説明

廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法

【課題】小型で装置が持っている処理能力を高率で発揮しる廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法を提供する。
【解決手段】廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管12と、脱水乾燥管12内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管14と、脱水乾燥管12で脱水乾燥された廃棄物を炭化処理する炭化処理用管13とが加熱炉1内に上方からガス処理用加熱管14、脱水乾燥管12、炭化処理用管13の順にパイプ接合されて各1本配置し、脱水乾燥管12及び炭化処理用管13の内径を略同一にすると共に炭化処理用管13内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管12内のそれより高くしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚泥処理場、食品工場、大型店舗、ホテル、レストラン、工場等から纏まって排出される廃棄物を炭化処理する廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品リサイクル法、家畜排泄処理法及び建設リサイクル法の制定・施行により、食品廃棄物、家畜排泄物及び生活廃水、建設廃棄木材の再利用化が推進され、これまで焼却または埋め立て処理されていた廃棄物が再生処理されるようになり、有機系廃棄物の炭化処理装置の開発、改良が活発に行われている。
【0003】
有機系廃棄物の炭化処理を省エネルギーで実現する廃棄物処理装置の一例として、電気熱加熱炉内に、被処理物を脱水乾燥する脱水乾燥管、脱水乾燥した被処理物を炭化処理する炭化処理用管、脱水乾燥管及び炭化処理用管で発生するガスを処理するガス処理用加熱管を配置した廃棄物処理装置(特許文献1)が提案されている。この廃棄物処理装置は電気熱加熱炉内にセラミックヒータを多数本配置して、運転開始時に電気熱加熱炉内を脱水乾燥処理、炭化処理、ガス処理に必要な温度の加熱し、その後は被処理物の熱分解反応により発生する熱を熱源として運転を継続する方式を採っており、電気加熱方式はランニングコストが高いという常識を打破して連続運転をする限り消費電力は極めて少なく、重油燃焼方式の加熱炉を採用した廃棄物処理装置に比較して1/10に省エネルギー化が図れる画期的な装置である。
この廃棄物処理装置は、電気熱加熱炉の上方に1本のガス処理管、下方に1本の炭化処理用管、中間に2本の脱水乾燥管を水平方向に並設した構成を採用して、各管の径を同じにして製造を容易にし、脱水乾燥によって被処理物の体積が減少しても炭化処理能力を低下させないように配慮されている。しかしながら、この構成にすると電気熱加熱炉の容積が略2倍に大型化して製造コストが高くなると共に設置面積が大きくなる、ホッパーから搬送装置を経て搬送されて来る被処理物を2本の脱水乾燥管に1/2づつ分配する機構を必要とし、その機構がコスト高と故障の原因になる可能性がある、など解決すべき課題を有している。
また、廃棄物を炭化処理して得られる炭化物はその原料によって用途の異なる炭化物が生成されることから、同種類の廃棄物を纏めて炭化処理をする必要がある。特許文献1に開示された廃棄物処理装置では、廃棄物の種類を変更する都度装置の運転を停止する必要があり、再起動のためにランニングコストが高くなる、連続運転が出来なくなるという不都合があった。
更に、廃棄物を炭化処理する場合に注意することは炭化率の高い高品質の炭化物を実現することであるが、特許文献1に開示されている廃棄物処理装置にはこの点についての配慮がされていないという問題点がある。
【特許文献1】特開2008−37909号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は加熱炉を小型化した廃棄物処理装置を提供することにある。
本発明の別の目的は種類の異なる廃棄物を並列処理できる廃棄物処理装置を提供することにある。
本発明の異なる目的は廃棄物から高品質の炭化物を生成する廃棄物処理方法を提供することにある。高品質の炭化物とは、被処理物としての廃棄物が持っている炭素成分が凝集して炭化される割合即ち炭化率が90%以上の炭化物をいう。
本発明の更に別の目的は以下に述べる実施例の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明廃棄物処理装置の第1の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、各管群において脱水乾燥管及び炭化処理用管の内径を略同一にした点にある。この構成によって、加熱炉内の空間に無駄な部分がなくなり、容積が従来装置に比較して略1/2に低減できる。好ましくは、ガス処理用管及び冷却管の内径を脱水乾燥管及び炭化処理用管のそれと略同一にすることである。加熱炉としては電気加熱方式及び化石燃料燃焼方式が使用できるが、小型でイニシャルコストが安いこと、温度設定と昇温及び降温制御が容易であること、炉内に強風が発生せず断熱材の寿命が長いこと、炉内温度が均一にでき高品質の炭化物が得られること、などの利点があることから電気加熱方式が好ましい。
