建物の暖冷房を備えた給排気装置
【課題】コスト的に優れるばかりでなく、建物全体としての省エネルギー効果が高く、システムとして安定性のある建物の暖冷房可能な給排気装置を提供する。
【解決手段】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備え、床ピットPとして、複数のゾーン群を形成し、ゾーン群の他方端に、蓄熱部材Mを有し温水を流通させる蓄熱床ピットPZを有し、蓄熱床ピットPZから室内領域に連なる給気経路を備える。(1)冷房時には、給気口を通して外気を取り込み、地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、給湯機1運転時の冷排熱を蓄えた蓄熱床ピットPZと接触させて冷却し、給気経路を通して室内に送り込む。(2)暖房時には、給気口を通して外気を取り込み、地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、給湯機1運転時に温水によって蓄熱しておいた蓄熱床ピットPZと接触させて加温し、給気経路を通して室内領域に送り込む。
【解決手段】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備え、床ピットPとして、複数のゾーン群を形成し、ゾーン群の他方端に、蓄熱部材Mを有し温水を流通させる蓄熱床ピットPZを有し、蓄熱床ピットPZから室内領域に連なる給気経路を備える。(1)冷房時には、給気口を通して外気を取り込み、地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、給湯機1運転時の冷排熱を蓄えた蓄熱床ピットPZと接触させて冷却し、給気経路を通して室内に送り込む。(2)暖房時には、給気口を通して外気を取り込み、地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、給湯機1運転時に温水によって蓄熱しておいた蓄熱床ピットPZと接触させて加温し、給気経路を通して室内領域に送り込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の給排気装置に係り、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は給湯時において冷熱を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくする建物の暖冷房を備えた給排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの意識の高まりに伴って、住宅などの建物において、エアサイクル住宅や、地熱の利用が多く採用されている。
その例として、特許文献1、特許文献2などがある。
しかし、これらの例は、地中にパイプを埋設する必要があるために、施工費が嵩むばかりでなく、たとえば地震などにより一部が損傷した場合、その損傷個所を地盤を掘り起こしで見つけ出し、修復するにも多大な手間とコストを要し、住宅用には採用しがたい。
【特許文献1】特開2006−234376号
【特許文献2】特開2006−84149号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の主たる課題は、コスト的に優れるばかりでなく、建物全体としての省エネルギー効果が高く、しかも、システムとして安定性のある建物の暖冷房を備えた給排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
[請求項1記載の発明]
断熱された対象室内領域と、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備えた建物にあって、
床ピットとして、基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンを形成し、
これらに連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、
前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、
前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、
前記対象室内領域は、換気扇により排気可能とされ、
次記(1)の段階と(2)の段階とが選択可能になっていることを特徴とする建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)一般の冷房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、前記給湯機運転時の冷排熱を蓄えた前記蓄熱床ピットと接触させて冷却し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
(2)一般の暖房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、前記給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた前記蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
【0005】
(作用効果)
深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は、深夜電力利用のためにエネルギーコストが低い。本発明では、床下に基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンにより床ピットを形成し、これら連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、室外と断熱された対象室内領域は、換気扇により排気可能とされている。
したがって、給気口から取り込んだ外気は、ゾーン群を通る又は滞留している過程で、夏期であれば地熱により冷却され、冬期であれば加熱され、調温された空気が対象室内領域に取り込まれ、室外に排気されるので、対象室内領域は、夏期及び冬期であっても、快適な温度にコントロールされる。
【0006】
一般の冷房時(たとえば夏期の冷房が必要となる時間)、給気口を通して外気を取り込み、ゾーン群内を順に通して地熱により冷却する。その場合、ヒートポンプ給湯機の運転時(主に夜間)にヒートポンプ給湯機の給排気の冷熱(ヒートポンプ給湯機は、たとえば25℃の外気を取り込み、17℃程度の冷熱を放散する)を蓄熱床ピットと接触させて冷却し、給気経路を通して対象室内領域に送り込むことで、対象室内領域に冷気を供給できる。
