説明

建設機械

【課題】 熱交換器に付着した塵埃等を確実に除去する。
【解決手段】 ラジエータ18に設けられた流体流入口21と流体流出口22とを同一の軸中心線O1−O1上に配置することにより、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とによってラジエータ18を軸中心線O1−O1を中心として回動可能に支持する。また、オイルクーラ26に設けられた流体流入口28と流体流出口29とを同一の軸中心線O2−O2上に配置することにより、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とによって、オイルクーラ26を軸中心線O2−O2を中心として回動可能に支持する。これにより、ラジエータ18とオイルクーラ26とを、冷却ファン13に対して観音開きとなるように回動させることができ、ラジエータ18、オイルクーラ26に付着した塵埃等を確実に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の熱交換器を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。そして、油圧ショベルは、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
ここで、油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後端側に設けられ作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して旋回フレームに設けられ油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの近傍に配置され加熱された被冷却流体を冷却する熱交換器と、被冷却流体を該熱交換器に流入させる流入側配管と、熱交換器によって冷却された冷却流体を流出させる流出側配管とを備えて構成されている。
【0004】
また、熱交換器は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ等からなり、冷却ファンによって外装カバー内に導入された冷却風が、これらラジエータ、オイルクーラ等に供給されることにより、エンジン冷却水、作動油等の加熱された流体(被冷却流体)を冷却することができる構成となっている。
【0005】
この場合、ラジエータ、オイルクーラ等の熱交換器は、通常、被冷却流体の熱を冷却ファンからの冷却風によって放熱する放熱部と、該放熱部の上側に配置され流入側配管に接続される流体流入口が設けられたアッパタンクと、放熱部の下側に配置され流出側配管に接続される流体流出口が設けられたロアタンクとにより大略構成されている。
【0006】
そして、加熱されたエンジン冷却水、作動油等の被冷却流体は、流入側配管から流体流入口を通じてアッパタンク内に流入し、該アッパタンクから放熱部を通じてロアタンクへと流下する間に冷却風によって冷却された後、流体流出口から流出側配管を通じてロアタンクの外部へと流出するようになっている。
【0007】
ところで、熱交換器の放熱部には、微小な間隔をもって対面する多数の放熱フィンが設けられているため、冷却風に混入した砂、塵埃等が放熱フィンに付着して堆積することにより、熱交換器の冷却効率が低下してしまう。
【0008】
これに対し、ラジエータを冷却ファンに対面させた状態で旋回フレーム上に固定し、このラジエータに対し、オイルクーラをヒンジ部材(蝶番)を介して回動可能に取付ける構成となった熱交換器(ラジエータ装置)が提案されている。
【0009】
この従来技術による熱交換器によれば、ラジエータに対し、オイルクーラの上端側をヒンジ部材を中心として一定の開閉角度をもって回動させることができるので、オイルクーラの放熱部に設けられた放熱フィンと、ラジエータの放熱部に設けられた放熱フィンとを互いに離間させた状態で清掃することができ、これらラジエータ、オイルクーラの放熱部に対する清掃作業の作業性を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平9−289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した従来技術による熱交換器は、ラジエータが冷却ファンと対面した状態で旋回フレーム上に固定されている。このため、ラジエータに対し、オイルクーラをヒンジ部材を中心として一定の開閉角度をもって回動させたとしても、ラジエータの放熱部のうち冷却ファンと対面する部位を清掃するのは困難であり、ラジエータの放熱フィンに付着した塵埃等を確実に除去することができないという問題がある。
【0012】
また、オイルクーラを構成するアッパタンクの流体流入口には、加熱された作動油(被冷却流体)を流入させる流入側配管が接続されているため、オイルクーラの上端側をラジエータに対して回動させたときには、流入側配管がオイルクーラの回動動作に応じて変位することにより、この流入側配管に無理な力が作用する虞れがある。このため、実際にオイルクーラの上端側をラジエータに対して回動させるときには、その前作業として、アッパタンクの流体流入口から流入側配管を取外す必要があり、ラジエータとオイルクーラとを清掃するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、熱交換器に付着した塵埃等を確実に除去することにより冷却効率を向上することができ、かつ熱交換器を清掃するときの作業性を高めることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、該フレーム上に搭載され油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの近傍に位置して前記フレーム上に配置され冷却ファンからの冷却風により加熱された被冷却流体を冷却する熱交換器と、前記冷却すべき被冷却流体を該熱交換器に流入させる流入側配管と、前記熱交換器によって冷却された冷却流体を流出させる流出側配管とを備え、前記熱交換器は、被冷却流体の熱を前記冷却ファンからの冷却風によって放熱する放熱部と、該放熱部の上側に配置され前記流入側配管に接続される流体流入口が設けられたアッパタンクと、前記放熱部の下側に配置され前記流出側配管に接続される流体流出口が設けられたロアタンクとにより構成してなる建設機械に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記アッパタンクの流体流入口と前記ロアタンクの流体流出口とは上,下方向に延びる同一の軸中心線上に配置する構成とし、前記熱交換器は、前記流入側配管と流出側配管とを支持部材として支持され、かつ前記熱交換器は、前記流入側配管と流出側配管とにより前記流体流入口と流体流出口の軸中心線を回動中心として回動する構成としたことにある。
【0016】
請求項2の発明は、前記フレームには、前記流入側配管と流出側配管とにより回動可能に支持した前記熱交換器を前記冷却ファンと対面する位置に固定する熱交換器固定具を設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項3の発明は、前記フレームと前記熱交換器との間には、前記流入側配管と流出側配管と共に前記熱交換器を回動可能に支持するヒンジ部材を設け、該ヒンジ部材の回動中心軸は、前記流体流入口と流体流出口の軸中心線上に配置する構成としたことにある。
【0018】
請求項4の発明は、前記アッパタンクの流体流入口と前記流入側配管との間、および前記ロアタンクの流体流出口と前記流出側配管との間には、それぞれ前記流体流入口と流体流出口の軸中心線を中心として回転する回転継手を設ける構成としたことにある。
【0019】
請求項5の発明は、前記熱交換器は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向に対して並列または直列に配置された第1,第2の熱交換器により構成し、前記第1の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側を前記流入側配管と流出側配管とによって支持することにより、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側を回動可能な自由端として構成し、前記第2の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側を前記流入側配管と流出側配管とによって支持することにより、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側を回動可能な自由端として構成したことにある。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、熱交換器のアッパタンクに設けられる流体流入口とロアタンクに設けられる流体流出口とを上,下方向に延びる同一の軸中心線上に配置したので、流体流入口が接続された流入側配管と流体流出口が接続された流出側配管とを、熱交換器の支持部材として利用することにより、熱交換器を流体流入口と流体流出口の軸中心線を回動中心として回動させることができる。
