説明

廃棄物選別システム

【課題】 簡単かつ軽量コンパクトで低コストな構成を実現しながら、廃棄物の目詰まりなどの発生を抑制しつつ、廃棄物を精度良く自動的に選別することができる廃棄物選別システムを提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の材質の廃棄物が混在する廃棄物を材質毎に選別可能な廃棄物選別システム100であって、磁選機4により磁性体を取り除きながら廃棄物を搬送する搬送部2、5と、搬送部2、5により搬送されてくる廃棄物同士を間隔を持たせて整列する整列部6と、整列された廃棄物同士を間隔を持って搬送するベルトコンベア8と、ベルトコンベア8により搬送される廃棄物の画像情報を廃棄物の位置情報と関連付けて取得すると共に画像情報に基づいて廃棄物の材質を判定する材質判定部9と、材質判定結果に基づいてベルトコンベア8上の廃棄物を選別する選別部10と、を含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設物の解体等により生じる廃棄物を、材質毎に自動的に選別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート、鉄、木材、アルミニウム、プラスチックなどの建設廃棄物を選別(分別)する技術が種々提案されているが、その多くが磁気、風力、遠心力、振動、篩(ふるい)や櫛刃、静電気などによる選別技術を組合せたものである。
【0003】
例えば、特許文献1には「建設廃棄物選別処理システム」が記載されており、この「建設廃棄物選別処理システム」では、篩目のついた筒部を回転させて廃棄物を選別する篩による選別装置と、傾斜させた網状振動体の下方から吹き上げるように送風して軽量物を選別する比重選別装置と、を組み合わせて選別を行うようにしている。
【0004】
また、特許文献2には「建設混合廃棄物の選別処理設備」が記載されており、この「建設混合廃棄物の選別処理設備」では、破砕機で比較的細かく破砕した建設混合廃棄物を、篩による選別と、風力による選別と、静電を利用した選別と、を組み合わせて、大きさ、比重(密度)、帯電のし易さによって選別を行うようにしている。
【0005】
なお、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術やその他の従来の建設廃棄物の選別装置は、主として廃棄物の大きさや比重(密度)などを利用して選別するものであり、このような大きさや比重(密度)によって選別する装置と組み合わせる形で磁力や静電気を使用して鉄やプラスチックなどを選別して、各種の廃棄物に選別している。これらの選別装置において選別可能な建設廃棄物の種類は、例えばコンクリート、金属、木材、紙、プラスチック、土砂、石膏ボード、陶器くず等である。
【0006】
上述したような大きさ、比重(密度)、帯電のし易さによって廃棄物の種類を選別する方法とは別の選別方法として、画像を撮影して選別するものがある(特許文献3、特許文献4参照)が、かかる選別方法は、ビン類やプラスチック単体を種類毎に選別するものであり、多種の廃棄物が混入したものを選別するシステムではない。
【0007】
また、画像を使用した廃棄物の選別方法として特許文献5に記載されているようなものがあるが、廃棄物を撮影した画像から対象物の形状、重心、色、位置をディスプレイに表示し、この情報を基に操作者がマニュアル操作でシステムを動かすものであり、全て自動で廃棄物を選別するシステムではなく、熟練を要するおそれがあると共に操作者への負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4322896号公報
【特許文献2】特許第4001194号公報
【特許文献3】特許第3246818号公報
【特許文献4】特開平09−262556号公報
【特許文献5】特開平10−116335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1や特許文献2に記載されているような建設廃棄物選別システムは廃棄物の材質の比重(密度)の差を利用し、風力や遠心力を利用して重量物や軽量物など重量(比重)に応じて廃棄物を選別している。
【0010】
しかし、比重(密度)の差を利用して廃棄物を選別する場合には、選別する廃棄物の大きさを破砕機などによって同程度に均一化しなくては、精度良く廃棄物を選別することができない。
【0011】
また、風力を発生させるためのブロア装置や、遠心力を発生させるためのトロンメル装置などの大型装置が必要になり、選別システム全体が大型化し、結果としてシステムが高額になるという問題がある。
【0012】
更に、選別システムの大型化は設置スペースの自由度が制限されるため、例えば狭隘な場所で行われることが多い建物解体現場等で使用することは困難なものとなる。特に、ビル解体などの場合には上階から解体した建築廃棄物を落下させ、狭いスペースに設置された選別システムに廃棄物を搬入して選別し、その後に現場から搬出することが望まれている。
【0013】
ここで、廃棄物を所定サイズまで破砕する場合、破砕装置は鉄やコンクリートなどを破砕すると刃が損傷する恐れがあるだけでなく、廃棄物の破砕するための処理時間が必要となるため時間を要するため作業能率が低く、更には騒音・振動の発生源となる。特に、解体現場に選別システムを設置する場合においては、廃棄物選別の作業効率や装置のメンテナンス性、周辺環境といった面を重要視するため、騒音や振動が大きく作業効率も高めることが難しい破砕装置を省略して廃棄物を破砕せずに選別できれば有益である。
【0014】
また、廃棄物の比重(密度)を利用して選別するものについては、異種材質でも比重(密度)が近いもの(例えば木材とプラスチック、コンクリートと陶器くず等)については精度良く選別することが難しい。そのため、静電気や近赤外線などを利用した選別装置などの比重選別装置とは異なる選別装置を更に備えて選別するか、作業者が目視によって選別するようなことが必要になる。
【0015】
しかし、静電気や近赤外線を使用した選別装置は非常に高額である。作業者による選別では労働環境面での問題や、熟練を要するなど客観的な判断による精度の高い選別が期待できないなどの問題がある。
