、横軸が時間を示している。フィルタ差圧は、例えば除塵装置入口と出口の圧力差、フィルタ入口と出口の圧力差又はフィルタ入口と大気圧のを圧力差を計測して求められる。
図5に示すように、フィルタ133にはダストが付着することで差圧が上昇するが、定期的に行われる払い落とし操作(パルスジェット)によって付着したダストが払い落とされると、一旦上昇した差圧は低下する。この払い落とし操作によって付着物を払い落とした後の安定したフィルタ差圧をベース差圧という。このベース差圧が一つ前の払い落とし操作後のベース差圧と同じ場合(図5の状態)若しくは低い場合には、ベース差圧が上昇することはなく正常な除塵運転を継続できる。
【0006】
しかしながら、廃棄物の種類、性状や部分酸化炉への送風バランスの関係で可燃性ガスにタール分が含まれる場合には、このタール分やダストを含むタール分がフィルタに付着して、通常の払い落とし操作では落ちにくくなる。また、廃プラスチックを部分酸化した場合には可燃性ガス中にSOOT(煤、炭素質微粒子)のサブミクロンダストが含まれ、これがフィルタ表面に付着して通常の払い落とし操作では落ちにくくフィルタ表面が閉塞される。
【0007】
図6はタール分やサブミクロンダストが含まれる可燃性ガスの除塵を行なったときのフィルタ133の差圧の変化を示したグラフであり、縦軸がフィルタ差圧を示し、横軸が時間を示している。
図6に示されるように、可燃性ガスにタールやサブミクロンダストが含まれる場合には、ベース差圧が一つ前の払い落とし操作後のベース差圧よりも若干高くなり、時間と共に徐々に上昇していく。これはフィルタ133に付着したタールやサブミクロンダストが通常の払い落とし操作では十分に払い落とすことができず、付着分が徐々に増加してベース差圧が増加しているからである。
【0008】
可燃性ガス中のタールの上昇は、処理廃棄物の組成の変化や部分酸化炉内への送風量と処理廃棄物のバランスの崩れなどに起因するが、いずれにしても廃棄物処理においては処理廃棄物の組成や性状が大きく変化することはよくあることであり、可燃性ガス中にタールが多く発生することは避けられない。また、廃プラスチックを部分酸化した場合には可燃性ガス中にサブミクロンダストが含まれることも避けられない。そして、タールやサブミクロンダストの付着によってフィルタの差圧が高くなると、可燃性ガスの除塵に支障が生じたり、フィルタの破損や炉内圧上昇による可燃性ガスの炉外流出などが生じたりして、運転を継続することができなくなることもあることから、タールやサブミクロンダスト付着に起因するフィルタ差圧上昇は重要な問題である。
【0009】
そこで、このような除塵装置のフィルタへのタールやサブミクロンダストの付着によるベース差圧上昇に対する対策として、除塵装置のフィルタのベース差圧が所定値を超えたときに、部分酸化炉への廃棄物の供給を停止し、可燃性ガスの発生を停止して部分酸化炉から排出されるガスの酸素濃度を高めて、除塵装置内を酸化雰囲気にすることにより、ろ過体に付着したタールやサブミクロンダスト等の付着物をガス化、燃焼させ、あるいは付着物中のタールを燃焼、ガス化することにより付着物の付着力を低下させたり、付着物を脆くさせたりして付着物を剥離させて、付着物を除去しベース差圧を低下させることが開示されている。(特許文献2参照)
【0010】
なお、特許文献2に記載の方法においては、除塵装置内を酸化雰囲気にする方法として、部分酸化炉への廃棄物の供給を停止し、可燃性ガスの発生を停止して部分酸化炉から排出されるガスの酸素濃度を高めるものが開示されているが、除塵装置内を酸化雰囲気にするには、部分酸化炉への廃棄物の供給量を低減すること、部分酸化炉への酸化剤(空気等)の供給量を増加すること又は除塵装置内へ酸化剤を供給することにより行うこともできる。
【特許文献1】特開2000−161638号公報
【特許文献2】特開2006−043515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載の方法のように除塵装置内を酸化雰囲気にすることにより、ろ過体に付着した付着物をガス化、燃焼もしくは剥離させ、ベース差圧を低下させることをろ過体の再生というが、このようなろ過体の再生を行う際に、下記のような問題が生じることがある。
ろ過体としてセラミックファイバーフィルタを用いた除塵装置において、ろ過体のベース差圧を下げる再生運転を行ったところ、再生運転の途中でタール等の燃焼によりろ過体部のガス温度が過剰な高温度まで上昇した時間があった。再生運転終了後ろ過体を調査してみたところ、この温度上昇のためろ過体が熱損傷を受けその強度が低下し劣化していた。