【0021】
このため、熱交換器のうち冷却ファンと対面する部位を当該冷却ファンから離間させることができるので、放熱部に付着した塵埃等を確実に除去することができ、熱交換器の冷却効率を長期に亘って適正に保つことができる。一方、熱交換器は、流体流入口が接続された流入側配管と流体流出口が接続された流出側配管とによって支持されるので、熱交換器が流体流入口と流体流出口の軸中心線を中心として回動したとしても、この熱交換器の回動動作に応じて流入側配管と流出側配管とが変位することがない。このため、流入側配管および流出側配管を取外すことなく、流体流入口と流入側配管との接続部および流体流出口と流出側配管との接続部を緩めるだけで、流入側配管と流出側配管とを支点として熱交換器を円滑に回動させることができ、熱交換器に対する清掃作業や点検作業を行うときの作業性を高めることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、流入側配管と流出側配管とにより回動可能に支持された熱交換器を、熱交換器固定具によって冷却ファンと対面する位置に固定することができるので、冷却ファンからの冷却風を熱交換器に適正に供給することができ、熱交換器によって被冷却流体を確実に冷却することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、フレームと熱交換器との間にヒンジ部材を設け、該ヒンジ部材の回動中心軸を流体流入口と流体流出口の軸中心線上に配置することにより、流入側配管と流出側配管とによって支持した熱交換器の荷重の一部を、ヒンジ部材によって分担することができる。この結果、熱交換器が大型化して重量が増大した場合でも、この熱交換器を流入側配管と流出側配管とヒンジ部材とによって確実に支持することができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、流体流入口と流入側配管との間に回転継手を設けると共に流体流出口と流出側配管との間に回転継手を設けることにより、流体流入口と流体流出口の軸中心線を中心として熱交換器を円滑に回転させることができる。従って、流体流入口と流入側配管との接続部および流体流出口と流出側配管との接続部を緩める作業を不要にでき、熱交換器に対する清掃作業や点検作業を行うときの作業性を一層高めることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、第1の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側を中心として回動し、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側が自由端となって冷却ファンに接近、離間するように開,閉する。一方、第2の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側を中心として回動し、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側が自由端となって冷却ファンに接近、離間するように開,閉する。このように、第1の熱交換器と第2の熱交換器とは、冷却ファンに対して観音開きの状態で開,閉することができるので、第1,第2の熱交換器の放熱部のうち冷却ファンと対面する部位に付着した塵埃等を迅速かつ確実に除去することができ、第1,第2の熱交換器の冷却効率を長期に亘って適正に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】旋回フレームにエンジン、ラジエータ、オイルクーラ等を搭載した状態を上方からみた平面図である。
【図4】第1の実施の形態によるエンジン、冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を概略的に示す斜視図である。
【図5】ラジエータとオイルクーラとを回動させた状態を示す図4と同様位置の斜視図である。
【図6】冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を図3中の矢示VI−VI方向からみた拡大断面図である。
【図7】エンジン、冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を上方からみた平面図である。
【図8】ラジエータ、流体流入口、流入側配管、流体流出口、流出側配管を図6中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】ラジエータとオイルクーラを回動させた状態を示す図6と同様な拡大断面図である。
【図10】ラジエータとオイルクーラを回動させた状態を上方からみた図7と同様な平面図である。
【図11】第2の実施の形態による冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ、ヒンジ部材等を示す図6と同様な拡大断面図である。
【図12】エンジン、冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を上方からみた図7と同様な平面図である。
【図13】ラジエータとオイルクーラを回動させた状態を示す図11と同様な拡大断面図である。
【図14】図10中のロアタンク側ブラケット、ヒンジ部材、流体流出口、流出側配管等を示す一部破断の斜視図である。
【図15】ロアタンク側ブラケット、ヒンジ部材、流体流出口、流出側配管等を図14中の矢示XV−XV方向からみた断面図である。
【図16】第3の実施の形態によるラジエータ、流体流入口、流入側配管、流体流出口、流出側配管、スイベルジョイント等を示す図8と同様な断面図である。
【図17】第4の実施の形態による冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を示す図6と同様な断面図である。
【図18】エンジン、冷却ファン、ラジエータ、オイルクーラ等を上方からみた平面図である。
【図19】ラジエータとオイルクーラを回動させた状態を上方からみた図18と同様な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
まず、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、左,右のクローラ(履帯)2Aを有する自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられたスイング式の作業装置4とにより大略構成され、作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。なお、図1に示される油圧ショベル1は、例えば車体重量が3〜7トン程度であり、通常、ミニショベルと呼ばれるものである。
【0029】
ここで、上部旋回体3は、図2に示すように、下部走行体2の車幅(左,右のクローラ2Aの間隔)とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、上方からみてほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、後述するカウンタウエイト7の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回式の油圧ショベルとして構成されている。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、外装カバー12、ラジエータ18、オイルクーラ26等により構成されている。
【0030】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図3に示すように、左,右方向の中央部を前,後方向に延びる厚肉な平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に立設され前,後方向に延びた左,右の縦板5B,5Cと、これら左,右の縦板5B,5Cの前端部に設けられた支持ブラケット5Dと、底板5Aの左側に設けられた円弧状の左枠部材5Eと、底板5Aの右側に設けられた円弧状の右枠部材5Fとにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0031】
