説明

弾性表面波フィルタ装置及び分波器

【課題】耐電力性に優れており、かつ小型化を進めることが可能な弾性表面波フィルタ装置を提供する。
【解決手段】不平衡信号端子3に並列にN個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7の各一端が接続されており、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7にM個(但しMは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8が縦続接続されており、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8が第1,第2の平衡信号端子4,5に接続されており、N>Mである縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯域フィルタとして用いられる弾性表面波フィルタ装置及び該弾性表面波フィルタ装置を用いた分波器に関し、より詳細には、複数の縦結合共振子型SAWフィルタが縦続接続されている弾性表面波フィルタ装置及び該弾性表面波フィルタ装置を用いた分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの移動体通信機器における帯域フィルタとして、弾性表面波フィルタが広く用いられている。また、弾性表面波フィルタを利用した分波器も種々提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、二重モード共振子型弾性表面波フィルタを用いた分波器が開示されている。図10は、特許文献1に記載の分波器の構造を示す模式的斜視図である。
【0004】
分波器501は、アンテナに接続される共通端子502と、送信側端子503と受信側端子504とを有する。共通端子502と、送信側端子503との間に第1のSAWフィルタ装置505が接続されており、共通端子502と受信側端子504との間に第2のSAWフィルタ装置506が接続されている。
【0005】
SAWフィルタ装置505では、複数のSAW共振子がラダー型回路を構成するように接続されている。他方、SAWフィルタ装置506は、第1,第2のSAWフィルタ507,508を有する。SAWフィルタ507,508は、3I型の共振子型のSAWフィルタであり、中央のIDTの各一端が共通接続され、共通端子502に接続されている。また、SAWフィルタ507,508の各外側のIDTの一端が共通接続され、第1の受信側端子504に接続されている。さらに、SAWフィルタ507,508の各外側のIDTの他端が共通接続され、第2の受信側端子509に接続されている。SAWフィルタ507,508から第1の受信側端子504に伝送される信号の位相と、SAWフィルタ507,508から第2の受信側端子509に伝送される信号との位相が180度異ならされており、従って、SAWフィルタ506は平衡−不平衡変換機能を有している。
【0006】
特許文献1に記載の分波器501では、受信側回路に挿入されるSAWフィルタ装置506が、2素子のSAWフィルタ507,508を並列接続した構造を有する。従って、挿入損失の低減、耐電力性の改善が図られるとされている。
【0007】
他方、特許文献2には、図11に示す構成を有する平衡−不平衡変換機能を有するSAWフィルタ装置が開示されている。
【0008】
SAWフィルタ装置511では、不平衡信号端子512と、第1,第2の平衡信号端子513,514との間に、図示のSAWフィルタ515〜517が接続されている。SAWフィルタ515は、IDT515a〜515cを有する。中央のIDT515bの一端が不平衡信号端子512に接続されている。IDT515aの一端が、SAWフィルタ516に接続されている。IDT515cの一端がSAWフィルタ517に接続されている。SAWフィルタ516,517は、それぞれ、第1,第2の平衡信号端子513,514に接続されている。ここでは、SAWフィルタ516を流れる信号の位相と、SAWフィルタ517を流れる信号の位相とが180度異ならされており、従って、平衡−不平衡変換機能が実現されている。
【特許文献1】特開2003−249842号公報
【特許文献2】特開2001−308672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のSAWフィルタ装置501では、受信側のSAWフィルタ装置506において、複数のSAWフィルタ507,508が並列接続されているため、通過帯域内における損失の低減及び耐電力性の改善を果たすことはできるものの、SAWフィルタ507,508が構成される圧電基板の寸法が大きくならざるを得なかった。すなわち、SAWフィルタ装置506が大きくならざるを得ず、ひいては分波器501も大きくならざるを得なかった。
【0010】
他方、特許文献2に記載のSAWフィルタ装置511では、平衡−不平衡変換機能を有するものの、SAWフィルタ516またはSAWフィルタ517を例えば携帯電話機の分波器の受信側フィルタとして用いた場合、耐電力性が十分でないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、大型化を招くことなく、耐電力性に優れた弾性表面波フィルタ装置及び該弾性表面波フィルタ装置を用いた分波器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の第1の発明によれば、圧電基板と、前記圧電基板上において弾性表面波伝播方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記IDTが設けられている領域の弾性表面波伝播方向両側に配置されている一対の反射器とを有するN個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタと、前記圧電基板上において弾性表面波伝搬方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記少なくとも2個のIDTを挟むように設けられた一対の反射器とを有するM個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとを備え、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタと第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、不平衡信号端子と、第1,第2の平衡信号端子とをさらに備えており、前記N個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタの一端が前記不平衡信号端子に接続されており、前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタの一端が第1の平衡信号端子に、他端が第2の平衡信号端子に接続されており、N>Mであることを特徴とする、弾性表面波フィルタ装置が提供される。
