弾性波素子、およびこれを用いた電子機器
【課題】弾性波素子の歩留まりを向上。
【解決手段】弾性波素子であって、圧電基板と、圧電基板上に設けられたIDT電極と、圧電基板上に設けられ、IDT電極に電気的に接続された内部電極と、内部電極上であって、IDT電極の周囲に設けられた側壁と、側壁上に、IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、内部電極上であって、側壁の外側に設けられた電極下地層と、電極下地層上に設けられた接続電極とを備え、接続電極は、電極下地層上に設けられた第一接続電極と、第一接続電極上に設けられた第二接続電極とを有し、第二接続電極の水平断面形状が非円形状である。
【解決手段】弾性波素子であって、圧電基板と、圧電基板上に設けられたIDT電極と、圧電基板上に設けられ、IDT電極に電気的に接続された内部電極と、内部電極上であって、IDT電極の周囲に設けられた側壁と、側壁上に、IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、内部電極上であって、側壁の外側に設けられた電極下地層と、電極下地層上に設けられた接続電極とを備え、接続電極は、電極下地層上に設けられた第一接続電極と、第一接続電極上に設けられた第二接続電極とを有し、第二接続電極の水平断面形状が非円形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波素子、およびこれを用いた携帯電話等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弾性波素子について、図面を用いて説明する。図13は、従来の弾性波素子の断面模式図である。
【0003】
従来の弾性波素子101は、圧電基板102、IDT(Inter−Digital Transducer)電極103、内部電極104、外部電極111、側壁105、蓋体107、絶縁体110および接続電極112を備えている。
【0004】
IDT電極103は、圧電基板102上に設けられている。内部電極104は、圧電基板102上に設けられ、IDT電極103と電気的に接続されている。外部電極111は、絶縁体110の上に設けられ、外部の回路と接続されている。接続電極112は、内部電極104上に、電極下地層109を介して形成されている。また、接続電極112は、絶縁体110を貫通するように設けられ、外部電極111と内部電極104とを電極下地層109を介して電気的に接続している。
【0005】
側壁105は、内部電極104上であって、IDT電極103の周囲に設けられている。蓋体107は、側壁105上に、接着層106を介して、IDT電極103上の空間108を覆うように設けられている。
【0006】
さらに、弾性波素子101は、蓋体107の上に蓋体下地層113を設け、蓋体下地層113の上に蓋体補強層114を形成することにより、蓋体107の補強を図っている。
【0007】
尚、この出願に関する先行文献として、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/106831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電極下地層109の上側に設置される接続電極112は、二回の電解メッキ処理によって形成される。接続電極112は、電極下地層109の上側であって、一度目の電解メッキ処理によって設けられた第一接続電極112aと、二度目の電解メッキ処理によって設けられる第二接続電極112bとから構成される。第二接続電極112bの水平断面形状(圧電基板102の主面に対し平行な断面の形状)は円形である。
【0010】
第二接続電極112bを形成する際には、二度目の電解メッキ処理を行う前に、第一接続電極112aとその周辺の上面に感光性レジストを形成する。次に、このレジストの上側であって、第一接続電極112aの上面部分に円形状のマスクを設け、マスクの上面から感光性レジストに光を当てて、このマスク周辺のレジストを固める。次に、現像液に浸してマスクの下部分のレジストを溶解して取り除くことにより、水平断面形状が円形である開口部を形成する。その後、二度目の電解メッキ処理を行うことによって、この開口部に第二接続電極112bを形成することができる。
【0011】
マスクの上面から感光性レジストに光を当てたとき、光は感光性のレジストを透過して第一接続電極112aの上面を照射する。照射した光は第一接続電極112aの上面の凹凸により反射され、その反射光がマスクの下部分のレジストを照射してしまう。
【0012】
円形状のマスクの下部分のレジストは、水平断面形状が円形の円柱体となる。この円柱体の周縁部の壁面が、第一接続電極112a上面の凹凸により反射された反射光をさらに反射する光源となってしまう。そして、円柱体の壁面により反射された光は円形状の水平断面の中心に集中し、円柱体の中心の縦軸に光の合点軸が形成される。
【0013】
このため、合点軸付近の感光性のレジストは、その合点軸に集中された光のエネルギーによって固まり、レジスト塊が形成されてしまう。その後、現像液に浸すことによってマスク下部分のレジストを溶解し、水平断面が円形状である開口部を形成しようとしても、合点軸付近で形成されたレジスト塊は溶解されずに開口部の中に残ってしまう。
【0014】
この結果、二度目の電解メッキ処理により開口部に形成される、第二接続電極112bの信頼性が低下して、弾性波素子の歩留まりが悪くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の弾性波素子は、圧電基板、IDT電極、内部電極、側壁、蓋体、電極下地層、および、接続電極を備えている。IDT電極は、圧電基板上に設けられている。内部電極は、圧電基板上に設けられ、IDT電極に電気的に接続されている。側壁は、内部電極上であって、IDT電極の周囲に設けられている。蓋体は、側壁上に、IDT電極上の空間を覆うように設けられている。電極下地層は、内部電極上であって、側壁の外側に設けられている。接続電極は、電極下地層上に設けられている。さらに、接続電極は、電極下地層上に設けられた第一接続電極と、第一接続電極上に設けられた第二接続電極とを有し、第二接続電極の水平断面形状が非円形状である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の弾性波素子においては、第二接続電極の水平断面形状を非円形状にしている。これにより、感光性レジストに光を当てて固めるとき、後に第二接続電極が形成されるべき部分において、合点軸に反射光が集中して感光性レジスト塊が形成されることを防止することができる。よって、第二接続電極の形成信頼性を高め、弾性波素子の歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の断面模式図
【図2A】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2B】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2C】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2D】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図3A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図3B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図3C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の断面模式図
【図7】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の別の例を示す断面模式図
【図8A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図8B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図8C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子のさらに別の例を示す断面模式図
【図12】本発明の第2の実施の形態における、弾性波フィルタの内部電極、側壁、蓋体および無機絶縁膜のパターン配置を示す上面透視図
【図13】従来の弾性波素子の断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の断面模式図である。
【0020】
弾性波素子1は、チップサイズパッケージ素子である。弾性波素子1は、圧電基板2と、圧電基板2の上面(主面)に設けられたIDT(Inter−Digital Transducer)電極3と、IDT電極3を外部環境から保護すべく、IDT電極3を覆うように圧電基板2上に形成された絶縁体10とを備えている。
【0021】
弾性波素子1は、さらに、内部電極4、側壁5、蓋体7、接着層6、蓋体下地層13、蓋体補強層14、電極下地層9、外部電極11、および、接続電極12を備えている。
【0022】
圧電基板2は、板厚100〜350μm程度の単結晶圧電体を含む。圧電基板2は、例えば、水晶、タンタル酸リチウム系、ニオブ酸リチウム系、またはニオブ酸カリウム系の基板を用いることができる。
【0023】
IDT電極3は、膜厚0.1〜0.5μm程度の櫛形電極である。IDT電極3の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、もしくはモリブデンからなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0024】
内部電極4は、圧電基板2の上に設けられ、IDT電極3に電気的に接続されている。内部電極4は、IDT電極3と外部電極11とを電気的に接続する導体である。内部電極4の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、あるいは銀からなる単体金属、これらを主成分とする合金、またはそれらの金属の積層物を用いることができる。
【0025】
側壁5は、内部電極4の上面に設けられている。側壁5は、IDT電極3の周囲の少なくとも一部を囲む、高さが5〜15μm程度の壁である。側壁5の材料としては、所定の形状に加工することが容易なことから、樹脂を用いることができる。
【0026】
蓋体7は、側壁5の上に、IDT電極3上の空間8を覆うように設けられている。蓋体7は、接着層6を介して側壁5の上部に接着されることにより保持された、厚みが1〜10μm程度の天板である。蓋体7は、圧電基板2および側壁5とともにIDT電極3を収容している。蓋体7の材料として金属を用いると、機械的強度に優れるとともに、導電性を有するため、蓋体7の電位を制御することが可能となる。さらに、蓋体7の材料として銅を用いると、単結晶の圧電基板2と線膨張係数を実質的に等しくすることができる。
【0027】
接着層6は、蓋体7と側壁5との間に設けられている。接着層6は、厚みが1〜10μm程度の接着剤である。接着層6は、単位面積当たりの絶縁体10に対する接着力が側壁5よりも大きな材料から構成される。接着層6は、例えば、エポキシ系、ポリフェニレン系、もしくは、ブタジエン系の樹脂、またはこれらの混合樹脂を含んでいる。
【0028】
本明細書において、空間8とは、圧電基板2、側壁5および蓋体7によって囲まれた領域のことをいう。空間8は気密性を有し、その内部にIDT電極3を収容している。空間8内は、通常気圧の空気であってもよいが、減圧密封することで、IDT電極3の腐食を防止できる。
【0029】
蓋体補強層14は、メッキ金属を含み、蓋体7の機械的強度を向上するために、蓋体7の上に、蓋体下地層13を介して設けられている。蓋体補強層14は、蓋体下地層13の上面に電解メッキ処理により形成された、厚みが20〜40μm程度の層である。蓋体補強層14の材質としては、銅、金、銀、白金、もしくは、ニッケルからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金等を用いることができる。蓋体補強層14として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ、線膨張係数を圧電基板2と整合させることができる。
【0030】
蓋体下地層13は、蓋体7上に形成された金属薄膜であり、蓋体補強層14を形成する際の、電解メッキの下地となるものである。蓋体下地層13の材料としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。特に、チタンは密着性が高いので、蓋体下地層13の材料として好ましい。また、蓋体下地層13を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、蓋体補強層14が形成しやすい。
