説明

廃液処理装置及び廃液処理装置の製造方法

【課題】廃液の容量を減少させることが出来る廃液処理装置と、廃液処理装置の製造コストを抑えることが出来る廃液処理装置の製造方法を提供する。
【解決手段】廃液を加熱することにより、廃液の液体成分を蒸発させて濃縮又は固化を行う廃液処理装置1において、廃液を収容する加熱鍋30と、加熱鍋30を密閉する蓋26と、加熱鍋30を外側から加熱する電気式加熱手段32と、加熱鍋の温度を検知する温度センサ34と、温度センサ34が所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程が実行されるように加熱手段32を制御する制御部38と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理装置に関し、特に、廃液を加熱することにより、廃液の濃縮又は固化を行う廃液処理装置及びその製造方法に関する。
なお、本明細書において「廃液」とは、例えば、水系切削油廃液、アルカリ洗浄廃液、炭素研磨粉の廃液、塗装廃液、めっき廃液、眼鏡の研磨廃液、製薬会社の工程廃液等の様々な廃液を意味し、これらの廃液に限定されるものではない。さらに、本明細書において「脱水」とは、廃液に含まれる液体成分を取り除くこと全般を意味し、廃液から除去される液体は水に限定されないものとする。
【背景技術】
【0002】
廃液は、廃液を産業廃棄物として処理する場合に、廃液の容量或いは重量に比例して費用がかかることが知られている。そこで大量の廃液を排出する工場等においては、廃液の容量を減らすことにより、廃液の処理費用を削減することができる。このような廃液の容量を減らす方法として、例えば、廃液を加熱して廃液中の水分を蒸発させ、廃液の容量及び重量を減少させようとする方法がある。
このような方法に従来用いられている廃液を加熱する廃液濃縮装置は、ヒーターを上部を開口した廃液タンク中の廃液に直接投入した装置等である。ヒーターが直接ヒーター周囲の廃液を加熱して廃液中の水分を蒸発させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、ヒーターが、直接ヒーター周囲の廃液を加熱する場合、ヒーター周囲の廃液のみ固化されやすく、ヒーターに付着物が付着して過熱状態になりヒーターが焼損するといった問題があった。
また、ヒーター周囲の廃液のみが固化されやすいので、廃液全体を濃縮し固化させることが出来なかった。さらに、ヒーターに付着物が強固に固着するので、この付着物を除去する大変な作業が必要であるという問題があった。
従って、これらの問題点を解決する構成を有する廃液処理装置が望ましいが、問題点を全て解決できる新たな廃液処理装置を製造する場合には、非常に多額の製造費用がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、廃液を加熱することにより、廃液の液体成分を蒸発させて濃縮又は固化を行って廃液の容量を減少させることが出来る。さらに、本発明の、廃液処理装置の製造方法によれば、廃液処理装置の製造コストを抑えることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、廃液を加熱することにより、廃液の液体成分を蒸発させて濃縮又は固化を行う廃液処理装置において、廃液を収容する加熱鍋と、加熱鍋を密閉する蓋と、加熱鍋を外側から加熱する電気式加熱手段と、加熱鍋の温度を検知する温度センサと、温度センサが所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程が実行されるように加熱手段を制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、廃液は、廃液処理装置本体に備えられた加熱鍋の内側に収容され、加熱鍋の外側に設けられた電気式加熱手段を用いて加熱される。
廃液処理装置の制御部が、廃液を、温度センサが所定温度を検知するまで加熱して廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程が実行されるように加熱手段を制御する。従って、加熱鍋に収容された廃液は液体成分が蒸発されて濃縮又は固化が行われ廃液の容量が減少するので廃液の廃棄コストを抑えることができる。
【0006】
本発明において、好ましくは、さらに、廃液を貯蔵する廃液タンクと、廃液タンクと加熱鍋とを連通する廃液連通手段に設置された廃液供給ポンプとを備え、制御部は、廃液供給ポンプを制御して、濃縮工程開始前に廃液を加熱鍋に導入すると共に、濃縮工程中に廃液を前記加熱鍋に追加供給することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、制御部は、廃液供給ポンプを制御して、濃縮工程開始前に廃液を加熱鍋に導入すると共に、濃縮工程中に廃液を加熱鍋に追加供給する。従って、一度に加熱鍋に供給可能な量よりも多くの廃液を追加処理することが可能になる。