【0013】
本願の第2の発明によれば、圧電基板と、前記圧電基板上において弾性表面波伝播方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記IDTが設けられている領域の弾性表面波伝播方向両側に配置されている一対の反射器とを有するN個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタと、前記圧電基板上において弾性表面波伝搬方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記少なくとも2個のIDTを挟むように設けられた一対のIDTとを有するM個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとを備え、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタと第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、入力信号端子と、出力信号端子とをさらに備えており、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが前記入力信号端子に接続されており、前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタが出力信号端子に接続されており、N>Mであることを特徴とする弾性表面波フィルタ装置が提供される。
【0014】
第1,第2の発明(本発明)のある特定の局面では、上記弾性表面波フィルタは、分波器の受信用フィルタである。この場合には、耐電力性に優れ、ノイズ耐性に優れ、小型の分波器を提供することができる。
【0015】
第1の発明のある特定の局面では、Nが偶数であり、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが、N/2個の第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタと、N/2個の第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタとを有し、第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタにおける入力信号に対する出力信号の位相と、第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタにおける入力信号に対する出力信号の位相とが180°異なっており、Mが1であり、第2の縦結合共振子型SAWフィルタが、第1,第2の入力端を有し、第1の入力端が、前記第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタの出力端に接続されており、前記第2の入力端が前記第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタの出力端に接続されている。この場合には、出力側のバランス性を高めることができる。
【0016】
本発明の弾性表面波フィルタ装置の他の特定の局面では、上記Nは4以上とされる。Nが4以上である場合には、耐電力性をさらに高めることができる。
【0017】
本発明に係る弾性表面波フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが5個のIDTを有する。この場合には、5IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタを用いるため、耐電力性をより一層高めることができる。
【0018】
第1の発明に係る弾性表面波フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタが3個のIDTを有し、3個のIDTの内、弾性表面波伝搬方向中央に位置しているIDTが弾性表面波伝搬方向に分割されて設けられた第1,第2の分割IDT部を有し、前記第1分割IDT部の一端と、第2分割IDT部の一端とが電気的に接続されており、第1分割IDT部の他端と、第2分割IDT部とが、それぞれ、第1,第2の平衡信号端子に接続されている。この場合には、より一層の小型化を図ることができ、かつ小型化に適した電極レイアウトを用いることができる。
【0019】
また、本発明に係る分波器は、本発明に従って構成された弾性表面波フィルタ装置を分波器用受信用フィルタとして備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明に係る弾性表面波フィルタ装置では、N個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタと、M個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、不平衡信号端子に第1の縦結合共振子型SAWフィルタの各一端が接続されており、第2の縦結合共振子型SAWフィルタの一端が第1の平衡信号端子に、他端が第2の平衡信号端子に接続されており、N>Mとされているため、平衡−不平衡変換機能を有するだけでなく、大型化を招くことなく、耐電力性を高めることができる。
【0021】
すなわち、複数の第1の縦結合共振子型SAWフィルタが不平衡信号端子に並列接続されているため、耐電力性を高めることができる。また、上記不平衡信号端子に接続される第1の縦結合共振子型SAWフィルタを複数設ければよく、第1,第2の平衡信号端子に接続される第2の縦結合共振子型SAWフィルタの数を少なくすることができ、従って、チップサイズの大型化を招くことなく、耐電力性を高めることが可能となる。