【0031】
絶縁体10は、圧電基板2上に、蓋体補強層14を覆うように形成されている。絶縁体10は、圧電基板2の主面上全体を覆うことにより、機械的衝撃等からIDT電極3等を保護する機能を有している。絶縁体10の材質として熱硬化性樹脂を用いれば、取り扱い性に優れる。また、絶縁体10の材料として、エポキシ樹脂を用いることが、耐熱性および気密性の点で好ましく、さらにエポキシ樹脂中に無機フィラーを含有させることが、線膨張係数を低減することができるので、さらに好ましい。無機フィラーとしては、アルミナ粉末、二酸化珪素粉末または酸化マグネシウム粉末等を用いることができる。なお、無機フィラーとしては、これらの粉末に限定されず、様々な無機系材料を使用することができる。この際、絶縁体10と圧電基板2との密着性を向上させるために、これらの間に無機絶縁膜を形成してもよい。
【0032】
電極下地層9は、内部電極4の上面、側壁5に対して空間8とは反対側、すなわち側壁5の外側の面、および、側壁5の上面の一部に設けられている。電極下地層9は金属薄膜である。電極下地層9の材質としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金等の、内部電極4よりもメッキ液溶解性の低い材質を用いることができる。特に、チタンは密着性が高いので電極下地層9として好ましい。また、電極下地層9を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、後述する接続電極12が形成しやすい。
【0033】
接続電極12は、電極下地層9を介して、内部電極4および側壁5上に電解メッキ処理により形成された電極である。接続電極12は、メッキ金属を含み、電極下地層9の上に絶縁体10を貫通するように設けられ、外部電極11とIDT電極3とを電気的に接続している。
【0034】
接続電極12は、二度の電解メッキ処理を行うことによって形成される。本明細書では、一度目の電解メッキ処理によって形成された部分を第一接続電極12a、二度目の電解メッキ処理によって形成された部分を第二接続電極12bと、それぞれ称する。一度目の電解メッキ処理によって形成される第一接続電極12aの水平断面(圧電基板2の主面に対し平行な断面)の形状については、任意の形状とすることができる。本実施の形態において、二度目の電解メッキ処理で形成される第二接続電極12bの水平断面は非円形状である。なお、接続電極12の形成で二度の電解メッキ処理を実施する理由は、弾性波素子1を基板に実装する際の衝撃を直接圧電基板2に加わることを避けるのを目的として、側壁5がこの衝撃緩和層となるように第二接続電極12と外部電極11を側壁5の上方に設けるためである。
【0035】
接続電極12の材料としては、銅、金、銀、白金、もしくは、ニッケルからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。接続電極12の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ線膨張係数を圧電基板2と整合させることができる。
【0036】
外部電極11は、絶縁体10の外部に形成され、接続電極12と電気的に接続する電極である。本実施の形態においては、外部電極11と側壁5との間に絶縁体10を形成しているので、外部電極11は側壁5とは直接接しない構成となっている。
【0037】
以上述べたように、本実施の形態の弾性波素子1においては、接続電極12の第二接続電極12bの水平断面を非円形状にしている。これによって、感光性レジストに光を当てて固める際に、後で二度目の電解メッキ処理によって第二接続電極12bが形成されるべき部分において、水平断面を円形状とした場合のように、反射光が集中して合点軸付近で光のエネルギーが高くなることを抑制することができる。その結果、第二接続電極12bの形成部分において、感光性レジスト塊が形成されることを防止し、第二接続電極12bの形成信頼性を高め、弾性波素子1の歩留まりを向上することができる。また、第二接続電極12bの水平断面を非円形状とすることで、第二接続電極12bと接続電極12との接触面積若しくは第二接続電極12bと第一接続電極11の接触面積が大きくなり、両者の接続信頼性が向上する。
【0038】
図2A〜Dは、本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極12bの断面形状を示す図である。なお、図2A〜Dは、図1におけるAA断面の形状を示すものである。第二接続電極12bの断面形状を、非円形状であるとしているが、ここで、非円形状とは、円形状以外のすべての形状を含む。一例としては、第二接続電極12bの断面形状を、図2Aに示す四角形状、図2Bに示す、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状、図2Cに示す、十六角形以下の多角形状(図2Cの例は六角形状)、または、図2Dに示す、その周縁に35μm以上80μm以下の直線部を有する形状とすることができる。
【0039】
特に、第二接続電極12bの水平断面形状の周縁部を、35μm以上80μm以下の直線部を有する構成とする事で、第二接続電極12bの形成部分における感光性レジスト塊の形成を完全に防止することができ、弾性波素子1の歩留まりを大幅に向上することができる。なお、直線部以外の形状については、任意の形状とすることができ、図2Dに示した形状に限定されるものではない。
【0040】
次に、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子1の製造方法について、以下に説明する。
【0041】
図3A〜C、図4A〜C、および、図5A〜Cは、第1の実施の形態における弾性波素子1の製造工程を示す図である。
【0042】
まず、図3Aに示すように、圧電基板2の表面に、レジストを用いたフォトリソグラフィ技術にて、複数のIDT電極3をスパッタ形成すると共に、内部電極4を蒸着形成する。
【0043】
次に、図3Bに示すように、感光性のポリイミド系樹脂16を圧電基板2の主面の全体に形成する。ポリイミド系樹脂16は、スピンコート法、ディスペンス法、またはスクリーン印刷法等の膜形成方法により形成する。ポリイミド系樹脂16は、IDT電極3および内部電極4を覆うように形成する。ポリイミド系樹脂16の形成方法としてスピンコート法を用いれば、均一な膜厚を形成することができる。
【0044】
次に、ポリイミド系樹脂16に対して、上面から露光、現像を行い、さらに熱硬化させる。これにより、図3Cに示すように、IDT電極3を囲む側壁5を形成することができる。なお、この工程では、側壁5を所定の形状に加工した後に、必要に応じて加熱処理を施して、材料の硬化を促進させる。
【0045】
次に、図4Aに示す様に、蓋体7となる金属箔17を、接着剤18を介して側壁5の上面に貼り付ける。そして、その上からレジスト(図示せず)を用いたフォトリソグラフィにより、金属箔17を所定のパターン形状にエッチングする。レジストを除去して、その後、接着剤18の不要部分をドライエッチングにて除去することで、図4Bに示す様な、蓋体7と接着層6によってIDT電極3上の空間8を覆う構成を得ることができる。
【0046】
なお、図4Bの構成において、側壁5の上面の全面に、蓋体7と接着層6とが残らないことが望ましい。すなわち、上方から見た場合に、蓋体7と接着層6とが、側壁5の上面の外縁部よりも内側に形成されていることが好ましい。これは、上方から見た場合に、蓋体7と接着層6とが、側壁5の上面より外側に突出していると、この後に下地層19をスパッタ形成する際に、側壁5の外側面や、側壁5と圧電基板2との境界部に、下地層19が付着しにくくなるという問題が生じ得るからである。
【0047】
次に、図4Cに示す様に、内部電極4、側壁5および蓋体7の上面側を覆う下地層19をスパッタにより形成する。そして、下地層19の上面の、次に電解メッキ成長により形成する、接続電極12および蓋体補強層14以外の部分に、フォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成する。この下地層19の内、蓋体7の上面に形成された部分が蓋体下地層13となり、内部電極4の上面に形成された部分が電極下地層9となる。
【0048】
次に、図5Aに示す様に、電極下地層9上に一度目の電解メッキ処理を施して、第一接続電極12aを形成する。このとき、同時に蓋体下地層13の上面にも電解メッキ処理を施して、蓋体補強層14を形成する。
【0049】
次に、図5Bに示す様に、第一接続電極12a上面と蓋体補強層14の上面に感光性のレジスト20を設ける。このレジスト20の上側であって、第一接続電極12a上面に対向する部分に、水平断面形状が非円形状であるマスク21を設ける。例えば、マスク21の水平断面形状は、図2A〜Dに示したような、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状、十六角形以下の多角形状、または、35μm以上80μm以下の直線部を有する形状とすることができる。
【0050】
次に、マスク21の上面よりレジスト20に光22を当てて、マスク21を設けた部分以外のレジスト20を固める。図5Bにおいて、光22の一部は、感光性レジスト20を透過して第一接続電極12aの上面を照射し、第一接続電極12aの上面の凹凸により反射される。そして、その反射光がマスク21の周辺(直下部分を含む)のレジストを照射してしまう。よって、レジスト壁面23が、第一接続電極12aの凹凸部分が反射した反射光をさらに反射する光源となってしまう可能性がある。
【0051】
ここで、マスク21の水平断面を、長軸と短軸の比が1.2以上の楕円形状とした場合、マスク21の直下部分のレジスト20は、水平断面が楕円形状の円柱体になる。したがって、レジスト壁面23が反射した反射光は水平断面で二つの焦点に分かれて集中する。その焦点各々での光エネルギーは、水平断面を円形とした場合に、その円中心に集中する光エネルギーよりも弱い。すなわち、楕円の焦点各々を通る反射光の光エネルギーを合わせても、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0052】
また、マスク21の水平断面形状を十六角形以下の多角形とした場合、マスク21の直下部分のレジスト20は、その水平断面形状が十六角形以下の多角柱体になる。したがって、レジスト壁面23に反射された光は、水平断面内の至るところで合点を形成し、その夫々の合点での光エネルギーは、水平断面を円形とした場合に、その円中心に集中する光エネルギーよりも弱い。よって、第一接続電極12aの上面の凹凸により反射された夫々の合点を通る反射光を合わせても、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0053】
さらに、マスク21の水平断面形状を、35μm以上80μm以下の直線部を有する形状としてもよいし、水平断面形状の重心から周囲までの距離が異なる形状としてもよい。これらの場合にも、レジスト壁面23に反射された反射光は、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0054】
次に、図5Bまでの工程で製造された素子を現像液に浸し、上側にマスク21を設けた部分のレジスト20を溶解して取り除く。この結果、図5Cに示す様に、マスク21を設けた下方部分には、マスク21の水平断面形状に相当する水平断面形状を有する、開口部24が形成される。
【0055】
次に、二度目の電解メッキ処理を用いて、開口部24に第二接続電極12bを形成する。その水平断面形状は、上述のマスク21の水平断面形状と同様になる。
【0056】
なお、第二接続電極12bの水平断面面積を、第一接続電極12aの水平断面面積より小さくすることで、第一接続電極12aの上面に第二接続電極12bを確実に形成することができ、接続電極12の接続信頼性を向上することができるので、歩留まりを向上することができる。なお、第二接続電極12bの垂直断面形状(圧電基板2の主面に対し垂直な断面)は逆テーパー形状であることが望ましい。即ち、第二接続電極12bの水平断面積が上から下に向けて(即ち、圧電基板2に近づくにつれて)小さくなることが望ましい。これは、レジスト20の垂直断面形状を下から上に向けて広がるテーパ形状にすることで、第二接続電極12bを形成するためのレジスト20の穴へのメッキ液回りを良くし、二度目のメッキ処理におけるメッキ成長性を向上させるからである。
【0057】
次に、剥離液中で素子を浸漬・揺動させて、レジストパターンを剥離する。その後、接続電極12の上面を露出させながら、圧電基板2主面上の構造物を覆う絶縁体10を形成する。この絶縁体10の形成方法としては、印刷工法を用いる。
