建物の外壁構造
【課題】断熱性の低下を抑制することができる建物の外壁構造を提供する。
【解決手段】建物の外壁構造において、屋外側には外壁パネルが設けられ、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネルは、外壁材と、外壁材の裏面側に固定された外壁フレームとを備え、外壁フレームの屋内側面には複数の木レンガが固定されている。内壁パネル12は、内壁材21と、内壁材21の裏面側に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内に組み込まれた軟質系断熱材23とを備えており、内壁フレーム22が木レンガの屋内側面に固定されている。軟質系断熱材23は、その一部が内壁フレーム22よりも屋外側にはみ出している。内壁フレーム22の屋外側面には、硬質系断熱材31が複数取り付けられている。硬質系断熱材31の内側面には、軟質系断熱材23のはみ出し部23aがタッカーにより固定されている。
【解決手段】建物の外壁構造において、屋外側には外壁パネルが設けられ、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネルは、外壁材と、外壁材の裏面側に固定された外壁フレームとを備え、外壁フレームの屋内側面には複数の木レンガが固定されている。内壁パネル12は、内壁材21と、内壁材21の裏面側に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内に組み込まれた軟質系断熱材23とを備えており、内壁フレーム22が木レンガの屋内側面に固定されている。軟質系断熱材23は、その一部が内壁フレーム22よりも屋外側にはみ出している。内壁フレーム22の屋外側面には、硬質系断熱材31が複数取り付けられている。硬質系断熱材31の内側面には、軟質系断熱材23のはみ出し部23aがタッカーにより固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁構造では、屋外側に外壁面を形成する外壁パネルが設けられ、その屋内側に内壁パネルが設けられている場合がある。この種の内壁パネルとしては、屋内面を形成する内壁材と、内壁材の裏面(屋外側面)側に固定されるとともに枠状に形成された内壁フレームと、内壁フレームの枠内部に組み込まれた断熱材とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
断熱材としては、例えば防湿性を有するポリエチレンフィルム等からなる袋体の中にグラスウール等の繊維系断熱材を充填したものが用いられる。かかる断熱材は、内壁フレームの内側面に当接される袋体の部分が内壁フレームの内側面にタッカーにより打ち付けられることで内壁フレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、省エネルギの観点等から外壁構造において高断熱性が求められており、そのため断熱材としては厚みの大きいものが用いられる傾向にある。具体的には、例えば内壁フレームよりも大きい厚みを有する断熱材が用いられる場合がある。この場合、断熱材が内壁フレームの枠内部に組み込まれた状態では、その一部が内壁フレームよりも屋外側にはみ出す。ここで、かかる断熱材を内壁フレームの内側面にタッカーにより固定する作業を行う際には、内壁フレーム周辺の断熱材を内壁材側に圧縮した(押しつぶした)状態で同作業を行う必要がある。そのため、断熱材の圧縮変形された部分が元(圧縮前)の自然状態に戻らず、その結果断熱材の一部につぶれが生じることが想定される。この場合、そのつぶれに起因して断熱性能の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、断熱性の低下を抑制することができる建物の外壁構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の外壁構造は、外壁面材を有してなる外壁ユニットと、壁内断熱材と該断熱材を囲んで設けられる断熱材フレームとを有してなる断熱材ユニットと、を備え、前記断熱材フレームが、前記外壁面材の裏面側に設けられた外壁下地材に固定され、前記断熱材フレームから前記外壁面材側に一部がはみ出た状態で前記壁内断熱材が配置される建物の外壁構造において、前記断熱材フレームには、該フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材が取り付けられ、前記壁内断熱材において前記外壁面材側にはみ出たはみ出し部が前記断熱材支え部材に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、断熱材ユニットにおいて、壁内断熱材が断熱材フレームから外壁面材側に一部はみ出た状態で設けられている。そして、断熱材フレームに取り付けられ該フレームから壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材に壁内断熱材のはみ出し部が固定されている。これにより、はみ出し部分での壁内断熱材の固定が可能となり、壁内断熱材がタッカーにより断熱材フレームに固定される従来の構成と比べ、断熱材フレーム周辺の壁内断熱材を屋内側に大きく圧縮することなく壁内断熱材を固定することができる。そのため、圧縮に伴って壁内断熱材につぶれが生じるのを抑制することができ、その結果断熱性の低下を抑えることができる。
【0009】
第2の発明の建物の外壁構造は、第1の発明において、前記断熱材支え部材は、前記壁内断熱材との接触面が、前記断熱材フレームの屋内側に設けられる内壁面材に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、壁内断熱材の側面を内壁面材に対し直交する向きで断熱材支え部材に接触させ、その接触状態で壁内断熱材を断熱材支え部材に固定することができる。これにより、壁内断熱材の厚みを断熱材支え部材側の端縁まで均一化させる効果を期待できるため、断熱性の低下をより一層抑制することができる。
【0011】
第3の発明の建物の外壁構造は、第1又は第2の発明において、前記外壁面材の裏側には互いに離間して前記外壁下地材が複数設けられ、前記断熱材フレームは前記複数の外壁下地材の屋内側に連結されており、前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位とは異なる部位に前記断熱材支え部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、断熱材フレームにおいて外壁下地材に対し連結される連結部位とは異なる部位に断熱材支え部材が取り付けられているため、断熱材支え部材が外壁下地材と干渉するのを回避することができる。そのため、複数の外壁下地材に断熱材フレームを連結する構成において上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0013】
また、断熱材支え部材を断熱材フレームの外壁面材側に取り付ける場合においては、断熱材支え部材を上記連結部位に取り付けると、断熱材支え部材が外壁下地材と断熱材フレームとの間に介在し、その結果外壁構造全体の厚みが断熱材支え部材の厚み分大きくなることが考えられる。その点、本発明によれば、かかる厚みの増大を回避することができるため、断熱材フレームを複数の外壁下地材に連結する構成において、外壁構造全体の厚みを増大させることなく上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0014】
第4の発明の建物の外壁構造は、第3の発明において、前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームにおいてその外壁面材側に固定される硬質系断熱材であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、硬質系断熱材からなる断熱材支え部材が断熱材フレームの外壁面材側に固定されているため、隣り合う2つの断熱材ユニット間における壁内断熱材同士の間の隙間等、壁内断熱材が設けられていない断熱材フレームの設置部分について断熱性能を高めることができる。これにより、上記第1の発明の効果を享受しつつ、断熱性能の向上を図ることができる。
【0016】
なお、硬質系断熱材としては、ポリスチレン等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材を用いるのが望ましい。発泡系断熱材は、グラスウール等の繊維系断熱材よりも断熱性の面で優れているため断熱性の向上を図ることが期待できる。
【0017】
第5の発明の建物の外壁構造は、第3又は第4の発明において、前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位であってかつその外壁面材側には、前記断熱材フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出した状態で張出部材が固定されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、断熱材フレームの外壁面材側には、外壁下地材に対して連結される連結部位に張出部材が固定されている。張出部材は、断熱材フレームよりも壁内断熱材側に張り出しているため、壁内断熱材のはみ出し部のうち外壁下地材周辺の部分を張出部材により壁内断熱材の中央側に押しやることができる。そのため、断熱材フレームを外壁下地材に対して連結する際に、断熱材フレーム(又は張出部材)と外壁下地材との間に壁内断熱材が挟み込まれるのを抑制することができる。
【0019】
第6の発明の建物の外壁構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が該フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出して形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、断熱材支え部材において断熱材フレームから壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が、該フレームよりも壁内断熱材側に張り出しているため、その壁内断熱材側に張り出した部分(以下、張出部分という)によって壁内断熱材を中央側に押しやる(圧縮変形させる)ことができる。したがって、例えば断熱材支え部材の張出部分を外壁下地材周辺に設定することで、外壁下地材周辺の壁内断熱材を中央側に変形させることができる。これにより、断熱材フレームを外壁下地材に対して連結する際に、断熱材フレームと外壁下地材との間に壁内断熱材が挟み込まれるのを抑制することができる。また、この場合、壁内断熱材を中央側に押しやるために断熱材支え部材を兼用する構成としているため、壁内断熱材を中央側に押しやるための部材を新規に設ける必要がない。そのため、比較的簡素な構成で壁内断熱材の挟み込みを抑制することができる。
【0021】
第7の発明の建物の外壁構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記壁内断熱材は略直方体状に形成されており、前記壁内断熱材のはみ出し部であってその側端部表面には、前記外壁下地材に対して前記断熱材フレームを固定する際に前記外壁下地材に接触して押圧変形される易変形部を有する挟み込み防止シートが貼り付けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、外壁下地材に対して断熱材フレームを固定する際、壁内断熱材のはみ出し部においてその側端部表面に貼り付けられた挟み込み防止シートの易変形部が外壁下地材に接触して押圧変形される。この場合、外壁下地材から逃げる向きに壁内断熱材(の側端部表面)が易変形部とともに変形するため、壁内断熱材が断熱材フレームと外壁下地材との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0023】
第8の発明の建物の外壁構造は、第7の発明において、前記挟み込み防止シートは、その一部が前記断熱材フレームに固定されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、挟み込み防止シートの一部が断熱材フレームに固定されているため、易変形部の一端が断熱材フレーム側に固定されている。そのため、外壁下地材に対して断熱材フレームを固定する際、挟み込み防止シートの易変形部が外壁下地材に接触して押圧変形された場合には、かかる固定状態で変形される。この場合、壁内断熱材を易変形部とともにより確実に外壁下地材から逃げる向きに変形させることができるため、壁内断熱材が断熱材フレームと外壁下地材との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】外壁構造の構成を示す横断面図。
【図3】外壁フレームにおける木レンガの配置状態を示す斜視図。