【0022】
第2の発明に係る弾性表面波フィルタ装置では、N個(Nは2以上の整数)の縦結合共振子型SAWフィルタと、M個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、複数の第1の縦結合共振子型SAWフィルタが入力信号端子に並列に接続されており、第2の縦結合共振子型SAWフィルタが出力信号端子に接続されており、N>Mとされているため、第1の発明と同様に、チップサイズの大型化を招くことなく、耐電力性を高めることができる。
【0023】
本発明に係る分波器では、本発明の弾性表面波フィルタを受信用フィルタとして用いているため、耐電力性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の模式的平面図である。
【0026】
弾性表面波フィルタ装置1は、PCS方式の携帯電話機の受信側帯域フィルタとして設計されている。通過帯域は1930〜1990MHzである。
【0027】
本実施形態の弾性表面波フィルタ装置1は、圧電基板2を有する。圧電基板2は、本実施形態では、42°回転YカットX伝搬のLiTaO基板である。もっとも、圧電基板2は、他の結晶角の圧電単結晶、あるいは圧電セラミックスにより構成され得る。
【0028】
圧電基板2上に、Alを主成分とする電極を形成することにより、弾性表面波フィルタ装置1が構成されている。図1は、この電極構造を模式的に平面図で示している。
【0029】
弾性表面波フィルタ装置1は、入力端子としての不平衡信号端子3と、出力端子として第1,第2の平衡信号端子4,5とを有し、不平衡信号端子3と、第1,第2の平衡信号端子4,5との間に、図示の電極構造が接続されている。
【0030】
すなわち、不平衡信号端子3には、2個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7の各一端が共通接続されている。縦結合共振子型SAWフィルタ6,7は、それぞれ、弾性表面波伝播方向に配置された3個のIDT6a〜6c,7a〜7cを有する。IDT6a〜6cが設けられている部分の表面波伝播方向両側には反射器6d,6eが形成されている。同様に、縦結合共振子型SAWフィルタ7においても、反射器7d,7eが形成されている。
【0031】
IDT6a〜6cの内の中央のIDT6bと、IDT7a〜7cの内の中央のIDT7bとの各一端が共通接続されて、不平衡信号端子3に接続されている。IDT6b,7bの他端はグラウンド電位に接続されている。
【0032】
また、IDT6bからIDT6a,6cに流れる信号と、IDT7bからIDT7a,7cに伝播する信号の位相が180度異なるように、IDT6bの極性に対して、IDT7bの極性が逆とされている。
【0033】
上記第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7と、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8とが縦続接続されている。従って、本実施形態では、N=2であり、M=1である。
【0034】
第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8は、表面波伝播方向に沿って配置されたIDT8a〜8cを有し、IDT8a〜8cの設けられている部分の両側に反射器8d,8eが配置されている。すなわち、第2の縦結合共振子型SAWフィルタも、3IDT型の共振子型のSAWフィルタである。
【0035】
IDT6a,6cの各一端がグラウンド電位に接続され、各他端が共通接続され、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8のIDT8aに接続されている。
【0036】
IDT7a,7cの各一端はグラウンド電位に接続され、各他端が共通接続され、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8のIDT8cの一端に接続されている。
【0037】
ここでは、IDT8a,8cのIDT6a,6c、及びIDT7a,7cに接続されている側とは反対側の端部がグラウンド電位に接続されている。そして、中央のIDT8bの一端が第1の平衡信号端子4に、他端が第2の平衡信号端子5に接続されている。
【0038】
不平衡信号端子3に信号を入力した場合、第1,第2の平衡信号端子4,5から、出力信号を取り出すことが可能とされている。
【0039】
また、本実施形態では、不平衡信号端子3側のインピーダンスが50Ωとされており、出力端子としての平衡信号端子4,5側のインピーダンスが150Ωとなるように、縦結合共振子型SAWフィルタ6〜8の電極構造が設計されている。
【0040】
本実施形態の弾性表面波フィルタ装置1では、上記のように、不平衡信号端子3から信号が入力されると、第1,第2の平衡信号端子4,5から平衡信号出力を取り出すことができ、平衡−不平衡変換機能を有する帯域フィルタとして用いることができる。加えて、入力側のインピーダンスに対して、出力側のインピーダンスが150Ωと3倍の大きさとされているため、弾性表面波フィルタ装置1は、インピーダンス変換機能をも有している。
【0041】
加えて、本実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1は、不平衡信号端子3側において、N=2、すなわち2個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7を並列に接続した構造を有するため、耐電力性を効果的に高めることができる。しかも、帯域外減衰量についても、従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置にくらべて高めることができる。これを、図2及び図3を参照して説明する。
【0042】
