説明

建築用木材継合構造

【課題】より強固な継合連結を実現し得、また補強用部材が外側に露出して外観を損ねたり、煩わしい補強作業を要することも無く、より一層安全且つ良好に木製柱材同志を継合連結できる画期的な建築用木材継合構造を提供する。
【解決手段】継合金具4の縦材固定部4Aを木製の建築用縦材1に当接固定し、この継合金具4の横材連結板部4Bを木製の建築用横材2の仕口部3内に挿入配設すると共に、前記横材連結板部4Bに形成された連結孔6と、前記仕口部3に形成された止着孔3aとに止着杆5を挿通固定してこの横材連結板部4Bと仕口部3とを左右に貫通する止着杆5により前記継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3に継合連結し、この横材2の仕口部3に補強用部材7を設け、この補強用部材7は、前記継合金具4には固定連結せずにこの補強用部材7の少なくとも上下二箇所を前記横材2に固定連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、木製の柱材に対して、木製の梁材を直角若しくは傾斜状態に継合する建築用木材の継合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建築用木材継合構造として、例えば特開2000−104343号(特許文献1)にあるように、断面コ字型若しくはU字型の継合金具を用いる構造がある。
【0003】
このような継合金具を用いる建築用木材継合構造は、次のような構成である(後述する本発明と同一構成部材には同一符号を付して説明する。)。
【0004】
即ち、建築用縦材1に当接固定する縦材固定部4Aと、この縦材固定部4Aから突出して建築用横材2の端部の仕口部3に継合連結される左右一対の横材連結板部4Bとから成る断面コ字型若しくはU字型の継合金具4を用いる。この継合金具4の縦材固定部4Aには、前記縦材1の側面より貫通突出する連結ボルト11を挿通するボルト孔12を上下方向に複数並設状態に設け、一方この継合金具4の左右の横材連結板部4Bには夫々、前記横材2の端部にして仕口部3に形成された止着孔3aに挿通固定する止着杆5を挿通する為の連結孔6や、この連結孔6の一つ,前記仕口部3の止着孔3aに挿通固定した最も上側位置の止着杆5を掛け止め状態に連結する為のあご掛け凹部6を設ける。
【0005】
そして、例えば図10に図示したように、先ず縦材1の対向側面間に貫通状態に設けたボルト挿通孔13に貫通した連結ボルト11により、この縦材1の側面に継合金具4の縦材固定部4Aを当接固定する。
【0006】
次いで、この継合金具4の横材連結板部4Bを横材2の仕口部3内に挿入配設しつつ、この仕口部3の最も上側の止着孔3aに予め挿通固定しておいた止着杆5を前記横材連結板部4Bのあご掛け凹部6(連結孔6)に上方から載置支承させて掛け止め状態に連結する。その後、この仕口部3の残余の止着孔3aと、前記横材連結板部4Bの前記あご掛け凹部6の他の残余の連結孔6とに止着杆5を連通状態に挿通固定して、この横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3に継合連結し、これにより縦材1と横材2とを直角若しくは傾斜状態に継合する構成である。
【0007】
このような継合金具4を用いた建築用木材継合構造は、木材同志を直接継合する場合に比して、高い熟練を要する木材への仕口加工(ほぞ加工や抜き加工など)を簡素化できる上に、継合作業自体も簡略化でき、しかも継合金具4を介することで縦材1への仕口加工による欠損が少なく済み、それだけ結合強度を増して木材同志をより強固に継合連結できるなどの種々のメリットを有する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−104343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このように継合金具4を用いて縦材1と横材2とを継合する構造は、例えば地震などによって極めて大きな荷重が横材2に作用すると、前記横材2のピン位置(止着杆5を挿通固定した位置)からこの横材2の長さ方向(水平方向)に割裂が生ずる場合がある。
【0010】
本出願人は、この割裂の現象に注目しつつ木材継合構造についての種々の強度実験を繰り返し行った結果、横材2に上下方向の荷重(曲げ荷重)が付加すると、継合金具4と横材2とを固定連結する前記止着杆5を介して横材2に大きなモーメント荷重が作用することがわかった。そして、横材2に付加する前記荷重を徐々に増大すると、前記モーメント荷重の増大により横材2が上下に裂け前記止着杆5の挿通固定位置から横材2の長さ方向にヒビ割れが入る「割裂」が生じ、この割裂が急激に進行することで横材2の応力が低下し、その結果この横材2が剪断破壊に至る、ということを見出した。
【0011】
このことから、大きな地震時など、大きな上下荷重を受けた際には、先ず横材2に割裂が生じ、これが進行し横材2の応力が低下することで、終局的な剪断破壊に至るものと推考される。
【0012】
このような割裂を防止すべく、継合金具4の左右一対の横材連結板部4B間に底板部を設け、横材2の底面をこの底板部で受けるように継合金具4を形成する手法が従来からある。
【0013】
