説明

強固に接着する窒化ケイ素含有剥離層

本発明は、固体粒子の懸濁物を含む、耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための泥漿であって、この固体粒子は、67−95重量%の窒化ケイ素および5−33重量%のSiOベースの高温バインダーを含み、このSiOベースの高温バインダーはSiO前駆体から誘導され、かつ300−1300℃の温度範囲での熱処理によって前処理されたものである、泥漿に関する。本発明はさらに、耐久性のある強固に接着する剥離層を有する基体を含む成形体、およびそれらを製造するためのプロセスを提供する。本発明の成形体は、腐食性非鉄金属融液の分野での使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための窒化ケイ素含有の泥漿、成形体であって、基体と、その上に設けられた耐摩耗性、耐衝撃性および耐スリキズ性がありかつ熱的に安定な耐久性のある強固に接着する剥離層とを含み、その結果、その成形体が持ち運びできるようになる成形体、このような成形体を製造するためのプロセス、ならびに腐食性非鉄金属融液の分野における、特に太陽電池用シリコン加工の分野で使用するための溶解用るつぼとしてのこのような成形体の使用、ならびにアルミニウム冶金、特に低圧アルミニウム鋳造におけるライザー管としてのこのような成形体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン粒子、シリコン顆粒またはシリコン片からのシリコン塊(インゴット)の溶解および再結晶は、グラファイトまたは窒化ケイ素でできた、しかし主にはSiO(溶融シリカ)でできたるつぼを使用して実施される。所望の微細構造および不純物を有するインゴットは正確に規定された冷却プロセスの間に融液から結晶化し、その後にこれらのインゴットは薄いウェーハへと切断され、太陽光発電装置の活性構成要素を形成する。
【0003】
この場面では、太陽電池用シリコンの品質が加工において使用される材料、例えば溶解用るつぼによって悪影響を受けず、シリコン融液が欠陥なしに固化することができ、かつそのるつぼから損傷せずに取り出すことができるということが重要である。これに関して、るつぼ材料に対する液状シリコン金属の腐食作用を防止することが重要である。なぜなら、そうでなければその融液は汚染された状態になるであろうからである。さらに、接着、浸潤および拡散はインゴットの離型の際の問題につながり、そのため、多結晶性のシリコン塊の破断またはクラックの危険が存在する。
【0004】
この腐食性シリコン融液はSiOるつぼに対して攻撃する。なぜなら、SiとSiOとの間の化学反応が起こり、揮発性のSiOを形成するからである。加えて、そのるつぼからの酸素および望ましくない不純物がシリコン融液の中へとこのようにして入り込む。
【0005】
特に、固化しつつあるまたは固化したシリコン塊上の接着性材料は、なんとしても回避しなければならない。なぜなら、シリコンは非常に大きい熱膨張を受け、その結果、非常に少量の接着性材料が機械的応力、ひいては結晶構造の破壊につながり、これでは不良品のシリコン材料が生じるからである。
【0006】
アルミニウム冶金において、特に低圧アルミニウム鋳造においては、鉄合金または溶融シリカでできたライザー管が使用される。650〜800℃の範囲の温度での非常に腐食性のアルミニウム融液に起因して、これらのライザー管は、液状アルミニウムによるこれらの材料の過度に急速な腐食を回避するために、定期的な間隔で耐熱性の酸化物または窒化物でコーティングされる必要がある。鉄合金の場合は、腐食メカニズムは溶解メカニズムであるが、溶融シリカの場合は、二酸化ケイ素は、反応式:
3 SiO + 4 Al −−> 2 Al + 3 Si
に従って、溶解したアルミニウムと反応する。
【0007】
接着性の反応生成物および融液残渣が溶融シリカライザー管上で形成され、そしてライザー管と腐食生成物との間の異なる膨張係数がライザー管の過早の不具合を導く。この場合、有機バインダーを含有する泥漿から浸漬、ブラッシングまたは噴霧によって設けられた酸化アルミニウムまたは窒化ホウ素のコーティングが通常は使用される。しかしながら、熱い融液および浮遊するスラグによる腐食性攻撃および機械的な攻撃の複合の結果として、このようなコーティングの寿命は数時間または数日に限られる。アルミニウム融液による腐食作用に対して完全に不活性である窒化ケイ素セラミックでできたライザー管も、鉄合金または溶融シリカでできたコーティングされたライザー管の代替物として使用される。しかしながら、これらの窒化ケイ素チューブの費用は、コーティングを有する標準的なライザー管の数倍である。
【0008】
(先行技術)
溶融シリカ、グラファイトまたはセラミックでできた、そして溶解用るつぼが固化しつつある非鉄金属融液、例えばシリコン融液と接触した後の溶解用るつぼと非鉄金属との間の固着を回避するための窒化ケイ素層を備える溶解用るつぼは、特許文献1から公知である。この文献では、その層は高純度窒化ケイ素粉末を含む。これらの粉末コーティングは、溶解用るつぼの使用の前に使用者によって直接塗布され、高純度窒化ケイ素粉末を溶媒中に分散させることにより製造され、次いで例えば、その懸濁物の噴霧によってその懸濁物がるつぼに塗布される。使用される溶媒およびいずれの有機バインダー構成要素も、熱的な後処理によって除去される必要がある。
【0009】
高純度窒化ケイ素自体は、シリコン融液に対して非常に化学的耐性であることが見出されている。しかしながら、融液の重量だけで、多孔性の窒化ケイ素粉末層の強制的な湿潤または浸潤につながる。それゆえ、高純度窒化ケイ素は、それが全体としては浸潤され得ず、かつそれゆえ依然として剥離層または離型層として作用することができるような厚さを有しなければならない。しかしながら、このような厚い層は、今度はそれに対応して軟らかく、かつ特に耐摩耗性ではなく、その結果、長い運搬経路または直ちに使用できるコーティングされたるつぼの発送は言うまでもなく、そのるつぼに投入するときにも特別の注意をする必要がある。
【0010】
従って、太陽電池用シリコンの分野で使用するためのこれらの従来のるつぼコーティングは、そのコーティングが低い機械的安定性を有するという不都合を有し、そのためコーティングは、いつでも、るつぼにシリコン粉末、チップまたは片を投入する直前に実施される必要がある。従って、使用時に直接ではなく、前もってのるつぼのコーティングは不可能である。さらに、軟らかい粉末コーティングのため、るつぼに大片の材料を投入するときには、層への損傷を回避するために、極度の注意が払われなければならない。加えて、溶解したシリコンによる多孔性の窒化ケイ素粉末層の浸潤のため、望ましくないこびりついた残渣が発生する。シリコンインゴットへの窒化ケイ素の導入も同様に発生する。
【0011】
これらの問題を緩和するために、特許文献2は、80〜95重量%の窒化ケイ素および5〜20重量%の低温無機物バインダーを含み、かつ全酸素含量が5〜15重量%の範囲にあるコーティングを有する溶解用るつぼを提案する。この低温バインダーは、SiOベースのバインダーであることが好ましいが、ケイ素酸窒化物を使用することも可能である。しかしながら、この低温無機物バインダーは、ケイ素化学に基づくゾル−ゲルバインダーまたは有機金属化合物であってもよいし、SiOナノ粒子を含んでもよい。このコーティングは、その窒化ケイ素の酸化を低く保つために、800℃未満、好ましくは500℃未満の温度で焼成される。この目的のために、3つの好ましいコーティング方法が記載されている。
【0012】
第1の方法(反応性層)では、窒化ケイ素粉末ならびにシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラエトキシシラン、ポリジメチルシランまたはこれらの組合せからなる群からのシリコン化学の有機金属化合物が混合され、その後るつぼは、塩化アンモニウム、アンモニアおよび硝酸塩溶液からなる族からの反応性液体を用いてこの混合物を噴霧される。次いで、付与されたコーティングを有するるつぼは、このコーティングを安定化させるために、500℃未満の温度まで加熱される。
【0013】
第2の方法(バインダー溶液)では、窒化ケイ素粉末はシリコーンオイル、シロキサン、クロロシランまたはこれらの組合せからなる群からのSiOベースのバインダーと混合され、その後にこの混合物は、酸(塩酸、硝酸、ケイ酸、四塩化ケイ素または別の適切な酸)からなる族からの反応性液体を用いて噴霧される。次いで、コーティングされたるつぼは、反応液体を除去するために500℃未満の温度に加熱される。
【0014】
第3の方法(飽和溶液および沈殿)では、窒化ケイ素粉末は、SiOサブミクロン粒子および/またはSiOナノ粒子、好ましくはコロイド状のSiOと混合され、その後にこの混合物は、熱反応または適切な中和剤を使用する化学反応によって、るつぼ表面上で強化される。次いで、コーティングされたるつぼは、好ましくは使用前に500℃未満の温度に加熱される。
【0015】
特許文献3は、窒化ケイ素と、耐久性のある硬質コーティングを製造するためのバインダーであって、ゾル−ゲルプロセスによって調製されたナノサイズの固体粒子および/またはその前駆体を含むバインダーとを含む泥漿を記載する。それから製造することができる層は不浸透性であり、良好な接着強度を有するが、この方法により約180μmの最大の層の厚さまでの無欠陥のコーティングを付与することが可能であるにすぎない。
【0016】
特許文献2および特許文献3に記載されるコーティング方法では、SiOのゾルまたはセラミック前駆体(例えば塩または有機金属化合物)は、(例えば酸、塩基または水によって)活性化されて、または活性化されないままで使用される。しかしながら、これらのコーティング剤は、不可避的にコーティング中の欠陥の形成を導くことが見出された。
【0017】
