説明

廃熱利用システム

【課題】冷房時のヒートポンプの凝縮器からの廃熱を有効に利用する。
【解決手段】建物内の冷却を行うヒートポンプ式の室内温度調整装置10において、冷媒を高温高圧の蒸気状態から、高温高圧の液体状態に変換する際の冷媒の凝縮時の廃熱を、例えばメタン等の低沸点媒体を用いて、かかる低沸点媒体を蒸発させることにより廃熱を奪う。廃熱を奪った低沸点媒体を、発電機40のタービン41に当てて発電し、その発電した電力を一部、圧縮機23等の駆動電力として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房時に使用するヒートポンプ等の凝縮器の廃熱を利用する技術に関し、特にかかる廃熱で発電するのに適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの効率利用が叫ばれる中、工場等における燃焼施設から廃棄される、所謂廃熱を利用するシステム技術が盛んに提案されている。これらの内幾つかの提案は、実際に適用され、それなりの実績を上げている。
【0003】
かかる廃熱利用のシステムとしては、例えば、特許文献1には、復水器を使用する発電設備で、それまで復水器で発生する熱を冷却水により冷却してその熱はそのまま大気等に捨てていたことに着目して、この復水器からの熱を、低沸点媒体のアンモニアと熱交換させて、低沸点媒体蒸気をタービンに導き発電する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、焼結鉱の製造工程で使用される焼結クーラの低温排風を用いて、その廃熱により90〜140℃の温水を発生させ、その温水を利用してアンモニア−水の混合物を媒体とした蒸気タービン発電設備(カリーナサイクル発電設備)により発電するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−122006号公報
【特許文献2】特開2000−199685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の如く、従来、廃熱を利用して発電等を行うシステムについては幾つか提案がなされている。しかし、利用される廃熱温度は、低温廃熱とは言え、少なくとも約100℃近辺の温度を有する廃熱であることに本発明者は気がついた。
【0007】
熱と言えば、一般に素手で触るのがためらわれる位の熱いものと想像しがちであるが、しかし、家庭等で使用している冷房時のヒートポンプの凝縮熱も、それ程熱くはないが熱であることに違いはない。素手で触っても、それ程熱くは感じないが、空調用の空気を冷やすために、外部に捨てている熱も廃熱である。
【0008】
廃熱の効率利用が図られる中、種々の廃熱利用システムが提案されるが、しかし、かかる提案されるシステムについての廃熱は、一般に100℃以上の廃熱を利用するものばかりであることに気がついた。
【0009】
冷房運転時におけるヒートポンプの凝縮熱のような、まさしく素手で触ってもそれ程熱くはない低温の廃熱には、その利用に、今まで全く目が向けられていなかったのが実情である。地球規模でみた場合には、素手で触ることができる程度の熱、例えば、約50℃以下の温度の廃熱は殆ど無駄に捨てられ、その量は膨大なものと想定される。
【0010】
そこで、本発明者は、かかる低温、すなわち約50℃以下の温度の廃熱の有効利用を考えることが地球規模で必要なのではないかと考えた。
【0011】
本発明の目的は、冷房時の凝縮器の廃熱を利用する技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明によれば、これまでは全く打ち捨てられていた50℃以下の低温の廃熱を利用することができるため、さらなるエネルギーの利用効率を図ることができる。併せて、地球規模での温暖化防止にも有効に寄与することができる。
【0015】
すなわち、本発明は低温廃熱を利用する廃熱利用システムであって、前記低温廃熱とは、50℃以下の温度であることを特徴とする。かかる構成において、前記50℃以下の温度範囲で沸点を有する低沸点媒体を用いて、前記低温廃熱により発電することを特徴とする。以上いずれかの構成において、前記低温廃熱は、冷却サイクルの媒体の凝縮に際して発生する熱であることを特徴とする。
【0016】
