説明

建築物の制震構造

【課題】土台への加工が容易であると共に、振動吸収材を大型にしても土台強度に影響を与えることがない建築物の制震構造を提供すること。
【解決手段】地震の際に基礎1と土台2との間に設置した振動吸収材7にて振動を吸収する建築物の制震構造において、土台は、中空部21を有する金属製押出形材からなり、下面に振動吸収材収容孔23が開けられ、振動吸収材7は、土台の振動吸収材収容孔より中空部に振動吸収可能に収容される。地震の際に土台に伝わる横方向及び上下方向の振動を振動吸収材が吸収可能であるので建築物の制震が行える。また、土台下面に振動吸収材収容孔を開けるだけで振動吸収材を中空部内に挿入ができる。土台を構成する金属製押出形材が、中空部にリブを有する場合は、このリブの振動吸収材収容孔に対応し切除した端面が中空部に収容された振動吸収材と当接して土台の長手方向の振動を振動吸収材で吸収可能させて建築物の制震が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震の発生による振動が基礎から土台へ伝播する際に該振動を吸収減衰し土台の振動を抑制する建築物の制震構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に住宅などの建築物の土台構造は、鉄筋入りコンクリートの基礎を築き、この基礎には柱材の立設位置を外してアンカーボルトを立設し、このアンカーボルトにスペーサの孔を被嵌して該スペーサを基礎上に載置すると共に、柱材の立設位置にもスペーサを基礎上に載置する。そして、アンカーボルトに土台のボルト通し孔を被嵌して該土台を基礎上に載置し、アンカーボルトに座金を被嵌しナットを螺合し締め付けることで、基礎上に土台を固定し、土台に設けたほぞ孔に柱材の下端に設けるほぞを嵌入して該柱材を立設する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記構成では、地震によって発生した振動は、基礎及びアンカーボルトを介して建築物の土台に伝わってしまい、これにより建築物がダメージを受けてしまうという問題点があった。
【0004】
そこで従来において、基礎上部の建築物等への振動の伝播を遮断する、いわゆる免震技術や、基礎及び建築物に伝播した振動を吸収する、いわゆる制震技術として、ローラや球体を用いたスリップ方式や積層ゴム支承を用いた弾性支持方式構造が複数開発されている。具体的には、積層ゴム支承と水平方向の相対振動を吸収するための弾塑性ダンパーを組み合わせた免震構造が開示され(例えば、特許文献2参照)、また、アンカーボルトを支承する免震構造や制震構造が開示されている(例えば、特許文献3,4参照)。しかし、これらは、重量建造物向きであり、一般住宅等の軽量建造物には必要設置面積やコスト面において適さない。
【0005】
そこで、一般住宅等の軽量建造物への適用に適している制震技術として、木製の土台のアンカーボルトによる固定位置に弾性体挿入孔を貫通して設け、この弾性体挿入孔に下からアンカーボルトを孔中心に位置させるように土台を載置し、この弾性体挿入孔に上から弾性体を圧入しかつ該弾性体の中心を貫通しているボルト通し孔にアンカーボルトを通し、該弾性体の上端の鍔部を土台上面に当てて座金とナットとでアンカーボルトを固定した構成が開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、補強鉄板をモールドした平板方形弾性ゴム体と、該平板方形弾性ゴム体の円形孔に鉄製補強リングをモールドした円筒形弾性ゴム体を嵌合してなる複合型弾性体を、基礎と土台との間に設け、かつ円筒形弾性ゴム体を土台の下面に座繰った円筒孔に嵌合し、基礎に突設したアンカーボルトを円筒形弾性ゴム体に設けたボルト通し孔に通してアンカーボルトの頭部に座金とナットを締め付けた構成が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開2006−207208号公報
【特許文献2】特開平2−200925号公報
【特許文献3】実用新案登録第303615号公報
【特許文献4】実用新案登録第3034049号公報
【特許文献5】実用新案登録第3093003号公報