【0016】
なお、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されている建設廃棄物選別システムは、廃棄物を撮影した画像を利用して選別するものであるが、発明者等の実験研究によると、画像による廃棄物の選別精度を高めるためには、画像撮影時に、隣接する廃棄物が重なり合わないようにすることなどが重要となる。
【0017】
また、廃棄物が搬送経路の途中で目詰まりなどしないようにして、作業能率を高めることも求められる。
【0018】
本発明は、上述したような実情に鑑みなされたもので、破砕装置を省略することで簡単かつ軽量コンパクトで低コストな構成を実現しながら、廃棄物の目詰まりなどの発生を抑制しつつ、廃棄物を精度良く自動的に選別することができる廃棄物選別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このため、本発明は、
複数の材質の廃棄物が混在する廃棄物を、材質毎に選別可能な廃棄物選別システムであって、
磁選機により磁性体を取り除きながら、廃棄物を搬送する搬送部と、
搬送部により搬送されてくる廃棄物同士を間隔を持たせて整列する整列部と、
整列部により整列された廃棄物同士を間隔を持って搬送するベルトコンベアと、
ベルトコンベアにより搬送される廃棄物の画像情報を、廃棄物の位置情報と関連付けて取得すると共に、取得した画像情報に基づいて廃棄物の材質を判定する材質判定部と、
材質判定部の材質判定結果に基づいて、ベルトコンベア上の廃棄物を選別する選別部と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0020】
本発明において、前記整列部は、廃棄物の搬送方向及び搬送方向幅方向において、廃棄物同士に間隔を持たせて整列させることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明は、
前記選別部により選別された廃棄物を搬送する精選別ベルトコンベアと、
精選別ベルトコンベアにより搬送される廃棄物の画像情報を、廃棄物の位置情報と関連付けて取得すると共に、取得した画像情報に基づいて廃棄物の材質を判定する精選別材質判定部と、
精選別材質判定部の材質判定結果に基づいて、精選別ベルトコンベア上の廃棄物を選別する精選別部と、
を更に含んで構成したことを特徴とすることができる。
【0022】
本発明において、前記選別部と、前記精選別ベルトコンベアと、の間には、前記ベルトコンベア上から取り出された廃棄物を分散しながら搬送する中継分散コンベアが配設されることを特徴とすることができる。
【0023】
本発明において、前記画像情報には、廃棄物の形状情報から推定される廃棄物の重心位置情報が含まれることを特徴とすることができる。
【0024】
本発明において、前記選別部或いは前記精選別部の少なくとも一方は、廃棄物の重心位置情報に基づいて、廃棄物を取り出す際の取り出しタイミングを設定することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、破砕装置を省略することで簡単かつ軽量コンパクトで低コストな構成を実現しながら、廃棄物の目詰まりなどの発生を抑制しつつ、精度良く自動的に選別することができる廃棄物選別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムの全体構成を概略的に説明するための斜視図である。
【図2】同上実施の形態に係る建設廃棄物の選別処理を説明するフローチャートである。
【図3】同上実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムに利用されるチェーンカーテンの構造例を示す図である。
【図4】同上実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムに利用される振動ふるいの構造例を示す図である。
【図5】同上実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムに利用される整列フィーダ及びパイプスクリーンの構造例を示す斜視図である。
【図6】同上実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムに利用される整列フィーダの一例を搬送方向下流側の斜め上方から見た斜視図(右側壁を省略している)及びその断面図(傾斜面の部分)であり、傾斜面及び堤体部による廃棄物の分別(整列)動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0028】
図1は本実施の形態に係る建設廃棄物の選別システムの全体構成を概略的に示す斜視図であり、図2は本実施の形態に係る建設廃棄物選別処理のフローチャートを示す図である。
図1に示す本実施の形態に係る建設廃棄物選別システム100は、概略以下のように動作する。なお、選別の対象となる建設廃棄物に含まれる材質は、コンクリート、金属、木材、紙、プラスチック、土砂、石膏ボード、陶器くず等である。
【0029】
すなわち、図1や図2に示したように、バックホウなどにより廃棄物が投入ホッパ1に投入さる。投入された廃棄物は、下部にある開口部から振動フィーダ2に供給される(ステップ(1):図1において単に(1)と記す。また、図2においてステップはSと記す。以下同様)。
【0030】
振動フィーダ2は電動モータの回転によって振動され、その振動で廃棄物が振動フィーダ2上を下流工程方向に移動される(ステップ(2))。
【0031】
振動フィーダ2には上部から一定の長さのチェーンを複数本暖簾状に配置したチェーンカーテン3が設けられており、振動フィーダ2上を移動する廃棄物が、このチェーンカーテン3に接触して所定に滞留されることで、時間当たりに下流工程へと供給される廃棄物量がある一定量に制限されるようになっている(ステップ(3))。
【0032】