【図4】内壁パネルの構成を示す斜視図。
【図5】硬質系断熱材の設置状態を示す縦断面図。
【図6】内壁パネルを外壁パネル側に組み付ける様子を示す縦断面図。
【図7】補強テープの設置箇所を示す斜視図。
【図8】補強テープ周辺の構成を示す横断面図。
【図9】合板の設置箇所を示す斜視図。
【図10】合板の設置構成を示す縦断面図。
【図11】テーパ状の木レンガの構成を示す縦断面図。
【図12】スチフナの取り付け構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図であり、図2は外壁構造の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0027】
図1に示すように、建物10の外壁構造において、屋外側には外壁パネル11が設けられており、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネル11は、屋外面を形成する外壁材14と、外壁材14の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム15とを備えている。外壁材14は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
【0028】
外壁フレーム15は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなる複数のフレーム材15a〜15cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、外壁フレーム15は、外壁材14の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材15aと、外壁材14の上下方向両端部において左右方向(外壁材14の幅方向)に延びる横フレーム材15bと、外壁材14の上下方向中間部において左右方向に延びる中間フレーム材15cとを有している。なお、詳細には、これら各フレーム材15a〜15cのうち縦フレーム材15aについては、天井梁18及び床梁17との干渉を回避すべく上下方向両端側の一部が取り除かれている。
【0029】
外壁フレーム15の各横フレーム材15bは、それぞれ床梁17及び天井梁18に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネル11が建物10に対して固定されている。また、図2に示すように、外壁パネル11は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネル11の外壁フレーム15(詳細には縦フレーム材15a)同士が当接された状態でボルト等により連結されている。
【0030】
外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面には、複数の木レンガ19がタッピングネジ等により固定されている。木レンガ19は、略直方体形状の木材からなる外壁下地材である。木レンガ19は、その幅が後述する内壁フレーム22のフレーム材22a〜22cの幅の2倍よりも大きくなっている。図3には、外壁フレーム15における木レンガ19の配置状態を示す。図3に示すように、木レンガ19は、隣り合う外壁フレーム15の隣接する各縦フレーム材15aに跨った状態で縦フレーム材15aの長手方向に沿って所定間隔で複数(図3では4つ)配置されているとともに、各中間フレーム材15cの長手方向略中央部に配置されている。
【0031】
次に、内壁パネル12の構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は、内壁パネル12の構成を示す斜視図である。
【0032】
図4に示すように、内壁パネル12は、屋内面を形成する内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内部に組み込まれた軟質系断熱材23と、を備えている。内壁パネル12は、外壁パネル11と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。なおここで、内壁フレーム22が断熱材フレームに相当し、軟質系断熱材23が壁内断熱材に相当する。また、内壁パネル12は、断熱材ユニットを含んで構成されている。
【0033】
内壁材21は、例えば石膏ボードにより形成されている。内壁フレーム22は、木製の角材からなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム22は、内壁材21の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材22aと、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる横フレーム材22bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材22cとを有している。したがって、内壁フレーム22には、これら各フレーム材22a〜22cにより囲まれた2つの枠内領域が形成されている。
【0034】
軟質系断熱材23は、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体24の中にグラスウール等の繊維系断熱材25を充填することにより構成されている。軟質系断熱材23は、全体として直方体状に形成されており、詳細には屋外側面と側面との間のコーナ部が円弧状に形成されている。軟質系断熱材23は、内壁フレーム22の枠内領域(図示略)と略同じ大きさ(縦横寸法)を有し、かつ、内壁フレーム22の厚み(屋内外方向の長さ)よりも大きい厚みを有している。軟質系断熱材23は、内壁フレーム22の各枠内領域にそれぞれ配設されており、その配設状態において各フレーム材22a〜22cの内側面との隙間がなく、かつ、内壁材21の裏面に当接されている。したがって、軟質系断熱材23は、その一部が内壁フレーム22よりも屋外側にはみ出しており、以下の説明ではそのはみ出した部分をはみ出し部23aという。
【0035】
図1及び図2の説明に戻り、内壁パネル12は外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態において、内壁フレーム22が各木レンガ19の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。具体的には、図2に示すように内壁フレーム22において、縦フレーム材22aが外壁フレーム15の縦フレーム材15aに設けられた木レンガ19に固定され、中間フレーム材22cが外壁フレーム15の中間フレーム材15cに設けられた木レンガ19に固定されている。また、各木レンガ19は、この固定状態において幅方向(左右方向)の両端部がそれぞれ内壁フレーム22のフレーム材22a,22cからはみ出している。
【0036】
建物10にはその他、床梁17の上面に床根太34が設けられ、床根太34上には床材35が敷設されている。床材35は、例えばパーティクルボードにより構成されている。また、天井梁18の下面には野縁36が固定されており、野縁36の下面には天井材37が固定されている。天井材37は、例えば2枚重ねの石膏ボードにより構成されている。
【0037】
ところで、内壁パネル12において軟質系断熱材23を内壁フレーム22に組み付ける場合、軟質系断熱材23の袋体24を内壁フレーム22の内側面にタッカーを用いて固定するのが一般的である。具体的には、内壁フレーム22周辺の軟質系断熱材23を内壁材21側に圧縮した状態で、内壁フレーム22の内側面に当接された袋体24の部分をタッカーにより同内側面に固定する。しかしながら、この場合、軟質系断熱材23の圧縮した部分が元の(自然)状態に戻らず、軟質系断熱材23につぶれが発生することが想定され、これにより断熱性能の低下を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、内壁フレーム22の屋外側面にタッカー針を打ち付け可能な断熱材支え部材を設け、この断熱材支え部材に軟質系断熱材23のはみ出し部23aをタッカーを用いて固定することで、軟質系断熱材23がつぶれるのを抑制することとしている。本実施形態は、その点に特徴を有しており、以下その詳細を図1乃至図4に加えて図5を参照しつつ説明する。なお、図5は、硬質系断熱材の設置状態を示す縦断面図である。また、図5は、図4のB−B線断面図である。
【0038】
図4に示すように、内壁フレーム22の屋外側面には、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31がタッピングネジ等により複数取り付けられている。硬質系断熱材31は、ポリスチレン等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材であり、軟質系断熱材23よりも硬く押圧しても容易に変形することがないものとなっている。硬質系断熱材31は、内壁フレーム22における各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cに各々のフレーム材22a,22cの長手方向に沿って所定間隔で複数ずつ取り付けられている。詳細には、各硬質系断熱材31は、内壁フレーム22の上記各フレーム材22a,22cにおいて木レンガ19が固定される部位とは異なる部位に配置されている。硬質系断熱材31は長方形状の断面を有し、内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの延びる方向に沿って長尺状に形成されている。
【0039】
図5に示すように、硬質系断熱材31の内側面(軟質系断熱材23側面)には、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが、詳細にはその袋体24の部分が当接されており、その当接部位において同袋体24部分がタッカーを用いて(詳細にはタッカー針32により)固定されている。この場合、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22の内側面に固定する場合と比べ、軟質系断熱材23を内壁材21側に大きく圧縮することなく軟質系断熱材23を固定できるため、上記圧縮に伴う軟質系断熱材23のつぶれを抑制することができる。
【0040】
硬質系断熱材31は、内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの幅よりも大きい幅を有し、かつ、木レンガ19と略同じ厚みを有している。硬質系断熱材31は、その一部がフレーム材22a,22cから軟質系断熱材23側に張り出すようにして各々のフレーム材22a,22cに設けられており(以下、その張り出した部分を張出部31aという。)、その張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を同方向中央側(以下、略して中央側という。)に押しやって(圧縮変形させて)いる。また、この圧縮変形に伴って、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部のうち張出部31aにより直接押されていない部分についても、つまり木レンガ19に対応する部分についても上記変形に追従して軟質系断熱材23の中央側に変形されている。
【0041】
図1に示すように、内壁パネル12が外壁パネル11の屋内側に設置された状態では、各硬質系断熱材31がそれぞれ各木レンガ19と上下に並んで、かつ、木レンガ19と近接された状態で配設されている。また、この場合、硬質系断熱材31は、内壁フレーム22と外壁パネル11の外壁フレーム15との間に挟み込まれた状態となっている。
【0042】
次に、上記構成の内壁パネル12を建物10に組み付ける際の作用について図6に基づいて説明する。なお、図6は、内壁パネル12を外壁パネル11側に組み付ける様子を示す縦断面図である。
【0043】
建物10の外壁構造を構築する際には、まず外壁パネル11を建物10に組み付ける作業を行う。この作業は、外壁パネル11の外壁フレーム15を床梁17及び天井梁18にボルト等で固定することにより行う。この作業の後、外壁パネル11の外壁フレーム15に各木レンガ19をタッピングネジ等によりそれぞれ所定位置に固定する。
【0044】