【0007】
本発明において、好ましくは、さらに、消泡財を貯蔵する消泡剤タンクと、添加剤を貯蔵する添加剤タンクと、消泡剤タンクと加熱鍋とを連通する消泡剤連通手段に設置された消泡剤供給ポンプと、添加剤タンクと加熱鍋とを連通する添加剤連通手段に設置された添加剤供給ポンプとを備え、制御部は、消泡剤供給ポンプと、添加剤供給ポンプとを制御して、消泡剤及び添加剤を加熱鍋に投入することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、制御部は、消泡剤供給ポンプを駆動して消泡剤を加熱鍋に供給でき、且つ添加剤供給ポンプを駆動して添加剤を加熱鍋に供給できる。従って、廃液を大容量の廃液タンクから加熱鍋に供給しながら大容量の廃液の濃縮又は固化を行う場合に、制御部は消泡剤及び/或いは添加剤の供給を制御できる。従って、消泡剤及び/或いは添加剤を供給しながら大容量の廃液の濃縮又は固化を行うことが可能となる。
【0008】
本発明において、好ましくは、さらに、加熱した廃液から蒸発した蒸気を凝縮する、加熱鍋と連通された蒸気凝縮装置を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、廃液の蒸気は、加熱鍋と連通された蒸気凝縮装置で凝縮される。従って、廃液の蒸気に含まれる有害物質等が直接に外気に放出されるのを防ぐことができる。
【0009】
本発明の廃液処理装置の製造方法は、廃液を収容するための炊飯鍋と、炊飯鍋を密閉する蓋と、炊飯鍋の外側に設けられた電気式加熱手段と、炊飯鍋の温度を検知する温度センサと、温度センサの温度の検知に基づいて、加熱手段を制御する制御部とを備えた電気式炊飯器を準備するステップと、
制御部が、温度センサが所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程を実行するように、制御部のプログラムを改変するステップと、を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、廃液処理装置の製造方法において、炊飯用の電気式炊飯器を用いて、廃液処理装置を製造することができるので、廃液処理装置を容易に製造でき、且つ、廃液処理装置の製造コストを大きく抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、廃液処理装置によれば、廃液の容量を減少させることが出来る。さらに、本発明の、廃液処理装置の製造方法によれば、廃液処理装置の製造コストを抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の廃液処理装置の構成を説明する図である。
【図2】本発明の廃液処理装置の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による廃液処理装置を説明する。
図1は、本発明の廃液処理装置の構成を説明する図であり、図2は、本発明の廃液処理装置の作用を説明する図である。
図1に示すように、廃液処理装置1は、廃液タンク2と、消泡剤タンク4と、添加剤タンク6と、蒸気凝縮槽8と、廃液処理装置本体10とを備えている。
【0013】
廃液タンク2は、脱水すべき廃液を貯蔵できる大容量タンクである。
消泡剤タンク4は、消泡剤を貯蔵するタンクである。消泡剤は、廃液の発泡防止剤であり、消泡剤として、例えば、シリコン系消泡剤等を使用することができる。
添加剤タンク6は、添加剤を貯蔵するタンクである。添加剤は、廃液の臭気防止剤等であり、添加剤として、例えば、pHを調整するためのクエン酸水溶液等を使用することができる。
蒸気凝縮槽8は、廃液処理装置本体10で発生した蒸気を凝縮させて回収する蒸気凝縮槽である。蒸気凝縮槽8は例えば水を所定水位まで収容している。蒸気は、蒸気凝縮槽8の液体中に導出されて凝縮される。蒸気凝縮槽8は、蒸気凝縮槽8の液体の蒸留液が下水に流される或いは再利用されるように構成される。廃液処理装置本体10と蒸気凝縮槽8とは、蒸気パイプ12で連通される。蒸気パイプ12の一方の端が蒸気凝縮槽8の液体中で開口されている。蒸気凝縮槽8は、廃液の蒸気に含まれる有害物質等が直接に外気に放出されるのを防ぐこともできる。なお、廃液処理装置本体10側の圧力が低下した際に、蒸気凝縮槽8から廃液処理装置本体10への逆流を防止するために、蒸気パイプ12に逆流防止弁、バキュームブレーカ等を設けても良い。
【0014】
廃液タンク2と廃液処理装置本体10とは、廃液供給ポンプ14を介した廃液パイプ16(廃液連通手段)で連通される。廃液供給ポンプ14は、後述する制御部により駆動でき、廃液供給ポンプ14の駆動により、廃液を廃液供給タンク2から廃液処理装置本体10に供給できる。連通手段は、パイプ、ホース等の流体連通可能な手段であればよい。