一方、一般の暖房時(たとえば冬期の暖房が必要となる時間)、給気口を通して外気を取り込み、ゾーン群内を順に通す又は滞留している過程で地熱により加温する。給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む。
したがって、給気口から取り込んだ外気は、地熱により加熱されるだけでなく、給湯機の運転時に生成する温水を、蓄熱床ピットに流通させることにより、ピットが高温に加熱されるので、取り込んだ外気がより高い温度に加熱されるので、十分な熱量をもって対象室内領域に送気することができる。
以上のように、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は運転時において冷熱及び温水を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくすることができ、省エネルギー効果が高いものとなる。
【0007】
他方で、本発明によれば、地中にパイプを埋設する必要がなく、しかも、通常の住宅基礎を利用するだけのものであるから、コスト高を抑制でき、地震などの影響を受けることなく安定した長期間の使用に耐え得るものとなる。
【0008】
[請求項2記載の発明]
次記(1)〜(4)の状態を適宜選択することによって、年間を通じて適温の空気を前記対象室内領域に供給可能となっている請求項1記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機排気を蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させるとともに、前記対象室内領域には前記給湯機排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を前記地下ピットに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および前記蓄熱床ピットと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機が生成する温水を前記蓄熱床ピットに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記蓄熱床ピットと接触することで加温させてから前記対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【0009】
(作用効果)
夏期及び冬期において、昼間と夜間とでは外気温度及びヒートポンプ給湯機の運転・停止が異なるので、具体的に上記(1)〜(4)の段階が選択可能になっていることが望ましい。これに関する作用効果については、後に詳説する。
【0010】
[請求項3記載の発明]
前記建物は複数階建てであり、各階相互を階段で繋いでおり、階段の支柱が前記ピットに連通して1階から2階に延在し、前記支柱内が前記給気経路とされ、前記支柱が各階において開口している請求項1または2の記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【0011】
(作用効果)
階段は、階相互を繋ぐものであるので、これを利用し、階段の支柱をピットに連通して1階から最上階まで延在し、支柱内を給気経路とし、支柱を各階において開口させることにより、各階に給気できる。別途、給気経路を付設する必要がない。
【0012】
[請求項4記載の発明]
前記蓄熱床ピット内に送気ファンが設けられ、この送気ファンにより、給気経路を通して対象室内領域に送気可能とされている1〜3のいずれか1項に記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【0013】
(作用効果)
給気経路を通して対象室内領域に送り込む場合、給気経路の抵抗が大きいので、送気ファンを設けて強制的に送気させるのが望ましい。特に、夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時には、給湯機の冷排気の一部を、送気ファンにより強制的に給気経路を通して対象室内領域に送り込み、給湯機の冷排気の残部は、蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて自然排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コスト的に優れるばかりでなく、建物全体としての省エネルギー効果が高く、しかも、システムとして安定性のあるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を、実施するための最良の形態を示しながら説明する。
(基本的概要説明)
図1は、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態を、図2は、夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態を、図3は、冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態をそれぞれ示している。
【0016】
図示の建物は、1階(1F)及び2階(2F)の2階建ての、屋根や壁の外断熱を図った住宅などであり、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の設置室が設けられ、ガラリなどにより外気と連通している。建物の地下には、後に説明するように、床ピットPが形成され、床ピットPは基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンZが形成されている。
【0017】
床ピットPにおける、相互に連通するゾーンZ、Z……群の一方端が、少なくとも一つの給気口(排気口を兼ねることも可能である)3Aを介して外気と連通しており、ゾーンZ、Z……群の他方端近くには、蓄熱部材Mが設けられた蓄熱床ピットPZが形成されている。蓄熱床ピットPZには、対象室内領域に連なる給気経路2Aを備え、対象室内領域は、換気扇(符号としては図示していないが、排気経路を図示することにより間接的に明らかにしている)により排気可能とされている。
【0018】
かかる構成の建物では、図1の深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中においては、外気を給気口3Aを通して床ピットP内に取り入れることにより、外気温と地熱温度との差により、夏期では取り入れ空気を冷却し、冬期では取り入れ空気を加熱することができ、適温で給気経路2Aを通して対象室内領域に給気できる。
【0019】
