説明

建設機械のフィルタ装置

【課題】エンジン室内のスペース効率を向上できる建設機械のフィルタ装置を提供する。
【解決手段】熱交換装置24の冷却風上流側を覆うフィルタ36と、エンジン室17を冷却風が流入する第1空間部55と熱交換装置24が配設される第2空間部56とに仕切る仕切り40Aとを有しており、この仕切り40Aは熱交換装置24の冷却風取り入れ面に対向して並列するよう設けられると共にフィルタ36が装着される第1の開口部43Aが形成された第1の壁41Aと、この第1の壁41Aの下部から冷却風上流側に向けて延在配設された第2の壁42とを有し、第1空間部55の下部に第2空間部56の一部を構成する第3区画56Cを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のフィルタ装置に係り、特にフィルタに対してメンテナンスが必要な建設機械のフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に油圧ショベル等の建設機械では、エンジンを冷却するための熱交換装置を有している。この熱交換装置は、エンジンにより駆動される冷却ファンにより生成される冷却風により冷却される。また熱交換装置の冷却風の吸い込み側にはフィルタが設けられており、熱交換装置に設けられた冷却フィンが粉塵等で目詰まりすることを防止している。
【0003】
また、熱交換装置は、ラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ、燃料クーラ、コンデンサ等の複数の熱交換器が並設された構成となっている。この個々の熱交換器にフィルタを配設した構成では、目詰まりしたときに個々のフィルタに対してメンテナンスをする必要が生じ、その処理が面倒となる。
【0004】
このため、例えば図5に示すように複数の熱交換器104a,104bが並設された熱交換装置104では、冷却風の流れ方向に対して最上流側(以下、この方向を前方という)に配置された熱交換器104aの更に上流側に一つのフィルタ105を配置することが行われている。
【0005】
従来では、フィルタ105を熱交換装置104の前方に配置する構造として、熱交換装置104の上下左右を囲うように支持枠110を設け、その前面(冷却風上流側の面)にフィルタ105を取り付けた構成とされていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−052689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5に示す従来のフィルタ装置100では、熱交換装置104の下部を含め全体を支持枠110で覆い、この支持枠110の熱交換装置104と対向する位置にフィルタ105を配設する構成とされていた。このため、必然的に支持枠110が熱交換装置104から前方に向けて突出した構造となる(この突出量を図5に矢印Lで示す)。
【0008】
近年、建設機械の高機能化に伴い、エンジン室101内に搭載する搭載機器は増加する傾向にある。しかしながら、従来のように支持枠110が熱交換装置104の前方に突出する構造では、搭載機器(例えば、電装品108,バッテリー109等)が支持枠110と干渉しないよう、熱交換装置104に対して搭載機器を大きく離間させる必要がある。
【0009】
図5に示す例では、熱交換装置104に対して搭載機器を図中矢印Lで示す距離以上に離間させて配置する必要がある。このため、従来のフィルタ装置100では、エンジン室101内の有効活用ができず、エンジン室101が大型化してしまうという問題点があった。
【0010】
また従来の構成では、フィルタ105に付着した粉塵が落下して搭載機器に付着するおそれがあり、この搭載機器から粉塵を除去する作業が面倒であるという問題点もあった。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、エンジン室内のスペースを有効活用できる建設機械のフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、第1の観点からは、
冷却風により冷却される熱交換装置の冷却風上流側を覆うフィルタと、
エンジン室を、前記冷却風が流入する第1空間部と、前記熱交換装置が配設される第2空間部とに画成する仕切りと、を有しており、
前記仕切りは、
前記熱交換装置の冷却風取り入れ面に対向して並列するよう設けられると共に、前記フィルタが装着される第1の開口部が形成された第1の壁部と、