比較のために、図2に示す比較例の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置601を用意した。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置601では、不平衡信号端子602と、第1,第2の平衡信号端子603,604との間に図示の電極構造が接続されている。すなわち、不平衡信号端子602に、2個の縦結合共振子型SAWフィルタ605,606が並列に接続されている。縦結合共振子型SAWフィルタ605,606は、IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタであり、中央のIDT605b,606bが不平衡信号端子602に接続されている。また、IDT605bとIDT606bとは、その極性が反転されている。
【0043】
IDT605a,605cが、第2の縦結合共振子型SAWフィルタのIDT607a,607cに接続されている。同様に、IDT606a,606cが、もう1つの第2の縦結合共振子型SAWフィルタ608のIDT608a,608cに接続されている。縦結合共振子型SAWフィルタ607,608は、3IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタであり、IDT607b,608bの各一端が共通接続されて、第1の平衡信号端子603に、各他端が共通接続されて第2の平衡信号端子604に接続されている。
【0044】
弾性表面波フィルタ装置601では、不平衡信号端子602側、すなわち入力端子側において、2個の縦結合共振子型SAWフィルタ605,606が共通接続されており、出力側、すなわち第1,第2の平衡信号端子603,604側においても、2個の縦結合共振子型SAWフィルタ607,608が並列に接続されている。従って、耐電力性は高められ、帯域外減衰量も改善される。しかしながら、図1と図2とを比較すれば明らかなように、出力端子側において多くの電極を形成しなければならず、使用する圧電基板、すなわちチップサイズの大型化を招くという問題があった。
【0045】
これに対して、本実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1では、出力端子側における縦結合共振子型弾性表面波フィルタの数を少なくすることができるので、チップサイズの小型化を図ることができる。
【0046】
また、図3は、上記本実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1のフィルタ特性を実線で示し、上記比較のために用意した従来例の縦結合共振子型弾性表面波装置601のフィルタ特性を破線で示す。
【0047】
図3から明らかなように、上記実施形態によれば、上記比較のために用意した従来例とほぼ同等のフィルタ特性の得られることがわかる。また、通過帯域内の低域側においては、SAWフィルタの数を低減したにも関わらず、本実施形態では、従来例に比べて、挿入損失が小さく、良好な特性が得られている。これは、上記実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1では、出力側におけるインピーダンスが入力側インピーダンスの3倍の150Ωとされているが、出力側に配置されている縦結合共振子型SAWフィルタが1素子であるので高インピーダンス化が容易であるためと考えられる。
【0048】
上記実施形態では、不平衡信号端子3に接続されるN個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ6,7は2個、すなわち偶数であり、N/2個の第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタ6と、N/2個の第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタ7とを有することになるため、第1の平衡信号端子4と第2の平衡信号端子5とで取り出される平衡信号出力のバランス性を高めることができる。もっとも、本実施形態及び以下の実施形態においても、N個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタは、第1の平衡信号端子に接続される側と、第2の平衡信号端子に接続される側とで数が異なっていてもよい。さらに、奇数個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタを不平衡信号端子3に接続した構造であってもよい。
【0049】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。
【0050】
本実施形態の縦結合共振子型弾性表面波装置21は、2個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ22,23の電極構造が異なることを除いては、第1の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1と同様に構成されている。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することによりその説明を省略する。
【0051】
第1の縦結合共振子型SAWフィルタ22,23は、3IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタであり、縦結合共振子型SAWフィルタ22から出力される信号の位相と、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ23から出力される信号の位相が180度異なるように、IDT間ギャップの大きさが異ならされている。より具体的には、縦結合共振子型SAWフィルタ22のIDT22a〜22cにおけるIDT−IDT間のギャップの大きさに比べて、縦結合共振子型SAWフィルタ23のIDT23a〜23cにおけるIDT−IDT間のギャップ、すなわち電極指中心間距離が、0.5λ(λは表面波の波長を示す)大きくされている。従って、IDT22b,23bは同じ極性を有するが、IDT22a,22cで受信される信号の位相と、IDT23a,23cで受信される信号の位相とが反転されていることになる。
【0052】
平衡−不平衡変換機能を実現するために、第1,第2の平衡信号端子に流れる信号位相を180度異ならせる態様は、第2の実施形態のように、IDT間のギャップの大きさを調整するものであってもよい。
