説明

建物

【課題】ゴミ等の搬出物を屋内から収納室に投入でき、収納室の搬出物を屋外に搬出できるように構成した建物において、収納室の搬出物を屋外に搬出するにあたりその搬出作業の軽減を図った建物を提供する。
【解決手段】屋内空間10aを形成する建物ユニット10(建物本体)と、建物ユニット10に設けられ、ゴミ収納室40aを形成する収納構造体40と、を備え、建物ユニット10には、屋内空間10aとゴミ収納室40aとを連通させる開口部14b(ゴミ投入口)を形成し、収納構造体40には、ゴミ収納室40aと屋外とを連通させるゴミ搬出口41aを形成する。そして、ゴミ収納室40aの床面31aが屋内空間10aの床面11aよりも低い位置となるよう、収納構造体40を建物ユニット10に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内空間とは別の収納室を有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋内空間を形成する建物本体に、収納室を形成する収納構造体を設けて、屋内からゴミを収納室に投入でき、収納室のゴミを屋外側から搬出可能にした構造の建物が開示されている。これによれば、屋内とは分離された収納室にゴミを投入してゴミ収集日までストックすることで、屋内の衛生面向上を図っている。また、ゴミ収集日には屋外から収納室のゴミを搬出することで、ゴミ搬出作業の軽減を図っている。
【特許文献1】特公平7−72463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の建物では、収納室の床面が屋内の床面と同じレベルに形成されており、屋外のグランドレベルに対して収納室の床面が高い位置となる。そのため、収納室のゴミを屋外に搬出するにあたり、高い位置にあるゴミをグランドレベルの屋外に降ろすことを要するため、ゴミ搬出作業の軽減が十分に図れていないのが現状である。
【0004】
本発明は、ゴミ等の搬出物を屋内から収納室に投入でき、収納室の搬出物を屋外に搬出できるように構成した建物において、収納室の搬出物を屋外に搬出するにあたりその搬出作業の軽減を図った建物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、第1の発明では、
屋内空間を形成する建物本体と、
前記建物本体に設けられ、収納室を形成する収納構造体と、
を備え、
前記建物本体には、前記屋内空間と前記収納室とを連通させる投入口が形成されており、
前記収納構造体には、前記収納室と屋外とを連通させる搬出口が形成されており、
前記収納構造体は、前記収納室の床面が前記屋内空間の床面よりも低い位置となるよう前記建物本体に設けられていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、ゴミ等の搬出物を屋内空間から投入口を通じて収納室に投入でき、収納室の搬出物を搬出口から屋外に搬出できる。よって、屋内とは分離された収納室にゴミ等の搬出物を投入してゴミ収集日までストックすることで、屋内の衛生面向上を図ることができる。また、例えばゴミ収集日には屋外から収納室のゴミを搬出することで、ゴミ等の搬出作業の軽減を図ることができる。
【0008】
ここで、収納室の床面が屋内空間の床面と同じレベルに形成されている特許文献1記載の建物では、前記搬出作業を行うにあたり、高い位置にあるゴミ等の搬出物をグランドレベルの屋外に降ろすことを要するため、その作業が重労働となる。これに対し上記第1の発明によれば、収納室の床面が屋内空間の床面よりも低い位置となるため、収納室の搬出物を搬出口から屋外に搬出するゴミ等の搬出作業を軽減できる。
【0009】
第2の発明では、前記収納室の床面は屋外の地面と略同一高さであることを特徴とするので、前記ゴミ等の搬出作業をより一層軽減できる。特に、第3の発明では、前記収納室には、前記投入口から投入された搬出物をストックするストッカが設置されており、前記ストッカは、底部に車輪を有し、前記搬出口から屋外に搬出可能な可搬式であることを特徴とする。そのため、車輪を転がしてストッカを搬出口から屋外に搬出することで、収納室の搬出物を屋外に搬出することができるので、ゴミ等の搬出作業をより一層軽減できる。
【0010】
第4の発明では、前記収納構造体は、前記建物本体のうち屋外側に張り出した出窓又は外壁の下方に設けられていることを特徴とする。これによれば、出窓又は外壁の下方空間を、収納構造体の設置スペースとして有効利用できる。
【0011】