前記第1の壁部の下部から前記冷却風上流側に向けて延在配設された第2の壁部とを有し、
前記第2の壁部の下部に前記第2空間部の一部を構成する空間を設けた建設機械のフィルタ装置とすることにより解決することができる。
【発明の効果】
【0013】
開示の建設機械のフィルタ装置によれば、仕切りを構成する第2の壁部の下部に第2空間部の一部が形成されるため、エンジン室内に搭載機器を搭載する場合、この第2空間部の一部内に搭載機器を配置することにより当該搭載機器を熱交換装置に近接配置でき、これによりエンジン室内のスペースの有効活用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を搭載した建設機械を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を搭載したエンジン室の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の第2実施形態であるフィルタ装置を搭載したエンジン室の断面図である。
【図5】図5は、従来の一例であるフィルタ装置を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施形態であるフィルタ装置を設けた建設機械を示している。本実施形態では、建設機械として小旋回タイプの小型油圧ショベル1を例に挙げて説明する。この小旋回タイプの小型油圧ショベル1は、キャブ8に対しエンジン室17のY2方向の延出量が小さく設定されている。
【0017】
小型油圧ショベル1は、大略すると自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3を有している。また、上部旋回体3の前部側には作業アタッチメント4が設けられている。
【0018】
この作業アタッチメント4は、ブーム6、アーム9、及びバケット10等を有している。ブーム6は、後述の旋回フレーム5に俯仰動可能に取り付けられている。アーム9は、ブーム6の先端側に回動可能に取り付けられている。また、バケット10は、アーム9の先端側に回動可能に取り付けられている。
【0019】
ブームシリンダ12は、旋回フレーム5とロアブーム6との間に配設されている。このブームシリンダ12により、ブーム6は旋回フレーム5に対して俯仰動する。アームシリンダ13は、ブーム6とアーム9との間に配設されている。このアームシリンダ13により、アーム9はブーム6に対して回動動作する。更にバケットシリンダ14は、バケット10とアーム9との間に配設されている。このバケットシリンダ14により、バケット10はアーム9に対して回動する。
【0020】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回機構16を介して旋回自在に設置されている。この上部旋回体3には、図1に加え図2に示すように、旋回フレーム5、キャブ8、カウンタウエイト15、エンジンフード17a、外装カバー18、エンジン20、マフラ30等が配設されている。
【0021】
キャブ8は旋回フレーム5上に設けられており、その内部には運転席(図示せず)が設けられている。オペレータはキャブ8内の運転席に着座し、小型油圧ショベル1の運転操作を行う。
【0022】
カウンタウエイト15は、作業アタッチメント4との重量バランスをとる機能を奏する。またエンジンフード17a、外装カバー18は、エンジン20、熱交換機24、ポンプ27、フィルタ装置35A等を覆うものである。
【0023】
次に、エンジン室17内の構成について説明する。
【0024】
エンジン室17は、カウンタウエイト15(図1参照)、エンジンフード17a、外装カバー18に囲まれた構成とされている。図2は、エンジン室17の内部構成を示す図である。同図に示されるように、エンジン室17内には、エンジン20、冷却ファン23、熱交換装置24、ポンプ27、及びフィルタ装置35A等が配設されている。
【0025】
エンジン20は、旋回フレーム5に配設されたエンジン取付座21の上部に、マウント22を介して支持されている。マウント22は防振マウントであり、エンジン20で発生する振動が旋回フレーム5に伝達されるのを防止している。
【0026】
エンジン20のX1方向側(図中左側)には、冷却ファン23が配設されている。また、冷却ファン23のX1方向側には、熱交換装置24が配設されている。
【0027】
冷却ファン23は、エンジン20により回転駆動される。冷却ファン23が回転駆動されることより、外気が外装カバー18に形成された取り入れ口51からエンジン室17内の第1空間部55に冷却風として取り込まれる。
