説明

建築用組立パネルの連結構造

【課題】建築物の内壁あるいは外壁の美的機能と陳列可能および保温、防音機能などを向上させると同時に施工作業が容易な建築用組立パネルの連結構造の提供。
【解決手段】パネル部材(10)に、第1締結凹入部(131)と第1傾斜突出突起(132)とからなる上端締結部(130)及び第1傾斜突出突起(132)に対応する傾斜面を形成した第1締結板(141)からなる下端締結部(140)とを備える。そして、下端締結部(140)と同一の形態で、パネル部材(10)の上端締結部(130)に締まり嵌め結合される第2締結板(210)を有する上端仕上部材(20)と、上端締結部(130)と同一の形態で、パネル部材(10)の下端締結部(140)を締まり嵌め結合する第2締結凹入部(310)および第2傾斜突出突起(320)を有する下端仕上部材(30)とをパネル部材(10)に連結して備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内壁用、外壁用の組立パネルに関し、より詳細には建築物の内壁又は外壁の美的機能と陳列機能及び保温、防音機能などを向上させると同時に施工作業を容易に行える建築用組立パネルの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に建築物は、建築後に長い時間が経つにつれて、日光や雨、雪などの気候条件や各種の公害などにより外壁が損傷を受けた場合に、大々的に補修したり改装したりするために、また室内・外壁の損傷をカバーすると同時に美感的なインテリア効果及び商品陳列などのために、金属(アルミニウム)材のパネルを様々な形態に屈曲成形した組立パネルを設置する。
【0003】
このようなパネルは、所定の形状・模様の長尺なパネルを上下に積層連結させながら締結ボルトなどで建築物の躯体の壁に固定する構成となっている。
【0004】
前記目的で構成されるパネルは、左右に連続的に長く構成された一定幅を持つ組立パネルと、組立パネルの上端部や下端部を仕上げる仕上材とを組み立てて構成されており、各パネル部材どうしの連結部からの漏水及び破損を防止し、また容易に施工できる建築用組立パネルの連結構造として提供されている。
【0005】
しかしこうした従来考案は、単純にジグザグの形に折曲された縦型パネルの上端部や下端部を仕上げる形で積層して組み立てる構成となっている。このため前述した従来考案の目的である漏水及び損傷の防止の役割を果たすことができず、また荷重によって組立パネルが建築物の壁から離間して浮くふくらみ現象によって美観上良からぬイメージを消費者に認識させることになり、折角の改装効果も喪失してしまう。
【0006】
また組立パネルが建築物の壁から離間するふくらみ現象が起こると振動が発生することがあり、それによって陳列台の上に置かれた陳列物などが床に落下して破損するなどの問題点がある。
【0007】
さらには、前述の問題点が長期的に発生すると、建築物の壁に組立施工された組立パネルの寿命が短命化したり、組立パネルが壁から落下して近くにいる販売員や消費者が負傷するおそれがあるなどの問題点をきたしてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の諸般の問題点を解決することを目的としており、上端仕上部材及び下端仕上部材とパネル部材との間に、所定部分から突出すると同時に逆方向傾斜面を形成する傾斜突出突起と、それに対応して嵌め込み結合するように傾斜突出突起の傾斜面に対向する傾斜面を先端に有する締結板とを構成し、上端仕上部材及び下端仕上部材とパネル部材とが各々相互に締まり嵌め結合されるようにすることで、組立作業が容易であり、低コストでの製作を実現する建築用組立パネルの連結構造を提供することにある。
【0009】
これとともに前記構成によって複数の仕上部材とパネル部材とが相互にずれることなく堅固な連結状態を維持することで、多数の陳列物による大きな荷重が作用しても、形状が変形せず、製品寿命も長い建築用組立パネルの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、建築物の壁面に金属材のパネルを固定しつつ連結積層させて美麗な壁を構成する建築用組立パネルの連結構造について、上端部には、L字型に屈曲しており前面側に所定空間を形成する第1締結凹入部と、第1締結凹入部の前面側の先端角部から約45°の逆方向傾斜面を形成する第1傾斜突出突起と、からなる上端締結部を有しており、下端部には、前面側に開口するコ字型に屈曲するとともにその下側先端に第1傾斜突出突起に対応する傾斜面を有する第1締結板からなる下端締結部を有しているパネル部材と、下端締結部と同一の形態で、パネル部材の上端締結部に締まり嵌め結合する第2締結板を有する上端仕上部材と、上端締結部と同一の形態で、パネル部材の下端締結部を締まり嵌め結合する第2締結凹入部と第2傾斜突出突起とを有する下端仕上部材と、を連結して備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明はパネル部材、上端仕上部材、下端仕上部材の各々に相互連関する締結凹入部、傾斜突出突起、締結板を有する構成によって、離脱せずに堅固に組み立てることが可能である。このため、陳列物による大きな荷重にも無理なく耐えることが可能で、荷重によって組立パネルが建築物の壁から離隔するふくらみ現象及びそれに伴う振動、騒音の発生などを未然に防止することができ、製品寿命の延長効果がある。