浸漬、流し込みまたは湿時湿式噴霧(Nass−in−Nass−Spruehen)によるこれらのコーティングの付与において、クラックまたは他の欠陥を形成させずに180μmを超える層の厚さを付与することは不可能である。しかしながら、高い層の厚さを有する無欠陥のコーティングは工業規模でるつぼをコーティングするためには非常に重要である。なぜなら、そのるつぼの表面は特定の粗さを有し、その表面は、相対的に高い点においてでさえ特定の最小厚さによってコーティングされる必要があるからである。より高い層の厚さは、大きいるつぼのコーティングについても必要とされる。
【0018】
粉末の付与(噴霧を用いるコーティング)も、全体としてはこれらの不都合を回避することはできない。加えて、このような粉末の付与は、バインダーおよび細孔分布という点に関するその層の不均一性(従って強度の低下)、ならびにインゴットの溶解の間の後のプロセスにおける窒化ケイ素の汚染という不都合が伴う(特許文献1にあるとおり)。
【0019】
加えて、工業的な製造のプロセス条件の下でこの種類の低温バインダーを使用する場合は、焼成されたコーティング中のバインダー濃度は、再現性よく設定できない。なぜなら、そのバインダーは温度、大気中の湿度および貯蔵時間に応じて合成の間絶えず変化し、そしてその特性は、乾燥速度、大気中の湿度および常温に応じて、窒化ケイ素層の付与中および付与後に絶えず変化するからである。バインダーにおけるこれらの変化は、加水分解および縮合反応に起因すると考えることができる。
【0020】
この種の系が合成直前もしくは付与中に混合されるかまたは活性化される場合(特許文献2に記載されるように、特に最初の2つの好ましいコーティング方法の場合)は、この種の系は制御することが著しくより困難になる。なぜなら、低分子量前駆体または縮合物のバインダー反応性、結合、収縮、基体の中への拡散または蒸発という点に関する再現性のある挙動は、それらの成分の高い反応性のため、制御することはできないからである。
【0021】
低温バインダーの場合は、バインダー(ゾル−ゲル、塩、SiOの前駆体、中間体)の拡散は、その多孔性の基体の中へも拡散することができ、このバインダーの低分子量成分は、乾燥の間に揮発する可能性があり、その結果、その層の組成物は、制御できない形でバインダー中では欠失された状態になる。るつぼに対する接触面においてコーティングがバインダーを欠失することは、特にそのコーティングの焼成の間またはインゴット生産のプロセスの間の、チップ化の増加につながる。
【0022】
コーティング中に発生する層の欠陥、例えばその層の表面に垂直なクラック、および特にチップ化は、インゴット生産の間に、シリコンがるつぼ材料に接着するということを生じ得る。チップ化(るつぼ材料を含むこともありうる全深さにいたるそのコーティングの薄片の剥離)は、コーティングと基体との間の接触域の領域における、そのコーティングの局所的な剥離につながるクラックから生じる。結果として、るつぼの壁への金属融液の接着は、そのるつぼが使用されるときに起こる可能性がある。この接着は、金属融液がそのコーティングの下に入り込むと、増大する可能性がある。るつぼ材料上の接着性シリコンが、特に、そのるつぼの中のシリコンが液体である間のプロセス相の間、形成される。接着性材料の量が多いほど、または接着性材料の領域がより多いほど、固化の間にインゴット中にクラックが形成されるであろうという危険は高く、これは太陽電池生産用に使用できるシリコンの収量を減少させる。
【0023】
例えば、窒化ケイ素粉末の表面活性は、製造業者に関係なくバッチごとに著しく異なる可能性があることが見出された。これらの差異は、低温バインダー(例えばイノマット(Inomat)からのバインダー、TEOSなど)との混合の前のその粉末の熱処理によってある程度までは一様にすることはできるが、その粉末から製造される窒化ケイ素含有層の所望の特性がもはや互いに異ならないような程度までは一様にすることはできない。
【0024】
上述の不都合に加えて、前駆体および反応性基が特許文献2および特許文献3にあるコーティング懸濁物の中に存在するため、労働衛生という点に関する不都合がある。例えば、特許文献2で使用される呼吸の際に吸い込まれやすいTEOSは揮発性の刺激性成分であり、SiOナノ粒子、SiOナノ粒子の前駆体、または特許文献2および特許文献3で使用されるSiO含有有機金属化合物から構成される低分子量の高分子構造体などのバインダー成分は同様に呼吸の際に吸い込まれやすく、特に噴霧による付与の間に吸い込まれるかまたは接触される可能性がある。吸引に加えて、EN 404に準拠するフィルター付きハーフマスク(filtrierende Halbmaske) FFAP2ならびに身体防護具としての少なくとも手袋および保護メガネが(例えば、特許文献2の実施例1bに記載されるコーティング懸濁物の加工の間の)労働衛生手段として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】欧州特許第963 464(B1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/039310(A1)号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2005 050 593(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
それゆえ、先行技術において公知の不都合を有することなく太陽電池用シリコン加工の分野での応用に特に適している、耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための泥漿を提供することが本発明の目的である。この泥漿は、特に、より高い層の厚さおよび改善された接着強度を有する無欠陥のコーティングを得ることを可能にするものであるべきである。加えて、アルミニウム冶金において応用するための耐久性がありかつ安価なコーティングが提供されるべきであり、特に、ライザー管についての動作寿命が向上されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上述の目的は、請求項1に係る耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための泥漿、請求項13に係る耐久性のある強固に接着する剥離層を有する基体を含む成形体、請求項24に係るこのような成形体を製造するためのプロセス、および請求項27から請求項29に係るこのような成形体の使用によって成し遂げられる。本特許出願の主題の有利なまたは特に有用な実施形態は、従属請求項に示される。
【0028】
従って、本発明は、固体粒子の懸濁物を含む、耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための泥漿であって、この固体粒子は、67−95重量%の窒化ケイ素および5−33重量%のSiOベースの高温バインダーを含み、このSiOベースの高温バインダーはSiO前駆体から誘導され、かつ300−1300℃の温度範囲での熱処理によって前処理されたものである、泥漿を提供する。
【0029】
本発明はさらに、耐久性のある強固に接着する剥離層を有する基体を含む成形体であって、この剥離層は67−95重量%の窒化ケイ素および5−33重量%のSiOベースの高温バインダーを含み、かつ5−21重量%の全酸素含量を有し、かつ当該成形体はa)基体を準備する工程と、b)本発明に係る泥漿をその基体に付与する工程と、c)耐久性のある強固に接着する剥離層を形成するために、高められた温度で焼成することによりこの付与された泥漿を硬化させる工程とを含むプロセスによって得ることができるものである、成形体を提供する。
【0030】
本発明はさらに、腐食性非鉄金属融液の分野における本発明に係る成形体の使用、特にシリコン融液を製造するための溶解用るつぼの形態での成形体の使用、およびアルミニウム冶金、特に低圧アルミニウム鋳造におけるライザー管の形態での成形体の使用を提供する。
【0031】
驚くべきことに、よく接着しかつ粉末状になりにくい特に高密度の、無欠陥の層が本発明の泥漿を用いて付与できるということが見出された。窒化ケイ素によるインゴットの汚染は極度に低い。欧州特許第963 464(B1)号明細書および国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットに係る微粉コーティングと比べて、本発明に係るコーティングの場合は、窒化ケイ素によるSiインゴットの汚染は著しく低い。
【0032】
本発明に係る層は、最大3mmの特に高い層の厚さで耐久的にかつ熱的に安定に基体表面に結合できるということが見出された。この層は、接触に対する耐久性があり、かつ粉末状になりにくい。
【0033】
これらの層における結合効果は、主に、焼成の間の窒化ケイ素のわずかの酸化が剥離層における結合を強化するという熱処理されたSiOベースのバインダーの結合作用に起因する。本発明に係るコーティングの場合は、用いられる焼成温度における空気中での窒化ケイ素の酸化を、同一のプロセス条件下での欧州特許第963 464(B1)号明細書に係るバインダーを含まないシリコン窒化物コーティングと比べて、著しく減少させることができ、酸化された窒化ケイ素の割合は20−50%だけ減少させることができるということが見出された。
【0034】
本発明の泥漿は、浸漬、流し込み(Flut)および湿時湿式噴霧の好ましい付与方法によって付与することができる。噴霧(粉末の付与)の場合よりも均一かつ高密度の層を付与することができるため、これらの方法は好ましい。これらの付与方法は、焼成されたコーティングの細孔径がより小さく、かつ粉末技術によって付与された層に比べて、接着強度、耐衝撃性および耐スリキズ性が向上するということをもたらす。その層は、接触に対する耐久性をもつようになり、運搬に対して安定になり、そしてその層の構成成分によるインゴットの汚染は著しく減少する。
【0035】
