説明

形態的秩序に基づく不整脈の自動多段階治療

不整脈の形態的秩序レベルに基づいて頻脈性不整脈治療を選択する方法およびシステムが記載される。不整脈の形態的秩序レベルが心臓治療に関連付けられる。形態的秩序レベルは不整脈の心拍信号の形態に関係する。不整脈発作が検出され、不整脈発作の形態的秩序レベルが判定される。不整脈を処置するために、不整脈発作の形態的秩序レベルに関連付けられた心臓治療が実施される。例えば、遡及的なデータベース解析、患者治療の許容範囲、および医師の入力の1項目以上に基づいて、形態的秩序レベルを心臓治療に関連付けることができる。関連付けは、静的であってもよい、治療効果に基づいて動的に調整されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、心臓治療の装置および方法に関し、特に頻脈性不整脈の形態的秩序に基づく頻脈性不整脈治療の自動選択に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な心臓機能は、心臓が一定の時間間隔で同期収縮することに依存している。心臓が正常に働いているときは、同期心収縮が洞房結節で始まり、心臓は正常な洞律動で動作していると言われる。しかし、心臓の収縮が不規則または無秩序になると、すなわち、収縮速度が速すぎたり遅すぎたりすると、心調律は不整脈であるとされる。心不整脈は、例えば、疾病過程によって発症する場合や、心臓組織で生じる異常な電気伝導パターンが原因で発症する場合がある。心不整脈は心臓のポンプ作用を損ない、ある種の心不整脈は生命を脅かすおそれがある。
【0003】
心臓の心房領域で発生する心不整脈は、上室性頻脈性不整脈(SVT)と呼ばれる。心房細動と心房粗動はSVTの例である。これらの状態はいずれも、急速で無秩序な心房の収縮によってポンプ作用が血行動態的に非効率的になることを特徴とする。
【0004】
SVTの別の例は洞頻脈で、これは運動や急激な情緒反応によって心拍数が増加するものである。心房細動および心房粗洞とは対照的に、洞頻脈は調和のとれた急速な心房の収縮によってポンプ作用が血行動態的に効率的で、運動や急激な情緒反応の際に身体にかかる余分な負担が補償されることを特徴とする。心房細動と心房粗動は「異常」であるが(致命的ではない)、洞頻脈は「正常」である(やはり致命的ではない)。
【0005】
心臓の心室領域で発生する心不整脈は、心室頻脈不整脈と呼ばれる。心室頻拍(VT)は、急速な心室収縮を特徴とし、悪化して心室細動(VF)になるおそれがある。心室細動は、非常に急速で無秩序な心室収縮を起こす。心室細動は、心臓が数分以内に洞律動に戻らなければ致命的である。
【0006】
ペースメーカおよび植え込み型心臓除細動器/除細動器を含む、植え込み型心調律管理(CRM)装置は、重篤な心不整脈の患者に対して有効な治療を施すために使用されている。心調律管理装置は、心不整脈を種々の段階的な治療によって処置することができる。これらの段階的な治療は、心臓がポンプ効率を維持しやすいようにタイミングが取られた低エネルギーペーシングパルスを与えることから、細動を処置する、および/または止めるために高エネルギーショックを与えることにまで及んでいる。これらの処置を効果的に実施するためには、まずCRM装置で発症している不整脈の種類を特定することが必要であり、その後に心臓に対して適切な治療を施すことが可能となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、不整脈の形態的秩序レベルに基づいて頻脈性不整脈の治療を選択する方法およびシステムを対象としている。本発明の一実施形態には、心臓治療の実施方法が含まれる。不整脈の形態的秩序レベルは心臓治療と関連する。形態的秩序レベルは不整脈の心拍信号の形態と関連付けられる。不整脈発作が検出されて、不整脈発作の形態的秩序レベルが判定される。不整脈を処置するために、不整脈発作の形態的秩序レベルに関連付けられた心臓治療が実施される。例えば、形態的秩序レベルは、遡及的(レトロスペクティブ)データベース解析、患者治療の許容範囲、医師の入力(情報提供)の、1項目以上に基づいた心臓治療に関連しうる。
【0008】
