説明

建設機械の冷却装置

【課題】 旋回半径,旋回体の高さの増大を抑え、冷却性能の向上を図ることができるようにした建設機械の冷却装置の提供。
【解決手段】 下部走行体1と、フレーム3とを備え、このフレーム3には、この後端部に取り付けられたカウンタウエイト5と、このカウンタウエイト5の近傍に搭載されたエンジン15と、このエンジン15により駆動される冷却ファン16と、この冷却ファン16の回転により冷却される熱交換器としてのラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20と、建屋カバー11に形成された開口を覆い熱交換器を点検するために設けられたドアカバー12とを有した建設機械の冷却装置であって、開口からみて放熱部18C,19C,20Cの端部がそれぞれ重複するように斜めに並列配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータ,オイルクーラ,インタクーラ等の熱交換器を上部旋回体に備えた、例えば、油圧ショベル,クレーンなどの建設機械の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としては油圧ショベルが知られている。油圧ショベルは、下部走行体と、この下部走行体上に設けられた上部旋回体と、この上部旋回体の前側に設けられた作業装置とから大略構成されている。
【0003】
特に、上部旋回体上には、この上部旋回体上の後部に搭載されたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に設けられた原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却され並列に配置された熱交換器と、上部旋回体上を覆う建屋カバーと、この建屋カバーの一部を形成し熱交換器を点検するための側部カバーとが備えられている。
【0004】
熱交換器としては、原動機からの冷却水を冷却するラジエータ、作業装置を動作させるための作動油を冷却するオイルクーラ等の熱交換器が配置されている。
【0005】
上部旋回体上のスペースにおいて、できるだけ冷却面積を確保するために、上述した複数の熱交換器を並列に配置している。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001―341533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、ラジエータ,オイルクーラ等の熱交換器が、エンジンの駆動軸に対して垂直となる方向に並列配置されることになり、熱交換器の冷却性能を上げようとして冷却面積を稼ぐためには、旋回体の旋回半径もしくは旋回体の高さを増大することになってしまい、旋回体後端が障害物へ衝突したり後方視界が妨げられるといった作業性能が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑え、冷却性能の向上を図ることができるようにした建設機械の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、基台と、基台に対し旋回可能に設けられ前側に作業装置が取り付けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、この後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、前記熱交換器を、これら熱交換器の放熱部が前記開口からみて前記放熱部が一部重複するように斜めに配置したことを特徴としている。
【0009】
このように構成した請求項1に係る発明は、熱交換器の放熱部を、開口からみて放熱部が一部重複するように斜めに配置したので、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑えることができる。
【0010】
本願請求項2に係る発明は、基台と、基台に対し旋回可能に設けられ前側に作業装置が取り付けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、この後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、前記側部カバーは、この一方を建屋カバーにおける前記開口近傍で上下方向に配置された回動軸に支持させ、他方に開放端を有しており、前記熱交換器を、これら熱交換器の放熱部が前記側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、前記開口からみて前記放熱部が一部重複するように斜めに配置したことを特徴としている。
【0011】
このように構成した請求項2に係る発明は、熱交換器の放熱部が側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、開口からみて放熱部が一部重複するように斜めに配置したので、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑えることが可能となり、側部カバーを大きく開放できない場所であっても、容易に清掃作業を行うことができる。
【0012】
