説明

弁装置

【解決手段】 弁装置1は、入力室6と主弁開閉室10とを連通する第1分岐通路15と、上記出力室8に外部気体を流入させる第2分岐通路16と、上記出力室8と上記主弁開閉室10とを連通する第3分岐通路17とを備え、上記第1、第2分岐通路16にはそれぞれ電磁石21によって開閉する第1、第2補助弁22、23が設けられている。
上記電磁石21を非作動状態から作動状態にすると、連動手段25によって連動した補助力発生手段14が補助力を発生させ、上記第1分岐通路15より主弁開閉室10に流入した負圧と上記補助力とが、上記入力室6の負圧を越えることで、主弁体13が主弁座9より離座するようになっている。
【効果】 容易に弁装置の作動特性を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁装置に関し、詳しくは入力ポートの形成された入力室と、出力ポートの形成された出力室と、ダイアフラムを挟んで入力室および出力室の反対側に形成された主弁開閉室とを備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、負圧の供給される入力ポートの形成された入力室と、該入力室に隣接して形成されるとともに出力ポートの形成された出力室と、ダイアフラムを挟んで入力室および出力室の反対側に形成された主弁開閉室と、上記入力室と出力室との境界に形成された主弁座と、上記ダイアフラムに設けられて上記主弁座に着座する主弁体とを備えた弁装置が知られている(特許文献1の図1)。
上記特許文献1の図1では、上記主弁体に大径のシリンダを連結するとともに、該シリンダにおける上記主弁体とは反対側に形成された部屋に負圧を供給するようになっており、負圧の供給によりシリンダを作動させ、これにより上記主弁体を主弁座より離座させるようになっている。
上記構成を有する弁装置の場合、主弁体が主弁座から離座することで、出力室と入力室との圧力差により急激な圧力変動(サ−ジ圧)が発生し、出力ポートに接続された装置や物品内で発塵や発泡等が発生してしまう問題があった。
そこで、上記特許文献1の図3等に開示された弁装置では、上記入力室と上記主弁開閉室とを連通させる分岐通路と、上記出力室と上記主弁開閉室とを連通する分岐通路とを設けている。
この弁装置では、上記主弁体が着座した状態で電磁石により開弁方向に付勢すると、これに連動して上記分岐通路が解放されて負圧を主弁開閉室に導入するようになっており、上記電磁石による主弁体を離座させる付勢力が、主弁開閉室の負圧と入力室の負圧との差圧を越えると、上記主弁体が主弁座より離座するようになっている。
つまり、上記主弁開閉室および出力室に予め負圧を導入することで、サージ圧の発生を抑えるようになっている。
【特許文献1】特開2004−239374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の弁装置の場合、上記電磁石による主弁体を離座させる付勢力と、上記主弁体を主弁座に着座させるばねの付勢力とのつりあいを調整して、主弁体が主弁座より離座するタイミングを調整しなければならないという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は容易に主弁体が主弁座より離座するタイミングを調整することが可能な弁装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明における弁装置は、負圧の供給される入力ポートの形成された入力室と、該入力室に隣接して形成されるとともに出力ポートの形成された出力室と、ダイアフラムを挟んで入力室および出力室の反対側に形成された主弁開閉室と、上記入力室と出力室との境界に形成された主弁座と、上記ダイアフラムに設けられて上記主弁座に着座する主弁体とを備えた弁装置において、
上記入力室と上記主弁開閉室とを連通するとともに第1補助弁により開閉可能な第1分岐通路と、
上記出力室または主弁開閉室に連通して外部気体を流入させるとともに第2補助弁により開閉可能な第2分岐通路と、
上記出力室と上記主弁開閉室とを連通する第3分岐通路と、
非作動状態では上記第1補助弁を閉鎖して第2補助弁を開放し、作動状態では上記第1補助弁を開放して第2補助弁を閉鎖する駆動手段と、
上記主弁体を主弁座から離座する方向に補助力を付勢する補助力発生手段と
