説明

建築物の外壁構造

【課題】 ガラスを用いた外壁構造において、特に、軽量で、地震等に強く、更に建築後に外部のシール材等の損傷が発生しにくく、外側からのメンテナンスフリーな壁構造が求められてきた。
特に中層・高層建築、超高層建築では、外壁の面積が、非常に大きくなり、定期的な外側のメンテナンスには、非常にコストが掛かるため、その解決が大きな課題となっていた。
更に、機密性、断熱性を、保持しながら、結露や通気性の良好な構造が求められており、地球温暖化を防止する省エネルギー建築や快適な室内環境を求めるための壁構造が求められている。
【解決手段】 ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、ガラス板と外側押え板との間には、シール材が設けられており、外側押え板は、締結具により取付材に締結され、シール材が圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、採光性や視認性を高めると共に、近代的外観を持ったガラスを用いた外壁構造が求められている。
特に、軽量で、地震等に強く、更に建築後に外部のシール材等の損傷が発生しにくく、外側からのメンテナンスフリーな壁構造が求められてきた。
特に中層・高層建築や、超高層建築では、外壁の面積が、非常に大きくなり、定期的な外側のメンテナンスには、非常にコストが掛かるため、その解決が大きな課題となっていた。
【0003】
そして、更に、機密性、断熱性を、保持しながらシックハウスの原因となる結露や通気性の良好な構造が求められており、地球温暖化を防止する省エネルギ建築や快適な室内環境を求めるための断熱構造が求められている。
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題点をすべて解決すると共に、簡単な構造で長寿命を達成でき、維持管理が容易な、かつ建設費が安価なガラス外壁構造を用いた建築物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板と外側押え板との間には、シール材が設けられており、外側押え板は、締結具により取付材に締結され、シール材が圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されており、弾性密封材は、二次シールとして構成されていることを特徴とする建築物の外壁構造を提供する。
【0007】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
予め、ガラス板と、シール材と、弾性密封材と、外側押え板とを、締結具により、取付 材に締め付け一体化したカーテン・ウォール構造となっており、
予め組立てられた第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材は上部材に、下辺取付材は下部材に、カーテン・ウォール締結具により強固に締結固定し、上部材、及び下部材は支持梁に固定されており、
第1カーテン・ウォール構造の隣に密着して、第2カーテン・ウォール構造を、同様に、上部材、及び下部材に固定し、この手順を繰り返して、第3カーテン・ウォール構造、第4カーテン・ウォール構造等の外壁を順次取付けていくことを特徴とする請求項1記載の建築物の外壁構造を提供する。
【0008】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造の取付方法であって、
少なくとも、
第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材と、下辺取付材は、予め弾性密封材、及びシール材が圧縮されて、締結具により外気とのシール性を保持した構成を、製作しておく工程と、
組立てられた第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材は上部材に、下辺取付材は下部材に、カーテン・ウォール締結具により強固に締結固定し、支持梁に固定される工程と、
第1カーテン・ウォール構造の隣に密着して、第2カーテン・ウォール構造を、同様に上部材、及び下部材に固定する工程と、
この手順を繰り返して、第3カーテン・ウォール構造、第4カーテン・ウォール構造と、順次取付けていく工程とを有する請求項1、又は請求項2記載の外壁構造を特徴とする建築物の外壁構造の取付方法を提供する。
【0009】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板と外側押え板との間には、シール材が設けられており、外側押え板は、締結具により取付材に締結され、シール材が圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されており、弾性密封材、及び/又は側面シール材は、ガラス板の内壁側に施工され、二次シールとして構成されていることを特徴とする建築物の外壁構造を提供する。
