説明

廃水の処理剤および処理方法

【課題】
非イオン界面活性剤等の界面活性剤を含んだ油脂分の多い(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含む)工場廃水を効率的に処理することは従来困難であった。
【解決手段】
一般式(1)で示されるモノマー(a)および/または二酸化硫黄を必須構成単位とする(共)重合体(A1)と、一般式(2)で示されるモノマー(b)を必須構成単位とする(共)重合体(B1)とからなることを特徴とする高分子凝集剤剤で、油脂分の多い油脂分含有廃水中の油脂分を効率的に分離する廃水の処理方法である。
(CH=CR−CH・Z (1)
[式中、RはHまたはメチル基;R、Rはそれぞれ独立にH、(メタ)アリル基、炭素数1〜16のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基;Zは対アニオンを表す。]
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (2)
[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;RはHまたはメチル基;R、R6、はそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基またはアラルキル基;Zは対アニオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下水または工場廃水等の処理に用いる高分子凝集剤、並びに該高分子凝集剤を用いた廃水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水または工場の廃水等の処理にはポリアクリルアミド、アクリルアミドとアクリル酸共重合体のソーダ塩、アミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(共)重合体、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩(または4級塩)などの高分子凝集剤(文献「高分子薬剤」三洋化成工業株式会社発行1992年11月第一刷発行のページ404〜418に記載)や硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄などの無機凝結剤および/またはエピハロヒドリンとアミンとの重縮合体(もしくはその塩酸塩)、エピハロヒドリンとアルキレンジアミンとの重縮合体有機(塩酸塩)、ポリエチレンイミン(塩酸塩)アルキレンジハライド−アルキレンポリアミン重縮合体(塩酸塩)などの有機凝結剤などを組み合わせて通常は使用されることが知られている。
また、下水の処理で生じた有機性汚泥や工場廃水等の処理で生じた無機性汚泥の脱水に用いられる高分子凝集剤としては、ジアリルアミンの3級塩、または4級塩の重合体(特許文献1参照)、ジアリルアミンの3級塩または4級塩との共重合体(特許文献2、3参照)からなるものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−18611号公報(第1頁)
【特許文献2】特開昭51−37986号公報(第1頁)
【特許文献3】特開昭63−242309号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの高分子凝集剤、無機・有機凝結剤を単独あるいは併用しても非イオン界面活性剤等の界面活性剤を含んだ油脂分の多い(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含む)工場廃水に処理して、油脂分を効率的に除去することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
一般式(1)で示されるモノマー(a)および/または二酸化硫黄を必須構成単位とする(共)重合体(A1)と、一般式(2)で示されるモノマー(b)を必須構成単位とする(共)重合体(B1)とからなることを特徴とする高分子凝集剤剤で、油脂分含有廃水中の油脂分分離用であることを特徴とする高分子凝集剤である。
(CH=CR−CH・Z (1)
[式中、RはHまたはメチル基;R、Rはそれぞれ独立にH、(メタ)アリル基、炭素数1〜16のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基;Zは対アニオンを表す。]
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (2)
[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;RはHまたはメチル基;R、R6、はそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基またはアラルキル基;Zは対アニオンを表す。]
廃水は、多量の油脂分や界面活性剤、無機物等(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含有)を含んでおり、該発明の高分子凝集剤の0.1〜0.5%水溶液あるいは高分子凝集剤原体を廃水に対して50〜5,000ppm添加し、攪拌することにより上層に油状層を形成させ、それをスクリーン等で除去することにより廃水中の油脂分を大幅に減少させる廃水の処理方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の高分子凝集剤は、下記の効果を奏することから極めて有用である。
界面活性剤を含有し、油脂分が多量に含まれた工場廃水(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/L未満の油脂分を含有)に添加、攪拌することで上層に油状層を形成し、その油状物はスクリーン等により容易に除去され、工場廃水中の油分を大幅に低減できる。
多量の油脂分を除去した工場廃水(油脂分としてノルマルヘキサン抽出物が3000mg/L未満)は、通常の工場廃水と同様に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウムの凝結剤と通常使用されるポリアクリルアミドやアクリルアミド/アクリル酸ソーダ共重合体、アミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩共重合体などの高分子凝集剤