【0058】
最後に、接続電極12と電気的に接続される外部電極11を、接続電極12の上面に形成する。そして、ダイシングにより圧電基板2および絶縁体10を同時に切断することにより、集合基板から、図1に示したような、個片の弾性波素子1を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態の弾性波素子1を、ラダー型フィルタやDMSフィルタ等のフィルタに適用してもよい。さらに、弾性波素子1を適用したフィルタと、フィルタに接続された半導体集積回路素子と、半導体集積回路素子に接続された再生装置とを用いて電子機器を構成することも可能である。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子について図面を参照しながら説明する。
【0061】
図6は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の断面模式図である。
【0062】
図6に示した弾性波素子51は、チップサイズパッケージ素子である。弾性波素子51は、圧電基板52、IDT電極53、内部電極54、側壁55、蓋体57、蓋体補強層64、電極下地層59、外部電極61、接続電極62、絶縁体60、および、無機絶縁膜70を備えている。
【0063】
圧電基板52は、板厚100〜350μm程度の単結晶圧電体を含む。圧電基板52は、例えば、水晶、タンタル酸リチウム系、ニオブ酸リチウム系、またはニオブ酸カリウム系の基板である。
【0064】
IDT電極53は、圧電基板52の上面(主面)に設けられている。IDT電極53は、膜厚0.1〜0.5μm程度の櫛形電極である。IDT電極53の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、もしくは、モリブデンからなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0065】
内部電極54は、圧電基板52上に設けられ、IDT電極53に電気的に接続されている。内部電極54は、IDT電極53と外部電極61とを電気的に接続する導体である。内部電極54の材料としては、例えば、アルミニウム、銅もしくは銀からなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0066】
側壁55は、圧電基板52の上面または内部電極54の上面であって、IDT電極53の周囲に設けられている。側壁55は、IDT電極53の周囲の少なくとも一部を囲む、高さが5〜15μm程度の壁である。側壁55の材料としては、所定の形状に加工することが容易なことから樹脂を用いている。特に、側壁55の材料として感光性樹脂を用いることで、圧電基板52上に複数個の弾性波素子51を作るための側壁55を精度良く所望の形状に形成することが可能である。感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性エポキシ樹脂、または感光性アクリレート樹脂等、感光性を有する樹脂材料であれば、様々な材料を用いることが可能である。感光性ポリイミド樹脂を用いれば、ガラス転移点が高いので、高温環境下での信頼性を高くすることができる。
【0067】
蓋体57は、側壁55の上側に、IDT電極53上の空間58を覆うように設けられている。蓋体57は、側壁55の上部に接着により保持された天板であり、圧電基板52および側壁55とともに、その内側の空間58にIDT電極53を収容している。蓋体57の厚みは、1〜10μm程度である。
【0068】
接着層56は、例えばエポキシ樹脂等の、単位面積当たりの絶縁体60に対する接着力が、側壁55よりも大きい材料を含む。接着層56は、蓋体57と側壁55とを接着する。
【0069】
蓋体57として樹脂を用いる場合は、蓋体57と接着層56とが一体化され、所定の形状に加工することが容易な、感光性樹脂を含む接着シートを用いることが好ましい。感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性エポキシ樹脂、または感光性アクリレート樹脂等の、感光性を有する様々な材料を用いることができる。なお、感光性ポリイミド樹脂を用いれば、ガラス転移点が高いので、高温環境下での信頼性を高くすることができる。
【0070】
蓋体57として金属を用いる場合には、接着層56として、エポキシ系、ポリフェニレン系、もしくはブタジエン系の樹脂、またはこれらの混合樹脂を用いることができる。
【0071】
蓋体57として金属を用いた場合には、機械的強度に優れ、かつ導電性を有することにより蓋体57の電位を制御することができる。さらに、蓋体57として銅を用いると、単結晶の圧電基板52と線膨張係数を実質的に等しくすることができる。
【0072】
また、蓋体57としては箔状のものを用いることができる、この場合、蓋体57に、あらかじめ接着層56を形成しておき、その後に側壁55の上部に貼り付ける構成とすれば、製造上の取り扱いを便利にすることができる。
【0073】
本明細書において、圧電基板52、側壁55および蓋体57によって囲まれた領域のことを空間58と記す。この空間58は気密性を有するものであり、その内部にIDT電極53が収容されている。この空間58内は、通常気圧の空気であってもよいが、空間58内を減圧密封すれば、IDT電極53の腐食を防止することができる。
【0074】
蓋体下地層63は、蓋体57上に形成された金属薄膜である。蓋体下地層63の材料としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。チタンを用いることにより、密着性を高くすることができる。また、蓋体下地層63を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすることにより、蓋体補強層64を形成しやすくできる。蓋体下地層63は、蓋体補強層64を形成する電解メッキの下地となるものである。
【0075】
蓋体補強層64はメッキ金属を含み、蓋体57の機械的強度を向上すべく、蓋体57の上に、蓋体下地層63を介して設けられている。蓋体補強層64は、蓋体下地層63の上面に、電解メッキ処理により厚みが20〜40μm程度となるように形成された層である。蓋体補強層64の材質としては、銅、金、銀、白金、もしくはニッケルからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等を用いることができる。蓋体補強層64の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ、線膨張係数を圧電基板52と整合させることができる。
【0076】
電極下地層59は、内部電極54の上面、側壁55に対して空間58の反対側、つまり側壁55の外側面、および、側壁55の上面の一部に設けられている。電極下地層59は金属薄膜であり、内部電極54上であって、側壁55の外側、すなわち、側壁55を基準として、空間58側とは逆側の、側壁55の外側面に形成されている。電極下地層59の材質としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくはマグネシウムからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等の、内部電極54よりもメッキ液に対する溶解性の低い材質を用いることができる。チタンを用いれば、密着性を高くすることができる。また、電極下地層59を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、後述する接続電極62が形成しやすい。
【0077】
絶縁体60は、有機樹脂を含み、IDT電極53を外部環境から保護するために、IDT電極53を覆うように圧電基板52上に形成されている。絶縁体60は、蓋体補強層64を覆うように形成されている。この絶縁体60の材質として、熱硬化性樹脂を用いれば、取り扱い性に優れる。特に、エポキシ樹脂が、耐熱性および気密性の点で好ましく、さらにエポキシ樹脂中に無機フィラーを含有させることにより、線膨張係数を低減することができる。無機フィラーとしては、アルミナ粉末、酸化シリコン粉末、または酸化マグネシウム粉末等を用いることができる。なお、無機フィラーとしては、これらの粉末に限定されず、様々な無機系材料を使用することができる。
【0078】
外部電極61は、絶縁体60の外部に形成され、接続電極62と電気的に接続する電極である。本実施の形態においては、外部電極61と側壁55との間に絶縁体60を形成しているので、外部電極61は側壁55とは直接接しない構成となっている。
【0079】
接続電極62はメッキ金属を含み、電極下地層59上に絶縁体60を貫通するように設けられ、外部電極61とIDT電極53とを電気的に接続している。接続電極62は、電極下地層59を介して、内部電極54上に電解メッキ処理により形成された電極である。接続電極62は、内部電極54と電気的に接続されている。接続電極62の材料としては、銅、金、銀、白金、もしくはニッケルからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等を用いることができる。接続電極62の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ線膨張係数を圧電基板52と整合させることができる。
【0080】
接続電極62が入出力端子に接続される場合は、接続電極62と、蓋体57、蓋体下地層63、および蓋体補強層64とは、後述する無機絶縁膜70の機能により、電気的に絶縁状態となる。一方、接続電極62がグランド端子に接続される場合は、接続電極62を、蓋体57、蓋体下地層63、および蓋体補強層64に接続することで、グランド電位の安定を図ることができる。
【0081】
弾性波素子51は、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間に、無機絶縁膜70を備えている。無機絶縁膜70は、少なくとも、絶縁体60側に面する、蓋体57と側壁55との境界部に設けられている。無機絶縁膜70は、有機樹脂と比較して、湿気を通しにくい特徴を有している。したがって、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間であって、少なくとも側壁55と蓋体57との境界部に無機絶縁膜70を形成することによって、湿気が蓋体57と側壁55の間を通過してIDT電極53上の空間58に浸入するのを防止する。その結果、弾性波素子51の耐湿性を向上させ、IDT電極53が腐食されることによる経時的な特性劣化を防止することができる。
【0082】
図6に示したように、弾性波素子51においては、無機絶縁膜70を、接続電極62の外側(すなわち、接続電極62に対して側壁55とは逆側)における、絶縁体60と圧電基板52との間にも形成している。ただし、この部分に無機絶縁膜70を形成することは、必須ではない。弾性波素子51においては、有機樹脂と比較して湿気を通しにくい金属からなる接続電極62と電極下地層59とを、側壁55の外側に設けている。これにより、絶縁体60と圧電基板52との間の湿気の浸入を防止することができる。
【0083】
無機絶縁膜70は、厚みが1μm〜10μm程度の保護膜である。無機絶縁膜70の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、および、酸化マグネシウム(MgO)のうち、少なくとも1つを含む材料を用いることができる。例えば、絶縁体60が酸化シリコンからなる無機フィラーを含む場合に、無機絶縁膜70を酸化シリコンとすると、無機絶縁膜70と絶縁体60との接着力を向上させることができる。このように、無機絶縁膜70に、絶縁体60に含有される無機フィラーと同質材料を含ませることにより、無機絶縁膜70と絶縁体60との接着性を向上させることができる。
【0084】
なお、蓋体57が金属の場合には、素子外部からの湿気は、蓋体57を通過しにくいが、接着層56を比較的容易に通過する。この場合には、無機絶縁膜70を、蓋体57と絶縁体60との間には形成せずに、接着層56と絶縁体60との間に形成する。これにより、湿気が接着層56を通してIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制することができる。また、蓋体57が有機樹脂の場合には、無機絶縁膜70を、蓋体57と絶縁体60との間全体に形成することにより、湿気が蓋体57を通してIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制することができる。
【0085】