ここで、チェーンカーテン3は、図3に示すように、吊り下げられているチェーン3aの下端に所定の重さの金属片3bが取り付けられ、この金属片3bが振動フィーダ2の搬送面(廃棄物載置面)上の廃棄物と当接することによりその移動が制限され、廃棄物が、下流工程の振動ふるい5へ定量搬送されるようになっている。なお、チェーン3aと金属片3bの重量や数を調整することにより、このチェーンカーテン3を時間当たりに通過する廃棄物の量を調整することができる。
【0033】
振動フィーダ2上を移動してチェーンカーテン3を通過した廃棄物は、搬送方向先端から振動ふるい5に落下する。振動ふるい5は電動モータの回転によって振動され、その振動で廃棄物が振動ふるい5上を移動する。
ここにおいて、振動フィーダ2や振動ふるい5が、本発明に係る搬送部の一例に相当する。
【0034】
振動ふるい5の上方には吊下式磁選機4が配置されており、この吊下式磁選機4は磁力によって振動ふるい5上を移動する廃棄物の中から鉄鋼等の磁性材料を図1中上方に向けて磁気吸引して取り除くことができるようになっている(ステップ(4))。
【0035】
振動ふるい5の廃棄物の移動面(載置面)には、路盤材や骨材として再生利用可能であるが、画像による判定や選別の対象外となるコンクリート小塊を振い落すための穴5aが開いていて、移動する廃棄物の中から大きさが約40mm程度以下の廃棄物が選別システムの下部に落下するようになっている(ステップ(5)、図4参照)。なお、このような小さな廃棄物を除去することは、下流工程において行われる画像に基づく材質選別における選別精度への悪影響を抑制することにも寄与する。
ただし、予め廃棄物に40mm程度以下のものを含まない場合は、振動ふるい5を省略することができる。
【0036】
振動ふるい5によって篩分けされ、振動ふるい5上に残っている比較的大きなサイズの廃棄物は、整列フィーダ6(例えば、特願2010−156589号に記載されている技術を採用することができる)上に落下などにより移送される。
【0037】
整列フィーダ6は電動モータの回転によって振動され、その振動で廃棄物が整列フィーダ6上を移動される(ステップ(6))。
ここにおいて、整列フィーダ6が、本発明に係る整列部の一例に相当する。
【0038】
整列フィーダ6の廃棄物の移動面(搬送面)には堤体部が設けられ、これにより廃棄物が重なることが無く、間隔を空けた状態で廃棄物を複数列に整列させて下流工程へ搬出することができるようになっている(図5参照)。詳細については後述する。
【0039】
この整列フィーダ6を通過し、画像を撮影するのに適した間隔を有して列(例えば、図5に示すように、Aライン、Bライン。Aライン、Bラインのそれぞれのラインの中には、更に整列フィーダ6により分配された複数列が存在する)に並べられた廃棄物は、パイプスクリーン7上を通過することで、選別の対象とならない撮影に悪影響を与えるおそれのある微細な廃棄物が除去され、その後に、粗選別コンベア8のベルト上に載置される。
ここにおいて、粗選別コンベア8が、本発明に係るベルトコンベアの一例に相当する。
【0040】
なお、パイプスクリーン7は、図5に示されるように、所定間隔で並設された複数のパイプからなり、パイプ間の隙間から、整列フィーダ6における振動搬送によって廃棄物から生じる細かい廃棄物が落下され、不必要な細かな廃棄物が下流工程へ送られることによる廃棄物の画像選別精度への悪影響を抑制して、廃棄物の画像選別精度を向上させることに寄与する(ステップ(7))。
【0041】
パイプスクリーン7上を通過して粗選別コンベア8のコンベア上に乗せられた廃棄物は、粗選別判定装置9(例えば、特願2008−200890号(特開2010−38689号公報)に記載の技術を利用することができる)の筺体内部に一定速度で移送される(ステップ(8)、ステップ(9))。
【0042】
粗選別判定装置9の筺体内部には廃棄物を撮影するための撮影カメラ9A及び照明9Bが配設されていて、撮影カメラ9Aは粗選別判定装置9の側面などに設置された廃棄物材質判定制御装置箱(図示せず)に設置された廃棄物材質判定制御装置(図示しないパーソナルコンピュータなどからなる)と通信ケーブルで接続され、撮影トリガ信号や撮影画像などの情報を相互に通信(双方向通信)している(ステップ(9))。
但し、無線による相互(双方向)通信も可能である。
【0043】
廃棄物を撮影するための撮影トリガ信号は、粗選別コンベア8の移動量が設定値になる毎に廃棄物材質判定制御装置に送信され、これに基づいて粗選別判定装置9では撮影を行うことから、粗選別判定装置9では粗選別コンベア8の移動量と対応付けて(関連付けて)廃棄物の撮影を行うようになっている。
【0044】
すなわち、粗選別判定装置9では、粗選別コンベア8上の廃棄物は粗選別コンベア8上の位置と対応付けられてその画像情報(形状情報、色情報、質感情報など)が取得されて記憶されるようになっている。
【0045】
従って、粗選別コンベア8上の廃棄物は、粗選別コンベア8上の位置情報により特定され、その特定された廃棄物に対応付けて撮影した画像情報(形状情報、色情報、質感情報など)が記憶され、その画像情報に基づいて材質判定が行われ、その廃棄物に対応した判定結果(廃棄物の材質)が、粗選別判定装置9から選別システムコントロールユニット(或いは粗選別掻取装置10)に送信されるようになっている。
ここにおいて、粗選別判定装置9が、本発明に係る材質判定部の一例に相当する。
【0046】
更に、本実施の形態では、取得した画像情報(特に形状情報)に基づいて対応する廃棄物の重心位置をその廃棄物と対応付けて選別システムコントロールユニット(或いは粗選別掻取装置10)に送るようになっている。
【0047】
粗選別コンベア8のコンベアには廃棄物が重なること無く一定間隔で配置され、撮影カメラ9Aで撮影するために、撮影結果への影響を低減すべく、粗選別コンベア8のコンベアには平坦で黒色または青色など単色のゴムベルトが使用されている。
【0048】
また、ゴムベルトに付着した埃などは材質判定に影響を及ぼすため、ベルト表面を清掃するためのベルトクリーナ(水や洗剤などを含んだブラシ、スポンジなど)が、粗選別コンベア8の下側などに取り付けられている。
【0049】