消泡剤タンク4と廃液処理装置本体10とは、消泡剤供給ポンプ18を介した消泡剤パイプ20(消泡剤連通手段)で連通される。消泡剤供給ポンプ18は、後述する制御部により駆動でき、消泡剤供給ポンプ18の駆動により、消泡剤を消泡剤タンク4から廃液処理装置本体10に供給できる。連通手段は、パイプ、ホース等の流体連通可能な手段であればよい。
添加剤タンク6と廃液処理装置本体10とは、添加剤供給ポンプ22を介した添加剤パイプ24(添加剤連通手段)で連通される。添加剤供給ポンプ22は、後述する制御部により駆動でき、添加剤供給ポンプ22の駆動により、添加剤を添加剤タンク6から廃液処理装置本体10に供給できる。連通手段は、パイプ、ホース等の流体連通可能な手段であればよい。
【0015】
次に、廃液処理装置本体10について詳細を説明する。廃液処理装置本体10は、脱水すべき廃液を加熱して廃液中の液体成分を蒸発させ、濃縮・固化するように構成される。
廃液処理装置本体10は、蓋26と、廃液処理装置本体ケース28と、加熱鍋30と、電気式加熱手段32と、温度センサ34と、液面センサ36及び制御部38とを備える。
【0016】
蓋26は、円盤状に形成され、加熱鍋30の円筒上縁と合致して加熱鍋30内部に密閉空間を形成できる。蓋26は、廃液加熱時に加熱鍋30内が高温高圧になっても耐えられるような耐熱性及び耐圧性の素材で形成されている。蓋26は、廃液処理装置本体10から取り外して作業、例えば清掃や交換を行うことも可能である。蒸気パイプ12、廃液パイプ16、消泡剤パイプ20及び添加剤パイプ24が、それぞれ、蓋26の外側から蓋26を通って加熱鍋30内部空間に貫通するように配置されている。
【0017】
廃液処理装置本体ケース28は、加熱鍋30、加熱手段32、温度センサ34、制御部38等を内部に設置するケースである。廃液処理装置本体ケース28の外側には後述するコントロールパネルが設置されている。
【0018】
加熱鍋30は、上部が開いた円筒鍋型形状であり、耐熱性及び耐圧性の素材で形成されている。従って、加熱鍋30が廃液を加熱する場合の高温に耐えることができる。本実施形態においては、加熱鍋30は、約6リットルの廃液を処理できる容量を有する。
加熱鍋30は、廃液処理装置本体ケース28から取り外し可能に構成される。従って、使用者が、加熱鍋30を、廃液を濃縮・固化した後に廃液処理装置本体10から取り外して作業、例えば清掃や交換を行うことが容易である。さらに、加熱鍋30は、その表面に付着物防止加工がなされているので、濃縮固化後の廃液の固化乾固物(残留物)を容易に剥離して除去することができる。濃縮固化後の乾固物が粘着性を有する場合等には、亀甲金網或いは耐熱性のネットを事前に加熱鍋30内部に設置する。廃液を濃縮又は固化した後に、亀甲金網或いは耐熱性のネットを取り出すことで、同時に乾固物を容易に取り出すことができる。
【0019】
電気式加熱手段32は、加熱鍋30の外側下部且つ廃液処理装置本体ケース28内部に設けられる。電気式加熱手段32は、加熱鍋30と面で接触しており、電気を通電して加熱鍋30の加熱を行うヒーターである。従って、加熱手段32は、電気の通電状態により、詳細にヒーターのオンオフ及び加熱強度を調整可能である。加熱手段32は、100%定格出力を5kwとし、その出力を2kw乃至5kwの範囲で50w毎に調整可能である。さらに、加熱手段32の通電率%を調整することが可能である。ここで、ヒーター32は、加熱鍋30の外側に設けられているので、廃液と接触せず、廃液が付着しないメリットがある。このように、ヒーターに廃液が付着しないので、ヒーターが焼損するおそれもなく、さらに廃液を固化するまで廃液を脱水させることができる。
【0020】
温度センサ34は、温度を検知する検知器である。温度センサ34は、加熱鍋30の下部と加熱手段32との間に挟みこまれて接触配置され、加熱鍋30の温度を検知する。温度センサ34は、146℃で作動する温度ヒューズを備えている。
【0021】
液面センサ36は、蓋26の外側から加熱鍋30の内部に挿入され、加熱鍋30の中の廃液の液面の高さを検出するように構成されている。液面センサ26は、例えば、フロート式センサ又は電極棒によって構成することができる。
【0022】
制御部38は、廃液処理装置本体10内部に設置されたマイクロコンピュータであり、マイクロコンピュータのメモリ或いはROM等に書き込まれたプログラムの指令に従って、接続された構成部材を電気信号によって制御する。
制御部38は、蓋26、加熱手段32、温度センサ34、液面センサ36、コントロールパネル40、廃液供給ポンプ14、消泡剤供給ポンプ18及び添加剤供給ポンプ22等と電気的に接続している。
制御部38は、例えば、温度センサ34、液面センサ36、コントロールパネル40入力等の情報から、加熱手段32を制御する。制御部38を、任意に他の構成部材例えば安全装置等に接続することも可能である。