また、ろ過体として、アルミナシリケート系のセラミックファイバーフィルタを用いる場合には、フィルタ成分のSiO2成分が付着したダストに含まれるNa、K、S、Clを含む化合物と水分と反応してガラス化してフィルタの強度が低下して劣化することが考えられる。
劣化したろ過体は耐用年数が著しく短くなり、短期間で交換しなければならないという問題が生じる。
【0012】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、ろ過体を劣化させることなくろ過体の再生を行うことにより、除塵装置のろ過体のベース差圧の上昇を可及的に防止して、廃棄物処理装置の運転継続を可能にすることができる廃棄物処理装置及びその運転方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者は上記課題を解決するために、ろ過体としてセラミックファイバーフィルタを用いた除塵装置で、ろ過体のベース差圧を下げる再生運転中にろ過体部の温度が過剰に上昇する現象を解析した。
図7はろ過体の再生運転中のろ過体部温度の時間変化とろ過体のベース差圧の時間変化を示すグラフであり、横軸が時間(分)を示し、縦軸がろ過体のベース差圧(KPa)、ろ過体上流側温度Ta(℃)及びろ過体部温度Tb(℃)を示す。
以下、図7に基づいて行なった解析結果について説明する。
【0014】
除塵運転を行っていると、ろ過体のベース差圧が上昇して所定値を超えたため、時刻αでろ過体の再生運転を開始した。
時刻αから部分酸化炉へ供給する酸化剤(空気)供給量を変えずに部分酸化炉への廃棄物の供給量を徐々に低減し、部分酸化炉で発生する可燃性ガス発生量を低減し除塵装置へ導入されるガスの酸素濃度を増加させ除塵装置内を酸化雰囲気にしたところ、ろ過体に付着した付着物を緩やかに除去でき、ろ過体のベース差圧が低減した。
【0015】
ろ過体のベース差圧を好ましい差圧までさらに低減させるために、時刻βで部分酸化炉への廃棄物の供給を停止し、可燃性ガスの発生を停止し、他方、部分酸化炉に供給される酸化剤(空気)はそのまま除塵装置に供給した。すると、ろ過体部温度(Tb)が800℃まで上昇した。また、ろ過体部温度Tbとろ過体上流側温度Taとを比べると、時刻βまではTbはTaより低かったが、時刻βを過ぎるとTbがTaより高くなり、温度差(ΔT=Tb−Ta)が300℃程度にまで大きくなった。このろ過体部温度Tbが過剰に上昇した期間にろ過体は熱損傷を受け強度が低下して劣化したものと考えられる。
もっとも、ろ過体の再生運転ではろ過体表面に付着したダスト含有タールやサブミクロンダストを燃焼、熱分解・ガス化させるが、このろ過体表面付着物の燃焼等だけがろ過体の過剰な温度上昇の原因であると考えることができない。
【0016】
そこで、除塵運転中にろ過体部へのガスの導入を止め、自然冷却させた後、ろ過体断面を観察したところ、セラミックファイバーフィルタの繊維が黒く変色していた。ろ過体断面の成分分析を行ったところ、相当量の炭素質が含有されていた。除塵運転前のろ過体からは炭素質は検出されていなかったことから、除塵運転後に検出された炭素質は、可燃ガス中のタール分がろ過体を通過する際に、繊維と衝突し繊維に浸透したものと考えられる。そしてこのろ過体の繊維に浸透したタール分が燃焼したことと、ろ過体表面付着物の燃焼により、ろ過体部の温度上昇が起こったと考えられる。
【0017】
以上のことから、次のような知見を得た。すなわち、ろ過体のベース差圧が上昇する原因は、ダスト含有タールとサブミクロンダストがろ過体表面に付着することである。これらをガス化、燃焼もしくは剥離してろ過体を再生するために除塵装置内を酸化雰囲気にすると、ろ過体表面に付着したタール分が燃焼するとともにろ過体内部に浸透した炭素質が燃焼して、ろ過体部が過剰に高温になりろ過体を劣化させるという現象が生じている。
この新たに見出した現象に関する知見に基づき、この現象に対する対策を検討して、本発明を導き出したものである。
【0018】
(1)本発明に係る廃棄物処理装置の運転方法は、部分酸化炉にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスをろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法において、前記除塵装置のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときに、前記除塵装置内を酸化雰囲気にすることにより、前記ろ過体に付着した付着物をガス化、燃焼もしくは剥離させることにより前記ろ過体の再生を行なうろ過体再生工程を有し、該ろ過体再生工程において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差、前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、下記(A)〜(F)の操作のうちの少なくとも一つを行うことにより前記除塵装置に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減することを特徴とするものである。