図2の夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1の冷熱排気を、蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触させ冷熱の蓄熱を図るとともに、ゾーンZ群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、その過程で躯体(特に床)を冷却させることで、夏期昼間の冷気用に蓄熱する。さらに、対象室内領域には給湯機1の冷排気を直接給気することで、夜間の冷気供給を行う。
【0020】
図3の冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1が生成する温水を温水配管20を通して前記蓄熱床ピットPZ、特に蓄熱部材Mに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記床ピットPと接触することで、地熱との温度差により加温させてから給気経路2Aを通して対象室内領域に給気する。
【0021】
(具体的運転説明)
図4は、床ピットPとヒートポンプ給湯機1との関係を中心にした制御系を示したものである。これを説明すると、ヒートポンプ給湯機1には、制御器10、給気ファン11、排気経路切替弁12,13、送気管路14及び制御器10内に取付られたリレー群19が付設されている。外気はガラリに取り入れ口1A及び排出口1Bが設けられている。他方で、夏/冬切替スイッチ16、給湯機操作リモコン17、温水循環回路操作リモコン18が用意されている。排気経路切替弁13を開とした場合、ヒートポンプ給湯機1の冷排気は送気管路14を通して蓄熱床ピットPZに送気できるように接続されている。ヒートポンプ給湯機1の温水は、その一部を温水配管20を通して蓄熱床ピットPZ内の蓄熱部材M群に供給できるようになっている。21は蓄熱床ピットPZあるいは蓄熱部材Mの温度センサである。
【0022】
図5〜図7によって、図1〜図3に対応する運転説明を行う。
図5(図1に対応)の深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中においては、外気を給気口3Aを通して床ピットP内に取り入れることにより、外気温と地熱温度との差により、夏期では取り入れ空気を冷却し、冬期では取り入れ空気を加熱することができ、その温度で給気経路2Aを通して対象室内領域に給気できる。
【0023】
図6(図2に対応)の夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、排気経路切替弁12を閉、排気経路切替弁13を開とし、給湯機1の冷熱排気を、送気管路14を通して蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触及び蓄熱させるとともに、ゾーンZ群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、その過程で躯体(特に床)を冷却させることで、夏期昼間の冷気用に蓄熱する。さらに、対象室内領域には給湯機1の冷排気を直接給気することで、夜間の冷気供給を行う。
【0024】
図7(図3に対応)の冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1の排気は外気に放出し、給湯機1が生成する温水を温水配管20を通して蓄熱床ピットPZ、特に蓄熱部材Mに循環させて蓄熱させるとともに、給気口3Aから外気を取り込み、前記床ピットPのゾーンZ、Z……群と接触することで、地熱との温度差により加温させてから給気経路2Aを通して対象室内領域に給気する。
【0025】
(具体的構造説明)
図8及び図9は2階建て建物全体の概要を図示したものであり、図8に1階部分が図示され、キッチンを含むリビング、和室、風呂、洗面・脱衣室、トイレが設けられ、2階は図示されていない。各部屋や領域は、室外と断熱化された、すなわち断熱材またはRC壁や二重サッシなどにより可能な限り熱の放散や侵入を防止した外断熱建物とされている(なお、本発明において断熱化の程度が限定されるものではない)。各対象室内領域は、図2に示すように、適宜の位置に設けられた換気扇(符号としては図示せず)によって、建築基準法上、断熱に伴うホルムアルデヒドなどの化学物質の発散のために、排気可能となっている。
【0026】
本実施の形態においては、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1は、たとえば階段2下のスペースを利用している。階段2は、1階と2階を繋いでおり、階段の支柱2A、2Aが、蓄熱床ピットPZに連通して1階から2階に延在し、支柱2A、2A内が給気経路とされ、支柱2A、2Aが1階及び2階において開口している。支柱2Bは、給気経路に利用されていない。
【0027】
さて、本実施の形態においては、図9、図11〜図14が参照されるように、地表GLに対し擁壁31によって囲まれた盛土地盤32にほぼ埋もれて、床下に基礎梁33によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンZが形成されている。基礎梁33としては、ベタ基礎から梁を立ち上げるほか、地盤中に基礎梁33の下部が埋設し、ゾーンZに地盤表面が面しているものでもよい。実施の形態では、ゾーンZと地盤との間での熱伝達を抑制するために、前者のベタ基礎から梁を立ち上げる方式を採用している。
【0028】
連通するゾーン群の一方端は、少なくとも一つの給気口3A、3Aを介して外気と連通しており、ゾーン群の他方端に、温水を流通させる蓄熱床ピットPZを有している。このピットPZは、給湯機1の給排気部が臨み、かつピットPZに支柱2A、2Aの下端が開口し、対象室内領域に連なる給気経路を構成している。
【0029】
ピットPZ内の壁面や適宜の位置に蓄熱部材Mが設けられており、給湯機1による温水を流通させて壁面を加熱可能としている。また、次記の運転を行うように、外気温、室内温度、1日内での時刻、季節、外部指令などに基づき選択可能とする制御手段を備えている。実施の形態では、図4を参照して既に説明したように、夏/冬切替スイッチ16、給湯機操作リモコン17、温水循環回路操作リモコン18による制御系である。
【0030】
<運転方法例>