で処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
一般式(1)において、RはHまたはメチル基を表し、好ましいのは油脂分除去の観点からはHである。RおよびRはH、(メタ)アリル基、炭素数(以下Cと略記)1〜16のアルキル基またはC2〜4のヒドロキシアルキル基を表す[ここにおいて、(メタ)アリル基はアリル基および/またはメタアリル基を指し、以下同様の記載を用いる]。RまたはRがアルキル基の場合、Cが16を超えると水に対する溶解性が悪くなる。RまたはRがヒドロキシアルキル基の場合、Cが1またはCが4を超えるものは工業的に入手が困難であり好ましくない。
【0008】
およびRのうちC1〜16のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−およびi−プロピル基、n−、i−、sec−およびt−ブチル基、n−、i−、sec−およびt−アミル基およびラウリル基が挙げられる。また、RのうちC2〜4のヒドロキシアルキル基としては、例えばCHCHOH、CHCHCHOHおよびCHCH(CHOH)CHが挙げられる。
およびRのうち好ましいのはHおよびC2〜4のヒドロキシアルキル基、さらに好ましいものはHおよびCHCHOH、CHCHCHOH、とくに好ましいものはHである。
【0009】
一般式(1)におけるZとしては、下記のもののアニオンが挙げられる。
・無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えばHF、HCl、HBrおよびHI)、硫酸、硝酸およびリン酸
・硫酸エステル、例えばC1〜30の硫酸エステル[例えばアルキルもしくはアルケニル硫酸(例えばメチル硫酸、エチル硫酸、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、パルミチル硫酸、ステアリル硫酸、オレイル硫酸、リノール硫酸およびセチル硫酸)および高級アルコール(C10〜20)のエチレンオキサイド(以下EOと略記)1〜60モル付加物の硫酸エステル]
【0010】
・スルホン酸、例えばC1〜30のスルホン酸[例えばアルキル(C1〜10)スルホン酸(例えばメチルスルホン酸およびエチルスルホン酸)、アルキルアリール(C7〜30)スルホン酸{アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸}、高級アルキル(C10〜30)スルホン酸、高級脂肪酸エステル(C10〜30)スルホン酸、高級アルコールエーテル(C10〜30)スルホン酸、スルホコハク酸エステル、高級脂肪酸アミド(C10〜30)のアルキルスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸およびアルキルベンズイミダゾールスルホン酸]
【0011】
・リン酸エステル、例えばモノ−およびジアルキル(C10〜30)リン酸エステル、モノおよびジアルケニル(C10〜30)リン酸エステル、(ポリ)オキシアルキレン[EO1〜60モル付加および/またはプロピレンオキサイド(以下POと略記)1〜60モル付加]アルキル(C1〜30)エーテルリン酸エステル、糖リン酸エステル(例えばグルコース−リン酸エステル、グルコースアミンリン酸エステル、マルトース−1−リン酸および蔗糖リン酸エステル)およびグリセリン酸(例えばフォスファチジン酸)
【0012】
・ホスホン酸、例えばC1〜30のホスホン酸[例えばアルキル(C1〜10)ホスホン酸(例えばメチルホスホン酸およびエチルホスホン酸)、アルキルアリール(C7〜30)ホスホン酸(例えばアルキルベンゼンホスホン酸およびアルキルフェノールホスホン酸)、高級アルキル(C10〜30)ホスホン酸、高級脂肪酸エステル(C10〜30)のホスホン酸、高級アルコールエーテル(C10〜30)のホスホン酸、高級脂肪酸アミド(C10〜30)のアルキルホスホン酸、アルキルジフェニルエーテルホスホン酸およびアルキルベンズイミダゾールホスホン酸]
・有機酸、例えばC1〜30のカルボン酸[例えば蟻酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸およびアジピン酸]
【0013】
これらのZの内、好ましいのはスルホン酸のアニオン、およびさらに好ましいのは硫酸、ハロゲン(例えばClおよびBr)および硫酸エステル(例えばアルキルおよびアルケニル硫酸エステル)のアニオン、特に好ましいのは硫酸、Cl、メチル硫酸およびエチル硫酸のアニオン、特に好ましいのはClである。
【0014】
(a)として次のものが挙げられる。
(a1)(メタ)アリル基を2個含む1級または2級アミンの塩(対アニオンは前期例示のもの)
例えば、ジ(メタ)アリルアミンおよびジ(メタ)アリルアミン誘導体[例えばN−メチルジ(メタ)アリルアミン、N−n−プロピルジ(メタ)アリルアミンおよびN−β−ヒドロキシエチルジ(メタ)アリルアミン]の塩。
(a2)(メタ)アリル基を3個含む3級アミンの塩(対イオンは前期例示のもの)例えば、トリ(メタ)アリルアミンの塩。
(a3)(メタ)アリル基を2個含む4級アンモニウム塩(対イオンは前期例示のもの)、例えばジアルキル[例えばジメチル、ジエチル、ジ−n−プロピル、メチルエチル]ジアリルアンモニウム塩。
【0015】
これらのうちで、廃水中の油脂分分離性能の観点から好ましいのは、ジ(メタ)アリルアミン、N−メチルジ(メタ)アリルアミンおよびトリ(メタ)アリルアミンの塩酸塩および硫酸塩、およびジメチルジアリルアンモニウム塩、さらに好ましいのはジ(メタ)アリルアミンの塩酸塩、とくに好ましいのはジアリルアミンの塩酸塩である。
【0016】
二酸化硫黄を導入する場合、その割合としては(A1)の高分子量化の観点から好ましい下限は0.1モル%、さらに好ましくは1モル%、上限は50モル%、さらに好ましくは45モル%である。
【0017】