【特許文献6】特開2002−213103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献5や特許文献6に記載の技術では、弾性体を配設するために土台材(木材)に切欠き部を設ける必要があるので、加工費が嵩むという問題があり、また、より大きなエネルギー吸収機能を持たせるために弾性体を大きくすると、切欠き部も大きくなり、土台材の強度が弱くなるという問題があった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、土台への加工が容易であると共に、振動吸収材を大型にしても土台強度に影響を与えることがない建築物の制震構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、地震の際に基礎と土台との間に設置した振動吸収材にて振動を吸収する建築物の制震構造であって、前記土台は、中空部を有する金属製押出形材からなり、下面に振動吸収材収容孔が開けられ、前記振動吸収材は、前記土台の振動吸収材収容孔より中空部内に収容され、振動吸収可能に前記基礎により支持される建築物の制震構造としたことを特徴とする。ここで、金属製押出形材とは、アルミニウム製、アルミニウム合金製、及び鋼製を含み、リブなし角筒とリブあり角筒とを含むものとする。
【0009】
このように構成することにより、地震の際に土台に伝わる該土台の横方向の振動を振動吸収材が吸収可能であるので建築物の制震が行える。そして、土台下面に振動吸収材収容孔を開けるだけで振動吸収材の挿入ができるので施工効率が向上すると共に、土台の上面と側面を加工しないから、振動吸収材を大型にしても土台強度に影響を与えることがない。
【0010】
この発明は、上記構成に加え、前記土台を構成する金属製押出形材が、前記土台を構成する金属製押出形材は、前記中空部にリブを有し、このリブの前記振動吸収材収容孔に対応し切除した端面が前記中空部内に収容された前記振動吸収材と当接している構成であるのが良い(請求項2)。
【0011】
このように構成することにより、振動吸収材は土台のリブによって長手方向の移動を拘束されているから、地震の際に土台に伝わる該土台の長手方向の振動を振動吸収材が吸収可能であるので建築物の制震が行える。
【0012】
また、この発明は、上記構成に加え、前記振動吸収材が、前記基礎上に突設されたアンカーボルトにより固定されている構成であるのが良い(請求項3)。
【0013】
このように構成することにより、振動吸収材を基礎上に突設されたアンカーボルトによって固定することができるので、振動吸収材の位置ずれや外れがなくなり、エネルギー吸収効率が向上する。
【0014】
また、前記振動吸収材と前記基礎との間にスペーサが設けられ、前記振動吸収材は、前記スペーサにより前記土台の振動吸収材収容孔より中空部内に収容された構成であるのが良い(請求項4)。
【0015】
このように構成することにより、振動吸収材を土台の中空部内に収容し、スペーサによって閉塞することができる。
【0016】
また、この発明は、上記構成に加え、前記土台は、前記振動吸収材収容孔の形状に対応する振動吸収材収容空間が形成され、前記振動吸収材収容空間内における前記土台の長手方向の対向する両側に拘束部材を固定すると共に、両拘束部材間に、前記振動吸収材を密着状態に収容するか(請求項5)、あるいは、前記振動吸収材収容空間内に枠状の拘束部材を固定すると共に、この枠状拘束部材の内方に、前記振動吸収材を全周密着状態に収容する方が良い(請求項6)。
【0017】
このように構成することにより、振動吸収材収容空間内に固定される拘束部材と振動吸収材とを密着状態にすることができ、土台の長手方向における振動吸収材の拘束を確実にすることができると共に、振動吸収材が破損するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0019】
(1)請求項1記載の発明によれば、土台を金属製中空押出形材とすることで、土台下面に振動吸収材収容孔を開けるだけでエネルギーを吸収し減衰させる振動吸収材の挿入ができるので、施工効率が向上する。また、土台の上面と側面を加工しないから、振動吸収材を大型にしても土台強度に影響を与えることがない。
【0020】
(2)請求項2記載の発明によれば、振動吸収材はリブによって長手方向の移動を拘束されているから、土台の長手方向に振動が加わっても吸収可能であり、上記(1)に加えて、更にエネルギー吸収効率の向上が図れる。
【0021】
(3)請求項3記載の発明によれば、振動吸収材が基礎上に突設されたアンカーボルトにより固定することで、振動吸収材の位置ずれや外れがなくなり、エネルギー吸収効率が向上するので、上記(1),(2)に加えて、更に制震構造の施工を容易にすることができると共に、強度の向上が図れる。
【0022】