また、無機絶縁膜70は、IDT電極53から発生する熱を素子外部に拡散させる作用も有する。例えば、側壁55が有機樹脂の場合、無機絶縁膜70は側壁55より熱の伝導性に優れているので、IDT電極53から生じる熱は、無機絶縁膜70を伝導して隣の接続電極62等に拡散される。この結果、弾性波素子51の放熱性を向上させることができる。
【0086】
次に、本発明の第2の実施の形態における、弾性波素子の別の構成例について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の別の例を示す、断面模式図である。
【0087】
図7に示す弾性波素子71は、図6に示した弾性波素子51と比較して、接続電極62を含まない点で異なる。また、弾性波素子71は、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間にそれぞれ無機絶縁膜70を備えると共に、圧電基板52と絶縁体60との間にも無機絶縁膜70を備える。弾性波素子71の構成によっても、湿気が、蓋体57と側壁55の間や、圧電基板52と絶縁体60との間等を通過して、IDT電極53上の空間58に浸入することを防止できる。また、無機絶縁膜70によって、放熱性を向上させることができる。
【0088】
次に、第2の実施の形態における弾性波素子51の製造方法について、図面を用いて説明する。
【0089】
図8A〜C、図9A〜C、および、図10A〜Cは、それぞれ、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子51の製造工程を示す図である。
【0090】
まず、図8Aに示すように、圧電基板52の表面に、レジストを用いたフォトリソグラフィ技術にて、複数のIDT電極53をスパッタ形成すると共に、内部電極54を蒸着形成する。
【0091】
次に、図8Bに示すように、感光性のポリイミド系樹脂66を圧電基板52上に、スピンコート法、ディスペンス法、またはスクリーン印刷法等の膜形成方法により形成する。ポリイミド系樹脂66は、IDT電極53および内部電極54を覆うように、圧電基板52の主面の全面に形成する。ポリイミド系樹脂66の形成方法としてスピンコート法を用いれば、均一な膜厚を形成することができる。
【0092】
次に、ポリイミド系樹脂66の上面から、露光、現像を行い、そして熱硬化させる。これにより、図8Cに示すように、IDT電極53を囲む側壁55を形成することができる。この工程においては、側壁55を、所定の形状に加工した後、必要に応じて加熱処理を施し、材料の硬化を促進させる。
【0093】
次に、図9Aに示す様に、蓋体57となる金属箔67を、接着剤68を介して側壁55の上面に貼り付ける。そして、その上からレジスト(図示せず)を用いて、フォトリソグラフィにより金属箔67を所定のパターン形状にエッチングし、レジストを除去する。その後、接着剤68の不要部分をドライエッチングにて除去することで、図9Bに示す様に、蓋体57と接着層56とによって、IDT電極53上の空間58を覆う構成を得ることができる。
【0094】
なお、側壁55の上面の全面に蓋体57と接着層56とを残さないことが望ましい。すなわち、上方から見て、蓋体57と接着層56とが、側壁55の上面の外縁部より内側に形成されていることが好ましい。これは、上方から見て蓋体57と接着層56が側壁55の上面より外側に突出していると、この後に下地層をスパッタ形成する際、側壁55の外側面や、側壁55と圧電基板52との境界部に下地層が付着しにくくなるという問題が生じ得るからである。
【0095】
次に、図9Cに示す様に、内部電極54、側壁55、および、蓋体57の上面側を覆う下地層を、スパッタにより形成する。そして、形成した下地層の上面に、追って電解メッキ成長により形成する接続電極62および蓋体補強層64以外の部分に、フォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成する。この下地層の内、蓋体57の上面に形成された部分が蓋体下地層63となり、内部電極54の上面に形成された部分が電極下地層59となる。
【0096】
次に、図10Aに示す様に、接続電極62を形成する。具体的には、側壁55上面の電極下地層59において、接続電極62を形成しない部分にレジストを形成した状態で、電極下地層59上面の接続電極62を形成する部分に、一度目の電解メッキ処理を施して、接続電極62の一部を形成する。このとき、蓋体下地層63の上面にも電解メッキ処理を施して、蓋体補強層64を形成する。
【0097】
一度目の電解メッキ処理後、蓋体補強層64上面と、一度目の電解メッキ処理で形成された接続電極62の上面で、二度目の電解メッキ処理を行わない部分とにレジストを形成する。その後、接続電極62の一部に二度目の電解メッキ処理を施して、接続電極62の残り部分を形成する。
【0098】
次に、側壁55の上面と蓋体57の側面に形成されたレジストを剥離液で取り除き、下地層をエッチングで除去する。
【0099】
その後、図10Bに示す様に、接続電極62と蓋体補強層64の上面にフォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成し、蒸着技術を用いて、露出した側壁55の上面、蓋体57の側面、および圧電基板52の上面にポリシラザンからなる無機絶縁膜70を形成する。このポリシラザンは、(SiH2NH)−、を基本ユニットとする無機ポリマを含む。ポリシラザンは、焼成した後、常温になると緻密な酸化シリコン膜へ転化する。
【0100】
次に、剥離液中で素子を浸漬・揺動させて、レジストパターンを剥離する。このとき、レジストを形成せずに、素子上面全体にポリシラザンを蒸着することで、最終形態として、図11に示す弾性波素子81の様に、蓋体補強層64の上面や接続電極62の側面にも無機絶縁膜70を有する構成としても良い。図11は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子のさらに別の例を示す断面模式図である。弾性波素子81の構成によっても、湿気が、蓋体57と側壁55の間や、圧電基板52と絶縁体60との間等を通過して、IDT電極53上の空間58に浸入することをさらに防止できる。また、無機絶縁膜70によって、放熱性をさらに向上させることができる。
【0101】
次に、図10Cに示す様に、接続電極62の上面を露出させながら、圧電基板52上面の無機絶縁膜70の上部、および圧電基板52主面上の構造物を覆う絶縁体60を形成する。この絶縁体60の形成方法としては、印刷工法を用いる。
【0102】
最後に、接続電極62と電気的に接続される外部電極61を、接続電極62の上面に形成する。そして、ダイシングにより圧電基板52および絶縁体60を同時に切断することにより、集合基板から個片の弾性波素子51を得る。
【0103】
次に、第2の実施の形態における弾性波素子51,71,81を弾性波フィルタに適用したときの、内部電極54、側壁55、蓋体57および無機絶縁膜70のパターン配置について、図面を参照しながら説明する。
【0104】
図12は、本発明の第2の実施の形態における、弾性波フィルタの内部電極54、側壁55、蓋体57および無機絶縁膜70のパターン配置を示す上面透視図である。なお、図12において、蓋体補強層64、絶縁体60、接続電極62等は省略して示している。
【0105】
弾性波素子51,71,81を適用した弾性波フィルタ32は、ラダー型フィルタである。弾性波フィルタ32は、圧電基板52の表面に、2個のパッド用内部電極54a、配線用内部電極54b、複数の直列IDT電極53a、グランド用内部電極54c、および、並列IDT電極53bを備えている。
【0106】
2個のパッド用内部電極54aは、入出力端子(図示せず)に接続されている。複数の直列IDT電極53aは、この2個のパッド用内部電極54aの間に、配線用内部電極54bを介して直列に接続されている。グランド用内部電極54cは、グランド端子(図示せず)に接続されている。並列IDT電極53bは、このグランド用内部電極54cと配線用内部電極54bの間に接続されている。
【0107】
図12に示す破線のうち、内側の破線は、蓋体57の配置を示す。この内側の破線に沿って蓋体57の側面に配置された無機絶縁膜70が存在する。さらに、内側の破線と外側の破線との間にも、側壁55の上面に配置された無機絶縁膜70が存在する。さらにまた、弾性波フィルタ32の外周縁部の斜線部分には、圧電基板52と絶縁体60(図示せず)との間に配置された無機絶縁膜70が存在する。
【0108】
図12に示すように、圧電基板52と絶縁体60との間に設けられた無機絶縁膜70は、湿気が弾性波素子51,71,81の外部から素子内部に浸入するのを防止する。側壁55と蓋体57との境界部に設けられた無機絶縁膜70は、素子内部に浸入した湿気がIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制する。したがって、弾性波素子51,71,81の耐湿性を向上することができる。
【0109】
なお、本実施の形態の弾性波素子51,71,81を、ラダー型フィルタだけでなくDMS(Double Mode SAW)フィルタ等の他のフィルタに適用することもできる。さらに、弾性波素子51,71,81を適用したフィルタと、フィルタに接続された半導体集積回路素子(図示せず)と、半導体集積回路素子(図示せず)に接続された再生装置とを用いて、電子機器を構成することもできる。
【0110】
これにより、フィルタ、および、電子機器における通信品質劣化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上述べたように、本発明の弾性波素子は、弾性波素子の歩留まりを向上するという効果を有し、移動体通信機器等の電子機器等への適用も可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 弾性波素子
2 圧電基板
3 IDT電極
4 内部電極
5 側壁
6 接着層
7 蓋体
8 空間
9 電極下地層
10 絶縁体
11 外部電極
12a 第一接続電極
12b 第二接続電極
13 蓋体下地層
14 蓋体補強層
70 無機絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波素子、およびこれを用いた携帯電話等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の弾性波素子について、図面を用いて説明する。図13は、従来の弾性波素子の断面模式図である。
【0003】
従来の弾性波素子101は、圧電基板102、IDT(Inter−Digital Transducer)電極103、内部電極104、外部電極111、側壁105、蓋体107、絶縁体110および接続電極112を備えている。
【0004】
IDT電極103は、圧電基板102上に設けられている。内部電極104は、圧電基板102上に設けられ、IDT電極103と電気的に接続されている。外部電極111は、絶縁体110の上に設けられ、外部の回路と接続されている。接続電極112は、内部電極104上に、電極下地層109を介して形成されている。また、接続電極112は、絶縁体110を貫通するように設けられ、外部電極111と内部電極104とを電極下地層109を介して電気的に接続している。
【0005】
側壁105は、内部電極104上であって、IDT電極103の周囲に設けられている。蓋体107は、側壁105上に、接着層106を介して、IDT電極103上の空間108を覆うように設けられている。
【0006】
さらに、弾性波素子101は、蓋体107の上に蓋体下地層113を設け、蓋体下地層113の上に蓋体補強層114を形成することにより、蓋体107の補強を図っている。
【0007】
尚、この出願に関する先行文献として、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/106831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電極下地層109の上側に設置される接続電極112は、二回の電解メッキ処理によって形成される。接続電極112は、電極下地層109の上側であって、一度目の電解メッキ処理によって設けられた第一接続電極112aと、二度目の電解メッキ処理によって設けられる第二接続電極112bとから構成される。第二接続電極112bの水平断面形状(圧電基板102の主面に対し平行な断面の形状)は円形である。
【0010】
第二接続電極112bを形成する際には、二度目の電解メッキ処理を行う前に、第一接続電極112aとその周辺の上面に感光性レジストを形成する。次に、このレジストの上側であって、第一接続電極112aの上面部分に円形状のマスクを設け、マスクの上面から感光性レジストに光を当てて、このマスク周辺のレジストを固める。次に、現像液に浸してマスクの下部分のレジストを溶解して取り除くことにより、水平断面形状が円形である開口部を形成する。その後、二度目の電解メッキ処理を行うことによって、この開口部に第二接続電極112bを形成することができる。