次に、外壁パネル11に固定した木レンガ19に対して内壁パネル12を組み付ける作業を行う。ここではまず、図6に示すように、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを外壁パネル11側に向けた状態で、内壁パネル12を木レンガ19よりも屋内側から外壁パネル11側の所定の組み付け位置まで移動させる作業を行う。具体的には、内壁フレーム22が木レンガ19の屋内側面に当接する位置まで内壁パネル12を移動させる。ここで、上述したように、木レンガ19は、内壁フレーム22との固定状態において、その幅方向の端部が内壁フレーム22のフレーム材22a,22cからはみ出す構成となっているため、この移動作業に際して軟質系断熱材23のはみ出し部23aの一部が木レンガ19と干渉する。しかしながら、本構成では上述したように軟質系断熱材23のはみ出し部23aのうち木レンガ19に対応する部分が軟質系断熱材23の中央側に押しやられているため、はみ出し部23aにおける上記部分と木レンガ19との干渉が少なくなっている。それ故、内壁パネル12の移動に際して、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが木レンガ19との干渉に伴い内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制できるようになっている。
【0045】
内壁パネル12の移動作業が終了した後、内壁パネル12を木レンガ19に固定する作業を行う。この作業は、内壁材21の屋内側からタッピングネジ等を同内壁材21及び内壁フレーム22を貫通させて木レンガ19に打ち付けることにより行う。これにより、内壁パネル12は木レンガ19に対し固定される。以上をもって、内壁パネル12の組み付け作業が完了する。
【0046】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0047】
内壁フレーム22の屋外(外壁材14)側に硬質系断熱材31を設け、内壁フレーム22から屋外(外壁材14)側にはみ出した軟質系断熱材23のはみ出し部23aをこの硬質系断熱材31にタッカーを用いて(タッカー針32により)固定する構成とした。この場合、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22に固定する従来の構成と比べ、軟質系断熱材23の内壁フレーム22側部分を屋内側に大きく圧縮することなく軟質系断熱材23を固定することができる。そのため、軟質系断熱材23の圧縮に伴い軟質系断熱材23につぶれが生じるのを抑制することができ、その結果断熱性の低下を抑えることができる。
【0048】
硬質系断熱材31における軟質系断熱材23との接触面を、内壁材21に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けた。そのため、軟質系断熱材23の側面を内壁材21に直交する向きで硬質系断熱材31に接触させることができ、その接触部位において軟質系断熱材23を硬質系断熱材31に固定することができる。これにより、軟質系断熱材23の厚みを硬質系断熱材31(内壁フレーム22)側まで均一化させる効果を期待できるため、断熱性の低下をより一層抑制することができる。
【0049】
外壁フレーム15の裏面側(屋内側)に木レンガ19を互いに離間して複数設け、各木レンガ19の屋内側面に内壁フレーム22を固定した。そして、内壁フレーム22において木レンガ19が固定される固定部位とは異なる部位に硬質系断熱材31を取り付けた。この場合、硬質系断熱材31が木レンガ19と干渉するのを回避することができるため、複数の木レンガ19に内壁フレーム22を固定する構成において上記の効果を得ることができる。
【0050】
また、内壁フレーム22において上記固定部位に硬質系断熱材31を取り付け、硬質系断熱材31を木レンガ19と内壁フレーム22との間に介在させる構成とした場合には、外壁構造全体の厚みが硬質系断熱材31の厚み寸法分大きくなることが考えられる。その点、上記の構成によれば、かかる厚みの増大を回避することができるため、内壁フレーム22を複数の木レンガ19に固定する構成において、外壁構造全体の厚みを増大させることなく上記の効果を得ることができる。
【0051】
断熱材支え部材を硬質系断熱材31により構成し、内壁フレーム22の屋外(外壁材14)側に固定したため、隣り合う2つの内壁パネル12間における軟質系断熱材23同士の間の隙間等、軟質系断熱材23が設けられていない内壁フレーム22の設置部分について断熱性能を高めることができる。これにより、上記一連の効果を享受しつつ、断熱性能の向上を図ることができる。
【0052】
硬質系断熱材31を、その一部が軟質系断熱材23側に張り出すように内壁フレーム22の屋外側に設置した。この場合、硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を同方向中央側に押しやる(圧縮変形させる)ことができ、またその圧縮変形に伴って軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部のうち木レンガ19と対応する部位(つまり張出部31aにより直接押されていない部位)についても軟質系断熱材23の中央側に追従変形させることができる。これにより、内壁パネル12の内壁フレーム22を外壁パネル11側の木レンガ19に組み付ける際に軟質系断熱材23のはみ出し部23aが木レンガ19と干渉するのを抑制することができ、その結果内壁フレーム22と木レンガ19との間に同はみ出し部23aが挟み込まれるのを抑制することができる。
【0053】
また、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31により張出部31aを構成したため、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを固定するための硬質系断熱材31を、同はみ出し部23aを中央側に押しやるために兼用させることができる。これにより、簡素な構成で、上記はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制できる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態では、硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23の幅方向端部を軟質系断熱材23の中央側に押しやることで、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制することとしたが、本実施形態では、その他の手段により軟質系断熱材23の挟み込みを抑制することとしている。そこで、以下に、本実施形態の構成を図7及び図8に基づいて第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図7は補強テープの設置箇所を示す斜視図であり、図8は補強テープ周辺の構成を示す横断面図である。
【0055】
本実施形態では、上記第1の実施形態における硬質系断熱材31に代えて、内壁フレーム22のフレーム材22aの幅と略同じ幅の硬質系断熱材が用いられており、この硬質系断熱材が内壁フレーム22のフレーム材22a〜22cから側方に張り出さないようにして各フレーム材22a,22cの屋外側面に設けられている。つまり、本実施形態では、硬質系断熱材が張出部を有しない構成となっている。なお、図7では、便宜上、この硬質系断熱材の図示を省略している。
【0056】
図7及び図8に示すように、本実施形態の内壁パネル40には、軟質系断熱材23と内壁フレーム22とに跨って補強テープ41が複数箇所に貼り付けられている。なおここで、補強テープ41が挟み込み防止シートに相当する。補強テープ41は、軟質系断熱材23のはみ出し部23aにおける屋外側面、円弧面及び側面(幅方向の側面)に貼り付けられた変形部41aと、内壁フレーム22(詳細には縦フレーム材22a又は中間フレーム材22c)の屋外側面に貼り付けられた固定部41bとを有している。補強テープ41は、例えばビニルテープよりなり、手で引っぱっても容易に破断することがない程度の強度を有している。また、補強テープ41は、その表面が凹凸の比較的少ない円滑面となっている。補強テープ41は、少なくとも木レンガ19が配設される部位に貼り付けられている。具体的には、縦フレーム材22aに貼り付けられる補強テープ41については軟質系断熱材23の高さ(上下)方向全域に沿って貼り付けられており、中間フレーム材22cに貼り付けられる補強テープ41については、木レンガ19に対応する部位にのみ貼り付けられている。
【0057】
次に、内壁パネル40(詳細には内壁フレーム22)を外壁パネル11側の木レンガ19に組み付ける際の補強テープ41の作用について説明する。
【0058】
内壁パネル40を木レンガ19に組み付ける際には、まず補強テープ41の変形部41aにおける円弧部(軟質系断熱材23の円弧面に貼り付けられた部分)が木レンガ19に接触される。その後、内壁パネル40を外壁パネル11側に近づけていくと、木レンガ19の角部により変形部41a(円弧部)が屋内側に向けて押圧変形され、それに伴い軟質系断熱材23が補強テープ41とともに圧縮変形する。そして、内壁パネル40をさらに外壁パネル11側に近づけていくと、木レンガ19の角部が補強テープ41の変形部41aの表面上を滑りながら側面部(軟質系断熱材23の側面に貼り付けられた部分)の方へ相対移動し、変形部41aの側面部が木レンガ19により軟質系断熱材23側に向けて押圧変形される。この場合、木レンガ19から逃げる向きに軟質系断熱材23が補強テープ41とともに変形するため、内壁フレーム22と木レンガ19との間に軟質系断熱材23が挟み込まれるのを抑制することができる。
【0059】
内壁パネル40は、最終的に内壁フレーム22が木レンガ19の屋内側面に当接されて所定の位置に位置決めされる。位置決め後、内壁パネル40は、内壁材21の屋内側からタッピングネジ等が同内壁材21と内壁フレーム22とを貫通して木レンガ19に打ち付けられることで固定される。
【0060】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0061】
軟質系断熱材23の側面には、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際に木レンガ19に接触して押圧変形される変形部41aを有する補強テープ41を貼り付けた。この場合、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際、補強テープ41の変形部41aが木レンガ19に接触して押圧変形されるため、木レンガ19から逃げる向きに軟質系断熱材23が変形部41aとともに変形する。そのため、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0062】
また、補強テープ41には、内壁フレーム22に固定された固定部41bをさらに備えたため、変形部41aの一端が固定部41bにひいては内壁フレーム22に固定されている。そのため、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際、補強テープ41の変形部41aが木レンガ19に接触して押圧変形された場合には、かかる固定状態で変形される。この場合、軟質系断熱材23を変形部41aとともにより確実に木レンガ19から逃げる向きに変形させることができるため、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【0063】
補強テープ41の表面が円滑面となっているため、内壁パネル40を外壁パネル11側に組み付ける際、木レンガ19の角部が補強テープ41(詳細には変形部41a)の表面上を円弧部から側面部に向けてスムーズに移動することができる。これにより、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを木レンガ19から逃げる向きに円滑に変形させることができるため、軟質系断熱材23の挟み込みを好適に抑制することができる。
【0064】
一般に、外壁パネル11の外壁フレーム15に取り付けられる複数の木レンガ19のうち縦フレーム材15aに取り付けられる木レンガ19の位置は外壁パネル11の仕様等(例えば外壁パネル11が窓部の設けられるタイプであるか否か等)により変更される。その点、上記構成では、内壁フレーム22の縦フレーム材22aに貼り付けられる補強テープ41を、軟質系断熱材23の高さ方向全域に貼り付けたため、木レンガ19の配置位置にかかわらず上記の効果を得ることができる。
【0065】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
(1)上記第1の実施形態では、内壁フレーム22において木レンガ19が固定される固定部位とは異なる部位に硬質系断熱材31を設け、その硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側に押しやることとしたが、これを変更してもよい。例えば、内壁フレーム22における上記固定部位に、軟質系断熱材23側に張り出す張出部材を設け、同張出部材により軟質系断熱材23のはみ出し部23aを中央側に押しやる構成としてもよい。その具体例について図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0067】