(A1)の製造方法としては、特に限定はなく、種々のラジカル重合法、例えば水溶液重合、溶液重合、光重合が採用できる。これらのうち工業的観点から好ましいのは水溶液重合である。
【0018】
水溶液重合としては、例えば、(a)および必要により二酸化硫黄を水に溶解(モノマー濃度5〜80重量%)し、これに重合開始剤{例えば水溶性アゾ系開始剤[例えばアゾビスアミノジプロパン(塩)[例えば2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド]、アゾビスシアノバレリン酸(塩)および2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](塩)]および水溶性過酸化物(例えば過酸化水素および過酢酸)を(a)および二酸化硫黄の合計重量に基づいて0.01〜30%、好ましくは0.1〜10%加えて0〜100℃で重合する方法(例えば、特公昭62−5163号公報に記載の方法)が使用できる。
【0019】
(共)重合体(A1)の分子量は、油脂分分離性能の観点から、1N−NaNO3水溶液30℃で測定した固有粘度(dl/g)が通常0.01以上、好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上であり、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
【0020】
(A1)の形態は、粉末状、フレーク状、ペースト状または水溶液状等いずれの形態でもよい。
【0021】
一般式(2)で表わされるモノマー(b)において、
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (2)
[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;RはHまたはメチル基;R、R6、はそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基またはアラルキル基;Zは対アニオンを表す。]
【0021】
Qのうち炭素数1〜4のアルキレン基には、メチレン、エチレン、n−およびi−プロピレン、1,2−、1,3−および2,3−チレン基およびテトラメチレン基が含まれ:炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基には、ヒドロキシエチレン、1−および2−ヒドロキシプロピレン、1−ヒドロキシ−i−プロピレン、1−および2−ヒドロキシテトラメチレン、2−ヒドロキシメチルプロピレンおよび2−メチル−2−ヒドロキシプロピレン基が含まれる。
、RおよびRのアルキル基としては、例えば前期R2で例示したものが挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジルおよびフェニルエチル基が挙げられる。Zは前記と同じである。
【0021】
(b)としては、以下のもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
(b1)(メタ)アクリレート系[一般式(2)におけるXがOの場合]のアミン塩
1級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C5〜20、例えばアミノエチル(メタ)アクリレートおよびアミノプロピル(メタ)アクリレート]、2級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C6〜20、例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレート]および3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C7〜20、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート]の無機酸[例えばハロゲン化水素酸(例えばHF、HCl、HBrおよびHI)、硫酸、硝酸およびリン酸]塩、有機酸(C1〜30、例えば蟻酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸およびアジピン酸)塩およびこれらのアミン(塩)を4級化剤(例えば塩化メチル、ジメチル硫酸および塩化ベンジル)で4級化してなる第4級アンモニウム塩
【0022】
(b2)(メタ)アクリルアミド[一般式(2)におけるXがNHの場合]塩
1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]、2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]および3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]の無機酸塩(前記のもの)、有機酸塩(前記のもの)および上記アミンを4級化剤(前記のもの)で4級化してなる4級アンモニウム塩
【0023】
これらのうち、工業的に製造しやすいとの観点から好ましいものは、XがOである(メタ)アクリレート系アミン塩、さらに好ましいのはRおよびRがいずれもメチル基、ZがClまたは1/2SOであるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩、並びにこれらのアミン(塩)を4級化剤(前記のもの)で4級化してなる4級アンモニウム塩である。
【0024】
さらに必要により本発明の効果を阻害しない範囲で水溶性モノマー、水不溶性モノマーを併用してもよい。
【0025】
必要により併用される水溶性モノマーとしては、
・ノニオン性モノマー
下記のもの、およびこれらの混合物
(メタ)アクリレート誘導体
分子量40〜数平均分子量(以下Mnと略記)3000、例えば水酸基含有(メタ)アクリレート[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度3〜50)モノ(メタ)アクリレートおよびポリグリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート]および2−シアノエチル(メタ)アクリレート
(メタ)アクリルアミド誘導体