(A)前記部分酸化炉への廃棄物供給を停止していた場合においてこれを再開する
(B)前記部分酸化炉への廃棄物供給量を増加する
(C)前記部分酸化炉への酸化剤供給量を低減する
(D)前記部分酸化炉における空気比を低減する
(E)前記除塵装置への酸化剤供給量を低減する
(F)前記除塵装置への酸化剤供給を停止する
【0019】
なお、部分酸化炉にて廃棄物から可燃性ガスを発生させる方法としては、部分酸化、熱分解、可燃性ガス化及び乾留によるものがある。
また、ダスト類を除去した可燃性ガスは燃焼されることで利用されるが、具体的には二次燃焼炉で燃焼し、その廃熱をボイラ等に利用したり、あるいはガスエンジン、ガスタービンの燃料として利用したりされる。
【0020】
なお、本発明に係る廃棄物処理装置の運転方法においては、ろ過体再生工程を終了すると定常運転(除塵運転)に戻る。ろ過体再生工程を終了するかどうかは、ベース差圧が所定値以下になったこと又はベース差圧の増加率が所定値以下になったことによって判断すればよい。
【0021】
(2)本発明に係る廃棄物処理装置は、部分酸化炉にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスをろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置であって、前記除塵装置の入口と出口の差圧を検知する差圧検知手段と、ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差、前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知する温度検知手段と、前記差圧検知手段で検知されたベース差圧と、前記温度検知手段で検知された前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかに基づいて除塵装置に導入されるガスの酸素濃度を制御する制御手段と、を備え、
該制御手段は、前記除塵装置のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときに、前記除塵装置内を酸化雰囲気にするために下記の(a)〜(f)の操作の少なくとも一つの操作を行なうろ過体再生運転制御を行い、前記ろ過体再生運転中において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかの検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、下記(A)〜(F)の操作のうちの少なくとも一つの操作を行うろ過体熱損傷防止運転制御を行なうことを特徴とする廃棄物処理装置。
(a)廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物供給を停止する。
(b)廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物供給量を低減する。
(c)部分酸化炉1へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を増加する。
(d)部分酸化炉1における空気比を調整する空気比調整装置による空気比を増加する。
(e)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給を開始する。
(f)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給量を増加する。
(A)部分酸化炉1へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給を停止していた場合においては、廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物の供給を再開する。
(B)部分酸化炉1へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給量を増加する。
(C)部分酸化炉1へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を低減する。
(D)部分酸化炉1における空気比を調整する空気比調整装置による部分酸化炉1に供給する空気比を低減する。