図9に示すように、内壁パネル45の内壁フレーム22の屋外側面には、張出部材としての合板46が複数固定されている。これら各合板46はそれぞれ、木レンガ47が固定される固定部位に設けられており、具体的には内壁フレーム22の縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cにそれぞれ所定間隔をおいて複数ずつ設けられている。
【0068】
合板46は、図10に示すように、矩形平板状に形成されており、その板面が内壁フレーム22の屋外側面に当接された状態で同屋外側面にビス等により固定されている。合板46は、その幅(左右方向の長さ)がフレーム材22a,22cの幅よりも大きくなっており、その一部が軟質系断熱材23側に張り出すようにして各フレーム材22a,22cに設けられている(以下、この張り出した部分を張出部46aという。)。詳細には、縦フレーム材22aに設けられた合板46はその幅方向における一端側が軟質系断熱材23側にはみ出しており、中間フレーム材22cに設けられた合板46はその幅方向における両端側が軟質系断熱材23側に張り出している。これにより、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部(詳細には少なくとも木レンガ47周辺の端部)は合板46の張出部46aにより軟質系断熱材23の中央側に押しやられている(圧縮変形されている)。
【0069】
内壁パネル45が外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態では、合板46が木レンガ47の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。つまり、本例では内壁フレーム22と木レンガ47との間に合板46が挟み込まれる構成となっている。そして、この挟み込まれた状態において、合板46の張出部46aは木レンガ47よりも軟質系断熱材23側に張り出している。なお、本例の木レンガ47は、その厚さが上記実施形態における木レンガ19よりも合板46の厚さ分小さくなっており、かかる構成においても外壁構造全体の厚みが大きくならないよう配慮されている。
【0070】
上記構成によれば、合板46の張出部46aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側に押しやることができるため、内壁パネル45(詳細には合板46)を木レンガ47に組み付ける際に同はみ出し部23aと木レンガ47との干渉を少なくすることができ、その結果同はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのを抑制することができる。特に、本例では、張出部46aが木レンガ47よりも軟質系断熱材23側に張り出しているため、はみ出し部23aの幅方向端部を張出部46aにより木レンガ47と干渉しない位置まで押しやることができる。これにより、はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【0071】
また、上記構成では、軟質系断熱材23のはみ出し部23aのうち木レンガ47と干渉する部分を直接張出部46aにより軟質系断熱材23の中央側に押しやることができるため、はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのを効果的に抑制することができる。
【0072】
(2)上記各実施形態では、軟質系断熱材23の挟み込みを抑制するための手段(具体的には、第1の実施形態では硬質系断熱材31の張出部31a、第2の実施形態では補強テープ41)を内壁パネル12側に設けたが、かかる手段を外壁パネル11側に設けてもよい。例えば、外壁パネル11の屋内側に設けられる木レンガ19に対してかかる手段を設けてもよい。以下、その一例を図11に基づいて説明する。
【0073】
図11に示すように、本例の木レンガ51は、その横断面が台形形状をなしており、屋外側面の幅が上記実施形態の木レンガ19と同じである一方、屋内側面の幅が上記実施形態の木レンガ19よりも小さくなっている。つまり、本例の木レンガ51は、その側面が屋内側に向かうにつれて内側に傾斜するテーパ面51aとなっている。より詳細には、複数の各木レンガ51のうち内壁フレーム22の縦フレーム材22aが固定される木レンガ51については、その屋内側面の幅が縦フレーム材22aの幅の二倍の大きさに設定されており、内壁フレーム22の中間フレーム材22cが固定される木レンガ51については、その屋内側面の幅が中間フレーム材22cの幅と略同じに設定されている。内壁パネル50が木レンガ51に組み付けられた状態では、内壁フレーム22の各フレーム材22a,22cが木レンガ51の屋内側面に対し幅方向に位置合わせされた状態で同屋内側面に固定されている。これにより、本例では内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの側面と木レンガ51のテーパ面51aとは連続している。
【0074】
かかる構成において、内壁パネル50(詳細には内壁フレーム22)を木レンガ51に組み付ける際には、木レンガ51に干渉する軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部が木レンガ51のテーパ面51aに沿って木レンガ51の側方へ案内されるため、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ51との間に入り込むのを抑制することができる。よって、この場合においても軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ51との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの端部を断熱材支え部材としての硬質系断熱材31にタッカー針32により固定する構成としたが、必ずしもタッカーにより固定する必要はなく、その他の固定手段により固定してもよい。例えば、断熱材支え部材を板金部材等により構成し、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを板金部材等に接着することにより固定してもよい。以下、その具体例を図12に基づいて説明する。
【0076】
図12に示すように、軟質系断熱材23の(幅方向における)両側面には、金属製の板材からなるスチフナ55が固定されている。スチフナ55は、軟質系断熱材23の側面に沿って上下方向に延びるように形成されている。スチフナ55は、軟質系断熱材23の側面に当接された当接板部55aと、当接板部55aの屋外側端部から軟質系断熱材23側に湾曲された湾曲板部55bとを有している。スチフナ55の当接板部55aは、軟質系断熱材23の側面に接着剤により貼り付けられている。なお、スチフナ55は、軟質系断熱材23を内壁フレーム22の枠内に組み込む前に予め軟質系断熱材23に取り付けておく。
【0077】
スチフナ55が取り付けられた軟質系断熱材23が内壁フレーム22の枠内に配設された状態では、スチフナ55の当接板部55aが内壁フレーム22の縦フレーム材22a(又は中間フレーム材22c)の内側面に当接されており、その当接部位において同内側面に対しビス等により固定されている。これにより、軟質系断熱材23はスチフナ55を介して内壁フレーム22に固定されている。
【0078】
かかる構成の内壁パネル53(詳細には内壁フレーム22)が木レンガ19に組み付けられる際には、まず木レンガ19(詳細にはその角部)がスチフナ55の湾曲板部55bの外側面に接触し、その後スチフナ55の外側面に接触しながら内壁フレーム22の屋外側面に当接する位置まで移動する。この移動の際、スチフナ55は木レンガ19により軟質系断熱材23側に押圧され、最終的には軟質系断熱材23側に若干倒れ込んだ状態となる。このように、木レンガ19への内壁フレーム22の移動はスチフナ55を挟んで軟質系断熱材23とは反対側で行われるため、上記組み付け作業において木レンガ19と内壁フレーム22との間には軟質系断熱材23が入り込まないようになっている。したがって、この場合、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部が木レンガ19と内壁フレーム22との間に挟み込まれる事態を回避することができる。また、上記構成では、軟質系断熱材23に取り付けられたスチフナ55が内壁フレーム22にビス固定されることで軟質系断熱材23が内壁フレーム22に固定されているため、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22に固定する構成とは異なり、軟質系断熱材23を圧縮することなく軟質系断熱材23を固定できる。そのため、より一層断熱性能の低下を抑制することができる。
【0079】
なお、上記構成の場合、壁内断熱材として、軟質系断熱材23に代え、袋体24を有しない繊維系断熱材25を用いた場合でも、壁内断熱材をスチフナ55に固定することができる。
【0080】
(4)上記実施形態では、断熱材支え部材を硬質系断熱材31により構成したが、断熱材支え部材は必ずしも断熱材により構成する必要はなく、木材等その他の部材により構成してもよい。但し、断熱性確保の観点からすれば断熱材支え部材は断熱材により構成するのが望ましい。
【0081】
(5)上記第1の実施形態では、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31を用いて軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側へ押しやる構成としたが、これを変更して、硬質系断熱材を断熱材支え部材としてのみ用い、硬質系断熱材とは別に張出部材を設ける構成としてもよい。例えば、上記(1)の構成における合板46を張出部材として設けることが考えられる。
【0082】
(6)上記第2の実施形態では、補強シートとして補強テープを軟質系断熱材23に貼り付けたが、補強シートは必ずしもテープである必要はなく、樹脂製のシート等のシート物を接着剤等により軟質系断熱材23に貼り付けてもよい。
【0083】
(7)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…建物、11…外壁ユニットとしての外壁パネル、12…内壁パネル、14…外壁面材としての外壁材、19…外壁下地材としての木レンガ、21…内壁面材としての内壁材、22…断熱材フレームとしての内壁フレーム、23…壁内断熱材としての軟質系断熱材、23a…はみ出し部、24…袋体、25…繊維系断熱材、31…断熱材支え部材としての硬質系断熱材、31a…張出部、32…タッカー針、41…挟み込み防止シートとしての補強テープ、41a…易変形部としての変形部、41b…固定部、46…張出部材としての合板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁構造では、屋外側に外壁面を形成する外壁パネルが設けられ、その屋内側に内壁パネルが設けられている場合がある。この種の内壁パネルとしては、屋内面を形成する内壁材と、内壁材の裏面(屋外側面)側に固定されるとともに枠状に形成された内壁フレームと、内壁フレームの枠内部に組み込まれた断熱材とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
断熱材としては、例えば防湿性を有するポリエチレンフィルム等からなる袋体の中にグラスウール等の繊維系断熱材を充填したものが用いられる。かかる断熱材は、内壁フレームの内側面に当接される袋体の部分が内壁フレームの内側面にタッカーにより打ち付けられることで内壁フレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、省エネルギの観点等から外壁構造において高断熱性が求められており、そのため断熱材としては厚みの大きいものが用いられる傾向にある。具体的には、例えば内壁フレームよりも大きい厚みを有する断熱材が用いられる場合がある。この場合、断熱材が内壁フレームの枠内部に組み込まれた状態では、その一部が内壁フレームよりも屋外側にはみ出す。ここで、かかる断熱材を内壁フレームの内側面にタッカーにより固定する作業を行う際には、内壁フレーム周辺の断熱材を内壁材側に圧縮した(押しつぶした)状態で同作業を行う必要がある。そのため、断熱材の圧縮変形された部分が元(圧縮前)の自然状態に戻らず、その結果断熱材の一部につぶれが生じることが想定される。この場合、そのつぶれに起因して断熱性能の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、断熱性の低下を抑制することができる建物の外壁構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の外壁構造は、外壁面材を有してなる外壁ユニットと、壁内断熱材と該断熱材を囲んで設けられる断熱材フレームとを有してなる断熱材ユニットと、を備え、前記断熱材フレームが、前記外壁面材の裏面側に設けられた外壁下地材に固定され、前記断熱材フレームから前記外壁面材側に一部がはみ出た状態で前記壁内断熱材が配置される建物の外壁構造において、前記断熱材フレームには、該フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材が取り付けられ、前記壁内断熱材において前記外壁面材側にはみ出たはみ出し部が前記断熱材支え部材に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、断熱材ユニットにおいて、壁内断熱材が断熱材フレームから外壁面材側に一部はみ出た状態で設けられている。そして、断熱材フレームに取り付けられ該フレームから壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材に壁内断熱材のはみ出し部が固定されている。これにより、はみ出し部分での壁内断熱材の固定が可能となり、壁内断熱材がタッカーにより断熱材フレームに固定される従来の構成と比べ、断熱材フレーム周辺の壁内断熱材を屋内側に大きく圧縮することなく壁内断熱材を固定することができる。そのため、圧縮に伴って壁内断熱材につぶれが生じるのを抑制することができ、その結果断熱性の低下を抑えることができる。