【0010】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
前記シール材、及び前記側面シール材の材質は、鉛、又は鉛合金、又は銅合金、又はハンダ材等の軟質金属であることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4記載の建築物の外壁構造を提供する。
【0011】
ガラス板は、強度のある強化ガラス、又は網入り硝子、又はポリカーボネイト樹脂、又はアクリル樹脂等の合成樹脂板の材料であればいずれでもよく、
又、透光性のある材料、又はハーフミラー、又は遮光ガラス、又は調光性ガラス、又は、UVカットガラス等のいずれでも良く、
又、厚さも自由に設定できるので、構造的にも、複層ガラス、又は合わせガラス、又はブラインド入りガラス、又は強化ガラスファサードシステム等の厚さのある構造であることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4、又は請求項5記載の建築物の外壁構造を提供する。
【0012】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板とボード等との間の空間には、ディスプレーを表示できる映像パネル24、又は太陽光発電パネル、及び/又はLED灯、又は蛍光灯、又は白熱灯等の灯具を設置したり、及び/又は造形物を設置したり、及び/又はボード等の外面に、デザインを表現することにより、壁面ディスプレーを構成したことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6記載の建築物の外壁構造を提供する。
【発明の効果】
【0013】
1)採光性や視認性を高めると共に、近代的外観を持ったガラスを用いた外壁構造であっ て、軽量で、地震等に強く、更に建築後に外部のシール材等の損傷が発生しにくく、外 側からのメンテナンスフリーなガラス外壁構造を用いた建築物を提供する。
2)構造が簡単であるため高価な材料が必要でなく施工が、簡単にできるため、建設費が 安価であるという際立った特徴を有している。
3)特に外側のメンテナンスがフリーのため、点検、補修工事が必要なく多額の費用が発 生する外部足場を必要としないため、省資源、省エネルギであることより、地球温暖化 防止に寄与できる。
4)建物の構造は、ラーメン構造、トラス構造、木造、ツーバイフォー木造、鉄骨造、R C造、SRC造、等といずれでもよい。
5)シール材5、5aの材質は、軟質金属の鉛又は鉛合金、又は銅合金、又は、ハンダ材 等、及び/又は、対候性の合成樹脂が用いられ、弾性を有しながらガラス板2を傷つけ ない軟質材となっている。
6)軟質金属は、中世よりステンドグラスの材料として何世紀も使用されてきており、極 めて安定した素材である。又、不燃性材料である。
7)空間9は、空気の流通が可能な空間となっているため通気層として、断熱効果を発揮 したり、結露防止のため水分を除去でき、又冬季においては、暖気を流通し、夏季にお いては冷気を流通することにより、結露防止、断熱、冷暖気効果を発揮することができ る。
8)カーテン・ウォール構造とすることにより、シール材5、及び弾性密封材20は、現 場施工ではなく、精度を保ってプレハブ化され、予め組立てたカーテン・ウォール構造 30を、現場に搬入し取付けることにより、シール性能の確保と、現場での施工時間の 短縮、熟練した取付職人でなくとも容易に取付けられ、コスト的にも大幅な削減を達成 できるのである。
9)本発明の構造は、特に中層建築、高層建築、超高層建築に適している。特に室内側よ り施工可能のため、屋外側よりの施工が困難な場合は、更に中層建築、高層建築、超高 層建築に適している。
10)ガラス板2は、強度のある強化ガラス、又は網入り硝子、又はポリカーボネイト樹 脂、又はアクリル樹脂等の合成樹脂板の材料であればいずれでもよく、
又、透光性のある材料、又はハーフミラー、又は遮光ガラス、又は調光性ガラス、又は 、UVカットガラス等のいずれでも良い。
11)又、厚さも自由に設定できるので、構造的にも、複層ガラス、又は合わせガラス、 又はブラインド入りガラス、又は強化ガラスファサードシステム等の厚さのある構造も 簡単な構成で、自由に、安価に採用できる特徴を有している。
12)外壁の形状を多角形で構成したり、円形等の曲線形状のガラス窓に適用したり、多 様な形状を採用することが可能であり、近代建築の意匠性を飛躍的に、高めることがで きる画期的構造を提供する。
13)ガラス板2とボード等8との間の空間9には、ディスプレーを表示できる映像パネ ル24を設置しガラス板2を透して映像パネル24の表示するディスプレーは、さまざ まの動画、又は静止画の映像を表示させることができ、ビル壁面を使った大画像が表示 できるため、商業上極めて効果のある構成となる。
14)太陽光発電パネル25を設置した構成とすることにより再生可能エネルギーを発生 する省エネ建築とすることができる。
