説明

建設機械の排水装置

【課題】分離された排水パイプとドレン配管の衝突に伴う損傷を防止できると共に排出水等を確実に排出しうる建設機械の排水装置を提供する。
【解決手段】マフラー11の排水パイプ20から流出した排出物質を建設機械1の外部に排水する排水装置であって、一端部30aにパイプドレン32が設けられると共に、他端部30bに排出物質を建設機械11の外部に排出するドレンホース33が接続されたドレン配管30と、このドレン配管30を建設機械1に固定する固定機構50とを有し、パイプドレン32を排水パイプ20に対して分離した構成とし、かつ、固定機構50によりドレン配管30を建設機械1に固定する配管固定位置と、マフラー11を建設機械1に固定するマフラー固定位置とが、建設機械1の同一振動系内に共に位置するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の排水装置に係り、特にテールパイプ(排気口)から入る雨水を建設機械の外部に排出する建設機械の排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベルのような建設機械は、走行体上に配置された旋回体にエンジン及びマフラー等の機器が配設されており、このエンジンにより下部走行体を駆動して移動を行う構成とされている。通常、マフラーはエンジンの上部に配設されている。
【0003】
このマフラーはエンジンで発生する騒音を低減する機能を奏するが、近年ではディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter、以下DPFという)を設けたマフラーが多用されるようになってきている。DPFは排気ガス浄化装置の一種であり、マフラー内に配設されることにより、排気ガス中の粒子物質を捕集すると共に、捕集された粒子物質を燃焼し除去する機能を奏するものである。このDPFを設けることにより、排気ガスの浄化を図ることができる。
【0004】
また、マフラーは排気ガスを排出するためのテールパイプを有しており、このテールパイプは一般に上向き(曲げを有するものもある)に設けられている。このためテールパイプから雨水が浸入するおそれがあるが、この雨水(排出水という)がマフラー本体内部に溜まらないよう、マフラーの下部には排出水をマフラーの外部に排水するための排水パイプが設けられている。
【0005】
この排水パイプにはドレン配管が接続され、排出水を建設機械の外部に排出する構成とされている。従来、ドレン配管に対する排水パイプの接続は、ねじ固定等を用いて一体的かつ強固に接続される構成とされていた(特許文献1,2参照)。
【0006】
また、マフラー及びドレン配管の取付け構造としては、マフラーはエンジンに固定されるのに対し、ドレン配管は旋回体の構造体(例えば、ファイアウォール等)に固定された構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平02−040926号公報
【特許文献2】実開平02−131021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の排水装置では、ドレン配管と排水パイプは一体的かつ強固に接続された構成とされていたため、ドレン配管又は排水パイプに詰まりが発生した場合、排出水がマフラー内に残存しマフラー内部に腐食が発生するおそれがある。
【0009】
これを防止するため、排水パイプに設けた受け皿内に排水パイプを挿入する構成とすることにより、ドレン配管と排水パイプとを分離することが考えられる。この構成した場合、仮にドレン配管又は排水パイプが詰まっても、排出水はドレン配管と排水パイプとの離間部分から外部に流出するため、排出水がマフラー内に残存することを防止することができる。
【0010】
しかしながら、マフラーをエンジンに固定すると共にドレン配管を旋回体の構造体に固定する従来の構成では、エンジン(排水パイプ)と旋回体は別個の振動系であるため、マフラーとドレン配管は異なる振動を行うこととなる。このため、ドレン配管と排水パイプとを分離した構成した場合、ドレン配管と排水パイプとの間にクリアランスを大きく設定しないと両者が衝突して損傷するおそれがある。
【0011】
しかしながら、排水パイプとドレン配管との間に大きなクリアランスを設けた場合、排水装置が大型化してしまう共に、排水パイプから排出水と共に排出される排出ガスが円滑に排水パイプに流入しなくなり、このガスが接続部分から放出されてしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、分離された排水パイプとドレン配管の衝突に伴う損傷を防止できると共に排出水等を確実に排出しうる建設機械の排水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、第1の観点からは、
原動機と該原動機に接続されたマフラーとを有した建設機械に設けられ、前記マフラーの下部に配設された排出パイプから排出される排出水を前記建設機械の外部に排出する建設機械の排水装置であって、