【0053】
なお、IDT22a〜22cが設けられている部分の表面波伝播方向両側には、反射器22d,22eが配置されている。縦結合共振子型SAWフィルタ23も同様に、反射器23d,23eを有する。
【0054】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、縦結合共振子型SAWフィルタ22,23、すなわち2個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ22,23が不平衡信号端子3に接続されることにより、耐電力性が高められ、しかも、出力端子側においては、1個の第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8のみが用いられているため、小型化を図ることができる。
【0055】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。
【0056】
第3の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置31では、4個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタフィルタ32,33,34,35が用いられていることを除いては、第1の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1と同様であり、従って同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、3IDT型の4個の縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35が不平衡信号端子3に接続されている。
【0058】
そして、上記4個の縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35に、1個の第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8が縦続接続されている。すなわち、N=4であり、M=1である。
【0059】
より具体的には、縦結合共振子型SAWフィルタ32,33の中央のIDT32b,33bが共通接続され、不平衡信号端子3に接続されている。同様に、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ34,35の中央のIDT34b,35bが共通接続され、不平衡信号端子3に接続されている。他方、縦結合共振子型SAWフィルタ32,33から出力される信号の位相と、縦結合共振子型SAWフィルタ34,35から出力される信号の位相が180度異なるように、縦結合共振子型SAWフィルタ32,33のIDT32b,33bと、縦結合共振子型SAWフィルタ34,35の中央のIDT34b,35bの極性が反転されている。そして、IDT32a,32c,33a,33cが共通接続され、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8のIDT8aの一端に接続されている。
【0060】
他方、縦結合共振子型SAWフィルタ34,35のIDT34a,34c及び35a,35cの一端が共通接続され、IDT8cの一端に接続されている。
【0061】
従って、本実施形態においても、入力端子としての不平衡信号端子3側に、多くの、すなわち4個の縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35が接続されているので、耐電力性が効果的に高められている。
【0062】
他方、出力端子側、すなわち第1,第2の平衡信号端子4,5側においては、1個の第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8のみが用いられているため、圧電基板のサイズ及びチップサイズの小型化を図ることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、不平衡信号端子に、4個の、すなわち偶数個の縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35を接続したが、3個などの奇数個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタを不平衡信号端子3に並列に接続してもよい。
【0064】
また、縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35から同相の信号が出力されるように構成されてもよい。その場合には、IDT8aから第1の平衡信号端子4に流れる信号と、IDT8cから第2の平衡信号端子5に流れる信号との位相が180度異なるように、第2の縦結合共振子型SAWフィルタを構成すればよい。すなわち、IDT8aとIDT8cの極性を反転させたり、IDT8a−IDT8b間と、IDT8b−IDT8c間のギャップの大きさを0.5λ異ならせたりすることにより、平衡出力信号を平衡信号端子4,5から取り出すことができる。
【0065】
また、第3の実施形態において、IDT32a,32c,33a,33cの出力を、IDT8bの他端に、縦結合共振子型SAWフィルタ34a,34c,35a,35cの出力を、IDT8bの他端に接続し、第1,第2の平衡信号端子4,5を、それぞれ、IDT8a,8cに接続してもよい。
【0066】
また、第3の実施形態では、不平衡信号端子3側に4個の縦結合共振子型SAWフィルタ32〜35が接続されており、出力端子としての、第1,第2の平衡信号端子4,5側には、1個の縦結合共振子型SAWフィルタ8が接続されていたが、N>Mを満たす限り、2個以上の第2の縦結合共振子型SAWフィルタが第1,第2の平衡信号端子4,5に並列に接続されていてもよい。
【0067】
図6は、第1の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の変形例を説明するための模式的平面図である。
【0068】