【0006】
本発明廃棄物処理装置の第2の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、各管群において脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれより大きくした点にある。好ましくは、ガス処理用管及び冷却管の内径を炭化処理用管のそれと略同一にすることである。加熱炉としては電気加熱方式及び化石燃料燃焼方式が使用できるが、上述した利点があることから電気加熱方式が好ましい。
【0007】
本発明廃棄物処理方法の第1の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置され、脱水乾燥管及び炭化処理用管の内径を略同一にした廃棄物処理装置を用いて、炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管内のそれより高くする点にある。脱水乾燥管及び炭化処理用管は電動機で駆動される例えばスクリューコンベアのような搬送手段を内蔵しており、搬送手段を駆動する電動機の回転数を例えばインバータ制御により変えることで搬送速度を任意に設定することができる。
【0008】
本発明廃棄物処理方法の第2の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水
乾燥管と、脱水乾燥管から発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管を備え、加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接続されて各1本配置した管群を2列配置し、各管群において脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれと略同一にした廃棄物処理装置を用いて、炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管内のそれより高くする点にある。管群を2列配置する場合には、同一種類の廃棄物を並列処理することと、異なる種類の廃棄物を並列処理することを廃棄物の種類の状況により任意に選択することが可能である。
【0009】
本発明廃棄物処理方法の第3の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水
乾燥管と、脱水乾燥管から発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とを加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、各管群において脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれより大きくした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれと略同一とする点にある。この場合には、脱水乾燥管及び炭化処理用管に内蔵されたスクリューコンベアを駆動する共通の電動機で駆動する構成にしてもよい。脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれよりどの程度大きくするかについては、脱水乾燥管内で脱水乾燥処理すると体積が減少するので、脱水乾燥処理後の被処理物の体積が炭化処理用管に受け入れ可能な体積になる大きさが上限になる。詳述すれば、脱水乾燥管の内径は、炉内温度、被処理物の含水率、脱水乾燥管内の搬送速度及び炭化処理用管の搬送速度などを考慮して脱水乾燥管から搬出される被処理物の体積が炭化処理用管で搬送可能な範囲内になるように炭化処理用管のそれより大きくすればよい。
【0010】
本発明廃棄物処理方法の第4の特徴は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水
乾燥管と、脱水乾燥管から発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とを加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、各管群において脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれより大きくした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれより高くする点にある。脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれよりどの程度大きくするかについては、上述した第3の特徴で述べた通りである。
【発明の効果】
【0011】