また、本願請求項3に係る発明では、基台と、この基台に対し旋回可能に設けられ前側にブーム,アーム,バケットからなる作業装置が設けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、前記作業装置とバランスさせるために上部旋回体の後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、前記側部カバーは、この一方を前記建屋カバーにおける前記開口近傍で上下方向に配置された回動軸に支持させ、他方に開放端を有しており、前記熱交換器を、これら熱交換器の冷却風吸込み側の放熱部が前記側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、前記開口からみて前記放熱部が一部重複するように斜めに配置するとともに、隣り合う前記熱交換器同士の隙間をシールするための閉鎖手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
このように構成した請求項3に係る発明は、熱交換器の放熱部が側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、開口からみて放熱部が一部重複するように斜めに配置したので、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑えることが可能となり、側部カバーを大きく開放できない場所であっても、容易に清掃作業を行うことができ、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑えることができる。また、隣り合う熱交換器同士の隙間をシールするための閉鎖手段を備えたので、冷却効率を損なうこともない。
【0014】
また、本願請求項4に係る発明では、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記熱交換器は、ラジエータ,オイルクーラ,インタクーラからなることを特徴としている。
【0015】
また、本願請求項5に係る発明では、請求項1または2に係る発明において、前記熱交換器は、隣合う前記熱交換器の間の隙間をシールするための閉鎖手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
このように構成した請求項5に係る発明は、冷却風を熱交換器の放熱部に確実に導くことができ、冷却性能の向上を図ることができる。
【0017】
また、本願請求項6に係る発明では、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記カウンタウエイトは、前記熱交換器の一部前面を覆うように形成したことを特徴としている。
【0018】
このように構成した請求項6に係る発明は、上部旋回体上のスペースが限られる小旋回機に適用した際にも、旋回半径,旋回体の高さの増大を抑えることができる。
【0019】
また、本願請求項7に係る発明では、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記熱交換器を、この熱交換器の平断面が湾曲するように形成したことを特徴としている。
【0020】
このように構成した請求項7に係る発明は、熱交換器の平断面を湾曲させることにより、より大きな冷却面積を稼ぐことができるため冷却性能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、熱交換器の放熱部を一部重複するように斜めに配置したので、旋回半径,旋回体の高さを増大させることなく、冷却性能と作業性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の建設機械の冷却装置の実施形態を図に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態による油圧ショベルを示す斜視図であり、図2は図1中の矢示V−V方向からみた断面図である。図3は、本発明の第1実施形態による熱交換器の周辺の配置を示す平面図であり、図4は、図3中の熱交換器を示す斜視図である。図5は、図4中のシール部材を示す斜視図であり、図6,図7は、本発明の第1実施形態による他の配置を示す平面図である。
【0024】
この第1の実施形態は、建設機械、例えば、油圧ショベルに備えられるもので、図1に示すように、1は基台としての下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、この上部旋回体2は、構造体をなすフレーム3と、このフレーム3の前部左側に設けられた運転室4と、前記フレーム3の後側に取り付けられた後述のカウンタウエイト5とによって大略構成され、前記フレーム3の前側に土砂の掘削作業等を行うための作業装置6が設けられている。作業装置6は、アクチュエータによりそれぞれ回動可能に設けられたブーム6A,アーム6B,バケット6Cとから成る。
【0025】
ここで、フレーム3は、図2に示すように、ほぼ平行に配設されたセンタフレーム7,7と、この各センタフレーム7の左右方向の外側に設けられたサイドフレーム8,8と、各センタフレーム7と各サイドフレーム8とを連結する複数本の張り出しビーム9,9等とによって構成され、フレーム3の下側はアンダカバー10によって覆われている。また、各センタフレーム7の後側は、後方に突出し、カウンタウエイト5を支持するウエイト取付部(図示せず)を設けている。
【0026】
11はフレーム3上に設けられ、このフレーム3上に機械室を画成する建屋カバーで、この建屋カバー11は、サイドフレーム8,8に沿って前後方向に延び上向きに立設された側部カバーとしてのドアカバー12,12と、この各ドアカバー12の上端側を覆うように水平方向に延び中央に開口部13Aが形成された上部カバー13と、この上部カバー13の開口部13Aを覆うように、上部カバー13に開閉可能に取り付けられたエンジンカバー14とによって大略構成されている。また、各ドアカバー12には、複数本のスリットからなる空気流通口12Aがそれぞれ設けられている。