第5の発明では、前記投入口を開閉する投入口扉体、及び前記搬出口を開閉する搬出口扉体を備え、前記投入口扉体及び前記搬出口扉体のうちいずれか一方の扉体が施錠されていることを条件として、他方の扉体の解錠を許可するよう構成されていることを特徴とする。これによれば、投入口への投入作業及び搬出口からの搬出作業を可能にしつつ、両扉体が同時に解錠した状態を無くすことができるので、例えば施錠し忘れた場合等であっても、両扉体のいずれか一方は施錠された状態となっているので、屋外からの侵入を企む者が、搬出口、収納室、投入口、屋内といった経路で侵入することに対する防犯性を向上できる。
【0012】
さらに、このような防犯性を向上すべく、第6の発明では、前記収納室を監視するカメラを備えることを特徴とし、第7の発明では、予め設定された高さ以上の物体が前記収納室に存在するか否かを感知し、感知した場合に警報を行う警報機を備えることを特徴とする。また、第8の発明では、前記投入口を開閉する投入口扉体、及び前記搬出口を開閉する搬出口扉体と、住人に携帯される携帯型送信機から送信された個人識別情報を受信可能な受信機と、前記受信機により受信した前記個人識別情報が予め設定された情報と一致した場合に認証する認証手段と、を備え、前記認証手段により認証された場合に、前記投入口扉体及び前記搬出口扉体の少なくとも一方の扉体の解錠を許可することを特徴とする。
【0013】
上記第1の発明では、収納室の床面を屋内空間の床面よりも低い位置にすることで、収納室の搬出物を屋外に搬出する作業の軽減を図るものであるため、収納室の収納物は、投入口から屋内に戻すことのない物が望ましい。すなわち、第9の発明の如く、前記収納室は、廃棄物を一時的に保管する廃棄物保管室であることを特徴とすることが望ましい。
【0014】
第10の発明では、複数の建物ユニットを個別に製造するとともに、それらの建物ユニットを結合して前記建物本体を構築するユニット建物に適用され、前記建物ユニットのいずれかに前記収納構造体が一体に設けられるとともに、該収納構造体のうち前記建物ユニットの底部から下方に突出する部分を、同建物ユニットの底部よりも上方に除けることを可能としたことを特徴とする。
【0015】
ここで、個別に製造された建物ユニットを製造工場から建物の建築現場に搬送するにあたり、収納構造体が建物ユニットの底部から下方に突出した状態ではトラック等の運搬車両の荷台に積載することが困難となる。これに対し、上記第10の発明では、収納構造体のうち前記下方に突出する部分を建物ユニットの底部よりも上方に除けさせた状態にできるので、このように除けさせた状態でトラック等の荷台に積載することで、当該積載を容易にできる。
【0016】
上記「除けることを可能とした」との具体的構成例として、次の発明が挙げられる。すなわち、第11の発明では、前記収納構造体に蝶番を設け、前記収納構造体のうち前記突出する部分を折り曲げ可能とすることで、前記除けることを可能としたことを特徴とする。また、第12の発明では、前記収納構造体のうち前記突出する部分を前記建物ユニットの上下方向にスライド可能に構成することで、前記除けることを可能としたことを特徴とする。
【0017】
第13の発明では、前記収納構造体のうち前記除けることを可能とした部位(以下、シフト可能部位と呼ぶ)は、前記搬出口を開閉する搬出口扉体となることを特徴とする。これによれば、シフト可能部位を搬出口扉体として利用できるので、シフト可能部位とは別に搬出口扉体を形成した場合に比べて収納構造体の構造を簡素にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る建物1は、複数の建物ユニット10,20を互いに組み付けて構成されるユニット式の建物(ユニット建物)である。建物ユニット10(建物本体)は1階の屋内空間10aを形成し、建物ユニット20は2階の屋内空間20aを形成するものである。そして、各々の建物ユニット10,20は、ユニット建物1の建築現場とは別の場所にある工場で行われ、工場にて生産された建物ユニット10,20をトラック等の運搬車両により建築現場に運搬し、建築現場にて複数の建物ユニット10,20を互いに組み付ける作業を行う。
【0020】
図3は、建物ユニット10のうち柱及び梁のみを模式的に示す斜視図である。当該図3に示すように、建物ユニット10は、上下方向に延びる複数本の柱11を備えており、複数本の柱11の下端部は複数本の床大梁12により互いに連結され、複数本の柱11の上端部は複数本の天井大梁13により互いに連結されている。換言すれば、複数本の柱11、床大梁12及び天井大梁13により略直方体の枠状に形成されている。
【0021】