【0023】
制御部38のプログラム39は、廃液処理装置1の制御部38を制御する指令プログラムである。廃液処理装置1を制御するとは、下述するように廃液の脱水を行えるように廃液処理装置1の各構成部材を制御することをいう。プログラム39は、後述するように、濃縮工程及び乾燥工程が実行されるように加熱手段を制御する。
【0024】
運転時の安全性を高めるために、蓋26は、圧力調整機構42と、ロック機構44とを備えている。
圧力調整機構42は、加熱鍋30内部の圧力が異常に上昇するのを防止するように構成されている。
ロック機構44は、蓋26を加熱鍋30を密閉したまま開かないようにロックする機構である。蓋26が開いたまま運転されて、高温の蒸気が吹き出すこと及び有害な蒸気が蒸気凝縮槽8以外に流出するのを防ぐ。ロック機構44は、制御部38に接続される。従って、制御部38は、ロック機構44がロックされていない状態で使用者が運転を開始しようとすると警告音を発して、運転を開始しないように使用者に警告する。
【0025】
次に、使用者が操作できるコントロールパネル40について説明する。
コントロールパネル40は、廃液処理装置本体ケース28の外部側面前方に使用者に見やすいように配置される。コントロールパネル40は、廃液処理装置1の運転状態等を表示する表示部46と、使用者が操作できる操作部48とを備える。
【0026】
コントロールパネル40の表示部46は、廃液処理装置を制御する設定であるパラメータ設定数値(制御の設定数値)を表示でき、且つ脱水装置1の運転状態を数値、文字等で表示できる。さらに表示部46として、パトライトを接続し、パトライトによって脱水装置1の運転状態を報知しても良い。
操作部48は、廃液処理装置本体10の操作ボタンを備える。操作ボタンは、例えば運転開始ボタン、数値加減ボタン等であり、プログラムによって各操作ボタンの有する機能が変更可能である。使用者が運転開始ボタンを押すと、運転動作の開始を制御部に伝える。操作ボタンの入力に従って、脱水装置1のパラメータ設定数値(即ち脱水装置の制御の設定)が表示及び/又は変更できるようになっている。さらに、使用者が、脱水装置1の運転動作中に、操作ボタンを操作することによって、加熱の開始、繰り返し加熱運転の開始、運転の強制終了等を行わせる、いわゆるマニュアル運転動作をさせることも可能になっている。
従って、使用者は、表示部46を視認しながら、後述する操作部48を操作して、廃液処理装置1のパラメータの数値を容易に変更することができる。
本発明に言う「パラメータの数値」とは、例えば、ヒーター出力、ヒーター通電率、加熱の繰り返し回数、加熱を停止させる温度、ヒーターの加熱休止時間、脱水装置の運転を終了させる温度等の設定数値を示す。
このように、使用者が、廃液処理装置1の運転動作状況に合わせて、廃液処理装置1をより効率よく運転できるように調整することが可能になる。例えば、廃液の種類、脱水装置の設置される周囲の環境、使用者の意図する廃液の最終的な濃縮・固化の状態、等にあわせて、使用者が廃液処理装置を調整可能である。
【0027】
次に、図2を参照して、本発明の廃液処理装置1の作用を詳細に説明する。図2は、本発明の廃液処理装置の作用を説明する図である。図2において、横軸は時間軸Tを示しており、縦軸は鍋底温度℃、及び時間軸Tに対応した加熱手段のON、OFFを示している。
【0028】
先ず、廃液、消泡剤、添加剤の投入を手動で行う場合について説明する。
使用者が、廃液供給ポンプ14を駆動操作して、脱水すべき廃液を通常6リットル分加熱鍋30内に供給する。
次に、使用者が、消泡剤供給ポンプ18を運転して、消泡剤を所定量、加熱鍋30内に供給する。同様に、使用者が、添加剤供給ポンプ22を駆動して、添加剤を所定量、加熱鍋30内に供給する。
使用者は、蓋26を加熱鍋30の円筒上縁と合致させて、蓋26のロック機構44をロック操作する。加熱鍋30内部は、加熱鍋30と蓋26とが密着されるので、密閉された状態となる。
その後、使用者は、コントロールパネル40を操作して、廃液処理装置1のパラメータ設定数値を調整する。
使用者は、図2の時刻T1において、運転開始ボタンを操作して、制御部38に運転開始信号を送り、廃液処理装置1を作動させる。
【0029】
時刻T1において、脱水装置1は、制御部38の制御により、加熱手段(ヒーター)32による加熱を開始する。制御部38は、開始から温度センサ34が所定の温度115℃を検知するまで、加熱手段32の出力を定格出力の100%の5kwと設定する。所定の温度115℃は、例えば、125℃等の他の温度に設定することもできる。本実施形態においては、加熱手段32による加熱の開始(時刻T1)から温度センサ34の所定の温度115℃の検知による加熱の停止(時刻T2)までを濃縮工程と称する。この濃縮工程においては、加熱鍋30に投入された廃液の液体成分が蒸発され、液体成分の蒸気は、蒸気パイプ12を通って蒸気凝縮槽8に導入され、凝縮される。