(4)請求項4に記載の発明によれば、振動吸収材が土台の中空部内に収納されスペーサで閉塞することで、該振動吸収材を雨や日光等の外部環境に晒すことを回避できて劣化を防止できるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に振動吸収材の寿命の増大を図ることができる。
【0023】
(5)請求項5,6記載の発明によれば、土台の長手方向における振動吸収材の拘束を確実にすることができると共に、振動吸収材が破損するのを防止することができるので、上記(1)〜(4)に加えて、更にエネルギー吸収効率の向上及び振動吸収材の寿命の増大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態に係る制震構造を採用した建築物の立柱構造を示す斜視図であり、図2は、図1の一部拡大図、図3は、建築物の制震構造の構成要素をアンカーボルトの軸線上に並べた分解斜視図、図4は、制震構造部分の縦断面図である。
【0026】
この第1実施形態の建築物の制震構造は、鉄筋入りコンクリートで築かれる基礎1と、基礎1上に設置される土台2と、土台2上に立設される柱材3と、土台2と柱材3とを固定するT字形ブロック4と、柱材3間に対応し基礎1上に立設され土台2を固定するアンカーボルト5と、アンカーボルト5に固定され基礎1と土台2との間に設置されるスペーサ6とを有する建築物に適用される。
【0027】
柱材3は、木材であり下端にほぞ溝3aを有しかつほぞ溝3aを横切ってピン通し孔3bを有する。T字形ブロック4には、垂直面部4bの上部に、中空部を横切る水平方向にピン通し孔(図示せず)を有する。そして、T字形ブロック4の垂直面部4bを土台2に穿設された貫通孔に嵌挿され、土台2上面より突出した上部に、柱材3の下端のほぞ溝3aを被嵌し、かつ、この嵌合において一致するピン通し孔3bとT字形ブロック4のピン通し孔(図示せず)とにピン14が打ち込み連結され、もって土台2と柱材3とを連結している。
【0028】
従って、上記構成の建築物の立脚構造は、土台2に強度と耐久性を付与してあると共に、土台2と柱材3との結合強度、施工性が高められている。
【0029】
この制震構造は、基礎1上に立設されるアンカーボルト5と、基礎1と土台2との間に設置されるスペーサ6と、土台2に設けられる振動吸収材収容孔23と、座金8と、ナット9とで構成される。
【0030】
この制震構造は、上記の建築物の立柱構造に対して、地震の発生による振動が基礎1から土台2へ伝播する際に、該振動を振動吸収材7にて吸収減衰して土台2の振動を制震し、振動が柱材3に伝達され難くする構造である。
【0031】
この実施形態では、土台2は、3つの中空部21と2つの縦リブ22とを有するアルミニウム合金製中空押出形材が使用される。土台2は、上面に穿設された長孔24と下面に穿設された振動吸収材収容孔23とが対向し、振動吸収材収容孔23に対応して縦リブ22が切除されて振動吸収材収容空間25が形成されている。振動吸収材7は、耐久性及び弾性が大きく、振動吸収性が高い材料、例えば、ネオプレンゴム等で中心に小孔7aを有する円筒状に形成され、土台2の振動吸収材収容孔23より中空部21に収容され、中心の小孔7aにアンカーボルト5が通される。そして、アンカーボルト5のねじ部が土台2の長孔24より突出され、該ねじ部5aに座金8が被嵌されナット9が締め付けられる。従って、基礎1に固設されたアンカーボルト5と、土台2の中空部21内に収容抱持された振動吸収材7との嵌合を介して、基礎1と土台2とが連結されている。
【0032】
スペーサ6には、3つの中空部6aと縦リブ6bとを有し、強度及び耐久性を備えたアルミニウム合金製中空押出形材を短矩形に切断し長孔6cを穿設してなる。土台2の上面に形成された長孔24の長軸方向及びスペーサ6の長孔6cの長軸方向が土台2の長尺方向に一致されている。従って、土台2は、上面に長孔24を有し下面に振動吸収材収容孔23を有することにより、基礎1上に設置するに際してアンカーボルト5に対する位置の融通性を有すると共に、地震時にスペーサ6が土台2と一体に土台2の長尺方向に振動することを保障する。
【0033】
第1実施形態によれば、基礎1に固定されたアンカーボルト5と土台2に固定された振動吸収材7とが嵌挿されているから、基礎1から土台2に伝播する振動は振動吸収材7で吸収減衰されるので、土台2に伝わる水平二次元方向の振動を吸収することができる。これにより、建築物に制震機能を付与することができる。そして、土台2を中空部を有する押出形材の上面には長孔24を開け、下面には振動吸収材収容孔23を開け、振動吸収材7の挿入・組み付けが容易であり施工効率が向上すると共に、土台2の側面を加工しないから、振動吸収材7を大型にしても土台強度に影響を与えることがない。土台2を非木材とし、アルミニウム合金製中空押出形材とすることで、耐久性と必要強度を確保し、土台2下面に振動吸収材収容孔23を開けるだけでエネルギーを吸収し減衰させる振動吸収材7の挿入ができるので、施工効率が向上する。更に、土台2の上面と側面を加工しないから、振動吸収材7を大型にしても土台強度に影響を与えることがない。