(E)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給量を低減する。
(F)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給を停止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、ろ過体に付着した付着物をガス化、燃焼もしくは剥離させることにより前記ろ過体の再生を行なうろ過体再生工程において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、除塵装置に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減するようにしたので、ろ過体の熱損傷による劣化を防止して、通常の払い落し操作では払い落とせないタールやサブミクロンダスト等のろ過体の付着物をガス化・燃焼等により除去することができるろ過体の再生運転を行うことができ、ろ過体のベース差圧の上昇が抑制され、廃棄物処理装置の運転継続を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[実施の形態]
図1は本実施の形態の運転方法に用いる廃棄物処理装置の構成の説明図である。この廃棄物処理装置は、図1に示すように、廃棄物が投入されると共に酸化用の空気が供給され、部分酸化によって可燃性ガスを発生する部分酸化炉1と、部分酸化炉1で発生した可燃性ガスを導入してろ過するろ過体を備えてなる除塵装置2と、除塵装置2で除塵された可燃性ガスを燃焼しさらに燃焼したガスの熱回収を行うボイラを備えたボイラ付燃焼炉3と、前記除塵装置2の入口と出口の差圧を検知する差圧検知手段5と、ろ過体の上流側の温度を検知する上流側温度検知手段7と、ろ過体の温度を検知するろ過体温度検知手段9と、前記差圧検知手段5で検知されたベース差圧と、上流側温度検知手段7で検知された上流側温度と、ろ過体温度検知手段9で検知されたろ過体温度とに基づいて除塵装置2に導入されるガスの酸素濃度を制御する制御手段11と、を備えている。
【0024】
上記構成の廃棄物処理装置において、廃棄物は部分酸化炉1にて炉内温度500〜800℃、空気比0.15〜0.9程度の還元雰囲気で部分酸化された後、生成された可燃性ガスは250〜500℃にて除塵装置2に導入されて除塵され、さらにボイラ付燃焼炉3に送られ、ここで完全燃焼してボイラで燃焼ガスから熱回収される。
以下、各装置、手段について詳細に説明する。
【0025】
<差圧検知手段>
差圧検出手段5は、除塵装置2の入口と出口の差圧を検知するものである。除塵装置2の入口と出口の差圧は、例えばろ過体の入口と出口の圧力差、除塵装置入口と出口の圧力差又はろ過体入口と大気圧のを圧力差を計測して求められる。
【0026】
<上流側温度検知手段>
上流側温度検知手段7は、ろ過体の上流側の温度を検知する。ろ過体の上流側の温度とは、例えば部分酸化炉出口のガス温度、部分酸化炉1と除塵装置2をつなぐダクト内のガス温度、ろ過体に導入される前の除塵装置入口のガス温度をいう。
<ろ過体温度検出手段>
ろ過体温度検出手段9は、ろ過体の温度を検知する。なお、ろ過体の温度を検知する場合には、ろ過体そのものの温度を検知してもよいし、あるいはろ過体の輻射を受ける除塵装置2の部位の温度を検知してこの温度で代替してもよい。
【0027】
<制御手段>
制御手段11は、差圧検知手段5で検知されたベース差圧と、上流側温度検知手段7で検知された上流側温度と、ろ過体温度検知手段9で検知されたろ過体温度とに基づいて除塵装置2に導入されるガスの酸素濃度を制御する。
上流側温度検知手段7で検知された上流側温度計測値と、ろ過体温度検知手段9で検知されたろ過体温度とに基づくとは、より具体的には、例えば上流側温度検知手段7及びろ過体温度検知手段9で検知された温度計測値からろ過体の上流側とろ過体の温度差を算出し、この温度差に基づくことをいう。
もっとも、上流側とろ過体の温度差の代わりに、ろ過体の温度、ろ過体の下流側の温度又はろ過体の上流側とろ過体の下流側の温度差の検知値に基づいて制御してもよい。
ろ過体の下流側の温度とは、例えばろ過体から排出されるガス温度、除塵装置出口のガス温度をいう。
【0028】
ろ過体の上流側とろ過体の温度差又はろ過体の上流側と下流側の温度差に基づく制御を行うと、他の温度検知による制御に比べて、ろ過体でのタール燃焼等による温度上昇をより正確に検知することができる。なぜなら、ろ過体温度、ろ過体下流側温度は部分酸化炉1から導かれるガス温度が高くなったためにそれらの温度が高くなることもあるが、上記温度差をとることで、部分酸化炉1から導かれるガス温度が高くなった場合の温度上昇による影響を除いて、本来検出しようとするろ過体でのタール燃焼等による温度上昇を確実に検出できるからである。