さて、運転に際しては、次記の運転を行うことが最も適している。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機1運転時においては、排気経路切替弁12を閉、排気経路切替弁13を開とし、給湯機1の冷熱排気を、送気管路14を通して蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触及び蓄熱させるとともに、給湯機1の冷熱排気を、ゾーンZ、Z……群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、蓄熱床ピットPZ及び躯体を冷却させるとともに、対象室内領域に給湯機1の冷排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を地下ピットPに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および蓄熱床ピットPZと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機1運転時においては、給湯機1が生成する温水を蓄熱床ピットPZに循環させて蓄熱させるとともに、外気を給気口3Aから取り込み、蓄熱床ピットPZと接触することで加温させてから対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットPに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットPZと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【0031】
以上のように、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は給湯時において冷熱及び温水を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくすることができ、省エネルギー効果が高いものとなる。
【0032】
なお、給湯機1は、使用形態によって夜間だけでなく昼間も運転する場合がある。その場合において、(1)〜(4)のなかで、昼間と夜間との区別を行うことなく、適宜運転できるものである。したがって、これらの態様を包含するものが請求項1に記載した方法である。
【0033】
一方、建物の壁を全体的にRC構造とすることにより、蓄熱効果がより高いものとなり、本発明の効果が一層発現する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態の説明図である。
【図2】夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図3】冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図4】床ピットとヒートポンプ給湯機との関係を中心にした制御系を示したものである。
【図5】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態の説明図である。
【図6】夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図7】冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図8】本発明の建物(住宅)の1階伏図である。
【図9】建物の縦断面図である。
【図10】階段部分の要部縦断面図である。
【図11】夏期昼間の運転状態説明図である。
【図12】夏期夜間の運転状態説明図である。
【図13】冬期昼間の運転状態説明図である。
【図14】冬期夜間の運転状態説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1…深夜電力利用ヒートポンプ給湯機、1A…取り入れ口、1B…排出口、2…階段、2A…支柱(給気経路)、2B…支柱、3A…給気口(排気口)、10…制御器、11…給気ファン、12,13…排気経路切替弁、14…送気管路、20…温水配管、31…擁壁、32…盛土地盤、33…基礎梁、Z…ゾーン、P…床Zピット、P…蓄熱床ピット、GL…地表、M…蓄熱部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の給排気装置に係り、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は給湯時において冷熱を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくする建物の暖冷房を備えた給排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの意識の高まりに伴って、住宅などの建物において、エアサイクル住宅や、地熱の利用が多く採用されている。
その例として、特許文献1、特許文献2などがある。
しかし、これらの例は、地中にパイプを埋設する必要があるために、施工費が嵩むばかりでなく、たとえば地震などにより一部が損傷した場合、その損傷個所を地盤を掘り起こしで見つけ出し、修復するにも多大な手間とコストを要し、住宅用には採用しがたい。
【特許文献1】特開2006−234376号
【特許文献2】特開2006−84149号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の主たる課題は、コスト的に優れるばかりでなく、建物全体としての省エネルギー効果が高く、しかも、システムとして安定性のある建物の暖冷房を備えた給排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
[請求項1記載の発明]
断熱された対象室内領域と、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備えた建物にあって、
床ピットとして、基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンを形成し、
これらに連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、
前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、
前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、
前記対象室内領域は、換気扇により排気可能とされ、
次記(1)の段階と(2)の段階とが選択可能になっていることを特徴とする建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)一般の冷房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、前記給湯機運転時の冷排熱を蓄えた前記蓄熱床ピットと接触させて冷却し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
