説明

弾性波フィルタ

【課題】通過周波数帯域内における損失を抑えながら、通過周波数帯域よりも低域側及び高域側の減衰量を大きくすること。
【解決手段】2つの縦結合共振子型のフィルタ部1、2を互いに直列に圧電基板20上に設けて、これらフィルタ部1、2の間に1ポート共振子30を直列及び並列に接続したラダー型フィルタ部3を介設すると共に、フィルタ部1、2に入力ポート15及び出力ポート16を夫々接続して、ラダー型フィルタ部3の直列共振子4の容量値をCs、並列共振子5の容量値をCpとすると、Cs/Cpを小さくして通過周波数帯域よりも高域側の減衰量を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦結合共振子型弾性波フィルタを縦続に接続した弾性波フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今においては、携帯電話や無線機器などの通信機器に利用される弾性波フィルタについて、例えば広帯域で低損失であることが要求されており、また通信機器毎に充てられる周波数帯域同士が互いに近接しているので、これら通信機器間における混信を避けるために、通過周波数帯域よりも低域側及び高域側における減衰量を大きくする(減衰レベルを良好にする)ことのできるフィルタが求められている。
【0003】
広帯域及び低損失のフィルタとしては、例えばタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムを圧電基板として用いた縦結合共振子型弾性表面波フィルタ(以下「縦結合共振子型フィルタ」と言う)が知られている。この縦結合共振子型フィルタは、複数例えば3つのIDT(インターディジタルトランスデューサー)電極を弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に並べると共に、これらIDT電極の両側に反射器を配置した構成となっており、0次モードと高次モードの共振モードとを利用して通過周波数帯域が設定される。
【0004】
この縦結合共振子型フィルタでは、通過周波数帯域よりも高域側における減衰量を大きくするために、例えば図9に示すように、縦結合共振子型フィルタ100を縦続に複数例えば2つ接続する場合がある。しかし、このように縦続に接続したフィルタであっても、図10に矢印で示すように、通過周波数帯域よりも高域側にコブ状のピークが形成されてしまう。
【0005】
特許文献1には、受信用フィルタの前段に、直列及び並列に弾性表面波共振器を1つずつ配置したフィルタが記載されているが、既述の課題については検討されていない。また、特許文献2には、互いに直列に接続した2つの縦結合共振子型フィルタ素子と、これらフィルタ素子の間に直列に介設された弾性表面波共振子と、を備えた弾性表面波装置が記載されている。このように弾性波共振子を設けることによって、図10の周波数特性に比べて、通過周波数帯域よりも高域側の減衰量を大きくできる可能性があるが、通過周波数帯域内において損失が生じてしまうおそれがあるし、また通過周波数帯域よりも低域側の減衰量については大きくすることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−349591(段落0032、図2)
【特許文献2】特開2004−312576(段落0085〜0086、図26)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、通過周波数帯域内における損失を抑えながら、通過周波数帯域よりも低域側及び高域側の減衰量を大きくできる弾性波フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性波フィルタは、
弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に配置された複数のIDT電極及びこれらIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた縦結合共振子型の第1のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部に対して直列に接続され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及びこれらIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた縦結合共振子型の第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部との間に直列に介設され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された1つのIDT電極及びこのIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた少なくとも2つの直列共振子と、
前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部との間に並列に介設され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された1つのIDT電極及びこのIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた並列共振子と、
前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部の一方における前記IDT電極に接続された入力ポートと、
前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部の他方における前記IDT電極に接続された出力ポートと、を備えたことを特徴とする。