15)空間9には、LED灯、又は蛍光灯、又は白熱灯等の灯具26を配置することがで きる。特にLED灯は、発熱が少ないため狭い空間でも適用しやすく、又寿命が長く点 滅や、照度変化をし易く様々な多彩な演出を行うことができるのである。
16)同様な効果としてボード等8の外面に、デザインを表現したり、空間9に造形物を 設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の全体概略斜視図である。
【図2】図1の断面A−Aの水平断面図である。
【図3】図2のB−B垂直断面図である。
【図4】図1のC−C垂直断面図である。
【図5】図1のD−D垂直断面図である。
【図6】図2の部分拡大図である。
【図7】実施例1のカーテン・ウォール構造の取付方法を示す概略図である。
【図8】実施例2の部分拡大図である。
【図9】本発明の中層建築、高層建築、超高層建築に適用した全体概略斜視図である。
【図10】外壁の形状を多角形で構成した全体概略斜視図である。
【図11】曲線形状のガラス窓に適用した窓部の外観図である。
【図12】実施例3の構成を示す拡大断面図である。
【図13】空間9に映像パネル24、又は太陽光発電パネル25を設置した外観構成図である。
【図14】灯具31により演出効果を与えた外観構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、発明の効果に前述した如く、採光性や視認性を高めると共に、近代的外観を持ったガラスを用いた外壁構造であって、軽量で、地震等に強く、更に建築後に外部のシール材等の損傷が発生しにくく、外側からのメンテナンスフリーなガラス外壁構造を用いた建築物を提供するものである。
【0016】
なお、本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下図面に基づいて詳細を説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1の最大の特徴は、後述のようにカーテン・ウォール構造を採用することにより極めて優れた特徴を発揮できることにある。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
実施例1のガラス外壁構造を用いた建築物1の全体概略斜視図を、図1に示す。
カーテン・ウォール構造30は、図1に示すように、隣接する順に、30a、30bと取付けられ、全数が順に建屋の梁、柱に取付けられる。
【0018】
図2は、図1のA−A水平断面図を示す。
ガラス外壁構造を用いた建築物1の構成は、ガラス板2が、外側押え板3により、締結具4を介して取付けられている。
締結具4は、使用場所により、上下辺締結具4aと、カーテン・ウォール締結具4bと、左右辺締結具4cにより構成されている。
【0019】
その壁面構成を説明すると、ガラス板2と外側押え板3との間には、シール材5が設けられており、外側押え板3は、締結具4a、4cにより取付材6に締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持している。
ガラス板2の室内側と取付材6との間には、同様にシール材5が設けられており、外側押え板3は、締結具4a、4cにより取付材6に締結され、室内側と室外側のシール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、カーテン・ウォール構造30を構成している。
【0020】
なお取付材6は、位置により、左辺取付材6a、右辺取付材6b、上辺取付材6c、下辺取付材6dにより構成されている。
左辺取付材6aは左辺方立7aに、右辺取付材6bは右辺方立7bに、夫々溶接等により強固に取付けられている。
【0021】
弾性密封材20はガラス板の4辺の端部を取り囲う形状で、シール材5の内側に、施工され、二次シールとして構成されている。
締結具4は、ネジが設けられたビス、ボルト・ナット、又は釘、アンカー金具等の締結、固定できる部材であればいずれでも良い。
【0022】
取付材6、又は方立7の室内側には、紙又はシート、又はボード等で構成されたボード等8が設けられ、ガラス板2とボード等8との間は、空間9となっている。
前記ボード等8の内側には縦胴縁10が強度上適切なピッチで横方向に配置され、縦胴縁10の室内側には、内壁板11が固定され、一体の外壁を構成している。
前記縦胴縁10と内壁板11とボード等8とで構成される空間9には、断熱材12が充填されている。
上下方向の構成も、図3に示す如く、同様に構成されている。
図3は、図2のB−B垂直断面図である。
【0023】
図4は、ガラス板2の上部固定の1例を示しており、同様に外側押え板3は、締結具4aにより上辺取付材6cに締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている。
上辺取付材6cは、上部材13に締結具4bにより取付けられる。
上部材13は更に内壁側の水平梁14、及び柱材15に溶接等により強固に固定されている。