上記駆動手段が非作動状態から作動状態になるのに連動して、上記補助力発生手段に上記補助力を発生させる連動手段とを備え、
上記駆動手段を非作動状態から作動状態にすると、連動手段により上記補助力発生手段が補助力を発生させ、
上記第1分岐通路から主弁開閉室に供給される負圧と上記補助力とにより、主弁体が上記入力室の負圧に抗して主弁座より離座することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、上記駆動手段が非作動状態から作動状態になると、上記第1分岐通路から主弁開閉室に負圧が導入され、さらに上記補助力発生手段が主弁体を主弁座から離座する方向に補助力を発生させるようになっている。
そして、当該補助力が主弁開閉室の負圧と入力室の負圧との差圧を越えると、主弁体が主弁座から離座するようになっている。
つまり、上記補助力発生手段による補助力を調整するだけで、容易に弁装置の作動特性を調整することが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は本発明にかかる弁装置1の断面図を示し、本実施例の弁装置1には負圧を供給する吸気源2と、内部に物品を収容した真空パック3が接続されており、上記弁装置1を作動させることで真空パック3から気体を吸引排出し、真空包装するようになっている。
上記弁装置1は、上記吸気源2および真空パック3の接続される下部ハウジング4と、該下部ハウジング4の上部に設けられた上部ハウジング5とを備え、下部ハウジング4と上部ハウジング5とを分離することでメンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
下部ハウジング4には、上記吸気源2の接続される入力ポート6aの形成された入力室6と、下部ハウジング4の図示左方に開口して上記真空パック3の接続される出力ポート7と、該出力ポート7に連通する出力室8とが形成されている。
上記入力室6は円管状に形成されて、下部ハウジング4を上面から下面に貫通し、上記出力室8は上記入力室6を囲繞するように管状に形成されて下部ハウジング4の上面に開口し、これら入力室6と出力室8との境界には、下部ハウジング4の上面に向けてリング状の主弁座9が設けられている。
一方、上記上部ハウジング5には上記出力室8と略同径の主弁開閉室10が形成され、該主弁開閉室10は上部ハウジング5の上面および下面に開口し、上面には気密を保った状態でキャップ11が装着されている。
主弁開閉室10の下面にはダイアフラム12が設けられており、該ダイアフラム12によって主弁開閉室10と上記入力室6および出力室8とは気密を保った状態で区画されている。
上記ダイアフラム12の中央には上記主弁座9に着座する主弁体13が設けられており、上記主弁体13には後に詳述する補助力発生手段14が設けられている。
【0007】
また、上記下部ハウジング4および上部ハウジング5には、以下の第1〜第3分岐通路15〜17が形成されている。
第1分岐通路15は、上記入力室6と上記主弁開閉室10とを連通させるようになっており、該第1分岐通路15の途中には、下方に向けてリング状の第1補助弁座15aが設けられている。
また、上記第1分岐通路15には、第1負圧調整バルブ18が設けられており、この第1負圧調整バルブ18を操作することで、第1分岐通路15の流量を調整するようになっている。
第2分岐通路16は、上部ハウジング5の側面に開口して、上記出力室8に外部気体としての大気を流入させるようになっており、該第2分岐通路16の途中には、上方に向けてリング状の第2補助弁座16aが設けられている。
上記第3分岐通路17は、上記出力ポート7と上記主弁開閉室10とを連通させるようになっており、また上記第3分岐通路17には、該第3分岐通路17の流量を調整する第2負圧調整バルブ19が設けられている。
【0008】
上記第1分岐通路15の第1補助弁座15aおよび第2分岐通路16の第2補助弁座16aは、上下方向に向けて直列に配置されており、これら第1補助弁座15aおよび第2補助弁座16aを貫通するように連結部材20が設けられている。
この連結部材20は上部ハウジング5の上部に固定された駆動手段としての電磁石21によって上下に移動し、該連結部材20の略中央には上記第1補助弁座15aに下方から離着座する第1補助弁22の下端には上記第2補助弁座16aに上方から離着座する第2補助弁23が設けられている。