そして、旋回フレーム5の前端部に位置する支持ブラケット5Dには、作業装置4が左,右方向にスイング可能に取付けられ、旋回フレーム5の底板5Aの後端側には、後述のカウンタウエイト7が取付けられる構成となっている。また、旋回フレーム5の左,右の縦板5B,5Cの後部側には、後述のエンジン8が取付けられる構成となっている。
【0032】
6は旋回フレーム5の前部左側に配設されたキャブで、該キャブ6は運転室を画成するものである。そして、キャブ6内には、オペレータが着席する運転席(図示せず)、オペレータによって操作される走行レバー・ペダル、操作レバー等の操作機器類(いずれも図示せず)が配置されている。
【0033】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト7は、例えば鋳造手段を用いて一体形成された重量物からなり、旋回フレーム5の後端部から上方に立上っている。そして、カウンタウエイト7は、旋回フレーム5の後端部から上方に立上ることにより、作業装置4との重量バランスをとると共に、後述のエンジン8、油圧ポンプ9、ラジエータ18、オイルクーラ26等を後方から覆うものである。
【0034】
8はキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に搭載されたエンジンで、該エンジン8は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後部側を跨いで左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、エンジン8の左側には油圧ポンプ9が配設され、該油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給するものである。
【0035】
10は油圧ポンプ9よりも前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた作動油タンクを示し、該作動油タンク10は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。また、11は作動油タンク10の前側に隣接して配置された燃料タンクで、該燃料タンク11は、エンジン8に供給される燃料を貯えるものである。
【0036】
12はキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられた外装カバーを示し、該外装カバー12は、カウンタウエイト7と共に、エンジン8、油圧ポンプ9、作動油タンク10、燃料タンク11、後述のラジエータ18、オイルクーラ26等を覆うものである。
【0037】
ここで、外装カバー12は、カウンタウエイト7を挟んで左,右両側に配置され、前,後方向に延びた左側面カバー(図示せず)および右側面カバー12Aと、右側面カバー12Aの上端側を前,後方向に延びた上面カバー12Bとにより大略構成されている。また、右側面カバー12Aのうちラジエータ18、オイルクーラ26等と対面する部位には、後述する冷却ファン13の回転によって冷却風を流入させる冷却風流入口12Cが形成されている。
【0038】
13はエンジン8によって回転駆動される吸込み式の冷却ファンを示し、該冷却ファン13は、ラジエータ18、オイルクーラ26と対面した状態でエンジン8の右側に配置されている。そして、冷却ファン13は、エンジン8によって回転駆動されることにより、外装カバー12の冷却風流入口12Cを通じて外気を外装カバー12内に吸込み、この外気を冷却風として、図3中に矢示Fで示すようにラジエータ18、オイルクーラ26に供給するものである。
【0039】
14は冷却ファン13を外周側から取囲むファンシュラウドを示し、該ファンシュラウド14は、ラジエータ18およびオイルクーラ26とエンジン8との間に配置され、冷却ファン13によって外装カバー12内に供給される冷却風を、ラジエータ18とオイルクーラ26とに導くものである。ここで、図4ないし図6に示すように、ファンシュラウド14は、例えば旋回フレーム5等に固定される矩形状の外枠部14Aと、該外枠部14Aに一体に設けられ冷却ファン13を外周側から取囲む円筒部14Bとにより構成されている。
【0040】
15はファンシュラウド14の下側に位置して旋回フレーム5上に設けられた熱交換器固定具としてのラジエータ固定板で、該ラジエータ固定板15は、後述のラジエータ18を固定するものである。ここで、ラジエータ固定板15は、図5および図6等に示すように、例えば鋼板材等を用いて厚肉な平板状に形成され、旋回フレーム5の底板5Aの上面に溶接等の手段を用いて固着されている。そして、図6に示すように、ラジエータ固定板15に対し、後述するラジエータ18のロアタンク側ブラケット20をボルト締めすることにより、ラジエータ18を冷却ファン13と正対する位置に固定することができる構成となっている。
【0041】
16はラジエータ固定板15の近傍に位置して旋回フレーム5上に設けられた他の熱交換器固定具としてのオイルクーラ固定板で、該オイルクーラ固定板16は、後述のオイルクーラ26を固定するものである。ここで、オイルクーラ固定板16は、例えば鋼板材等を用いて上,下方向に延びる細長い帯板状に形成され、その下端側が旋回フレーム5の底板5Aの上面にボルト等(図示せず)を用いて固定されると共に、上端側がボルト17を用いてファンシュラウド14の外枠部14Aに固定されている。そして、図6に示すように、オイルクーラ固定板16に対し、後述するオイルクーラ26のオイルクーラ側ブラケット27をボルト締めすることにより、オイルクーラ26を冷却ファン13と正対する位置に固定することができる構成となっている。
【0042】
次に、18はエンジン8の近傍に配設された第1の熱交換器としてのラジエータを示し、該ラジエータ18は、エンジン8によって加熱されたエンジン冷却水(被冷却流体)を冷却するものである。そして、ラジエータ18は、エンジン8を挟んで油圧ポンプ9とは反対側に位置し、冷却ファン13と左,右方向で対面する状態で配置されている。
【0043】
ここで、ラジエータ18は、図4ないし図6に示すように、エンジン冷却水の熱を冷却ファン13から供給される冷却風中に放熱する放熱部18Aと、冷却風の流れ方向(矢示F方向)と直交する方向(前,後方向)に延びる直方体の箱形状をなし、放熱部18Aの上側に取付けられたアッパタンク18Bと、このアッパタンク18Bとほぼ同一の箱形状をなし、放熱部18Aの下側に取付けられたロアタンク18Cとにより大略構成されている。この場合、ラジエータ18は、小型の油圧ショベル1に搭載されるものであるため、その重量が3〜5kg程度の軽量に形成されている。
【0044】
そして、ラジエータ18の放熱部18Aは、上端側がアッパタンク18Bに開口すると共に下端側がロアタンク18Cに開口するパイプ体からなる複数本の細管18A1と、これら各細管18A1間に設けられた複数枚の放熱フィン18A2とにより構成されている。そして、放熱部18Aは、アッパタンク18Bに流入したエンジン冷却水が各細管18A1を通じてロアタンク18Cに流下する間に、冷却風に晒される放熱フィン18A2を介してエンジン冷却水の熱を放熱するものである。
【0045】
また、アッパタンク18Bの上面側には、山形鋼等を用いて形成された断面L字型のアッパタンク側ブラケット19が、ボルト19Aを用いて着脱可能に取付けられている。そして、アッパタンク側ブラケット19の上端側は、アッパタンク18Bから上方に突出し、ファンシュラウド14の外枠部14Aにボルト19Bを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0046】
一方、ロアタンク18Cの下面側には、山形鋼等を用いて形成された断面L字型のロアタンク側ブラケット20が、ボルト20Aを用いて着脱可能に取付けられている。そして、ロアタンク側ブラケット20の下端側は、ロアタンク18Cから下方に突出し、旋回フレーム5(底板5A)に固定されたラジエータ固定板15に、ボルト20Bを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0047】