前記並列共振子は、前記2つの直列共振子間に並列に接続されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つの縦結合共振子型のフィルタ部を互いに直列に圧電基板上に設けて、これらフィルタ部の間に共振子を直列及び並列に接続すると共に、前記フィルタ部の一方側及び他方側に入力ポート及び出力ポートを夫々接続しているので、通過周波数帯域内における損失を抑えながら、通過周波数帯域よりも低域側及び高域側の減衰量を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の弾性波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記フィルタが形成された基板の一例を示す模式図である。
【図3】従来のフィルタの構成例を示す平面図である。
【図4】前記従来のフィルタにおいて得られる周波数特性を示す特性図である。
【図5】本発明のフィルタにおいて得られる周波数特性を示す特性図である。
【図6】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図7】本発明のフィルタの特性を説明するための比較例を示すフィルタの平面図である。
【図8】前記比較例のフィルタにおいて得られる周波数特性を示す特性図である。
【図9】従来のフィルタの構成を示した平面図である。
【図10】前記従来のフィルタにおいて得られる周波数特性を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の弾性波フィルタの実施の形態の一例について、図1を参照して説明する。このフィルタは、互いに直列に接続された2つの縦結合共振子型弾性波フィルタ(後述のフィルタ部10)と、1ポート共振子30がラダー型に接続されると共にこれらフィルタ部10、10間に直列に介設されたラダー型フィルタ部3と、を備えており、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO)からなる圧電基板20上に形成されている。この例では圧電基板20は、36°Yカット板であり、つまり図2に示すように、フィルタの形成される面からX軸に向かって垂直に伸びる直線とY軸とのなす角度(切断角度)θが36°となるように切断した基板である。従って、この圧電基板20上では当該圧電基板20の結晶軸のX軸に沿って弾性波が伝搬することになる。
【0012】
この圧電基板20上には、既述の縦結合共振子型弾性波フィルタであるフィルタ部10が図1中手前側及び奥側に各々配置されており、これらフィルタ部10、10間において3つの1ポート共振子30がラダー型に配置されてラダー型フィルタ部3をなしている。即ち、ラダー型フィルタ部3の3つの1ポート共振子30のうち2つの1ポート共振子30、30がフィルタ部10、10に夫々直列に接続されて直列共振子4、4をなし、残りの1つの1ポート共振子30がこれら直列共振子4、4間において並列に接続されて並列共振子5をなしている。
【0013】
これらのフィルタ部10、10及び1ポート共振子30(4、5)は、IDT(インターディジタルトランスデューサー)電極11と、弾性波の伝搬方向においてIDT電極11を両側から挟むように配置された反射器12と、を各々備えている。各々のフィルタ部10、10は、弾性波の伝搬方向に沿って配置された複数例えば3つのIDT電極11を備えており、1ポート共振子30は1つのIDT電極11を備えている。図1中13、13(18、18)は、IDT電極11及び反射器12の各々において弾性波の伝搬方向に各々平行となるように互いに離間して配置された一対のバスバー、14はIDT電極11の各々のバスバー13、13から対向するバスバー13、13側に向かって櫛歯状に伸び出す電極指、17は反射器12のバスバー18、18間を接続する電極指である。
【0014】
ここで、図1中奥側のフィルタ部10を第1のフィルタ部1、手前側のフィルタ部10を第2のフィルタ部2と呼ぶと、第1のフィルタ部1の3つのIDT電極11のうち中央におけるIDT電極11の奥側のバスバー13には入力ポート15が形成され、第2のフィルタ部2の3つのIDT電極11のうち中央におけるIDT電極11の手前側のバスバー13には出力ポート16が形成されている。図1において、15aは入力端子、16aは出力端子であり、入力端子15aから電気信号が入力されると、IDT電極11における電極指14、14の交差領域で弾性波が発生し、第1のフィルタ部1、ラダー型フィルタ部3及び第2のフィルタ部2を介して出力端子16aから弾性波が電気信号として取り出される。
【0015】
第1のフィルタ部1において、左右両側のIDT電極11の奥側のバスバー13、13は、入力ポート15から離間すると共に当該入力ポート15を奥側から回り込むように引き回された導電路21aによって互いに接続されている。これらの第1のフィルタ部1の左右両側のIDT電極11の手前側のバスバー13、13は、導電路21bを介して互いに連結されると共に、既述の直列共振子4の奥側のバスバー13に接続されている。尚、導電路21a及び第1のフィルタ部1の中央のIDT電極11における手前側のバスバー13は接地されている。
ラダー型フィルタ部3の奥側の直列共振子4及び手前側の直列共振子4に夫々「4a」及び「4b」の符号を付すと、直列共振子4aの手前側のバスバー13には導電路21c、21dが各々接続されており、導電路21cは図1中右側に配置されて並列共振子5の奥側のバスバー13に接続されている。導電路21dは、導電路21cの左側において並列共振子5の側方領域を介して手前側に伸び出して直列共振子4bの奥側のバスバー13に接続されている。並列共振子5の手前側のバスバー13は接地されている。
【0016】