しかし、このような継合構造では縦材1に固定された継合金具4に対して横材2の上面を基準に高さを合わせて継合するが、特に上記のような底板部を有するタイプの継合金具4を用いる場合には、継合金具4と横材2とを継合した際にちょうど継合金具4の底板部が横材2の底面に当接して支承するように、この継合金具4に対して横材2の底面を基準に高さを合わせる必要もある。
【0014】
その為、このような底面部を有するタイプの継合金具4を用いる場合、横材2の寸法(梁成)に合わせて異なるサイズの継合金具4を用意するか,若しくはどうしても同一サイズの継合金具4を使用する場合には、横材2の寸法(梁成)に合わせて縦材1のボルト挿通孔13及び横材2の止着孔3aの形成位置をいちいち移動してプレカット(穿設)する必要があるなどの煩わしさがある。
【0015】
また底板部自体が横材2の幅中央(一部)を支承するに過ぎない為、横材2の前記割裂を阻止する作用が十分に得られず、またこの底板部が横材2の下方に露出する為、外観を著しく損ねてしまい、またこの底板部のぶんだけ横材2に出っ張りが生ずるなど欠点が多く、ほとんど採用されていないのが現状である。
【0016】
一般的には、止着杆5の挿通固定位置やその本数を調整することで各社その耐久性を表記しているが、例えばKD材,グリーン材などの不安定材に対して十分な効果が得られるものではない。
【0017】
従ってこの割裂の問題は、この種のピン連結による(止着杆5で横材2に固定連結される)継合金具を用いる建築用木材継合構造の広範且つ大規模な実用化への大きな弊害となっているのが現状である。
【0018】
本発明は、上述のような現状に鑑み、施工性に秀れ且つ結合強度が高く強固な継合連結が可能なこの種のピン連結による継合金具を用いる建築用木材継合構造において、上記の割裂の発生やその進行を防止し、割裂による横材2の応力の低下,ひいては横材2の終局的な剪断破壊の発生を防止でき、これまでになく更に強固な継合連結を実現し、尚且つ補強用部材が外側に露出して外観を損ねたり、煩雑な補強作業を要する問題もなく良好にこの割裂の発生や進行を防止できる極めて実用価値の高い画期的な建築用木材継合構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0020】
木製の建築用縦材1に当接固定される縦材固定部4Aと、この縦材固定部4Aから突出して木製の建築用横材2の端部の仕口部3に継合連結される横材連結板部4Bとから成る継合金具4を用い、前記木製の縦材1と横材2とを直角若しくは傾斜状態に継合する建築用木材継合構造であって、前記継合金具4の縦材固定部4Aを前記縦材1に当接固定し、この継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3内に挿入配設すると共に、この横材連結板部4Bに形成された連結孔6と、前記横材2の端部にして仕口部3に形成された止着孔3aとに止着杆5を挿通固定し、この横材連結板部4Bと仕口部3とを左右に貫通する前記止着杆5によって前記継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3に継合連結し、この横材2の仕口部3には補強用部材7を設け、この補強用部材7は、前記継合金具4及び前記縦材1には固定せず、この補強用部材7の少なくとも上下二箇所を前記横材2に固定連結した構成としたことを特徴とする建築用木材継合構造に係るものである。
【0021】
また、前記継合金具4の横材連結板部4Bの連結孔6と、前記横材2の仕口部3の止着孔3aとに挿通固定する前記止着杆5のうち、最も上側位置に挿通固定した止着杆5よりも上位置,及び最も下側位置に挿通固定した止着杆5より下位置の上下二箇所で前記補強用部材7と前記横材2とを固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0022】
また、前記横材2の仕口部3は、この横材2の端部から横材2の長さ方向に向けて、前記継合金具4の横材連結板部4Bを挿入配設するスリット溝部3Aを有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材7は、前記横材2の仕口部3の前記切欠部内に配設してこの横材2と固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0023】
また、前記横材2の仕口部3は、この横材2の端部から横材2の長さ方向に向けて、前記スリット溝部3Aと、端部にこのスリット溝部3Aより左右幅広な幅広凹所3Bとを有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材7は、前記横材2の仕口部3の前記幅広凹所3B内に上下方向に配設してこの横材2と固定連結した構成としたことを特徴とする請求項3記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0024】
また、前記継合金具4の縦材固定部4Aから左右一対の対向遊離板を突設せしめ、この一対の対向遊離板をこの継合金具4の一対の前記横材連結板部4Bとして構成し、前記横材2の仕口部3は、前記継合金具4の一対の横材連結板部4Bを夫々挿入配設する左右一対の前記スリット溝部3Aと、端部にこの左右一対のスリット溝部3A同志の離間距離に相当する左右幅を少なくとも有する幅広凹所3Bとを有する切欠部を凹設して成る構成としたことを特徴とする請求項4記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0025】