【0027】
15は、建屋カバー11内のカウンタウエイト5の近傍に設けられ、各センタフレーム7の後側に左右方向に延びる横置き状態に搭載された原動機としてのエンジンで、このエンジン15の一方側には出力軸15Aで駆動される冷却ファン16が取り付けられ、他方側にはこのエンジン15によって駆動され、下部走行体1、作業装置6等に設けられた各アクチュエータに作動油(圧油)を供給する油圧ポンプ17が取り付けられている。
【0028】
ここで、冷却ファン16は、エンジン15によって回転駆動されることにより、建屋カバー11内に外気を吹き込み、この外気を冷却風として後述のラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20に向け供給するものである。
【0029】
18は、建屋カバー11内に設けられた熱交換器を成すラジエータで、このラジエータ18は、図4に示すようにアッパタンク18Aとロアタンク18Bが配管を介してそれぞれエンジン15のウォータジャケット(図示せず)と接続され、これによりエンジン15との間で循環するエンジン冷却水の熱を放熱部18Cで熱交換して冷却風中に放出し、このエンジン冷却水を冷却するものである。
【0030】
19は、建屋カバー11内に設けられた熱交換器を成すオイルクーラで、このオイルクーラ19は、図4に示すようにアッパタンク19Aが下部走行体1、作業装置6等の各アクチュエータからの戻り配管に接続され、ロアタンク19Bが配管を介して作動油タンク(図示せず)に接続されている。これにより、オイルクーラ19は作動油の熱を放熱部19Cで放出し、この作動油を冷却するものである。
【0031】
20は、建屋カバー11内に設けられた熱交換器を成すインタクーラで、このインタクーラ20は、エンジン15のターボ過給器によって圧縮された空気を流入ホースを介してアッパタンク20A内に流入させ放熱部20Cで流通させることにより、この圧縮空気を冷却し、ロアタンク20Bから流入ホースを介してエンジン14のインテイクマニホールド(図示せず)に供給するものである。
【0032】
これら熱交換器は、冷却ファン16の上流側で、図2に示すようにフレーム3の張り出しビーム9,9上にボルト9Aにより取り付けられている。
【0033】
22は、熱交換器の前面に設けられた防塵ネットで、この防塵ネット22は、比較的大きな塵等の異物がラジエータ18の放熱部18C,オイルクーラ19の放熱部19C,インタクーラ20の放熱部20Cに詰まって堆積するのを防止するものである。熱交換器の上流側に上下方向に延びて設けられた断面略コ字状のガイド部材23,23間に保持されている。そして防塵ネット22は、各ガイド部材23に沿って上下方向に抜き差しされる構造になっており、捉えられた塵を除去するときには防塵ネット22を上方に抜いた上で洗浄する。
【0034】
24は、熱交換器の下側に位置して張り出しビーム9,9間の空間を遮蔽した下側遮蔽部材である。
【0035】
25は、熱交換器の上側に対応する位置でエンジンカバー内に固着された上側遮蔽部材で、これら遮蔽部材24,25は、例えば、ウレタンゴム等によって形成され、各々の熱交換器を通過して高温となった冷却風が、再び各々の熱交換器の上流側に回り込む再循環(サーキュレーション)を防止するもので冷却効率が低下するのを防止している。
【0036】
次に発明の要部を、図3に示すように熱交換器の周辺の配置を示した平面図を基に説明する。
【0037】
熱交換器上流側に熱交換器の点検,交換等のメンテナンスを行うために設けられた側部カバーとしてのドアカバー12は、この一方を、カウンタウエイト5側で上下方向に配置された回動軸として立設された枠部材27に支持させ、ヒンジ26を介して側方方向に開閉されるように取り付けられてある。ドアカバー12の他方に開放端を有している。
【0038】
ラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20等の複数の熱交換器は、設置スペースの幅方向(車体前後方向)寸法内に収まるように、これら熱交換器の放熱部18C,19C,20Cの冷却風吸込み側が、ドアカバー12の回動軸側(車体の斜め後方)を向くように並列に設けられている。さらに、これら熱交換器は、それぞれの放熱部18C,19C,20Cの面が上面視平行となるように配置されるとともに、開口側からみて放熱部18C,19C,20Cの端部が一部重複するように設けられている。
【0039】
28は、隣り合う熱交換器であるラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20それぞれの側面部どおしの隙間に接続される閉鎖手段としてのシール部材で、各熱交換器の隙間からの冷却風の吸い込みを防止し、確実に放熱部に冷却風を導くものである。このシール部材は、図5に示すように一枚板を曲げ加工により三面が形成された金属板であり、互いに平行に形成された取り付け面28a,28aと、この取り付け面28aの間に各熱交換器の間を遮蔽する遮蔽面28bとを有している。各取り付け面28aには複数のボルト穴28cが形成されており、隣接する熱交換器と熱交換器の間で上下方向に延びてボルトにより脱着可能に隙間無く取り付けてある。
【0040】
本実施形態による油圧ショベルは上述のような構成を有するもので、エンジン15によって油圧ポンプ17を駆動することにより、この油圧ポンプ17から下部走行体1,作業装置6の各アクチュエータに圧油を供給し、下部走行体1を走行させたり、作業装置6を上下に回動させて土砂の掘削作業を行う。
【0041】