(2)一般の暖房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、前記給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた前記蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
【0005】
(作用効果)
深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は、深夜電力利用のためにエネルギーコストが低い。本発明では、床下に基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンにより床ピットを形成し、これら連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、室外と断熱された対象室内領域は、換気扇により排気可能とされている。
したがって、給気口から取り込んだ外気は、ゾーン群を通る又は滞留している過程で、夏期であれば地熱により冷却され、冬期であれば加熱され、調温された空気が対象室内領域に取り込まれ、室外に排気されるので、対象室内領域は、夏期及び冬期であっても、快適な温度にコントロールされる。
【0006】
一般の冷房時(たとえば夏期の冷房が必要となる時間)、給気口を通して外気を取り込み、ゾーン群内を順に通して地熱により冷却する。その場合、ヒートポンプ給湯機の運転時(主に夜間)にヒートポンプ給湯機の給排気の冷熱(ヒートポンプ給湯機は、たとえば25℃の外気を取り込み、17℃程度の冷熱を放散する)を蓄熱床ピットと接触させて冷却し、給気経路を通して対象室内領域に送り込むことで、対象室内領域に冷気を供給できる。
一方、一般の暖房時(たとえば冬期の暖房が必要となる時間)、給気口を通して外気を取り込み、ゾーン群内を順に通す又は滞留している過程で地熱により加温する。給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む。
したがって、給気口から取り込んだ外気は、地熱により加熱されるだけでなく、給湯機の運転時に生成する温水を、蓄熱床ピットに流通させることにより、ピットが高温に加熱されるので、取り込んだ外気がより高い温度に加熱されるので、十分な熱量をもって対象室内領域に送気することができる。
以上のように、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は運転時において冷熱及び温水を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくすることができ、省エネルギー効果が高いものとなる。
【0007】
他方で、本発明によれば、地中にパイプを埋設する必要がなく、しかも、通常の住宅基礎を利用するだけのものであるから、コスト高を抑制でき、地震などの影響を受けることなく安定した長期間の使用に耐え得るものとなる。
【0008】
[請求項2記載の発明]
次記(1)〜(4)の状態を適宜選択することによって、年間を通じて適温の空気を前記対象室内領域に供給可能となっている請求項1記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機排気を蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させるとともに、前記対象室内領域には前記給湯機排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を前記地下ピットに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および前記蓄熱床ピットと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機が生成する温水を前記蓄熱床ピットに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記蓄熱床ピットと接触することで加温させてから前記対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【0009】
(作用効果)
夏期及び冬期において、昼間と夜間とでは外気温度及びヒートポンプ給湯機の運転・停止が異なるので、具体的に上記(1)〜(4)の段階が選択可能になっていることが望ましい。これに関する作用効果については、後に詳説する。
【0010】
[請求項3記載の発明]
前記建物は複数階建てであり、各階相互を階段で繋いでおり、階段の支柱が前記ピットに連通して1階から2階に延在し、前記支柱内が前記給気経路とされ、前記支柱が各階において開口している請求項1または2の記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【0011】
(作用効果)
階段は、階相互を繋ぐものであるので、これを利用し、階段の支柱をピットに連通して1階から最上階まで延在し、支柱内を給気経路とし、支柱を各階において開口させることにより、各階に給気できる。別途、給気経路を付設する必要がない。
【0012】
[請求項4記載の発明]
前記蓄熱床ピット内に送気ファンが設けられ、この送気ファンにより、給気経路を通して対象室内領域に送気可能とされている1〜3のいずれか1項に記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【0013】
(作用効果)
給気経路を通して対象室内領域に送り込む場合、給気経路の抵抗が大きいので、送気ファンを設けて強制的に送気させるのが望ましい。特に、夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時には、給湯機の冷排気の一部を、送気ファンにより強制的に給気経路を通して対象室内領域に送り込み、給湯機の冷排気の残部は、蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて自然排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コスト的に優れるばかりでなく、建物全体としての省エネルギー効果が高く、しかも、システムとして安定性のあるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を、実施するための最良の形態を示しながら説明する。
(基本的概要説明)