一端部に前記排水パイプに接続されることにより前記排出水が流入する接続部が設けられると共に、他端部に前記排出水を前記建設機械の外部に排出するドレンホースが接続されたドレン配管と、
該ドレン配管を前記建設機械に固定する固定機構とを有し、
前記接続部を前記排水パイプに対して分離した構成とし、
かつ、前記固定機構により前記ドレン配管を前記建設機械に固定する配管固定位置と、前記マフラーを前記建設機械に固定するマフラー固定位置とが、前記建設機械内の同一振動系内に共に位置するよう構成したことを特徴とする建設機械の排水装置により解決することができる。
【0014】
また上記発明において、前記ドレン配管の長さは前記マフラーの長手方向の長さの1/3以上の長さに設定することが望ましい。
【0015】
また上記発明において、前記配管固定位置と前記マフラー固定位置を共に前記原動機に設定することが望ましい。
【0016】
また上記発明において、水平方向に対する前記ドレン配管の延出方向の角度θが0°<θ≦45°以下であることが望ましい。
【0017】
また上記発明において、前記マフラーはディーゼル・パティキュレート・フィルターを設けてなることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
開示の建設機械の排水装置によれば、ドレン配管を建設機械に固定する配管固定位置と、マフラーを建設機械に固定するマフラー固定位置とが、建設機械内の同一振動系内に共に位置するよう構成したため、排出パイプと接続部は略同じ振動を行うため、接続部と排水パイプとを分離した構成としても、両者間のクリアランスを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である排水装置を設けた建設機械を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である排水装置を設けた建設機械の上部旋回体を拡大して示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態である建設機械の排水装置を拡大して示す正面図(図2におけるA−A矢視図)である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態である建設機械の排水装置を拡大して示す斜視図(図2におけるB矢視図)である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態である建設機械の排水装置を拡大して示す斜視図(図2におけるC矢視図)である。
【図6】図6は、図3に矢印Dで示す一点鎖線部分を拡大して示す図である。
【図7】図7は、図3に矢印Eで示す一点鎖線部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態である排水装置16を適用した建設機械1を示している。なお、同図では建設機械1として油圧ショベルを例示しているが、他の建設機械についても本願発明は適用が可能なものである。
【0022】
図1に示すように、建設機械1は自走時に駆動する下部走行体2上に旋回機構3を介して上部旋回体4が旋回可能に搭載されている。また、上部旋回体4の前方中央部にはブーム5が俯仰動可能に設けられている。
【0023】
このブーム5の先端部にはアーム6が上下回動可能に枢着され、且つ、アーム6の先端部にはバケット7が上下回動可能に取り付けられている。更に、上部旋回体4の前方一側部にはキャビン8が搭載されている。
【0024】
図2は上部旋回体4の平面図である。同図では、説明の都合上、ブーム5等の作業アタッチメントを取り外した状態を示している。同図に示すように、上部旋回体4の後方部(図中、下方)には原動機であるエンジン10と、このエンジン10の排気ラインに接続された略円筒形のマフラー11と、このマフラー11の右側に設置されたポンプ室12等が搭載されている。
【0025】
また、エンジン10の前方には旋回機構3が設けられていると共に、この旋回機構3の図中右側には燃料タンク13が設置されている。更に、燃料タンク13とポンプ室12との間には作動油タンク14が設けられている。これら作動油タンク14、燃料タンク13、ポンプ室12及びエンジン10等はハウスカバー15により被蔽保護されている。
【0026】
マフラー11は、エンジン10に対して直交する方向(図中、矢印X1,X2方向)に略水平に設置されている。このマフラー11の上部に形成された排気口18には、排気ガスを排出するためのアウトレットパイプ19が取り付けられている(このアウトレットパイプ19は、必ずしも必要ではない)。またマフラー11には、排ガス4次規制に対応可能なDPF(Diesel Particulate Filter)が内蔵されている。
【0027】
DPF付のマフラー11は、マフラー11にエンジン10から導入される排気ガス中の粒子物質を捕集すると共に、この捕集された粒子物質を燃焼し除去する機能を奏するものである。このDPF付のマフラー11は、上記のように粒子物質を燃焼し除去するため、アウトレットパイプ19からマフラー内部に雨水が浸入し溜まった場合、適正にDPFが機能しないおそれがある。