【0009】
第2の発明の建物の外壁構造は、第1の発明において、前記断熱材支え部材は、前記壁内断熱材との接触面が、前記断熱材フレームの屋内側に設けられる内壁面材に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、壁内断熱材の側面を内壁面材に対し直交する向きで断熱材支え部材に接触させ、その接触状態で壁内断熱材を断熱材支え部材に固定することができる。これにより、壁内断熱材の厚みを断熱材支え部材側の端縁まで均一化させる効果を期待できるため、断熱性の低下をより一層抑制することができる。
【0011】
第3の発明の建物の外壁構造は、第1又は第2の発明において、前記外壁面材の裏側には互いに離間して前記外壁下地材が複数設けられ、前記断熱材フレームは前記複数の外壁下地材の屋内側に連結されており、前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位とは異なる部位に前記断熱材支え部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、断熱材フレームにおいて外壁下地材に対し連結される連結部位とは異なる部位に断熱材支え部材が取り付けられているため、断熱材支え部材が外壁下地材と干渉するのを回避することができる。そのため、複数の外壁下地材に断熱材フレームを連結する構成において上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0013】
また、断熱材支え部材を断熱材フレームの外壁面材側に取り付ける場合においては、断熱材支え部材を上記連結部位に取り付けると、断熱材支え部材が外壁下地材と断熱材フレームとの間に介在し、その結果外壁構造全体の厚みが断熱材支え部材の厚み分大きくなることが考えられる。その点、本発明によれば、かかる厚みの増大を回避することができるため、断熱材フレームを複数の外壁下地材に連結する構成において、外壁構造全体の厚みを増大させることなく上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0014】
第4の発明の建物の外壁構造は、第3の発明において、前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームにおいてその外壁面材側に固定される硬質系断熱材であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、硬質系断熱材からなる断熱材支え部材が断熱材フレームの外壁面材側に固定されているため、隣り合う2つの断熱材ユニット間における壁内断熱材同士の間の隙間等、壁内断熱材が設けられていない断熱材フレームの設置部分について断熱性能を高めることができる。これにより、上記第1の発明の効果を享受しつつ、断熱性能の向上を図ることができる。
【0016】
なお、硬質系断熱材としては、ポリスチレン等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材を用いるのが望ましい。発泡系断熱材は、グラスウール等の繊維系断熱材よりも断熱性の面で優れているため断熱性の向上を図ることが期待できる。
【0017】
第5の発明の建物の外壁構造は、第3又は第4の発明において、前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位であってかつその外壁面材側には、前記断熱材フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出した状態で張出部材が固定されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、断熱材フレームの外壁面材側には、外壁下地材に対して連結される連結部位に張出部材が固定されている。張出部材は、断熱材フレームよりも壁内断熱材側に張り出しているため、壁内断熱材のはみ出し部のうち外壁下地材周辺の部分を張出部材により壁内断熱材の中央側に押しやることができる。そのため、断熱材フレームを外壁下地材に対して連結する際に、断熱材フレーム(又は張出部材)と外壁下地材との間に壁内断熱材が挟み込まれるのを抑制することができる。
【0019】
第6の発明の建物の外壁構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が該フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出して形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、断熱材支え部材において断熱材フレームから壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が、該フレームよりも壁内断熱材側に張り出しているため、その壁内断熱材側に張り出した部分(以下、張出部分という)によって壁内断熱材を中央側に押しやる(圧縮変形させる)ことができる。したがって、例えば断熱材支え部材の張出部分を外壁下地材周辺に設定することで、外壁下地材周辺の壁内断熱材を中央側に変形させることができる。これにより、断熱材フレームを外壁下地材に対して連結する際に、断熱材フレームと外壁下地材との間に壁内断熱材が挟み込まれるのを抑制することができる。また、この場合、壁内断熱材を中央側に押しやるために断熱材支え部材を兼用する構成としているため、壁内断熱材を中央側に押しやるための部材を新規に設ける必要がない。そのため、比較的簡素な構成で壁内断熱材の挟み込みを抑制することができる。
【0021】
第7の発明の建物の外壁構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記壁内断熱材は略直方体状に形成されており、前記壁内断熱材のはみ出し部であってその側端部表面には、前記外壁下地材に対して前記断熱材フレームを固定する際に前記外壁下地材に接触して押圧変形される易変形部を有する挟み込み防止シートが貼り付けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、外壁下地材に対して断熱材フレームを固定する際、壁内断熱材のはみ出し部においてその側端部表面に貼り付けられた挟み込み防止シートの易変形部が外壁下地材に接触して押圧変形される。この場合、外壁下地材から逃げる向きに壁内断熱材(の側端部表面)が易変形部とともに変形するため、壁内断熱材が断熱材フレームと外壁下地材との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0023】
第8の発明の建物の外壁構造は、第7の発明において、前記挟み込み防止シートは、その一部が前記断熱材フレームに固定されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、挟み込み防止シートの一部が断熱材フレームに固定されているため、易変形部の一端が断熱材フレーム側に固定されている。そのため、外壁下地材に対して断熱材フレームを固定する際、挟み込み防止シートの易変形部が外壁下地材に接触して押圧変形された場合には、かかる固定状態で変形される。この場合、壁内断熱材を易変形部とともにより確実に外壁下地材から逃げる向きに変形させることができるため、壁内断熱材が断熱材フレームと外壁下地材との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】外壁構造の構成を示す横断面図。
【図3】外壁フレームにおける木レンガの配置状態を示す斜視図。
【図4】内壁パネルの構成を示す斜視図。
【図5】硬質系断熱材の設置状態を示す縦断面図。
【図6】内壁パネルを外壁パネル側に組み付ける様子を示す縦断面図。
【図7】補強テープの設置箇所を示す斜視図。
【図8】補強テープ周辺の構成を示す横断面図。
【図9】合板の設置箇所を示す斜視図。
【図10】合板の設置構成を示す縦断面図。
【図11】テーパ状の木レンガの構成を示す縦断面図。
【図12】スチフナの取り付け構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図であり、図2は外壁構造の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0027】
図1に示すように、建物10の外壁構造において、屋外側には外壁パネル11が設けられており、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネル11は、屋外面を形成する外壁材14と、外壁材14の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム15とを備えている。外壁材14は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
【0028】
外壁フレーム15は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなる複数のフレーム材15a〜15cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、外壁フレーム15は、外壁材14の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材15aと、外壁材14の上下方向両端部において左右方向(外壁材14の幅方向)に延びる横フレーム材15bと、外壁材14の上下方向中間部において左右方向に延びる中間フレーム材15cとを有している。なお、詳細には、これら各フレーム材15a〜15cのうち縦フレーム材15aについては、天井梁18及び床梁17との干渉を回避すべく上下方向両端側の一部が取り除かれている。
【0029】
外壁フレーム15の各横フレーム材15bは、それぞれ床梁17及び天井梁18に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネル11が建物10に対して固定されている。また、図2に示すように、外壁パネル11は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネル11の外壁フレーム15(詳細には縦フレーム材15a)同士が当接された状態でボルト等により連結されている。
【0030】
外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面には、複数の木レンガ19がタッピングネジ等により固定されている。木レンガ19は、略直方体形状の木材からなる外壁下地材である。木レンガ19は、その幅が後述する内壁フレーム22のフレーム材22a〜22cの幅の2倍よりも大きくなっている。図3には、外壁フレーム15における木レンガ19の配置状態を示す。図3に示すように、木レンガ19は、隣り合う外壁フレーム15の隣接する各縦フレーム材15aに跨った状態で縦フレーム材15aの長手方向に沿って所定間隔で複数(図3では4つ)配置されているとともに、各中間フレーム材15cの長手方向略中央部に配置されている。
【0031】
次に、内壁パネル12の構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は、内壁パネル12の構成を示す斜視図である。
【0032】
図4に示すように、内壁パネル12は、屋内面を形成する内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内部に組み込まれた軟質系断熱材23と、を備えている。内壁パネル12は、外壁パネル11と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。なおここで、内壁フレーム22が断熱材フレームに相当し、軟質系断熱材23が壁内断熱材に相当する。また、内壁パネル12は、断熱材ユニットを含んで構成されている。