【0030】
投入された廃液の液体成分が蒸発され、廃液中の液体成分が減少すると、加熱鍋30の温度が次第に上昇する。時刻T2において、温度センサ34が所定の温度115℃を検知すると、制御部38は、加熱手段32を、加熱と加熱の休止を交互に繰り返すように制御を開始する。このような加熱手段32が加熱を繰り返す工程を乾燥工程と称する。時刻T2で、加熱手段32が加熱を休止すると、加熱鍋30の鍋底の温度は徐々に低下し始める。
時刻T2で、温度センサ34が所定の温度115℃を検知した後、加熱手段32は時刻T3までの60秒の所定時間(加熱休止時間)、加熱手段32への通電を停止し、加熱を休止する。これにより、加熱鍋30の温度が過剰に上昇するのを防止する。なお、加熱手段32は完全に通電を停止されるのではなく、低い出力で加熱を続けていてもよい。
また、本実施形態においては、温度が115℃に到達した後、所定時間加熱を休止しているが、変形例として、温度センサ34が所定温度の115℃を検知した後、例えば温度が100℃に低下するまで、加熱を休止するように制御することもできる。
時刻T2乃至時刻T3における間、加熱鍋30の鍋底温度は徐々に低下するが、廃液の液体成分の蒸発は継続し、廃液は濃縮及び固化が進んでいる。時刻T3に至るまで、加熱を休止していても廃液の蒸発が活発に継続するように、時刻T3までの所定時間等を決定することができる。
【0031】
時刻T3において、加熱手段32は再び再加熱を開始する。時刻T3において、廃液の温度は、時刻T2における廃液温度よりも低下している。廃液の温度は、再加熱されて再び上昇を開始する。廃液の温度が上昇するに従って、廃液中の多くの液体成分が再び蒸発するようになる。このような繰り返しの加熱を行うので、廃液の温度を、所定温度115℃付近で保つことが可能になる。これにより、廃液中に残留する液体成分を大幅に減少させることができる。
【0032】
加熱手段32による再加熱は、制御部38が加熱手段32の出力を3kwと設定して、例えば温度センサ34が所定の温度115℃を検知するまで行われる。時刻T4において温度センサ34が所定の温度115℃を検知すると、加熱手段32は再び加熱を休止する。このように加熱手段32が加熱と加熱の休止を交互に繰り返す。以下同様に、制御部38は、時刻T5乃至時刻T42において加熱手段32の再加熱及び再休止を設定された回数繰り返す。このように、廃液を繰り返し再加熱することで、廃液の液体成分を蒸発させ廃液の濃度を高め、廃液の種類によっては最終的に固化することも可能となる。
【0033】
加熱手段32の加熱休止時間は60秒間に設定されるが、脱水すべき廃液の種類及び量等により設定が変更される。本実施形態では、加熱休止時間は、30秒間乃至360秒間で10秒毎に設定変更が可能である。繰り返し加熱は、1回乃至31回の所定回数行うことができ、本実施形態では時刻T2から時刻T42まで20回繰り返される。例えば繰り返し加熱の回数が20回目の場合には加熱休止時間を60秒間よりも長くするなど、繰り返し加熱の回数に合わせて加熱休止時間を変更することも可能である。廃液が濃縮され固化するにつれ温度低下の速度が変化するのに合わせて加熱休止時間を変更して効率よく濃縮及び固化をすすめることができる。同様に、繰り返し加熱の回数に合わせて所定温度の設定も変更してもよい。
【0034】
時刻T42において、制御部38は、繰り返し加熱が20回終了すると、加熱手段32による加熱を停止させる。よって、濃縮又は固化した廃液の温度は徐々に低下し始める。その後、時刻T43において、温度センサ34が所定温度60℃を検知すると、制御部38が脱水の終了をコントロールパネル40に表示する或いは音等により使用者に通知する。時刻T42乃至時刻T43の工程を冷却工程と称する。冷却工程を行うことにより、使用者が高温であった固化乾固物(残留物)を安全な温度で取り出すことが可能になる。
時刻T43の後、使用者は、蓋26を開いて、脱水すべき廃液の脱水後の固化乾固物を取り出すことが可能である。
【0035】
次に、廃液、消泡剤、添加剤の供給が、制御部38により制御されて自動的に行われる場合について説明する。本実施形態における廃液処理装置1の作用は濃縮工程において異なるので、使用者が廃液、消泡剤、添加剤を供給する場合と共通する動作については説明を省略する。
本実施形態における廃液処理装置1の鍋底温度と時間の関係は、図2において時刻T1とT2の間隔が異なる他はほぼ同じであるので、同じ時刻Tの符号を用いて以下説明している。
先ず、使用者は、コントロールパネル40を操作して、廃液処理装置1のパラメータ設定数値を調整する。