21はアッパタンク18Bの上面側に設けられた円筒状の流体流入口を示し、該流体流入口21は、後述するラジエータ用流入側配管23に接続され、該ラジエータ用流入側配管23を流れる加熱されたエンジン冷却水(被冷却流体)をアッパタンク18Bに流入させるものである。ここで、流体流入口21は、アッパタンク18Bのうち冷却風の流れ方向(矢示F方向)と直交する方向(前,後方向)の一端側(後端側)に配置され、アッパタンク18Bの上面から上方に向けて突出している。
【0048】
22はロアタンク18Cの下面側に設けられた円筒状の流体流出口を示し、該流体流出口22は、後述するラジエータ用流出側配管24に接続され、放熱部18Aで冷却されてロアタンク18Cに流下したエンジン冷却水(冷却流体)を、ラジエータ用流出側配管24を通じて外部に流出させるものである。ここで、流体流出口22も、ロアタンク18Cのうち冷却風の流れ方向と直交する方向(前,後方向)の一端側(後端側)に配置され、ロアタンク18Cの下面から下方に向けて突出している。
【0049】
この場合、図6および図8等に示すように、アッパタンク18Bに設けられた流体流入口21の軸中心と、ロアタンク18Cに設けられた流体流出口22の軸中心とは、旋回フレーム5の底板5Aに対して鉛直方向(上,下方向)に延びる同一の軸中心線O1−O1上に配置されている。
【0050】
23はラジエータ18のアッパタンク18Bとエンジン8との間に設けられたラジエータ用流入側配管で、該ラジエータ用流入配管23は、エンジン8によって加熱されたエンジン冷却水(被冷却流体)をアッパタンク18B内に流入させるものである。ここで、ラジエータ用流入側配管23は、例えば金属材料、樹脂材料等を用いて形成された可撓性および剛性を有するパイプ体からなり、その一端側はエンジン8のウォータジャケットに接続され、他端側はラジエータ18の流体流入口21に接続されている。
【0051】
24はラジエータ18のロアタンク18Cとエンジン8との間に設けられたラジエータ用流出側配管で、該ラジエータ用流出配管24は、ラジエータ18の放熱部18Aで冷却されてロアタンク18Cに流下したエンジン冷却水(冷却流体)を、エンジン8のウォータジャケットに向けて流出させるものである。ここで、ラジエータ用流出側配管24も、例えば金属材料、樹脂材料等を用いて形成された可撓性および剛性を有するパイプ体からなり、その一端側はラジエータ18の流体流出口22に接続され、他端側はエンジン8のウォータジャケットに接続されている。
【0052】
ここで、小型の油圧ショベル1に搭載されるラジエータ18は軽量であるため、このラジエータ18は、流体流入口21に接続されたラジエータ用流入側配管23と、流体流出口22に接続されたラジエータ用流出側配管24とを支持部材として支持されている。この場合、ラジエータ18の流体流入口21と流体流出口22とは、同一の軸中心線O1−O1上に配置されているので、ラジエータ18は、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とに支持された状態で、軸中心線O1−O1を回動中心として水平方向に回動することができる構成となっている。
【0053】
25はラジエータ用流入側配管23と流体流入口21との接続部、ラジエータ用流出側配管24と流体流出口22との接続部に設けられたホースクランプで、該ホースクランプ25は、流体流入口21をラジエータ用流入側配管23に対して抜止めすると共に、流体流出口22をラジエータ用流出側配管24に対して抜止めするものである。
【0054】
ここで、ホースクランプ25は、ラジエータ用流入側配管23、ラジエータ用流出側配管24を外周側から取囲む拡縮可能な環状のバンドからなり、ホースクランプ25を拡径させてラジエータ用流入側配管23、ラジエータ用流出側配管24に対する締付力を緩めることにより、流体流入口21をラジエータ用流入側配管23に対して回動させ、流体流出口22をラジエータ用流出側配管24に対して回動させることができる構成となっている。
【0055】
このように、ラジエータ18は、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側(後端側)が、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とによって回動可能に支持され、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側(前端側)が自由端18Dとなっている。そして、この自由端18Dが、流体流入口21と流体流出口22の軸中心線O1−O1を回動中心として、冷却ファン13と正対する位置と冷却ファン13から離間する位置との間で回動する構成となっている。
【0056】
この場合、ラジエータ18は、図6に示すように、ロアタンク側ブラケット20の下端側をボルト20Bを用いてラジエータ固定板15に取付けることにより、冷却ファン13と左,右方向(冷却風の流れ方向)で正対する位置に固定される。このとき、アッパタンク側ブラケット19の上端側を、ボルト19Bを用いてファンシュラウド14の外枠部14Aに取付けることにより、ラジエータ18の上端側の振動を抑えることができる。
【0057】
一方、図9に示すように、ロアタンク側ブラケット20の下端側をラジエータ固定板15から取外し、アッパタンク側ブラケット19の上端側をファンシュラウド14から取外すと共に、ホースクランプ25を拡径させてラジエータ用流入側配管23、ラジエータ用流出側配管24に対する締付力を緩めた状態では、ラジエータ18は、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とを支点とし、流体流入口21と流体流出口22の軸中心線O1−O1を回動中心として、冷却ファン13から離間する位置とへと回動することができる。
【0058】
次に、26は本実施の形態による第2の熱交換器としてのオイルクーラを示し、該オイルクーラ26は、冷却ファン13と正対した状態でラジエータ18の前側に隣接して配置されている。即ち、本実施の形態では、第1の熱交換器としてのラジエータ18と第2の熱交換器としてのオイルクーラ26とが、冷却ファン13による冷却風の流れ方向(矢示F方向)に対して並列に配置されている。そして、オイルクーラ26は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータから制御弁装置を経由して作動油タンク10へと戻る加熱された作動油(被冷却流体)を冷却するものである。
【0059】
ここで、オイルクーラ26は、図4ないし図6に示すように、加熱された作動油(戻り油)の熱を冷却ファン13から供給される冷却風中に放熱する放熱部26Aと、冷却風の流れ方向と直交する方向(前,後方向)に延びる直方体の箱形状をなし、放熱部26Aの上側に取付けられたアッパタンク26Bと、このアッパタンク26Bとほぼ同一の箱形状をなし、放熱部26Aの下側に取付けられたロアタンク26Cとにより大略構成されている。この場合、オイルクーラ26は、小型の油圧ショベル1に搭載されるものであるため、その重量が3〜5kg程度の軽量に形成されている。
【0060】
そして、オイルクーラ26の放熱部26Aは、アッパタンク26Bとロアタンク26Cとの間を連通させる複数本の細管26A1と、これら各細管26A1間に設けられた複数枚の放熱フィン26A2とにより構成され、アッパタンク26Bに流入した作動油が各細管26A1を通じてロアタンク26Cに流下する間に、冷却風に晒される放熱フィン26A2を介して作動油の熱を放熱するものである。
【0061】
また、放熱部26Aのうちラジエータ18と前,後方向で対面する部位には、L字型に屈曲した2個のオイルクーラ側ブラケット27が上,下に離間して固定されている。そして、各オイルクーラ側ブラケット27は、旋回フレーム5の底板5Aとファンシュラウド14との間に固定されたオイルクーラ固定板16に、ボルト27Aを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0062】
28はアッパタンク26Bの前面側に設けられた円筒状の流体流入口を示し、該流体流入口28は、後述するオイルクーラ用流入側配管30に接続され、該オイルクーラ用流入側配管30を流れる加熱された作動油(戻り油)を、オイルクーラ用流入側配管30を通じてアッパタンク26B内に流入させるものである。ここで、流体流入口28は、アッパタンク26Bのうち冷却風の流れ方向(矢示F方向)と直交する方向(前,後方向)の他端側(前端側)に配置され、アッパタンク26Bの前面側から前方に延びる水平筒部28Aと、該水平筒部28Aの前端から鉛直上方に延びる鉛直筒部28Bとにより、L字型に形成されている。
【0063】