この泥漿は貯蔵安定性があり、水を懸濁媒体として使用して製造することもでき、このことは、運搬および加工にとって有利である。なぜなら、その場合は危険な貨物を運搬する必要はなく、基体をコーティングするために可燃性物質を用いる必要はないからである。
【0036】
欧州特許第963 464(B1)号明細書および国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットに記載される層と比べて、本発明に係る層は、るつぼ材料上でより良好な接着強度を呈し、これらの従来の層とは異なって、それらは粉末状になりにくい。加えて、本発明の泥漿によって、欧州特許第963 464(B1)号明細書および国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットに記載のものよりも高密度の層、すなわち大きい孔を有しない層が製造できる。
【0037】
本発明のコーティング懸濁物では、熱処理されたSiOベースの高温バインダーは、ナノ分散相として、またはゾルとして、またはセラミック前駆体として、またはこれらの混合物(前駆体、単量体、単量体または重縮合物のフラクタル集積物)としては存在しないが、分散したSiO固体として、または窒化ケイ素に接着するSiO固体として存在する。
【0038】
このSiO固体は、その特性という点に関してはもともとのゾルとは著しく異なる。焼結活性は低下しており、その結果、低温バインダーを含有する先行技術から公知のコーティング(国際公開第2007/039310(A1)号パンフレット、独国特許出願公開第10 2005 050 593(A1)号明細書)とは対照的に、そのバインダーの顕著な焼結および収縮は起こらない。これは、そのコーティングの中により低い応力しか生じず、その結果、著しく少ない欠陥(例えば、チップ化(るつぼ材料を含むこともありうる全深さにいたるそのコーティングの薄片の剥離)またはクラックおよび微小クラックまたは全体的なクラックのネットワークの形成でさえも)しか、その基体表面の中またはコーティングの中に(コーティング後および焼成後の両方において、ならびにプロセス中に)形成されない。
【0039】
このようにして製造される層の場合、基体へのその層の接着は、本発明に係る条件の範囲内でのその層の中のバインダー濃度に依存するが(特に重要な要因は、バインダー濃度に応じて変わるバインダーの過早赤熱温度およびそのコーティングの焼成温度である)、驚くべきことに、その層の凝集よりも強い。そのバインダーの低下した焼結活性にもかかわらず、基体へのその層の接着は非常に良好であるということも驚くべきことである。この知見は新規であり、そしてこの知見によって、特に高い層の厚さおよび基体に対する良好な接着強度を有する微粉でない無欠陥の層を付与および焼成することが可能になる。
【0040】
良好な層特性は優れたプロセスに関連する特性につながる。この微粉でない層に起因して、シリコンインゴットの汚染はまったくないか、または多くても非常に低い汚染しかなく、ほとんどは衝撃の影響を受けず、そしてそのコーティングされたるつぼに小片を問題なく投入することが可能になる。さらに、大きなるつぼ(「巨大るつぼ」)のコーティングも可能であり、るつぼ材料に対するそのコーティングの接着はインゴット製造のプロセス温度範囲全体において優れている。特に、当該コーティングは、そのコーティングにおけるチップ化、クラックおよび不均一性などの欠陥が、そのコーティングされたるつぼの使用の間は著しく減少するという利点を有する。これは、インゴット製造業者によって集められたデータ、例えばインゴット中のクラックの数および異質な含有物の量によって証明される。とりわけ、これらのデータは太陽電池生産用の使用できるシリコンの収量についての情報を与える。本発明に係る泥漿の使用によって、連続生産におけるインゴット中のクラックの数が、微粉状窒化ケイ素層の製造において通常のレベルより低いレベルまで減少することが可能になり、そしてこれは、インゴット1つあたりのクラックのより狭い数分布にある。含有物の数もまた減少した。インゴット生産の間の収量およびプロセス安定性は増加した。
【0041】
当該コーティング中の不均一性または欠陥が付与または焼成の間形成されなかったとしても、従来のるつぼに投入する間、または塊の多いシリコンの溶解の間、当該コーティングに対する損傷が起こる可能性がある。欧州特許第963464(B1)号明細書および国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットに係るコーティングの場合の、層のより低い強度または基体へのより低い接着に起因して、衝撃、せん断、スリキズまたは摩擦応力に起因する層の剥離は高く、もしあれば薄い残留層が残る。本発明に係る層は、投入する間の機械的応力によっては、損傷を受けないか、または著しく少ない程度までしか損傷を受けない。とはいうものの層の剥離が起こる場合には、本発明に係る層の場合はこれは著しく低く、そのため、その層のバリアまたは剥離作用および機能は維持される。
【0042】
本発明によれば好ましい流し込みを用いて単純化された付与は、基体材料への当該コーティングの付与のための時間を著しく減少させる。690×690mmのベース面積および690×400mmの壁面積を有する標準的な太陽電池用るつぼ上に先行技術に係る微粉層を製造するための噴霧による付与には、典型的には20−50分間かかる。本発明のコーティング懸濁物を使用する流し込みによる付与には、約5−10分間かかる。標準的なるつぼに対して典型的には10−15分間かかる噴霧を用いた付与を加速することが、同様に可能である。加えて、湿時湿式噴霧により、市販のロボット施釉機を使用することが可能になる。
【0043】
本発明は図面を用いて例証される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】テープ試験の結果を示す。
【図2a】粉末コーティングによって付与されなかった本発明に係る層を概略的に示す。
【図2b】粉末コーティングによって付与された先行技術に係る層を概略的に示す。
【図2c】チップ化を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明に従って使用されるSiOベースの高温バインダーはSiO前駆体から誘導され、300−1300℃の温度範囲での熱処理によって前処理された。本発明の目的については、SiO前駆体は、熱処理の結果としてSiOを形成することができる材料である。
【0046】
このSiOベースの高温バインダーは、ゾル−ゲルプロセスによって調製された有機ケイ素SiO前駆体から誘導されることが好ましく、ゾル−ゲルプロセスによって調製された有機ケイ素SiO前駆体を含みかつナノサイズの固体粒子を含有するナノコンポジットからから誘導されることがより好ましい。これらのSiO前駆体またはSiO前駆体を含有するナノコンポジットは、次に、300−1300℃の温度範囲での熱処理によって、当該SiOベースの高温バインダーへと変換される。
【0047】
このナノサイズの固体粒子は、好ましくはSiO、TiO、ZrO、Al、AlOOH、Y、CeO、炭素および/またはBNから、またはゾル−ゲルプロセスによってこれらの固体粒子へと変換されるこれらのナノサイズの固体粒子の前駆体から選択される。この固体粒子は、特に好ましくはSiO粒子である。
【0048】
本発明に従って好ましく使用されるナノコンポジットおよびゾル−ゲルプロセスによるそれらの調製は、先行技術、特に独国特許出願公開第103 26 815(A1)号明細書から公知である。この場合、1500未満の分子量を有する表面改質剤、特に無水物基、酸アミド基、アミノ基、SiOH基、シランの加水分解性ラジカルおよび/またはβ−ジカルボニル基を含有する表面改質剤によって表面改質されたナノサイズの固体粒子が好ましい。
【0049】
好ましい実施形態によれば、このようなナノコンポジットは、ナノサイズの固体粒子と1以上の一般式(I)のシラン:
SiA(4−x) (I)
(式中、ラジカルAは同一であるかまたは異なり、かつヒドロキシル基または加水分解性基であり、ラジカルRは同一であるかまたは異なり、かつ非加水分解性基であり、xは0、1、2または3であり、このシランの少なくとも50mol%は1以上のxを有する)との反応によるゾル−ゲルプロセスによって得ることができる。x=0を有する式(I)のシランのみが使用される場合、純粋に無機ナノコンポジットが得られるが、そうでなければ好ましい有機−無機ナノコンポジットが得られる。これらのナノコンポジットは、300−1300℃の温度範囲での熱処理により、当該SiOベースの高温バインダーへと変換される。
【0050】
別の実施形態では、当該SiOベースの高温バインダーは、1以上の上記の一般式(I)のシランの反応によるゾル−ゲルプロセスおよび得られた反応生成物の300−1300℃の温度範囲での熱処理によって得ることができる。
【0051】
上記の一般式(I)のシランの適切な例は、同様に、独国特許出願公開第103 26 815(A1)号明細書に与えられる。特に、高純度窒化ケイ素粉末が分散されているアルコール系SiO形成ゾルがSiO前駆体として使用される。高純度の出発化学物質(窒化ケイ素粉末、シラン、アルコールなど)の使用が好ましい。なぜなら、このことによって、特に太陽産業の要求を満たす非常に高純度の層を得ることが可能になるからである。
【0052】
本発明に従って使用されるSiOベースの高温バインダーは、300−1300℃、好ましくは700−1150℃、より好ましくは800−1050℃の温度範囲での熱処理によって前処理され、そして結果として調整された焼結活性、すなわち低下した焼結活性を有するSiOベースのバインダーである。
【0053】
本発明の泥漿は、好ましくは75−90重量%の窒化ケイ素および10−25重量%の当該SiOベースの高温バインダー、より好ましくは80−88重量%の窒化ケイ素および12−20重量%の当該SiOベースの高温バインダーを含む固体粒子の懸濁物である。