【0011】
マスクの上面から感光性レジストに光を当てたとき、光は感光性のレジストを透過して第一接続電極112aの上面を照射する。照射した光は第一接続電極112aの上面の凹凸により反射され、その反射光がマスクの下部分のレジストを照射してしまう。
【0012】
円形状のマスクの下部分のレジストは、水平断面形状が円形の円柱体となる。この円柱体の周縁部の壁面が、第一接続電極112a上面の凹凸により反射された反射光をさらに反射する光源となってしまう。そして、円柱体の壁面により反射された光は円形状の水平断面の中心に集中し、円柱体の中心の縦軸に光の合点軸が形成される。
【0013】
このため、合点軸付近の感光性のレジストは、その合点軸に集中された光のエネルギーによって固まり、レジスト塊が形成されてしまう。その後、現像液に浸すことによってマスク下部分のレジストを溶解し、水平断面が円形状である開口部を形成しようとしても、合点軸付近で形成されたレジスト塊は溶解されずに開口部の中に残ってしまう。
【0014】
この結果、二度目の電解メッキ処理により開口部に形成される、第二接続電極112bの信頼性が低下して、弾性波素子の歩留まりが悪くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の弾性波素子は、圧電基板、IDT電極、内部電極、側壁、蓋体、電極下地層、および、接続電極を備えている。IDT電極は、圧電基板上に設けられている。内部電極は、圧電基板上に設けられ、IDT電極に電気的に接続されている。側壁は、内部電極上であって、IDT電極の周囲に設けられている。蓋体は、側壁上に、IDT電極上の空間を覆うように設けられている。電極下地層は、内部電極上であって、側壁の外側に設けられている。接続電極は、電極下地層上に設けられている。さらに、接続電極は、電極下地層上に設けられた第一接続電極と、第一接続電極上に設けられた第二接続電極とを有し、第二接続電極の水平断面形状が非円形状である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の弾性波素子においては、第二接続電極の水平断面形状を非円形状にしている。これにより、感光性レジストに光を当てて固めるとき、後に第二接続電極が形成されるべき部分において、合点軸に反射光が集中して感光性レジスト塊が形成されることを防止することができる。よって、第二接続電極の形成信頼性を高め、弾性波素子の歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の断面模式図
【図2A】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2B】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2C】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図2D】本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極の断面形状を示す図
【図3A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図3B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図3C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5A】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5B】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5C】本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の断面模式図
【図7】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の別の例を示す断面模式図
【図8A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図8B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図8C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図9C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10A】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10B】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図10C】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の製造工程を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態における弾性波素子のさらに別の例を示す断面模式図
【図12】本発明の第2の実施の形態における、弾性波フィルタの内部電極、側壁、蓋体および無機絶縁膜のパターン配置を示す上面透視図
【図13】従来の弾性波素子の断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子の断面模式図である。
【0020】
弾性波素子1は、チップサイズパッケージ素子である。弾性波素子1は、圧電基板2と、圧電基板2の上面(主面)に設けられたIDT(Inter−Digital Transducer)電極3と、IDT電極3を外部環境から保護すべく、IDT電極3を覆うように圧電基板2上に形成された絶縁体10とを備えている。
【0021】
弾性波素子1は、さらに、内部電極4、側壁5、蓋体7、接着層6、蓋体下地層13、蓋体補強層14、電極下地層9、外部電極11、および、接続電極12を備えている。
【0022】
圧電基板2は、板厚100〜350μm程度の単結晶圧電体を含む。圧電基板2は、例えば、水晶、タンタル酸リチウム系、ニオブ酸リチウム系、またはニオブ酸カリウム系の基板を用いることができる。
【0023】
IDT電極3は、膜厚0.1〜0.5μm程度の櫛形電極である。IDT電極3の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、もしくはモリブデンからなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0024】
内部電極4は、圧電基板2の上に設けられ、IDT電極3に電気的に接続されている。内部電極4は、IDT電極3と外部電極11とを電気的に接続する導体である。内部電極4の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、あるいは銀からなる単体金属、これらを主成分とする合金、またはそれらの金属の積層物を用いることができる。
【0025】
側壁5は、内部電極4の上面に設けられている。側壁5は、IDT電極3の周囲の少なくとも一部を囲む、高さが5〜15μm程度の壁である。側壁5の材料としては、所定の形状に加工することが容易なことから、樹脂を用いることができる。
【0026】
蓋体7は、側壁5の上に、IDT電極3上の空間8を覆うように設けられている。蓋体7は、接着層6を介して側壁5の上部に接着されることにより保持された、厚みが1〜10μm程度の天板である。蓋体7は、圧電基板2および側壁5とともにIDT電極3を収容している。蓋体7の材料として金属を用いると、機械的強度に優れるとともに、導電性を有するため、蓋体7の電位を制御することが可能となる。さらに、蓋体7の材料として銅を用いると、単結晶の圧電基板2と線膨張係数を実質的に等しくすることができる。
【0027】
接着層6は、蓋体7と側壁5との間に設けられている。接着層6は、厚みが1〜10μm程度の接着剤である。接着層6は、単位面積当たりの絶縁体10に対する接着力が側壁5よりも大きな材料から構成される。接着層6は、例えば、エポキシ系、ポリフェニレン系、もしくは、ブタジエン系の樹脂、またはこれらの混合樹脂を含んでいる。
【0028】
本明細書において、空間8とは、圧電基板2、側壁5および蓋体7によって囲まれた領域のことをいう。空間8は気密性を有し、その内部にIDT電極3を収容している。空間8内は、通常気圧の空気であってもよいが、減圧密封することで、IDT電極3の腐食を防止できる。
【0029】
蓋体補強層14は、メッキ金属を含み、蓋体7の機械的強度を向上するために、蓋体7の上に、蓋体下地層13を介して設けられている。蓋体補強層14は、蓋体下地層13の上面に電解メッキ処理により形成された、厚みが20〜40μm程度の層である。蓋体補強層14の材質としては、銅、金、銀、白金、もしくは、ニッケルからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金等を用いることができる。蓋体補強層14として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ、線膨張係数を圧電基板2と整合させることができる。
【0030】
蓋体下地層13は、蓋体7上に形成された金属薄膜であり、蓋体補強層14を形成する際の、電解メッキの下地となるものである。蓋体下地層13の材料としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。特に、チタンは密着性が高いので、蓋体下地層13の材料として好ましい。また、蓋体下地層13を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、蓋体補強層14が形成しやすい。
【0031】
絶縁体10は、圧電基板2上に、蓋体補強層14を覆うように形成されている。絶縁体10は、圧電基板2の主面上全体を覆うことにより、機械的衝撃等からIDT電極3等を保護する機能を有している。絶縁体10の材質として熱硬化性樹脂を用いれば、取り扱い性に優れる。また、絶縁体10の材料として、エポキシ樹脂を用いることが、耐熱性および気密性の点で好ましく、さらにエポキシ樹脂中に無機フィラーを含有させることが、線膨張係数を低減することができるので、さらに好ましい。無機フィラーとしては、アルミナ粉末、二酸化珪素粉末または酸化マグネシウム粉末等を用いることができる。なお、無機フィラーとしては、これらの粉末に限定されず、様々な無機系材料を使用することができる。この際、絶縁体10と圧電基板2との密着性を向上させるために、これらの間に無機絶縁膜を形成してもよい。
【0032】
電極下地層9は、内部電極4の上面、側壁5に対して空間8とは反対側、すなわち側壁5の外側の面、および、側壁5の上面の一部に設けられている。電極下地層9は金属薄膜である。電極下地層9の材質としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金等の、内部電極4よりもメッキ液溶解性の低い材質を用いることができる。特に、チタンは密着性が高いので電極下地層9として好ましい。また、電極下地層9を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、後述する接続電極12が形成しやすい。
【0033】
接続電極12は、電極下地層9を介して、内部電極4および側壁5上に電解メッキ処理により形成された電極である。接続電極12は、メッキ金属を含み、電極下地層9の上に絶縁体10を貫通するように設けられ、外部電極11とIDT電極3とを電気的に接続している。
【0034】
接続電極12は、二度の電解メッキ処理を行うことによって形成される。本明細書では、一度目の電解メッキ処理によって形成された部分を第一接続電極12a、二度目の電解メッキ処理によって形成された部分を第二接続電極12bと、それぞれ称する。一度目の電解メッキ処理によって形成される第一接続電極12aの水平断面(圧電基板2の主面に対し平行な断面)の形状については、任意の形状とすることができる。本実施の形態において、二度目の電解メッキ処理で形成される第二接続電極12bの水平断面は非円形状である。なお、接続電極12の形成で二度の電解メッキ処理を実施する理由は、弾性波素子1を基板に実装する際の衝撃を直接圧電基板2に加わることを避けるのを目的として、側壁5がこの衝撃緩和層となるように第二接続電極12と外部電極11を側壁5の上方に設けるためである。
【0035】
接続電極12の材料としては、銅、金、銀、白金、もしくは、ニッケルからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。接続電極12の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ線膨張係数を圧電基板2と整合させることができる。