29はロアタンク26Cの前面側に設けられた円筒状の流体流出口を示し、該流体流出口29は、後述するオイルクーラ用流出側配管31に接続され、放熱部26Aで冷却されてロアタンク26Cに流下した作動油(冷却流体)を、オイルクーラ用流出側配管31を通じて外部に流出させるものである。ここで、流体流出口29も、ロアタンク26Cのうち冷却風の流れ方向と直交する方向(前,後方向)の他端側(前端側)に配置され、ロアタンク26Cの前面側から前方に延びる水平筒部29Aと、該水平筒部29Aの前端から鉛直下方に延びる鉛直筒部29Bとにより、L字型に形成されている。
【0064】
この場合、図6および図9等に示すように、アッパタンク26Bに設けられた流体流入口28の鉛直筒部28Bの軸中心と、ロアタンク26Cに設けられた流体流出口29の鉛直筒部29Bの軸中心とは、旋回フレーム5の底板5Aに対して鉛直方向(上,下方向)に延びる同一の軸中心線O2−O2上に配置されている。
【0065】
30はオイルクーラ26のアッパタンク26Bと制御弁装置(図示せず)との間に設けられたオイルクーラ用流入側配管で、該オイルクーラ用流入配管30は、油圧アクチュエータから制御弁装置を経由して作動油タンク10へと戻る加熱された作動油(被冷却流体)をアッパタンク26B内に流入させるものである。ここで、オイルクーラ用流入側配管30は、例えば金属材料、樹脂材料等を用いて形成された可撓性および剛性を有するパイプ体からなり、その一端側は制御弁装置の作動油戻り口(図示せず)に接続され、他端側はオイルクーラ26に設けられた流体流入口28の鉛直筒部28Bに接続されている。
【0066】
31はオイルクーラ26のロアタンク26Cと作動油タンク10との間に設けられたオイルクーラ用流出側配管で、該オイルクーラ用流出配管31は、オイルクーラ26の放熱部26Aで冷却されてロアタンク26Cに流下した作動油(冷却流体)を、作動油タンク10に向けて流出させるものである。ここで、オイルクーラ用流出側配管31も、例えば金属材料、樹脂材料等を用いて形成された可撓性および剛性を有するパイプ体からなり、その一端側はオイルクーラ26に設けられた流体流出口29の鉛直筒部29Bに接続され、他端側は作動油タンク10に接続されている。
【0067】
ここで、小型の油圧ショベル1に搭載されるオイルクーラ26は軽量であるため、このオイルクーラ26は、流体流入口28に接続されたオイルクーラ用流入側配管30と、流体流出口29に接続されたオイルクーラ用流出側配管31とを支持部材として支持されている。この場合、オイルクーラ26の流体流入口28(鉛直筒部28B)と流体流出口29(鉛直筒部29B)とは、同一の軸中心線O2−O2上に配置されているので、オイルクーラ26は、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とに支持された状態で、軸中心線O2−O2を回動中心として水平方向に回動することができる構成となっている。
【0068】
そして、オイルクーラ用流入側配管30と流体流入口28との接続部、オイルクーラ用流出側配管31と流体流出口29との接続部には、それぞれホースクランプ25が設けられ、ホースクランプ25を拡径させてオイルクーラ用流入側配管30、オイルクーラ用流出側配管31に対する締付力を緩めることにより、流体流入口28をオイルクーラ用流入側配管30に対して回動させ、流体流出口29をオイルクーラ用流出側配管31に対して回動させることができる。
【0069】
このように、オイルクーラ26は、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側(前端側)が、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とによって回動可能に支持され、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側(後端側)が自由端26Dとなっている。そして、この自由端26Dが、流体流入口28と流体流出口29の軸中心線O2−O2を回動中心として、冷却ファン13と正対する位置と冷却ファン13から離間する位置との間で回動する構成となっている。
【0070】
この場合、オイルクーラ26は、図6に示すように、オイルクーラ側ブラケット27をボルト27Aを用いてオイルクーラ固定板16に取付けることにより、冷却ファン13と左,右方向(冷却風の流れ方向)で正対する位置に固定される。一方、図9に示すように、オイルクーラ側ブラケット27をオイルクーラ固定板16から取外すと共に、ホースクランプ25を拡径させてオイルクーラ用流入側配管30、オイルクーラ用流出側配管31に対する締付力を緩めた状態では、オイルクーラ26は、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とを支点とし、流体流入口28と流体流出口29の軸中心線O2−O2を回動中心として、冷却ファン13から離間する位置とへと回動することができる。
【0071】
このように、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とによって支持されたラジエータ18と、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とによって支持されたオイルクーラ26とは、図7および図10に示すように、冷却ファン13に対して観音開きの状態で開,閉することができる構成となっている。
【0072】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業等を行うときには、まず、エンジン8を作動させて油圧ポンプ9を駆動する。
【0073】
この状態で、オペレータがキャブ6内に配置された走行レバー・ペダル(図示せず)を操作することにより、下部走行体2を自走させて油圧ショベル1を作業現場まで移動させる。そして、油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが操作レバー(図示せず)を操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0074】
ここで、油圧ショベル1が稼動しているときには、冷却ファン13がエンジン8によって回転駆動されることにより、外装カバー12の冷却風流入口12Cを通じて外装カバー12内に外気が吸込まれ、この外気が冷却風となってラジエータ18、オイルクーラ26に供給される。
【0075】
このとき、エンジン8によって加熱されたエンジン冷却水は、ウォータジャケットからラジエータ用流入側配管23に導出され、該ラジエータ用流入側配管23から流体流入口21を通じてラジエータ18のアッパタンク18B内に流入する。そして、アッパタンク18Bに流入したエンジン冷却水は、放熱部18Aの各細管18A1を通ってロアタンク18Cに流下し、このとき、冷却風に晒される放熱フィン18A2を介してエンジン冷却水の熱が放熱される。このようにして、放熱部18Aで冷却されたエンジン冷却水は、ロアタンク18Cから流体流出口22を通じてラジエータ用流出配管24に流出し、このラジエータ用流出配管24を通じてエンジン8のウォータジャケットに環流する。
【0076】
一方、油圧ショベル1の各油圧アクチュエータを駆動することにより加熱された作動油は、各油圧アクチュエータから制御弁装置の作動油戻り口を経由してオイルクーラ用流入側配管30に導出され、該オイルクーラ用流入側配管30から流体流入口28を通じてオイルクーラ26のアッパタンク26B内に流入する。そして、アッパタンク26Bに流入した作動油(戻り油)は、放熱部26Aの各細管26A1を通ってロアタンク26Cに流下し、このとき、冷却風に晒される放熱フィン26A2を介して作動油の熱が放熱される。このようにして、放熱部26Aで冷却された作動油は、ロアタンク26Cから流体流出口29を通じてオイルクーラ用流出配管31に流出し、このオイルクーラ用流出配管31を通じて作動油タンク10に環流する。
【0077】
ここで、油圧ショベル1が掘削作業等を行うときには、外装カバー12内に吸込まれる冷却風中に塵埃が混入することにより、ラジエータ18を構成する放熱部18Aの放熱フィン18A1、オイルクーラ26を構成する放熱部26Aの放熱フィン26A1等に対し、塵埃が付着する。
【0078】
これに対し、本実施の形態では、塵埃等が付着したラジエータ18、オイルクーラ26を清掃するときの作業性を高めることができるようになっており、以下、ラジエータ18、オイルクーラ26に対する清掃作業について説明する。
【0079】
