説明

建築用組立パネルの連結構造

【課題】建築物の内壁又は外壁の美的機能と陳列機能および保温、防音機能などを向上させると同時に施工作業が容易な建築用組立パネルの連結構造の提供。
【解決手段】建築用組立パネルの連結構造は、組立パネル(1)が、ジグザグ型に屈曲する金属板体であり、一定範囲の外向き端部を有する前面板(10)と、前面板(10)の上部からL字型に屈曲形成されており、約45°の逆角の傾斜面をなす段状突起部(21a)を有する締結凹入部(21)を形成した設置板(20)と、前面板(10)の下部から下方へ逆L字型に延長形成されており、段状突起部(21a)の傾斜面に対応する嵌め込み傾斜面(31a)を形成した締結部(31)を有する締結板(30)とを一体に形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内壁用、外壁用の組立パネルに関し、より詳細には建築物の内壁又は外壁の美的機能と陳列機能及び保温、防音機能などを向上させると同時に施工作業を容易に行える建築用組立パネルの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に建築物は、建築後に長い時間が経つにつれて日光や雨、雪などの気候条件や各種の公害などにより外壁が損傷を受けた場合に、大々的に補修したり改装したりするために、また室内・外壁の損傷をカバーすると同時に美感的なインテリア効果など得るために、金属(アルミニウム)材のパネルを様々な形態に屈曲成形した組立パネルを設置する。
【0003】
このようなパネルは、所定の形状・模様の長尺なパネルを上下に積層連結させながら締結ボルトなどで建築物の躯体の壁に固定する構成となっている。
【0004】
前記目的で構成されるパネルは、パネルの前面部の上端部に内向きの締結凹入部が形成されており、パネルの前面部の上端を一定の長さに突出させて締結凹入部内に形成される締結板を形成し、下端部は締結凹入部に挿入可能な大きさの内向折曲部として構成し、第2パネルの締結凹入部に締結されるようにした組立パネルから構成されるもので、各パネル部材の連結部からの漏水及び破損を防止し、容易に施工可能な建築用組立パネルの連結構造として提供されている。
【0005】
こうした従来考案は、ジグザグ形状に屈曲する横型パネルの締結凹入部に締結板を単純に嵌め込んで結合する構成なので、建築物の内壁又は外壁に設置した状態で一定期間が経過すると、外部圧力や荷重などによって組立パネルが建築物の壁から離隔して浮く現象、すなわちふくらみ現象が起こり、従来考案の目的である漏水及び破損防止という役割を果たせないという問題点を発生してしまう。
【0006】
またふくらみ現象が起こると、それによって振動と騒音が発生し、美観上良からぬイメージを消費者に認識させてしまい、折角の改装効果を喪失しかねない。
【0007】
さらには、前述の問題点が長期的に発生するならば、建築物の壁に組立施工された組立パネルの寿命が短命化したり、組立パネルが壁から落下して近くにいる販売員や消費者が負傷するおそれがあるなどの問題点をきたしてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した諸般の問題点を解決することを目的としており、一定の傾斜面をなす段状突起部を有する締結凹入部を形成し、段状突起部に対応して嵌め込まれる嵌め込み傾斜面を有する締結部を相互に連関する形で締まり嵌めがなされるようにして、現場でのより簡便な組立施工と低コストでの製作を実現する建築用組立パネルの連結構造物を提供することにある。
【0009】
これとともに前記構成によって締結凹入部と締結板とが相互にずれることなく堅固な連結状態を維持することで、積層された多数の組立パネルに作用する荷重に耐えられるようにし、形状が変形せず、製品寿命も長い建築用組立パネルの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、建築物の壁面に金属材の複数の組立パネルを連結積層させつつ固定して美麗な壁を構成する建築用組立パネルの連結構造について、組立パネルが、ジグザグ型に屈曲する金属板体で、一定範囲の外向き端部を有する前面板と、前面板の上部からL字型に屈曲形成されており、約45°の逆角の傾斜面をなす段状突起部を有する締結凹入部を形成した設置板と、前面板の下部から下方へ逆L字型に延長形成されており、段状突起部の傾斜面に対応する嵌め込み傾斜面を形成した締結部を有する締結板と、を一体に形成したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は段状突起部を有する締結凹入部と締結凹入部に嵌り込む嵌め込み傾斜面を有する締結板とが相互に締まり嵌め結合(嵌合)することによって、組立パネルを建築物の壁に固定するために使用する締結ボルトなどの数量を最小化することができ、設置作業をより簡便にすることができ、組立作業時間と施工費用とを最小化することができるという効果がある。
【0012】
また、前述のような締まり嵌め結合(嵌合)による組立構造によって、従来のような多数の組立パネルが建築物の壁に設置された状態で外部衝撃や荷重によって発生するふくらみ現象のようなゆがみ現象を未然に防止することが可能であり、長い間使用しても壁から離隔せずに堅固な組立状態を維持することが可能であり、本発明の原初的な目的である漏水防止、防水防音及び保温性を維持・増加させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができる程度に、本発明の望ましい実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による組立パネルを示す斜視図であり、図2はその組立パネルの設置状態を示す断面図であり、図3a及び図3bは本発明の他の実施形態による組立パネルの断面図を示している。
【0015】