【0028】
そして、冷却ファン23により生成される冷却風は、後述のようにフィルタ装置35Aと熱交換装置24のみを通過し、第1空間部55から第2空間部56に向け流れる構成とされている。熱交換装置24は、この冷却風により冷却される。このように冷却風は、図2において右側に向け流れる。よって、図中矢印X1方向側が冷却風上流側となり、図中矢印X2方向が冷却風下流側となる。
【0029】
熱交換装置24は、ラジエータユニット24A(第1の熱交換器)、燃料クーラ24B(第2の熱交換器)、エアコン用のコンデンサ24C(第2の熱交換器)、及び枠体24D等により構成されている。
【0030】
ラジエータユニット24Aは、エンジン20内を流れる冷却水を冷却するラジエータ、ブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧機器の作動油の冷却をするためのオイルクーラ及びエンジンに供給される過給空気を冷却するためのインタークーラが並設された構成とされている。
【0031】
燃料クーラ24Bは図示しない燃料タンクに戻る余剰燃料を冷却し、コンデンサ24Cはエアコン用に設けられている。枠体24Dは、ラジエータユニット24Aを取り囲むよう配設され、ラジエータユニット24Aを保持する機能を奏する。
【0032】
燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cは、ラジエータユニット24Aの冷却風上流側に配設され、枠体24Dに支持される。また枠体24Dは、ラジエータユニット24Aの冷却風上流側にフィルタ装置35Aが接続される開口部24Eを有している。更に、枠体24Dの上部には、エンジンフード17aが外装カバー18に装着された際、エンジンフード17aと熱交換装置24との間をシールするシール部材50が設けられている。
【0033】
枠体24Dとシール部材50により第2空間部56は、エンジン20が配設される第1区画56Aと、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cが配設される第2区画56Bとに画成される。これにより、第2区画56Bに流入した冷却風は専ら熱交換装置24を通過して第1区画56Aに流入する。
【0034】
ポンプ27は、エンジン20の冷却ファン23が配設された側と反対側(冷却風下流側)に配設されている。ポンプ27は作業アタッチメント4を駆動するブームシリンダ12、アームシリンダ13、バケットシリンダ14等の油圧源である。このポンプ27もエンジン20により駆動される。
【0035】
エンジン20から排出された排気ガスは、排気マニホールド28及び排気管29を介してマフラ30に導入される。マフラ30は、エンジン20のX2方向側の上部位置に固定ブラケット33を介して固定されている。排出ガスの排気騒音は、マフラ30内に形成された複数空間部内で膨張及び圧縮を繰り返し進行することにより消音される。
【0036】
また、消音装置30の排気端部にはテールパイプ31が設けられている。消音装置30で消音処理が行われた排気ガスはテールパイプ31から機体外部に排出される。
【0037】
次に、図2に加えて図3を用い、フィルタ装置35Aについて説明する。
【0038】
フィルタ装置35Aは、熱交換装置24の開口部24Eに対して冷却風上流側に配設されている。このフィルタ装置35Aは、フィルタ36とフィルタ支持枠46とを有した構成とされている。
【0039】
フィルタ36は、熱交換装置24の冷却風上流側に配置された燃料クーラ24B,コンデンサ24Cと対向するよう配置される。このフィルタ36は、冷却風と共に取り入れ口51から流入した粉塵が熱交換装置24に吸入されないよう粉塵の除去を行う。
【0040】
フィルタ支持枠46は、下辺が取り除かれた枠状形状とされている。即ちフィルタ支持枠46は、上片46aと、左右側片46b,46cとからなる構成とされ、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cを取り囲むように配設されている。よって、フィルタ支持枠46の下部側(図中矢印Z2側)には、下部開口部47が形成されている。
【0041】