まず、ラジエータ18のロアタンク18Cに取付けられたロアタンク側ブラケット20の下端側を、ラジエータ固定板15から取外すと共に、アッパタンク18Bに取付けられたアッパタンク側ブラケット19の上端側を、ファンシュラウド14から取外す。そして、ホースクランプ25を拡径させることにより、ラジエータ用流入側配管23、ラジエータ用流出側配管24に対する締付力を緩める。
【0080】
これにより、ラジエータ18は、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とを支点として回動可能となり、図9および図10に示すように、ラジエータ18の自由端18Dは、流体流入口21と流体流出口22の軸中心線O1−O1を回動中心として冷却ファン13から離間する方向へと回動する。
【0081】
一方、オイルクーラ26の放熱部26Aに取付けられたオイルクーラ側ブラケット27を、オイルクーラ固定板16から取外すと共に、ホースクランプ25を拡径させることにより、オイルクーラ用流入側配管30、オイルクーラ用流出側配管31に対する締付力を緩める。
【0082】
これにより、オイルクーラ26は、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とを支点として回動可能となり、図9および図10に示すように、オイルクーラ26の自由端26Dは、流体流入口28と流体流出口29の軸中心線O2−O2を回動中心として冷却ファン13から離間する方向へと回動する。
【0083】
このようにして、ラジエータ18とオイルクーラ26とを、冷却ファン13に対して観音開きとなるように回動させることにより、ラジエータ18、オイルクーラ26の周囲に大きな作業スペースを確保することができる。この結果、ラジエータ18の放熱部18A(放熱フィン18A2)、オイルクーラ26の放熱部26A(放熱フィン26A2)に付着した塵埃等を容易にかつ確実に除去することができ、ラジエータ18、オイルクーラ26の冷却効率を長期に亘って適正に保つことができるので、油圧ショベル1の信頼性を高めることができる。
【0084】
しかも、ラジエータ18は、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とに支持された状態で、流体流入口21と流体流出口22の軸中心線O1−O1を回動中心として回動するので、ラジエータ18の回動動作に伴ってラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とが変位することがない。また、オイルクーラ26は、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とに支持された状態で、流体流入口28と流体流出口29の軸中心線O2−O2を回動中心として回動するので、オイルクーラ26の回動動作に伴ってオイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とが変位することがない。
【0085】
従って、ラジエータ18の流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との接続部、および流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との接続部を緩めるだけで、ラジエータ18を円滑に回動させることができ、オイルクーラ26の流体流入口28とオイルクーラ用流入側配管30との接続部、および流体流出口29とオイルクーラ用流出側配管31との接続部を緩めるだけで、オイルクーラ26を円滑に回動させることができる。この結果、ラジエータ18、オイルクーラ26に対する清掃作業や点検作業を行うときの作業性を高めることができる。
【0086】
このようにして、ラジエータ18、オイルクーラ26に対する清掃作業等が終了した後には、図6および図7に示すように、ラジエータ18を回動中心軸O1−O1を回動中心として冷却ファン13と正対する位置まで回動させると共に、オイルクーラ26を回動中心軸O2−O2を回動中心として冷却ファン13と正対する位置まで回動させる。
【0087】
そして、ラジエータ18に取付けたロアタンク側ブラケット20の下端側を、ボルト20Bを用いてラジエータ固定板15に取付け、アッパタンク側ブラケット19の上端側を、ボルト19Bを用いてファンシュラウド14の外枠部14Aに取付ける。これにより、ラジエータ18を冷却ファン13と正対する位置に固定すると共に、ラジエータ18の上端側の振動を抑えることができる。また、オイルクーラ26に取付けたオイルクーラ側ブラケット27を、ボルト27Aを用いてオイルクーラ固定板16に取付けることにより、オイルクーラ26を冷却ファン13と正対する位置に固定することができる。
【0088】
次に、図11ないし図15は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、旋回フレームと熱交換器との間にヒンジ部材を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0089】
図中、41はラジエータ固定板15の近傍に位置して旋回フレーム5上に設けられたヒンジ取付板を示し、該ヒンジ取付板41は、後述のヒンジ部材43を取付けるものである。ここで、ヒンジ取付板41は、例えば鋼板材等を用いて厚肉な平板状に形成され、ラジエータ18の流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との接続部の下側に位置して旋回フレーム5の底板5Aの上面に溶接等の手段を用いて固着されている。
【0090】
42はラジエータ18のロアタンク18Cに取付けられたロアタンク側ブラケットで、該ロアタンク側ブラケット42は、第1の実施の形態によるロアタンク側ブラケット20に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、ロアタンク側ブラケット42は、図14および図15に示すように、山形鋼等を用いて断面L字型に形成され、ロアタンク18Cの下面側に固定されたタンク固定板部42Aと、該タンク固定板部42Aに固着されて上,下方向に延びるヒンジ固定板部42Bとにより構成されている。
【0091】
そして、ロアタンク側ブラケット42のタンク固定板部42Aは、旋回フレーム5(底板5A)に固定されたラジエータ固定板15に、ボルト42Cを用いて着脱可能に取付けられ、ヒンジ固定板部42Bの下端側には、後述のヒンジ部材43が固定される構成となっている。
【0092】
43はヒンジ取付板41とロアタンク側ブラケット42のヒンジ固定板部42Bとの間に設けられたヒンジ部材を示し、該ヒンジ部材43は、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24と共にラジエータ18を回動可能に支持するものである。ここで、ヒンジ部材43は、上,下方向に延びる回動中心軸43Aと、該回動中心軸43Aを回動中心として相対的に回動可能となった平板状をなす2枚の回動板43B,43Cとにより構成されている。
【0093】
そして、ヒンジ部材43の一方の回動板43Bは、旋回フレーム5(底板5A)に固定されたヒンジ取付板41に溶接等の手段を用いて固着され、ヒンジ部材43の他方の回動板43Cは、ロアタンク側ブラケット42のヒンジ固定板部42Bに溶接等の手段を用いて固着されている。
【0094】
この場合、図11および図13に示すように、ヒンジ部材43の回動中心軸43Aは、ラジエータ18のアッパタンク18Bに設けられた流体流入口21と、ロアタンク18Cに設けられた流体流出口22との軸中心線O1−O1上に配置されている。これにより、ラジエータ18は、ラジエータ用流入側配管23と、ラジエータ用流出側配管24と、ヒンジ部材43とによって支持された状態で、軸中心線O1−O1を回動中心として水平方向に回動することができる構成となっている。
【0095】
44はオイルクーラ26の近傍に位置して作動油タンク10に設けられたタンク側ヒンジ取付板を示し、該タンク側ヒンジ取付板44は、後述のヒンジ部材46を取付けるものである。ここで、タンク側ヒンジ取付板44は、例えば鋼板材等を用いて平板状に形成され、作動油タンク10のうちオイルクーラ26と対面する後面に溶接等の手段を用いて固着されている。
【0096】
45はオイルクーラ26に設けられたオイルクーラ側ヒンジ取付板を示し、該オイルクーラ側ヒンジ取付板45は、例えば鋼板材等を用いて上,下方向に延びる平板状に形成されている。そして、オイルクーラ側ヒンジ取付板45は、オイルクーラ26の放熱部26Aのうち作動油タンク10と対面する前面にボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。