第1実施形態による組立パネル(1)は、図1で示すようにジグザグ形状に屈曲しており、アルミニウムなどの金属板材で形成されている。具体的には一定範囲の外向き端部を有する前面板(10)と、その上部に前面板(10)の後方へ屈曲形成した設置板(20)と、前面板(10)の下部後端側から下方に延長形成された締結板(30)とを一体に備えている。
【0016】
設置板(20)はL字形状であり、前面板(10)の後方へ屈曲形成されており、その後端側には所定深さを持つ溝状の締結凹入部(21)が組立パネル(1)の長手方向に沿う横方向に形成されている。締結凹入部(21)の前方側端部には約45°の逆角の、即ち締結凹入部(21)の内側へ倒れるような傾斜面をなす段状突起部(21a)が形成されている。
【0017】
締結板(30)は、上下逆さの逆L字形状として前面板(10)の下部後端側から下方に延長形成されており、その下端には所定長さで前方に突出する締結部(31)が形成されている。締結部(31)の前方側端部には締結凹入部(21)の段状突起部(21a)の傾斜面に対応する嵌め込み傾斜面(31a)が形成されている。
【0018】
以上のような構成の複数の組立パネル(1)は、建築物の内壁又は外壁といった壁(P)の下部から上部まで積層しながら連結される。即ち図2で示すように、組立パネル(1)の締結凹入部(21)に、その組立パネル(1)と同一形状の他の組立パネル(1-1)の締結板(30-1)が嵌め込まれて組み立てられる。
【0019】
本発明の他の実施形態の例を説明すると、図3aで示す組立パネル(1′)では締結板(30)の下端に形成する締結部(31′)が後方に突出する構成としており、これと共に締結板(30)の背面側上部に所定の大きさで突出形成した補強片(32)をさらに含む構成としている。この補強片(32)によって、建築物の壁(P)に設置した組立パネル(1′)の強度を向上することができる。また図3bで示すように、前面板(10′)の形状を略半円形状として形成することで弾力性のある連結組立状態を得ることが可能になる。なお、図面中の符号(P)は建築物の壁であり、(2)は組立パネル(1)を壁(P)に固定する締結ボルトを示している。
【0020】
以上のような本発明の実施形態による建築用組立パネルの組立方法を、第1実施形態を例として説明すると次のとおりである。
【0021】
組立パネル(1)を使って建築後長期間経過した建築物を改装して建築物の保護や補修を実施する場合には、図2で示すように、建築物の内壁又は外壁の壁(P)の下部から上部まで積層する構造で連結することになる。
【0022】
すなわち建築物の内壁又は外壁の壁(P)の下部から組立パネル(1)を固定するが、この際には設置板(20)の所定位置で締結ボルト(2)を打ち込むようにして固定する。
【0023】
次に、壁(P)の下部に固定した組立パネル(1)の上側に、その組立パネル(1)と同一形状の他の組立パネル(1-1)を連結する。このとき、下側の組立パネル(1)の締結凹入部(21)に、上側の組立パネル(1-1)の締結板(30-1)を嵌め込んで連結する。
【0024】
より詳細には、上側の組立パネル(1-1)の締結板(30-1)の前方側端部に形成された嵌め込み傾斜面(31a-1)が、下側の組立パネル(1)の締結凹入部(21)に形成された段状突起部(21a)の傾斜面に対応して締まり嵌め結合する形で連結組立てされる。そして以上のような組立パネル(1)どうしの組立過程を反復して、壁(P)の下部から上部に至るまで多数の組立パネル(1)(1-1)を上下で積層させて連結組立するものである。
【0025】
このように嵌め込み傾斜面(31a-1)が段状突起部(21a)の傾斜面に入り込み嵌め合わされた状態で、締結部(31-1)が締結凹入部(21)に嵌り込むことで、上側の組立パネル(1-1)と下側の組立パネル(1)との堅固な組立状態を維持することができるようになっている。
【0026】
以上のように本発明は、前述の実施形態についてのみ具体的に説明したが、それだけに限定されるのではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であるのはもちろんのことである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による組立パネルを示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態による組立パネルの設置状態を示す断面図。
【図3a】本発明の他の実施形態を示す断面図。
【図3b】本発明の他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 組立パネル
2 締結ボルト
10 前面板
20 設置板
21 締結凹入部
21a 段状突起部
30 締結板
31 締結部
31a 嵌め込み傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に金属材の複数の組立パネルを連結積層させつつ固定して美麗な壁を構成する建築用組立パネルの連結構造において、
組立パネルは、
ジグザグ形状に屈曲する金属板体で、一定範囲の外向き端部を有する前面板と、
前面板の上部からL字型に屈曲形成されており、約45°の逆角の傾斜面をなす段状突起部を有する締結凹入部を形成した設置板と、
前面板の下部から下方へ逆L字型に延長形成されており、段状突起部の傾斜面に対応する嵌め込み傾斜面を形成した締結部を有する締結板と、を一体に形成したものであることを特徴とする建築用組立パネルの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公開番号】特開2006−342657(P2006−342657A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38902(P2006−38902)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(504382176)
【Fターム(参考)】