【0036】
外部電極11は、絶縁体10の外部に形成され、接続電極12と電気的に接続する電極である。本実施の形態においては、外部電極11と側壁5との間に絶縁体10を形成しているので、外部電極11は側壁5とは直接接しない構成となっている。
【0037】
以上述べたように、本実施の形態の弾性波素子1においては、接続電極12の第二接続電極12bの水平断面を非円形状にしている。これによって、感光性レジストに光を当てて固める際に、後で二度目の電解メッキ処理によって第二接続電極12bが形成されるべき部分において、水平断面を円形状とした場合のように、反射光が集中して合点軸付近で光のエネルギーが高くなることを抑制することができる。その結果、第二接続電極12bの形成部分において、感光性レジスト塊が形成されることを防止し、第二接続電極12bの形成信頼性を高め、弾性波素子1の歩留まりを向上することができる。また、第二接続電極12bの水平断面を非円形状とすることで、第二接続電極12bと接続電極12との接触面積若しくは第二接続電極12bと第一接続電極11の接触面積が大きくなり、両者の接続信頼性が向上する。
【0038】
図2A〜Dは、本発明の第1の実施の形態における、第二接続電極12bの断面形状を示す図である。なお、図2A〜Dは、図1におけるAA断面の形状を示すものである。第二接続電極12bの断面形状を、非円形状であるとしているが、ここで、非円形状とは、円形状以外のすべての形状を含む。一例としては、第二接続電極12bの断面形状を、図2Aに示す四角形状、図2Bに示す、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状、図2Cに示す、十六角形以下の多角形状(図2Cの例は六角形状)、または、図2Dに示す、その周縁に35μm以上80μm以下の直線部を有する形状とすることができる。
【0039】
特に、第二接続電極12bの水平断面形状の周縁部を、35μm以上80μm以下の直線部を有する構成とする事で、第二接続電極12bの形成部分における感光性レジスト塊の形成を完全に防止することができ、弾性波素子1の歩留まりを大幅に向上することができる。なお、直線部以外の形状については、任意の形状とすることができ、図2Dに示した形状に限定されるものではない。
【0040】
次に、本発明の第1の実施の形態における弾性波素子1の製造方法について、以下に説明する。
【0041】
図3A〜C、図4A〜C、および、図5A〜Cは、第1の実施の形態における弾性波素子1の製造工程を示す図である。
【0042】
まず、図3Aに示すように、圧電基板2の表面に、レジストを用いたフォトリソグラフィ技術にて、複数のIDT電極3をスパッタ形成すると共に、内部電極4を蒸着形成する。
【0043】
次に、図3Bに示すように、感光性のポリイミド系樹脂16を圧電基板2の主面の全体に形成する。ポリイミド系樹脂16は、スピンコート法、ディスペンス法、またはスクリーン印刷法等の膜形成方法により形成する。ポリイミド系樹脂16は、IDT電極3および内部電極4を覆うように形成する。ポリイミド系樹脂16の形成方法としてスピンコート法を用いれば、均一な膜厚を形成することができる。
【0044】
次に、ポリイミド系樹脂16に対して、上面から露光、現像を行い、さらに熱硬化させる。これにより、図3Cに示すように、IDT電極3を囲む側壁5を形成することができる。なお、この工程では、側壁5を所定の形状に加工した後に、必要に応じて加熱処理を施して、材料の硬化を促進させる。
【0045】
次に、図4Aに示す様に、蓋体7となる金属箔17を、接着剤18を介して側壁5の上面に貼り付ける。そして、その上からレジスト(図示せず)を用いたフォトリソグラフィにより、金属箔17を所定のパターン形状にエッチングする。レジストを除去して、その後、接着剤18の不要部分をドライエッチングにて除去することで、図4Bに示す様な、蓋体7と接着層6によってIDT電極3上の空間8を覆う構成を得ることができる。
【0046】
なお、図4Bの構成において、側壁5の上面の全面に、蓋体7と接着層6とが残らないことが望ましい。すなわち、上方から見た場合に、蓋体7と接着層6とが、側壁5の上面の外縁部よりも内側に形成されていることが好ましい。これは、上方から見た場合に、蓋体7と接着層6とが、側壁5の上面より外側に突出していると、この後に下地層19をスパッタ形成する際に、側壁5の外側面や、側壁5と圧電基板2との境界部に、下地層19が付着しにくくなるという問題が生じ得るからである。
【0047】
次に、図4Cに示す様に、内部電極4、側壁5および蓋体7の上面側を覆う下地層19をスパッタにより形成する。そして、下地層19の上面の、次に電解メッキ成長により形成する、接続電極12および蓋体補強層14以外の部分に、フォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成する。この下地層19の内、蓋体7の上面に形成された部分が蓋体下地層13となり、内部電極4の上面に形成された部分が電極下地層9となる。
【0048】
次に、図5Aに示す様に、電極下地層9上に一度目の電解メッキ処理を施して、第一接続電極12aを形成する。このとき、同時に蓋体下地層13の上面にも電解メッキ処理を施して、蓋体補強層14を形成する。
【0049】
次に、図5Bに示す様に、第一接続電極12a上面と蓋体補強層14の上面に感光性のレジスト20を設ける。このレジスト20の上側であって、第一接続電極12a上面に対向する部分に、水平断面形状が非円形状であるマスク21を設ける。例えば、マスク21の水平断面形状は、図2A〜Dに示したような、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状、十六角形以下の多角形状、または、35μm以上80μm以下の直線部を有する形状とすることができる。
【0050】
次に、マスク21の上面よりレジスト20に光22を当てて、マスク21を設けた部分以外のレジスト20を固める。図5Bにおいて、光22の一部は、感光性レジスト20を透過して第一接続電極12aの上面を照射し、第一接続電極12aの上面の凹凸により反射される。そして、その反射光がマスク21の周辺(直下部分を含む)のレジストを照射してしまう。よって、レジスト壁面23が、第一接続電極12aの凹凸部分が反射した反射光をさらに反射する光源となってしまう可能性がある。
【0051】
ここで、マスク21の水平断面を、長軸と短軸の比が1.2以上の楕円形状とした場合、マスク21の直下部分のレジスト20は、水平断面が楕円形状の円柱体になる。したがって、レジスト壁面23が反射した反射光は水平断面で二つの焦点に分かれて集中する。その焦点各々での光エネルギーは、水平断面を円形とした場合に、その円中心に集中する光エネルギーよりも弱い。すなわち、楕円の焦点各々を通る反射光の光エネルギーを合わせても、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0052】
また、マスク21の水平断面形状を十六角形以下の多角形とした場合、マスク21の直下部分のレジスト20は、その水平断面形状が十六角形以下の多角柱体になる。したがって、レジスト壁面23に反射された光は、水平断面内の至るところで合点を形成し、その夫々の合点での光エネルギーは、水平断面を円形とした場合に、その円中心に集中する光エネルギーよりも弱い。よって、第一接続電極12aの上面の凹凸により反射された夫々の合点を通る反射光を合わせても、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0053】
さらに、マスク21の水平断面形状を、35μm以上80μm以下の直線部を有する形状としてもよいし、水平断面形状の重心から周囲までの距離が異なる形状としてもよい。これらの場合にも、レジスト壁面23に反射された反射光は、感光性のレジスト20を固める程度の光エネルギーまで至らないので、マスク21の直下部分にレジスト塊は形成されない。
【0054】
次に、図5Bまでの工程で製造された素子を現像液に浸し、上側にマスク21を設けた部分のレジスト20を溶解して取り除く。この結果、図5Cに示す様に、マスク21を設けた下方部分には、マスク21の水平断面形状に相当する水平断面形状を有する、開口部24が形成される。
【0055】
次に、二度目の電解メッキ処理を用いて、開口部24に第二接続電極12bを形成する。その水平断面形状は、上述のマスク21の水平断面形状と同様になる。
【0056】
なお、第二接続電極12bの水平断面面積を、第一接続電極12aの水平断面面積より小さくすることで、第一接続電極12aの上面に第二接続電極12bを確実に形成することができ、接続電極12の接続信頼性を向上することができるので、歩留まりを向上することができる。なお、第二接続電極12bの垂直断面形状(圧電基板2の主面に対し垂直な断面)は逆テーパー形状であることが望ましい。即ち、第二接続電極12bの水平断面積が上から下に向けて(即ち、圧電基板2に近づくにつれて)小さくなることが望ましい。これは、レジスト20の垂直断面形状を下から上に向けて広がるテーパ形状にすることで、第二接続電極12bを形成するためのレジスト20の穴へのメッキ液回りを良くし、二度目のメッキ処理におけるメッキ成長性を向上させるからである。
【0057】
次に、剥離液中で素子を浸漬・揺動させて、レジストパターンを剥離する。その後、接続電極12の上面を露出させながら、圧電基板2主面上の構造物を覆う絶縁体10を形成する。この絶縁体10の形成方法としては、印刷工法を用いる。
【0058】
最後に、接続電極12と電気的に接続される外部電極11を、接続電極12の上面に形成する。そして、ダイシングにより圧電基板2および絶縁体10を同時に切断することにより、集合基板から、図1に示したような、個片の弾性波素子1を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態の弾性波素子1を、ラダー型フィルタやDMSフィルタ等のフィルタに適用してもよい。さらに、弾性波素子1を適用したフィルタと、フィルタに接続された半導体集積回路素子と、半導体集積回路素子に接続された再生装置とを用いて電子機器を構成することも可能である。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子について図面を参照しながら説明する。
【0061】
図6は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の断面模式図である。
【0062】
図6に示した弾性波素子51は、チップサイズパッケージ素子である。弾性波素子51は、圧電基板52、IDT電極53、内部電極54、側壁55、蓋体57、蓋体補強層64、電極下地層59、外部電極61、接続電極62、絶縁体60、および、無機絶縁膜70を備えている。
【0063】
圧電基板52は、板厚100〜350μm程度の単結晶圧電体を含む。圧電基板52は、例えば、水晶、タンタル酸リチウム系、ニオブ酸リチウム系、またはニオブ酸カリウム系の基板である。
【0064】
IDT電極53は、圧電基板52の上面(主面)に設けられている。IDT電極53は、膜厚0.1〜0.5μm程度の櫛形電極である。IDT電極53の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、もしくは、モリブデンからなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0065】
内部電極54は、圧電基板52上に設けられ、IDT電極53に電気的に接続されている。内部電極54は、IDT電極53と外部電極61とを電気的に接続する導体である。内部電極54の材料としては、例えば、アルミニウム、銅もしくは銀からなる単体金属、これらを主成分とする合金、または、それらの金属の積層物を用いることができる。
【0066】
側壁55は、圧電基板52の上面または内部電極54の上面であって、IDT電極53の周囲に設けられている。側壁55は、IDT電極53の周囲の少なくとも一部を囲む、高さが5〜15μm程度の壁である。側壁55の材料としては、所定の形状に加工することが容易なことから樹脂を用いている。特に、側壁55の材料として感光性樹脂を用いることで、圧電基板52上に複数個の弾性波素子51を作るための側壁55を精度良く所望の形状に形成することが可能である。感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性エポキシ樹脂、または感光性アクリレート樹脂等、感光性を有する樹脂材料であれば、様々な材料を用いることが可能である。感光性ポリイミド樹脂を用いれば、ガラス転移点が高いので、高温環境下での信頼性を高くすることができる。