図6に示す変形例の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置41では、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ42,43が3IDT型ではなく、5IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタであることを除いては、第1の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1と同様に構成されている。
【0069】
縦結合共振子型SAWフィルタ42は、表面波伝播方向に配置された5個のIDT42a〜42eを有する。IDT42a〜42eが設けられている部分の両側に反射器42f,42gが設けられている。
【0070】
縦結合共振子型SAWフィルタ43も同様に、5個のIDT43a〜43eと、反射器43f,43gとを有する。
【0071】
ここでは、中央のIDT42cと、両端のIDT42a,42eの各一端が共通接続され、不平衡信号端子3に接続されている。IDT42cのすぐ外側に位置しているIDT42b,42dの各一端が共通接続され、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8に接続されている。
【0072】
同様に、縦結合共振子型SAWフィルタ43では、中央のIDT43cと、両端に位置しているIDT43a,43eとが共通接続されて不平衡信号端子3に接続されており、IDT43b,43dの各一端が共通接続されて第2の縦結合共振子型SAWフィルタ8に接続されている。
【0073】
このように、第1の縦結合共振子型SAWフィルタは、3IDT型に限らず、5IDT型の縦結合共振子型SAWフィルタであってもよい。この場合には、IDTの数が増大しているので、素子の電気抵抗を小さくすることができ、それによって耐電力性をより一層高めることができる。
【0074】
また、本変形例によれば、第3の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置31を用いた場合に比べて、第1の縦結合共振子型SAWフィルタの数を低減することができるので、小型化を図ることができる。
【0075】
図7は、第4の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。
【0076】
第4の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置51では、不平衡信号端子3に、同一に構成された3IDT型の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ52,53が接続されている。すなわち、IDT52,53の中央のIDT52b,53bが不平衡信号端子3に接続されている。また、両側のIDT52a,52c,53a,53cが、縦結合共振子型SAWフィルタ54に接続されている。ところで、縦結合共振子型SAWフィルタ52,53は、それぞれ、反射器52d,52e,53d,53eを有する。
【0077】
本実施形態においては、2個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ52,53に、1個の第2の縦結合共振子型SAWフィルタ54が縦続接続されている。すなわち、N=2であり、M=1である。
【0078】
本実施形態では、IDT52bの極性と、IDT53bの極性とが反転されている。従って、IDT52a,52cから出力される信号の位相と、IDT53a,53cから出力される信号の位相とが180度異なっている。
【0079】
他方、本実施形態では、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ54は、表面波伝播方向に配置されたIDT54a,54b,54cと、反射器54d,54eとを有する。そして、IDT54a,54cの一端に、それぞれ、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ52,53が接続されている。
【0080】
中央のIDT54bは、第1のくし歯電極と、第1のくし歯電極に間挿し合う第2のくし歯電極を有するが、第2のくし歯電極が表面波伝播方向に2分割されて、第1,第2分割IDT部55,56が形成されている。第1分割IDT部55に、第1の平衡信号端子4が、第2分割IDT部56に第2の平衡信号端子5が接続されている。
【0081】
このように、第2の縦結合共振子型SAWフィルタにおいて、第1,第2分割IDT部55,56を設け、第1,第2分割IDT部55,56を第1,第2の平衡信号端子4,5にそれぞれ接続することにより、平衡出力を取り出してもよい。
【0082】
第1,第2分割IDT部55,56が、IDT54bの一方端側に位置しているため、同じ方向から第1,第2の平衡信号を取り出すことができ、従って信号端子を引き出すためのスペースを低減することができる。よって、本実施形態によれば、より一層の小型化を進めることができる。
【0083】
図8は、本発明の第5の実施形態としての分波器の電極構造を模式的に示す平面図である。
【0084】
本実施形態の分波器61では、アンテナ62に接続されるアンテナ端子63が設けられている。アンテナ端子63に送信側フィルタ装置64と、受信側フィルタ装置65とが接続されている。送信側フィルタ装置64は、図示のように、複数個の直列腕共振子64a〜64cと、複数個の並列腕共振子64d,64eとがラダー型回路を構成するように接続されているラダー型の弾性表面波フィルタ装置である。送信側フィルタ装置64のアンテナ端子63とは反対側の端部が送信側端子66に接続されている。
【0085】
他方、受信側フィルタ装置65は、整合回路67を介してアンテナ端子63に接続されている。この整合回路67に接続されている側の端子は不平衡信号端子3であり、不平衡信号端子3と、受信側端子としての第1,第2の平衡信号端子4,5とが設けられている。そして、受信側フィルタ装置65では、上記不平衡信号端子3と、平衡信号端子4,5との間に、上述した第1の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1が接続されている。
【0086】
従って、分波器61では、受信側フィルタ装置65において、大型化を招くことなく、耐電力性を高めることができるので、耐電力性に優れ、小型の分波器61を提供することが可能となる。