【0033】
内壁材21は、例えば石膏ボードにより形成されている。内壁フレーム22は、木製の角材からなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム22は、内壁材21の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材22aと、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる横フレーム材22bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材22cとを有している。したがって、内壁フレーム22には、これら各フレーム材22a〜22cにより囲まれた2つの枠内領域が形成されている。
【0034】
軟質系断熱材23は、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体24の中にグラスウール等の繊維系断熱材25を充填することにより構成されている。軟質系断熱材23は、全体として直方体状に形成されており、詳細には屋外側面と側面との間のコーナ部が円弧状に形成されている。軟質系断熱材23は、内壁フレーム22の枠内領域(図示略)と略同じ大きさ(縦横寸法)を有し、かつ、内壁フレーム22の厚み(屋内外方向の長さ)よりも大きい厚みを有している。軟質系断熱材23は、内壁フレーム22の各枠内領域にそれぞれ配設されており、その配設状態において各フレーム材22a〜22cの内側面との隙間がなく、かつ、内壁材21の裏面に当接されている。したがって、軟質系断熱材23は、その一部が内壁フレーム22よりも屋外側にはみ出しており、以下の説明ではそのはみ出した部分をはみ出し部23aという。
【0035】
図1及び図2の説明に戻り、内壁パネル12は外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態において、内壁フレーム22が各木レンガ19の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。具体的には、図2に示すように内壁フレーム22において、縦フレーム材22aが外壁フレーム15の縦フレーム材15aに設けられた木レンガ19に固定され、中間フレーム材22cが外壁フレーム15の中間フレーム材15cに設けられた木レンガ19に固定されている。また、各木レンガ19は、この固定状態において幅方向(左右方向)の両端部がそれぞれ内壁フレーム22のフレーム材22a,22cからはみ出している。
【0036】
建物10にはその他、床梁17の上面に床根太34が設けられ、床根太34上には床材35が敷設されている。床材35は、例えばパーティクルボードにより構成されている。また、天井梁18の下面には野縁36が固定されており、野縁36の下面には天井材37が固定されている。天井材37は、例えば2枚重ねの石膏ボードにより構成されている。
【0037】
ところで、内壁パネル12において軟質系断熱材23を内壁フレーム22に組み付ける場合、軟質系断熱材23の袋体24を内壁フレーム22の内側面にタッカーを用いて固定するのが一般的である。具体的には、内壁フレーム22周辺の軟質系断熱材23を内壁材21側に圧縮した状態で、内壁フレーム22の内側面に当接された袋体24の部分をタッカーにより同内側面に固定する。しかしながら、この場合、軟質系断熱材23の圧縮した部分が元の(自然)状態に戻らず、軟質系断熱材23につぶれが発生することが想定され、これにより断熱性能の低下を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、内壁フレーム22の屋外側面にタッカー針を打ち付け可能な断熱材支え部材を設け、この断熱材支え部材に軟質系断熱材23のはみ出し部23aをタッカーを用いて固定することで、軟質系断熱材23がつぶれるのを抑制することとしている。本実施形態は、その点に特徴を有しており、以下その詳細を図1乃至図4に加えて図5を参照しつつ説明する。なお、図5は、硬質系断熱材の設置状態を示す縦断面図である。また、図5は、図4のB−B線断面図である。
【0038】
図4に示すように、内壁フレーム22の屋外側面には、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31がタッピングネジ等により複数取り付けられている。硬質系断熱材31は、ポリスチレン等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材であり、軟質系断熱材23よりも硬く押圧しても容易に変形することがないものとなっている。硬質系断熱材31は、内壁フレーム22における各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cに各々のフレーム材22a,22cの長手方向に沿って所定間隔で複数ずつ取り付けられている。詳細には、各硬質系断熱材31は、内壁フレーム22の上記各フレーム材22a,22cにおいて木レンガ19が固定される部位とは異なる部位に配置されている。硬質系断熱材31は長方形状の断面を有し、内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの延びる方向に沿って長尺状に形成されている。
【0039】
図5に示すように、硬質系断熱材31の内側面(軟質系断熱材23側面)には、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが、詳細にはその袋体24の部分が当接されており、その当接部位において同袋体24部分がタッカーを用いて(詳細にはタッカー針32により)固定されている。この場合、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22の内側面に固定する場合と比べ、軟質系断熱材23を内壁材21側に大きく圧縮することなく軟質系断熱材23を固定できるため、上記圧縮に伴う軟質系断熱材23のつぶれを抑制することができる。
【0040】
硬質系断熱材31は、内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの幅よりも大きい幅を有し、かつ、木レンガ19と略同じ厚みを有している。硬質系断熱材31は、その一部がフレーム材22a,22cから軟質系断熱材23側に張り出すようにして各々のフレーム材22a,22cに設けられており(以下、その張り出した部分を張出部31aという。)、その張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を同方向中央側(以下、略して中央側という。)に押しやって(圧縮変形させて)いる。また、この圧縮変形に伴って、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部のうち張出部31aにより直接押されていない部分についても、つまり木レンガ19に対応する部分についても上記変形に追従して軟質系断熱材23の中央側に変形されている。
【0041】
図1に示すように、内壁パネル12が外壁パネル11の屋内側に設置された状態では、各硬質系断熱材31がそれぞれ各木レンガ19と上下に並んで、かつ、木レンガ19と近接された状態で配設されている。また、この場合、硬質系断熱材31は、内壁フレーム22と外壁パネル11の外壁フレーム15との間に挟み込まれた状態となっている。
【0042】
次に、上記構成の内壁パネル12を建物10に組み付ける際の作用について図6に基づいて説明する。なお、図6は、内壁パネル12を外壁パネル11側に組み付ける様子を示す縦断面図である。
【0043】
建物10の外壁構造を構築する際には、まず外壁パネル11を建物10に組み付ける作業を行う。この作業は、外壁パネル11の外壁フレーム15を床梁17及び天井梁18にボルト等で固定することにより行う。この作業の後、外壁パネル11の外壁フレーム15に各木レンガ19をタッピングネジ等によりそれぞれ所定位置に固定する。
【0044】
次に、外壁パネル11に固定した木レンガ19に対して内壁パネル12を組み付ける作業を行う。ここではまず、図6に示すように、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを外壁パネル11側に向けた状態で、内壁パネル12を木レンガ19よりも屋内側から外壁パネル11側の所定の組み付け位置まで移動させる作業を行う。具体的には、内壁フレーム22が木レンガ19の屋内側面に当接する位置まで内壁パネル12を移動させる。ここで、上述したように、木レンガ19は、内壁フレーム22との固定状態において、その幅方向の端部が内壁フレーム22のフレーム材22a,22cからはみ出す構成となっているため、この移動作業に際して軟質系断熱材23のはみ出し部23aの一部が木レンガ19と干渉する。しかしながら、本構成では上述したように軟質系断熱材23のはみ出し部23aのうち木レンガ19に対応する部分が軟質系断熱材23の中央側に押しやられているため、はみ出し部23aにおける上記部分と木レンガ19との干渉が少なくなっている。それ故、内壁パネル12の移動に際して、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが木レンガ19との干渉に伴い内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制できるようになっている。
【0045】
内壁パネル12の移動作業が終了した後、内壁パネル12を木レンガ19に固定する作業を行う。この作業は、内壁材21の屋内側からタッピングネジ等を同内壁材21及び内壁フレーム22を貫通させて木レンガ19に打ち付けることにより行う。これにより、内壁パネル12は木レンガ19に対し固定される。以上をもって、内壁パネル12の組み付け作業が完了する。
【0046】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0047】
内壁フレーム22の屋外(外壁材14)側に硬質系断熱材31を設け、内壁フレーム22から屋外(外壁材14)側にはみ出した軟質系断熱材23のはみ出し部23aをこの硬質系断熱材31にタッカーを用いて(タッカー針32により)固定する構成とした。この場合、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22に固定する従来の構成と比べ、軟質系断熱材23の内壁フレーム22側部分を屋内側に大きく圧縮することなく軟質系断熱材23を固定することができる。そのため、軟質系断熱材23の圧縮に伴い軟質系断熱材23につぶれが生じるのを抑制することができ、その結果断熱性の低下を抑えることができる。
【0048】
硬質系断熱材31における軟質系断熱材23との接触面を、内壁材21に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けた。そのため、軟質系断熱材23の側面を内壁材21に直交する向きで硬質系断熱材31に接触させることができ、その接触部位において軟質系断熱材23を硬質系断熱材31に固定することができる。これにより、軟質系断熱材23の厚みを硬質系断熱材31(内壁フレーム22)側まで均一化させる効果を期待できるため、断熱性の低下をより一層抑制することができる。
【0049】
外壁フレーム15の裏面側(屋内側)に木レンガ19を互いに離間して複数設け、各木レンガ19の屋内側面に内壁フレーム22を固定した。そして、内壁フレーム22において木レンガ19が固定される固定部位とは異なる部位に硬質系断熱材31を取り付けた。この場合、硬質系断熱材31が木レンガ19と干渉するのを回避することができるため、複数の木レンガ19に内壁フレーム22を固定する構成において上記の効果を得ることができる。
【0050】
また、内壁フレーム22において上記固定部位に硬質系断熱材31を取り付け、硬質系断熱材31を木レンガ19と内壁フレーム22との間に介在させる構成とした場合には、外壁構造全体の厚みが硬質系断熱材31の厚み寸法分大きくなることが考えられる。その点、上記の構成によれば、かかる厚みの増大を回避することができるため、内壁フレーム22を複数の木レンガ19に固定する構成において、外壁構造全体の厚みを増大させることなく上記の効果を得ることができる。
【0051】
断熱材支え部材を硬質系断熱材31により構成し、内壁フレーム22の屋外(外壁材14)側に固定したため、隣り合う2つの内壁パネル12間における軟質系断熱材23同士の間の隙間等、軟質系断熱材23が設けられていない内壁フレーム22の設置部分について断熱性能を高めることができる。これにより、上記一連の効果を享受しつつ、断熱性能の向上を図ることができる。
【0052】