粗選別判定装置9から粗選別掻取装置10(或いは選別システムコントロールユニットを介して粗選別掻取装置10)に送信された判定結果を基にして、粗選別掻取装置10では、粗選別コンベア8のコンベア上に載置されている廃棄物の中からコンクリートを除く全ての廃棄物を掻き取る(ステップ(10))。ここでは、「掻き取る」或いは「掻取」との表現を用いているが、これに限らず「掻き出す」或いは「掻出」との表現も採用できるもので、本発明においては、コンベア上に載置されている廃棄物の中から所望の廃棄物を取り出す動作であれば、特にその表現が限定されるものではない。
ここにおいて、粗選別掻取装置10が、本発明に係る選別部の一例に相当する。
【0050】
具体的には、粗選別掻取装置10は、コンクリートを除く全ての廃棄物を、粗選別コンベア8のコンベア上から粗選別掻取装置10の下方に設置されている中継分散コンベア12上に掻き落とす。
【0051】
粗選別掻取装置10は、例えば、複数枚(例えば4枚、6枚、8枚など)の掻取り羽根を無限軌道の周の外側に配置したもので、電動モータと無限軌道が駆動チェーンで接続され、電動モータの回転によって無限軌道が回転され、回転量に応じて掻取り羽根が移動することで、粗選別コンベア8のコンベア上の廃棄物が掻取り羽根によって掻き落とされる仕組みになっている。
【0052】
ここで、粗選別掻取装置10は、掻き落とす廃棄物に関し、粗選別コンベア8のコンベア上の位置と対応付けられた材質情報に基づいて特定する。また、掻き落とす廃棄物として特定された廃棄物に関する重心位置情報を推定等により取得し、これに基づいて、掻取り羽根が掻き落とす際の最適タイミングなどを演算により取得して、掻き落としミスなどを排除するようになっている。
【0053】
すなわち、粗選別コンベア8のコンベア上を移動している廃棄物を掻き落とすため比較的掻き落とすことは難しく、例えば廃棄物を掻取り羽根との接触位置が廃棄物の重心位置から所定に離れてしまうと、廃棄物がコンベア上平面内で回転するに留まってコンベア上から掻き落とすことができない場合も想定される。
【0054】
このため、本実施の形態に係る粗選別掻取装置10では、粗選別判定装置9から廃棄物の重心位置を推定等により取得し、この重心位置を狙って掻取り羽根によりコンベア上の廃棄物を掻き落とすこととして、粗選別掻取装置10による掻き落としの確実性を向上させている。
【0055】
掻取り羽根が取り付けられた無限軌道は、粗選別コンベア8のコンベアの進行方向に向かって中心から左右両側に掻き落とせるよう右側用(Aライン用)と左側用(Bライン用)の2つが配置されている。
【0056】
選別コンベア8のコンベア上に残されたコンクリート塊には、吊下式磁選機5では取り除くことができなかった釘やボルトなどの小さな金属が混入している場合があるため、粗選別コンベア8の下流端部に、プーリ式磁選機11を配置し、粗選別コンベア8から落下する廃棄物(コンクリート塊)の中から磁力によって金属を取り除くことができるようになっている(ステップ(11))。
【0057】
中継分散コンベア12のコンベア上に掻き落とされたコンクリート以外の廃棄物は、中継分散コンベア12のコンベア外周に一定間隔で取り付けられた突起物(スタンド)に係止されつつ搬送され、時間当たり略一定量に調量されつつ精選別コンベア13上に供給される(ステップ(12))。
【0058】
中継分散コンベア12は、キャタピラ状に連結した複数の鋼板に、幅10cm程度の山型突起12Aを所定間隔に配置し、これを電動モータにより回転駆動される構成で、図1に示したように、中継分散コンベア12の下流側の高さを上流側よりも高くすることで、廃棄物を山型突起12Aに係止することで等間隔かつ定量的に精選別コンベア13上に廃棄物を搬送することができるようになっている。
【0059】
精選別コンベア13のコンベア上に乗せられた廃棄物は、精選別判定装置14(例えば、特願2008−200890号(特開2010−38689号公報)に記載の技術を利用することができる)の筺体内部に一定速度で移送される。
【0060】
精選別判定装置14は、粗選別判定装置9と略同様の構成とすることができ、精選別判定装置14の筺体内部には廃棄物を撮影するための撮影カメラ14A及び照明14Bが内蔵されていて、撮影カメラ14Aは精選別判定装置14の側面などに設置された廃棄物材質判定制御装置箱(図示せず)に設置された廃棄物材質判定制御装置(図示しないパーソナルコンピュータなどからなる)と通信ケーブルで接続され、撮影トリガ信号や撮影画像などの情報を相互に通信(双方向通信)している(ステップ(14))。
但し、無線による相互(双方向)通信も可能である。
【0061】
廃棄物を撮影するための撮影トリガ信号は、精選別コンベア14の移動量が設定値になる毎に選別システムから判定装置のコンピュータに送信され、これに基づいて精選別判定装置14では撮影を行うことから、精選別判定装置14では精選別コンベア14の移動量と対応付けて廃棄物の撮影を行うようになっている。
【0062】
すなわち、精選別判定装置14では、精選別コンベア13上の廃棄物は精選別コンベア13上の位置と対応付けられてその画像情報(形状情報、色情報、質感情報など)が取得されて記憶されるようになっている。
【0063】
従って、精選別コンベア13上の廃棄物は、精選別コンベア13上の位置情報により特定され、その特定された廃棄物に対応付けて撮影した画像情報(形状情報、色情報、質感情報など)が記憶され、その画像情報に基づいて材質判定が行われ、その廃棄物に対応した判定結果(廃棄物の材質)が、精選別判定装置14から選別システムコントロールユニット(或いは精選別掻取装置15)に送信されるようになっている。
ここにおいて、精選別判定装置14が、本発明に係る精選別材質判定部の一例に相当する。
【0064】
更に、本実施の形態では、取得した画像情報(特に形状情報)に基づいて対応する廃棄物の重心位置を推定等により取得し、重心位置情報もその廃棄物と対応付けて選別システムコントロールユニット(或いは粗選別掻取装置15)に送るようになっている。
【0065】