直列共振子4bの手前側のバスバー13から伸び出す2本の導電路21e、21eには、夫々第2のフィルタ部2の左右両側のIDT電極11、11における奥側のバスバー13、13が夫々接続されている。第2のフィルタ部2の左右両側のIDT電極11、11の手前側のバスバー13、13は、出力ポート16から離間すると共に当該出力ポート16の手前側の領域を回り込むように引き回された導電路21fを介して互いに接続されている。この導電路21f及び第2のフィルタ部2の中央部のIDT電極11における奥側のバスバー13は、各々接地されている。ここで、後述する実施例にて説明するように、直列共振子4a、4bにおける反共振周波数のピーク位置は、第1のフィルタ部1及び第2のフィルタ部2によって形成される通過周波数帯域よりも高域側に位置するように設定されており、また並列共振子5の反共振周波数のピーク位置は、当該通過周波数帯域よりも低域側に位置するように設定されている。尚、図1では、フィルタの各部の構成を模式的に示している。
【0017】
ここで、本発明においてフィルタ部1、2間にラダー型フィルタ部3を介設した理由について説明する。始めに、図3に示すように、2つのフィルタ部1、2間に1ポート共振子30を直列に1つだけ設けると共に、当該1ポート共振子30の反共振周波数のピーク位置をフィルタにおける通過周波数帯域よりも高域側に位置させると、図4に示すように、通過周波数帯域よりも高域側の減衰量が既述の図10(1ポート共振子30を設けない構成)よりも僅かに大きくなる。そこで、1ポート共振子30の反共振周波数のピーク強度を更に大きくするために、フィルタ部1、2間に1ポート共振子30を例えば2つ直列に介設すると、通過周波数帯域よりも高域側の減衰量については更に大きくなるが、1ポート共振子30、30により形成される容量値が図3の場合よりも小さくなるので、通過周波数帯域内における損失が大きくなってしまう。
【0018】
一方、フィルタ部1、2間に介設したラダー型フィルタ部3では、直列共振子4の容量値をCs、並列共振子5の容量値をCpとすると、Cs/Cpが大きいほど損失が小さくなるので、減衰量を大きくするためにはCs/Cpを小さくすることになる。従って、ラダー型フィルタ部3では、Cs/Cpを小さくするにあたって、1ポート共振子30を直列に接続した場合と比べて、各々の1ポート共振子30の容量値Cs、Cpの設計の自由度が高いことになる。即ち、1ポート共振子30を直列に接続した場合には、通過周波数帯域よりも高域側の減衰量を大きくしようとすると容量値が小さくなって(通過周波数帯域内の損失が大きくなって)しまうが、ラダー型フィルタ部3では、当該ラダー型フィルタ部3全体の容量値の低下(通過周波数帯域内における損失の発生)を抑えながら、Cs/Cpを小さくすることができる。従って、ラダー型フィルタ部3を配置することによって、並列共振子5を介設せずに直列共振子4を2つ設けた場合と比べて、後述の図8に示すように、通過周波数帯域内における損失を抑えながら通過周波数帯域よりも高域側の減衰量を大きくすることができる。また、本発明のフィルタでは、ラダー型フィルタ部3をフィルタ部1、2の間に介設していることから、図5に示すように、通過周波数帯域よりも高域側において形成される1ポート共振子30の反共振周波数のピーク強度が大きく維持されて、当該高域側の減衰量が大きくなる。また、並列共振子5における反共振周波数のピーク位置を通過周波数帯域よりも低域側に設定しているので、図10の周波数特性と比べて、当該低域側の減衰量についても大きくなる。
【0019】
上述の実施の形態によれば、2つの縦結合共振子型のフィルタ部1、2を互いに直列に設けて、これらフィルタ部1、2の間に1ポート共振子30を直列及び並列に接続すると共に、フィルタ部1、2にポート15、16を夫々接続しているので、通過周波数帯域内における損失を抑えながら、通過周波数帯域よりも低域側及び高域側の減衰量を大きくすることができる。
【0020】
また、ラダー型フィルタ部3として図1中奥側及び手前側に直列共振子4を各々配置し、これら直列共振子4、4間に並列共振子5を設けているので、インピーダンスの整合が取りやすくなり、通過周波数帯域における損失をより一層小さく抑えることができる。即ち、例えば後述の図7に示した構成(圧電基板20上に奥側から手前側に向かってフィルタ部1、2及びラダー型フィルタ部3をこの順番で並べた例)では、縦結合型のフィルタ部1、2同士を反転して接続しているため、マッチングの条件である複素共役接続が難しくなっており、この接続部におけるインピーダンスがインダクタ(L)性または容量(C)性を持ちやすくなっている。一方、ラダー型フィルタ部3はL性にもC性にも容易に設計することができるため、当該ラダー型フィルタ部3をフィルタ部1、2に介設することにより、マッチング素子として利用できる。また、この図7に示すように、フィルタ部1、2における出力ポート16側にラダー型フィルタ部3を接続した場合には、フィルタ部1、2とラダー型フィルタ部3との間においてインピーダンスのミスマッチによる損失の発生するおそれがあるが、フィルタ部1、2間にラダー型フィルタ部3を介設することによって、当該ミスマッチを生じる接続を解消することができる。そのため、シミュレーションにより得られた結果からも、本発明のフィルタでは、ミスマッチロスが低減されることが分かった。
従って、インピーダンスのミスマッチを解消するためにインダクタ成分や容量成分をフィルタに接続するための配線などが不要になるか簡略化されるため、このようにフィルタ部1、2間にラダー型フィルタ部3を設けることによって、例えば図7に示した構成と比較して、パターン配線(導電路21)の引き回しや圧電基板20上の各部位(ポート15、16及び接地部)を外部に接続するためのワイヤレイアウトが容易になるし、またワイヤの本数も少なくなり、更には圧電基板20のサイズも小さく抑えることができる。
【0021】
既述の例では、ラダー型フィルタ部3において奥側から手前側に向かって直列共振子4a、並列共振子5及び直列共振子4bの順番で配置したが、図6に示すように、奥側から手前側に向かって直列共振子4a、4b及び並列共振子5をこの順番で並べても良い。更に、これら直列共振子4及び並列共振子5としては、夫々3つ以上及び2つ以上配置しても良い。
【0022】