硬質系断熱材31を、その一部が軟質系断熱材23側に張り出すように内壁フレーム22の屋外側に設置した。この場合、硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を同方向中央側に押しやる(圧縮変形させる)ことができ、またその圧縮変形に伴って軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部のうち木レンガ19と対応する部位(つまり張出部31aにより直接押されていない部位)についても軟質系断熱材23の中央側に追従変形させることができる。これにより、内壁パネル12の内壁フレーム22を外壁パネル11側の木レンガ19に組み付ける際に軟質系断熱材23のはみ出し部23aが木レンガ19と干渉するのを抑制することができ、その結果内壁フレーム22と木レンガ19との間に同はみ出し部23aが挟み込まれるのを抑制することができる。
【0053】
また、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31により張出部31aを構成したため、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを固定するための硬質系断熱材31を、同はみ出し部23aを中央側に押しやるために兼用させることができる。これにより、簡素な構成で、上記はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制できる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態では、硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23の幅方向端部を軟質系断熱材23の中央側に押しやることで、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制することとしたが、本実施形態では、その他の手段により軟質系断熱材23の挟み込みを抑制することとしている。そこで、以下に、本実施形態の構成を図7及び図8に基づいて第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図7は補強テープの設置箇所を示す斜視図であり、図8は補強テープ周辺の構成を示す横断面図である。
【0055】
本実施形態では、上記第1の実施形態における硬質系断熱材31に代えて、内壁フレーム22のフレーム材22aの幅と略同じ幅の硬質系断熱材が用いられており、この硬質系断熱材が内壁フレーム22のフレーム材22a〜22cから側方に張り出さないようにして各フレーム材22a,22cの屋外側面に設けられている。つまり、本実施形態では、硬質系断熱材が張出部を有しない構成となっている。なお、図7では、便宜上、この硬質系断熱材の図示を省略している。
【0056】
図7及び図8に示すように、本実施形態の内壁パネル40には、軟質系断熱材23と内壁フレーム22とに跨って補強テープ41が複数箇所に貼り付けられている。なおここで、補強テープ41が挟み込み防止シートに相当する。補強テープ41は、軟質系断熱材23のはみ出し部23aにおける屋外側面、円弧面及び側面(幅方向の側面)に貼り付けられた変形部41aと、内壁フレーム22(詳細には縦フレーム材22a又は中間フレーム材22c)の屋外側面に貼り付けられた固定部41bとを有している。補強テープ41は、例えばビニルテープよりなり、手で引っぱっても容易に破断することがない程度の強度を有している。また、補強テープ41は、その表面が凹凸の比較的少ない円滑面となっている。補強テープ41は、少なくとも木レンガ19が配設される部位に貼り付けられている。具体的には、縦フレーム材22aに貼り付けられる補強テープ41については軟質系断熱材23の高さ(上下)方向全域に沿って貼り付けられており、中間フレーム材22cに貼り付けられる補強テープ41については、木レンガ19に対応する部位にのみ貼り付けられている。
【0057】
次に、内壁パネル40(詳細には内壁フレーム22)を外壁パネル11側の木レンガ19に組み付ける際の補強テープ41の作用について説明する。
【0058】
内壁パネル40を木レンガ19に組み付ける際には、まず補強テープ41の変形部41aにおける円弧部(軟質系断熱材23の円弧面に貼り付けられた部分)が木レンガ19に接触される。その後、内壁パネル40を外壁パネル11側に近づけていくと、木レンガ19の角部により変形部41a(円弧部)が屋内側に向けて押圧変形され、それに伴い軟質系断熱材23が補強テープ41とともに圧縮変形する。そして、内壁パネル40をさらに外壁パネル11側に近づけていくと、木レンガ19の角部が補強テープ41の変形部41aの表面上を滑りながら側面部(軟質系断熱材23の側面に貼り付けられた部分)の方へ相対移動し、変形部41aの側面部が木レンガ19により軟質系断熱材23側に向けて押圧変形される。この場合、木レンガ19から逃げる向きに軟質系断熱材23が補強テープ41とともに変形するため、内壁フレーム22と木レンガ19との間に軟質系断熱材23が挟み込まれるのを抑制することができる。
【0059】
内壁パネル40は、最終的に内壁フレーム22が木レンガ19の屋内側面に当接されて所定の位置に位置決めされる。位置決め後、内壁パネル40は、内壁材21の屋内側からタッピングネジ等が同内壁材21と内壁フレーム22とを貫通して木レンガ19に打ち付けられることで固定される。
【0060】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0061】
軟質系断熱材23の側面には、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際に木レンガ19に接触して押圧変形される変形部41aを有する補強テープ41を貼り付けた。この場合、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際、補強テープ41の変形部41aが木レンガ19に接触して押圧変形されるため、木レンガ19から逃げる向きに軟質系断熱材23が変形部41aとともに変形する。そのため、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0062】
また、補強テープ41には、内壁フレーム22に固定された固定部41bをさらに備えたため、変形部41aの一端が固定部41bにひいては内壁フレーム22に固定されている。そのため、木レンガ19に対して内壁フレーム22を固定する際、補強テープ41の変形部41aが木レンガ19に接触して押圧変形された場合には、かかる固定状態で変形される。この場合、軟質系断熱材23を変形部41aとともにより確実に木レンガ19から逃げる向きに変形させることができるため、軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ19との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【0063】
補強テープ41の表面が円滑面となっているため、内壁パネル40を外壁パネル11側に組み付ける際、木レンガ19の角部が補強テープ41(詳細には変形部41a)の表面上を円弧部から側面部に向けてスムーズに移動することができる。これにより、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを木レンガ19から逃げる向きに円滑に変形させることができるため、軟質系断熱材23の挟み込みを好適に抑制することができる。
【0064】
一般に、外壁パネル11の外壁フレーム15に取り付けられる複数の木レンガ19のうち縦フレーム材15aに取り付けられる木レンガ19の位置は外壁パネル11の仕様等(例えば外壁パネル11が窓部の設けられるタイプであるか否か等)により変更される。その点、上記構成では、内壁フレーム22の縦フレーム材22aに貼り付けられる補強テープ41を、軟質系断熱材23の高さ方向全域に貼り付けたため、木レンガ19の配置位置にかかわらず上記の効果を得ることができる。
【0065】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
(1)上記第1の実施形態では、内壁フレーム22において木レンガ19が固定される固定部位とは異なる部位に硬質系断熱材31を設け、その硬質系断熱材31の張出部31aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側に押しやることとしたが、これを変更してもよい。例えば、内壁フレーム22における上記固定部位に、軟質系断熱材23側に張り出す張出部材を設け、同張出部材により軟質系断熱材23のはみ出し部23aを中央側に押しやる構成としてもよい。その具体例について図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0067】
図9に示すように、内壁パネル45の内壁フレーム22の屋外側面には、張出部材としての合板46が複数固定されている。これら各合板46はそれぞれ、木レンガ47が固定される固定部位に設けられており、具体的には内壁フレーム22の縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cにそれぞれ所定間隔をおいて複数ずつ設けられている。
【0068】
合板46は、図10に示すように、矩形平板状に形成されており、その板面が内壁フレーム22の屋外側面に当接された状態で同屋外側面にビス等により固定されている。合板46は、その幅(左右方向の長さ)がフレーム材22a,22cの幅よりも大きくなっており、その一部が軟質系断熱材23側に張り出すようにして各フレーム材22a,22cに設けられている(以下、この張り出した部分を張出部46aという。)。詳細には、縦フレーム材22aに設けられた合板46はその幅方向における一端側が軟質系断熱材23側にはみ出しており、中間フレーム材22cに設けられた合板46はその幅方向における両端側が軟質系断熱材23側に張り出している。これにより、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部(詳細には少なくとも木レンガ47周辺の端部)は合板46の張出部46aにより軟質系断熱材23の中央側に押しやられている(圧縮変形されている)。
【0069】
内壁パネル45が外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態では、合板46が木レンガ47の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。つまり、本例では内壁フレーム22と木レンガ47との間に合板46が挟み込まれる構成となっている。そして、この挟み込まれた状態において、合板46の張出部46aは木レンガ47よりも軟質系断熱材23側に張り出している。なお、本例の木レンガ47は、その厚さが上記実施形態における木レンガ19よりも合板46の厚さ分小さくなっており、かかる構成においても外壁構造全体の厚みが大きくならないよう配慮されている。
【0070】
上記構成によれば、合板46の張出部46aにより軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側に押しやることができるため、内壁パネル45(詳細には合板46)を木レンガ47に組み付ける際に同はみ出し部23aと木レンガ47との干渉を少なくすることができ、その結果同はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのを抑制することができる。特に、本例では、張出部46aが木レンガ47よりも軟質系断熱材23側に張り出しているため、はみ出し部23aの幅方向端部を張出部46aにより木レンガ47と干渉しない位置まで押しやることができる。これにより、はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのをより一層抑制することができる。
【0071】
また、上記構成では、軟質系断熱材23のはみ出し部23aのうち木レンガ47と干渉する部分を直接張出部46aにより軟質系断熱材23の中央側に押しやることができるため、はみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ47との間に挟み込まれるのを効果的に抑制することができる。
【0072】
(2)上記各実施形態では、軟質系断熱材23の挟み込みを抑制するための手段(具体的には、第1の実施形態では硬質系断熱材31の張出部31a、第2の実施形態では補強テープ41)を内壁パネル12側に設けたが、かかる手段を外壁パネル11側に設けてもよい。例えば、外壁パネル11の屋内側に設けられる木レンガ19に対してかかる手段を設けてもよい。以下、その一例を図11に基づいて説明する。
【0073】