C3〜30、例えばアクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミドおよびN−ビニルカルバゾール
【0026】
・カチオン性モノマー
下記のもの、これらの塩(例えば前記無機酸塩、有機酸塩および第4級アンモニウム塩)、およびこれらの混合物
アミノ基を有するビニル化合物
C2〜30、例えばビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、p−アミノスチレン、2−ビニルピリジン3−ビニルピペリジン、ビニルピラジンおよびビニルモルホリン
アミンイミド基を有する化合物
C4〜30、例えば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2‘−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミドおよび1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド
【0027】
・アニオン性モノマー
下記の酸、これらの塩[例えばアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウムおよびカルシウム)塩、アンモニウム塩およびアミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エチルアミンおよびエタノールアミン)塩]、およびこれらの混合物
【0028】
・不飽和カルボン酸[C3〜30、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸およびアリル酢酸]およびポリ(2〜4)カルボン酸[C4〜30、例えば(無水)マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸]
【0029】
・不飽和スルホン酸
アルケンスルホン酸[C2〜20、例えばビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸]、不飽和芳香族スルホン酸[C6〜20、例えばスチレンスルホン酸およびα−メチルスルホン酸]、スルホカルボン酸(例えばα−スルホアルカン酸およびスルホコハク酸)のアルケニルおよびアルキル(C1〜18)アルケニルエステル[C3〜20、例えばメチルビニル、プロピル(メタ)アリルスルホラウレート]、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート[C4〜30、例えばスルホアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクロイルオキシブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸およびp−(メタ)アクロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸]]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド[C4〜30、例えば2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸およびp−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸]およびアルキル(C1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸[例えばメチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル]
【0030】
・(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(C1〜6)エステル
例えば、(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(重合度2〜50)硫酸エステル
【0031】
水不溶性のモノマーとしては、以下の化合物、およびこれらの混合物が含まれる。
・C4〜23の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート[C1〜20の脂肪族および脂環式アルコールの(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレート]]
・C4〜20のエポキシ基含有(メタ)アクリレート[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート]
【0032】
・ポリ(重合度2〜50)プロピレングリコール[モノアルキル(C1〜20)−、モノシクロアルキル(C3〜12)−もしくはモノフェニルエーテル]不飽和カルボン酸モノエステル[例えば、C1〜20のモノオールのPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[例えば、ω−メトキシ−、ω−エトキシ−、ω−プロポキシ−、ω−ブトキシ−、ω−シクロヘキソキシ−およびω−フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート]およびジオールのPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[例えば、ω−ヒドロキシエチル(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート]]
【0033】
・C2〜30の不飽和炭化水素モノマー[例えば、エチレン、ノネン、スチレンおよび1−メチルスチレン]
・C2〜30の不飽和アルコール[C2〜8、例えばビニルアルコールおよび(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜20、例えば酢酸、オクチル酸およびラウリル酸)エステル(例えば酢酸ビニル、オクチル酸ビニルおよびラウリル酸ビニル)
・ハロゲン含有モノマー(C2〜8、例えば塩化ビニル)
【0034】
(B)の製法は特に限定はなく、例えば水溶液重合、光重合、乳化重合等のラジカル重合法を用いることができる。これらのうち工業的観点から好ましいのは、水溶液重合である。