そして、時刻T1において、使用者は、運転開始ボタンを操作して、制御部38に運転開始信号を送り、廃液処理装置1を作動させる。制御部38は、廃液供給ポンプ14を所定時間駆動して、液面センサ36が液面を検知するまで、脱水すべき廃液を外部の廃液タンク2から加熱鍋30に供給する。
次に、制御部38が、消泡剤供給ポンプ18を所定時間駆動して、消泡剤を所定量、加熱鍋30内に供給する。同様に、制御部38が、添加剤供給ポンプ22を所定時間駆動して、添加剤を所定量、加熱鍋30内に供給する。
【0036】
制御部38は、消泡剤及び添加剤の供給が終わると、加熱手段32による加熱を開始する(濃縮工程開始)。制御部38は、濃縮工程中において、廃液が加熱により蒸発して減量し、液面が所定の高さまで低下すると、廃液供給ポンプ14を駆動して、液面センサ36が所定の液面高さ位置を再び検知するまで、廃液を廃液タンク2から加熱鍋30に再供給する。つまり、加熱によって蒸発された廃液の液体成分の量とほぼ同じ量の廃液が再供給によって加熱鍋30に供給される。制御部38は、脱水すべき廃液の再供給と併せて、消泡剤を消泡剤タンク4から所定量供給させ、添加剤を添加剤タンク6から所定量供給させる。制御部38は、廃液等の再供給中或いは再供給後に、加熱手段32による加熱を続けて行う。本発明の廃液を加熱しながら濃縮する工程において、廃液を再供給することで濃縮された廃液の濃度は一旦低下する。廃液を再供給すると廃液の温度も低下する。このように、廃液の容量を一定範囲に保ちながら加熱を継続して廃液中の液体成分を蒸発させる。
濃縮工程における間、制御部38は、廃液タンク2等からの廃液等の再供給を所定回数実行する。従って、一度に加熱鍋30に投入可能な量よりも多くの工業廃液を処理することが可能になる。
【0037】
制御部38が廃液の再供給を所定回数実行した後、時刻T2において、温度センサ34が所定の温度115℃を検知すると、制御部38は、加熱手段32を、加熱と加熱の休止を交互に繰り返す乾燥工程を開始する。制御部38が、加熱手段32の繰り返し加熱を開始した後は、脱水すべき廃液、消泡剤及び添加剤の新たな供給は行わない。
【0038】
時刻T42において、制御部38は、繰り返し加熱が20回終了すると、加熱手段32による加熱を停止させる。
時刻T43において、温度センサ34が所定温度60℃を検知すると、制御部38が脱水の終了をコントロールパネル40に表示する或いは音等により使用者に通知する。
時刻T43の後、使用者は、蓋26を開いて、脱水すべき廃液の脱水後の固化乾固物(残留物)を取り出すことが可能である。
【0039】
次に、上述した本発明の実施形態の廃液処理装置の効果を説明する。
本実施形態の廃液処理装置によると、廃液は、廃液処理装置本体10に備えられた加熱鍋30の内側に収容され、加熱鍋30の外側に設けられた電気式加熱手段32を用いて加熱される。
廃液処理装置1の制御部38が、廃液を、温度センサ34が所定温度を検知するまで加熱し、温度を低下させた後に、温度センサ34が所定温度を検知するまで再加熱させ、廃液の再加熱を繰り返すことで濃縮又は固化を行うように加熱手段32を制御する。従って、加熱鍋30に収容された廃液は液体成分が蒸発されて濃縮又は固化が行われ廃液の容量が減少するので廃液の廃棄コストを抑えることができる。
また、加熱鍋30が蓋26によって密閉されるので、電気式加熱手段32によって加えられた熱による、廃液の液体成分の蒸発の効率が良い。
また、本実施形態の廃液処理装置1によれば、廃液の種類により容量及び重量を約20分の1程度に減少させることができる。
【0040】
本実施形態の廃液処理装置によると、制御部38は、液面センサ36の加熱鍋30の廃液液面位置の検知に基づいて、廃液供給ポンプ14を駆動して、廃液を廃液タンク2から加熱鍋30に供給できる。従って、廃液の液面位置に応じて、廃液を大容量の廃液タンク2から加熱鍋30に供給しながら、大容量の廃液の濃縮又は固化を行うことができる。
【0041】
本実施形態の廃液処理装置によると、制御部38は、消泡剤供給ポンプ18を駆動して消泡剤を加熱鍋30に供給でき、且つ添加剤供給ポンプ22を駆動して添加剤を加熱鍋30に供給できる。従って、廃液を大容量の廃液タンク2から加熱鍋30に供給しながら大容量の廃液の濃縮又は固化を行う場合に、制御部38は消泡剤及び/或いは添加剤の供給を制御できる。従って、消泡剤及び/或いは添加剤を供給しながら大容量の廃液の濃縮又は固化を行うことがさらに可能になる。
【0042】
本実施形態の廃液処理装置によると、廃液の蒸気は、加熱鍋30と連通された蒸気凝縮装置8で凝縮される。従って、廃液の蒸気に含まれる有害物質等が直接に外気に放出されるのを防ぐことができる。
【0043】
次に、本発明の実施形態よる廃液処理装置の製造方法を説明する。
本発明の実施形態よる廃液処理装置は、上述したように、加熱鍋、蓋、電気式加熱手段、温度センサ及びこれらを制御する制御部等を備えたものである。これらの構成を備えた装置を専用に設計し、製造すると、極めて多くの装置を製造しない限り、装置一台当たりのコストが膨大なものとなり、市場性の乏しいものとなってしまう。