また、前記補強用部材7に前記横材2の端部にして仕口部3に形成した補強用止着孔8と重合連通する補強用連結孔7aを設け、前記仕口部3の補強用止着孔8とこの補強用部材7の補強用連結孔7aとに補強用止着杆9を挿通固定してこの補強用部材7を前記横材2に固定連結した構成とした,若しくはこの補強用部材7に螺子やビスなどの止着部材10を挿通する補強用挿通孔7bを設け、この補強用挿通孔7bに挿通した前記止着部材10により補強用部材7を前記横材2の仕口部3に当接固定してこの補強用部材7を前記横材2に固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0026】
また、前記補強用部材7は、金属板体に前記補強用連結孔7a若しくは前記補強用挿通孔7bを形成して成る構成としたことを特徴とする請求項6記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【0027】
また、前記補強用部材7は、金属板体を断面コ字型若しくはU字型に折曲形成すると共にその上下二箇所にして左右に対向するコ字片部に夫々前記補強用連通孔7aを形成して成る構成としたことを特徴とする請求項7記載の建築用木材継合構造に係るものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述のように構成したから、一般的な継合金具を用いる建築用木材継合構造と同様に、継合金具を用いることで縦材と横材との継合作業を簡略化でき、作業性良く且つ強固に縦材と横材とを継合連結できる。
【0029】
しかも、この種のピン連結による(止着杆で横材に固定連結される)継合金具を用いる建築用木材継合構造において前記止着杆の挿通固定位置から横材の長さ方向に生ずる割裂の問題に対しても、補強用部材がその割裂の発生・進行を防止(或いは軽減)する作用効果を発揮するから、それだけ割裂による横材の応力低下や、この横材の剪断破壊をこの補強用部材によって良好に防止でき、より一層強固な継合連結を実現できることになる。
【0030】
更に本発明では、補強用部材は外側に露出して外観を著しく損ねることも無く、また上述した従来の補強用の底板部付きの継合金具のように横材の寸法に応じて異なるサイズの継合金具を用意したり、煩わしい施工作業も不要で体裁良く良好に補強用部材を横材に固定連結できる極めて実用性に秀れた画期的な建築用木材継合構造となる。
【0031】
よって、本発明を適用すれば、例えば強度にバラツキのあるKD材やグリーン材などを用いた継合構造においても、これまで以上に強固に継合連結でき、より一層安全且つ良好にこのような継合金具を用いる継合構造を採用でき、この種の建築用木材の継合作業の簡略化,施工性の向上,継合連結の強度や安全性の更なる向上を確実に図り得る画期的で極めて実用価値の高い建築用木材継合構造となる。
【0032】
また、請求項2記載の発明においては、割裂が生じやすい止着杆の挿通固定位置よりも上側及び下側の少なくとも上下二箇所で補強用部材と横材とを固定連結する為、より一層確実且つ良好にこの止着杆の挿通固定位置からの割裂の発生を防止できる。
【0033】
また、請求項3,4,5記載の発明においては、補強用部材を確実に外部から見えない(見えにくい)仕口部内に配することができ、非常に体裁良く横材の補強を確実に図り得る。また特に、請求項4,5記載の発明においては、仕口部内の広い幅広凹所内にして、その余ったスペースに補強用部材を配することができ、よって外部から確実に見えにくい箇所で且つ縦材と横材との継合作業の際に邪魔となることもない良好な箇所に補強用部材を配することができ一層体裁良く作業性に秀れた建築用木材継合構造となる。
【0034】
また、請求項6,7,8記載の発明においては、補強用部材を何ら煩わしい作業は不要で、例えば補強用止着杆を補強用部材と横材の仕口部とに挿通固定したり、或いはこの仕口部の内側面に螺子やビスなどの止着部材で補強用部材を当接固定するなどの簡単な作業で確実に補強用部材を横材の仕口部に固定連結でき補強を図り得るなど、一層施工性に秀れる。特に、請求項7,8記載の発明においては、補強用部材を金属板体で構成することで、簡単に固定連結でき強固な割裂防止(軽減)作用を発揮できるなど、本発明に適した補強用部材の構造を簡単且つ低コストに実現でき、この点一層実用性に秀れた建築用木材継合構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0036】
継合金具4の縦材固定部4Aを、木製の建築用縦材1に当接固定する。
【0037】
この継合金具4の縦材固定部4Aから突出する横材連結板部4Bが、木製の建築用横材2の端部の仕口部3内に挿入配設すると共に、この横材連結板部4Bに形成された連結孔6と、前記横材2の端部にして仕口部3に形成された止着孔3aとに止着杆5を挿通固定し、この横材連結板部4Bと仕口部3とを左右に貫通する前記止着杆5によって前記継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3に継合連結する。
【0038】
このようにして、前記継合金具4を介して前記縦材1と前記横材2とを直角若しくは傾斜状態に継合する。
【0039】
ここで、前記横材2に大きな荷重が作用すると、(継合金具4と横材2とを固定連結する止着杆5を介して横材2に作用するモーメント荷重に起因して)横材2が上下に裂けてこの横材2の長さ方向にヒビ割れが入る「割裂」が生ずる懸念がある。