一方、エンジン15の運転時には、このエンジン15によって冷却ファン16が回転駆動され、外部の空気を冷却風として建屋カバー11内に吸込み、この冷却風をラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20等複数の熱交換器に供給し、エンジン冷却水,作動油,吸入空気等を冷却する。
【0042】
長時間運転すると、油圧ショベルは砂,埃,粉塵等の激しい作業現場で稼動することから、各熱交換器18,19,20の放熱部18C,19C,20Cの上流側には砂,埃,粉塵等が堆積する。
【0043】
そこで、ドアカバー12を開放し、ドアカバー12の開放端側からエアブローし清掃作業を行う。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、ドアカバー12側からエアブロー等による各熱交換器の放熱部の清掃作業を行う時に、ラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20等複数の熱交換器は、放熱部18C,19C,20Cがドアカバー12の開閉方向に向くように角度を持って配置していることから、レンタル会社のように多くの油圧ショベルを、駐機スペースの関係上互いの油圧ショベルの隙間を狭く駐機しドアカバー12を大きく開放できないような場所であっても、ドアヒンジ部側に配置される熱交換器の清掃作業が行い易くなり、清掃性が向上する。
【0045】
ラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20等複数の熱交換器は、互いの放熱部がドアカバー12の開閉方向に向くように角度を持って配置していることから、放熱部の冷却面積は直線状に配置した場合よりも大きく稼ぐことができ、冷却効率を向上することができる。
【0046】
さらに、上述のようにすべての熱交換器の前面面積を大きくできるため、面積を大きくとった分だけ熱交換器の高さを低くすることができる。これに伴って、建屋の高さを低くすることができ、作業車両の後方の視界性が向上する。
【0047】
また、上述のような構成とすることにより、熱交換器の冷却面積の増大に伴う、上部旋回体2の後方への寸法増大(旋回半径の増大)を抑えることができるため、上部旋回体2の旋回によって上部旋回体2が周囲の障害物及び人と衝突する虞を緩和することができる。
【0048】
一方、各熱交換器の互いの側面部にシール部材28を設けることで、冷却風が互いの熱交換器の間を通過するのを防止でき、各熱交換器を通過する冷却風の風量を確保できる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、ドアカバー12のヒンジがカウンタウエイト5側に取り付けられた場合を例に挙げたが、図6に示すように、上記ヒンジ26をカウンタウエイト5の反対側に設けられた隔壁部材27に取り付け、ドアカバー12の開放端を逆になるように設け、互いの熱交換器の放熱部がドアカバー12の開閉端側すなわち車体の斜め前方に向くように角度を持って配置しても上述した実施形態と同様の作用効果を有する。
【0050】
さらに、図7に示す小旋回型の建設機械のように熱交換器の設置スペースが制約される機械においては、カウンタウエイト50がインタクーラ20の一部前面を覆うように形成されているが、放熱部18C,19C,20Cを斜め後方に角度をもった配置を採用すればカウンタウエイト50が邪魔になることがなく清掃作業を容易に行うことができる。
【0051】
図8は、本発明の第2実施形態に備えられる建設機械の冷却装置の周辺の配置を示す平面図である。
【0052】
この第2実施形態は、特に、ラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20等の熱交換器を、各々平断面が下流側に凸になるように湾曲させて形成したことを特徴としている。以下詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態を同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0053】
図8中、180,190,200は上述した第1実施形態による熱交換器に替えて本実施形態に用いた熱交換器で、この放熱部を、平断面が下流側に凸になるように湾曲させてある。ここで、第1実施形態によるものと同様に、熱交換器の配置の順番は、車体前方からラジエータ180,オイルクーラ190,インタクーラ200の順であり、熱交換器の向きは、回動軸側を向くように、各熱交換器の関係は、開口からみて放熱部の端部が重複するように並列に斜めに配置されている。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、ラジエータ180,オイルクーラ190,インタクーラ200等の複数の熱交換器の放熱部を、各々平断面が下流側に凸になるように湾曲させた構造にすることにより、各熱交換器の冷却面積をさらに大きく稼ぐことができるので、さらなる冷却性能の向上を図ることができる。
【0055】
なお、上記熱交換器を各々上面視上流側に凸になるようにしても上述した第2実施形態と同様の作用効果を有する。
【0056】
また、図6,図7のような配置関係を採用する油圧ショベルに適用できることはいうまでもない。
【0057】
上述した実施形態では、車体前方側から、ラジエータ18,オイルクーラ19,インタクーラ20という順に配置したが、この配置に限定されるものではない。
【0058】
さらに、上述した実施形態では、開口側からみて放熱部18C,19C,20Cの端部を重複するように構成したが、重複させる寸法については適宜設定可能なものとし限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態による油圧ショベルを示す斜視図である。