これらの柱11、床大梁12及び天井大梁13は金属製であり、これらの各々は溶接により結合されている。例えば、柱11には角形鋼が用いられ、床大梁12及び天井大梁13には溝形鋼を用いて好適である。但し、図3では、これら角形鋼や溝形鋼の形状を1本の直線で模式的に図示している。また、建物ユニット10は前記柱11及び梁12,13に支持される外壁14を備えているが、図3では外壁の図示を省略している。柱11及び梁12,13を溶接して連結する作業及び外壁を組み付ける作業は工場にて行われ、建築現場においては、床大梁12を基礎コンクリート30(布基礎)の上に設置して固定する作業が行われる。
【0022】
建物ユニット10の外壁14には、図3中の二点鎖線に示す出窓ユニット15が組み付けられる窓用開口部14aが形成されている。具体的には、上下方向に延びる一対の縦桟16及び横桟17に囲まれた部分により窓用開口部14aは形成されている。また、外壁14のうち窓用開口部14aの下方部分には、後述するゴミ投入口として機能する開口部14bが形成されている。当該開口部14bは、上下方向に延びる一対の縦桟16、横桟17及び床大梁12に囲まれた部分(図3中の斜線を付した部分)により形成されている。
【0023】
建物ユニット10の開口部14bには、収納構造体40が組み付けられている。収納構造体40は、外壁14の屋外側に位置する仕切り板41,42,43を備えている。具体的には、外壁14から垂直に延出する一対の仕切り板41と、これらの仕切り板41の端部を連結するとともに外壁14に対して平行に拡がる仕切り板42と、これらの仕切り板41,42の上端部を連結する仕切り板43と、から収納構造体40は構成されている。そして、これらの仕切り板41,42,43により囲われた内部にてゴミ収納室40aが形成されている。
【0024】
屋外には、例えばコンクリートやモルタル等の土間31が形成されており、土間31の床面31aがゴミ収納室40aの床面を構成している。また、土間31の床面31aと仕切り板41,42の下端との間にはクリアランスCLが形成されている。このようにクリアランスCLを形成することで、建物ユニット10及び仕切り板41,42の上下方向寸法誤差及び基礎コンクリート30のレベル施工誤差等を吸収している。
【0025】
前述した開口部14b(ゴミ投入口)は、屋内空間10aとゴミ収納室40aとを連通しており、ゴミ投入口14bからゴミ収納室40aにゴミを投入可能に構成されている。また、仕切り板41には、ゴミ収納室40aと屋外とを連通させるゴミ搬出口41aが形成されており、ゴミ収納室40aに投入されたゴミをゴミ搬出口41aから屋外に搬出可能に構成されている。
【0026】
ゴミ収納室40aには、ゴミ(搬出物)を収納してストックするストッカ44が設置されている。ストッカ44は、上方が開口した箱型容器であり、ゴミ投入口14bから投入されたゴミ(搬出物)は、ゴミ収納室40aに設置されたストッカ44内に収納される。ストッカ44の底部にキャスタ44a(車輪)を取り付けることで、ストッカ44を搬出可能な可搬式に構成している。具体的には、ゴミ収納室40a内のストッカ44を、キャスタ44aを床面31a上にて転がしながら手で引き出すことで、ゴミ搬出口41aから屋外にストッカ44を搬出できる。
【0027】
仕切り板41,42の外面は、出窓ユニット15の外面と略面一になるよう形成されている。また、仕切り板41,42の材質又は意匠を出窓ユニット15の材質又は意匠と統一することで、出窓ユニット15及び収納構造体40を統一感のある外観にすることが望ましい。なお、縦桟16、横桟17及び床大梁12のいずれかには、外壁14から略垂直に延出する複数本(図3の例では4本)の片持ち部材18が溶接又はボルト等により固定されている。そして、仕切り板41,42,43は、片持ち部材18に取り付けられて支持されている。仕切り板41,42,43及び片持ち部材18を建物ユニット10に取り付ける作業を製造工場にて行ってもよいし、建築現場にて行ってもよい。
【0028】
建物ユニット10には、ゴミ投入口14bを開閉する投入口扉体19が備えられている。投入口扉体19には断熱性を有する材質を採用することで、屋内空気と屋外空気が熱交換してしまうことを抑制して屋内の空調性向上を図ることが望ましい。また、投入口扉体19とゴミ投入口14bとの間には図示しないシール部材を介在させて密閉性を高め、ゴミ収納室40aのゴミから発生する悪臭が屋内に入ることを抑制することが望ましい。
【0029】
仕切り板42の上方部分には換気グリル45が取り付けられている。ゴミ収納室40a内のうち換気グリル45の近傍部分には、換気ファン46が備えられている。換気ファン46を駆動させることにより、前述のクリアランスCL等からゴミ収納室40a内に外気が導入されるとともに、換気グリル45からゴミ収納室40a内の悪臭が屋外に噴き出される。つまり、ゴミ収納室40a内は換気される。また、このように換気することで、夏季等にてゴミ収納室40a内の温度が上昇することを抑制し、悪臭発生を抑制する。ゴミ収納室40a内には殺菌灯47が設置されている。これにより、ゴミ収納室40a内のゴミ腐食による雑菌繁殖を抑制する。