上部材16の一部には、通気・排水孔19が設けられている。
本実施例では、柱材15と、水平梁14とで、躯体が構成され、建築物全体の強度を保持している。
【0024】
図5は、図1のD−D垂直断面図である。
図5は、ガラス板2の下部固定の1例を示しており、同様に外側押え板3は、締結具4aにより下辺取付材6dに、締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている。
【0025】
下辺取付材6dは、下部材16に締結具4bにより取付けられる。
下部材16は、更に内壁側の水平梁17、及び柱材18に固定されている。
下部材16の一部には、通気・排水孔19が設けられている。
同様に、柱材18と、水平梁17は、上部の柱材15と、水平梁14とに接続され、躯体が構成され、建築物全体の強度を保持している。
【0026】
建物の構造は、ラーメン構造、トラス構造、木造、ツーバイフォー木造、鉄骨造、RC造、SRC造、等といずれでもよい。
【0027】
又、構造が簡単であるため高価な材料が必要でなく施工が、簡単にできるため、建設費が安価であるという際立った特徴を有している。
特に外側のメンテナンスがフリーのため、点検、補修工事が必要なく多額の費用が発生する外部足場を必要としないため、省資源、省エネルギであることより、地球温暖化防止に寄与できることである。
【0028】
図6は、図2の外壁部の詳細拡大図である。
実施例1の外壁部の詳細構造を述べると、
ガラス板2は、外側押え板3により、締結具4a、4cを介して取付けられている。
ガラス板2と外側押え板3との間には、シール材5が設けられており、外側押え板3は、締結具4a、4cにより取付材6に締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている。
なお取付材6は、位置により、左辺取付材6a、右辺取付材6b、上辺取付材6c、下辺取付材6dにより構成されている。
【0029】
ガラス板2は、強度のある強化ガラス、又は網入り硝子、又はポリカーボネイト樹脂、又はアクリル樹脂等の合成樹脂板の材料であればいずれでもよく、
又、透光性のある材料、又はハーフミラー、又は遮光ガラス、又は調光性ガラス、又は、UVカットガラス等のいずれでも良い。
【0030】
又、厚さも自由に設定できるので、構造的にも、複層ガラス、又は合わせガラス、又はブラインド入りガラス、又は強化ガラスファサードシステム等の厚さのある構造も簡単な構成で、自由に、安価に採用できる特徴を有している。
【0031】
外側押え板3の材質は、金属、合成樹脂が用いられるが、特にメンテナンスの必要がほとんどない材質として、強度のある例えば耐候性鋼、又は、ステンレス鋼、又はガルバリウム鋼板等のメッキ鋼板、又はアルミニューム板、又はアルミニューム合金板、又は銅板、又は銅合金板、又はチタン、又はチタンメッキ鋼板、その他強度がありかつ腐食性がほとんどなく、劣化しにくい構造用合成樹脂材、セラミックス材等が用いられる。
【0032】
締結具4は、ネジが設けられたビス、ボルト・ナット、又は釘、アンカー金具等の締結、固定できる部材であればいずれでも良い。
締結具4の材質は、同様にメンテナンスの必要がなく、強度のある例えば耐候性鋼、又は、ステンレス鋼、又はガルバリウム鋼等のメッキ鋼材、又は銅合金、又はチタン、又はチタンメッキ鋼板、その他、強度がありかつ腐食性がほとんどなく、劣化しにくい構造用合成樹脂材、セラミックス材等が用いられる。
【0033】
前述のごとく締結具4は、使用場所により、上下辺締結具4aと、カーテン・ウォール締結具4bと、左右辺締結具4cにより構成されている。
この場合に、上下辺締結具4aと、カーテン・ウォール締結具4bは、皿頭ビス、左右辺締結具4cは、平頭ビスが好ましいが、いずれの形状を採用しても良い。
【0034】
次に、実施例1の全体構成を図7により説明する。
図6、図7に示す如く、隣接したカーテン・ウォール構造30の夫々を、1枚の外側押え板3により締結して、カーテン・ウォール構造30間の止水性能を向上させている。
【0035】
図6に示すように、平頭ビスの軸部の直径d1に対し、軸部の穴径をD1とし、平頭ビスの頭部の直径d2に対し、頭部の穴径をD2とし、
D1−d1、及び、D2−d2の隙間を、夫々最小0.5ミリ以上〜最大6ミリとする。このことにより、もし、地震や、膨張差等による変形が生じた場合に、隣接したカーテン・ウォール構造30同士を、1枚の外側押え板3により締結しておいても、無理な応力が掛からないからである。
又、隣接したカーテン・ウォール構造30同士の締結具4cは図7に示すように、千鳥配置として意匠性を持たせ、かつ外側押え板3の強度を高めても良い。
【0036】
シール材5、5aは、軟質金属が用いられる。
シール材5、5aの材質は、軟質金属の鉛又は鉛合金、又は銅合金、又は、ハンダ材等、及び/又は、対候性の合成樹脂が用いられ、弾性を有しながらガラス板2を傷つけない軟質材となっている。