ここで、精選別判定装置14と粗選別判定装置9の基本構成は略同じであるが、粗選別判定装置9(コンクリートと、コンクリート以外の材料に対応した材質判定が行われる)の方が、精選別判定装置14(コンクリート、鉄、アルミ、プラスチック、木材、その他の材料のそれぞれに対応した材質判定が行われる)に比べて時間当たりの廃棄物処理量が多いため、精選別判定装置14は撮影カメラ1台と材質判定システム1組が備えられているのに対して、粗選別判定装置9は撮影カメラ4台と材質判定システム2組が備えられている。
【0066】
精選別判定装置14から精選別掻取装置15に送信された判定結果を基にして、精選別コンベア13のコンベア上を移動する廃棄物の中からコンクリート以外の廃棄物を、精選別掻取装置15によって、ベルトコンベア上から精選別コンベア13の両端に設置されている回収ボックスへ材質毎に掻き落とされる。
【0067】
精選別掻取装置15は、例えば、複数枚(例えば6枚)の掻取り羽根を無限軌道の周の外側に配置したもので、電動モータと無限軌道が駆動チェーンで接続され、電動モータの回転によって無限軌道も回転し、回転量に応じて掻取り羽根が移動することで、精選別コンベア13のコンベア上の廃棄物が掻取り羽根によって、精選別コンベア13のコンベアの側方に掻き落とされる仕組みになっている。
ここにおいて、精選別掻取装置15が、本発明に係る精選別部の一例に相当する。
【0068】
なお、精選別掻取装置15の掻取り羽根が取り付けられた無限軌道は、図1に示すように、例えば、最大5種類の廃棄物を選別できるように5列設置されていて、精選別掻取装置15では、精選別判定装置14により取得される精選別コンベア13のコンベア上の廃棄物の位置及びこれに対応して取得されている廃棄物の材質判定結果に応じて、効率的かつ巻込みなどを少なく掻き落とせるように、ベルトコンベアの進行方向に向かって中心から左右両側の何れに掻き落とすのが良いのかなどを判断し、その判断結果に応じて精選別掻取装置15の5列の掻取り羽根を駆動する電動モータの回転方向をそれぞれ最適に制御している。
【0069】
なお、選別する廃棄物が5種類より多い場合においても、精選別掻取装置15の掻取り羽根の無限軌道を追加することで対応できる。
【0070】
精選別コンベア13のコンベアは廃棄物を重なること無く一定間隔で配置させ、撮影カメラ14Aで撮影するために、撮影結果への影響を低減すべく、精選別コンベア13のコンベアには平坦で黒色または青色など単色のゴムベルトを使用されることができる。
【0071】
また、ゴムベルトに付着した埃などは材質判定に影響を及ぼすため、ベルト表面を清掃するためのベルトクリーナ(水や洗剤などを含んだブラシ、スポンジなど)が、精選別コンベア13の下側などに取り付けられている。
【0072】
このように、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システムによれば、解体現場などから排出される建設廃棄物を破砕することなく、重機などで解体した比較的大きなサイズ(例えば、一辺が約300mm程度の立方体)のまま廃棄物の種類を問わず選別可能であるため、これまで行われてきた作業環境のあまり良くない状況での人力による選別作業を自動化できるだけでなく、破砕する作業や装置が無くても建設廃棄物の選別が可能なため、解体作業の高効率化や低コスト化等を図ることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システムは、廃棄物がシステム途中で目詰まりする箇所がない構成としているため、選別作業途中で廃棄物が目詰まり等して非常停止するような事態や、選別作業を停止して面倒な取り除き作業を行う必要がないため、自動連続運転にも耐え、作業能率を大幅に改善することができる。
【0074】
また、解体現場など狭隘な作業スペースにおいて建設廃棄物選別システムを使用する場合、従来のようなシステムでは風力選別機やトロンメル等の大型機械を設置することが困難であるが、本実施の形態に係るによる建設廃棄物選別システムによれば、風力選別機やトロンメル等の大型機械を設置する必要がないため、省スペースな建設廃棄物選別システムを提供することができる。
【0075】
更に、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システムは、破砕機を使用しない選別システムを実現可能であるため、破砕時の騒音・振動の発生を抑制することができると共に、比較的摩耗の激しい破砕機のメンテナンスのための時間、破砕のためにかかる作業時間を考慮せずに作業を行うことができるため、解体作業の高効率化や低コスト化の促進に貢献することができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、解体現場などで重機に近接した場所や崩壊などの危険性がある場所での人力による選別作業から作業者を解放することができ、解体作業の安全性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、廃棄物の客観的な選別を定量的に行うことができる。また、人間による作業とは異なり、場合によっては昼夜を問わず1日中選別することも可能である。
【0078】
また、本実施の形態によれば、排出される廃棄物の大半を占めるコンクリートを破砕機等によって破砕すること無く選別することができるため、選別作業の効率化を図ることができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、これまで工程やコスト面から混合廃棄物として排出(搬出)していた廃棄物を選別することができるので、リサイクル可能な資源として廃棄物を排出(搬出)することができ、以って建設廃棄物におけるリサイクル率の向上を図ることができる。
【0080】
また、従来のように破砕装置を用いて廃棄物を細かく破砕して選別してしまうと、多少の異物が混入してしまった場合に、後から選別することが非常に困難であり比較的純度の低い廃棄物をリサイクルに使用することになるが、本実施の形態では、破砕すること無く選別を行うため、仮に異物が混入した場合でも人による選別などの手段で、後から異物を容易に取り除くことができるといった利点がある。