水溶液重合としては、例えばモノマーの水溶液を外部から熱の出入りがない容器中に入れ、断熱重合をする方法(例えば特公昭59−40843号公報)およびモノマーの水溶液を外部から温調可能な容器中で定温重合する方法(例えば特開平3−189000号公報)を用いることができる。
【0035】
水溶液重合としては、(b)および必要により他の水溶性モノマ−や疎水性モノマー(疎水性モノマーを併用する場合は非イオン界面活性剤等の界面活性剤を併用することもある)を水に溶解(モノマー濃度は20〜80重量%)し、これに重合開始剤{例えば水溶性アゾ開始剤[例えばアゾビスアミジノプロパン(塩)[例えば2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド]、アゾビスシアノバレリン酸(塩)]、油溶性アゾ開始剤(例えばアゾビスシアノバレロニトリルおよびアゾビスシクロヘキサンカルボニトリル)、水溶性過酸化物(例えば過酸化水素および過酢酸)をモノマーの重量に基づいて0.01〜30%、好ましくは0.1〜10%加えて0〜40℃で、断熱重合法あるいは定温重合法で重合する。
【0036】
上記重合に際して、重合開始剤として過酸化物を用いる場合必要により環元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いてもよい。環元剤としては、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸カリウム)、環元性金属塩(例えば硫酸鉄[II])、3級アミン(例えばジメチルアミノ安息香酸(塩)およびジメチルアミノエタノール)および有機性還元剤(例えばアスコルビン酸)が挙げられる。
【0037】
また、必要によりラジカル重合用連鎖移動剤を使用してもよい。ラジカル重合用連鎖移動剤として特に限定はなく、例えば分子内に1つまたは2つ以上の水酸基を有する化合物[分子量32〜Mn50,000、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール(分子量100〜50,000]、分子内に1つまたは2つ以上のアミノ基を有する化合物[例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミンおよびエチレンジアミン]および分子内に1つまたは2つ以上のチオール基を有する化合物[例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、エチレンジチオールおよびシクロペンタンジチオール]が挙げられる。
【0038】
(共)重合体(B1)の分子量は、油脂分分離性能の観点から、1N−NaNO水溶液中30℃で測定した固有粘度(dl/g)で表わした場合、下限は通常1、好ましくは3、さらに好ましくは5、上限は通常30、好ましくは20、さらに好ましくは15である。
【0039】
(B1)の形態は、粉末状、フレーク状、ペースト状または水溶液状等いずれの形態でもよい。
【0040】
(A1)と(B1)からなる高分子凝集剤における、(A1)と(B1)の合計重量に基づく(A1)の割合は、油分除去性能の観点から、好ましい下限は0.99%、さらに好ましくは3%、特に好ましくは5%、好ましい上限は80%以下、好ましくは50%、特に好ましくは30%である。
【0041】
本発明における高分子凝集剤は必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤からなる群から選ばれる添加剤を含有させることができる。
【0042】
消泡剤としては、シリコーン系(例えばジメチルポリシロキサン)、鉱物油(例えばスピンドル油およびケロシン)、C12〜22の金属石鹸(例えばステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム);
キレート剤としては、C6〜12のアミノカルボン酸(例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸およびニトリロ酢酸)、多価カルボン酸[例えばマレイン酸およびポリアクリル酸(Mn2,000〜10,000)]、C3〜10のヒドロキシカルボン酸(例えばクエン酸、グルコン酸、乳酸およびリンゴ酸)、縮合リン酸(例えばトリポリリン酸およびトリメタリン酸)およびこれらの塩[例えば、アルカリ金属(例えばナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばカルシウムおよびマグネシウム)塩、アンモニウム塩、C1〜20のアルキルアミン(例えばメチルアミンおよびオクチルアミン)塩およびC2〜12のアルカノールアミン(例えばモノ、ジおよびトリエタノ−ルアミン)塩];
【0043】
pH調整剤としては、苛性アルカリ(例えば苛性ソーダ)、アミン(例えばモノ、ジおよびトリエタノルアミン)、無機酸(塩)[例えば無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸およびリン酸)およびこれらの塩(例えば、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、硫酸ソーダおよび硫酸水素ナトリウム]、有機酸(塩)(例えば酢酸、酢酸ソーダ、乳酸、乳酸ソーダ);
【0043】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(Mn100〜20,000)アルキルエーテル[例えば、高級アルコール(C8〜20)エチレンオキサイド付加物(例えばオクチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物、ラウリルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物およびステアリルアルコールエチレンオキサイド25モル付加物)]、ポリオキシエチレン(Mn100〜20,000)アルキルフェニルエーテル(例えばノニルフェノールエチレンオキサイド10モル付加物およびオクチルフェノールエチレンオキサイド20モル付加物)の非イオン界面活性剤、アルキル(C9〜12)ベンゼンスルホン酸ソーダおよび高級アルコール(C8〜20)硫酸エステル塩(例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルソーダ塩およびステアリルアルコール硫酸エステルカリウム塩)のアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩[例えばテトラアルキル(C1〜20)アンモニウム塩(例えばジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)等のカチオン系界面活性剤、アミノ酸塩(例えばラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムおよびラウリルジアミノエチルグリシンソ−ダ塩)やベタイン(例えばラウリルジメチルベタイン)の両性界面活性剤;