【0087】
なお、分波器61では、第1の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1を受信側フィルタ装置65に用いたが、第2〜第4の形態及び変形例及び本発明に従って構成される平衡−不平衡変換機能を有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置を、受信側フィルタ装置65に用いることができる。
【0088】
図9は、本発明の第6の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。
【0089】
縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置71では、入力端子72と、出力端子73との間に、複数の第1の縦結合共振子型SAWフィルタ74,75と、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ76とが接続されている。ここでは、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ74,75の数をN(Nは2以上の整数)とし、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ76の数をM(Mは1以上の整数)としたときに、N>Mとされている。そして、第1の縦結合共振子型SAWフィルタ74,75に、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ76が縦続接続されている。本実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置71は、平衡−不平衡変換機能を有するように構成されていないことを除いては、第1の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置1と同様である。
【0090】
すなわち、IDT74a〜74cと、IDT75a〜75cとは同一に構成されている。そして、第2の縦結合共振子型SAWフィルタ76のIDT76a,76cの各一端に、それぞれ、IDT74a,74c、及びIDT75a,75cが接続されている。中央のIDT76bの一端が出力端子73に、他端がグラウンド電位に接続されている。
【0091】
このように、入力端子72と出力端子73とを有し、平衡−不平衡変換機能を有しないフィルタ装置にも本発明を適用することができる。その場合においても、入力端子72側において、N個の縦結合共振子型SAWフィルタ74,75が接続されているので、耐電力性を高めることができる。また、出力端子73側においては、M個の縦結合共振子型SAWフィルタを配置すればよいため、小型化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置を説明するための模式的平面図。
【図2】比較のために用意した従来例の縦結合共振子型弾性表面波フィルタの回路構成を示す模式的平面図。
【図3】第1の実施形態及び従来例の縦結合共振子型弾性表面波フィルタのフィルタ特性を示す図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【図6】第1の実施形態の変形例に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【図8】本発明の第5の実施形態としての分波器を説明するための模式的平面図。
【図9】本発明の第6の実施形態の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【図10】従来の回路構成の一例を示す模式的平面図。
【図11】従来の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図。
【符号の説明】
【0093】
1…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
2…圧電基板
3…不平衡信号端子
4,5…第1,第2の平衡信号端子
6,7…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
6a〜6c…IDT
6d,6e…反射器
7a〜7c…IDT
7d,7e…反射器
8…第2の縦結合共振子型SAWフィルタ
8a〜8c…IDT
8d,8e…反射器
21…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
22…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
22a〜22c…IDT
22d,22e…反射器
23…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
23a〜23c…IDT
23d,23e…反射器
31…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
32〜35…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
32a〜32c…IDT
33a〜33c…IDT
34a〜34c…IDT
35a〜35c…IDT
41…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
42…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
42a〜42e…IDT
42f,42g…反射器
43…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
43a〜43e…IDT
43f,43g…反射器
51…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
52…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
52a〜52c…IDT
52d,52e…反射器
53…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
53a〜53c…IDT