またフィルタ支持枠46は、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cの冷却風取り入れ面に略平行に対向する第1の壁部41Aを有し、第1の壁部41Aには、フィルタ36が装着される第1の開口部43Aが形成されている。この第1の開口部43Aにフィルタ36が取り付けられることにより、フィルタ36は熱交換装置24(具体的には、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cの冷却風取り入れ面)と略平行に対向した状態となる。
【0042】
なお、本実施形態では、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cの冷却風取り入れ面と第1の壁部41Aを略平行に対向するものとしているが、必ずしも厳密に平行である必要はなく第1の壁部41Aが燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cの冷却風取り入れ面に対して任意の角度で傾斜していてもよい。
【0043】
このようにフィルタ支持枠46は、フィルタ36を上記の燃料クーラ24B,コンデンサ24Cと対向する位置に支持すると共に、冷却風が流入する第1空間部55と、燃料クーラ24B及びコンデンサ24Cが配設される第2空間部56の第2区画56Bとを画成する機能を奏する。
【0044】
フィルタ支持枠46は、上片46a、左右側片46b,46cを介して熱交換装置24に取り付けられている。このフィルタ支持枠46の上片46a、左右側片46b,46cは、熱交換装置24の枠体24Dに気密に固定されている。
【0045】
また、フィルタ支持枠46は、第1の壁部41Aに対して略直角方向で、かつ第1の壁部41Aから冷却風上流側(図中、矢印X1方向)に向けて延出形成される下片46dを有している。従って、第1の壁部41Aと下片46dは、図2に示すように、略L字状を為した構成とされている。
【0046】
フィルタ支持枠46の下片46dの下部の床面59には、バッテリー52及び電装品53等の搭載機器が搭載されている。
【0047】
バッテリー52及び電装品53等の周囲には、フィルタ支持枠46の下片46dと同じ高さ位置に枠体45が設けられている。この枠体45と下片46dにより第2の開口部44が形成される。よって、バッテリー52及び電装品53等に対するメンテナンスは、この第2の開口部44を介して実施される。
【0048】
バッテリー52及び電装品53等が配置される空間(第3区画56C)は、フィルタ支持枠46の下部開口部47を介して第2空間部56の第2区画56Bと連通し、第2空間部56の一部を為す。
【0049】
枠体45は、図3に示されるように、この第2の開口部44に取り付けられるトレー3
7を支持するものである。
【0050】
枠体45は、横枠体45B、及びデッキ部60等により構成されている。横枠体45Bは、第2の開口部44内の両側位置(Y1方向位置と、Y2方向位置)に配設されている。この各横枠体45Bは、例えば図示しない床面59に設けられた支持部材により、床面59に固定されている。
【0051】
本実施形態では、外装カバー18の一部を構成するデッキ部60の、第2の開口部44に臨む縁部も枠体45の一部としている。本実施形態では、このようにエンジン室17を構成するデッキ部60の一部を枠体45として用いているため、部品点数を削減することができる。また、フィルタ支持枠46の下片46dを枠体45と協働するトレー37の支持部材としているので、フィルタ支持枠46と枠体45の間のシール部材を省略することができる。なお、シール部材の省略のメリットは失われるものの、フィルタ支持枠46に下片46dを設けずに枠体45側に支持部材を設けてもよい。
【0052】
上記のように、枠体45は第2の開口部44に形成されている。そして、前記したトレー37が第2の開口部44に装着されたとき、トレー37はその外周4辺をフィルタ支持枠46の下片46d及び枠体45に図示しないシール部材を介して支持される。このため、フィルタ支持枠46の下片46d及び枠体45によりトレー37は確実かつ安定した状態で第2の開口部44に取り付けられる。
【0053】
トレー37は、取り付け状態において第2の開口部44を気密に封止し、これにより第1空間部55と第2空間部56の第3区画56Cとは画成される。即ち、フィルタ支持枠46の下片46d、枠体45及びトレー37により第2の壁部42Aが構成されることになる。よって、取り入れ口51を介して第1空間部55に流入した冷却風は、第2の開口部44を通過することはなく、専ら第1の壁部41Aに形成された第1の開口部43A(フィルタ36)を通過し、第2空間部56の第2区画56B内に流入する。
【0054】