【0081】
ここで、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システム100は、従来の建設廃棄物を選別するシステムとの相違点の概略を、以下に述べておく。
すなわち、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システム100は、システムに投入された廃棄物をベルトコンベア上に重なり合わないように整列させ、その状態でベルトコンベア上位置と関連付けて廃棄物の画像を撮影し、その画像から得られる色、形状、表面の質感などの情報を基にして廃棄物の種類を推定し、ベルトコンベア上にあるコンクリート以外の建設廃棄物を種類毎にその重心位置を考慮しつつ掻き取り(掻き出し)、廃棄物を選別するシステム構成を採用したので、廃棄物が搬送経路途中で目詰まりしてしまうような事態の発生を抑制しつつ、従来のように、廃棄物を破砕することなく、かつ比重による選別を行わないで廃棄物を選別することができる。
【0082】
これにより、
(1)比重(密度)による選別を行わないため、廃棄物を破砕することなく選別が可能である。
(2)破砕機を使用しないので破砕時の振動・騒音が無くなり、破砕機のメンテナンスや破砕する手間を省略できる。
(3)破砕機、風力選別機やトロンメルなどの大型機械を使用せずに選別を行うので装置を小型化でき、製作にかかるコストを下げることができる。
(4)比重(密度)が近い廃棄物も低コストに選別が可能である。
(5)廃棄物が搬送経路途中で目詰まりなどする箇所がない構成としているため、選別作業途中で廃棄物が目詰まり等して非常停止するような事態や、選別作業を停止して面倒な取り除き作業を行う必要がないため、自動連続運転にも耐え、作業能率を大幅に改善することができる。
【0083】
なお、本建設廃棄物選別システム100の処理対象としている廃棄物は、ビルなどのコンクリート構造物を解体した時に発生するコンクリート塊、鉄鋼(鉄筋、鉄骨等)、アルミニウム、木材、プラスチックを主とする建設廃棄物である。建物の構造にもよるが廃棄物の例えば約8割がコンクリート塊、約1割が鉄鋼、残りの約1割がアルミニウムや木材、プラスチック等が混ざった状態で排出されてしまう廃棄物のように多量のコンクリート塊の中に混入したその他の廃棄物を材質毎に選別することが可能である。
【0084】
本建設廃棄物選別システム100は、このような多量のコンクリート塊から効率的に廃棄物を材質毎に選別するために、図1や図2で示したように、上流でコンクリート塊からその他の異物を取り除く「粗選別領域」と、「粗選別領域」で取り除かれた廃棄物を材質毎に選別する「精選別領域」と、の2つの領域に分けられる。「粗選別領域」で取り除かれた廃棄物を「精選別領域」に供給するために「中継分散コンベア12」を配置している。
【0085】
なお、設置場所の都合などによっては、「粗選別領域」と「精選別領域」と離れた場所に設置することも可能で、「粗選別領域」により選別されたコンクリート以外の廃棄物を車両などに搭載し、それを離れた場所に設置された「中継分散コンベア12」を介して、或いは「精選別領域」の精選別コンベア13へ直接的に搬入するような構成とすることもできる。
【0086】
また、投入される廃棄物の状態や、要求される選別精度によっては、「中継分散コンベア12」や「精選別領域」を省略することもできる。そして、そのような場合には、例えば、「粗選別判定装置9」及び「粗選別掻取装置10」に代えて、「精選別判定装置14」及び「精選別掻取装置15」を「粗選別領域」に配設する構成とすることもできる。
【0087】
ここにおいて、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システム100の整列フィーダ6の一例について説明する。
【0088】
図6に示すように、本実施の形態に係る整列フィーダ6(堤体方式)には、振動ふるい5を通過した廃棄物が投入部610から投入される。
なお、図6は、整列フィーダ6のBライン側のみを示しており、図6に示す中心面を挟んで反対側のAライン側には、図5に示したように、Bライン側と同様の要素が面対称で配設されている。
【0089】
投入部610から投下された廃棄物は、振動フィーダとして機能する搬送部620へ導かれる。図2に示す全体が所定周期で所定振幅にて電動モータ等を介して加振されている。
【0090】
搬送部620は、図6の右方向が下がった傾斜面622を有している。
このため、搬送部620の傾斜面622上の廃棄物には、図6中右方向へ進む重力成分(落下方向成分)の力(GF)が作用する。従って、傾斜面122上においては、廃棄物には、加振による搬送力(CF)と、重力成分(落下方向成分)の力(GF)と、により、搬送方向に対して斜め方向の搬送力(RF)が作用する。
【0091】
なお、傾斜面622は、図6に示したように、搬送方向下流側が上流側よりやや低くなるように進行方向に傾いて(前傾)(振動フィーダの搬送方向への搬送力が強い場合などは、これとは逆の傾き(後傾)でも可能である)に配設可能に構成されていて、当該進行方向傾き(前傾、後傾)の角度を調整することにより、例えば所望の搬送速度が得られるようにきめ細かな調整が可能となっている。なお、搬送速度の調整は、加振力の調整や振動周波数、或いはこれらの組み合わせによっても可能である。
【0092】
ここで、堤体部621は、図6に示すように、廃棄物が重力成分(落下方向成分)の力によって傾斜面622に沿って図6中右側の凹部(搬送経路)622B側へ転がり落ちることを規制するように機能すべく、傾斜面622から所定に突出して形成されている。
【0093】
堤体部621の稜線部分621Aに規制されて図6中左側の凹部622Aに案内されて搬送されている廃棄物のうち、堤体部621の稜線部分621Aから図6中右側へはみ出すような比較的サイズの大きい(大径の)廃棄物は、振動等に伴って、稜線部分621Aを乗り越えて図6中右側の凹部622B側へ落下されて、排出部630の大径レーン630Bへと導かれる。
【0094】