【0040】
しかしながら本発明においては、横材2に上下二箇所を固定連結した補強用部材7によって、この横材2が上下に裂けてヒビ割れすることを防止(軽減)でき、それだけこの横材2の割裂の発生や、その進行を防止(軽減)できることとなる。
【0041】
即ち、このように補強用部材7で横材2の割裂の発生・進行を防止することで、この割裂の進行に伴う横材2の応力低下の進行を防止(遅延)でき、ひいては横材2の終局的な剪断破壊の発生を防止(遅延)できることとなる。
【0042】
また、本発明では補強用部材7を継合金具4及び前記縦材1には固定せずに、横材2にのみこの補強用部材7の上下二箇所を固定連結している。その為、補強用部材7は前記継合金具4とは非干渉状態となり、前記横材2にのみ干渉(割裂防止作用を発揮)することとなる。これにより、補強用部材7が横材2の割裂を防止する作用を確実且つ良好に発揮できることとなる。
【0043】
即ち、仮に補強用部材7が、横材2だけでなく継合金具4に干渉してしまうと、この補強用部材7を介して横材2と継合金具4とが干渉し合い、その結果、この補強用部材7は縦材1と横材2とを継合連結する作用を発揮するが、本来の目的である横材2の割裂防止作用が良好に発揮されない。しかしこの点、本発明においては補強用部材7を継合金具4とは非干渉状態としている為、横材2だけに良好に割裂防止作用を発揮でき、縦材1と横材2との継合連結の強度や安全性の向上を確実に図り得る画期的な継合構造となる。
【0044】
しかも本発明においては、横材2の仕口部3に補強用部材7を配している為、縦材1と横材2とを継合した後、柱の外側に補強用部材7が露出して外観を著しく損ねてしまうといった心配も一切無く、非常に体裁良く補強用部材7による横材2の補強を図り得、この点においても極めて実用性の高い継合構造となる。
【0045】
更に、本発明の補強用部材7は、例えば図2,図3に図示する後述の実施例のように、単に補強用部材7と横材2の仕口部3とに左右貫通状態に補強用止着杆9を挿通固定したり、或いは例えば図8,9に図示する後述の実施例のように、単に補強用部材7を仕口部3の内面に止着部材10により当接固定するなど、この補強用部材7を簡単に横材2に固定連結することも可能で、煩わしい補強作業は不要で簡単で施工性に秀れ、この点においても実用性の高い継合構造となる。
【0046】
また、例えば前記横材2の仕口部3は、この横材2の端部から横材2の長さ方向に向けて、前記継合金具4の横材連結板部4Bを挿入配設するスリット溝部3Aを有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材7は、前記横材2の仕口部3の前記切欠部内に配設してこの横材2と固定連結した構成とすれば、この補強用部材7を、確実に外部から見えにくい仕口部3内に配することができ、外観を損ねる非常に体裁良く横材2の補強をこの補強用部材7によって図り得ることとなる。特に、例えば前記横材2の仕口部3は、この横材2の端部から横材2の長さ方向に向けて、前記スリット溝部3Aと、端部にこのスリット溝部3Aより左右幅広な幅広凹所3Bとを有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材7は、前記横材2の仕口部3の前記幅広凹所3B内に配設してこの横材2と固定連結した構成とした場合には、図示した後述の実施例のように、継合金具4と縦材1とを連結する連結ボルト11のボルト頭などが配される仕口部3内の幅広凹所3B内にして、その余ったスペースに邪魔になることなく良好に補強用部材7を配することができ、この仕口部3のスリット溝部3Aに継合金具4の横材連結板部4Bを挿入配設する際にも補強用部材7が邪魔にならないなど、外側から見えにくく継合作業の邪魔にもならない良好な位置に補強要部材7を配して良好に横材2の補強を図り得ることとなる。
【0047】
尚、補強用部材7は、例えば図示した後述の実施例のように金属板体から成る構成とし、またこの金属板体の所定箇所に、横材2と固定連結する為のボルトや止着用の杆などを挿通する孔を穿設して成る構成とすれば、取り付け容易で強固な補強作用を良好に発揮できる補強用部材7を、非常に簡単且つ低コストに実現できる。
【実施例1】
【0048】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0049】
本実施例は、図1に示すように、柱などの建築用縦材1と端部に仕口部3を設けた梁などの建築用横材2とを直角に連結する継合金具4を用いる建築用木材継合構造に本発明を適用したものである(縦材1と横材2とを直角ではなく傾斜状態に継合する場合にも適用可能である。)。
【0050】
前記縦材1に当接固定される縦材固定部4Aと、この縦材固定部4Aから突出して前記横材2の端部の仕口部3に継合連結される横材連結板部4Bとから成る継合金具4を用い、この継合金具4の縦材固定部4Aを前記縦材1に当接固定し、この継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3内に挿入配設すると共に、この横材連結板部4Bに形成された連結孔6と、前記横材2の端部にして仕口部3に形成された止着孔3aとに止着杆5を挿通固定し、この横材連結板部4Bと仕口部3とを左右に貫通する前記止着杆5によって前記継合金具4の横材連結板部4Bを前記横材2の仕口部3に継合連結し、この横材2の仕口部3には補強用部材7を設け、この補強用部材7は、前記継合金具4及び前記縦材1には固定せず、この補強用部材7の少なくとも上下二箇所を前記横材2に固定連結した構成としている。