【0054】
顆粒として存在するSiOベースの高温バインダーも好ましい。より好ましくは、窒化ケイ素および当該SiOベースの高温バインダーはともに混合顆粒として存在する。
【0055】
本発明に係る成形体の場合は、当該剥離層は5−21重量%の全酸素含量を有する。この酸素含量は、実質的に当該SiOベースのバインダーによってその剥離層の中に導入される。この全酸素含量が5重量%未満である場合、特にこの窒化ケイ素含有コーティングの機械的特性、例えば接着強度、耐衝撃性、耐摩耗性および耐スリキズ性は著しく低下する。基体への結合は低下し、凝集力と比べてより高い接着力の効果は低下する。特に、良好な機械的特性を達成するためには、この全酸素含量が6−18重量%、より好ましくは7−15重量%であることが有利である。他方、この全酸素含量が21重量%を超えると、当該窒化ケイ素含有コーティングと接触するようになる非鉄金属融液がこの融液の中への酸素の溶解によって汚染され、この非鉄金属融液に対する当該コーティングの剥離作用が減少するという危険がある。
【0056】
さらに、多層として当該剥離層を構成して、その場合基体から離れた最外層が上記の組成物を有し、かつ21重量%以下、好ましくは12重量%以下の全酸素含量を有することが可能である。1つの実施形態では、この剥離層は、この基体に付与されかつ27重量%以下、好ましくは16重量%以下の全酸素含量を有する第1の層と、この第1の層の上に置かれかつ21重量%以下、好ましくは12重量%以下の全酸素含量を有する上記の組成物を有する第2の層とを備える二重層として構成される。この二重コーティングでは、この第1の層は結合層として作用し、最上層よりも高い強度を有する。とはいうものの、この上側層への損傷が発生する場合は、金属融液とるつぼとの接触は、いずれの場合もこの下側層によって防止される。加えて、下側層の熱膨張係数は最上層の熱膨張係数よりも低く、その結果、熱膨張という点に関するるつぼ材料に対するこのコーティングのより良好な適合が、これにより成し遂げられる。これは、突然の温度変化を有するプロセスにおいては有利である。さらなる勾配を成し遂げるための多層も同様に可能であるが、この上側層および下側層についての制約は維持される。
【0057】
本発明の成形体の基体は、石英、グラファイト、セラミック(窒化ケイ素セラミックを含む)、SiO(溶融シリカ)または鉄合金または繊維マットまたは織布を含むことが適切である。好ましい実施形態では、この成形体は、石英、グラファイト、セラミックまたはSiO(溶融シリカ)から構成される基体を有する溶解用るつぼであり、腐食性非鉄金属融液、特にシリコン融液の加工に適している。
【0058】
別の実施形態では、この成形体は、SiO(溶融シリカ)または鉄合金または高強度もしくは耐熱性の金属合金から構成される基体を有する、アルミニウム冶金用のライザー管である。
【0059】
本発明の成形体の剥離層は、好ましくは、80−3000μm、より好ましくは150−2000μm、さらにより好ましくは200−500μmの厚さを有する。
【0060】
本発明の成形体は、以下の、
a)基体を準備する工程と、
b)本発明に係る泥漿をこの基体へと付与する工程と、
c)耐久性のある強固に接着するバリア層を形成するために、高められた温度で焼成することによりこの付与された泥漿を硬化させる工程と
を含むプロセスによって得ることができる。
【0061】
非金属製の基体の場合は、工程c)における焼成は、700−1300℃、好ましくは1000−1225℃、より好ましくは1050−1200℃、さらにより好ましくは1075−1175℃、特に好ましくは1100−1150℃の温度で実施される。
【0062】
金属製の基体が使用される場合、工程c)における焼成は、500−1000℃、好ましくは600−900℃、特に好ましくは700−850℃の温度で実施される。金属製の基体の場合は、当該成形体の使用の間のその場での焼成が特に好ましい。
【0063】
本発明の泥漿の製造も統合されている好ましい全体のプロセスは、以下の工程を含む:
1)当該SiOベースの高温バインダーの前駆体を、好ましくは窒化ケイ素粉末と、必要に応じて助剤と一緒に混合して、中間体1を得る工程、
2)中間体1を造粒して、顆粒を中間体2として得る工程、
3)この中間体2を熱処理して、熱処理された顆粒を中間体3として得る工程、
4)この中間体3を粉砕して、粒径を設定する工程、
5)窒化ケイ素粉末がまだ使用されていない場合、または工程1)ですべてが使用されたわけではない場合は必要に応じて窒化ケイ素粉末を加えて、そしてまた必要に応じて、有機および無機バインダーを加えて、工程4)で得られた生成物を分散させて、懸濁物(泥漿)を中間体4として製造する工程、
6)この中間体4を基体に付与する工程、および
7)このコーティングを焼成することにより、本発明に係る成形体を製造する工程。
【0064】
工程1)および/または5)における窒化ケイ素粉末としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属含量がいずれの場合も1000ppm以下であり、かつフッ化物および塩化物含量がいずれの場合も2000ppm以下であり、全炭素含量が同様に2000ppm以下であり、かつ平均粒径d50が5μm以下である高純度粉末を使用することが好ましい。このような高純度窒化ケイ素粉末の酸素含量は、通常は1〜1.5重量%の範囲にある。
【0065】
工程1)における前駆体は、必要に応じて酸化ケイ素ナノ粒子を加えた、二酸化ケイ素または窒化ケイ素の前駆体、例えばケイ素の有機金属化合物または塩から構成される上述のナノコンポジットであることが好ましい。これらは、例えば湿式粉砕工程または他の混合装置において窒化ケイ素粉末と均一に混合されることが好ましい。
【0066】
工程1)における助剤は、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ワックスまたはエタノール可溶性ポリマーなどの有機化合物であってよい。
【0067】
工程2)における造粒する工程は、例えば、液体(例えば水または油)中での沈殿、または噴霧乾燥または他の造粒技術によって実施される。
【0068】
この中間体1を含む懸濁物は、顆粒(中間体2)を与えるために慣用的な造粒プロセスにおいて処理されて、この懸濁物は、適切な容器の中で乾燥され、塊の多い中間体2が製造される。この造粒は、好ましくは混合装置、例えばアイリッヒミキサー(Eirichmischer)の中で実施され、50μm〜数ミリメートルの範囲の顆粒サイズを有する顆粒が製造される。この造粒は、中間体1が不溶性であるかまたはほんのわずかにしか溶解しない(すなわち、一部のみ可溶である)液体中での沈殿によって行われることがより好ましく、そして沈殿した顆粒は、10μmから好ましくは数ミリメートルの範囲の顆粒サイズを有し、この造粒は、特に好ましくは噴霧乾燥または噴霧積層造粒(Sprueh−Aufbaugranulation)によって実施され、この顆粒サイズは数μm〜約150μmまたは20〜約500μmの範囲にある。
【0069】
300℃を超える温度での工程3)における顆粒の熱処理は、上記有機助剤の除去(バインダー除去)につながり、450℃〜1300℃の温度(赤熱)はその顆粒の強化につながる。
【0070】
このあと「バインダー除去」とも呼ばれることになる工程3)におけるこの有機助剤の除去は、空気中で、300℃−550℃、好ましくは350℃−500℃、特に好ましくは400℃−450℃の範囲の温度で行われる。バインダー除去は、るつぼ(例えば溶融シリカ)の中で、または好ましくは回転式加熱炉の中でバッチ式で実施することができる。
【0071】
工程3)では、バインダーが除去された顆粒が、好ましくは450℃−1300℃、より好ましくは450℃−1200℃、特に好ましくは750℃−1150℃の範囲で同様に赤熱される。焼成されたコーティングの最適の層特性を設定するためのその顆粒についての適切な赤熱温度は、その顆粒のバインダー含量に応じて設定されるべきである。異なる温度ですでに赤熱された顆粒の混合物の使用も、同様に可能である。
【0072】
原理上は、より高い焼成温度は、より高いバインダー含量に対して選択される。例えば、15重量%のバインダー含量を有する顆粒についての適切な赤熱温度は、500−1000℃、好ましくは600−900℃、特に好ましくは750−850℃である。例えば、24重量%という顆粒のバインダー含量では、その顆粒についての適切な赤熱温度は、600−1100℃、好ましくは700−1000℃、特に好ましくは850−950℃である。
【0073】
中間体3は、好ましくは窒化ケイ素と一緒での熱処理の結果として形成された本発明に係る高温バインダーを含有する。
【0074】
工程4)における当該顆粒を粉砕する工程は、粒径を、好ましくは30μm以下、より好ましくは1−15μm、さらにより好ましくは1.5−10μm、特に好ましくは2−8μmの平均粒径d50に設定するように作用する。
【0075】
工程4)における当該顆粒を粉砕する工程はまた、好ましくは二峰性の顆粒の粒度分布に導く。
【0076】
工程5)における分散させる工程は、有機または無機の溶媒、好ましくはアルコールおよび/または水の中で別々の工程において、または工程4)の粉砕の間に直接実施することができる。この場合、当該懸濁物の安定性または付与された層の圧粉体強度を増大させるために、無機または有機の添加剤、例えばPVB、PVA、PEG、ワックスまたはエタノール可溶性ポリマーを使用することが可能である。
【0077】
工程5)では、ゾル−ゲルプロセスによって調製されたナノサイズの固体粒子および/またはその前駆体、好ましくはSiO形成ナノ粒子もしくは窒化ケイ素形成ナノ粒子またはその前駆体またはシリコン酸窒化物などのさらなる成分の中で混合することが同様に可能である。この加えられた粒子または前駆体から得られる泥漿のSiO含量の割合は、本発明に係るコーティングの特性が損なわれないために、3重量%以下であるべきである。