【0030】
投入口扉体19には施解錠機構18aが備えられており、施解錠機構18aにて解錠しない限り投入口扉体19を開くことができないよう構成されている。また、ストッカ44の側面44bはゴミ搬出口41aを開閉する搬出口扉体として機能しており、ストッカ44には施解錠機構44cが備えられている。施解錠機構44cにて解錠しない限り搬出口扉体44bを開く(つまりストッカ44をゴミ搬出口41aから屋外に引き出して搬出する)ことができないよう構成されている。
【0031】
さらに、両施解錠機構18a,44cは、投入口扉体19及び搬出口扉体44bのうちいずれか一方の扉体が施錠されていることを条件として、他方の扉体の解錠を許可するよう構成されている。例えば、マイクロコンピュータを有するコントローラ50を備え、コントローラ50により両施解錠機構18a,44cの作動を電子制御するように構成し、コントローラ50が、前述の如く一方の扉体の施錠を条件として他方の扉体の解錠を許可するよう電子制御することが具体例として挙げられる。
【0032】
また、コントローラ50には、住人に携帯される携帯型送信機Kから送信されたID情報(個人識別情報)を受信可能な受信機(図示せず)が搭載されている。受信可能エリアに住人が居れば、コントローラ50はその住人が携帯する携帯型送信機KからID情報を取得することとなる。そして、コントローラ50(認証手段)は、取得したIDが予め登録されたIDと一致して認証されたことを条件として、各施解錠機構18a,44cの解錠作動を許可する。
【0033】
コントローラ50は、前述の換気ファン46及び殺菌灯47の作動を自動制御する。例えば、投入口扉体19及び搬出口扉体44bの両方が閉じられていることを検出すると、換気ファン46及び殺菌灯47を自動で駆動開始するように制御する。
【0034】
ゴミ収納室40aに屋内への侵入を企てる不審者が侵入していることを検知すべく、ゴミ収納室40aには図示しない赤外線センサやタッチセンサ等の不審者検出センサが設置されている。例えば、赤外線センサにより予め設定された高さ(想定されるゴミの上限高さ)以上の物体がゴミ収納室40aに存在するか否かを感知し、感知した場合にはその信号をコントローラ50に出力する。コントローラ50は前記センサからの感知信号を受信した場合に、警報装置51を作動させて警報音を発するように制御する。また、ゴミ収納室40aに監視カメラ52を設置して、不審者侵入を監視するようにしてもよい。
【0035】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0036】
(1)ゴミ収納室40aのゴミを搬出口41aから屋外に搬出するにあたり、先述した特許文献1の構成では、ゴミ収納室40aの床面31aを屋内の床面11aと同一高さ(フロアレベル)にしたフロアレベルに位置するゴミをグランドレベルに降ろすことを要するため、ゴミ搬出作業が重労働となっている。これに対し、上述した構成による本実施形態によれば、ゴミ収納室40aの床面31aは、屋外の土間31の床面31aにより構成されており、屋外のグランドレベルと同一高さである。よって、ゴミ収納室40aのゴミを搬出口41aから屋外に搬出するにあたり、ゴミを降ろす作業を不要にできるので、その搬出作業を軽減できる。
【0037】
(2)しかも、ゴミ収納室40aにはストッカ44が設置されており、ストッカ44の底部にはキャスタ44aが取り付けられているので、ゴミ収納室40a内のストッカ44を、キャスタ44aを床面31a上にて転がしながら手で引き出すことで、ゴミ搬出口41aから屋外にストッカ44を搬出できる。よって、ゴミ搬出作業をより一層軽減できる。
【0038】
(3)建物ユニット10から屋外側に張り出した出窓ユニット15の下方に収納構造体40を設けているので、出窓ユニット15の下方空間を収納構造体40の設置スペースとして有効利用できる。
【0039】
(4)両施解錠機構18a,44cは、投入口扉体19及び搬出口扉体44bのうちいずれか一方の扉体が施錠されていることを条件として、他方の扉体の解錠を許可するよう構成されている。これによれば、投入口扉体19及び搬出口扉体44bが同時に解錠した状態を無くすことができるので、例えば施錠し忘れた場合等であっても、両扉体19,44bのいずれか一方は施錠された状態となっているので、屋外からの侵入を企む者が、ゴミ搬出口41a、ゴミ収納室40a、ゴミ投入口14b、屋内空間10aといった経路で侵入することに対する防犯性を向上できる。
【0040】