【0051】
以下、本実施例を具体的に説明する。
【0052】
継合金具4は、図1に図示したように、縦材固定部4Aから左右一対の対向遊離板を突設せしめ、この一対の対向遊離板をこの継合金具4の一対の前記横材連結板部4Bとして構成している。
【0053】
具体的には、金属板体を採用し、この金属板体を、図1に示すような二つ折り形状に折り返して断面コ字型やU字型に形成し、その左右一対の対向遊離板部を前記一対の横材連結板部4Bとし、この左右一対の横材連結板部4Bの端部同志を連結する中央板部を前記縦材固定部4Aとして構成したものである。
【0054】
また、この継合金具4の一対の各横材連結板部4Bには夫々、前記止着杆5を挿通固定する為の前記連結孔6を上下に複数形成している。また、各横材連結板部4Bの上下複数の連結孔6のうち最も上側の連結孔6は、横材連結板部4Bの上部板縁を図1に示すような略U字型若しくは略V字型に形成したあご掛け凹部6として構成している。
【0055】
具体的な説明は後述するが、いわゆるあご掛け金具と呼ばれる既存の継合金具と同様に、本実施例の継合金具4のおいても一対の横材連結板部4Bの上部板縁の前記あご掛け凹部6に、前記横材2の仕口部3の止着孔3aに予め挿通固定された止着杆5を上方から掛け止め状態に連結してこの継合金具4に横材2の端部の仕口部3を掛け止め連結し得るように構成したものである。
【0056】
また、この継合金具4の縦材固定部4Aには、後述する連結ボルト11を挿通するボルト孔12を上下に複数形成している。
【0057】
このように構成した継合金具4の前記横材連結板部4Bが挿入配設される横材2の仕口部2は、具体的には図1に図示したように、横材2の端部からこの横材2の長さ方向に向けて、スリット溝部3Aと、端部にこのスリット溝部3Aより左右幅広な幅広凹所3Bとを有する切欠部を凹設して成る構成としている。
【0058】
本実施例では継合金具4の左右一対の横材連結板部4Bを設けている為、横材2の仕口部3は、この一対の横材連結板部4Bを夫々挿入配設する左右一対の前記スリット溝部3Aと、端部にこの左右一対のスリット溝部3A同志の離間距離に相当する左右幅を少なくとも有する幅広凹所3Bとを有する切欠部を凹設して仕口部3を構成している。
【0059】
尚、仕口部3の前記幅広凹所3Bは、図3及び図4に図示したように、継合金具4の縦材固定部4Aを縦材1に当接固定する連結ボルト11のボルト頭やこの連結ボルト11に螺着するナット11aを配設すべくこの仕口部3の端部側に設けたものである。
【0060】
前記補強用部材7は横材2の仕口部3の所定位置、例えば横材2の端面にして仕口部3の端面に重合固定する構成でも良いが、本実施例においては、仕口部3の切欠部内に配する。具体的には、図3及び図4に図示したように、仕口部3の端部側の幅広凹所3B内に上下方向に配して横材2と固定連結する構成とする。
【0061】
この補強用部材7と前記横材2との固定方法は様々採用でき、本実施例では例えば図1〜図4のように補強用部材7に前記横材2の端部にして仕口部3に形成した補強用止着孔8と重合連通する補強用連結孔7aを設け、前記仕口部3の補強用止着孔8とこの補強用部材7の補強用連結孔7aとに補強用止着杆9を挿通固定してこの補強用部材7を前記横材2に固定連結する構造としている。
【0062】
また、本実施例に用いる補強用部材7は、金属板体に補強用連結孔7aを形成して成る構成としている。具体的には、金属板体を断面コ字型若しくはU字型に折曲形成してその対向するコ字片部若しくはU字片部に補強用連結孔7aを形成したものである。図示した本実施例では、図1に図示したような断面コ字型に金属板体を折曲形成すると共に、左右に対向する各コ字片部の上下二箇所に夫々前記補強用連通孔7aを形成して成る構成としている。
【0063】
また、継合金具4の横材連結板部4Bの連結孔6と、前記横材2の仕口部3の止着孔3aとに挿通固定する前記止着杆5のうち、最も上側位置に挿通固定した止着杆5よりも上位置,及び最も下側位置に挿通固定した止着杆5より下位置の上下二箇所で前記補強用部材7と前記横材2とを固定連結し得るように、補強用部材7の上下の補強用連結孔7aの形成位置を設定する。即ち図4に図示したように、補強用部材7と横材2とを固定連結する上下の補強用止着杆9の間に、継合金具4と横材2とを固定連結する止着杆5の挿通固定位置が配されるように設定する。
【0064】
本実施例では横材2の上下広範囲で確実に補強用部材7による割裂防止作用を発揮させ得るように、補強用部材7を前記横材2と略等しい上下寸法に形成すると共に、この補強用部材7の上下端部近傍,と、横材2の上下端部近傍を夫々固定連結している。
【0065】
また、この補強用部材7は、図3及び図4に図示したように継合金具4の左右一対の横材連結板部4B間に配設し得るように、補強用部材7の左右のコ字片部の対向間隔を、即ちこの補強用部材7の左右幅寸法を設定している。
【0066】
また、この補強用部材7と重合して補強用止着杆9が挿通固定される前記横材2の補強用止着孔8のうち上端側の補強用止着孔8の穿設位置は、この横材2の仕口部3に継合連結した前記継合金具4と干渉しない上側位置に設定している。
【0067】