本発明の発明者らは、廃液処理装置の製造コスト削減のため、多くの実験、試行錯誤をした結果、廃液処理とは全く技術分野が異なる分野である飲食用機器の分野において、お米を炊くための電気式炊飯器を応用することを着想した。即ち、市販の電気式炊飯器が備える、炊飯鍋、蓋、ヒーター、温度センサ及び炊飯器を制御する制御部等の各構成要素を利用して、本発明の実施形態よる廃液処理装置を製造することを着想した。電気式炊飯器は、一般に大量に製造販売されている電気機器であるため、比較的安価に入手することが可能であり、本発明の実施形態よる廃液処理装置に応用できる多くの構成要素を備えていることが見出された。しかしながら、炊飯と、工業用の廃液処理とは全く異なるものであり、特に廃液には油分を含む場合もあることから、単純に電気式炊飯器に廃液を収容して加熱したのでは、廃液を十分に濃縮、固化することができないばかりか、処理する廃液によっては危険が伴う場合がある。従って、本発明の発明者らは、炊飯用の電気式炊飯器を使用し、工場等廃液の廃液処理装置を製造する具体的な手法を開発したものである。
【0044】
本実施形態の廃液処理装置の製造方法では、まず、廃液を内側に収容するための炊飯鍋と、炊飯鍋を密閉する蓋と、炊飯鍋の外側に設けられたヒーターと、炊飯鍋の温度を検知する温度検出器と、温度検出器の温度の検知に基づいて、ヒーターを制御できるコントローラとを備えた電気式炊飯器を準備する。次に、コントローラに内蔵されているプログラムを、温度検出器が所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程を実行するように改変する。
即ち、電気式炊飯器に備えられた炊飯鍋、蓋、ヒーター、温度検出器、及びコントローラを、廃液処理装置1における加熱鍋30、蓋26、電気式加熱手段32、温度センサ34、及び制御部38として、夫々利用する。
【0045】
さらに、廃液処理装置の構成によっては、電気式炊飯器(廃液処理装置本体10)に蒸気パイプ12を介して蒸気凝縮槽8を接続し、電気式炊飯器に廃液パイプ16を介して廃液タンク2を接続し、消泡剤パイプ20を介して消泡剤タンク4を接続し、添加剤パイプ24を介して添加剤タンク6を接続する。さらに、液面センサ36を、蓋26の外側から加熱鍋30の内部に挿入させ、コントローラを、液面センサ36、廃液供給ポンプ14、消泡剤供給ポンプ18及び添加剤供給ポンプ22等と電気的に接続させる。
【0046】
コントローラに内蔵されたプログラムを改変する工程では、例えば、廃液処理用に作成されたプログラムを記憶したROM、メモリ等を、コントローラの基板上に実装する、或いは、廃液処理用に作成されたプログラムをコントローラの書き換え可能なROM、メモリ等に書き込む。コントローラのプログラムを改変することにより、コントローラが、当該プログラムの命令に基づいて、濃縮工程及び乾燥工程を実行することが可能になる。
【0047】
本実施形態において、電気式炊飯器を使用することによる有利な効果を以下に示す。
本実施形態では、電気式炊飯器の炊飯鍋が加熱鍋30として使用される。炊飯鍋は、炊飯用に耐熱性及び耐圧性の素材で形成されており、加熱鍋30が廃液を加熱する場合の高温に耐えることができる。炊飯時に炊飯鍋を取り外して給水及び洗米を行うために炊飯器本体ケース28から取り外し可能に構成される。従って、使用者が、加熱鍋30を、廃液を濃縮・固化した後に廃液処理装置本体10から取り外して作業、例えば清掃や交換を行うことが容易である。さらに、炊飯鍋は、その表面にお米が強固に付着するのを防ぐため付着防止用のテフロン(登録商標)加工或いはマーブル加工等がなされているので、脱水後の廃液の固化乾固物(残留物)を容易に剥離して除去することができる。
【0048】
炊飯器の蓋は、炊飯時に炊飯鍋内が高温高圧になっても耐えられるような耐熱性及び耐圧性の素材で形成されている。従って、加熱鍋30で廃液を加熱する場合の高温に耐えることができる。さらに、炊飯器蓋は、炊飯時の運転の安全性を高めるために、圧力調整機構と、ロック機構とを備えている。従って、廃液が加熱されて蒸発し加熱鍋30内部の圧力が高まる場合に、急激に蒸気が放出される事故を防ぐことができる。さらに、蓋26が開いたまま運転されて、廃液の高温の蒸気が吹き出すこと及び有害な蒸気が蒸気凝縮槽8以外に流出するのを防ぐ。
【0049】
また、市販の電気式炊飯器は、ヒーターと、温度検出器と、コントローラ等も備えている。
電気式炊飯器のコントローラには、当初、炊飯器運転用の炊飯プログラムが設けられている。追い炊き機能付きの炊飯器では、廃液を繰り返し加熱する乾燥工程に、追い炊き機能を応用し、追い炊き機能を多数回繰り返し実行するように、プログラムを改変することもできる。改変後のプログラムは元の炊飯プログラムを発展したプログラム或いは新たに独自に作成されたプログラムであってもよい。