【0012】
また、前述のような締まり嵌め結合(嵌合)の組立てによる堅固な施工によって、本発明の原初的な目的である漏水防止、防水防音、保温性の向上を長期間維持させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができる程度に、本発明の望ましい実施形態の例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明による組立パネルの連結関係を示す分解斜視図である。
【0015】
本発明の一実施形態による組立パネル(1)は、建築物の内壁又は外壁に沿って縦方向に延長され、物品の陳列のために設置されるジグザグ形状に屈曲形成されたパネル部材(10)と、パネル部材(10)の上端部の仕上げに用いる上端仕上部材(20)と、パネル部材(10)の下端部の仕上げに用いる下端仕上部材(30)とで構成される。
【0016】
パネル部材(10)は、左右方向に一定の長さで延在しジグザグ形状に屈曲するアルミニウムなどの金属板体で構成される。パネル部材(10)には、一定範囲の外向き端部を持ち一定間隔で上下に配列された複数の前面板(110)(110′)(110″)と、隣接する前面板(110)(110′)(110″)どうしの間に所定の大きさで前方に開口するコ字型に屈曲し、後方外面(裏面)が建築物の壁に接触可能な多数の後方屈曲板(120)とが、一体に形成されている。これとともに前面板(110)(110′)(110″)の最上端の前面板(110″)の上端には、上端仕上部材(20)を連結するために、後方屈曲板(120)の長さと上端仕上部材(20)の厚さとを勘案してL字型に屈曲する上端締結部(130)が形成されている。また、最下端の前面板(110)の下端には、下端仕上部材(30)を連結するために、後方屈曲板(120)と同様に前方開口のコ字型に屈曲する下端締結部(140)が形成されている。
【0017】
そして上端締結部(130)と最上端の前面板(110″)とが屈曲して連続する角部には、内側が約45°の逆方向傾斜面を形成する第1傾斜突出突起(132)と、上端仕上部材(20)を受容するための所定空間となる第1締結凹入部(131)とが形成される。
【0018】
また、下端締結部(140)の下側先端には、上端締結部(130)の第1傾斜突出突起(132)と反対方向の傾斜面を形成した第1締結板(141)が前方へ突出する。この第1締結板(141)が下端仕上部材(30)に嵌め込まれた状態で、パネル部材(10)の下端締結部(140)と下端仕上部材(30)とが連結される。
【0019】
上端仕上部材(20)は、左右に一定の長さで延在しジグザグ形状に屈曲する金属板体である。上端仕上部材(20)には、パネル部材(10)の下端締結部(140)における第1締結板(141)と同一の形態の第2締結板(210)が形成される。したがってパネル部材(10)の上端に形成された上端締結部(130)の第1締結凹入部(131)と第1傾斜突出突起(132)の間に第2締結板(210)が締まり嵌め結合(嵌合)する状態で受容され、離脱しないように堅固に組立てられる。
【0020】
下端仕上部材(30)は、左右に一定の長さで延在しジグザグ形状に屈曲する金属板体である。下端仕上部材(130)には、パネル部材(10)の前面板(110)と上端締結部(130)の形状と同一の形態で第2締結板(310)と第2傾斜突出突起(320)が形成される。したがってパネル部材(10)の下端に形成された下端締結部(140)が第2締結凹入部(310)と第2傾斜突出突起(320)の間に、パネル部材(10)に上端仕上部材(20)が結合される過程と同じように締まり嵌め結合(嵌合)する状態で受容され、離脱しないように堅固に組み立てられる。なお図面中の符号(P)は建築物の壁、(3)は締結ボルト、(4)は陳列台、(5)は陳列物、(111)は引っ掛け板を図示している。
【0021】
以上のような構成を有する本実施形態による建築用組立パネルの組立方法を、具体的に説明する。図2aから図2cまでは組立パネルの組立過程を示す断面図である。
【0022】
組立パネル(1)を使って建築後長期間経過した建築物を改装して建築物の保護と補修を実施する場合には、建築物の内壁又は外壁の下部から上部まで積層する構造で連結することになる。
【0023】