上記電磁石21の非作動状態では、図1に示すように上方に連結部材20が位置するようになっており、上記第1補助弁座15aに第1補助弁22が着座し、上記第2補助弁座16aから第2補助弁23が離座するようになっている。
一方、電磁石21の作動状態では、図3に示すように下方に連結部材20が位置するようになっており上記第1補助弁座1aから第1補助弁22が離座し、上記第2補助弁座16aに第2補助弁23が着座するようになっている。
また、連結部材20の上部には該連結部材20を上方に付勢するばね24が設けられており、上記使用状態から上記電磁石21への電力の供給が停止されると、ばね24の付勢力によって連結部材20が上方に移動して不使用状態となる。
【0009】
上記主弁開閉室10の内部には、上記電磁石21が非作動状態から作動状態になるのに連動して、上記補助力発生手段14に補助力を発生させる連動手段25が設けられている。
上記連動手段25は、主弁開閉室10の内部に固定されたステー25aと、該ステー25aに揺動自在に設けられたレバー25bとから構成され、該レバー25bの両端はそれぞれ上記連結部材20および上記補助力発生手段14に連結されている。
そして、図1に示すように電磁石21が非作動状態のとき、連結部材20は上方に位置しており、レバー25bの反対側の補助力発生手段14は下方に位置し、図3に示すように電磁石21が作動状態になって連結部材20が下方に移動すると、これに連動して補助力発生手段14が上方に移動するようになっている。
【0010】
図2は上記補助力発生手段14の断面図を示し、(a)は電磁石21の非作動状態における断面図を、(b)は電磁石21の作動状態であって、かつ図3のように主弁体13が主弁座9に着座している状態を示している。
補助力発生手段14は、筒状のボディ31と、該ボディ31に対して上下方向に摺動するとともに下端に上記主弁体13が連結されたシャフト32と、上記シャフト32の上部に設けられたばね受け手段33と、上記ボディ31とばね受け手段33との間に弾装されたばね34とから構成されている。
上記ボディ31の上端および下端にはそれぞれ貫通孔の穿設されたフランジ31a,31bが形成され、上方のフランジ31aの下面には上記ばね受け手段33が当接し、下方のフランジ31bの上面には上記ばね34の下端が上方から弾接するようになっている。
上記ボディ31の側面には上記連動手段25のレバー25bを連結するための軸31cが設けられており、電磁石21が非作動状態の時にはボディ31は上記レバー25bによって図示下方に位置し、作動状態の時には図示上方に位置するようになっている。
上記シャフト32には、上記ボディ31の下方となる位置にストッパ32aが設けられており、このストッパ32aは上記ボディ31の下方のフランジ31bに下方から当接して、主弁体13が上方に移動してしまうのを阻止するようになっている。
上記ばね受け手段33は、筒状で下端にフランジの形成された連結部材33aと、該連結部材33aの下方に設けられたリング状部材33bとから構成されており、連結部材33aが上記ボディ31の上方のフランジ31aに当接し、リング状部材33bに上記ばね34が弾接している。
上記連結部材33aは回転させることでシャフト32に対して上下に移動可能となっており、これにより上記リング状部材33bと下方のフランジ31bとの間に弾装されたばね34の付勢力を調整することが可能となっている。また上記リング状部材33bは上記ばね34の伸縮に応じて回転するようになっている。
具体的には、連結部材33aをシャフト32に対して図示下方に移動させると、ばね34が圧縮されて補助力発生手段14による補助力は大となり、連結部材33aを図示上方に移動させることで補助力が小となる。
このような構成により、上記主弁体13が主弁座9に着座したまま、上記ボディ31を上方に移動させると、ばね受け手段33を介してシャフト32には上方に向けてばね34による付勢力が作用し、このばね34の付勢力が上記主弁体13に主弁座9から離座する方向に作用する補助力となる。
【0011】
以下、上記構成を有する弁装置1の動作について説明する。
最初に、電磁石21が非作動状態となっている図1の状態から説明すると、上記主弁体13は主弁座9に着座しており、出力室8と入力室6とは連通しておらず、上記吸気源2からの負圧が真空パック3に供給されないようになっている。