【0078】
泥漿の本発明に係る製造では、閉鎖系でのプロセス連鎖において揮発性の、刺激性または毒性の物質との接触またはそのような物質の吸い込みを最小限にするか、または排除することができる。例えば、造粒が噴霧乾燥機の中で行われる場合、環境およびヒトの汚染は、揮発性の成分が集められてそのプロセスへと再利用される下流の凝縮単位の使用によって最少化することができる。同じことは、後燃焼によって揮発性の成分を酸化するバインダー除去に当てはまる。国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットおよび独国特許出願公開第10 2005 050 593(A1)号明細書にあるプロセスとは異なり、本発明の好ましい窒化ケイ素含有の泥漿は刺激性成分または有害成分を含有せず、赤熱および造粒の結果として泥漿の中でかなり大きく、呼吸の際に吸い込まれやすくはなく、その結果、労働衛生の目的のためには、吸引が存在する場合の噴霧による層の付与のためにEN 149:2001に準拠した簡素なハーフマスク FFP2が推奨されるのみである。これは、自動化の程度が低い場合であってさえも、付与およびその後の取扱い(職員にとって最高の曝露時間を有する工程)の作業工程についての健康上の危険はまったくないか、または低い危険しか存在しないということを意味する。
【0079】
工程6)における調製された懸濁物を付与する工程は、無機基体(例えば溶融シリカ)の上での噴霧(好ましくは湿時湿式)、または流し込みなどの慣用的なコーティング方法を使用して実施される。付与後、このコーティングは、空気中で乾燥してよい。
【0080】
工程7)におけるコーティングされた成形体の製造は、高められた温度でそのコーティングを焼成することにより実施される。非金属製の基体の場合は、これは700℃〜1300℃、好ましくは1000℃−1225℃、より好ましくは1050℃−1200℃、より好ましくは1075℃−1175℃、特に好ましくは1100−1150℃の温度で実施され、金属製の基体の場合は、これは500−1000℃、好ましくは600−900℃、特に好ましくは700−850℃の温度で実施され、いずれの場合も好ましくは8時間の加熱および冷却時間、ならびに空気の下、または還元性雰囲気もしくは不活性雰囲気中または気体の圧力、例えば窒素またはアルゴンの下における、好ましくは1時間の最高温度での保持時間が用いられることがいずれの場合も好ましい。還元性雰囲気下、例えば還元性雰囲気または低酸素分圧を有するガス燃焼による加熱炉の中での当該コーティングの焼成が好ましい。なぜなら、その場合は、そのコーティング中の窒化ケイ素はあまり強くは酸化されないからである。
【0081】
Al冶金のための基体をコーティングするために当該泥漿が使用される場合、使用される窒化ケイ素粉末は、太陽電池用シリコンの溶解のための純度よりも低い純度のものであってもよい。
【0082】
流し込みによって付与するためのコーティング懸濁物の固形分含量は、適切に、40〜65重量%であり、湿時湿式噴霧による付与については35〜55重量%である。
【0083】
耐久性のある強固に接着する剥離層を有する本発明の成形体は、腐食性の非鉄金属融液、例えばアルミニウム、シリコンなどの融液の分野における使用に適している。溶解用るつぼの形態における成形体は、特に、シリコン融液を製造するため、液状シリコンを収容するため、およびシリコン塊を形成するために液状シリコンを結晶化させるために適している。
【0084】
ライザー管の形態の成形体は、特にアルミニウム冶金において、さらに特に好ましくは低圧アルミニウム鋳造に適している。
【実施例】
【0085】
実施例および比較例では、示した層の厚さは、焼成後の乾燥時の層の厚さに基づいている。
【0086】
テープ試験:
このテープ試験は、明確な方法でコーティングされた1000mmの試験片面積上での接着剤テープ(Tesa 4651)の繰り返しの貼り付けおよび引き剥がしによって実施する。この接着剤テープは、試験片表面に対して90°の角度で引き剥がされる。当該コーティングについての試験は、基体材料の最初の領域がもはやコーティングによって覆われていなくなるまで、または試験を15回繰り返した後まで実施した。この接着剤テープの各引き剥がしの後、この試験片の重量減少を測定した。この引き剥がし試験の反復回数を重量減少に対してグラフにプロットした(図1)。
【0087】
微粉層および/または粉末として付与したコーティングの場合のように、この層の強度が減少するにつれて、測定できる材料の除去はより大きく(重量減少)、そして、より多くのコーティング材料が融液の中へと導入されるであろうという危険はより高く、より多くのコーティング材料が機械的応力の下で取り除かれるであろうし、そしてその層はより速く消費されるであろうし、その結果、剥離作用はもはや存在しないであろうという危険はより高い。
【0088】
引き剥がし試験(接着強度):
この接着強度は、コーティングされた試験片(接着剤結合の面積=500mm)の焼成されたコーティング上へと接着剤により結合したプレートを引き剥がすために必要とされる力を測定することにより決定した。このプレートは、高粘度のため、当該コーティングの中へはせいぜい50−80μmしか浸透しない二液型エポキシ樹脂接着剤を用いて、接着剤により結合した。その層の表面に垂直な接着強度を、N/mm単位で決定した。この引き剥がし試験後に破断面を検討し、破断がコーティングで起こったのか(凝集)、または基体への接触界面で起こったのか(接着)どうかについて評価した。試験したコーティングされた試験片の層の厚さは、250〜450μmの範囲であった。
【0089】
この引き剥がし試験は、基体への層の接着について、または凝集力を超える接着力の場合(上で示したように、これが望ましい効果である)はその層の強度についての情報を与える。
【0090】
比較例1:標準的な懸濁物
これは、欧州特許第963 464(B1)号明細書に記載されるようにして製造した、さらなる添加剤を含まない、蒸留水中の窒化ケイ素粉末(UBE E10)の懸濁物である。
【0091】
さらなる加工(ブラッシング、ローリング、噴霧)のためには、この懸濁物のレオロジーのみが非常に重要である。従って、固形分含量は、吹き付け器を用いる付与については、例えば30重量%に設定する。
【0092】
この懸濁物を、必要に応じていくつもの層として、清浄にした、埃を含まない乾燥した溶融シリカるつぼに、350μmの均一な層の厚さを生成するように付与する。乾燥後、このコーティングを焼成し、その後、900℃で溶解用るつぼとして使用する。
【0093】
得られた窒化ケイ素粉末コーティングは、気泡がなく、かつクラックのないものであるべきであり、他の欠陥も有しないべきである。このようにして製造される窒化ケイ素層は、接触に対する限られた耐久性しか有さず、これに対応して、慎重に取り扱われるべきである。Siの小片を投入する間のこのコーティングへの損傷を回避することが必要であるだけでなく、投入することは、Siの小片の滑りが溶解のあいだ回避されるように、溶解のあいだにその粉末層中に欠陥が生成しないように実施される必要もある。
【0094】
比較例2:標準的な懸濁物
エタノール中の50重量%の窒化ケイ素粉末(UBE E10)を均質にする。この懸濁物を、清浄にした、埃を含まない乾燥した溶融シリカるつぼへと付与する。流し込みを用いるこのるつぼのコーティングは、不可能である。なぜなら、150−200μmの層の厚さを超えると、乾燥中にそのコーティングの中にクラックが形成され、これはそのコーティングの焼成の前のコーティングの領域の剥離を導くからである。付与前のエタノールを用いたこのるつぼの湿潤化は、この効果を防止することができなかった。2%のPVA Celvol E 04/88(セラニーズ・エマルション社(Celanese Emulsions GmbH))をこのエタノール−窒化ケイ素懸濁物に加えた場合でさえ、流し込みまたは湿時湿式噴霧による付与の場合は250μmを超えるクラックのない層の厚さを成し遂げることはできなかった。
【0095】
比較例3:標準的な懸濁物
エタノール中の50重量%の窒化ケイ素粉末(UBE E10)を均質にする。この懸濁物を、清浄にした、埃を含まない乾燥した溶融シリカるつぼへと付与する。このコーティングを噴霧により付与した。約200μmを超える層の厚さのコーティングの中にはクラックが形成されるため、この懸濁物の湿時湿式噴霧は不可能であることが見出される。このコーティングを粉末形態で噴霧する。
【0096】
乾燥後、このコーティングを約1000℃で焼成し、その後、溶解用るつぼとして使用する。このようにして製造される窒化ケイ素層は、接触に対する限られた耐久性しか有さず、これに対応して、慎重に取り扱われるべきである。
【0097】
このコーティングの接着強度は0.21N/mmである。このテープ試験の結果を図1に示す。
【0098】
加えて、このコーティング懸濁物を、流し込みによって付与した。この場合、このコーティングは、乾燥または焼成の間に破断し、薄片状になって剥離する。それゆえ、この実施例では、接着強度は測定できなかった(表1を参照)。
【0099】
比較例4aおよび4b:
コーティング懸濁物を、国際公開第2007/039310(A1)号パンフレット、実施例1bに記載されるようにして製造した。このコーティングを微粉噴霧または湿時湿式噴霧によって付与し、500℃(4a)または750℃(4b)で焼成した。微粉噴霧の場合および湿時湿式噴霧の場合はともに、噴霧は、国際公開第2007/039310(A1)号パンフレットに示される反応性液体を用いて実施する。
【0100】
焼成後のコーティングは粉末状であり、接触に対する耐久性はない。微粉形態で噴霧されたこのコーティングの接着強度を表1に示す。このテープ試験の結果を図1に示す。
【0101】