本発明はヒートポンプの廃熱を使用して発電する廃熱利用システムであって、前記ヒートポンプを用いた室内温度調整装置と、低沸点媒体を用いた発電装置とを有し、前記低沸点媒体は、前記ヒートポンプの冷媒の凝縮器部分からの50℃以下の廃熱で蒸発させられ、前記蒸発させられた低沸点媒体により、タービンが回転させられて発電を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
本発明では、50℃以下の低温の廃熱を、低沸点媒体を利用して熱交換し、その低沸点媒体で発電を行うことができる。エネルギーの有効利用を図ると共に、地球規模での温暖化防止に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の廃熱利用システムの一実施の形態の全体構成の概要を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明を冷凍倉庫に適用した場合を示す説明図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明の廃熱利用システムのエネルギー収支の概略構成を示す説明図である。
【図4】本発明の廃熱利用システムの変形例の全体構成の概要を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0021】
本発明は低温の廃熱を利用するシステムに関する。例えば、冷房サイクル、冷凍サイクル等の冷却時のサイクルで、熱媒体としての冷媒が凝縮、蒸発を繰り返しながら循環させられる際に放出する廃熱を利用するものである。かかる廃熱は、ヒートポンプによる循環させられる媒体の凝縮時に放出させられるもので、50℃以下の低温の廃熱である。
【0022】
かかる低温の廃熱に関しては、これまではそのまま大気に放出させられていたものである。これまでの廃熱利用システムでは、100℃近辺以上の廃熱が利用されており、50℃以下の低温の廃熱は利用されていなかった。本発明は、50℃以下の廃熱を利用するものである。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態の廃熱利用システムの全体構成の概要を模式的に示す説明図である。
【0024】
本発明に係る廃熱利用システム100を、以下の説明では、媒体としての冷媒が冷却時にヒートポンプにより循環させられる場合を例に挙げて詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、建物内(図中、点線で囲った)には、クーラーや冷凍機等の建物内の室内温度の調整を行う室内温度調整装置10が設けられている。かかる室内温度調整装置10は、ヒートポンプ20を有している。かかるヒートポンプ20では、蒸発器21、凝縮器22、および圧縮機23、減圧機24がそれぞれ設けられ、ヒートポンプ20内を循環させられる冷媒の蒸発、凝縮が繰り返し行えるように構成されている。
【0026】
また、蒸発器21は建物内に設置されているが、凝縮器22、圧縮機23、減圧機24は室外機として建物外に配置され、建物内では凝縮器22等からの放熱の影響を受けないように構成されている。
【0027】
すなわち、低温低圧の液体の冷媒は、蒸発器21で、ファン21aにより送られた室内の空気から熱を奪って、室内空気を所定温度に冷却する。蒸発器21で室内空気と熱交換した冷媒は、低温低圧の蒸気となって、圧縮機23に至る。圧縮機23で、低温低圧の蒸気としての冷媒は、高温高圧の蒸気に変換される。
【0028】
かかる圧縮機23により高温高圧の蒸気に変換させられた冷媒は、凝縮器22で、低沸点媒体と熱交換される。かかる熱交換により、高温高圧の蒸気であった冷媒は、高温高圧の液体に変換され、減圧機24に至る。減圧機24では、高温高圧の液体である冷媒は、低温低圧の液体に変換され、蒸発器21に至る。このサイクルの繰り返しを行うことで、室内温度の調節を行っている。
【0029】
このように、冷却時のサイクルでは、ヒートポンプ20内で、冷媒は低温低圧の液体→低温低圧の蒸気→高温高圧の蒸気→高温高圧の液体→低温低圧の液体と変換が繰り返され、その間、蒸発器21部分で通過する室内空気から熱を奪い、室内空気を冷気として外部に放出する。また、凝縮器22部分では放熱を行い、その放熱により低沸点媒体の蒸発を行う。
【0030】
凝縮器22は高温高圧の蒸気が通る空間に構成され、この空間内に例えば蛇管に構成された低沸点媒体発電サイクル30の流路の一部としての低沸点媒体蒸発器31が配置されている。
【0031】