(5)携帯型送信機Kから送信されたID情報が予め登録されたIDと一致して認証されたことを条件として、各施解錠機構18a,44cの解錠作動を許可するので、屋外からの侵入者が前記経路で侵入することに対する防犯性を向上できる。
【0041】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態において、収納構造体40(仕切り板41,42,43)及び片持ち部材18を建物ユニット10に取り付ける作業を製造工場にて行った場合、収納構造体40の一部が建物ユニット10の床大梁12(底部)から下方に突出することとなる。すると、建築現場に建物ユニット10を運搬すべくトラックの荷台に積載するにあたり、床大梁12を荷台に直接載せることができなくなるため、建物ユニット10の積載性が悪くなる。
【0042】
このような問題を解消すべく、図4に示す第2実施形態では、収納構造体40のうち床大梁12から下方に突出する部分(図4中の符号42a,41bに示す部分)を、床大梁12よりも上方へシフト可能となるよう構成している。具体的には、仕切り板41,42の上方部分と突出部分42a,41b(シフト可能部位)とを蝶番42b,41cで連結することで、突出部分42a,41bを上方部分に対して折り曲げ可能としている。図4中の2点鎖線は、上方に折り曲げる過程にある突出部分42a,41bを示している。
【0043】
これによれば、突出部分42a,41bを上方に折り曲げた状態で建物ユニット10をトラックの荷台に積載することができるので、床大梁12を荷台に直接載せることができる。よって、建物ユニット10の荷台への積載性を向上でき、ひいては建物ユニット10の運搬性を向上できる。なお、突出部分42a,41bを上方へシフト可能とする構成として、突出部分42a,41bを上方に折り曲げる構成に替え、上方にスライド移動させる構成にしてもよい。
【0044】
また、上記第1実施形態では、仕切り板41にゴミ搬出口41aを形成しているが、本実施形態では、突出部分41bを上方に折り曲げることで収納構造体40に開口する部分をゴミ搬出口として利用しており、突出部分41bがゴミ搬出口を開閉する搬出口扉体として機能する。
【0045】
これによれば、突出部分41bとは別に搬出口扉体を形成することを不要にできるので、収納構造体40の構造を簡素にできる。なお、施解錠機構44cを突出部分41bに備えて突出部分41bの折り曲げ作動に対して施解錠するように構成してもよいし、第1実施形態と同様にして施解錠機構44cをストッカ44に備え、ストッカ44のゴミ搬出口から屋外への引き出し作動に対して施解錠するように構成してもよい。
【0046】
[他の実施形態]
本発明は以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。そして、以下に説明する各実施形態の特徴的制御内容及び構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0047】
・上記第1実施形態では、ストッカ44の側面44bをゴミ搬出口41aの搬出口扉体として機能させているが、ゴミ搬出口41aを開閉する搬出口扉体をストッカ44とは別に設けるようにしてもよい。
【0048】
・収納構造体40の建物ユニット10への取り付け位置に関し、略直方体に形成された建物ユニット10の長手方向部分に収納構造体40を取り付けてもよいし、短手方向部分に収納構造体40を取り付けてもよい。
【0049】
・上記各実施形態では、収納構造体40により形成された内部空間を、廃棄物を一時的に保管する廃棄物保管室(ゴミ収納室40a)として利用しているが、本発明の実施にあたり、収納構造体40の内部空間は廃棄物保管室としての利用に限られるものではなく、例えば、荷物等を保管する保管室として利用してもよい。
【0050】
・上記各実施形態では、土間31の床面31aをゴミ収納室40aの床面として構成しているが、ゴミ収納室40aの床面として機能する板状部材を床面31aの上に設置するようにしてもよい。なお、当該板状部材は土間31の床面31aと同一レベルに設置することが望ましいが、屋内空間10aの床面11aより下方に位置していれば土間31の床面31aより高い位置に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る建物を模式的に示す斜視図。
【図2】図1の収納室にゴミを投入している時の状態を示す模式図。
【図3】図1の収納構造体の建物本体への取付構造を説明する模式図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る建物を模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0052】