これに対して、比較的サイズが小さい(小径の)廃棄物は、堤体部621の規制を受け、堤体部621の稜線部分621Aより図6中左側の凹部622A内を搬送されて、排出部630の小径レーン630Aへと導かれる。
【0095】
なお、図6に示すように、堤体部621の稜線部分621Aは、搬送方向下流側において、一旦、搬送方向横方向への張り出しの小さい稜線部分621Bに変更された後、再び稜線部分621Aと同程度の張り出しを持つ稜線部分621Cを持つように構成されている。
【0096】
従って、比較的大きなサイズではあるが、最初の稜線部分621Aを乗り越えて凹部622B側へ落下することなく搬送されてきた廃棄物が、稜線部分621Aより張り出しの小さい稜線部分621Bへ移動されると、稜線部分621Bを乗り越え易くなるため、図6中右側の凹部622Bへ落下されて、大径レーン630Bへと導かれることになる。
【0097】
なお、廃棄物が、稜線部分621Aから、張り出しの小さい稜線部分621Bへ移動する際に、振動による搬送対象物の重心が不安定になるため、堤体部が小さくなることで重力を受け乗り越え易くなり、比較的大きなサイズの廃棄物を、図6中右側の凹部622Bへ落下させ易くすることができる。
【0098】
更に、比較的大きなサイズではあるが、稜線部分621Bから図6中右側或いは左側に落下することなく凹部622Aに沿って搬送されてきた廃棄物は、稜線部分621Cと稜線部分621Bとの段差部分Xに、そのはみ出し部分が衝突することになって、当該衝突によって図2中右側の凹部122B側への落下が促されることになる。すなわち、かかる段差部分Xは、比較的大きなサイズの廃棄物を、図2中右側の凹部122Bへ落下させ易くすることに貢献する。
但し、種々の条件によっては、搬送方向横方向への張り出しの小さい稜線部分621Bは省略することもできる。
【0099】
また、本実施の形態では、図5に示すように、稜線部分621Bから図6中右側(或いは左側)に落下することなく凹部622Aに沿って搬送されてきた廃棄物を、凹部622B側へ落下させることができるように、ガイド623が設けられている。
【0100】
なお、小径レーン630Aは、搬送方向上流側に向かうに従って高さが高くなるスロープ状に形成してあり、これにより、図6中左側の凹部622Aに沿った搬送経路の端部622Cから、小さいサイズの廃棄物が、小径レーン630Aへ落下したときの「跳ね」などを抑制している。
【0101】
小径レーン630A、大径レーン630Bに振り分けられた廃棄物は、振動により各レーンを搬送方向下流側に向けて搬送される。
【0102】
このように、本実施の形態に係る整列フィーダ6によれば、異なる形状、サイズが混在する廃棄物が投入されると、廃棄物は落下によるエネルギや振動フィーダによる加振力などによって所定搬送方向に搬送されるが、その搬送面の一部を構成している傾斜面622により、図6に示したように落下方向成分の力が作用することになる。
【0103】
そして、この落下方向成分の力による落下を、本実施の形態では、堤体部621により規制することで、比較的小さいサイズの廃棄物については、凹部622Aに沿って搬送方向下流側へ向けて搬送し小径レーン630Aに沿って搬送方向下流側へ搬送することができる。
【0104】
この一方で、比較的大きいサイズの廃棄物については、落下方向成分の力によって堤体部621の稜線部分621A、621B、621Cを乗り越えて図6中の右側の凹部621Bへ落下させることができるため、大径レーン630Bに沿って搬送方向下流側へ搬送することができる。
なお、Aライン、Bラインのそれぞれに、小径レーン630A、大径レーン630Bが存在する。
【0105】
本実施の形態に係る整列フィーダ6によれば、廃棄物はサイズに応じて分粒されているので、各レーン内において、隣接する廃棄物の下側に入り込んでカメラの視野の陰に隠れてしまうようなことが抑制されるため、隣接する個々の廃棄物を所定に離して整列した状態で搬送することができる。
【0106】
すなわち、本実施の形態に係る整列フィーダ6によれば、異なる形状、サイズが混在する廃棄物を分粒し、分粒後の廃棄物を粒径に対応した搬送経路に整列させて搬送することができることになる。
【0107】
また、本実施の形態に係る整列フィーダ6によれば、搬送方向に整列させることができると共に、各ライン毎に搬送方向幅方向において分粒(整列)させることができるため(小径レーン630A、大径レーン630Bに分別できるため)、搬送方向に一列に分散させるだけのものに比べて、多量の廃棄物を処理することができる。すなわち、本実施の形態に係る建設廃棄物選別システム100の時間当たりの廃棄物の選別処理量を増やすことができる。
【0108】
また、本実施の形態に係る整列フィーダ6によれば、廃棄物が搬送経路の途中に詰まって、目詰まりのような現象を発生させることがないので、比較的大掛かりで手間ひまのかかる除去作業の必要がなく、また廃棄物を連続投入しても、例えば目詰まり発生をチェックするために常時人間が監視するなどの必要がないので、例えば自動運転なども可能であり、従来の装置に比べて、大幅に作業能率を高めることができる。
【0109】
なお、小径レーン630A、大径レーン630Bの各レーン内において隣接する廃棄物が搬送方向において接近して接触するような現象も想定されるが、このような場合でも、本実施の形態では、以下のような構成とすることで、下流工程の粗選別判定装置9において精度良く材質判定を行うことができるように、搬送方向において所定間隔を空けて廃棄物を粗選別判定装置9へ送り込むことができるようになっている。
【0110】
すなわち、本実施の形態に係る整列フィーダ6の下流側には、粗選別コンベア8を接続する構成としている。
これにより、Aライン、Bラインのそれぞれの各レーンから比較的小さいサイズの廃棄物と比較的大きいサイズの廃棄物が粗選別コンベア8のベルトコンベア上に供給されるが、比較的小さいサイズの廃棄物と、比較的大きいサイズの廃棄物と、は、ベルトコンベアの幅方向において、区別可能に載置される。
【0111】