湿時湿式噴霧によって付与したコーティングは、>80−150μmの層の厚さでは乾燥または焼成の間に破断し、剥離した。それゆえ、この場合は接着強度は測定できなかった。
【0102】
比較例5:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて930gのエタノール、150gの微粉化されたシリカ(HDK、ワッカー(Wacker))、474gの窒化ケイ素粉末(UBE E10)および16gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1を平らなPE容器の中へと注ぎ込み、防爆型の乾燥機の中で乾燥することによって、中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの塊の多い顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での900℃での熱処理によって赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて750gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は1μm未満である。流し込みによって、中間体4を約250μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0103】
焼成後のコーティングには、接触に対する耐久性はない。
【0104】
比較例6:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて650gのエタノール、150gの溶融シリカ(d50=2μm)、474gの窒化ケイ素粉末(UBE E10)および16gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1を平らなPE容器の中へと注ぎ込み、防爆型の乾燥機の中で乾燥することによって、中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの塊の多い顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での900℃での熱処理によって赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は2μmである。流し込みによって、中間体4を約350μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0105】
焼成後のコーティングは、接触に対する耐久性はない。
【0106】
実施例1:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて3000gのInosil S−B(イノマット社(Inomat GmbH)から入手したInosil等級 S−B 38:この市販のバインダーは有機ケイ素化合物、すなわちSiO前駆体、およびSiOナノ粒子の混合物である)、1000gのエタノール、4000gの窒化ケイ素粉末(UBE E10)および400gのPVB(ポリビニルブチラール BM 18、ワッカー(Wacker))を均質化することによって、中間体1を製造する。
【0107】
中間体1を平らなPE容器の中へと注ぎ込み、防爆型の乾燥機の中で乾燥することによって、中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの塊の多い顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の900℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中でSN粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は4μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約300μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0108】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0109】
実施例2:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて3000gのInosil S−B、1000gのエタノール、4000gのUBE E10および100gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の900℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5−6μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約300μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0110】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0111】
実施例3:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて3000gのInosil S−B、1000gのエタノール、4000gのUBE E10および100gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の900℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で75gのPEG 400および75gのPVBを加えて、粉砕メディアを用いて600gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5μmである。湿時湿式噴霧を用いて、中間体4を約350μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0112】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。
【0113】
このコーティングの接着強度を表1に示し、テープ試験の結果を図1に示す。このコーティングの密度は1.20g/cmである。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0114】
実施例4−7:
実施例2に記載するようにして実施例4〜7を製造したが、顆粒に対する赤熱温度および層に対する焼成温度は、表1に示すように変えた。
【0115】
これらのコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。これらのコーティングの接着強度を表1に示す。これらのコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0116】
実施例8:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて4500gのInosil S−B、4800gのUBE E10および160gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。
【0117】
中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の1000℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は6μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約300μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0118】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。実施例8についてのテープ試験の結果を図1に示す。このコーティングのバインダー含量は24重量%である。このコーティングの酸素含量は16.1重量%である。
【0119】
実施例9:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて3000gのInosil S−B、1000gのエタノール、4000gのUBE E10および100gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、るつぼの中での1時間の窒素雰囲気下での1000℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約300μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0120】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0121】
実施例10:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて3000gのInosil S−B、1000gのエタノール、4000gのUBE E10および100gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。
【0122】
中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の900℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて470gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約450μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0123】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0124】