また、図1〜図4に図示したように、断面コ字型の補強用部材7のコ字開口側を、横材2の端部にして仕口部3の端部開口側に向けた状態にしてこの補強用部材7を仕口部3の幅広凹所3B内に配する。
【0068】
このように、補強用部材7は断面コ字型若しくはU字型(本実施例においては断面コ字型)としている為、それだけ単なる平板に比して高い強度が得られ、それだけ高い補強作用,即ち割裂防止作用を発揮できる構成である。また、図3,4に図示したように、継合金具4と縦材1とを固定する連結ボルト11のボルト頭やナット11aは、横材2の仕口部3の幅広凹所3B内に収納状態に配されることとなるが、この際、断面コ字型の補強用部材7はそのコ字開口側を前記仕口部3の端部開口側に向けた状態にしてこの仕口部3の幅広凹所3B内に配されている為、この補強用部材7は、前記ボルト頭やナット11aの収納の邪魔とならず逃げた位置に良好に仕口部3内に配されることとなる。
【0069】
次に、本実施例の前記継合金具4及び補強用部材7を使用して、前記縦材1の互いに反対位置にある前後二側面に、横材2を接合する方法を説明する。
【0070】
縦材1には、前後方向(図2及び図3中においては左右方向)にこの縦材1の側面を貫通するボルト挿通孔13を上下複数箇所に貫通形成してある。
【0071】
図2に図示したように、縦材1には予め継合金具4を固定している。
【0072】
具体的には、縦材1のボルト挿通孔13の孔縁を有する前後二側面に夫々継合金具4の縦材固定部4Aを重合状態に配してこの縦材固定部4Aのボルト孔12を前記ボルト挿通孔13に重合させ、この縦材1のボルト挿通孔13と前記二体の継合金具4の縦材固定部4Aのボルト孔12とに前記連結ボルト11を貫通させて、この縦材1の一の側面に連結ボルト11の先端を突出させ、この連結ボルト11の突出先端にナット11aを螺着して締結固定することで、この縦材1の前後に側面に夫々継合金具4を当接固定する。
【0073】
一方、図2に図示したように、横材2の仕口部3には、予め複数の止着孔3aのうちの最も上側の止着孔にのみ止着杆5を挿通固定しておくと共に、この仕口部3の幅広凹所3B内に補強用部材7を配し、この補強用部材7の上端側の補強用連結孔7aと横材2の上端側の補強用止着孔8とに補強用止着杆9を挿通固定して横材2に補強用部材7の上端側のみを固定してこの補強用部材7を仕口部3内に仮固定した状態しておく。
【0074】
つまり、現場で縦材1と横材2とを継合する際には、図2に図示したように、縦材1に予め固定された継合金具4のあご掛け凹部6(連結孔6)に、横材2の仕口部3に予め挿通固定された止着杆5を上方から掛け止めるだけで、継合金具4を介して縦材1と横材2とを簡単に仮継合できる。
【0075】
その後、この仕口部3の幅広凹所3B内に上下に配された補強用部材7の下端側の補強用連結孔7aと、横材2の下端側の補強用止着孔8とに補強用止着杆9を挿通固定してこの補強用部材7の上下を横材2に固定連結する。また、継合金具4のあご掛け凹部6以外の残余の連結孔6と、仕口部3の止着孔3aとに止着杆5を挿通固定してこの継合金具4の横材連結板部4Bと横材2の仕口部3とを継合連結して縦材1と横材2とを継合する。
【0076】
このように、縦材1と横材2とを施工性良く良好に継合できる上に、補強用部材7と横材2との固定作業も厄介な手間は不要で簡単に施工できる。
【0077】
このようにして、補強用部材7を継合金具4とは固定せずに非干渉状態としながら、横材2に対して上下二箇所を固定連結したこの補強用部材7により、横材2の割裂の発生やその進行を防止する作用を発揮できることとなる。
【実施例2】
【0078】
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0079】
本実施例は、上記実施例1の別例であり、具体的には、補強用部材7に螺子やビスなどの止着部材10を挿通する補強用挿通孔7bを設け、この補強用挿通孔7bに挿通した前記止着部材10により補強用部材7を前記横材2の仕口部3に当接固定してこの補強用部材7を前記横材2に固定連結し得るように構成したものである。
【0080】
具体的には図5,6に図示しように、補強用部材7は、上記実施例1と同様に左右のコ字片部に夫々上下二箇所に補強用連結孔7aを形成している。更に加えて、この補強用部材7の左右のコ字片部間の中間板部の上下二箇所に補強用挿通孔7bを形成している。
【0081】
従って、この補強用部材7の中間板部に形成した補強用挿通孔7bに挿通した止着部材10を、横材2仕口部3の幅広凹所3Bの内側面(左右のスリット溝部3A間に位置して前記縦材1の側面と対向する面)に止着固定することで、この補強用部材7の中間板部を仕口部3の内側面に当接固定できる。
【0082】
また、この補強用部材7の中間板部の補強用挿通孔7bの上下二箇所の形成位置は、左右のコ字片部の補強用連結孔7aの上下二箇所の形成位置と同様に、継合金具4の横材連結板部4Bの連結孔6と前記横材2の仕口部3の止着孔3aとに挿通固定する前記止着杆5のうち、最も上側位置に挿通固定した止着杆5よりも上位置,及び最も下側位置に挿通固定した止着杆5より下位置の上下二箇所に設定する。即ち、上下二箇所の補強用挿通孔7b間に、継合金具4と横材2とを固定連結する止着杆5の挿通固定位置が配されるように設定する。
【0083】
これにより、前記止着杆5の挿通固定位置から生ずる割裂を良好に防止(軽減)する作用を発揮できる。
【0084】