蛇管に構成された低沸点媒体蒸発器31内を低沸点媒体が通る際に、凝縮器22に通された冷媒の高温高圧の蒸気から熱を奪い、低沸点媒体は気化させられ、中温高圧の蒸気に変換される。尚、ここで「中温」とは、冷媒の蒸気温度よりも低いという意味で、中温という言葉を用いている。
【0032】
かかる中温高圧の蒸気の低沸点媒体は、高圧状態で外燃機関としての発電機40のタービン41に当てられ、タービン41を回転させる。タービン41の回転により電気が発生させられる。タービン41の回転に使用された中温高圧の蒸気としての低沸点媒体は、中温低圧の蒸気となり、低沸点媒体凝縮器32部分で外部に熱を廃熱として放出する。熱を放出することで、自身は凝縮されて低温低圧の液体に変換され、前記低沸点媒体蒸発器31へ至ることとなる。
【0033】
このようにして、低沸点媒体も、冷媒のヒートポンプ20による冷却サイクルに対応して、低沸点媒体発電サイクル30で蒸発、凝縮を繰り返し、その間に、タービン41を回転させて発電を行っている。低沸点媒体のサイクルは、図1に示すように、循環ポンプ33により円滑に維持されている。
【0034】
かかる低沸点媒体の蒸発に際しては、冷媒の凝縮器22での50℃以下の廃熱が利用されている。すなわち、本発明の廃熱利用システム100は、ヒートポンプ20における凝縮器22を、低沸点媒体蒸発器31として利用することで成立している。
【0035】
かかる低沸点媒体としては、例えば、メタン等を用いることができる。メタンは沸点が−161℃程度であり、圧縮することで液化するため、低温低圧の液体として使用し、低沸点媒体蒸発器31で、冷媒よりの50℃以下の廃熱を利用して蒸発させ、中温高圧の蒸気として使用することができる。
【0036】
また、低沸点媒体を用いて前記の如く発電した電気は、例えば、図1に示すように、ヒートポンプ20に設けた圧縮機23やポンプの駆動電力として使用することができる。
【0037】
さらに、低沸点媒体凝縮器32での凝縮効率をあげるために、冷却サイクルでできた室内空調用の冷風の一部を、ダクト等で分流して、低沸点媒体凝縮器32部分で使用するようにしても構わない。
【0038】
かかる構成の廃熱利用システム100は、例えば、ヒートポンプ20を用いるタイプの冷却、冷房設備を設けた場所で使用することができる。常時上記低沸点媒体のサイクルが行われる場合としては、例えば、図2に示すように、冷凍倉庫での使用が考えられる。
【0039】
冷凍倉庫では、常に倉庫内を外気温より低い温度に保つため、冷却サイクルが常に稼働状態にある。そのため、かかる本発明の廃熱の利用システムを常時稼働するには、極めて都合がよい。かかる冷凍倉庫の建物外に設けた冷媒の凝縮工程で、前記要領での廃熱利用システム100が適用されている。
【0040】
勿論、家庭用の空調機でも、本発明の廃熱の利用システムを稼働させることは原則的には可能であるが、本発明は冷房時の冷却サイクルの稼働を前提としているため、冷却サイクルの稼働状況が夏場等の周囲温度の影響を受ける場合よりも、上記の如く、冷凍倉庫等での適用の方が効率的に行えるのである。
【0041】
また、低沸点媒体凝縮器32においては、さらに低沸点媒体を用いた発電装置を設けることで、カスケード発電を行わせるようにすることもできる。
【0042】
尚、低沸点媒体としては、上記説明ではメタンを用いた場合を例示したが、エタンやプロパン等でも構わないし、さらにはヘリウム、ネオン、アルゴン等のメンテナンス上安全性が高い希ガスでも勿論構わない。
【0043】
図3には、かかるヒートポンプの能力を現時点での最大および最小に見積もった場合の廃熱によるエネルギーの再生効率を試算した結果を示す。
【0044】
図3(a)に示すように、ヒートポンプ20の成績係数(COP:Coefficient of performance )を6、低沸点媒体を利用した発電効率を0.2とした場合には、例えば、冷房に0.6kw、大気に放出する温風として5.6kw、余剰電力として0.4kwのエネルギー収支が得られることとなる。
【0045】
すなわち、ヒートポンプの消費電力を1kw、成績係数を6、低沸点媒体を利用した発電設備の発電効率を0.2とすれば、ヒートポンプから冷却用の冷熱が1(消費電力)×−6(COP)=−6kw発生し、室外機からは1(消費電力)×{6(COP)+1(コンプレッサー廃熱分)}=7kwの廃熱が発生する。その7kwの廃熱のうち、7×0.2(発電効率)=1.4kwが電力として再生され、残りの7−1.4(発電量)=5.6kwが最終的な発電機からの廃熱として大気に放出されるのである。