53d,53e…反射器
54…第2の縦結合共振子型SAWフィルタ
54a〜54c…IDT
54d,54e…反射器
55…第1の分割IDT部
56…第2の分割IDT部
61…分波器
62…アンテナ
63…アンテナ端子
64…送信側フィルタ装置
64a〜64c…直列腕共振子
64d,64e…並列腕共振子
65…受信側フィルタ装置
66…送信端子
67…整合回路
71…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ装置
72…入力端子
73…出力端子
74,75…第1の縦結合共振子型SAWフィルタ
74a〜74c…IDT
75a〜75c…IDT
76…第2の縦結合共振子型SAWフィルタ
76a〜76c…IDT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上において弾性表面波伝播方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記IDTが設けられている領域の弾性表面波伝播方向両側に配置されている一対の反射器とを有するN個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタと、
前記圧電基板上において弾性表面波伝搬方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記少なくとも2個のIDTを挟むように設けられた一対の反射器とを有するM個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとを備え、
前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタと第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、
不平衡信号端子と、第1,第2の平衡信号端子とをさらに備えており、
前記N個の第1の縦結合共振子型SAWフィルタの一端が前記不平衡信号端子に接続されており、前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタの一端が第1の平衡信号端子に、他端が第2の平衡信号端子に接続されており、N>Mであることを特徴とする、弾性表面波フィルタ装置。
【請求項2】
圧電基板と、
前記圧電基板上において弾性表面波伝播方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、
前記IDTが設けられている領域の弾性表面波伝播方向両側に配置されている一対の反射器とを有するN個(Nは2以上の整数)の第1の縦結合共振子型SAWフィルタと、
前記圧電基板上において弾性表面波伝搬方向に沿って配置されている少なくとも2個のIDTと、前記少なくとも2個のIDTを挟むように設けられた一対のIDTとを有するM個(Mは1以上の整数)の第2の縦結合共振子型SAWフィルタとを備え、
前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタと第2の縦結合共振子型SAWフィルタとが縦続接続されており、
入力信号端子と、出力信号端子とをさらに備えており、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが前記入力信号端子に接続されており、前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタが出力信号端子に接続されており、N>Mであることを特徴とする弾性表面波フィルタ装置。
【請求項3】
分波器の受信用フィルタである、請求項1または2に記載の弾性表面波フィルタ装置。
【請求項4】
Nが偶数であり、前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが、N/2個の第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタと、N/2個の第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタとを有し、
第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタにおける入力信号に対する出力信号の位相と、第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタにおける入力信号に対する出力信号の位相とが180°異なっており、
Mが1であり、第2の縦結合共振子型SAWフィルタが、第1,第2の入力端を有し、第1の入力端が、前記第1のグループの縦結合共振子型SAWフィルタの出力端に接続されており、前記第2の入力端が前記第2のグループの縦結合共振子型SAWフィルタの出力端に接続されている、請求項1に記載の弾性表面波フィルタ装置。
【請求項5】
Nが4以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1の縦結合共振子型SAWフィルタが5個のIDTを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ装置。
【請求項7】
前記第2の縦結合共振子型SAWフィルタが3個のIDTを有し、3個のIDTの内、弾性表面波伝搬方向中央に位置しているIDTが弾性表面波伝搬方向に分割されて設けられた第1,第2の分割IDT部を有し、
前記第1分割IDT部の一端と、第2分割IDT部の一端とが電気的に接続されており、第1分割IDT部の他端と、第2分割IDT部とが、それぞれ第1,第2の平衡信号端子に接続されている、請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ装置が受信用フィルタとして備えられていることを特徴とする、分波器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−189390(P2007−189390A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4611(P2006−4611)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】