尚、補強用部材7の中間板部だけでなく左右のコ字片部にもこの補強用挿通孔7bを形成しても良いが、その場合、止着部材10を仕口部3の内側面(左右の対向内側面)に止着する作業が行い難く、作業性が悪い。この点を考慮して、本実施例では、止着部材10の止着作業を行い易い補強用部材7の中間板部にのみ補強用挿通孔7bを形成している。
【0085】
即ち、本実施例では、断面コ字型の補強用部材7の中間板部は、補強用挿通孔7bに挿通した止着部材10で横材2の仕口部3の内側面に簡単に当接固定でき、一方、止着部材10では止着作業が行い難い補強用部材7の左右のコ字片部は、補強用連結孔7aに挿通した補強用止着杆9によって横材2の仕口部3に簡単に固定連結できるものである。
【0086】
本実施例では、このように補強用止着杆9,止着部材10で補強用部材7の左右のコ字片部,中間板部の三面を仕口部3の幅広凹所3Bの三つの内側面(互いに対向する左右の内側面,及び縦材1に対向する内側面)に夫々作業性良く簡単に固定できる上に、幅広凹所3Bの三つの内側面全てに補強用部材7の板面を固定するので、それだけ一層良好に横材2の割裂の防止(軽減)作用を発揮できるものである。
【0087】
このように本実施例は、図1〜図4に図示した上記実施例1に比して、さほど施工性を損ねることなく(単に止着部材10による当接固定作業を追加するだけで)、仕口部3の三面夫々に補強用部材7を固定でき、一層良好な割裂防止作用を発揮できる構成である。
【0088】
尚、例えば補強用部材7を断面コ字型やU字型とせず、断面L字型とし、一方のL片板部の上下に補強用連結孔7aを形成し、他方のL片板部の上下の補強用挿通孔7bを形成して、この断面L字型の補強用部材7の両L片板部を横材2の仕口部3の内側面の二面(左右に対向する内側面のうちの一方の内側面と、縦材1の側面と対向する内側面との二面)に固定連結する構成としても良い。しかし、仕口部3の左右に対向する内側面の一方の内側面のみを補強するアンバランスな構成となってしまい、やはりバランスよく横材2を補強(割裂を防止(軽減))するには、断面コ字型が最適と考えられる。
【0089】
また、縦材1に予め固定された継合金具4に横材2の仕口部3を継合させる際、図6に図示したように、横材2の仕口部3には、予め複数の止着孔3aのうちの最も上側の止着孔にのみ止着杆5を挿通固定しておくと共に、この仕口部3の幅広凹所3B内に補強用部材7を配し、この補強用部材7の上端側の補強用連結孔7aと横材2の上端側の補強用止着孔8とに補強用止着杆9を挿通固定して横材2に補強用部材7の上端側を固定すると共に、この補強用部材7の中間板部の下側の補強用挿通孔7bに止着部材10を挿通してこの補強用部材7の中間板部の下端側を止着部材10で当接固定しておくことができる。
【0090】
即ち、単に補強用部材7の上端部を補強用止着杆9で横材2の仕口部3に固定した仮固定状態では、補強用部材7がふらつき、横材2を継合金具4にあご掛けする作業時にこの補強用部材7が邪魔になる場合がある。
【0091】
この点、本実施例では、補強用部材7の上端部を補強用止着杆9で横材2の仕口部3に固定するだけでなく、補強用部材7の補強用挿通孔7bの一つ(全部でも良い)に挿通した止着部材10で補強用部材7の中間板部を挿通仕口部3の内側面に当接固定させることができるから、補強用部材7がふらつく上記の問題も生じ得ず、一層作業性良く良好に横材2のあご掛け作業を実施できる。
【0092】
また、その余の構成は上記実施例1と同様である。
【0093】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0094】
即ち、例えば補強用部材7の上下二箇所に限らず、その上下方向中間位置も横材2に固定連結する構成としても良い。図7に図示した別例では、補強用部材7の中間板部の上下二箇所だけでなく、その上下中間位置にも補強用挿通孔7bを形成した構成とし、必要に応じてこの上下中間位置の補強用挿通孔7bにも止着部材10を挿通して仕口部3の内側面に止着固定できるよう構成している。またこの図7では、補強用部材7の上位置,下位置,上下中間位置の三つの位置夫々に、左右二箇所ずつ補強用挿通孔7bを形成しており、その全部に止着部材10を挿通して止着固定しても良いし、必要な補強用挿通孔7bにのみ止着部材10を挿通して止着固定しても良い。
【0095】
また、例えば補強用部材7の形状は、断面コ字型(若しくはU字型)に限られるものではない。例えば図8,9に図示した別例のように、補強用部材7を単に平板状に形成した構成としても良く、この場合には、この平板状の補強用部材7に止着部材10を挿通する補強用挿通孔7bを形成し、この補強用挿通孔7bに挿通した止着部材10によって補強用部材7を横材2の仕口部3の内側面に当接固定する構成とする。
【0096】
この場合も、横材2の仕口部3内の外部から見え難い位置に補強用部材7を簡単に固定連結できる上に、単に金属製の平板に補強用挿通孔7bを穿設するだけで補強用部材7を構成でき、一層低コストに実施可能な構成となる。尚、例えばこの平板状の補強用部材7に補強用挿通孔7bの替わりに補強用連結孔7aを形成した構成としても良く、その他、本実施例と同様の作用効果を奏するものであれば、補強用部材7はどのような構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1に係る建築用木材継合構造の説明分解斜視図である。
【図2】実施例1に係る建築用木材継合構造の継合手順を説明する分解斜視図である。