本発明廃棄物処理装置によれば、脱水乾燥管及び炭化処理用管、好ましくガス処理用加熱管、脱水乾燥管及び炭化処理用管の内径を略同一にしているため、高温の加熱炉内に並設した時に生じる熱衝撃、熱膨張に基づき熱ストレスが軽減され、各官に内蔵するスクリューコンベア及びスクリューコンベアを駆動する電動機を同一にできイニシャルコストの低減が図れ、組み立て及びメンテナンス作業が容易となる等の利点がある。また、本発明廃棄物処理装置によれば、脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれより大きくしているため、脱水乾燥管において被処理物の体積が減少しても炭化処理用管の処理能力を100%近い高率で利用でき処理能力の高い装置を容易に実現できる利点がある。更に、本発明廃棄物処理装置によれば、ガス処理用加熱管、脱水乾燥管及び炭化処理用管からなる管群を2列並設しているため、種類の異なる廃棄物を低ランニングコストで効率よく処理することが出来る利点がある。
【0012】
本発明廃棄物処理方法によれば、脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれと略同一にした時は炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管内のそれより高速にするため、炭化処理用管における炭化処理を最適化でき高炭化率の炭化物を生成できる利点がある。また、脱水乾燥管の内径を、脱水乾燥処理によって体積が減少し炭化処理用管で搬送可能な体積の上限を超えない範囲で大きくした時は炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管内のそれと略同一にするため、炭化処理用管における炭化処理を最適化でき炭化率の高い高品質の炭化物を生成できる利点の他に炭化処理用管の処理能力を100%近い高率で利用できる利点がある。
【0013】
本発明廃棄物処理装置及び処理方法によれば、廃棄物に含有された重金属が炭化物内に添着して溶出することを防止する利点が大きい。具体的には、法律で規制されている重金属の溶出量を一桁以上低減できることを実測値で確認している。この理由は定かでないが、高品質の炭化物が生成できることに起因しているものと推測する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の実施形態は、被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、脱水乾燥管で脱水乾燥された被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方からガス処理用加熱管、脱水乾燥管、炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置し、脱水乾燥管及び炭化処理用管の内径を略同一にすると共に加熱炉を電気熱で加熱する方式とした廃棄物処理装置を用いて、炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管内のそれより高くする廃棄物処理方法である。この実施形態によれば、廃棄物処理装置の主要部をなす脱水乾燥管及び炭化処理用管として同一寸法のステンレス管が使用でき、被処理物の搬送速度を変えるのみで高品質の炭化物を生成でき、イニシャルコストの低減、ランニングコストの低減が図れる利点がある。また、廃棄物処理装置の小型化、設置面積の縮小化が図れる利点もある。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明廃棄物処理装置の実施例を示す概略図、図2は加熱炉及び冷却部の概略断面図である。図において、1は例えば電気熱で例えば680℃以上に加熱される加熱炉で、その炉壁11はステンレス製のケースとその外側を取り囲むセラミック製の断熱材で構成されている。加熱炉1には被処理物としての有機系廃棄物を脱水乾燥する脱水乾燥管12、脱水乾燥処理された被処理物を炭化処理する炭化処理用管13、脱水乾燥管12で発生するダイオキシンを含むガスを900℃以上で加熱処理して無害化するガス処理用加熱管14が夫々1本づつ上方から下方に向かってガス処理用加熱管14、脱水乾燥管12、炭化処理用管13の順に所定間隔を有して一列に配置されている。各管の両端は炉壁11を貫通し、略水平に炉壁11で支持されている。加熱炉1はガス処理用加熱管14、脱水乾燥管12及び炭化処理用管13の夫々の下側に各管と直交する方向に加熱炉1を貫通して配置された多数本のセラミックヒータ15を有し、これによって加熱炉1内は680℃以上に、各管内は加熱炉1の温度に被処理物の熱分解反応により発生する熱が加算されて680℃+αの高温に加熱される。セラミックヒータ15は例えばインバータによって通電電流が制御されて発熱量が最適値に制御される。また、廃棄物処理装置が定常運転になると、被処理物の熱分解反応により発生する熱を主熱源として脱水乾燥処理及び炭化処理運転を継続することが可能になり、大部分のセラミックヒータの通電を休止することが行われる。これによって、通常2000〜3000時間が寿命と言われ連続運転をする時には年間に3〜4回の交換が必要であるが、本発明廃棄物処理装置ではセラミックヒータの交換は4〜5年に1回で充分となり、セラミックヒータの長寿命化が図れる。セラミックヒータ15の代わりに電気抵抗発熱線を各管に巻回してもよいが、加熱手段の点検及び交換などのメンテナンスの容易さからセラミックヒータが好ましい。16は脱水乾燥管12に被処理物を供給するホッパー、17は脱水乾燥管12から被処理物を炭化処理用管13に供給する連結管、18及び19は脱水乾燥管12及び炭化処理用管13で発生するダイオキシンを含むガスをガス処理用加熱管14に送るためのガス連結管である。