さらに、電気式炊飯器は、炊飯状態等を表示する表示部と、使用者が操作する操作部とを備えているので、これらを、廃液処理装置1の運転状態等を表示する表示部46及び操作部48として応用することができる。これにより、操作性の良い廃液処理装置1を低コストで構成することができる。
【0050】
このような、本発明の実施形態の廃液処理装置の製造方法によれば、炊飯用の電気式炊飯器を用いて廃液処理装置1を製造することができるので、廃液処理装置を容易に製造でき、且つ、廃液処理装置の製造コストを大きく抑えることができる。
【0051】
なお、上述した本発明の実施形態においては、廃液処理装置1は、廃液タンク2、消泡剤タンク4、添加剤タンク6を備えているが、使用者が、廃液、消泡剤、及び添加剤を、直接、加熱鍋30に投入する構成とすれば、これらを省略することができる。また、上述した本発明の実施形態においては、廃液処理装置1は、蒸気凝縮槽8を備えているが、蒸発した蒸気を直接大気に放出できる廃液の処理を前提とした装置では、蒸気凝縮槽8を省略することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 廃液処理装置
2 廃液タンク
4 消泡剤タンク
6 添加剤タンク
8 蒸気凝縮槽
10 廃液処理装置本体
12 蒸気パイプ
14 廃液供給ポンプ
16 廃液パイプ
18 消泡剤供給ポンプ
20 消泡剤パイプ
22 添加剤供給ポンプ
24 添加剤パイプ
26 蓋
28 廃液処理装置本体ケース
30 加熱鍋
32 電気式加熱手段
34 温度センサ
36 液面センサ
38 制御部
39 プログラム
40 コントロールパネル
42 圧力調整機構
44 ロック機構
46 表示部
48 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液を加熱することにより、廃液の液体成分を蒸発させて濃縮又は固化を行う廃液処理装置において、
廃液を収容する加熱鍋と、
前記加熱鍋を密閉する蓋と、
前記加熱鍋を外側から加熱する電気式加熱手段と、
前記加熱鍋の温度を検知する温度センサと、
前記温度センサが所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程が実行されるように前記加熱手段を制御する制御部と、を備えることを特徴とする、廃液処理装置。
【請求項2】
さらに、廃液を貯蔵する廃液タンクと、前記廃液タンクと前記加熱鍋とを連通する廃液連通手段に設置された廃液供給ポンプとを備え、前記制御部は、前記廃液供給ポンプを制御して、濃縮工程開始前に廃液を前記加熱鍋に導入すると共に、濃縮工程中に廃液を前記加熱鍋に追加供給することを特徴とする、請求項1に記載の廃液処理装置。
【請求項3】
さらに、消泡財を貯蔵する消泡剤タンクと、添加剤を貯蔵する添加剤タンクと、前記消泡剤タンクと前記加熱鍋とを連通する消泡剤連通手段に設置された消泡剤供給ポンプと、前記添加剤タンクと前記加熱鍋とを連通する添加剤連通手段に設置された添加剤供給ポンプとを備え、前記制御部は、前記消泡剤供給ポンプと、前記添加剤供給ポンプとを制御して、消泡剤及び添加剤を前記加熱鍋に投入することを特徴とする、請求項1又は2に記載の廃液処理装置。
【請求項4】
さらに、加熱した廃液から蒸発した蒸気を凝縮する、前記加熱鍋と連通された蒸気凝縮装置を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の廃液処理装置。
【請求項5】
廃液処理装置の製造方法であって、
廃液を収容するための炊飯鍋と、前記炊飯鍋を密閉する蓋と、前記炊飯鍋の外側に設けられた電気式加熱手段と、前記炊飯鍋の温度を検知する温度センサと、前記温度センサの温度の検知に基づいて、前記加熱手段を制御する制御部とを備えた電気式炊飯器を準備するステップと、
前記制御部が、前記温度センサが所定温度を検知するまで廃液を加熱して、廃液を濃縮する濃縮工程と、この濃縮工程の後、廃液の温度低下と所定温度までの再加熱を繰り返す乾燥工程を実行するように、前記制御部のプログラムを改変するステップと、を備えたことを特徴とする脱水装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−183496(P2012−183496A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48803(P2011−48803)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(501070115)タカギ冷機株式会社 (2)
【出願人】(592179827)気高電機株式会社 (16)
【Fターム(参考)】