10a…屋内空間、10…建物ユニット(建物本体)、40a…ゴミ収納室、40…収納構造体、41,42,43…仕切り板(収納構造体)、14b…開口部(ゴミ投入口)、41a…ゴミ搬出口、31a…土間の床面(収納室の床面)、11a…屋内空間の床面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内空間を形成する建物本体と、
前記建物本体に設けられ、収納室を形成する収納構造体と、
を備え、
前記建物本体には、前記屋内空間と前記収納室とを連通させる投入口が形成されており、
前記収納構造体には、前記収納室と屋外とを連通させる搬出口が形成されており、
前記収納構造体は、前記収納室の床面が前記屋内空間の床面よりも低い位置となるよう前記建物本体に設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
前記収納室の床面は屋外の地面と略同一高さであることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記収納室には、前記投入口から投入された搬出物をストックするストッカが設置されており、
前記ストッカは、底部に車輪を有し、前記搬出口から屋外に搬出可能な可搬式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記収納構造体は、前記建物本体のうち屋外側に張り出した出窓又は外壁の下方に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の建物。
【請求項5】
前記投入口を開閉する投入口扉体、及び前記搬出口を開閉する搬出口扉体を備え、
前記投入口扉体及び前記搬出口扉体のうちいずれか一方の扉体が施錠されていることを条件として、他方の扉体の解錠を許可するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の建物。
【請求項6】
前記収納室を監視するカメラを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の建物。
【請求項7】
予め設定された高さ以上の物体が前記収納室に存在するか否かを感知し、感知した場合に警報を行う警報機を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載に記載の建物。
【請求項8】
前記投入口を開閉する投入口扉体、及び前記搬出口を開閉する搬出口扉体と、
住人に携帯される携帯型送信機から送信された個人識別情報を受信可能な受信機と、
前記受信機により受信した前記個人識別情報が予め設定された情報と一致した場合に認証する認証手段と、
を備え、
前記認証手段により認証された場合に、前記投入口扉体及び前記搬出口扉体の少なくとも一方の扉体の解錠を許可することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の建物。
【請求項9】
前記収納室は、廃棄物を一時的に保管する廃棄物保管室であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の建物。
【請求項10】
複数の建物ユニットを個別に製造するとともに、それらの建物ユニットを結合して前記建物本体を構築するユニット建物に適用され、
前記建物ユニットのいずれかに前記収納構造体が一体に設けられるとともに、該収納構造体のうち前記建物ユニットの底部から下方に突出する部分を、同建物ユニットの底部よりも上方に除けることを可能としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の建物。
【請求項11】
前記収納構造体に蝶番を設け、前記収納構造体のうち前記突出する部分を折り曲げ可能とすることで、前記除けることを可能としたことを特徴とする請求項10に記載の建物。
【請求項12】
前記収納構造体のうち前記突出する部分を前記建物ユニットの上下方向にスライド可能に構成することで、前記除けることを可能としたことを特徴とする請求項10に記載の建物。
【請求項13】
前記収納構造体のうち前記除けることを可能とした部位は、前記搬出口を開閉する搬出口扉体となることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−179985(P2009−179985A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18947(P2008−18947)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】