すなわち図2aで示すように、まず建築物の内壁又は外壁の壁(P)の下部に、組立パネル(10)の下端部を仕上げる下端仕上部材(30)を締結ボルト(3)などを打ち込んで固定する。
【0024】
その後、図2bで示すように、壁(P)の下部に固定した下端仕上部材(30)にパネル部材(10)を嵌め込んで組み立てる。詳細には、下端仕上部材(30)の中央部に所定空間を形成する第2締結凹入部(310)と屈曲角部に上側逆方向に傾斜面を形成する第2傾斜突出突起(320)との間に、パネル部材(10)の下端部にある下端締結部(140)が締まり嵌め結合(嵌合)するように連結させるとともに、第1締結板(141)が第2傾斜突出突起(320)の内側に形成された傾斜面に対応して挿入され、パネル部材(10)が離脱しないように堅固に組み立てられる。
【0025】
その次に、図2cで示すように、前述のように組立てられたパネル部材(10)に上端仕上部材(20)を連結する。詳細には、パネル部材(10)の上端に形成された上端締結部(130)の下端から屈曲し所定空間を形成する第1締結凹入部(131)と、第1締結凹入部(131)と前面板(110″)とが屈曲して連続する角部分から所定の大きさで突出形成された第1傾斜突出突起(132)の逆方向傾斜面と、の間に、上端仕上部材(20)の第2締結板(210)が受容され、同時に、その先端に形成された傾斜面が第1傾斜突出突起(132)に逆方向に形成された傾斜面の内側に対応して挿入されることにより、上端仕上部材(20)が離脱しないように堅固に組み立てられる。こうして一つの組立パネル(1)が形成される。
【0026】
一方、図2cで示すように、パネル部材(10)における上下に一定間隔で配列形成された前面板(110)(110′)の上端と後方屈曲板(120)との間の角部分には、所定の大きさで上部に突出する引っ掛け板(111)がそれぞれ形成されている。陳列物(5)の売場などでは、組立パネル(1)の多数の前面板(110)(110′)に形成された引っ掛け板(111)によって陳列板がある陳列台(4)を必要に応じて簡単に設置することができる。
【0027】
前述のような過程によって、パネル部材(10)と上端仕上部材(20)及び下端仕上部材(30)を簡単に嵌め合わせることで、設置及び組立作業を容易に行うことができ、しかもその構成は簡易であり製造も容易であるという特徴を発揮することができる。
【0028】
以上のように本発明は、前述の実施形態に関してのみ説明したが、これだけに限定されるのではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による組立パネルの連結構造を示す分解斜視図。
【図2a】本発明の一実施形態による組立パネルの組立過程を示す断面図。
【図2b】本発明の一実施形態による組立パネルの組立過程を示す断面図。
【図2c】本発明の一実施形態による組立パネルの組立過程を示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 組立パネル
3 締結ボルト
4 陳列台
5 陳列物
10 パネル部材
20 上端仕上部材
30 下端仕上部材
110 前面板
110′ 前面板
110″ 前面板
111 引っ掛け板
120 後方屈曲板
130 上端締結部
131 第1締結凹入部
132 第1傾斜突出突起
140 下端締結部
141 第1締結板
210 第2締結板
310 第2締結凹入部
320 第2傾斜突出突起
P 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に金属材のパネルを固定しつつ連結積層させて美麗な壁を構成する建築用組立パネルの連結構造において、
上端部には、L字型に屈曲しており前面側に所定空間を形成する第1締結凹入部と、第1締結凹入部の前面側の先端角部から約45°の逆方向傾斜面を形成する第1傾斜突出突起と、からなる上端締結部を有しており、下端部には、前面側に開口するコ字型に屈曲するとともにその下側先端に第1傾斜突出突起に対応する傾斜面を有する第1締結板からなる下端締結部を有しているパネル部材と、
下端締結部と同一の形態で、パネル部材の上端締結部に締まり嵌め結合する第2締結板を有する上端仕上部材と、
上端締結部と同一の形態で、パネル部材の下端締結部を締まり嵌め結合する第2締結凹入部と第2傾斜突出突起とを有する下端仕上部材と、を連結して備えることを特徴とする建築用組立パネルの連結構造。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate


【公開番号】特開2006−342658(P2006−342658A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38903(P2006−38903)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(504382176)
【Fターム(参考)】