従って、本実施形態では、フィルタ支持枠46(第1の壁部41A)と第2の壁部42により第1空間部55と第2空間部56(第1区画56A〜第3区画56C)とを画成する仕切り40Aが構成されるものとなっている。
【0055】
また、外装カバー18のフィルタ装置35Aと対向する位置にはドア19が配設されている。トレー37は、このドア19から機体外部に取り出し可能な構成とされている。
【0056】
なお、トレー37は第1空間部55の底部を広く覆う形状とされおり、よってフィルタ36から落下する粉塵を捕集する機能も奏するよう構成されている。また本実施形態ではトレー37を金属材により形成しているが、トレー37を合成樹脂等の弾性素材で形成することにより、トレー37自体にシール等の機能を持たせる構成としてもよい。
【0057】
上記構成とされたフィルタ装置35Aでは、フィルタ支持枠46(第1の壁部41A)及び第2の壁部42によりエンジン室17内が第1空間部55と第2空間部56の第2区画56B及び第3区画56Cとに画成される。この際、前記のようにフィルタ支持枠46の下片46dは、枠体45及びトレー37を介することにより冷却風上流側に向けて延在配設されて外装カバー18(デッキ部60)と接続した第2の壁部42を構成している。
【0058】
よって、従来のようにフィルタを支持する支持部が熱交換装置の下部位置を含め冷却風上流側を完全に覆う構成と異なり、第1空間部55の下部位置の第3区画56Cが第2空間部56の一部を為す構成となる。この第3区画56Cは第2空間部56の第2区画56Bとフィルタ支持枠46の下部開口部47を介して連通している。よって、熱交換装置24の冷却風上流側でその下部位置には、フィルタ支持枠46は存在しない構成となっている。このため、第3区画56C内にバッテリー52及び電装品53等を搭載する際、バッテリー52及び電装品53等を熱交換装置24に近接させた状態で搭載することができる。
【0059】
具体的には、本実施形態に係るフィルタ装置35Aによれば、バッテリー52及び電装品53等をフィルタ36を支持するフィルタ支持枠46の下部位置に配設することが可能となる。これにより、従来のようにフィルタ支持枠46の下部にいわゆるデッドスペース(無駄な空間)が発生することを防止でき、エンジン室17内のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0060】
またトレー37は、フィルタ36の冷却風上流側のデッキ部60上に取り付けられている。このため、フィルタ36に付着した粉塵がエンジン20の振動等により落下した場合、これをトレー37で捕集することができる。
【0061】
また本実施形態に係るフィルタ装置35Aでは、フィルタ36の清掃処理を、第1空間部55内で実施することが可能となる。即ち、第1空間部55内でフィルタ36に付着した粉塵をトレー37上に落下させ、その後にこのトレー37をドア19を介して第1空間部55の外部に取り出し、塵埃の除去を行うことが可能となる。これにより、フィルタ36の清掃処理の容易化を図れると共に、清掃時に粉塵が飛散することを抑制することができる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態であるフィルタ装置について説明する。
【0063】
図4は、本発明の第2実施形態であるフィルタ装置35Bを搭載しエンジン室17の断面図である。なお、図4において、図1乃至図3を用いて説明した第1実施形態であるフィルタ装置35Aと対応する構成については同一符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0064】
前記した第1実施形態に係るフィルタ装置35Aでは、第1の壁部41Aがフィルタ支持枠46を介して熱交換装置24に支持させる構成としていた。また、第2の壁部42の一部をフィルタ支持枠46の下片46dにより構成していた。これに対して本実施形態に係るフィルタ装置35Bは、仕切り40Bを構成する第1の壁部41Bをエンジン室17の外装カバー18(壁部)と一体的な構成とすると共に、第2の壁部42を構成する枠体45に第1の壁部41Bの下端と接する縦枠体45Aを設けたことを特徴とするものである。
【0065】
本実施形態では、エンジンフード17aが装着される開口形成位置において、外装カバー18を鉛直下方向(Z2方向)向け延出するよう形成することにより、第1の壁部41Bを形成している。
【0066】