【0046】
再生された電力1.4kwのうち、例えば1kw分をヒートポンプの消費電力として循環させれば、残り0.4kwだけ余剰電力として余る計算になる。また、最終的なこのシステムから排出される熱は、−6(ヒートポンプからの冷熱)+5.6(最終的な発電機からの廃熱)=−0.4kwとなる。
【0047】
一方、図3(b)に示す場合は、成績係数が3で、発電効率が0.1の条件で、冷房に3.0kw、大気に放出する温風として3.6kw、必要電力として0.6kwを必要とするエネルギー収支の場合を示している。
【0048】
すなわち、ヒートポンプの消費電力を1kw、成績係数を3、低沸点媒体を利用した発電設備の発電効率を0.1とすると、ヒートポンプから冷却用の冷熱が1(消費電力)×−3(COP)=−3kw発生し、室外機からは1(消費電力)×{3(COP)+1(コンプレッサー廃熱分)}=4kwの廃熱が発生する。その4kwの廃熱のうち、4×0.1(発電効率)=0.4kwが電力として再生される。残りの4−0.4(発電量)=3.6kwが最終的な発電機からの廃熱として大気に放出される。
【0049】
再生された0.4kwを全てヒートポンプの消費電力として循環させると、ヒートポンプに新たに必要な電力は1(消費電力)−0.4(再生されて循環してきた電力)=0.6kwになる。つまり、このシステムは、一度サイクルが循環してしまえば、0.6kwの消費電力で−3kwの冷熱を生産できることになる。また、最終的なこのシステムから排出される熱は、−3(ヒートポンプからの冷熱)+3.6(最終的な発電機からの廃熱)=0.6kwとなる。
【0050】
また、図3(a)に示すように、COPが6で、低沸点発電設備の発電効率が0.2のときのように、COPが発電効率の逆数より大きいときは、つまり「6(COP)>5(発電効率の逆数、1÷0.2)」のような大小関係があるときは、廃熱利用システム全体で見ると「大気の熱(ここでは0.4kw)」を「電力(ここでは0.4kw)」に変換する装置として機能していると把握することもできる。
【0051】
すなわち、ヒートポンプの成績係数が、低沸点媒体を用いた低沸点発電設備の発電効率の逆数を超える条件においては、本発明の廃熱利用システムは、大気の熱を利用した発電システムとして機能することとなるのである。本発明の廃熱利用システムは、見かけ上、大気の熱を利用した発電システムとして把握することができるのである。
【0052】
大規模な火力発電所や溶鉱炉等において発生する廃熱を利用した発電設備は、前記の如く幾つか提案され、かかる提案はシステム全体の総合発電効率といった面からは重要な意味を有している。しかし、システム全体として考えると、発電量は消費されるエネルギー(化石燃料)のほんの一部を使用しているに過ぎないのである。
【0053】
一方、ヒートポンプの凝縮器からの廃熱に関しては、投入電力の数倍にもなる。この数倍にも相当する廃熱を利用して本発明の廃熱利用システムを稼働させることで、場合によってはヒートポンプに投入した電力以上に発電し得る場合も十分に想定し得るのである。
【0054】
以上のように、本発明の廃熱利用システムでは、低沸点媒体を用いた発電により廃熱を電力化することができ、その分、大気への廃熱量の削減が行える。また、かかる電力を利用することで、トータルエネルギーの使用量を削減することもできる。
【0055】
また、本発明の廃熱利用システムでは、50℃以下の廃熱の利用が主目的であるため、大量の廃熱を排出する大規模な施設に隣接する必要がなくなり、あらゆるサイトに適応することが可能となる。さらに、今後、投入電力より発電量が上回るユニットが量産できれば、「気温」を「電力」に変換することも可能となり、地球温暖化に資する役割は増大し、地球温暖化の防止に大いに役立つものである。
【0056】
図4は、本発明の廃熱利用システムの変形例の全体構成の概要を模式的に示す説明図である。
【0057】
図4に示す変形例は、前記実施の形態で説明した低沸点媒体凝縮器32部分での凝縮をより効率的に行わせることができるようにしたものである。
【0058】
かかる構成では、図4に示すように、ヒートポンプ20では前記実施の形態1で説明したように、冷媒が蒸発器21、圧縮機23、凝縮器22、減圧機24を循環することにより冷却サイクルが繰り返される。
【0059】