図11に示すように、本例の木レンガ51は、その横断面が台形形状をなしており、屋外側面の幅が上記実施形態の木レンガ19と同じである一方、屋内側面の幅が上記実施形態の木レンガ19よりも小さくなっている。つまり、本例の木レンガ51は、その側面が屋内側に向かうにつれて内側に傾斜するテーパ面51aとなっている。より詳細には、複数の各木レンガ51のうち内壁フレーム22の縦フレーム材22aが固定される木レンガ51については、その屋内側面の幅が縦フレーム材22aの幅の二倍の大きさに設定されており、内壁フレーム22の中間フレーム材22cが固定される木レンガ51については、その屋内側面の幅が中間フレーム材22cの幅と略同じに設定されている。内壁パネル50が木レンガ51に組み付けられた状態では、内壁フレーム22の各フレーム材22a,22cが木レンガ51の屋内側面に対し幅方向に位置合わせされた状態で同屋内側面に固定されている。これにより、本例では内壁フレーム22のフレーム材22a,22cの側面と木レンガ51のテーパ面51aとは連続している。
【0074】
かかる構成において、内壁パネル50(詳細には内壁フレーム22)を木レンガ51に組み付ける際には、木レンガ51に干渉する軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部が木レンガ51のテーパ面51aに沿って木レンガ51の側方へ案内されるため、軟質系断熱材23のはみ出し部23aが内壁フレーム22と木レンガ51との間に入り込むのを抑制することができる。よって、この場合においても軟質系断熱材23が内壁フレーム22と木レンガ51との間に挟み込まれるのを抑制することができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの端部を断熱材支え部材としての硬質系断熱材31にタッカー針32により固定する構成としたが、必ずしもタッカーにより固定する必要はなく、その他の固定手段により固定してもよい。例えば、断熱材支え部材を板金部材等により構成し、軟質系断熱材23のはみ出し部23aを板金部材等に接着することにより固定してもよい。以下、その具体例を図12に基づいて説明する。
【0076】
図12に示すように、軟質系断熱材23の(幅方向における)両側面には、金属製の板材からなるスチフナ55が固定されている。スチフナ55は、軟質系断熱材23の側面に沿って上下方向に延びるように形成されている。スチフナ55は、軟質系断熱材23の側面に当接された当接板部55aと、当接板部55aの屋外側端部から軟質系断熱材23側に湾曲された湾曲板部55bとを有している。スチフナ55の当接板部55aは、軟質系断熱材23の側面に接着剤により貼り付けられている。なお、スチフナ55は、軟質系断熱材23を内壁フレーム22の枠内に組み込む前に予め軟質系断熱材23に取り付けておく。
【0077】
スチフナ55が取り付けられた軟質系断熱材23が内壁フレーム22の枠内に配設された状態では、スチフナ55の当接板部55aが内壁フレーム22の縦フレーム材22a(又は中間フレーム材22c)の内側面に当接されており、その当接部位において同内側面に対しビス等により固定されている。これにより、軟質系断熱材23はスチフナ55を介して内壁フレーム22に固定されている。
【0078】
かかる構成の内壁パネル53(詳細には内壁フレーム22)が木レンガ19に組み付けられる際には、まず木レンガ19(詳細にはその角部)がスチフナ55の湾曲板部55bの外側面に接触し、その後スチフナ55の外側面に接触しながら内壁フレーム22の屋外側面に当接する位置まで移動する。この移動の際、スチフナ55は木レンガ19により軟質系断熱材23側に押圧され、最終的には軟質系断熱材23側に若干倒れ込んだ状態となる。このように、木レンガ19への内壁フレーム22の移動はスチフナ55を挟んで軟質系断熱材23とは反対側で行われるため、上記組み付け作業において木レンガ19と内壁フレーム22との間には軟質系断熱材23が入り込まないようになっている。したがって、この場合、軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部が木レンガ19と内壁フレーム22との間に挟み込まれる事態を回避することができる。また、上記構成では、軟質系断熱材23に取り付けられたスチフナ55が内壁フレーム22にビス固定されることで軟質系断熱材23が内壁フレーム22に固定されているため、軟質系断熱材23をタッカーにより内壁フレーム22に固定する構成とは異なり、軟質系断熱材23を圧縮することなく軟質系断熱材23を固定できる。そのため、より一層断熱性能の低下を抑制することができる。
【0079】
なお、上記構成の場合、壁内断熱材として、軟質系断熱材23に代え、袋体24を有しない繊維系断熱材25を用いた場合でも、壁内断熱材をスチフナ55に固定することができる。
【0080】
(4)上記実施形態では、断熱材支え部材を硬質系断熱材31により構成したが、断熱材支え部材は必ずしも断熱材により構成する必要はなく、木材等その他の部材により構成してもよい。但し、断熱性確保の観点からすれば断熱材支え部材は断熱材により構成するのが望ましい。
【0081】
(5)上記第1の実施形態では、断熱材支え部材としての硬質系断熱材31を用いて軟質系断熱材23のはみ出し部23aの幅方向端部を中央側へ押しやる構成としたが、これを変更して、硬質系断熱材を断熱材支え部材としてのみ用い、硬質系断熱材とは別に張出部材を設ける構成としてもよい。例えば、上記(1)の構成における合板46を張出部材として設けることが考えられる。
【0082】
(6)上記第2の実施形態では、補強シートとして補強テープを軟質系断熱材23に貼り付けたが、補強シートは必ずしもテープである必要はなく、樹脂製のシート等のシート物を接着剤等により軟質系断熱材23に貼り付けてもよい。
【0083】
(7)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…建物、11…外壁ユニットとしての外壁パネル、12…内壁パネル、14…外壁面材としての外壁材、19…外壁下地材としての木レンガ、21…内壁面材としての内壁材、22…断熱材フレームとしての内壁フレーム、23…壁内断熱材としての軟質系断熱材、23a…はみ出し部、24…袋体、25…繊維系断熱材、31…断熱材支え部材としての硬質系断熱材、31a…張出部、32…タッカー針、41…挟み込み防止シートとしての補強テープ、41a…易変形部としての変形部、41b…固定部、46…張出部材としての合板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁面材を有してなる外壁ユニットと、
壁内断熱材と該断熱材を囲んで設けられる断熱材フレームとを有してなる断熱材ユニットと、
を備え、
前記断熱材フレームが、前記外壁面材の裏面側に設けられた外壁下地材に固定され、前記断熱材フレームから前記外壁面材側に一部がはみ出た状態で前記壁内断熱材が配置される建物の外壁構造において、
前記断熱材フレームには、該フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材が取り付けられ、
前記壁内断熱材において前記外壁面材側にはみ出たはみ出し部が前記断熱材支え部材に固定されていることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項2】
前記断熱材支え部材は、前記壁内断熱材との接触面が、前記断熱材フレームの屋内側に設けられる内壁面材に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項3】
前記外壁面材の裏側には互いに離間して前記外壁下地材が複数設けられ、前記断熱材フレームは前記複数の外壁下地材の屋内側に連結されており、
前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位とは異なる部位に前記断熱材支え部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の外壁構造。
【請求項4】
前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームにおいてその外壁面材側に固定される硬質系断熱材であることを特徴とする請求項3に記載の建物の外壁構造。
【請求項5】
前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位であってかつその外壁面材側には、前記断熱材フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出した状態で張出部材が固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建物の外壁構造。
【請求項6】
前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が該フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の外壁構造。
【請求項7】
前記壁内断熱材は略直方体状に形成されており、
前記壁内断熱材のはみ出し部であってその側端部表面には、前記外壁下地材に対して前記断熱材フレームを固定する際に前記外壁下地材に接触して押圧変形される易変形部を有する挟み込み防止シートが貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の外壁構造。
【請求項8】
前記挟み込み防止シートは、その一部が前記断熱材フレームに固定されていることを特徴とする請求項7に記載の建物の外壁構造。
【請求項1】
外壁面材を有してなる外壁ユニットと、
壁内断熱材と該断熱材を囲んで設けられる断熱材フレームとを有してなる断熱材ユニットと、
を備え、
前記断熱材フレームが、前記外壁面材の裏面側に設けられた外壁下地材に固定され、前記断熱材フレームから前記外壁面材側に一部がはみ出た状態で前記壁内断熱材が配置される建物の外壁構造において、
前記断熱材フレームには、該フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる断熱材支え部材が取り付けられ、
前記壁内断熱材において前記外壁面材側にはみ出たはみ出し部が前記断熱材支え部材に固定されていることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項2】
前記断熱材支え部材は、前記壁内断熱材との接触面が、前記断熱材フレームの屋内側に設けられる内壁面材に対して略直交方向となる向きに延びるようにして設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項3】
前記外壁面材の裏側には互いに離間して前記外壁下地材が複数設けられ、前記断熱材フレームは前記複数の外壁下地材の屋内側に連結されており、
前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位とは異なる部位に前記断熱材支え部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の外壁構造。
【請求項4】
前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームにおいてその外壁面材側に固定される硬質系断熱材であることを特徴とする請求項3に記載の建物の外壁構造。
【請求項5】
前記断熱材フレームにおいて前記外壁下地材に対して連結される連結部位であってかつその外壁面材側には、前記断熱材フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出した状態で張出部材が固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建物の外壁構造。
【請求項6】
前記断熱材支え部材は、前記断熱材フレームから前記壁内断熱材のはみ出し側に延びる部位が該フレームよりも前記壁内断熱材側に張り出して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の外壁構造。
【請求項7】
前記壁内断熱材は略直方体状に形成されており、
前記壁内断熱材のはみ出し部であってその側端部表面には、前記外壁下地材に対して前記断熱材フレームを固定する際に前記外壁下地材に接触して押圧変形される易変形部を有する挟み込み防止シートが貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の外壁構造。
【請求項8】
前記挟み込み防止シートは、その一部が前記断熱材フレームに固定されていることを特徴とする請求項7に記載の建物の外壁構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−111784(P2011−111784A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268208(P2009−268208)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]