【0028】
このため、雨水(排出水という)がマフラー本体内部に溜まらないよう、マフラー11の下部には排出水をマフラー外部に排水するための排水パイプ20が設けられている(図3,図6参照)。この排水パイプ20からは、マフラー内部に侵入した排出水と、エンジン10からマフラー11に進行した排気ガスの一部が排出される。なお、以下において、排水パイプ20から排出される排出水と排気ガスを総称する場合、排出物質というものとする。
【0029】
本実施形態に係るマフラー11は、上記のように粒子物質を燃焼し除去するDPFを有しているため高熱となる。このため、マフラー11に設けられる排水パイプ20から排出される排出物質の温度も高温となる。具体的には、排水パイプ20からは約500〜600℃程度の排出物質が排出される。
【0030】
次に、図3乃至図7を用いて排水装置16について説明する。排水装置16は、排水パイプ20から排出された排出水を建設機械1の外部に排出するものである。この排水装置16は、大略するとドレン配管30と固定機構50とにより構成されている。
【0031】
ドレン配管30は金属製の配管であり、パイプ本体部30a,上端部30b,及び下端部30cを一体的に形成した構成とされている。このドレン配管30は、後述する固定機構50によりエンジン10に固定される。
【0032】
パイプ本体部30aは、マフラー11の延在方向に対して斜めに傾いて配設されている。具体的には、水平方向に対するパイプ本体部30aの延出方向の角度をθ(傾き角度θという)とすると、この傾き角度θは0°<θ≦45°の範囲で設定されている。本実施形態では、傾き角度θは4°に設定されている。
【0033】
また、ドレン配管30の長さに注目すると、本実施形態ではパイプ本体部30aを上記のように水平方向に対して所定角度だけ傾けた構成としているため、鉛直方向にパイプ本体部を配設する構成に比べてドレン配管30の長さは長くなっている。
【0034】
本実施形態では、このドレン配管30の長さL2を、マフラー11の長手方向の長さL1の1/3以上でマフラー11の長さ以下の長さに設定している((L1/3)≦L2≦L1)。上記したパイプ本体部30aの傾き角度θは、この長さ条件を満たすように設定されている(L1及びL2を図3に矢印で示す。なお、図では便宜上L2としてパイプ本体部30aの長さを示しているが、このL2はドレン配管30全体の長さを指すものとする)。
【0035】
パイプドレン32(請求項に記載の接続部に相当する)は、パイプ本体部30aの上端部30b(図中矢印X1方向側に位置する部位)に配設されている。このパイプドレン32は、マフラー11の下部に配設された排水パイプ20に接続される。この際、パイプドレン32は排水パイプ20に強固に固定接続されるのではなく、分離した状態で接続される。
【0036】
具体的には、図6に拡大して示すように、パイプドレン32は上部が開口した有底筒状の形状(コップのような形状)を有しており、その内部に排水パイプ20が挿入された状態で位置するよう構成されている。パイプドレン32の内径は排水パイプ20の外径よりも大きいため、排水パイプ20とパイプドレン32との間にはクリアランスが形成されている。
【0037】
よって、排水パイプ20とパイプドレン32との間に相対的な変位が生じても、このクリアランスの範囲内において、両者20,32は変位可能な構成となっている。また、排水パイプ20から排出物質が排出された際、排出物質は先ず有底筒状形状のパイプドレン3で受けられ、その後にドレン配管30(上端部30b)内に流入してゆく。
【0038】
また、仮にドレン配管30及び後述するドレンホース33に詰まりが発生しても、排水パイプ20から排出された排出物質は排水パイプ20とパイプドレン32との分離部分(クリアランス部分)から外部に排出される。このため、マフラー11内に排出物質が溜まることを防止でき、マフラー11の機能を保持できると共にマフラー11の損傷を防止することができる。
【0039】
ドレンホース33は、パイプ本体部30aの下端部30c(図中矢印X2方向側に位置する部位)に取り付けられている。本実施形態では、ドレンホース33としてゴム製のホースを用いている。
【0040】
このドレンホース33の上端部はバンド部材34を用いて下端部30cに固定され、下端部は建設機械1の排出物質の排出に問題が生じない箇所に開口するよう構成されている。排水パイプ20から排出された排出物質は、パイプドレン32、上端部30b、パイプ本体部30a、下端部30cを介し、ドレンホース33の下端部から建設機械1の外部に排出される。
【0041】
上記構成とされたドレン配管30は、固定機構50を用いてエンジン10に固定されている。以下、固定機構50について説明する。
【0042】
固定機構50は、図3乃至図5に示されるように、第1エンジン装着用ブラケット51,第2エンジン装着用ブラケット52,第1マフラー固定用ブラケット53,第2マフラー固定用ブラケット54,第1パイプ固定用ブラケット55a,55b,及び第2パイプ固定用ブラケット56a,56b等により構成されている。