一方、低沸点媒体は、前記実施の形態で説明したように、低沸点媒体発電サイクル30の低沸点媒体蒸発器31側で中温高圧の蒸気にされ、発電機40のタービン41を回転させて発電を行う。タービン41を回転させた後、中温低圧の蒸気になった低沸点媒体は、凝縮されて低温低圧の液体に変換され、循環ポンプ33により低沸点媒体発電サイクル30内を循環させられる。
【0060】
本変形例では、かかる低沸点媒体の低温低圧の液体への凝縮を、多段階で、例えば2段階でより強力に促進することができるように構成されている。すなわち、図4に示すように、低沸点媒体発電サイクル30では、低沸点媒体凝縮器32に続いて、低沸点媒体凝縮促進器51が設けられている。
【0061】
低沸点媒体凝縮促進器51は、ヒートポンプ20の低温低圧状態の冷媒を一部循環させて、低沸点媒体を確実に凝縮することができるように構成されている。すなわち、減圧機24と蒸発器21との途中部分でヒートポンプ20が分岐され、低沸点媒体凝縮促進器51を経由して、蒸発器21と圧縮機23との間でヒートポンプ20に合流するように分岐冷媒循環路60が形成されている。
【0062】
減圧機24で低温低圧の液体に変換された冷媒の一部は、十分に冷却された状態で、低沸点媒体凝縮促進器51に至り、低沸点媒体凝縮器32で未だ十分に液化されていない低沸点媒体を凝縮して完全に液化させるのである。低沸点媒体の完全な液化に利用された冷媒は、低温低圧の蒸気となって低沸点媒体凝縮促進器51を出て、ヒートポンプ20の圧縮機23に至る。ヒートポンプ20を流れてきた冷媒と、分岐冷媒循環路60を流れてきた冷媒とが合流して圧縮機23に至り、高温高圧の蒸気へと変換させられるのである。
【0063】
かかる構成を採用することで、低沸点媒体は低沸点媒体凝縮器32部分で空気冷却されて凝縮し、一部凝縮しなかった分については低沸点媒体凝縮促進器51部分で完全に凝縮させることができるようになっている。
【0064】
また、場合によっては、図4では低沸点媒体の凝縮を、低沸点媒体凝縮器32、低沸点媒体凝縮促進器51を用いて2段階で行うように構成したが、低沸点媒体凝縮器32の構成を無くして、低沸点媒体凝縮促進器51の構成だけで低沸点媒体を凝縮させるようにしても構わない。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10 室内温度調整装置
20 ヒートポンプ
21 蒸発器
21a ファン
22 凝縮器
23 圧縮機
24 減圧機
30 低沸点媒体発電サイクル
31 低沸点媒体蒸発器
32 低沸点媒体凝縮器
33 循環ポンプ
40 発電機
41 タービン
51 低沸点媒体凝縮促進器
60 分岐冷媒循環路
100 廃熱利用システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温廃熱を利用する廃熱利用システムであって、
前記低温廃熱とは、50℃以下の温度であることを特徴とする廃熱利用システム。
【請求項2】
請求項1記載の廃熱利用システムにおいて、
前記50℃以下の温度範囲で沸点を有する低沸点媒体を用いて、前記低温廃熱により発電することを特徴とする廃熱利用システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の廃熱利用システムにおいて、
前記低温廃熱は、冷却サイクルの媒体の凝縮に際して発生する熱であることを特徴とする廃熱利用システム。
【請求項4】
ヒートポンプの廃熱を使用して発電する廃熱利用システムであって、
前記ヒートポンプを用いた室内温度調整装置と、
低沸点媒体を用いた発電装置とを有し、
前記低沸点媒体は、前記ヒートポンプの冷媒用の凝縮器部分からの50℃以下の廃熱で蒸発させられ、
前記蒸発させられた低沸点媒体により、タービンが回転させられて発電を行うことを特徴とする廃熱利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−231778(P2011−231778A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184499(P2011−184499)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2006−55961(P2006−55961)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】