【0029】
制御手段11による酸素濃度の制御とは、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を除塵運転時に比べて増加させるための制御や、除塵装置2に導入されるガスの酸素濃度を低減するための制御を含み、各制御は各機器の操作を制御することによって行なわれる。
例えば、除塵運転時において除塵装置2内を酸化雰囲気にするために除塵装置2に導入される可燃性ガスの酸素濃度を増加させる(ろ過体再生運転をする)には、下記の(a)〜(f)操作の少なくとも一つを行えばよい。
(a)廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物供給を停止する。
(b)廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物供給量を低減する。
(c)部分酸化炉1へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を増加する。
(d)部分酸化炉1における空気比を調整する空気比調整装置による空気比を増加する。空気比とは、[部分酸化のため実際に供給する空気量]/[廃棄物の燃焼(完全酸化)に必要な理論空気量]をいう。
(e)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給を開始する。
(f)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給量を増加する。
【0030】
また、ろ過体再生運転中において除塵装置2に導入されるガスの酸素濃度を低減するには、以下に示す(A)〜(F)の少なくとも一つの制御を行なう。
(A)部分酸化炉1へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給を停止していた場合においては、廃棄物供給装置による部分酸化炉1への廃棄物の供給を再開する。
(B)部分酸化炉1へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給量を増加する。
(C)部分酸化炉1へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を低減する。
(D)部分酸化炉1における空気比を調整する空気比調整装置による部分酸化炉1に供給する空気比を低減する。
(E)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給量を低減する。
(F)除塵装置2に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置2への酸化剤供給を停止する。
【0031】
次に、上記のように構成された廃棄物処理装置の運転方法について説明する。
本実施の形態に係る廃棄物処理装置の運転方法は、部分酸化炉1にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスをろ過体を備えてなる除塵装置2に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法であって、前記除塵装置2のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときにろ過体再生運転を行い、このろ過体再生運転中において、ろ過体の温度、ろ過体の下流側の温度、ろ過体の上流側とろ過体の温度差及びろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減してろ過体の熱損傷を防止するろ過体熱損傷防止運転を行なうというものである。
以下、ろ過体再生運程とろ過体熱損傷防止運転について説明する。
【0032】
<ろ過体再生運転>
ろ過体再生運転は、ろ過体のベース差圧が所定値を超えた時、又はベース差圧の時間あたりの増加率が所定値を超えた時に行なう運転であって、除塵装置2内を酸化雰囲気にしてろ過体の再生操作を行なうものである。
除塵装置2内を酸化雰囲気にすることにより、ろ過体に付着したタールやサブミクロンダスト等の付着物をガス化、燃焼させ、あるいは付着物中のタールを燃焼、ガス化することにより付着物の付着力を低下させたり、付着物を脆くさせたりして付着物を剥離させて、ろ過体から付着物を除去してベース差圧を低下させる。
除塵装置2内を酸化雰囲気にするには、上述した(a)〜(f)操作の少なくとも一つを行い除塵装置2に導くガスの酸素濃度を除塵運転時に比べて増加させる。