図1は、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態を、図2は、夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態を、図3は、冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態をそれぞれ示している。
【0016】
図示の建物は、1階(1F)及び2階(2F)の2階建ての、屋根や壁の外断熱を図った住宅などであり、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の設置室が設けられ、ガラリなどにより外気と連通している。建物の地下には、後に説明するように、床ピットPが形成され、床ピットPは基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンZが形成されている。
【0017】
床ピットPにおける、相互に連通するゾーンZ、Z……群の一方端が、少なくとも一つの給気口(排気口を兼ねることも可能である)3Aを介して外気と連通しており、ゾーンZ、Z……群の他方端近くには、蓄熱部材Mが設けられた蓄熱床ピットPZが形成されている。蓄熱床ピットPZには、対象室内領域に連なる給気経路2Aを備え、対象室内領域は、換気扇(符号としては図示していないが、排気経路を図示することにより間接的に明らかにしている)により排気可能とされている。
【0018】
かかる構成の建物では、図1の深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中においては、外気を給気口3Aを通して床ピットP内に取り入れることにより、外気温と地熱温度との差により、夏期では取り入れ空気を冷却し、冬期では取り入れ空気を加熱することができ、適温で給気経路2Aを通して対象室内領域に給気できる。
【0019】
図2の夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1の冷熱排気を、蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触させ冷熱の蓄熱を図るとともに、ゾーンZ群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、その過程で躯体(特に床)を冷却させることで、夏期昼間の冷気用に蓄熱する。さらに、対象室内領域には給湯機1の冷排気を直接給気することで、夜間の冷気供給を行う。
【0020】
図3の冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1が生成する温水を温水配管20を通して前記蓄熱床ピットPZ、特に蓄熱部材Mに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記床ピットPと接触することで、地熱との温度差により加温させてから給気経路2Aを通して対象室内領域に給気する。
【0021】
(具体的運転説明)
図4は、床ピットPとヒートポンプ給湯機1との関係を中心にした制御系を示したものである。これを説明すると、ヒートポンプ給湯機1には、制御器10、給気ファン11、排気経路切替弁12,13、送気管路14及び制御器10内に取付られたリレー群19が付設されている。外気はガラリに取り入れ口1A及び排出口1Bが設けられている。他方で、夏/冬切替スイッチ16、給湯機操作リモコン17、温水循環回路操作リモコン18が用意されている。排気経路切替弁13を開とした場合、ヒートポンプ給湯機1の冷排気は送気管路14を通して蓄熱床ピットPZに送気できるように接続されている。ヒートポンプ給湯機1の温水は、その一部を温水配管20を通して蓄熱床ピットPZ内の蓄熱部材M群に供給できるようになっている。21は蓄熱床ピットPZあるいは蓄熱部材Mの温度センサである。
【0022】
図5〜図7によって、図1〜図3に対応する運転説明を行う。
図5(図1に対応)の深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中においては、外気を給気口3Aを通して床ピットP内に取り入れることにより、外気温と地熱温度との差により、夏期では取り入れ空気を冷却し、冬期では取り入れ空気を加熱することができ、その温度で給気経路2Aを通して対象室内領域に給気できる。
【0023】
図6(図2に対応)の夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、排気経路切替弁12を閉、排気経路切替弁13を開とし、給湯機1の冷熱排気を、送気管路14を通して蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触及び蓄熱させるとともに、ゾーンZ群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、その過程で躯体(特に床)を冷却させることで、夏期昼間の冷気用に蓄熱する。さらに、対象室内領域には給湯機1の冷排気を直接給気することで、夜間の冷気供給を行う。
【0024】
図7(図3に対応)の冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中においては、給湯機1の排気は外気に放出し、給湯機1が生成する温水を温水配管20を通して蓄熱床ピットPZ、特に蓄熱部材Mに循環させて蓄熱させるとともに、給気口3Aから外気を取り込み、前記床ピットPのゾーンZ、Z……群と接触することで、地熱との温度差により加温させてから給気経路2Aを通して対象室内領域に給気する。
【0025】
(具体的構造説明)
図8及び図9は2階建て建物全体の概要を図示したものであり、図8に1階部分が図示され、キッチンを含むリビング、和室、風呂、洗面・脱衣室、トイレが設けられ、2階は図示されていない。各部屋や領域は、室外と断熱化された、すなわち断熱材またはRC壁や二重サッシなどにより可能な限り熱の放散や侵入を防止した外断熱建物とされている(なお、本発明において断熱化の程度が限定されるものではない)。各対象室内領域は、図2に示すように、適宜の位置に設けられた換気扇(符号としては図示せず)によって、建築基準法上、断熱に伴うホルムアルデヒドなどの化学物質の発散のために、排気可能となっている。
【0026】
本実施の形態においては、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1は、たとえば階段2下のスペースを利用している。階段2は、1階と2階を繋いでおり、階段の支柱2A、2Aが、蓄熱床ピットPZに連通して1階から2階に延在し、支柱2A、2A内が給気経路とされ、支柱2A、2Aが1階及び2階において開口している。支柱2Bは、給気経路に利用されていない。
【0027】