2は加熱炉1の下方に配置された冷却部で、炭化された被処理物を冷却する冷却管21が貫通配置されている。22は炭化処理用管13から炭化された被処理物を冷却管21に送るための連結管である。121、131及び211は脱水乾燥管12、炭化処理用管13及び冷却管21に内蔵配置されて被処理物を搬送するスクリューコンベア(図示せず)を駆動する電動機である。141はガス処理用加熱管14で処理されたガスを排出する排気口、212は冷却管21から炭化物を排出する排出口である。ホッパー16と脱水乾燥管12との連結部付近に例えば炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン、窒素から選ばれた不活性ガスを供給する手段(図示せず)を設けて、脱水乾燥管12及び炭化処理用管13内を酸素濃度の低い不活性ガス雰囲気にして被処理物が燃焼(灰化)しないようにしてある。この実施例ではガス処理用加熱管14、脱水乾燥管12及び炭化処理用管13を略同一の内径を有するステンレス管で構成すると共に電動機131の回転数を電動機121のそれより多くして、炭化処理用管13内を移動する被処理物の搬送速度を脱水乾燥管12内を移動する被処理物のそれより高速度になるように設定してある。また、この実施例では脱水乾燥管12へ被処理物を供給する手段として脱水乾燥管12にホッパー16を連結した構成を図示したが、廃棄物置場と脱水乾燥管12をフライトコンベアで連結する構成を採ることが出来る。フライトコンベアは急傾斜でも確実に搬送できること、密閉構造のため脱水乾燥管12及び炭化処理用管13内を酸素濃度の低い不活性ガス雰囲気に保持することが容易であること、単純な構造でありメンテナンスが容易であること、などの利点がある。
【0016】
図1及び図2に示す廃棄物処理装置はガス処理用加熱管14、脱水乾燥管12及び炭化処理用管13を各1本づつ上方から下方に1列配置した構成にしているため、処理能力を同一にした場合、加熱炉の幅を従来装置の約1/2に縮小でき大幅な小型化が図れる利点がある。また、脱水乾燥管12の内径と炭化処理用管13のそれが略同一になっているため、同一寸法のステンレス管及びスクリューコンベアが使用でき廃棄物処理装置の製造及びメンテナンスが容易となる利点がある。この効果は、図2に示すように脱水乾燥管12、炭化処理用管13、ガス処理用加熱管14及び冷却管21の内径を略同一にすることにより更に大きくなる。
【0017】
図1及び図2に示す廃棄物処理装置を使用する時、炭化処理用管13内を移動する被処理物の搬送速度が脱水乾燥管12内を移動する被処理物のそれより大きくなるようにしているため、被処理物は脱水乾燥管12内を長い時間をかけて移動することにより充分な脱水乾燥処理が施され、炭化処理用管13内を短時間で移動しても98%以上の炭化率を有する高品質の炭化物を生成できるのである。もし、この場合炭化処理用管13内を脱水乾燥管12内よりも長い時間をかけて移動すると、不活性ガス雰囲気であっても多少の酸素が存在しているため、炭化が進行し過ぎて灰化する比率が増加し、炭化物の品質が低下することになる。
【0018】
図1及び図2に示す廃棄物処理装置のガス処理用加熱管、脱水乾燥管及び炭化処理用管をステンレス製の内径35cm、長さ6.3mの管を用いて構成し、加熱炉内の設定温度を680℃にして含水率60%の汚泥を処理する場合について説明する。原料投入量は脱水乾燥管の容積の20%を目安にし、脱水乾燥管内を移動する時間4分(搬送速度=1.6m/分)、炭化処理用管内を移動する時間3.5分(搬送速度=1.8m/分)、冷却管内を移動する時間を4分、合計11.5分の処理時間で炭化率98%以上の炭化物が生成できることを確認した。また、含水率30%の木屑を処理する場合、脱水乾燥管内を移動する時間2.5分(搬送速度=2.5m/分)、炭化処理用管内を移動する時間2分(搬送速度=3.1m/分)、冷却管内を移動する時間を3.5分、合計8分の処理時間で炭化率98%以上の炭化物が生成できることを確認した。被処理物の投入量を脱水乾燥管の容積の20%、汚泥の比重を1、木屑の比重を0.4として1日の廃棄物処理能力を算出すると、汚泥は44.928トン、木屑は25.776トンになり、大量の廃棄物を炭化処理することが可能である。
【実施例2】
【0019】
図3は異なる種類の廃棄物を並列処理可能にした廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法の実施例を説明するための概略断面図である。図2に示す廃棄物処理装置は、加熱炉1及び冷却部2の幅(各管の長手方向と直角をなす方向の寸法)を約2倍にしてガス処理用加熱管14a、脱水乾燥管12a、炭化処理用管13a及び冷却管21aからなる第1管群Aと、ガス処理用加熱管14b、脱水乾燥管12b、炭化処理用管13b及び冷却管21bからなる第2管群Bを並列配置した点に特徴がある。17aは脱水乾燥管12aと炭化処理用管13aを連結する連結管、18aは脱水乾燥管12aと炭化処理用管13aを連結するガス連結管、22aは炭化処理用管13aと冷却管21aを連結する連結管、17bは脱水乾燥管12bと炭化処理用管13bを連結する連結管、18bは脱水乾燥管12bと炭化処理用管13bを連結するガス連結管、22bは炭化処理用管13bと冷却管21bを連結する連結管である。脱水乾燥管12a及び脱水乾燥管12bには別々のホッパー(図示せず)が設けられて、異なる種類の廃棄物または同じ種類の廃棄物が夫々別個に供給されるようになっている。この実施例でも図2の実施例と同様に、ガス処理用加熱管14a、14b、脱水乾燥管12a、12b及び炭化処理用管13a、13bを略同一の内径を有するステンレス管で構成すると共に炭化処理用管13a及び13b内を移動する被処理物の搬送速度を脱水乾燥管12a及び12b内を移動する被処理物のそれより高速度になるようにしてある。