【0037】
軟質金属は、中世よりステンドグラスの材料として何世紀も使用されてきており、極めて安定した素材である。又、不燃性材料である。
【0038】
弾性密封材20の材質は、弾性を有する合成樹脂、及び/又は合成ゴム等で、充填、塗布等の工法で施工される。
【0039】
空間9は、空気の流通が可能な空間となっているため、断熱層や、結露防止のため水分を除去でき、又冬季においては、暖気を流通し、夏季においては冷気を流通することにより、結露防止、断熱、冷暖気効果を発揮することができる。
【0040】
図7は、カーテン・ウォール構造30の構成、及び取付方法を示す概略図である。
カーテン・ウォール構造30は、予め工場等にて、ガラス板2と、シール材5と、弾性密封材20と、外側押え板3とを、締結具4a、4cにより取付材6に締め付け、一体化した構成となっている。
【0041】
予め工場で組立てられた第1カーテン・ウォール構造30aの上辺取付材6cは上部材13に、下辺取付材6dは下部材16に、カーテン・ウォール締結具4bにより強固に締結固定し、第1カーテン・ウォール構造30aを支持梁に固定する。
【0042】
又図4、図5、図7では、カーテン・ウォール締結具4bは、外側押え板3を貫通しているが、外側押え板3を、貫通せずに、上辺取付材6cを上部材13に、下辺取付材6dを下部材16に夫々取付、固定しても良い。
【0043】
第1の工程は、
第1カーテン・ウォール構造30aの上辺取付材6cと、下辺取付材6dは、予め弾性密封材20及び、シール材5が圧縮されて、締結具4a、4cにより外気とのシール性を保持した構成を工場で、製作しておくのである。
【0044】
第2の工程は、
左辺取付材6aと、右辺取付材6bは、施工手順として、第1カーテン・ウォール構造30aに、予め弾性密封材20及び、シール材5を、外側押え板3に、仮止め状態として締結具4cで固定状態としておく。
【0045】
第3の工程は、予め工場で組立てられた第1カーテン・ウォール構造30aの上辺取付材6cは上部材13に、下辺取付材6dは下部材16に、カーテン・ウォール締結具4bにより強固に締結固定し、第1カーテン・ウォール構造30aを支持梁に固定する。
【0046】
第4の工程は、
第1カーテン・ウォール構造30aの隣に密着して、第2カーテン・ウォール構造30bを、同様に上部材13、及び下部材16に固定する。
【0047】
第5の工程は、
第1カーテン・ウォール構造30aに対し外側押え板3を締結具4cにより本締めとして、強固に締結固定し、
次に第2カーテン・ウォール構造30bに外側押え板3を締結具4cにより本締めとして、強固に締結固定する。
この手順を繰り返して、第3カーテン・ウォール構造30c、第4カーテン・ウォール構造30dと取付けていくのである。
【0048】
このように構成することにより、シール材5、及び弾性密封材20は、現場施工ではなく、精度を保ってプレハブ化され、予め組立てたカーテン・ウォール構造30を、現場に搬入し取付けることにより、シール性能の確保と、現場での施工時間の短縮、熟練した取付職人でなくとも容易に取付けられ、コスト的にも大幅な削減を達成できるのである。
【実施例2】
【0049】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図8は、A−A水平断面図を示す。
実施例2の壁面構成を説明すると、ガラス板2と外側押え板3との間には、シール材5が設けられており、外側押え板3は、締結具4により取付材6に締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている。
【0050】
弾性密封材20及び/又は側面シール材5aは、ガラス板の内壁側に施工され、二次シールとして構成されている。
締結具4は、ネジが設けられたビス、ボルト・ナット、又は釘、アンカー金具等の締結、固定できる部材であればいずれでも良い。
【0051】
取付材6の室内側には、ボード等8が設けられ、ガラス板2とボード等8との間は、空間9となっている。
前記ボード等8の内側には縦胴縁10が強度上適切なピッチで横方向に設けられ、縦胴縁10の室内側には、内壁板11が固定され、一体の外壁を構成している。
前記縦胴縁10と内壁板11とボード等8とで構成される空間9には、断熱材12が充填されている。
上下方向の構成も、左右方向と同一に構成されている。
【0052】
実施例2の外壁部の詳細構造を述べると、
ガラス板2は、外側押え板3により、締結具4を介して取付けられている。
ガラス板2と外側押え板3との間には、シール材5が設けられており、外側押え板3は、締結具4により取付材6に締結され、シール材5が、圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されている。
【0053】
ガラス板2の横方向の間には、弾性密封材20が設けられている。該弾性密封材20を貫通して、締結具4が、取付材6に、締結されている。