さて、本実施の形態においては、図9、図11〜図14が参照されるように、地表GLに対し擁壁31によって囲まれた盛土地盤32にほぼ埋もれて、床下に基礎梁33によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンZが形成されている。基礎梁33としては、ベタ基礎から梁を立ち上げるほか、地盤中に基礎梁33の下部が埋設し、ゾーンZに地盤表面が面しているものでもよい。実施の形態では、ゾーンZと地盤との間での熱伝達を抑制するために、前者のベタ基礎から梁を立ち上げる方式を採用している。
【0028】
連通するゾーン群の一方端は、少なくとも一つの給気口3A、3Aを介して外気と連通しており、ゾーン群の他方端に、温水を流通させる蓄熱床ピットPZを有している。このピットPZは、給湯機1の給排気部が臨み、かつピットPZに支柱2A、2Aの下端が開口し、対象室内領域に連なる給気経路を構成している。
【0029】
ピットPZ内の壁面や適宜の位置に蓄熱部材Mが設けられており、給湯機1による温水を流通させて壁面を加熱可能としている。また、次記の運転を行うように、外気温、室内温度、1日内での時刻、季節、外部指令などに基づき選択可能とする制御手段を備えている。実施の形態では、図4を参照して既に説明したように、夏/冬切替スイッチ16、給湯機操作リモコン17、温水循環回路操作リモコン18による制御系である。
【0030】
<運転方法例>
さて、運転に際しては、次記の運転を行うことが最も適している。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機1運転時においては、排気経路切替弁12を閉、排気経路切替弁13を開とし、給湯機1の冷熱排気を、送気管路14を通して蓄熱床ピットPZ内に送り込み、その蓄熱部材Mと接触及び蓄熱させるとともに、給湯機1の冷熱排気を、ゾーンZ、Z……群を通過させて給気口3Aを排気口として排気することにより、蓄熱床ピットPZ及び躯体を冷却させるとともに、対象室内領域に給湯機1の冷排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を地下ピットPに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および蓄熱床ピットPZと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機1運転時においては、給湯機1が生成する温水を蓄熱床ピットPZに循環させて蓄熱させるとともに、外気を給気口3Aから取り込み、蓄熱床ピットPZと接触することで加温させてから対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットPに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットPZと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【0031】
以上のように、地熱が年間を通して温度的に安定していること、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機は給湯時において冷熱及び温水を発生することを利用して、特に夏期及び冬期において、冷暖房装置を使用しない又は少なくすることができ、省エネルギー効果が高いものとなる。
【0032】
なお、給湯機1は、使用形態によって夜間だけでなく昼間も運転する場合がある。その場合において、(1)〜(4)のなかで、昼間と夜間との区別を行うことなく、適宜運転できるものである。したがって、これらの態様を包含するものが請求項1に記載した方法である。
【0033】
一方、建物の壁を全体的にRC構造とすることにより、蓄熱効果がより高いものとなり、本発明の効果が一層発現する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態の説明図である。
【図2】夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図3】冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図4】床ピットとヒートポンプ給湯機との関係を中心にした制御系を示したものである。
【図5】深夜電力利用ヒートポンプ給湯機1の停止中の状態の説明図である。
【図6】夏期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図7】冬期夜間のヒートポンプ給湯機1運転中の状態の説明図である。
【図8】本発明の建物(住宅)の1階伏図である。
【図9】建物の縦断面図である。
【図10】階段部分の要部縦断面図である。
【図11】夏期昼間の運転状態説明図である。
【図12】夏期夜間の運転状態説明図である。
【図13】冬期昼間の運転状態説明図である。
【図14】冬期夜間の運転状態説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1…深夜電力利用ヒートポンプ給湯機、1A…取り入れ口、1B…排出口、2…階段、2A…支柱(給気経路)、2B…支柱、3A…給気口(排気口)、10…制御器、11…給気ファン、12,13…排気経路切替弁、14…送気管路、20…温水配管、31…擁壁、32…盛土地盤、33…基礎梁、Z…ゾーン、P…床Zピット、P…蓄熱床ピット、GL…地表、M…蓄熱部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱された対象室内領域と、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備えた建物にあって、
床ピットとして、基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンを形成し、
これらに連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、
前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、
前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、
前記対象室内領域は、換気扇により排気可能とされ、
次記(1)の段階と(2)の段階とが選択可能になっていることを特徴とする建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)一般の冷房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、前記給湯機運転時の冷排熱を蓄えた前記蓄熱床ピットと接触させて冷却し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