【0097】
46はタンク側ヒンジ取付板44とオイルクーラ側ヒンジ取付板45との間に設けられた他のヒンジ部材を示し、該ヒンジ部材46は、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31と共にオイルクーラ26を回動可能に支持するものである。ここで、ヒンジ部材46は、上,下方向に延びる回動中心軸46Aと、該回動中心軸46Aを回動中心として相対的に回動可能となった2枚の回動板46B,46Cとにより構成されている。
【0098】
そして、ヒンジ部材46の一方の回動板46Bは、タンク側ヒンジ取付板44に溶接等の手段を用いて固着され、他方の回動板46Cは、オイルクーラ側ヒンジ取付板45に溶接等の手段を用いて固着されている。この場合、図11および図13に示すように、ヒンジ部材46の回動中心軸46Aは、オイルクーラ26のアッパタンク26Bに設けられた流体流入口28と、ロアタンク26Cに設けられた流体流出口29との軸中心線O2−O2上に配置されている。これにより、オイルクーラ26は、オイルクーラ用流入側配管30と、オイルクーラ用流出側配管31と、ヒンジ部材46とによって支持された状態で、軸中心線O2−O2を回動中心として水平方向に回動することができる構成となっている。
【0099】
第2の実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0100】
然るに、本実施の形態によれば、旋回フレーム5の底板5Aに固定したヒンジ取付板41と、ラジエータ18のロアタンク18Cに固定したロアタンク側ブラケット42との間にヒンジ部材43を設け、このヒンジ部材43の回動中心軸43Aを、ラジエータ18の流体流入口21と流体流出口22との軸中心線O1−O1上に配置する構成としている。
【0101】
これにより、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とによって回動可能に支持したラジエータ18の荷重の一部を、ヒンジ部材43によって分担することができる。この結果、ラジエータ18が大型化して重量が増大した場合でも、このラジエータ18を、ラジエータ用流入側配管23と、ラジエータ用流出側配管24と、ヒンジ部材43との3部材によって確実に支持することができる。
【0102】
また、作動油タンク10に固定したタンク側ヒンジ取付板44と、オイルクーラ26に固定したオイルクーラ側ヒンジ取付板45との間にヒンジ部材46を設け、このヒンジ部材46の回動中心軸46Aを、オイルクーラ26の流体流入口28と流体流出口29との軸中心線O2−O2上に配置する構成としている。
【0103】
これにより、オイルクーラ用流入側配管30とオイルクーラ用流出側配管31とによって回動可能に支持したオイルクーラ26の荷重の一部を、ヒンジ部材46によって分担することができる。この結果、オイルクーラ26が大型化して重量が増大した場合でも、このオイルクーラ26を、オイルクーラ用流入側配管30と、オイルクーラ用流出側配管31と、ヒンジ部材46との3部材によって確実に支持することができる。
【0104】
次に、図16は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、熱交換器を構成するアッパタンクの流体流入口と流入側配管との間、ロアタンクの流体流出口と流出側配管との間に、それぞれ回転継手を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0105】
図中、51はラジエータ18のアッパタンク18Bに設けられた流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との間、およびロアタンク18Cに設けられた流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との間にそれぞれ設けられた回転継手としての2個のスイベル継手を示している。これら2個のスイベル継手51は、流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との間、流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との間を、それぞれ相対回転可能に接続するものである。
【0106】
ここで、各スイベル継手51は、円筒状をなす固定側継手51Aと、複数個の転動体(ボール)51Bを介して固定側継手51Aの先端側に嵌合する円筒状の回転側継手51Cとにより大略構成され、固定側継手51Aと回転側継手51Cとが、同一の軸中心線を中心として相対回転可能となっている。
【0107】
そして、一方のスイベル継手51は、固定側継手51Aをラジエータ用流入側配管23に接続すると共に、回転側継手51Cをラジエータ18のアッパタンク18Bの流体流入口21に接続している。また、他方のスイベル継手51は、固定側継手51Aをラジエータ用流出側配管24に接続すると共に、回転側継手51Cをラジエータ18のロアタンク18Cの流体流出口22に接続している。
【0108】
これにより、ラジエータ18は、流体流入口21と流体流出口22との軸中心線O1−O1を中心として回転するスイベル継手51を介して、ラジエータ用流入側配管23とラジエータ用流出側配管24とによって支持される構成となっている。
【0109】
第3の実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0110】
然るに、本実施の形態によれば、ラジエータ18のアッパタンク18Bに設けた流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との間にスイベル継手51を設けると共に、ロアタンク18Cに設けた流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との間にスイベル継手51を設けることにより、流体流入口21と流体流出口22の軸中心線O1−O1を回動中心としてラジエータ18を円滑に回転させることができる。従って、流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との接続部、および流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との接続部を緩める作業を不要にでき、ラジエータ18に対する清掃作業や点検作業を行うときの作業性を一層高めることができる。
【0111】
次に、図17ないし図19は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1の熱交換器と第2の熱交換器とを、冷却ファンによる冷却風の流れ方向に対して直列に配置したことにある。
【0112】
図中、61は冷却ファン12と対面して配設された第1の熱交換器としてのラジエータを示し、該ラジエータ61は、第1の実施の形態によるラジエータ18に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、ラジエータ61は、第1の実施の形態によるラジエータ18と同様に、放熱部61Aと、アッパタンク61Bと、ロアタンク61Cとにより大略構成されているものの、冷却風の流れ方向と直交する方向(前,後方向)の寸法が大きく形成され、冷却ファン13とほぼ全面に亘って対面している。
【0113】
また、アッパタンク61Bにはアッパタンク側ブラケット19が取付けられ、ロアタンク61Cにはロアタンク側ブラケット20が取付けられている。さらに、アッパタンク61Bの上面側には流体流入口21が設けられ、ロアタンク61Cの下面側には流体流出口22が設けられ、これら流体流入口21と流体流出口22とは、軸中心線O1−O1上に配置されている。
【0114】
そして、ラジエータ61は、流体流入口21に接続されたラジエータ用流入側配管23と、流体流出口22に接続されたラジエータ用流出側配管24とにより支持され、ロアタンク側ブラケット20をラジエータ固定板15から取外すと共に、アッパタンク側ブラケット19をファンシュラウド14から取外した状態では、軸中心線O1−O1を中心として水平方向に回動する構成となっている。
【0115】
62はラジエータ61と対面して配設された第2の熱交換器としてのオイルクーラを示し、該オイルクーラ62は、第1の実施の形態によるオイルクーラ26に代えて本実施の形態に用いたものである。このように、本実施の形態では、第1の熱交換器としてのラジエータ61と第2の熱交換器としてのオイルクーラ62とが、冷却ファン13による冷却風の流れ方向(図18中の矢示F方向)に対して直列に配置されている。