弾性密封材20の側面には、充填材21、及び/又は側面シール材5aが設けられ、ガラス板の内壁側に施工され、二次シールとして構成されている。
充填材21、又は側面シール材5aの配置は、どちらが室内側でも良い。
このように構成すると、外気は、ガラス板2と外側押え板3との間のシール材5により、一次シールがなされ、外気、及び水、湿気等が遮断され、更に、充填材21、及び/又は側面シール材5aは、二次シールとして構成されているのである。
【0054】
締結具4は、ネジが設けられたビス、ボルト・ナット、又は釘、アンカー金具等の締結、固定できる部材であればいずれでも良い。図8では、特に固定性のため皿ビスが示されているが、その他の形状でも良い。
締結具4の材質は、同様にメンテナンスの必要がなく、強度のある例えば耐候性鋼、又は、ステンレス鋼、又はガルバリウム鋼等のメッキ鋼材、銅合金、その他、強度がありかつ腐食性がほとんどなく、劣化しにくい構造用合成樹脂材、セラミックス材等が用いられる。
【0055】
シール材5、5aは、軟質金属が用いられる。
充填材21は、弾性を有する合成樹脂、及び/又は合成ゴム等が用いられる。
充填材21の内壁側の側面シール材5aは、ガラス板2と取付材6との間のシールとなっており、その側面には充填材21が設けられ2次シールとなっている。
弾性密封材20の材質は、弾性を有する合成樹脂、及び/又は合成ゴム等で、充填、塗布等の工法で施工される。充填材21、及び/又は側面シール材5aのいずれかが、室内側でも良く、施工は室内側、又は屋外側より施工可能である。
【0056】
空間9は、空気の流通が可能な空間となっているため、断熱層や、結露防止のため水分を除去でき、又冬季においては、暖気を流通し、夏季においては冷気を流通することにより、結露防止、断熱、冷暖気効果を発揮することができる。
【0057】
図9は、中層建築、高層建築、超高層建築に、本発明構造を適用した建築物1の全体概略斜視図である。構造的には実施例1、又は実施例2の構造で構成することができる。
【0058】
図10は、外壁の形状を多角形で構成した意匠性のある他の実施例の建築物1の全体概略斜視図である。
又、図11は、円形等の曲線形状のガラス窓に適用した窓部の外観図である。
このように本発明のガラス外壁構造を用いた建築物1においては、多様な形状を採用することが可能であり、近代建築の意匠性を飛躍的に、高めることができる画期的構造を提供するものである。
【実施例3】
【0059】
図12は、実施例3の構成を示す拡大断面図である。
ガラス板2とボード等8との間の空間9には、ディスプレーを表示できる映像パネル24、又は太陽光発電パネル25を設置した構成となっている。
映像パネル24の表示するディスプレーは、ガラス板2を透してさまざまの動画、又は静止画の映像を表示させることができ、本発明構造の大きな特徴となっている。
【0060】
映像パネル24は、取付材6、又はボード等8等のいずれかに固定することができ、外部に設けたコントローラにより画像が制御される。
このような構成によりビル壁面を使った大画像が表示できるため、商業上極めて効果のある構成となる。
【0061】
又、太陽光発電パネル25を設置した構成とすることにより再生可能エネルギーを発生する省エネ建築とすることができる。
【0062】
又、空間9には、LED灯、又は蛍光灯、又は白熱灯等の灯具26を配置することができる。特にLED灯は、発熱が少ないため狭い空間でも適用しやすく、又寿命が長く点滅や、照度変化をし易く様々な多彩な演出を行うことができる。
図13は、空間9に映像パネル24を設置した外観構成図である。
又、図14は、灯具25により演出効果を与えた外観構成図である。
【0063】
同様な効果としてボード等8の外面に、デザインを表現したり、空間9に造形物を設置することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の活用例としては、以上説明したように、簡単な構造によりガラス外壁構造の多様な意匠性の高い建築による販売増が期待され、特にカーテン・ウォール構造とすることにより、建設費が安価なことによる経済効果と、外側のメンテナンスの大幅な削減による省資源、省エネルギーによる地球温暖化防止に寄与することができ、大きな産業上の効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ガラス外壁構造を用いた建築物
2 ガラス板
3 外側押え板
4 締結具
4a 上下辺締結具
4b カーテン・ウォール締結具
4c 左右辺締結具
5 シール材
5a 側面シール材
6 取付材
6a 左辺取付材
6b 右辺取付材
6c 上辺取付材
6d 下辺取付材
7 方立
7a 左辺方立
7b 右辺方立
8 ボード等
9 空間
10 縦胴縁
11 内壁板
12 断熱材
13 上部材
14、17水平梁
15、18柱材
16 下部材
19 通気・排水孔
20 弾性密封材
21 充填材
22 側面押え板
23 締結具
24 映像パネル