【0034】
また、第1実施形態によれば、振動吸収材7はリブ22によって長手方向の移動を拘束されているから、土台2の長手方向に振動が加わっても吸収可能である。
【0035】
また、第1実施形態によれば、振動吸収材7が基礎1上に突設されたアンカーボルト5により固定されているから、振動吸収材7の位置ずれや外れがなくなり、エネルギー吸収効率が向上する。
【0036】
更に、第1実施形態によれば、振動吸収材7が土台2の中空部21内に収納されスペーサ6で閉塞されるから、該振動吸収材7を雨、日光等の外部環境に晒すことを回避できて劣化を防止できる。
【0037】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る建築物の制震構造の構成要素の分解斜視図である。この実施形態では、土台2Bの下面に開ける振動吸収材収容孔23Bを正方形の角孔とし、かつ、リブ22を振動吸収材収容孔23Bの形状に対応して切除して振動吸収材収容空間25Bを形成し、振動吸収材収容空間25B内に立方体形状の振動吸収材7Bを土台2Bの両側の内側面に密着状態に、かつリブ22とも密着して収容し、この振動吸収材7Bの小孔7aに嵌挿するアンカーボルト5を支持する点が第1実施形態とは相違している。
【0038】
この実施形態によれば、基礎1に固定されたアンカーボルト5と土台2Bに固定された振動吸収材7Bとが嵌挿されているから、基礎1から土台2Bに伝播する振動は振動吸収材7Bで吸収減衰されるので、土台2Bに伝わる水平二次元方向の振動を吸収することができる。これにより、建築物に制震機能を付与することができる。
【0039】
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0040】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る建築物の制震構造の要部水平断面図である。この実施形態では、土台2Cの下面に開設する振動吸収材収容孔23Cを長方形の孔とし、かつ、リブ22を振動吸収材収容孔23Cの形状に対応して切除して振動吸収材収容空間25Cを形成し、振動吸収材収容空間25C内の両側に拘束部材であるストップブロック10を収容してねじ11で固定し、両ストップブロック10間と土台2Cの両側片間に、直方体形状の振動吸収材7Cを全周密着状態に収容し、この振動吸収材7Cの小孔7aに嵌挿するアンカーボルト5を支持する点が第1実施形態とは相違している。
【0041】
この実施形態によれば、基礎(図示せず)に固定されたアンカーボルト5と土台2Cに固定されたストップブロック10に挟持された振動吸収材7Cとが嵌挿されているから、基礎から土台2Dに伝播する振動は振動吸収材7Cで吸収減衰されるので、土台2Cに伝わる水平二次元方向の振動を吸収することができる。これにより、建築物に制震機能を付与することができる。なお、この場合、振動吸収材7Cは少なくとも両ストップブロック10に密着状態に収容されていれば、振動吸収材7Cを土台2Cの長手方向に拘束することができる。また、ストップブロック10の存在により、振動吸収材7Cがリブ22によって破壊されない。
【0042】
なお、図6では、土台2Cがリブ22を有するアルミニウム合金製中空押出形材にて形成される場合について説明したが、リブなしの中空押出形材にて形成する場合でも、同様に、両ストップブロック10間と土台2Cの両側片間に振動吸収材7Cを全周密着状態に収容することができる。
【0043】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係る建築物の制震構造の要部水平断面図である。この実施形態では、土台2Dの下面に開ける振動吸収材収容孔23Dを正方形の孔とし、かつ、リブ22を振動吸収材収容孔23Dの形状に対応して切除し、拘束部材である矩形枠ブロック12を収容してねじ13で固定し、矩形枠ブロック12内に直方体形状とした振動吸収材7Dを全周密着状態に収容し、この振動吸収材7Dの小孔7aに嵌挿するアンカーボルト5を支持する点が第1実施形態とは相違している。
【0044】