【0116】
ここで、オイルクーラ62は、第1の実施の形態によるオイルクーラ26と同様に、放熱部62Aと、アッパタンク62Bと、ロアタンク62Cとにより大略構成されているものの、冷却風の流れ方向(図18中の矢示F方向)と直交する方向(前,後方向)の寸法が大きく形成され、ラジエータ61とほぼ全面に亘って対面している。
【0117】
また、アッパタンク62Bの前面側には水平筒部28Aと鉛直筒部28BとによりL字型に形成された流体流入口28が設けられ、ロアタンク62Cの前面側には水平筒部29Aと鉛直筒部29BとによりL字型に形成された流体流入口29が設けられ、これら流体流入口28の鉛直筒部28Bと流体流出口29の鉛直筒部29Bとは、軸中心線O2−O2上に配置されている。さらに、放熱部62Aの後面側には、上,下に離間して2個のオイルクーラ側ブラケット27が固定されている。
【0118】
そして、オイルクーラ62は、流体流入口28の鉛直筒部28Bに接続されたオイルクーラ用流入側配管30と、流体流出口29の鉛直筒部29Bに接続されたオイルクーラ用流出側配管31とにより支持され、オイルクーラ側ブラケット27を、後述のオイルクーラ固定板63から取外した状態では、軸中心線O2−O2を中心として水平方向に回動する構成となっている。
【0119】
63はラジエータ固定板15の近傍に位置して旋回フレーム5上に設けられた他の熱交換器固定具としてのオイルクーラ固定板で、該オイルクーラ固定板63は、第1の実施の形態によるオイルクーラ固定板16に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、オイルクーラ固定板63は、例えば鋼板材等を用いて上,下方向に延びる細長い帯板状に形成され、その下端側が旋回フレーム5の底板5Aの上面にボルト等(図示せず)を用いて固定されると共に、上端側がボルト17を用いてファンシュラウド14の外枠部14Aに固定されている。そして、オイルクーラ固定板63に対し、オイルクーラ62の放熱部62Aに固定したオイルクーラ側ブラケット27をボルト27Aを用いて締結することにより、オイルクーラ62をラジエータ61と正対する位置に固定することができる構成となっている。
【0120】
第4の実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0121】
然るに、本実施の形態によれば、ラジエータ61とオイルクーラ62とを、冷却ファン13による冷却風の流れ方向(矢示F方向)に対して直列に配置する構成としている。これにより、冷却風の流れ方向の上流側に形成されるスペース内に、ラジエータ61とオイルクーラ62とを隣接して配置することができ、外装カバー12内の狭隘なスペースを有効に利用することができる。
【0122】
なお、上述した第3の実施の形態では、ラジエータ18のアッパタンク18Bに設けた流体流入口21とラジエータ用流入側配管23との間、ロアタンク18Cに設けた流体流出口22とラジエータ用流出側配管24との間に、それぞれ回転継手としてのスイベル継手51を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばスイベル継手51に代えて、急速継手(クイック・カップリング)を用いる構成としてもよい。
【0123】
また、上述した各実施の形態では、熱交換器としてラジエータ18(61)とオイルクーラ26(62)とを例示している。しかし、本発明はこれに限らず、これらラジエータ18、オイルクーラ26に加えて、例えばエンジン8の過給機から供給される吸気を冷却するインタクーラ、空気調和装置用の冷媒を冷却するコンデンサ等の他の熱交換器を備える構成としてもよい。
【0124】
また、上述した各実施の形態では、エンジン8によって駆動される吸込み式の冷却ファン13を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば吐出し式の冷却ファンを用いる構成としてもよい。さらに、例えば電動ファン等のエンジン8以外の駆動源を有する冷却ファンを用いる構成としてもよい。
【0125】
さらに、上述した実施の形態では、熱交換器が搭載される建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 油圧ショベル(建設機械)
5 旋回フレーム(フレーム)
8 エンジン
9 油圧ポンプ
13 冷却ファン
15 ラジエータ固定板(熱交換器固定具)
16,63 オイルクーラ固定板(熱交換器固定具)
18,61 ラジエータ(第1の熱交換器)
18A,26A,61A 放熱部
18B,26B,61B アッパタンク
18C,26C,61C ロアタンク
21,28 流体流入口
22,29 流体流出口
23 ラジエータ用流入側配管(流入側配管)
24 ラジエータ用流出側配管(流出側配管)
26 オイルクーラ
30 オイルクーラ用流入側配管(流入側配管)
31 オイルクーラ用流出側配管(流出側配管)
43,46 ヒンジ部材
51 スイベル継手(回転継手)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、該フレーム上に搭載され油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンの近傍に位置して前記フレーム上に配置され冷却ファンからの冷却風により加熱された被冷却流体を冷却する熱交換器と、前記冷却すべき被冷却流体を該熱交換器に流入させる流入側配管と、前記熱交換器によって冷却された冷却流体を流出させる流出側配管とを備え、
前記熱交換器は、被冷却流体の熱を前記冷却ファンからの冷却風によって放熱する放熱部と、該放熱部の上側に配置され前記流入側配管に接続される流体流入口が設けられたアッパタンクと、前記放熱部の下側に配置され前記流出側配管に接続される流体流出口が設けられたロアタンクとにより構成してなる建設機械において、
前記アッパタンクの流体流入口と前記ロアタンクの流体流出口とは上,下方向に延びる同一の軸中心線上に配置する構成とし、
前記熱交換器は、前記流入側配管と流出側配管とを支持部材として支持され、かつ前記熱交換器は、前記流入側配管と流出側配管とにより前記流体流入口と流体流出口の軸中心線を回動中心として回動する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記フレームには、前記流入側配管と流出側配管とにより回動可能に支持した前記熱交換器を前記冷却ファンと対面する位置に固定する熱交換器固定具を設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記フレームと前記熱交換器との間には、前記流入側配管と流出側配管と共に前記熱交換器を回動可能に支持するヒンジ部材を設け、
該ヒンジ部材の回動中心軸は、前記流体流入口と流体流出口の軸中心線上に配置する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記アッパタンクの流体流入口と前記流入側配管との間、および前記ロアタンクの流体流出口と前記流出側配管との間には、それぞれ前記流体流入口と流体流出口の軸中心線を中心として回転する回転継手を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向に対して並列または直列に配置された第1,第2の熱交換器により構成し、
前記第1の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側を前記流入側配管と流出側配管とによって支持することにより、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側を回動可能な自由端として構成し、
前記第2の熱交換器は、冷却風の流れ方向と直交する方向の他端側を前記流入側配管と流出側配管とによって支持することにより、冷却風の流れ方向と直交する方向の一端側を回動可能な自由端として構成してなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−140839(P2011−140839A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3108(P2010−3108)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】