【0067】
蓋体57は、側壁55の上側に、IDT電極53上の空間58を覆うように設けられている。蓋体57は、側壁55の上部に接着により保持された天板であり、圧電基板52および側壁55とともに、その内側の空間58にIDT電極53を収容している。蓋体57の厚みは、1〜10μm程度である。
【0068】
接着層56は、例えばエポキシ樹脂等の、単位面積当たりの絶縁体60に対する接着力が、側壁55よりも大きい材料を含む。接着層56は、蓋体57と側壁55とを接着する。
【0069】
蓋体57として樹脂を用いる場合は、蓋体57と接着層56とが一体化され、所定の形状に加工することが容易な、感光性樹脂を含む接着シートを用いることが好ましい。感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性エポキシ樹脂、または感光性アクリレート樹脂等の、感光性を有する様々な材料を用いることができる。なお、感光性ポリイミド樹脂を用いれば、ガラス転移点が高いので、高温環境下での信頼性を高くすることができる。
【0070】
蓋体57として金属を用いる場合には、接着層56として、エポキシ系、ポリフェニレン系、もしくはブタジエン系の樹脂、またはこれらの混合樹脂を用いることができる。
【0071】
蓋体57として金属を用いた場合には、機械的強度に優れ、かつ導電性を有することにより蓋体57の電位を制御することができる。さらに、蓋体57として銅を用いると、単結晶の圧電基板52と線膨張係数を実質的に等しくすることができる。
【0072】
また、蓋体57としては箔状のものを用いることができる、この場合、蓋体57に、あらかじめ接着層56を形成しておき、その後に側壁55の上部に貼り付ける構成とすれば、製造上の取り扱いを便利にすることができる。
【0073】
本明細書において、圧電基板52、側壁55および蓋体57によって囲まれた領域のことを空間58と記す。この空間58は気密性を有するものであり、その内部にIDT電極53が収容されている。この空間58内は、通常気圧の空気であってもよいが、空間58内を減圧密封すれば、IDT電極53の腐食を防止することができる。
【0074】
蓋体下地層63は、蓋体57上に形成された金属薄膜である。蓋体下地層63の材料としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくは、マグネシウムからなる単体金属、または、これらを主成分とする合金を用いることができる。チタンを用いることにより、密着性を高くすることができる。また、蓋体下地層63を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすることにより、蓋体補強層64を形成しやすくできる。蓋体下地層63は、蓋体補強層64を形成する電解メッキの下地となるものである。
【0075】
蓋体補強層64はメッキ金属を含み、蓋体57の機械的強度を向上すべく、蓋体57の上に、蓋体下地層63を介して設けられている。蓋体補強層64は、蓋体下地層63の上面に、電解メッキ処理により厚みが20〜40μm程度となるように形成された層である。蓋体補強層64の材質としては、銅、金、銀、白金、もしくはニッケルからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等を用いることができる。蓋体補強層64の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ、線膨張係数を圧電基板52と整合させることができる。
【0076】
電極下地層59は、内部電極54の上面、側壁55に対して空間58の反対側、つまり側壁55の外側面、および、側壁55の上面の一部に設けられている。電極下地層59は金属薄膜であり、内部電極54上であって、側壁55の外側、すなわち、側壁55を基準として、空間58側とは逆側の、側壁55の外側面に形成されている。電極下地層59の材質としては、チタン、銅、ニッケル、クロム、もしくはマグネシウムからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等の、内部電極54よりもメッキ液に対する溶解性の低い材質を用いることができる。チタンを用いれば、密着性を高くすることができる。また、電極下地層59を、チタンの上部に銅を形成して2層構造にすると、後述する接続電極62が形成しやすい。
【0077】
絶縁体60は、有機樹脂を含み、IDT電極53を外部環境から保護するために、IDT電極53を覆うように圧電基板52上に形成されている。絶縁体60は、蓋体補強層64を覆うように形成されている。この絶縁体60の材質として、熱硬化性樹脂を用いれば、取り扱い性に優れる。特に、エポキシ樹脂が、耐熱性および気密性の点で好ましく、さらにエポキシ樹脂中に無機フィラーを含有させることにより、線膨張係数を低減することができる。無機フィラーとしては、アルミナ粉末、酸化シリコン粉末、または酸化マグネシウム粉末等を用いることができる。なお、無機フィラーとしては、これらの粉末に限定されず、様々な無機系材料を使用することができる。
【0078】
外部電極61は、絶縁体60の外部に形成され、接続電極62と電気的に接続する電極である。本実施の形態においては、外部電極61と側壁55との間に絶縁体60を形成しているので、外部電極61は側壁55とは直接接しない構成となっている。
【0079】
接続電極62はメッキ金属を含み、電極下地層59上に絶縁体60を貫通するように設けられ、外部電極61とIDT電極53とを電気的に接続している。接続電極62は、電極下地層59を介して、内部電極54上に電解メッキ処理により形成された電極である。接続電極62は、内部電極54と電気的に接続されている。接続電極62の材料としては、銅、金、銀、白金、もしくはニッケルからなる単体金属、またはこれらを主成分とする合金等を用いることができる。接続電極62の材料として銅を用いると、機械的強度に優れ、かつ線膨張係数を圧電基板52と整合させることができる。
【0080】
接続電極62が入出力端子に接続される場合は、接続電極62と、蓋体57、蓋体下地層63、および蓋体補強層64とは、後述する無機絶縁膜70の機能により、電気的に絶縁状態となる。一方、接続電極62がグランド端子に接続される場合は、接続電極62を、蓋体57、蓋体下地層63、および蓋体補強層64に接続することで、グランド電位の安定を図ることができる。
【0081】
弾性波素子51は、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間に、無機絶縁膜70を備えている。無機絶縁膜70は、少なくとも、絶縁体60側に面する、蓋体57と側壁55との境界部に設けられている。無機絶縁膜70は、有機樹脂と比較して、湿気を通しにくい特徴を有している。したがって、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間であって、少なくとも側壁55と蓋体57との境界部に無機絶縁膜70を形成することによって、湿気が蓋体57と側壁55の間を通過してIDT電極53上の空間58に浸入するのを防止する。その結果、弾性波素子51の耐湿性を向上させ、IDT電極53が腐食されることによる経時的な特性劣化を防止することができる。
【0082】
図6に示したように、弾性波素子51においては、無機絶縁膜70を、接続電極62の外側(すなわち、接続電極62に対して側壁55とは逆側)における、絶縁体60と圧電基板52との間にも形成している。ただし、この部分に無機絶縁膜70を形成することは、必須ではない。弾性波素子51においては、有機樹脂と比較して湿気を通しにくい金属からなる接続電極62と電極下地層59とを、側壁55の外側に設けている。これにより、絶縁体60と圧電基板52との間の湿気の浸入を防止することができる。
【0083】
無機絶縁膜70は、厚みが1μm〜10μm程度の保護膜である。無機絶縁膜70の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、および、酸化マグネシウム(MgO)のうち、少なくとも1つを含む材料を用いることができる。例えば、絶縁体60が酸化シリコンからなる無機フィラーを含む場合に、無機絶縁膜70を酸化シリコンとすると、無機絶縁膜70と絶縁体60との接着力を向上させることができる。このように、無機絶縁膜70に、絶縁体60に含有される無機フィラーと同質材料を含ませることにより、無機絶縁膜70と絶縁体60との接着性を向上させることができる。
【0084】
なお、蓋体57が金属の場合には、素子外部からの湿気は、蓋体57を通過しにくいが、接着層56を比較的容易に通過する。この場合には、無機絶縁膜70を、蓋体57と絶縁体60との間には形成せずに、接着層56と絶縁体60との間に形成する。これにより、湿気が接着層56を通してIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制することができる。また、蓋体57が有機樹脂の場合には、無機絶縁膜70を、蓋体57と絶縁体60との間全体に形成することにより、湿気が蓋体57を通してIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制することができる。
【0085】
また、無機絶縁膜70は、IDT電極53から発生する熱を素子外部に拡散させる作用も有する。例えば、側壁55が有機樹脂の場合、無機絶縁膜70は側壁55より熱の伝導性に優れているので、IDT電極53から生じる熱は、無機絶縁膜70を伝導して隣の接続電極62等に拡散される。この結果、弾性波素子51の放熱性を向上させることができる。
【0086】
次に、本発明の第2の実施の形態における、弾性波素子の別の構成例について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子の別の例を示す、断面模式図である。
【0087】
図7に示す弾性波素子71は、図6に示した弾性波素子51と比較して、接続電極62を含まない点で異なる。また、弾性波素子71は、絶縁体60と蓋体57との間、および、絶縁体60と側壁55との間にそれぞれ無機絶縁膜70を備えると共に、圧電基板52と絶縁体60との間にも無機絶縁膜70を備える。弾性波素子71の構成によっても、湿気が、蓋体57と側壁55の間や、圧電基板52と絶縁体60との間等を通過して、IDT電極53上の空間58に浸入することを防止できる。また、無機絶縁膜70によって、放熱性を向上させることができる。
【0088】
次に、第2の実施の形態における弾性波素子51の製造方法について、図面を用いて説明する。
【0089】
図8A〜C、図9A〜C、および、図10A〜Cは、それぞれ、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子51の製造工程を示す図である。
【0090】
まず、図8Aに示すように、圧電基板52の表面に、レジストを用いたフォトリソグラフィ技術にて、複数のIDT電極53をスパッタ形成すると共に、内部電極54を蒸着形成する。
【0091】
次に、図8Bに示すように、感光性のポリイミド系樹脂66を圧電基板52上に、スピンコート法、ディスペンス法、またはスクリーン印刷法等の膜形成方法により形成する。ポリイミド系樹脂66は、IDT電極53および内部電極54を覆うように、圧電基板52の主面の全面に形成する。ポリイミド系樹脂66の形成方法としてスピンコート法を用いれば、均一な膜厚を形成することができる。
【0092】
次に、ポリイミド系樹脂66の上面から、露光、現像を行い、そして熱硬化させる。これにより、図8Cに示すように、IDT電極53を囲む側壁55を形成することができる。この工程においては、側壁55を、所定の形状に加工した後、必要に応じて加熱処理を施し、材料の硬化を促進させる。
【0093】
次に、図9Aに示す様に、蓋体57となる金属箔67を、接着剤68を介して側壁55の上面に貼り付ける。そして、その上からレジスト(図示せず)を用いて、フォトリソグラフィにより金属箔67を所定のパターン形状にエッチングし、レジストを除去する。その後、接着剤68の不要部分をドライエッチングにて除去することで、図9Bに示す様に、蓋体57と接着層56とによって、IDT電極53上の空間58を覆う構成を得ることができる。
【0094】
なお、側壁55の上面の全面に蓋体57と接着層56とを残さないことが望ましい。すなわち、上方から見て、蓋体57と接着層56とが、側壁55の上面の外縁部より内側に形成されていることが好ましい。これは、上方から見て蓋体57と接着層56が側壁55の上面より外側に突出していると、この後に下地層をスパッタ形成する際、側壁55の外側面や、側壁55と圧電基板52との境界部に下地層が付着しにくくなるという問題が生じ得るからである。
【0095】