【0020】
図3に示す構成の廃棄物処理装置によれば、ガス処理用加熱管14a、脱水乾燥管12a、炭化処理用管13a及び冷却管21aからなる第1管群Aと、ガス処理用加熱管14b、脱水乾燥管12b、炭化処理用管13b及び冷却管21bからなる第2管群Bとを並列配置した構成を採っているため、異なる種類の廃棄物を並列処理することが出来る利点がある。また、異なる種類の廃棄物を炭化処理する時、最も量の多い種類の廃棄物を第1管群Aを用いて連続して炭化処理し、量の少ない廃棄物は管群Bを用いて炭化処理をするようにすれば、第1管群Aは連続運転が可能になる。更にまた、量の少ない廃棄物の種類が複数種あるときは第2管群Bを不連続運転し、種類の異なる廃棄物の炭化処理が終了すると第2管群Bで第1管群Aと同じ種類の廃棄物を処理するようにしてもよい。このように、第1管群Aは連続運転が可能になり、異なる種類の廃棄物を低ランニングコストで炭化処理することが可能になる。この場合、第1管群Aと第2管群Bとで被処理物が異なるため素材及び含水率が異なり、第1管群Aと第2管群Bとの間で脱水乾燥管及び炭化処理用管における被処理物の搬送速度は異なるように設定される。
【実施例3】
【0021】
図4は本発明廃棄物処理装置の他の実施例を示す概略断面図である。図2に示す実施例とは脱水乾燥管12’の内径を炭化処理用管13のそれより大きくしている点で構成上の相違を有し、脱水乾燥管12’内の被処理物の搬送速度を炭化処理用管13内のそれと略同一している点で方法上の相違を有している。被処理物としての廃棄物は脱水乾燥管12’内で脱水乾燥処理されてその体積を減少して炭化処理用管13に送られる。脱水乾燥管12’の内径を大きくしているため、被処理物が脱水乾燥処理によって体積が減少することにより、炭化処理用管13で搬送するに相応しい体積になり、炭化処理用管13の処理能力を100%近い高率で利用することが出来る。これによって、単位時間当たりに生成する炭化物の量が増加し、ランニングコストの低減を図ることできる。脱水乾燥管12’の内径を炭化処理用管13のそれよりどの位大きくするかについては、被処理物が脱水乾燥処理によって体積が減少する割合と、炭化処理用管13で搬送できる最大量を考慮して決められる。例えば、含水率の高い被処理物の場合、脱水乾燥処理によって体積が50%に減少することがあり、その場合には脱水乾燥管12’の内径を炭化処理用管13のそれの1.4倍を超えない範囲で大きく設計する。
【実施例4】
【0022】
図4において、脱水乾燥管12’の内径を炭化処理用管13のそれより大きくすると共に炭化処理用管13’内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管12内のそれより高くすることによっても、実施例3と同様の効果を奏することが出来る。廃棄物処理装置の処理能力は加熱炉1の温度を高くする程大きくなる。それは加熱炉1即ち脱水乾燥管及び炭化処理用管内を高温にすると脱水乾燥処理及び炭化処理に要する時間を短縮できるためである。加熱炉1の温度を高くしていくと、脱水乾燥処理に要する時間を短縮する割合より炭化処理に要する時間を短縮する割合の方が大きくなる。このため、加熱炉1の温度を高くしていくと、脱水乾燥管の内径を炭化処理用管のそれより大きくし、かつ炭化処理用管内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管のそれより高くする必要性が生じる。この実施例はその場合を対象にするもので、脱水乾燥管12’の内径を炭化処理用管13のそれより大きくすると共に炭化処理用管13’内の被処理物の搬送速度を脱水乾燥管12内のそれより高くすることによって、過炭化を防止して高品質の炭化物を生成することができるものである。
【実施例5】
【0023】
図5は本発明廃棄物処理装置の別の実施例を示す概略断面図である。図3に示す実施例とは脱水乾燥管12a’、12b’の内径を炭化処理用管13a、13bのそれより大きくしている点で構成上の相違を有し、脱水乾燥管12a’、12b’内の被処理物の搬送速度と炭化処理用管13a、13b内のそれとを略同一している点で方法上の相違を有している。従って、この実施例は、図3が持っている利点と図4(実施例3)が持っている利点を合わせ持つものである。
【実施例6】
【0024】
この実施例は、図5において脱水乾燥管12a’、12b’の内径を炭化処理用管13a、13bのそれより大きくすると共に脱水乾燥管12a’、12b’内を移動する被処理物の搬送速度を炭化処理用管13a、13b内を移動する被処理物のそれより高くした点が特徴である。従って、この実施例は、図3が持っている利点と図4(実施例4)が持っている利点を合わせ持つものである。
【0025】