【0044】
ブロッキング防止剤としては、ポリエーテル(Mn200〜10,000)変性シリコーンオイル(例えばヒドロキシル基含有ジメチルシリコーンのエチレンオキサイド30モル付加物およびヒドロキシル基含有ジメチルシリコーンにエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(1/1モル比で配合)40モル付加物)変性シリコーンオイル(Mn200〜10,000);
【0045】
酸化防止剤としては、フェノール系[例えばハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコールおよび2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)]、含硫化合物(例えば、チオ尿素、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジメチルジチオカルバミン酸およびそのアンモニウム塩)、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのアンモニウム塩、含リン化合物[例えば、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、亜リン酸ナトリウムおよびトリフェニルホスファイト(TPP)]および含窒素化合物[アミン系(例えばオクチル化ジフェニルアミンおよびN−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン)、尿素およびグアニジン(およびその上記無機酸塩)]
【0046】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(例えば2−ヒドロキシベンゾフェノンおよび2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)、サリチレート系(例えば、フェニルサリチレート)、ベンゾトリアゾール系[例えば,(2‘−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールおよび(2’−ヒドロキシ−5‘−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール];
防腐剤としては、例えば安息香酸、パラオキシ安息香酸エステルおよびソルビン酸が挙げられる。
【0047】
これらの添加剤は、(A1)、(B1)のいずれに含有させてもよい。(A1)と(B1)を混合して該発明の高分子凝集剤とした後に添加して含有させてもよい。また、ブロッキング防止剤を除く添加剤については、本発明の効果を阻害することがなければ(A1)、(B1)の重合前のモノマー水溶液中に予め含有させてもよい。
上記添加剤の使用量は、(A1)および(B1)の合計重量に基づいて、またモノマー水溶液中に予め含有させる場合はモノマー重量に基づいて、消泡剤は通常5%以下、好ましくは0.3〜2%、キレート剤は通常20%以下、好ましくは1〜5%、pH調整剤は通常10%以下、好ましくは0.5〜3%、界面活性剤およびブロッキング防止剤は通常5%以下、好ましくは0.5〜3%、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。
【0048】
本発明の高分子凝集剤は、油脂分を多量に含んだ廃水(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含む)に処理することにより油状層を廃水上層部に形成させ、その油状物をスクリーン等で除去することで油脂分を効果的に除去することができる。
廃水中に多量に含まれる油脂分としては、機械油(例えば鉱物油、マシン油、スピンドル油、ダイナモ油、シリンダー油、マシン油およびグリース)、食品油脂(例えば菜種油、ゴマ油、ヤシ油、大豆油、綿実油、牛脂、魚油、マーガリンおよびバター)およびその他工業的に排出されるもの[ラノリン、アマニ油、スクワラン、脂肪酸(例えばオレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸およびダイマー酸)、高級アルコール(例えばオレイルアルコールmラウリルアルコール、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコール)が挙げられる。
【0049】
本発明の高分子凝集剤を用いた多量の油脂分を含む廃水(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含む)の処理方法は、本発明の高分子凝集剤を0.05〜0.2重量%の水溶液を、攪拌下、廃水に少しずつ添加して廃水の上層部に油状層を形成させ、形成した油状層をスクリーン等で除去する方法で行うか、本発明の高分子凝集剤を粉末の状態で、攪拌下少しずつ廃水に添加して添加して廃水の上層部に油状層を形成させ、上記と同様に油状物を除去する方法がある。
本発明の高分子凝集剤を有効的に利用するには水溶液状態で添加する方が望ましいが、廃水の処理に多量の水を必要とする。本発明の高分子凝集剤を粉末の状態で添加する場合はその使用量が多くなるが、水は節約できる。
廃水の種類あるいは廃水処理装置にあわせて、上記いずれかの方法を選択すれば良い。
【0049】