【0033】
ろ過体再生運転時に除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度の好ましい範囲は5〜12%であり、その理由は以下に示す通りである。
酸素濃度が5%より低いと、ろ過体に付着したタール、サブミクロンダストをガス化、燃焼させる反応が生じないため、これらの付着物を除去できない。
他方、除塵装置2に導くガスの酸素濃度が12%より高いと、ろ過体に付着したタール、サブミクロンダストのガス化、燃焼反応が激しく生じろ過体の温度が過剰に高くなり、以下に説明するろ過体熱損傷防止のための制御を頻繁に行う必要があり、その結果、再生運転に長時間を要することとなり、部分酸化炉1の運転効率が低下する。
【0034】
<ろ過体熱損傷防止運転>
ろ過体熱損傷防止運転は、ろ過体再生運転中において、ろ過体の温度、ろ過体の下流側の温度、ろ過体の上流側とろ過体の温度差及びろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減してろ過体の熱損傷を防止する運転である。
除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減するには、制御装置によって上記の(A)〜(F)のうちの少なくともいずれか一つの制御を行なう。
除塵装置2に導くガスの酸素濃度を低減することにより、ろ過体の表面に付着したタール、サブミクロンダスト、ろ過体の内面に浸透した炭素質の燃焼、ガス化を制御して、ろ過体が過剰に高温度になることを抑制する。
なお、ろ過体としてアルミナシリケート系セラミックファイバーフィルタを用いる場合、ろ過体の温度又はろ過体の下流側の温度を650℃未満に抑制することが好ましい。このようにろ過体の温度上昇を抑制することによりフィルタ成分がダストに含まれるNa、K、S、Clを含む化合物と水分と反応してガラス化してフィルタの強度が低下して劣化することを防ぐことができる。
また、ろ過体としてアルミナシリケート系セラミックファイバーフィルタを用いる場合、ろ過体の上流側とろ過体の温度差又はろ過体の上流側と下流側の温度差を、ろ過体の上流側の温度が250〜400℃の場合は250度未満に、ろ過体の上流側の温度が400〜500℃の場合は150度未満に抑制することが好ましい。
【0035】
[実施例]
図2は本実施の形態に係る廃棄物処理装置の運転方法を行ったときの除塵装置2のろ過体ベース差圧の変化と、ろ過体の上流側とろ過体部の温度変化を示したグラフであり、縦軸がろ過体ベース差圧(Kpa)と、ろ過体上流側の温度Ta(℃)、ろ過体部の温度Tb(℃)を示し、横軸が時間(分)を示している。
【0036】
図2に示す例においては、部分酸化炉1に供給する酸化剤として空気を用い、除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度の制御は部分酸化炉1に供給する廃棄物供給量の増減にて行った。以下、図2に基づいて運転方法とその結果を具体的に説明する。
【0037】
(1)ろ過体ベース差圧が所定値を超えたため、時刻Aから部分酸化炉1に供給する廃棄物供給量を徐々に低減し、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を増加して、ろ過体の再生運転を開始し、さらに時刻Bに廃棄物の供給を停止した。除塵装置2に導くガスの酸素濃度が増加して、ろ過体に付着したタール等の燃焼、ガス化が始まり、ベース差圧が低下し、ろ過体部温度Tbが上昇した。
また、ろ過体上流側とろ過体部の温度差ΔT=Tb―Taも増加していることから、部分酸化炉出口温度Taが上がったことによるろ過体温度Tbの上昇ではなく、ろ過体に付着したタール等が燃焼していることによるろ過体温度Tbの温度上昇と判定できる。
【0038】
(2)時刻Cにろ過体部温度Tbが所定値の500℃を超えたため、ろ過体再生運転を一時中断し、ろ過体熱損傷防止運転に切換えた。すなわち、部分酸化炉1への廃棄物の供給を再開し、部分酸化炉1における空気比を定常の部分酸化運転時と同程度の0.5として、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を低減して、ろ過体再生運転を一時中断しろ過体熱損傷防止運転を開始した。ろ過体熱損傷防止運転を開始した、すなわち部分酸化運転を再開したため、可燃ガス中にダストとタールが発生しろ過体に付着して、ろ過体ベース差圧が上昇したものの、ろ過体部温度Tbおよび温度差ΔTの上昇は抑えられ、これらが低減に転じ、ろ過体の温度が過剰に高温度となり熱損傷劣化が生じることを防ぐことができた。