【図3】実施例1に係る建築用木材継合構造の説明平面図である。
【図4】実施例1に係る建築用木材継合構造の説明側面図である。
【図5】実施例2に係る建築用木材継合構造の補強用部材7の固定構造を示す概略分解斜視図である。
【図6】実施例2に係る建築用木材継合構造の補強用部材7の固定構造を示す概略分解斜視図である。
【図7】実施例2の別例を示す説明斜視図である。
【図8】実施例2の別例を示す説明斜視図である。
【図9】実施例2の別例を示す説明斜視図である。
【図10】従来例を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
【0098】
1 縦材
2 横材
3 仕口部
3a 止着孔
3A スリット溝部
3B 幅広凹所
4 継合金具
4A 縦材固定部
4B 横材連結板部
5 止着杆
6 連結孔(あご掛け凹部)
7 補強用部材
7a 補強用連結孔
7b 補強用挿通孔
8 補強用止着孔
9 補強用止着杆
10 止着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の建築用縦材に当接固定される縦材固定部と、この縦材固定部から突出して木製の建築用横材の端部の仕口部に継合連結される横材連結板部とから成る継合金具を用い、前記木製の縦材と横材とを直角若しくは傾斜状態に継合する建築用木材継合構造であって、前記継合金具の縦材固定部を前記縦材に当接固定し、この継合金具の横材連結板部を前記横材の仕口部内に挿入配設すると共に、この横材連結板部に形成された連結孔と、前記横材の端部にして仕口部に形成された止着孔とに止着杆を挿通固定し、この横材連結板部と仕口部とを左右に貫通する前記止着杆によって前記継合金具の横材連結板部を前記横材の仕口部に継合連結し、この横材の仕口部には補強用部材を設け、この補強用部材は、前記継合金具及び前記縦材には固定せず、この補強用部材の少なくとも上下二箇所を前記横材に固定連結した構成としたことを特徴とする建築用木材継合構造。
【請求項2】
前記継合金具の横材連結板部の連結孔と、前記横材の仕口部の止着孔とに挿通固定する前記止着杆のうち、最も上側位置に挿通固定した止着杆よりも上位置,及び最も下側位置に挿通固定した止着杆より下位置の上下二箇所で前記補強用部材と前記横材とを固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1記載の建築用木材継合構造。
【請求項3】
前記横材の仕口部は、この横材の端部から横材の長さ方向に向けて、前記継合金具の横材連結板部を挿入配設するスリット溝部を有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材は、前記横材の仕口部の前記切欠部内に配設してこの横材と固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の建築用木材継合構造。
【請求項4】
前記横材の仕口部は、この横材の端部から横材の長さ方向に向けて、前記スリット溝部と、端部にこのスリット溝部より左右幅広な幅広凹所とを有する切欠部を凹設して成る構成とし、前記補強用部材は、前記横材の仕口部の前記幅広凹所内に上下方向に配設してこの横材と固定連結した構成としたことを特徴とする請求項3記載の建築用木材継合構造。
【請求項5】
前記継合金具の縦材固定部から左右一対の対向遊離板を突設せしめ、この一対の対向遊離板をこの継合金具の一対の前記横材連結板部として構成し、前記横材の仕口部は、前記継合金具の一対の横材連結板部を夫々挿入配設する左右一対の前記スリット溝部と、端部にこの左右一対のスリット溝部同志の離間距離に相当する左右幅を少なくとも有する幅広凹所とを有する切欠部を凹設して成る構成としたことを特徴とする請求項4記載の建築用木材継合構造。
【請求項6】
前記補強用部材に前記横材の端部にして仕口部に形成した補強用止着孔と重合連通する補強用連結孔を設け、前記仕口部の補強用止着孔とこの補強用部材の補強用連結孔とに補強用止着杆を挿通固定してこの補強用部材を前記横材に固定連結した構成とした,若しくはこの補強用部材に螺子やビスなどの止着部材を挿通する補強用挿通孔を設け、この補強用挿通孔に挿通した前記止着部材により補強用部材を前記横材の仕口部に当接固定してこの補強用部材を前記横材に固定連結した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用木材継合構造。
【請求項7】
前記補強用部材は、金属板体に前記補強用連結孔若しくは前記補強用挿通孔を形成して成る構成としたことを特徴とする請求項6記載の建築用木材継合構造。
【請求項8】
前記補強用部材は、金属板体を断面コ字型若しくはU字型に折曲形成すると共にその上下二箇所にして左右に対向するコ字片部に夫々前記補強用連通孔を形成して成る構成としたことを特徴とする請求項7記載の記載の建築用木材継合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−35906(P2009−35906A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200122(P2007−200122)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(596036692)株式会社タツミ (16)
【Fターム(参考)】