本発明の高分子凝集剤の使用量は、廃水中の油脂分量や添加方法(高分子凝集剤水溶液での添加か高分子凝集剤粉末)によって異なるが通常廃水に対して50〜5,000ppm使用される。
廃水中の油脂分がノルマルヘキサン抽出分が3,000〜100,000mg/Lの場合、高分子凝集剤を0.05〜0.2重量%の水溶液で添加する場合の添加量は好ましくは50〜500ppm、より好ましくは80〜400ppm、最も好ましくは150〜300ppmである。高分子凝集剤を粉末で添加する場合は、粉末の粒子径にもよるが工業的に通常得られる微粉末状で通常500〜5,000ppm、好ましくは1,000〜4,000ppm、より好ましくは1,000〜2,500ppmである。
廃水中の油脂分がノルマルヘキサン抽出分が100,000〜300,000mg/Lの場合、高分子凝集剤を0.05〜0.2重量%の水溶液で添加する場合の添加量は好ましくは50〜1,500ppm、より好ましくは200〜1,000ppm、最も好ましくは400〜900ppmである。高分子凝集剤を粉末で添加する場合は、粉末の粒子径にもよるが工業的に通常得られる微粉末状で通常500〜5,000ppm、好ましくは1,000〜4,000ppm、より好ましくは1,000〜2,500ppmである。
【0050】
本発明の高分子凝集剤は、外食産業で油脂分を洗浄した濃厚廃水、機械工場や自動車組み立て工場でグリース等の機械油をふき取ったウエスの洗浄廃水等の油脂分が多量に含まれた廃水(ノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/Lの油脂分を含む)に適用される。
【0051】
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は重量%を示し、共重合比はモル比を表す。
固有粘度[η](dl/g)は1N−NaNO水溶液中、30℃で測定した値である。
【0052】
(油脂分分離性能の試験方法)
試験用廃水として(1)機械工場のウエスを洗浄した廃水(油脂分:ノルマルヘキサン抽出物15,000mg/L、C12〜C16を含んだ高級アルコールのエチレンオキサイド10モル付加物600mg/L含有し、pH6.8、温度25℃)と(2)外食産業からの洗浄廃水(油脂分:ノルマルヘキサン抽出物10,000mg/L、ノニルフェノールエチレンオキサイド9モル付加物400mg/L含有し、pHは塩酸で6.5に調整、温度25℃)を用いた。
1Lビーカーに各々の廃水500CCを入れ、マグネチックスターラーで攪拌下、高分子凝集剤を水溶液あるいは粉末状で少しずつ添加し、5分後の状態を確認した。
なお、高分子凝集剤を水溶液で添加する場合は、0.2%水溶液を作成し、廃水に対して高分子凝集剤として200ppm添加した。高分子凝集剤を粉末で添加する場合は、廃水に対して2,000ppm添加した。
評価結果:
○:上層部に油脂分が5mm以下の層に凝集し、下層はほぼ透明な水層で
下層の油脂分はノルマルヘキサン抽出物として1,000mg/L以下である
△:上層部存在するが明確な油状層を形成しない。下層部はエマルション状態
×:油状層全く形成せず。
【0053】
製造例1
攪拌機、温度センサーおよび温度制御装置を備えたオートクレーブに、水250部および35%塩酸75部を仕込み、冷却しながらジアリルアミン70部を除々に滴下しジアリルアミンアンモニウムクロライド水溶液を得た。ついで系内を窒素で充分に置換した後、重亜硫酸ナトリウム18部と35%塩酸18部を仕込み、系内に二酸化硫黄を発生させ、開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドライドの10%水溶液の10%水溶液29部を攪拌下加えた。50〜60℃に系内を保ちながら10時間重合反応を行った。重合完結後内容物を取りだし、これにアセトン2,000部を加え、市販のミキサーで30分攪拌して沈殿物を得た。沈殿物を減圧濾過で取りだした後
減圧乾燥(減圧度1.5kPa、40℃×2時間)して溶媒を除去し、粉末状の共重合体(A1)105部を得た。元素分析により、(A1)を構成する全モノマーの合計量に基づくジアリルアンモニウムクロライドの割合は80モル%、二酸化硫黄の割合は20モル%であった。
【0054】
製造例2
攪拌機、温度センサーおよび温度制御装置を備えたオートクレーブに、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの60%水溶液200部を入れた。次いで系内を窒素で充分に置換した後、開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドライドの10%水溶液の10%水溶液29部を攪拌下加えた。50〜60℃に系内を保ちながら10時間重合反応を行った。重合完結後内容物を取りだし、これにアセトン2,000部を加え、市販のミキサーで30分攪拌して沈殿物を得た。沈殿物を減圧濾過で取りだした後
減圧乾燥(減圧度1.5kPa、40℃×2時間)して溶媒を除去し、粉末状の共重合体(A2)120部を得た。
【0055】
製造例3
攪拌機を備えたコルベンにN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにメチルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の80%水溶液115部(100モル%)を加えた後、さらに系内のモノマーの合計が30%になるようにイオン交換水192部を加え、系内が均一になるまで攪拌した。硫酸を用いて系内がpH4.0になるように調整した。系内を窒素で充分に置換し(系内酸素濃度10ppm以下)、系内の温度が40℃になるように調整した。次いで開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドの10%水溶液0.5部を加え、系内を40〜50℃に保ちながら10時間重合反応を行った。重合完結後製造例1と同様に処理して粉末状の重合体(B1)95部を得た。
【0056】
比較製造例1