【0043】
第1エンジン装着用ブラケット51は、略L字状に折曲された金属板状部材である。この第1エンジン装着用ブラケット51は、図5に示すように、ボルト58Aを用いてエンジン10に固定されている。
【0044】
また、第2エンジン装着用ブラケット52も略L字状に折曲された金属板状部材である。この第2エンジン装着用ブラケット52は、図4に示されるように、ボルト58Bを用いてエンジン10に固定されている。
【0045】
この第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52は、互いの水平部分が重なるよう構成されている。また、第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52は、この重なった水平部分が上部(図中矢印Z1方向側)に位置するようエンジン10に固定される。
【0046】
第1及び第2マフラー固定用ブラケット53,54は、マフラー11を固定するためのブラケットである。第1マフラー固定用ブラケット53は、ボルト58Dにより第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52の水平部分に立設されるよう固定されている。同様に、第2マフラー固定用ブラケット54は、ボルト58Eにより第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52の水平部分に立設されるよう固定されている。
【0047】
マフラー11は、この第1及び第2マフラー固定用ブラケット53,54の上部に固定される。従って、マフラー11は、第1及び第2マフラー固定用ブラケット53,54及び第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52により、エンジン10に固定された構成とされている。
【0048】
また、第2エンジン装着用ブラケット52には第1パイプ固定用ブラケット55aがボルト58Hを用いて固定されている(図4に詳しい)。この第1パイプ固定用ブラケット55aには、ボルト58F及び第1パイプ固定用ブラケット55bを用いて前記したドレン配管30の上端部30bが固定されている。
【0049】
更に、第1エンジン装着用ブラケット51には第2パイプ固定用ブラケット56aがボルト58Cを用いて固定されている(図7に詳しい)。この第2パイプ固定用ブラケット56は下方に向けて(矢印Z2方向に向けて)延出しており、その下端部にはボルト58G及び第2パイプ固定用ブラケット56bを用いてドレン配管30のパイプ本体部30aが固定されている。
【0050】
よってドレン配管30は、第1及び第2パイプ固定用ブラケット55a,55b,56a,56bを介して第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52に固定される。また、前記のように第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52は、エンジン10に固定されている。従って、ドレン配管30は、第1及び第2パイプ固定用ブラケット55a,55b,56a,56b及び第1及び第2エンジン装着用ブラケット51,52を介してエンジン10に固定された構成となっている。
【0051】
上記のように、本実施形態に係る排水装置16では、ドレン配管30を固定する配管固定位置とマフラー11が固定されるマフラー固定位置を共にエンジン10に設定した構成としている。即ち、本実施形態に係る排水装置16では、上記の配管固定位置とマフラー固定位置を建設機械1内の同一振動系内に共に位置するよう構成している。
【0052】
このように、配管固定位置とマフラー固定位置を建設機械1内の同一振動系(即ち、エンジン10)に設けられることにより、建設機械1の駆動時にマフラー11とドレン配管30は略同一の振動を行うことになる。従って、本実施形態のように排水パイプ20とパイプドレン32とを分離させた構成としても、両者30,32間のクリアランスを小さくすることができ、排水装置16(特にパイプドレン32)の小型化を図ることができる。
【0053】
一方、前記したように本実施形態に係るマフラー11はDPFを有し高熱となるため、排水パイプ20からは約500〜600℃程度の高温の排出物質が排出される。よって、排水パイプ20に直接ゴム製のドレンホース33を接続することはできない。そこで、本実施形態ではドレン配管30を放熱管として用い、ここで排水パイプ20から排出された高温の排出物質を冷却した上でドレンホース33に流出させる構成としている。
【0054】
ドレン配管30を放熱管として用いる場合、放熱効率を高める点からはドレン配管30は長いほうが望ましい。そこで本実施形態では、前記のようにドレン配管30のパイプ本体部30aは鉛直下方に延出するのではなく、マフラー11の延在方向に対して斜めに傾いて配設させる構成としている。
【0055】