実施例11:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて500gのエタノール、3000gのInosil S−B、4000gのUBE E10および300gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。激しく撹拌しながら中間体1を20lの蒸留水に滴下して、水中での中間体1の沈殿によって中間体2を製造する。その顆粒サイズは約1−3mmである。
【0125】
溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の1000℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約300μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて1125℃で焼成する。
【0126】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は20重量%である。
【0127】
実施例12:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて1200gのエタノール、2450gのInosil S−B、4580gのUBE E10および200gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の800℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は2.5μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約400μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて、空気中で1125℃で1時間焼成する。
【0128】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。
【0129】
このコーティングの接着強度を表1に示し、テープ試験の結果を図1に示す。このコーティングの密度は1.22g/cmである。このコーティングのバインダー含量は15重量%である。このコーティングの酸素含量は13重量%である。
【0130】
実施例13:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて1200gのエタノール、2450gのInosil S−B、4580gのUBE E10および200gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の900℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は5μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約350μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いてガス燃焼による加熱炉の中で1125℃で焼成する。
【0131】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。
【0132】
このコーティングの接着強度を表1に示し、テープ試験の結果を図1に示す。このコーティングのバインダー含量は15重量%である。このコーティングの酸素含量は11.3重量%である。
【0133】
実施例14:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて1200gのエタノール、2450gのInosil S−B、4580gのUBE E10および200gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、この顆粒を、蓋をしたるつぼの中での1時間の800℃での熱処理において赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて470gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は2.5μmである。流し込むことによって、中間体4を約2000μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて、空気中で1125℃で焼成する。
【0134】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は15重量%である。このコーティングの酸素含量は12.6重量%である。
【0135】
実施例15:
一組のローラー上でPE容器の中で窒化ケイ素粉砕メディアを用いて1200gのエタノール、2450gのInosil S−B、4580gのUBE E10および200gのPVBを均質化することによって、中間体1を製造する。中間体1の噴霧造粒によって中間体2を製造する。溶融シリカるつぼの中で、空気中、450℃で上記バインダーをこの顆粒材料から除去する。中間体3を製造するために、回転式チューブ加熱炉の中での、40分間の滞留時間での、窒素雰囲気下で900℃での熱処理において、この顆粒を赤熱する。PE容器の中で粉砕メディアを用いて500gのエタノールおよび750gの中間体3を粉砕して均質化し、中間体4を製造する。中間体4の平均粒径は6μmである。1回流し込むことによって、中間体4を約400μmの層の厚さで溶融シリカるつぼへと付与する。この層を空気中で24時間乾燥し、その後で8時間の加熱および冷却時間を用いて、ガス燃焼による加熱炉の中で1125℃で焼成する。
【0136】
このコーティングは無欠陥であり、かつ粉末状になりにくい。このコーティングのバインダー含量は15重量%である。このコーティングの酸素含量は9.1重量%である。
【0137】
図面についての詳細な説明
図1はテープ試験の結果を示す。
【0138】
図2aおよび図2bは、先行技術(欧州特許第963 464(B1)号明細書、国際公開第2007/039310(A1)号パンフレット)に係る微粉形態で付与された層(図2b)および微粉形態で付与されなかった本発明に係る層(図2a)の概略図の比較を示す。この微粉層は低い接着強度を有し、機械的応力の結果として欠陥が容易に発生しうる。加えて、例えば投入する間にるつぼの壁からまたはそのるつぼの底部から剥離した粉末残渣は、このプロセスの中の対流により融液の中へと導入される可能性があり、そのシリコンインゴットの汚染につながる可能性がある。高い多孔性および大きな孔の存在に起因するこの層の浸潤は、同じ効果を導く可能性がある。
【0139】
実施例1〜15は、図2aの中の描写に対応する層につながる。この場合、このコーティング懸濁物の中における顆粒化された窒化ケイ素の粉砕に対応する凝集体の微粉度は、0.2μm−30μm(一次および凝集体のサイズ)である。この孔のサイズは、典型的には、5μm未満、主には2μm未満である。
【0140】
図2bの描写に対応する層は、それらが微粉形態で付与される比較例1〜3ならびに比較例4aおよび4bにおいて形成される。微粉形態で噴霧されるコーティングにおける典型的な凝集体サイズは、以下のとおりである:
1−25μm(主に:一次凝集体、噴霧ミストからの液滴サイズ)
25−50μm(このサイズのいくつかの一次凝集体)
10−80μm(いくつかの凝集体の複合物)
50−400μm(多くの凝集体の複合物)。
【0141】
一次凝集体または凝集体複合物間の丸い〜シート状の孔の典型的サイズ:1−20μm(主に)。
【0142】
図2cは、チップ化の略図を示す。
【0143】
乾燥時の収縮またはバインダー濃度および密度の不均一性に起因して形成される可能性があるクラック(表面に垂直な半径方向のクラック)は、コーティングの中の層欠陥として発生する可能性がある。焼成の間に乾燥がさらに進むと、またはるつぼの使用中の収縮のさらなる進行の結果として、そのクラックはより大きくなる可能性があり、その後チップ化という結果になる可能性がある。
【0144】
コーティング中の応力がその基体からのコーティングの局所的な剥離を導くとき、例えば、バインダーの過度に高い収縮、その層の密度の比較的大きい不均一性(特に微粉噴霧コーティングの場合に起こる可能性があり、そして不均一な収縮につながる)、コーティング中のバインダー濃度の不均一性(基体の中への拡散から生じ、従って層の表面での高バインダー濃度および従って不均一な収縮につながる、ゾル−ゲルバインダーの欠失)、コーティングの中の欠陥(例えば散在する大きな孔(気泡)、クラック(例えば乾燥クラック)または例えばシリコンインゴットを投入する間に、またはまさに溶解しつつある塊の多いシリコンの再配向においてコーティングの中へと導入される欠陥)の場合、チップ化は起こる。
【0145】
チップ化効果が増加した程度に発生する層は、それらが湿時湿式噴霧または流し込みによって付与される比較例4aおよび4bで形成され、同様に、それらがこれらの付与方法により付与されかつ約180μmを超える層の厚さを有する独国特許出願公開第10 2005 050 593(A1)号明細書に記載されるコーティングの場合にも形成される。
【0146】
表1は引き剥がし試験の実験結果を示す。
【0147】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子の懸濁物を含む、耐久性のある強固に接着する剥離層を基体上に製造するための泥漿であって、前記固体粒子は、67−95重量%の窒化ケイ素および5−33重量%のSiOベースの高温バインダーを含み、前記SiOベースの高温バインダーはSiO前駆体から誘導され、かつ300−1300℃の温度範囲での熱処理によって前処理されたものである、泥漿。