製造例3においてのN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級アンモニウム塩の80%水溶液115部の代わりに、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド塩の80%水溶液74部(40モル%)とアクリルアミドの50%水溶液65部(60モル%)を用いた以外は製造例3と同様な操作を行い、粉末状の共重合体(D1)97部を得た。
【0057】
比較製造例2
製造例3においてのN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級アンモニウム塩の80%水溶液115部の代わりに、アクリルアミドの50%水溶液108部(100モル%)を用いた以外は製造例3と同様な操作を行い、粉末状の共重合体(D2)97部を得た。
【0058】
実施例1
共重合体(A1)10部と重合体(B1)90部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(C1)100部を得た。
【0059】
実施例2
共重合体(A1)30部と重合体(B1)70部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(C1)100部を得た。
【0060】
実施例3
共重合体(A2)15部と重合体(B1)85部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(C1)100部を得た。
【0061】
実施例4
共重合体(A2)35部と重合体(B1)65部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(C1)100部を得た。
【0062】
比較例1
共重合体(A1)100部
【0063】
比較例2
共重合体(A2)100部
【0064】
比較例3
重合体(B1)100部
【0065】
比較例4
重合体(D1)100部
【0066】
比較例5
重合体(D2)100部
【0067】
比較例6
共重合体(A1)15部と重合体(D1)85部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(E1)100部を得た。
【0068】
比較例7
共重合体(A2)20部と重合体(D1)80部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(E2)100部を得た。
【0069】
比較例8
共重合体(A1)15部と重合体(D2)85部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(E3)100部を得た。
【0070】
比較例9
共重合体(A2)20部と重合体(D2)80部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(E4)100部を得た。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】


廃水1(前記の機械工場のウエスを洗浄した廃水)
廃水2(前記の外食産業からの洗浄廃水)
【0073】
【表3】

廃水1(前記の機械工場のウエスを洗浄した廃水)
廃水2(前記の外食産業からの洗浄廃水)
【産業上の利用の可能性】
【0074】
本発明の高分子凝集剤は、界面活性剤が含有した油脂分を多量に含んだ廃水の処理に用いることができる。通常界面活性剤特に非イオン性の界面活性剤が含有した油脂分を多量に含んだ廃水(油脂分としてノルマルヘキサン抽出物として3,000mg/L以上、300,000mg/L含む)は、油脂分の分離が困難であった。機械工場、自動車整備工場、自動車部品工場、自動車組み立て工場は機械油などの油脂分をウエスでふき取り、そのウエスを洗浄して再利用するが、その際発生する廃水は油脂分が多い。また外食産業での皿洗い洗浄廃水も多くの油脂分を含んでいる。油脂分を多く含んだ廃水の処理は困難でいずれも不経済な処理がなされてきたが、本発明により効率的な処理が図れることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるモノマー(a)および/または二酸化硫黄を必須構成単位とする(共)重合体(A1)と、一般式(2)で示されるモノマー(b)を必須構成単位とする(共)重合体(B1)とからなることを特徴とする高分子凝集剤剤で、油脂分含有廃水中の油脂分分離用であることを特徴とする高分子凝集剤
(CH=CR−CH・Z (1)
[式中、RはHまたはメチル基;R、Rはそれぞれ独立にH、(メタ)アリル基、炭素数1〜16のアルキル基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基;Zは対アニオンを表す。]
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (2)
[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;RはHまたはメチル基;R、R6、はそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基またはアラルキル基;Zは対アニオンを表す。]
【請求項2】
(共)重合体(B1)100重量部に対して、(共)重合体(A1)が1〜400重量部であることからなる請求項1記載の高分子凝集剤
【請求項3】
(A1)を構成する全モノマーの合計量に基づく二酸化硫黄の割合が0.1〜50モル%である請求項1または2記載の高分子凝集剤
【請求項4】
高分子凝集剤を油脂分含有廃水に添加して、油脂分分離を行う工程からなる廃水の処理方法において、請求項1〜3のいずれか記載の高分子凝集剤を用いることを特徴とする油脂分含有廃水の処理方法
【請求項5】
高分子凝集剤を廃水中に添加する場合、その添加量が50〜5,000ppmであることを特徴とする、請求項4記載の油脂分含有廃水の処理方法

【公開番号】特開2009−291774(P2009−291774A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175053(P2008−175053)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(596077466)双龍株式会社 (1)
【Fターム(参考)】