【図2】図1中の矢示V−V方向からみた断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による熱交換器の周辺の配置を示す平面図である。
【図4】図3中の熱交換器を示す斜視図である。
【図5】図4中のシール部材を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態による他の配置を示す平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による他の配置を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による熱交換器の周辺の配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 フレーム
4 運転室
5,50 カウンタウエイト
6 作業装置
7 センタフレーム
8 サイドフレーム
9 張り出しビーム
10 アンダカバー
11 建屋カバー
12 ドアカバー(側部カバー)
12A 空気流通口
13 上部カバー
13A 開口部
14 エンジンカバー
15 エンジン(原動機)
16 冷却ファン
17 油圧ポンプ
18,180 ラジエータ(熱交換器)
18A,19A,20A アッパタンク
18B,19B,20B ロアタンク
18C,19C,20C 放熱部
19,190 オイルクーラ(熱交換器)
20,200 インタクーラ(熱交換器)
22 防塵ネット
23 ガイド部材
24 下側遮蔽部材
25 上側遮蔽部材
26 ヒンジ
27 枠部材
28 シール部材(閉鎖手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、基台に対し旋回可能に設けられ前側に作業装置が取り付けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、この後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、
前記熱交換器を、これら熱交換器の放熱部が前記開口からみて一部重複するように斜めに配置したことを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項2】
基台と、基台に対し旋回可能に設けられ前側に作業装置が取り付けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、この後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、
前記側部カバーは、この一方を建屋カバーにおける前記開口近傍で上下方向に配置された回動軸に支持させ、他方に開放端を有しており、
前記熱交換器を、これら熱交換器の放熱部が前記側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、前記開口からみて前記放熱部が一部重複するように斜めに配置したことを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項3】
基台と、この基台に対し旋回可能に設けられ前側にブーム,アーム,バケットからなる作業装置が設けられた上部旋回体とを備え、この上部旋回体上には、前記作業装置とバランスさせるために上部旋回体の後部に取り付けられたカウンタウエイトと、このカウンタウエイトの近傍に搭載された原動機と、この原動機により駆動される冷却ファンと、この冷却ファンの冷却風により冷却される並列に配置された少なくとも2つの熱交換器と、前記上部旋回体上を覆う建屋カバーと、熱交換器を点検するために前記建屋カバーに形成された開口に設けられた側部カバーとを備えた建設機械の冷却装置において、
前記側部カバーは、この一方を前記建屋カバーにおける前記開口近傍で上下方向に配置された回動軸に支持させ、他方に開放端を有しており、
前記熱交換器を、これら熱交換器の冷却風吸込み側の放熱部が前記側部カバーの回動軸側を向くように、かつ、前記開口からみて前記放熱部が一部重複するように斜めに配置するとともに、
隣り合う前記熱交換器同士の隙間をシールするための閉鎖手段を備えたことを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、ラジエータ,オイルクーラ,インタクーラからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械の冷却装置。
【請求項5】
前記熱交換器は、隣合う前記熱交換器の間の隙間をシールするための閉鎖手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の建設機械の冷却装置。
【請求項6】
前記カウンタウエイトを、前記熱交換器の一部前面を覆うように形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械の冷却装置。
【請求項7】
前記熱交換器を、この熱交換器の平断面が湾曲するように形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−17050(P2006−17050A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197017(P2004−197017)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】