次に、図9Cに示す様に、内部電極54、側壁55、および、蓋体57の上面側を覆う下地層を、スパッタにより形成する。そして、形成した下地層の上面に、追って電解メッキ成長により形成する接続電極62および蓋体補強層64以外の部分に、フォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成する。この下地層の内、蓋体57の上面に形成された部分が蓋体下地層63となり、内部電極54の上面に形成された部分が電極下地層59となる。
【0096】
次に、図10Aに示す様に、接続電極62を形成する。具体的には、側壁55上面の電極下地層59において、接続電極62を形成しない部分にレジストを形成した状態で、電極下地層59上面の接続電極62を形成する部分に、一度目の電解メッキ処理を施して、接続電極62の一部を形成する。このとき、蓋体下地層63の上面にも電解メッキ処理を施して、蓋体補強層64を形成する。
【0097】
一度目の電解メッキ処理後、蓋体補強層64上面と、一度目の電解メッキ処理で形成された接続電極62の上面で、二度目の電解メッキ処理を行わない部分とにレジストを形成する。その後、接続電極62の一部に二度目の電解メッキ処理を施して、接続電極62の残り部分を形成する。
【0098】
次に、側壁55の上面と蓋体57の側面に形成されたレジストを剥離液で取り除き、下地層をエッチングで除去する。
【0099】
その後、図10Bに示す様に、接続電極62と蓋体補強層64の上面にフォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を形成し、蒸着技術を用いて、露出した側壁55の上面、蓋体57の側面、および圧電基板52の上面にポリシラザンからなる無機絶縁膜70を形成する。このポリシラザンは、(SiH2NH)−、を基本ユニットとする無機ポリマを含む。ポリシラザンは、焼成した後、常温になると緻密な酸化シリコン膜へ転化する。
【0100】
次に、剥離液中で素子を浸漬・揺動させて、レジストパターンを剥離する。このとき、レジストを形成せずに、素子上面全体にポリシラザンを蒸着することで、最終形態として、図11に示す弾性波素子81の様に、蓋体補強層64の上面や接続電極62の側面にも無機絶縁膜70を有する構成としても良い。図11は、本発明の第2の実施の形態における弾性波素子のさらに別の例を示す断面模式図である。弾性波素子81の構成によっても、湿気が、蓋体57と側壁55の間や、圧電基板52と絶縁体60との間等を通過して、IDT電極53上の空間58に浸入することをさらに防止できる。また、無機絶縁膜70によって、放熱性をさらに向上させることができる。
【0101】
次に、図10Cに示す様に、接続電極62の上面を露出させながら、圧電基板52上面の無機絶縁膜70の上部、および圧電基板52主面上の構造物を覆う絶縁体60を形成する。この絶縁体60の形成方法としては、印刷工法を用いる。
【0102】
最後に、接続電極62と電気的に接続される外部電極61を、接続電極62の上面に形成する。そして、ダイシングにより圧電基板52および絶縁体60を同時に切断することにより、集合基板から個片の弾性波素子51を得る。
【0103】
次に、第2の実施の形態における弾性波素子51,71,81を弾性波フィルタに適用したときの、内部電極54、側壁55、蓋体57および無機絶縁膜70のパターン配置について、図面を参照しながら説明する。
【0104】
図12は、本発明の第2の実施の形態における、弾性波フィルタの内部電極54、側壁55、蓋体57および無機絶縁膜70のパターン配置を示す上面透視図である。なお、図12において、蓋体補強層64、絶縁体60、接続電極62等は省略して示している。
【0105】
弾性波素子51,71,81を適用した弾性波フィルタ32は、ラダー型フィルタである。弾性波フィルタ32は、圧電基板52の表面に、2個のパッド用内部電極54a、配線用内部電極54b、複数の直列IDT電極53a、グランド用内部電極54c、および、並列IDT電極53bを備えている。
【0106】
2個のパッド用内部電極54aは、入出力端子(図示せず)に接続されている。複数の直列IDT電極53aは、この2個のパッド用内部電極54aの間に、配線用内部電極54bを介して直列に接続されている。グランド用内部電極54cは、グランド端子(図示せず)に接続されている。並列IDT電極53bは、このグランド用内部電極54cと配線用内部電極54bの間に接続されている。
【0107】
図12に示す破線のうち、内側の破線は、蓋体57の配置を示す。この内側の破線に沿って蓋体57の側面に配置された無機絶縁膜70が存在する。さらに、内側の破線と外側の破線との間にも、側壁55の上面に配置された無機絶縁膜70が存在する。さらにまた、弾性波フィルタ32の外周縁部の斜線部分には、圧電基板52と絶縁体60(図示せず)との間に配置された無機絶縁膜70が存在する。
【0108】
図12に示すように、圧電基板52と絶縁体60との間に設けられた無機絶縁膜70は、湿気が弾性波素子51,71,81の外部から素子内部に浸入するのを防止する。側壁55と蓋体57との境界部に設けられた無機絶縁膜70は、素子内部に浸入した湿気がIDT電極53の空間58に浸入するのを抑制する。したがって、弾性波素子51,71,81の耐湿性を向上することができる。
【0109】
なお、本実施の形態の弾性波素子51,71,81を、ラダー型フィルタだけでなくDMS(Double Mode SAW)フィルタ等の他のフィルタに適用することもできる。さらに、弾性波素子51,71,81を適用したフィルタと、フィルタに接続された半導体集積回路素子(図示せず)と、半導体集積回路素子(図示せず)に接続された再生装置とを用いて、電子機器を構成することもできる。
【0110】
これにより、フィルタ、および、電子機器における通信品質劣化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上述べたように、本発明の弾性波素子は、弾性波素子の歩留まりを向上するという効果を有し、移動体通信機器等の電子機器等への適用も可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 弾性波素子
2 圧電基板
3 IDT電極
4 内部電極
5 側壁
6 接着層
7 蓋体
8 空間
9 電極下地層
10 絶縁体
11 外部電極
12a 第一接続電極
12b 第二接続電極
13 蓋体下地層
14 蓋体補強層
70 無機絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に設けられたIDT電極と、
前記圧電基板上に設けられ、前記IDT電極に電気的に接続された内部電極と、前記内部電極上であって、前記IDT電極の周囲に設けられた側壁と、
前記側壁上に、前記IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、
前記内部電極上であって、前記側壁の外側に設けられた電極下地層と、
前記電極下地層上に設けられた接続電極とを備え、
前記接続電極は、前記電極下地層上に設けられた第一接続電極と、前記第一接続電極上に設けられた前記第二接続電極とを有し、
前記第二接続電極の水平断面形状が非円形状である弾性波素子。
【請求項2】
前記第二接続電極の水平断面面積が、前記第一接続電極の水平断面面積よりも小さい、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項3】
前記非円形状は、楕円形状または多角形状である請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項4】
前記非円形状が、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状である請求項3に記載の弾性波素子。
【請求項5】
前記非円形状が、十六角形以下の多角形状である請求項3に記載の弾性波素子。
【請求項6】
前記非円形状が、周縁部が35μm以上80μm以下の直線部を有する形状である請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項7】
圧電基板と、
前記圧電基板上に設けられたIDT電極と、
前記圧電基板上であって、前記IDT電極の周囲に設けられた側壁と、
前記側壁上に、前記IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、
少なくとも前記蓋体と前記側壁との境界部に設けられた無機絶縁膜とを備えた弾性波素子。
【請求項8】
前記圧電基板、前記IDT電極、前記側壁、および前記蓋体を覆うように設けられた絶縁体をさらに備え、
前記無機絶縁膜が、前記絶縁体と前記圧電基板との間にも設けられた請求項7に記載の弾性波素子。
【請求項9】
前記絶縁体には無機フィラーが含有され、
前記無機絶縁膜の材質が、前記絶縁体の前記無機フィラーの材質と同じである請求項8に記載の弾性波素子。
【請求項10】
請求項1に記載の弾性波素子と、
前記弾性波素子に接続された半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子に接続された再生装置とを備えた電子機器。
【請求項11】
請求項7に記載の弾性波素子と、
前記弾性波素子に接続された半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子に接続された再生装置とを備えた電子機器。
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に設けられたIDT電極と、
前記圧電基板上に設けられ、前記IDT電極に電気的に接続された内部電極と、前記内部電極上であって、前記IDT電極の周囲に設けられた側壁と、
前記側壁上に、前記IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、
前記内部電極上であって、前記側壁の外側に設けられた電極下地層と、
前記電極下地層上に設けられた接続電極とを備え、
前記接続電極は、前記電極下地層上に設けられた第一接続電極と、前記第一接続電極上に設けられた前記第二接続電極とを有し、
前記第二接続電極の水平断面形状が非円形状である弾性波素子。
【請求項2】
前記第二接続電極の水平断面面積が、前記第一接続電極の水平断面面積よりも小さい、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項3】
前記非円形状は、楕円形状または多角形状である請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項4】
前記非円形状が、長軸と短軸の比が1.2以上である楕円形状である請求項3に記載の弾性波素子。
【請求項5】
前記非円形状が、十六角形以下の多角形状である請求項3に記載の弾性波素子。
【請求項6】
前記非円形状が、周縁部が35μm以上80μm以下の直線部を有する形状である請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項7】
圧電基板と、
前記圧電基板上に設けられたIDT電極と、
前記圧電基板上であって、前記IDT電極の周囲に設けられた側壁と、
前記側壁上に、前記IDT電極上の空間を覆うように設けられた蓋体と、
少なくとも前記蓋体と前記側壁との境界部に設けられた無機絶縁膜とを備えた弾性波素子。
【請求項8】
前記圧電基板、前記IDT電極、前記側壁、および前記蓋体を覆うように設けられた絶縁体をさらに備え、
前記無機絶縁膜が、前記絶縁体と前記圧電基板との間にも設けられた請求項7に記載の弾性波素子。
【請求項9】
前記絶縁体には無機フィラーが含有され、
前記無機絶縁膜の材質が、前記絶縁体の前記無機フィラーの材質と同じである請求項8に記載の弾性波素子。
【請求項10】
請求項1に記載の弾性波素子と、
前記弾性波素子に接続された半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子に接続された再生装置とを備えた電子機器。
【請求項11】
請求項7に記載の弾性波素子と、
前記弾性波素子に接続された半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子に接続された再生装置とを備えた電子機器。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−103645(P2011−103645A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231233(P2010−231233)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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