【0039】
(3)時刻DにTb、ΔTともに所定値より低下したので、ろ過体再生運転を再開するため、部分酸化炉1における空気比を0.9とするように部分酸化炉1への廃棄物の供給量を低減し、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を増加した。ろ過体ベース差圧はほぼ変化がなく、ろ過体部温度Tbはゆるやかに低下し、温度差ΔTはほとんど変化せず推移した。これは空気比が1に近いことにより、部分酸化炉1からのタールやサブミクロンダストの発生がほぼ無くなり、ろ過体に新たに付着するものがなくベース差圧の上昇する原因がなくなったと考えられる。
【0040】
(4)ろ過体表面の付着タールやろ過体中の炭素質の残留の有無を確認するため、時刻Eに部分酸化炉1における空気比を2.0とするように部分酸化炉1への廃棄物の供給量を低減し除塵装置2に導くガスの酸素濃度をさらに増加したところ、ろ過体部温度Tbおよび温度差ΔTが上昇した。まだろ過体表面の付着タールやろ過体中の炭素質が残留しており、これらが燃焼、ガス化してろ過体部温度Tbおよび温度差ΔTが上昇したことが分かった。
【0041】
(5)時刻Fにろ過体部温度Tbが所定値の500℃を超えたため、ろ過体再生運転を一時中断し、ろ過体熱損傷防止運転に切換えた。すなわち、部分酸化炉1への廃棄物の供給量を増加し、部分酸化炉1における空気比を0.7として、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を低減してろ過体再生運転を一時中断し、ろ過体熱損傷防止運転を開始した。ろ過体部温度Tbおよび温度差ΔTの上昇を抑制してろ過体が過剰に高温度となり熱損傷劣化が生じることができた。
【0042】
(6)時刻GにTb、ΔTともに所定値より低下したので、ろ過体再生運転を再開するため、部分酸化炉1への廃棄物の供給量を低減し、部分酸化炉1における空気比を1.4として、除塵装置2に導くガスの酸素濃度を増加した。これによって、ろ過体に付着したタール等が燃焼、ガス化され、ろ過体ベース差圧は低下し、ろ過体部温度Tbと温度差ΔTはゆるやかに上昇した。
【0043】
(7)時刻H以降はろ過体部温度Tbは低下し始め、ろ過体ベース差圧は好ましいベース差圧値まで減少した。これによって、ろ過体表面の付着タールやろ過体中の炭素質の残留がなくなったことが確認できた。
【0044】
(8)そこで、時刻Iにろ過体再生運転を終了し、部分酸化炉1への廃棄物の供給量を定常の部分酸化運転の供給量とし、定常の部分酸化運転を再開した。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、ろ過体再生運転中において、ろ過体の温度、ろ過体の下流側の温度、ろ過体の上流側とろ過体の温度差及びろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、除塵装置2に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減してろ過体の熱損傷を防止するようにしたので、ろ過体の熱損傷による劣化を防止して、通常の払い落し操作では払い落とせないタールやサブミクロンダスト等のろ過体の付着物をガス化・燃焼等により除去することができるろ過体の再生運転を行うことができ、ろ過体のベース差圧の上昇が抑制され、廃棄物処理装置の運転継続を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態の運転方法に用いる廃棄物処理装置を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る廃棄物処理装置の運転方法を説明する説明図である。
【図3】従来の廃棄物処理装置の構成の説明図である。
【図4】従来の除塵装置の説明図である。
【図5】本発明の解決しようとする課題の説明図である(その1)。
【図6】本発明の解決しようとする課題の説明図である(その2)。
【図7】本発明の解決しようとする課題の説明図である(その3)。
【符号の説明】
【0047】
1 部分酸化炉
2 除塵装置
3 ボイラ付燃焼炉
5 差圧検出手段
7 上流側温度検知手段
9 ろ過体温度検知手段
11 制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分酸化炉にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスをろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法において、