また、上記第1補助弁22は第1補助弁座15aに着座し、上記第1分岐通路15を介して入力室6と主弁開閉室10とは連通していないことから、負圧は該第1分岐通路15を介して主弁開閉室10に流入しないようになっている。
さらに、上記第2補助弁23は第2補助弁座16aから離座し、上記第2分岐通路16を介して出力室8には大気が流入可能になっていることから、出力室8は大気圧となっている。
ここで、上記出力室8と主弁開閉室10とは、上記第3分岐通路17によって常時連通するようになっているため、出力室8に流入した大気は上記主弁開閉室10にも流入し、主弁開閉室10も大気圧となっている。
そして、電磁石21は非作動状態となっているため、連動手段25によって補助力発生手段14のボディ31は下方に位置し、図2(a)に示すようにシャフト32のストッパ32aがボディ31の下方のフランジ31bに当接しているため、上記補助力は発生していない。
このように、電磁石21が非作動状態となっている弁装置1では、上記入力室6の負圧と上記主弁開閉室10の大気圧とによる差圧によって、上記主弁体13は主弁座9に着座した状態を維持し、上記出力ポート7に接続された真空パック3内部の気体は吸引されないようになっている。
【0012】
次に、図3は電磁石21を作動状態とした直後の状態を示しており、電磁石21が連結部材20を下方に移動させることで、第1補助弁22が第1補助弁座15aから離座し、第2補助弁23が第2補助弁座16aに着座した状態を示している。
第1補助弁22が第1補助弁座15aから離座することで、第1分岐通路15を介して上記入力室6と主弁開閉室10とが連通し、また第3分岐通路17を介して主弁開閉室10と出力室8とは連通しているため、上記主弁開閉室10および出力室8には負圧が導入されることとなる。
また、第2補助弁23が第2補助弁座16aに着座することで、出力室8には第2分岐通路16からの大気の流入が阻止され、これと同様、第3分岐通路17を介して主弁開閉室10への大気の流入も阻止される。
一方、電磁石21が作動状態になると、図2(b)に示すように連動手段25によって補助力発生手段14のボディ31は上方に移動し、ボディ31は上記ばね34の弾性力に抗して上昇するので、補助力発生手段14は主弁体13に主弁座9より離座する方向に補助力を付勢することとなる。
しかしながら、電磁石21が作動状態になった直後は、依然として入力室6と主弁開閉室10には差圧が存在しており、上記補助力発生手段14による補助力が作用しても、主弁体13は主弁座9に着座した状態を維持するようになっている。
【0013】
そして、図4は電磁石21を作動状態として所定時間が経過した状態を示しており、図3に対して主弁体13が主弁座9から離座し、入力室6と出力室8とが連通した状態を示している。
上記図3の状態から時間が経過すると、第1分岐通路15および第3分岐通路17を介して主弁開閉室10と出力室8とに徐々に負圧が導入されて圧力が降下してゆき、上記入力室6と主弁開閉室10との差圧が減少してゆく。
ここで、上記第1負圧調整バルブ18および第2負圧調整バルブ19によって第1、第3分岐通路15、17における負圧の流量を調整しているので、上記主弁開閉室10および出力室8における圧力降下速度を任意に設定することが可能となっている。
そして、上記差圧が上記補助力発生手段14による補助力よりも小さくなると、該補助力によって主弁体13が主弁座9より離座し、入力室6と出力室8とが連通するようになっている。
また、離座した主弁体13は、上記シャフト32のストッパ32aがボディ31の下方のフランジ31bに当接するため、主弁座9に対して所定距離離隔した位置で停止する。
【0014】
その後、上記電磁石21を再び非作動状態とすると、再び図1に示すように上記ばね24によって連結部材20が上昇し、上記第1補助弁22は第1補助弁座15aに着座し、第2補助弁23が第2補助弁座16aから離座する。また記連動手段25によって補助力発生手段14のボディ31が下降するため、上記主弁体13も下降して主弁座9に着座する。
その結果、上記第1分岐通路15が閉鎖されて入力室6から主弁開閉室10および出力室8への負圧の導入が停止し、かつ第2分岐通路16から大気が導入されるので、上記入力室6と主弁開閉室10との間に差圧が生じることとなる。
【0015】
図5は、本実施例における弁装置1の動作を示すグラフであり、上記出力ポート7における負圧の変動と時間との関係を示している。