また、粗選別コンベア8のベルトコンベアの搬送速度を、整列フィーダ6による搬送速度より高速に設定することで、その搬送速度差によって隣接する廃棄物の間隔を広げることができるため、ベルトコンベアの搬送方向における廃棄物間の間隔を所望にすることができる。
【0112】
従って、粗選別判定装置9においては、Aライン(或いはBライン)の小径レーン630Aから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができると共に、同様に、Aライン(或いはBライン)の大径レーン630Bから供給される廃棄物について個別化して高精度に各廃棄物の材質を判定することができることになる。
【0113】
ところで、本実施の形態では、粗選別コンベア8に関し、小径レーン630Aから搬出される廃棄物と、大径レーン630Bから搬出される廃棄物と、を共通のベルト上に載置する構成としたが、それぞれのレーンに対応して独立のベルトコンベアを備えるような構成とすることができる。Aライン、Bラインについても、それぞれのラインに対応して独立のベルトコンベアを備えるような構成とすることができる。これにより、それぞれのライン及び/或いはレーンに対応してベルトコンベアの搬送速度を独立して設定することができるため、例えば粗選別判定装置9の材質判定精度を一層高めたい場合などにおいては有益なものとなり得る。
【0114】
なお、整列フィーダ6については、堤体部621により傾斜面622上での廃棄物の落下を制限することで廃棄物を整列搬送する場合に限らず、本発明における整列フィーダは整列させて搬送する方法については特に限定されるものではなく、例えば、特願2010−156589号に記載されているような仕切板(傾斜面622と所定の隙間を持って搬送方向に延在され傾斜面622の上方から垂れ下がっている仕切板)により廃棄物の傾斜面622上での落下を制限して廃棄物を整列搬送するようにしたものなどを採用することができる。
【0115】
上述した本実施の形態では、選別の対象を建設廃棄物とし、例えばコンクリート塊を含む廃棄物を代表的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば建設物の一種である木造建築物を解体した際に発生する木材を主成分とする廃棄物にも適用可能である。
【0116】
以上で説明した本発明に係る実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 投入ホッパ
2 振動フィーダ
3 チェーンカーテン
4 振動ふるい
5 吊下式磁選機
6 整列フィーダ
7 パイプスクリーン
8 粗選別コンベア
9 粗選別判定装置
10 粗選別掻取装置
11 プーリ式磁選機
12 中継分散コンベア
13 精選別コンベア
14 精選別判定装置
15 精選別掻取装置
100 建設廃棄物選別システム(廃棄物選別システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の材質の廃棄物が混在する廃棄物を、材質毎に選別可能な廃棄物選別システムであって、
磁選機により磁性体を取り除きながら、廃棄物を搬送する搬送部と、
搬送部により搬送されてくる廃棄物同士を間隔を持たせて整列する整列部と、
整列部により整列された廃棄物同士を間隔を持って搬送するベルトコンベアと、
ベルトコンベアにより搬送される廃棄物の画像情報を、廃棄物の位置情報と関連付けて取得すると共に、取得した画像情報に基づいて廃棄物の材質を判定する材質判定部と、
材質判定部の材質判定結果に基づいて、ベルトコンベア上の廃棄物を選別する選別部と、
を含んで構成したことを特徴とする廃棄物選別システム。
【請求項2】
前記整列部は、廃棄物の搬送方向及び搬送方向幅方向において、廃棄物同士に間隔を持たせて整列させることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物選別システム。
【請求項3】
前記選別部により選別された廃棄物を搬送する精選別ベルトコンベアと、
精選別ベルトコンベアにより搬送される廃棄物の画像情報を、廃棄物の位置情報と関連付けて取得すると共に、取得した画像情報に基づいて廃棄物の材質を判定する精選別材質判定部と、
精選別材質判定部の材質判定結果に基づいて、精選別ベルトコンベア上の廃棄物を選別する精選別部と、
を更に含んで構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の廃棄物選別システム。
【請求項4】
前記選別部と、前記精選別ベルトコンベアと、の間には、前記ベルトコンベア上から取り出された廃棄物を分散しながら搬送する中継分散コンベアが配設されることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物選別システム。
【請求項5】
前記画像情報には、廃棄物の形状情報から推定される廃棄物の重心位置情報が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の廃棄物選別システム。
【請求項6】
前記選別部或いは前記精選別部の少なくとも一方は、廃棄物の重心位置情報に基づいて、廃棄物を取り出す際の取り出しタイミングを設定することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の廃棄物選別システム。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50959(P2011−50959A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−265158(P2010−265158)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18〜22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト建設系産業廃棄物処理RTシステム(特殊環境用ロボット分野)次世代マニピュレータによる廃棄物分離・選別システムの開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【Fターム(参考)】