以上は本発明を代表的な実施例を例に挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明廃棄物処理装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す廃棄物処理装置の加熱炉及び冷却部を拡大して示す概略断面図である。
【図3】本発明廃棄物処理装置の異なる実施例を示す概略断面図である。
【図4】本発明廃棄物処理装置の他の実施例を示す概略断面図である。
【図5】本発明廃棄物処理装置の別の実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 加熱炉
12 脱水乾燥管
13 炭化処理用管
14 ガス処理用加熱管
21 冷却管
121、131、211 電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管とを加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、前記管群において前記脱水乾燥管及び前記炭化処理用管の内径を略同一にしたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管とを加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、前記管群において前記脱水乾燥管の内径を前記炭化処理用管のそれより大きくしたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項3】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管内で発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管とを加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置され、前記脱水乾燥管及び前記炭化処理用管の内径を略同一にした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の前記被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれより高くすることを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項4】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管から発生する
ガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管を備え、加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理管の順にパイプ接続されて各1本配置した管群を2列配置し、各管群において前記脱水乾燥管の内径を前記炭化処理用管のそれと略同一にした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の前記被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれより高くすることを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項5】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管から発生する
ガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、前記管群において前記脱水乾燥管の内径を前記炭化処理用管のそれより大きくした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の前記被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれと略同一とすることを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項6】
被処理物としての廃棄物を脱水乾燥させる脱水乾燥管と、前記脱水乾燥管から発生するガスを処理するガス処理用加熱管と、前記脱水乾燥管で脱水乾燥された前記被処理物を炭化処理する炭化処理用管とが加熱炉内に上方から前記ガス処理用加熱管、前記脱水乾燥管、前記炭化処理用管の順にパイプ接合されて各1本配置した管群を1列または2列配置し、前記管群において前記脱水乾燥管の内径を前記炭化処理用管のそれより大きくした廃棄物処理装置を用いて、前記炭化処理管内の前記被処理物の搬送速度を前記脱水乾燥管内のそれより高くすることを特徴とする廃棄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46601(P2010−46601A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212620(P2008−212620)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(508200229)ACTトレードシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】