実施される心臓治療は、1つ以上の抗頻脈ペーシングコンポーネントおよび/または1つ以上のショック治療コンポーネントなど、多くの治療コンポーネントを含む多段階治療となりうる。この方法には、1つ以上の治療コンポーネントの実施に続いて、不整脈を再検出するための検知(センシング)が含まれる場合がある。再検出のための検知は、より系統(秩序)立った不整脈発作では高頻度で、さほど系統立っていない不整脈発作では低頻度で行われうる。
【0009】
一実施形態では、形態的秩序レベルを心臓治療に関連付けることは、形態的秩序レベルを治療の探索時間(therapy wander time)に関連付けることを含む。治療の探索時間は、心臓治療が実施される時間の長さを意味する。
【0010】
不整脈発作の形態的秩序レベルは、不整脈発作の心電図信号の形態的規則性、心電図のエントロピー、不整脈発作の血行動態の安定性のうちの1項目以上に基づいて判定されうる。
【0011】
本発明の一態様によると、不整脈発作の形態的秩序レベルは不整脈発作の1つ以上の心拍信号の形態をテンプレートと比較して判定される。不整脈発作の形態的秩序レベルは、代替的または追加的に、不整脈発作の心拍信号の形態をその不整脈発作の別の心拍信号の形態と比較して判定されることもできる。
【0012】
不整脈発作の形態的秩序レベルは、不整脈発作の心拍数の不規則性、不整脈発作の心電図信号の形態的複雑性、および/または不整脈発作の血行動態の安定性に基づいて判定されることもできる。例えば、形態的秩序の判定には、形態的秩序の1つ以上の尺度にそれぞれ関連した1つ以上の閾値を使用することが含まれてもよい。
【0013】
不整脈発作の形態的秩序レベルに関連した心臓治療の実施には、以下の内容が含まれる。
【0014】
形態的秩序レベルの心臓治療への関連付けは、形態的秩序レベルの心臓治療への静的または動的な関連付けを伴うことができる。本発明の一態様によると、形態的秩序レベルを、病歴データ、患者治療の許容範囲、医師の入力(情報提供)の1項目以上に基づいて心臓治療に関連付けることができる。最初の関連付けを行った後、心臓治療の効果に基づいて形態的秩序レベルと治療の関連を動的に変更することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、心調律管理装置を対象としている。心調律管理装置は、不整脈の形態的秩序レベルを心臓治療に関連付けるように構成されるプロセッサを含む。また、このプロセッサは、不整脈発作の形態的秩序レベルを心拍信号に基づいて判定するように構成される。不整脈検出器は不整脈発作を検出するように構成され、治療回路は不整脈発作の形態的秩序レベルに関連付けられる心臓治療を実施する。心調律管理装置は、一般に、心臓治療のライブラリおよび形態的秩序レベルと心臓治療の関連マップを記憶するために使用可能なメモリを含む。本発明の一態様によると、心調律管理装置は患者に植え込まれることができる。
【0016】
本発明の前述の要約は、本発明の各々の実施形態を説明するものでも、あらゆる実施形態を説明するものでもない。以下の詳細な説明と特許請求の範囲を添付図面とともに参照することによって、本発明の理解が深まるとともに、有用性と成果が明らかになり評価されよう。
【0017】
本発明は様々な変型および代替形態に修正可能であるが、その詳細が図面に一例として示され、以下に詳しく説明する。ただし、これには本発明を以下に説明する特定の実施形態に限定する意図はないと理解されたい。むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に含まれるすべての変型、同等物、および代替物に適用されるものであることを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図示された実施形態の以下の説明では、実施形態の一部を構成し、本発明の実施可能な種々の実施形態を例示する添付図面を参照する。その他の実施形態も利用することができ、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構造的および機能的な変更を行うことができるものと理解されたい。
【0019】
心室性頻脈性不整脈は、1つ以上の心室内で生じる速い心調律である。心房粗動や心房細動などの心房性頻脈性不整脈は、1つ以上の心房内で生じる速い心調律である。心室性または心房性の頻脈性不整脈心拍を示す電位図(EGM)または心電図(ECG)の信号は、複数の異なる形態パターンを示すことがある。ある種の頻脈性不整脈は一般的に単形性パターンを示すことがある。単形性の頻脈性不整脈を表すエレクトログラム信号は、かなり規則的な心拍と類似した形状または形態を有しうる。