25 太陽光発電パネル
26 灯具
30 カーテン・ウォール構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板と外側押え板との間には、シール材が設けられており、外側押え板は、締結具により取付材に締結され、シール材が圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されており、弾性密封材は、二次シールとして構成されていることを特徴とする建築物の外壁構造。
【請求項2】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
予め、ガラス板と、シール材と、弾性密封材と、外側押え板とを、締結具により、取付 材に締め付け一体化したカーテン・ウォール構造となっており、
予め組立てられた第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材は上部材に、下辺取付材は下部材に、カーテン・ウォール締結具により強固に締結固定し、上部材、及び下部材は支持梁に固定されており、
第1カーテン・ウォール構造の隣に密着して、第2カーテン・ウォール構造を、同様に、上部材、及び下部材に固定し、この手順を繰り返して、第3カーテン・ウォール構造、第4カーテン・ウォール構造等の外壁を順次取付けていくことを特徴とする請求項1記載の建築物の外壁構造。
【請求項3】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造の取付方法であって、
少なくとも、
第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材と、下辺取付材は、予め弾性密封材、及びシール材が圧縮されて、締結具により外気とのシール性を保持した構成を、製作しておく工程と、
組立てられた第1カーテン・ウォール構造の上辺取付材は上部材に、下辺取付材は下部材に、カーテン・ウォール締結具により強固に締結固定し、支持梁に固定される工程と、
第1カーテン・ウォール構造の隣に密着して、第2カーテン・ウォール構造を、同様に上部材、及び下部材に固定する工程と、
この手順を繰り返して、第3カーテン・ウォール構造、第4カーテン・ウォール構造と、順次取付けていく工程とを有する請求項1、又は請求項2記載の外壁構造を特徴とする建築物の外壁構造の取付方法。
【請求項4】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板と外側押え板との間には、シール材が設けられており、外側押え板は、締結具により取付材に締結され、シール材が圧縮されて外気とのシール性を保持し、固定されており、弾性密封材、及び/又は側面シール材は、ガラス板の内壁側に施工され、二次シールとして構成されていることを特徴とする建築物の外壁構造。
【請求項5】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
前記シール材、及び前記側面シール材の材質は、鉛、又は鉛合金、又は銅合金、又はハンダ材等の軟質金属であることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4記載の建築物の外壁構造。
【請求項6】
ガラス板は、強度のある強化ガラス、又は網入り硝子、又はポリカーボネイト樹脂、又はアクリル樹脂等の合成樹脂板の材料であればいずれでもよく、
又、透光性のある材料、又はハーフミラー、又は遮光ガラス、又は調光性ガラス、又は、UVカットガラス等のいずれでも良く、
又、厚さも自由に設定できるので、構造的にも、複層ガラス、又は合わせガラス、又はブラインド入りガラス、又は強化ガラスファサードシステム等の厚さのある構造であることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4、又は請求項5記載の建築物の外壁構造。
【請求項7】
ガラス外壁構造を用いた建築物の外壁構造であって、
ガラス板とボード等との間の空間には、ディスプレーを表示できる映像パネル24、又は太陽光発電パネル、及び/又はLED灯、又は蛍光灯、又は白熱灯等の灯具を設置したり、及び/又は造形物を設置したり、及び/又はボード等の外面に、デザインを表現することにより、壁面ディスプレーを構成したことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6記載の建築物の外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−107495(P2012−107495A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240626(P2011−240626)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(510298414)
【Fターム(参考)】