また、IDT電極11における電極指14の対数(対数:互いに交差する1対の電極指14、14の組の数)、電極指14、14の交差幅、電極指14の幅寸法及び電極指14、14間の離間寸法などについては、フィルタ部1、2、直列共振子4及び並列共振子5毎に独立して調整しても良い。入力ポート15及び出力ポート16は、フィルタ部1、2のいずれに接続しても良い。また、フィルタ部1、2におけるIDT電極11の数量は2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。更に、これらフィルタ部1、2におけるIDT電極11の数量を互いに変えるように、具体的にはこれらフィルタ部1、2の一方には3つのIDT電極11を配置し、他方には4つのIDT電極11を配置しても良い。更に、第2のフィルタ部2に出力ポート16を2つ設けて、バランス出力するようにしても良いし、この場合にはフィルタ部1、2におけるIDT電極11の数量を互いに変えても良い。
【実施例】
【0023】
次に、図1の本発明のフィルタにおいて得られる周波数特性を確認するために、以下のシミュレーション条件において行ったシミュレーションについて説明する。
(シミュレーション条件)
・圧電基板20:36°YカットX伝搬LiTaO
・フィルタ部1、2の構成(この例ではフィルタ部1、2では各々同じ設計とした)
IDT電極11のピッチPi1:4.66μm
反射器12のピッチPr1:4.70μm
中央部のIDT電極11の電極指14の対数:27対
左右両側のIDT電極11の電極指14の対数:各17対
反射器12の電極指17の本数:各50本
電極指14、14の交差幅:144μm
・直列共振子4a
IDT電極11のピッチPi1:4.56μm
反射器12のピッチPr1:4.60μm
IDT電極11の電極指14の対数:100対
反射器12の電極指17の本数:各50本
電極指14、14の交差幅:82μm
・並列共振子5
IDT電極11のピッチPi1:4.74μm
反射器12のピッチPr1:4.71μm
IDT電極11の電極指14の対数:85対
反射器12の電極指17の本数:各50本
電極指14、14の交差幅:81μm
・直列共振子4b
IDT電極11のピッチPi1:4.59μm
反射器12のピッチPr1:4.63μm
IDT電極11の電極指14の対数:75対
反射器12の電極指17の本数:各50本
電極指14、14の交差幅:78μm
尚、「ピッチ」とは、互いに隣接する電極指14、14(17、17)の長さ方向における中心線同士の間の距離を表している。
【0024】
(シミュレーション結果)
図5に示すように、ラダー型フィルタ部3における反共振周波数の極の位置がフィルタ部1、2により構成される通過周波数帯域よりも低域側及び高域側に夫々形成され、高域側のピーク強度については既述の図4の強度よりも大きくなっていた。そのため、減衰傾度が急峻となり、このフィルタにおける通過周波数帯域よりも低域側及び高域側の減衰量は極めて大きくなっていた。
また、既述のシミュレーション条件と同じ条件に設定すると共に、図7に示すように、圧電基板20上に奥側から手前側に向かってフィルタ部1、2及びラダー型フィルタ部3を配置した構成においてシミュレーションを行った結果、図8に比較例として示すように、通過周波数帯域においてリップルが発生して損失が大きくなっていた。そのため、本発明のフィルタでは、図7の比較例と比べて、インピーダンスの整合が良好に取れていることが分かる。尚、図8は、通過周波数帯域における0dB付近を拡大して示したものである。
【符号の説明】
【0025】
1 第1のフィルタ部
2 第2のフィルタ部
3 ラダー型フィルタ部
4 直列共振子
5 並列共振子
10 フィルタ部
15 入力ポート
16 出力ポート
20 圧電基板
30 1ポート共振子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に配置された複数のIDT電極及びこれらIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた縦結合共振子型の第1のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部に対して直列に接続され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及びこれらIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた縦結合共振子型の第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部との間に直列に介設され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された1つのIDT電極及びこのIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた少なくとも2つの直列共振子と、
前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部との間に並列に介設され、弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に配置された1つのIDT電極及びこのIDT電極の両側に設けられた反射器を備えた並列共振子と、
前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部の一方における前記IDT電極に接続された入力ポートと、
前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部の他方における前記IDT電極に接続された出力ポートと、を備えたことを特徴とする弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記並列共振子は、前記2つの直列共振子間に並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性波フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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