この構成とすることにより、ドレン配管を鉛直下方に延出させた構成に比べ、ドレン配管30の長さを長くすることができ、よって排水パイプ20から排出される排出物質を効率良く冷却することができる。ここでドレン配管30の長さL2は、前記のように、マフラー11の長手方向の長さの1/3(L1/3)以上でマフラー11の長さ(L1)以下の長さに設定している((L1/3)≦L2≦L1)。
【0056】
ドレン配管30の長さL2をマフラー11の長手方向の長さL1以下としたのは、マフラー11の長さL1を超える長さに設定した場合には、放熱効率は高まるものの排水装置16が大型してしまいエンジン10への実装が困難になってしまうからである。
【0057】
また、ドレン配管30の長さL2をマフラー11の長手方向の長さの1/3(L1/3)以上としたのは、マフラー11の長手方向の長さL1の1/3未満とした場合には、ドレン配管30における排出物質の冷却効率が低下してしまうからである。
【0058】
なお、ドレン配管30の長さは、排水パイプ20から排出される排出物質の温度や、ドレン配管30の材質の放熱特性等により適宜設定することが可能である。また、ドレン配管30の長さは、前記のようにパイプ本体部30aの傾き角度θによっても調整することが可能である。
【0059】
上記のように本実施形態に係る排水装置16では、ドレン配管30において排出物質の冷却を確実に行うことができるため、パイプドレン32に流入する際の排出物質の温度が500〜600℃であっても、下端部30bから排出される排出物質の温度は100℃程度となる。よって、下端部30bにゴム製のドレンホース33を接続することが可能となり、排出物質の排出経路を全て金属管により構成する構成に比べ、排水装置16の低コスト化を図ることができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0061】
例えば、本実施形態ではマフラー11及びドレン配管30をいずれもエンジン10に固定することにより、同一振動系にそれぞれが固定される構成とした。しかしながら、同一の振動系であれば、マフラー11及びドレン配管30の固定位置はエンジン10に限定されるものでなく、他の振動系(例えば、ハウスカバー15の一部)に固定する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 建設機械
2 下部走行体
3 旋回機構
4 上部旋回体
10 エンジン
11 マフラー
12 ポンプ室
16 排水装置
17 マフラー本体
18 排気口
19 アウトレットパイプ
20 排水パイプ
30 ドレン配管
32 パイプドレン
33 ドレンホース
50 固定機構
51 第1エンジン装着用ブラケット
52 第2エンジン装着用ブラケット
53 第1マフラー固定用ブラケット
54 第2マフラー固定用ブラケット
55a,55b 第1パイプ固定用ブラケット
56a,56b 第2パイプ固定用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と該原動機に接続されたマフラーとを有した建設機械に設けられ、前記マフラーの下部に配設された排出パイプから排出される排出物質を前記建設機械の外部に排出する建設機械の排水装置であって、
一端部に前記排水パイプに接続されることにより前記排出物質が流入する接続部が設けられると共に、他端部に前記排出物質を前記建設機械の外部に排出するドレンホースが接続されたドレン配管と、
該ドレン配管を前記建設機械に固定する固定機構とを有し、
前記接続部を前記排水パイプに対して分離した構成とし、
かつ、前記固定機構により前記ドレン配管を前記建設機械に固定する配管固定位置と、前記マフラーを前記建設機械に固定するマフラー固定位置とが、前記建設機械内の同一振動系内に共に位置するよう構成したことを特徴とする建設機械の排水装置。
【請求項2】
前記ドレン配管の長さを前記マフラーの長手方向の長さの半分以上の長さに設定したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の排水装置。
【請求項3】
前記配管固定位置と前記マフラー固定位置を共に前記原動機に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の排水装置。
【請求項4】
水平方向に対する前記ドレン配管の延出方向の角度θが0°<θ≦45°であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建設機械の排水装置。
【請求項5】
前記マフラーは、ディーゼル・パティキュレート・フィルターを設けてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建設機械の排水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−219638(P2012−219638A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83159(P2011−83159)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】