第4実施形態によれば、基礎(図示せず)に固定されたアンカーボルト5と土台2Dに固定された矩形枠ブロック12に抱持された振動吸収材7Dとが嵌挿されているから、基礎から土台2Dに伝播する振動は振動吸収材7Dで吸収減衰されるので、土台2Dに伝わる水平二次元方向の振動を吸収することができる。これにより、建築物に制震機能を付与することができる。また、第4実施形態によれば、矩形枠ブロック12と振動吸収材7Dとをユニット化しやすくできると共に、ねじ13を螺入する箇所に自由度を持たせることができる。
【0045】
なお、図7では、土台2Dがリブ22を有するアルミニウム合金製中空押出形材にて形成される場合について説明したが、リブなしの中空押出形材にて形成する場合でも、同様に、矩形枠ブロック12内に振動吸収材7Dを全周密着状態に収容することができる。
【0046】
<その他の実施形態>
上記第1ないし第4の実施形態では、土台2,2B〜2Dについて、いずれも縦リブ22を有するアルミニウム合金製中空押出形材を用いたが、金属製中空押出形材、具体的には、縦リブを有しない角筒鋼管を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態に係る建築物の制震構造を示す斜視図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図1の建築物の制震構造の構成要素の分解斜視図である。
【図4】図1の建築物の制震構造の要部断面図である。
【図5】第2実施形態に係る建築物の制震構造の構成要素の分解斜視図である。
【図6】第3実施形態に係る建築物の制震構造の要部水平断面図である。
【図7】第4実施形態に係る建築物の制震構造の要部水平断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基礎
2,2B,2C,2D 土台
21 中空部
22 縦リブ
23,23B,23C,23D 振動吸収材収容孔
25,25B,25C,25C 振動吸収材収容空間
3 柱材
5 アンカーボルト
6 スペーサ
7,7B,7C,7D 振動吸収材
10 ストップブロック(拘束部材)
12 矩形枠ブロック(拘束部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の際に基礎と土台との間に設置した振動吸収材にて振動を吸収する建築物の制震構造であって、
前記土台は、中空部を有する金属製押出形材からなり、下面に振動吸収材収容孔が開けられ、
前記振動吸収材は、前記土台の振動吸収材収容孔より中空部内に収容され、振動吸収可能に前記基礎により支持される、
ことを特徴とする建築物の制震構造。
【請求項2】
前記土台を構成する金属製押出形材は、前記中空部にリブを有し、このリブの前記振動吸収材収容孔に対応し切除した端面が前記中空部内に収容された前記振動吸収材と当接している、
ことを特徴とする請求項1に記載の建築物の制震構造。
【請求項3】
前記振動吸収材は、前記基礎上に突設されたアンカーボルトにより固定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物の制震構造。
【請求項4】
前記振動吸収材と前記基礎との間にスペーサが設けられ、
前記振動吸収材は、前記スペーサにより前記土台の振動吸収材収容孔より中空部内に収容される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の建築物の制震構造。
【請求項5】
前記土台は、前記振動吸収材収容孔の形状に対応する振動吸収材収容空間が形成され、
前記振動吸収材収容空間内における前記土台の長手方向の対向する両側に拘束部材を固定すると共に、両拘束部材間に、前記振動吸収材を密着状態に収容してなる、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の建築物の制震構造。
【請求項6】
前記土台は、前記振動吸収材収容孔の形状に対応する振動吸収材収容空間が形成され、
前記振動吸収材収容空間内に枠状の拘束部材を固定すると共に、この枠状拘束部材の内方に、前記振動吸収材を全周密着状態に収容してなる、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の建築物の制震構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−52237(P2009−52237A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218523(P2007−218523)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】