ここでは、上記第1、第2負圧調整バルブ18、19による第1、第3分岐通路15、17における流量を大小に切り替えるとともに、上記補助力発生手段14が付勢する補助力を大小に切り換えることで、(1)〜(4)に示すタイミングで作動するようになっている。
(1)は第1、第3分岐通路15、17における負圧の流量を大とし、上記補助力発生手段14による補助力を大にしたときのグラフである。
この場合、負圧の流量が大なので、出力室8および主弁開閉室10には比較的急激に負圧が導入され、補助力が大なので、その後主弁開閉室10(出力室8)が比較的低い負圧に達した時点で、主弁体13が主弁座9から離座するようになっている。
そして、(2)は負圧の流量を小さく、上記補助力を大にしたときのグラフを、(3)は負圧の流量を大きく、上記補助力を小にしたときのグラフを、(4)は負圧の流量を小さく、上記補助力を小にしたときのグラフをそれぞれ示している。
その結果、(1)、(2)、(3)、(4)の順で、早期に主弁体13が主弁座9より離座することがわかる。なお、(2)、(3)については、上記第1、第2負圧調整バルブ18、19による第1、第3分岐通路15、17の絞りや、上記補助力発生手段14におけるばね受け手段33の位置によって入れ替わる場合がある。
そして、(1)のように負圧の流量を大きく、上記補助力を大にすれば、早期に弁装置1を作動させることができ、生産性を向上させることが可能となる。
他方、(4)のように負圧の流量を小さく、上記補助力を小にすれば、主弁体13が主弁座9から離座したときの急激な圧力変動を抑えることができ、サージ圧による真空パック3内の発泡等をより完全に防止することができる。
なお、上記第1、第2負圧調整バルブ18、19を調整すれば、出力室8および主弁開閉室10における負圧の増大する割合を任意に調整することができ、また、上記補助力発生手段14のばね受け手段33の位置を調整すれば、補助力によって主弁体13が主弁座9より離座するタイミングを任意に調整することが可能となっている。
【0016】
図6は本発明にかかる第2実施例の弁装置1を示し、上記補助力発生手段14および連動手段25以外の構成については、上記第1実施例の弁装置1と同様の構成を有している。
本実施例の補助力発生手段14は、主弁体13に連結された第1保持部材41と、上記キャップ11に螺合された第2保持部材42と、これら第1、第2保持部材41、42に両端が連結されたばね43とから構成されている。
上記第1保持部材41の側面にはピン41aが設けられており、また第2保持部材42は上記キャップの中央を気密を保った状態で上下に貫通しており、該第2保持部材42を上下に移動させることが可能となっている。
上記ばね43は第1保持部材41を第2保持部材42に接近させる方向に付勢しており、このばね43の付勢力は主弁体13を離座方向に付勢する補助力となっている。
またこの付勢力は、第2保持部材42を上下に移動させることで容易に調整することが可能となっており、上記第1実施例におけるばね受け手段33と同様、補助力によって主弁体13が主弁座9より離座するタイミングを任意に調整することが可能となっている。
上記連動手段25は、ステー25aおよびレバー25bとから構成され、上記レバー25bの一端は上記第1実施例と同様、上記連結部材20に連結されており、他端は上記第1保持部材41のピン41aに上方に当接可能な位置に設けられている。
【0017】
図6は上記電磁石21が非作動状態の図を示しており、このとき連動手段25のレバー25bは第1保持部材41のピン41aに上方から当接し、上記ばね43の付勢力に抗して第1保持部材41を下方に位置させ、主弁体13が主弁座9に着座するようになっている。
この状態から電磁石21を作動状態とすると、レバー25bの端部が上記ピン41aより上方に退避し、主弁体13にはばね43による補助力が作用するが、作動状態となった直後は上記第1実施例と同様、入力室6と主弁開閉室10との差圧により、主弁体13は主弁座9に着座した状態を維持する。
その後、上記差圧が上記補助力発生手段14による補助力よりも低くなると、主弁体13が主弁座9より離座し、入力室6と出力室8とが連通するようになっている。
また、離座した主弁体13は、上記ピン41aが再びレバー25bに当接するため、主弁座9に対して所定距離離隔した位置で停止するようになっている。
【0018】