(2)一般の暖房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、前記給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた前記蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
【請求項2】
次記(1)〜(4)の状態を適宜選択することによって、年間を通じて適温の空気を前記対象室内領域に供給可能となっている請求項1記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機排気を蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させるとともに、前記対象室内領域には前記給湯機排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を前記地下ピットに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および前記蓄熱床ピットと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機が生成する温水を前記蓄熱床ピットに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記蓄熱床ピットと接触することで加温させてから前記対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【請求項3】
前記建物は複数階建てであり、各階相互を階段で繋いでおり、階段の支柱が前記ピットに連通して1階から最上階まで延在し、前記支柱内が前記給気経路とされ、前記支柱が各階において開口している請求項1または2の記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【請求項4】
前記蓄熱床ピット内に送気ファンが設けられ、この送気ファンにより、給気経路を通して対象室内領域に送気可能とされている1〜3のいずれか1項に記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【請求項1】
断熱された対象室内領域と、深夜電力利用ヒートポンプ給湯機を備えた建物にあって、
床ピットとして、基礎梁によって実質的に仕切られるとともに相互に連通する複数のゾーンを形成し、
これらに連通するゾーン群の一方端が少なくとも一つの給気口を介して外気と連通しており、
前記ゾーンの他方端近くには、蓄熱部材が設けられた蓄熱床ピットが形成され、
前記床ピットに前記給湯機の排気部が接続され、かつ前記蓄熱床ピットから前記対象室内領域に連なる給気経路を備え、
前記対象室内領域は、換気扇により排気可能とされ、
次記(1)の段階と(2)の段階とが選択可能になっていることを特徴とする建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)一般の冷房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱により冷却し、さらに、前記給湯機運転時の冷排熱を蓄えた前記蓄熱床ピットと接触させて冷却し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
(2)一般の暖房時には、前記給気口を通して外気を取り込み、前記地下ピットのゾーン群内を順に通して地熱によって加温し、さらに、前記給湯機運転時に温水によって蓄熱しておいた前記蓄熱床ピットと接触させて加温し、前記給気経路を通して前記対象室内領域に送り込む段階。
【請求項2】
次記(1)〜(4)の状態を適宜選択することによって、年間を通じて適温の空気を前記対象室内領域に供給可能となっている請求項1記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
(1)夏期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機排気を蓄熱床ピット及びゾーン群を通過させて排気することにより、蓄熱床ピット及び躯体を冷却させるとともに、前記対象室内領域には前記給湯機排気を給気する。
(2)夏期昼間においては、外気を前記地下ピットに取り込んで地熱によって冷却し、さらに、夜間に冷却された躯体および前記蓄熱床ピットと接触させることで冷却し、外気温よりも低い温度で前記対象室内領域に給気する。
(3)冬期夜間のヒートポンプ式給湯機運転時においては、給湯機が生成する温水を前記蓄熱床ピットに循環させて蓄熱させるとともに、外気を取り込み、前記蓄熱床ピットと接触することで加温させてから前記対象室内領域へ供給する。
(4)冬期昼間においては、外気を地下ピットに取り込み、地熱及び夜間に蓄熱された蓄熱床ピットと接触させることで加温し、外気温よりも暖かい空気を前記対象室内領域へ供給する。
【請求項3】
前記建物は複数階建てであり、各階相互を階段で繋いでおり、階段の支柱が前記ピットに連通して1階から最上階まで延在し、前記支柱内が前記給気経路とされ、前記支柱が各階において開口している請求項1または2の記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【請求項4】
前記蓄熱床ピット内に送気ファンが設けられ、この送気ファンにより、給気経路を通して対象室内領域に送気可能とされている1〜3のいずれか1項に記載の建物の暖冷房を備えた給排気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−144976(P2009−144976A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322283(P2007−322283)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【特許番号】特許第4180101号(P4180101)
【特許公報発行日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【特許番号】特許第4180101号(P4180101)
【特許公報発行日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
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