このように外装カバー18の一部を仕切り40B(第1の壁部41B)として使用することにより、フィルタ装置35Bの部品点数の削減及び構造の簡単化を図ることができる。具体的には、第1実施形態ではフィルタ支持枠46の第1の壁部41Aを熱交換装置24の枠体24Dに支持すると同時に第1空間部55と第2空間部56の第2区画56Bとを画成するために、上片46aと、左右側片46b,46cが必要であったが、本実施形態ではこのフィルタ支持枠46の上片46aと、左右側片46b,46cのような構成を不要とすることができる。
【0067】
また、フィルタ支持枠46の上片46aと、左右側片46b,46cのような構成を不要とすることができることにより、熱交換装置24の冷却風上流方向側への突出物が全くなくなり、第3区画56Cに配設されたバッテリー52及び電装品53等の搭載機器を熱交換装置24に更に近接することができる。よって、本実施形態に係るフィルタ装置35Bによれば、更にエンジン室17内のスペースの有効活用が可能となる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0069】
具体的には、上記した実施形態では本願発明を小型油圧ショベル1に適用した例について説明したが、本願発明はフィルタを有する各種建設機械についても適用可能なものである。
【符号の説明】
【0070】
1 小型油圧ショベル
5 旋回フレーム
15 カウンタウエイト
17 エンジン室
17a エンジンフード
18 外装カバー
19 ドア
20 エンジン
23 冷却ファン
24 熱交換装置
24A ラジエータユニット(第1の熱交換器)
24B 燃料クーラ(第2の熱交換器)
24C コンデンサ(第2の熱交換器)
24D 枠体
30 消音装置
35A,35B フィルタ装置
36 フィルタ
37 トレー
40A,40B 仕切り
41A,41B 第1の壁部
42 第2の壁部
43A,43B 第1の開口部
44 第2の開口部
45 枠体
46 フィルタ支持枠
50 シール部材
51 取り入れ口
52 バッテリー
53 電装品
55 第1空間部
56 第2空間部
56A 第1区画
56B 第2区画
56C 第3区画
60 デッキ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却風により冷却される熱交換装置の冷却風上流側を覆うフィルタと、
エンジン室を、前記冷却風が流入する第1空間部と、前記熱交換装置が配設される第2空間部とに画成する仕切りと、を有しており、
前記仕切りは、
前記熱交換装置の冷却風取り入れ面に対向して並列するよう設けられると共に、前記フィルタが装着される第1の開口部が形成された第1の壁部と、
前記第1の壁部の下部から前記冷却風上流側に向けて延在配設された第2の壁部とを有し、
前記第2の壁部の下部に前記第2空間部の一部を構成する空間を設けたこと特徴とする建設機械のフィルタ装置。
【請求項2】
前記第2の壁部は、
前記第1空間部と前記第2空間部の一部を構成する空間とを連通する第2の開口部と、
該第2の開口部を覆う蓋体とを有することを特徴とする請求項1記載の建設機械のフィルタ装置。
【請求項3】
前記熱交換装置は、第1の熱交換器と、該第1の熱交換器の冷却風上流側に配置される第2の熱交換器とを有し、
前記仕切りは、前記第2の熱交換器の冷却風取り入れ面に対向して並列するよう設けられた前記第1の壁部と、前記第1の壁部から延出して前記第2の熱交換器の上部及び両側部を覆うように配置された枠状片部とを有する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のフィルタ装置。
【請求項4】
前記第1の壁部を前記エンジン室の壁部と一体的な構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のフィルタ装置。
【請求項5】
前記エンジン室に搭載される搭載機器を、前記第2空間部内の前記第2の開口部と対向
する位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建設機械の
フィルタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−104276(P2013−104276A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250790(P2011−250790)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】