前記除塵装置のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときに、前記除塵装置内を酸化雰囲気にすることにより、前記ろ過体に付着した付着物をガス化、燃焼もしくは剥離させることにより前記ろ過体の再生を行なうろ過体再生工程を有し、
該ろ過体再生工程において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差、前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知し、該検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、下記(A)〜(F)の操作のうちの少なくとも一つを行うことにより前記除塵装置に導く可燃性ガスの酸素濃度を低減することを特徴とする廃棄物処理装置の運転方法。
(A)前記部分酸化炉への廃棄物供給を停止していた場合においてこれを再開する
(B)前記部分酸化炉への廃棄物供給量を増加する
(C)前記部分酸化炉への酸化剤供給量を低減する
(D)前記部分酸化炉における空気比を低減する
(E)前記除塵装置への酸化剤供給量を低減する
(F)前記除塵装置への酸化剤供給を停止する
【請求項2】
部分酸化炉にて廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスをろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置であって、前記除塵装置の入口と出口の差圧を検知する差圧検知手段と、ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかを検知する温度検知手段と、前記差圧検知手段で検知されたベース差圧と、前記温度検知手段で検知された前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかとに基づいて除塵装置に導入されるガスの酸素濃度を制御する制御手段と、を備え、
該制御手段は、前記除塵装置のベース差圧が所定値を超えたとき又はベース差圧の増加率が所定値を超えたときに、前記除塵装置内を酸化雰囲気にするために下記の(a)〜(f)の操作の少なくとも一つの操作を行なうろ過体再生運転制御を行い、該ろ過体再生運転中において、前記ろ過体の温度、前記ろ過体の下流側の温度、前記ろ過体の上流側とろ過体の温度差及び前記ろ過体の上流側と下流側の温度差のうちいずれかの検知値が所定値を超えたとき、又は前記検知値の時間変化量が所定値を超えたとき、下記(A)〜(F)の操作のうちの少なくとも一つの操作を行うろ過体熱損傷防止運転制御を行なうことを特徴とする廃棄物処理装置。
(a)廃棄物供給装置による部分酸化炉への廃棄物供給を停止する。
(b)廃棄物供給装置による部分酸化炉への廃棄物供給量を低減する。
(c)部分酸化炉へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を増加する。
(d)部分酸化炉における空気比を調整する空気比調整装置による空気比を増加する。
(e)除塵装置に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置への酸化剤供給を開始する。
(f)除塵装置に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置への酸化剤供給量を増加する。
(A)部分酸化炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給を停止していた場合においては、廃棄物供給装置による部分酸化炉への廃棄物の供給を再開する。
(B)部分酸化炉へ廃棄物を供給する廃棄物供給装置による廃棄物の供給量を増加する。
(C)部分酸化炉へ酸化剤を供給する酸化剤供給装置による酸化剤供給量を低減する。
(D)部分酸化炉における空気比を調整する空気比調整装置による部分酸化炉に供給する空気比を低減する。
(E)除塵装置に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置への酸化剤供給量を低減する。
(F)除塵装置に酸化剤を供給する酸化剤供給装置による除塵装置への酸化剤供給を停止する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−236466(P2009−236466A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86484(P2008−86484)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】