【請求項2】
前記SiOベースの高温バインダーが、ゾル−ゲルプロセスによって調製された有機ケイ素SiO前駆体から誘導され、好ましくはゾル−ゲルプロセスによって調製された有機ケイ素SiO前駆体を含みかつナノサイズの固体粒子を含有するナノコンポジットから誘導される、請求項1に記載の泥漿。
【請求項3】
前記ナノサイズの固体粒子が、好ましくは、SiO、TiO、ZrO、Al、AlOOH、Y、CeO、炭素および/またはBNから、またはゾル−ゲルプロセスによってこれらの固体粒子へと変換されるこれらのナノサイズの固体粒子の前駆体から選択される、請求項2に記載の泥漿。
【請求項4】
前記ナノサイズの固体粒子がSiO粒子である、請求項2または請求項3に記載の泥漿。
【請求項5】
前記ナノサイズの固体粒子が、無水物基、酸アミド基、アミノ基、SiOH基、シランの加水分解性ラジカルおよび/またはβ−ジカルボニル基を含有する表面改質剤によって改質されている、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項6】
前記SiOベースの高温バインダーが、1以上の一般式(I)のシラン:
SiA(4−x) (I)
(式中、ラジカルAは同一であるかまたは異なり、かつヒドロキシル基または加水分解性基であり、ラジカルRは同一であるかまたは異なり、かつ非加水分解性基であり、xは0、1、2または3であり、前記シランの少なくとも50mol%は1以上のxを有する)
の反応によるゾル−ゲルプロセス、ならびに300−1300℃の温度範囲での得られた反応生成物の熱処理によって得ることができる、請求項1または請求項2に記載の泥漿。
【請求項7】
前記ナノコンポジットが、ナノサイズの固体粒子と、1以上の一般式(I)のシラン:
SiA(4−x) (I)
(式中、ラジカルAは同一であるかまたは異なり、かつヒドロキシル基または加水分解性基であり、ラジカルRは同一であるかまたは異なり、かつ非加水分解性基であり、xは0、1、2または3であり、前記シランの少なくとも50mol%は1以上のxを有する)
との反応によるゾル−ゲルプロセスによって得ることができる、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項8】
前記SiOベースの高温バインダーが、700−1150℃、好ましくは800−1050℃の温度範囲における熱処理によって前処理されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項9】
異なる温度で前処理されたSiOベースの高温バインダーの混合物が存在する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項10】
前記固体粒子が、75−90重量%の窒化ケイ素および10−25重量%の前記SiOベースの高温バインダー、好ましくは80−88重量%の窒化ケイ素および12−20重量%の前記SiOベースの高温バインダーを含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項11】
前記SiOベースの高温バインダーが顆粒として存在する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項12】
前記窒化ケイ素および前記SiOベースの高温バインダーが混合顆粒として存在する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の泥漿。
【請求項13】
耐久性のある強固に接着する剥離層を有する基体を含む成形体であって、前記剥離層は67−95重量%の窒化ケイ素および5−33重量%のSiOベースの高温バインダーを含み、かつ5−21重量%の全酸素含量を有し、かつ前記成形体は
a)基体を準備する工程と、
b)請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の泥漿を前記基体に付与する工程と、
c)耐久性のある強固に接着する剥離層を形成するために、高められた温度で焼成することにより付与された前記泥漿を硬化させる工程と
を含むプロセスによって得ることができるものである、成形体。
【請求項14】
前記剥離層が、75−90重量%の窒化ケイ素および10−25重量%の前記SiOベースの高温バインダー、好ましくは80−88重量%の窒化ケイ素および12−20重量%の前記SiOベースの高温バインダーを含む、請求項13に記載の成形体。
【請求項15】
前記剥離層が6−18重量%、好ましくは7−15重量%の全酸素含量を有する、請求項13または請求項14に記載の成形体。
【請求項16】
前記剥離層が、前記基体から離れた最外層が21重量%以下、好ましくは12重量%以下の全酸素含量を有する多層として構成されている、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項17】
前記剥離層が、前記基体へと付与されかつ27重量%以下、好ましくは16重量%以下の全酸素含量を有する第1の層と、前記第1の層の上に置かれかつ21重量%以下、好ましくは12重量%以下の全酸素含量を有する第2の層とを含む二重層として構成されている、請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項18】
前記基体が石英、グラファイト、セラミック、SiO(溶融シリカ)または鉄合金を含む、請求項13から請求項17のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項19】
非金属製の基体を含み、付与された前記泥漿を硬化させる工程が、700−1300℃、好ましくは1000−1225℃、より好ましくは1050−1200℃、さらにより好ましくは1075−1175℃、特に好ましくは1100−1150℃の温度における工程c)における焼成によって実施される、請求項13から請求項18のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項20】
金属製の基体を含み、付与された前記泥漿を硬化させる工程が、500−1000℃、好ましくは600−900℃、特に好ましくは700−850℃の温度における工程c)における焼成によって実施される、請求項13から請求項18のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項21】
石英、グラファイト、セラミックまたはSiO(溶融シリカ)から構成される基体を有する、腐食性非鉄金属融液用の溶解用るつぼである、請求項13から請求項19のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項22】
SiO(溶融シリカ)または鉄合金から構成される基体を有する、Al冶金用のライザー管である、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項23】
前記剥離層が、80−3000μm、好ましくは150−2000μm、より好ましくは200−500μmの厚さを有する、請求項13から請求項22のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項24】
請求項13から請求項23のいずれか1項に記載の成形体を製造するためのプロセスであって、
a)基体を準備する工程と、
b)請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の泥漿を前記基体へと付与する工程と、
c)前記耐久性のある強固に接着する剥離層を形成するために、高められた温度で焼成することにより、付与された前記泥漿を硬化させる工程と
を含むプロセス。
【請求項25】
非金属製の基体が工程a)で準備され、工程c)において、付与された前記泥漿を硬化させる工程が、700−1300℃、好ましくは1000−1225℃、より好ましくは1050−1200℃、さらにより好ましくは1075−1175℃、特に好ましくは1100−1150℃の温度における焼成により実施される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
金属製の基体が工程a)で準備され、工程c)において、付与された前記泥漿を硬化させる工程が、500−1000℃、好ましくは600−900℃、特に好ましくは700−850℃の温度における焼成により実施される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項27】
腐食性非鉄金属融液の分野における、請求項13から請求項23のいずれか1項に記載の成形体の使用。
【請求項28】
シリコン融液を製造するため、液状シリコンを収容するため、および/またはシリコン塊を形成するために液状シリコンを結晶化させるための、請求項21に記載の溶解用るつぼの使用。
【請求項29】
Al冶金、特に低圧Al鋳造における、請求項22に記載のライザー管の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【公表番号】特表2011−507981(P2011−507981A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532486(P2010−532486)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009322
【国際公開番号】WO2009/059756
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(505036009)イーエスケイ セラミクス ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (6)
【Fターム(参考)】