なお、上記各実施例において、上記第2分岐通路16には大気圧よりも陽圧の気体を供給する陽圧供給手段を接続することができ、例えば真空パック内に食料品を包装する場合、上記陽圧供給手段として窒素供給手段を接続することが可能となっている。
この場合、上記電磁石21を作動状態とすると同時に、上記窒素供給手段により窒素ガスを上記出力室8へと供給し、その後上記主弁体13が離座して真空パックが真空となったら、電磁石21を非作動状態とし、窒素供給手段は窒素ガスの供給を継続する。
このようにすることで、真空パック内の空気を窒素に置換することが可能となり、食料品の酸化を防止することが可能となる。また上記気体としては他にもアルゴンガスなどが考えられる。
次に、第1、第2負圧調整バルブ18、19のうち、いずれか一方を省略することが可能である。しかしながら、調整の容易さから第1、第2負圧調整バルブ18、19の双方を設けるのが望ましい。
さらに、上記実施例では第2分岐通路16は上記出力室8に連通するようになっているが、これを上記主弁開閉室10に連通させるようにしても良い。この場合も第2分岐通路16を介して主弁開閉室10に流入した大気は、第3分岐通路17を介して出力室8に流入するので、弁装置1は上記実施例と同様の動作をするようになっている。
そして、上記補助力発生手段14による補助力の発生を、電磁石やエアシリンダなどの手段によって行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例にかかる弁装置の断面図を示し、電磁石の非作動状態を示している。
【図2】補助力発生手段の断面図。
【図3】弁装置の断面図であって、電磁石の作動状態となった直後の状態を示している。
【図4】弁装置の断面図であって、電磁石の作動状態となって所定時間経過した状態を示している。
【図5】弁装置の動作を示したグラフ。
【図6】第2実施例にかかる弁装置の断面図。
【符号の説明】
【0020】
1 弁装置 2 吸気源
6 入力室 8 出力室
9 主弁座 10 主弁開閉室
13 主弁体 14 補助力発生手段
15 第1分岐通路 16 第2分岐通路
17 第3分岐通路 21 電磁石
22 第1補助弁 23 第2補助弁
25 連動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧の供給される入力ポートの形成された入力室と、該入力室に隣接して形成されるとともに出力ポートの形成された出力室と、ダイアフラムを挟んで入力室および出力室の反対側に形成された主弁開閉室と、上記入力室と出力室との境界に形成された主弁座と、上記ダイアフラムに設けられて上記主弁座に着座する主弁体とを備えた弁装置において、
上記入力室と上記主弁開閉室とを連通するとともに第1補助弁により開閉可能な第1分岐通路と、
上記出力室または主弁開閉室に連通して外部気体を流入させるとともに第2補助弁により開閉可能な第2分岐通路と、
上記出力室と上記主弁開閉室とを連通する第3分岐通路と、
非作動状態では上記第1補助弁を閉鎖して第2補助弁を開放し、作動状態では上記第1補助弁を開放して第2補助弁を閉鎖する駆動手段と、
上記主弁体を主弁座から離座する方向に補助力を付勢する補助力発生手段と
上記駆動手段が非作動状態から作動状態になるのに連動して、上記補助力発生手段に上記補助力を発生させる連動手段とを備え、
上記駆動手段を非作動状態から作動状態にすると、連動手段により上記補助力発生手段が補助力を発生させ、
上記第1分岐通路から主弁開閉室に供給される負圧と上記補助力とにより、主弁体が上記入力室の負圧に抗して主弁座より離座することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
上記第1分岐通路または上記第3分岐通路の少なくともいずれか一方に、当該通路の流量を調整する負圧調整バルブを設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−90931(P2010−90931A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259296(P2008−259296)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(593157390)株式会社清光社 (2)
【Fターム(参考)】