【0020】
他の種の頻脈性不整脈は、多形態、または多形性の頻脈性不整脈を含むことがある。多形態、または多形性の各心拍は多様でありうる。心室細動は、無秩序で一貫性のない形態を示す多形性の心室性頻脈性不整脈の一例である。
【0021】
頻脈性不整脈の発作(発現)は、ほんの僅かの心拍の間だけで、僅かな症状を起すだけの場合もある。心拍数が比較的低い場合、頻脈性不整脈は数分間持続しても許容されることがある。頻脈性不整脈は種々の治療によって処置されることができる。例えば、ある場合には、心室頻拍(VT)は、徐脈ペーシングに比較して比較的高いエネルギー出力のペーシングによって効果的に治療されうる。VTを軽減するためのペーシングは、1つ以上のバースト(連射)ペーシングを必要とする場合があり、一般に、抗頻脈ペーシング(ATP)と呼ばれる。他の種のVTは、低エネルギーの電気的除細動ショックおよび/または高エネルギー除細動ショックなど、さらに積極的な治療を必要とする場合がある。さらに他の種のVTは、治療しなくても自然に止まることや治療を必要としないこともある。
【0022】
最も危険な多形性の心室性頻脈性不整脈の形は心室細動と呼ばれ、これは非常に速く小規模な無秩序の収縮を伴う。速い収縮は急峻な血圧降下と血行動態センサ出力の悪化を引き起こす。心拍数がおよそ220/分を超える心室細動は、自然に止まることが稀であり、迅速な治療的介入がなければ致命的になりかねない。
【0023】
本発明は、不整脈発作の心拍信号の形態的秩序に基づいて、特定の不整脈の処置のために選択された多段階不整脈治療を自動的に実施する方法及びシステムを対象としている。不整脈の形態的秩序は、例えば、心電図(ECG)や電位図(エレクトログラム:EGM)などの心臓電気信号の形態的秩序を直接評価するか、または血行動態センサ信号などの他の心拍信号から抽出された特性の変動を評価することによって判定されうる。この方法には、形態的秩序レベルに従って心室性または心房性の不整脈発作を分類すること、および不整脈発作の形態的秩序レベルに関連した多段階頻脈性不整脈治療の実施が含まれる。様々な実施形態において、不整脈は、心拍の形態的規則性(不整脈の心拍信号形態の類似性)、エントロピーまたは複雑性解析(不整脈のエレクトログラム信号のランダム性の尺度)、血行動態の状態(例えば、インピーダンス、酸素飽和度、心音、活性・圧力センサなどによって測定される)、その他の尺度の少なくとも一つを含む、エレクトログラム信号の形態的秩序の1つ以上の尺度に基づいて分類されうる。また、1つ以上の形態的秩序尺度に加えて、不整脈の心拍数情報も使用することができる。
【0024】
各不整脈の形態的秩序レベルは、異なる心臓治療スキーム(RxS)に関連付けられている。心臓治療スキームでは、治療スキームの1つ以上の治療コンポーネント(構成要素)によって患者に対して次第に積極的な治療を施していく段階的治療法を含む場合がある。
【0025】
図1は、本発明の実施形態による多段階の頻脈性不整脈治療の実施方法を示すフローチャートである。この方法は、不整脈の形態的秩序レベルを心臓治療に関連付けること(110)を含む。心臓治療は、例えば、順番に実施される1つ以上のコンポーネントとしての治療を含むことができる。心臓治療と不整脈の形態的秩序レベルとの関連付けは、様々な種類の不整脈を改善するための様々な治療スキームの成功または不成功に関する病歴データ解析が初期の基準とされてもよい。治療と形態的秩序レベルの関連性のマッピングは、CRM装置によって自動的に行われてもよく、例えば、プログラマを介してCRM装置と通信する医師やその他の者によって手動で行われてもよい。
【0026】
不整脈発作が心拍数の検査および/または形態解析によって例えば120と検出された場合、不整脈の形態的秩序レベルは130であると判定される。形態的秩序レベルに関連付けられる心臓治療では140が実施される。
【0027】
異なるレベルの抗頻脈治療プログラミングの原則は、治療の積極性が不整脈の重症度に比例することである。様々なレベルの不整脈の形態的秩序レベルに対して、ATPおよび/またはショック治療コンポーネントの様々な組合せをプログラムすることができる。例えば、比較的規則正しい不整脈の場合は、心臓治療の治療コンポーネントの順序をATP1→ATP2→APT3→電気的除細動→ショックとしてプログラムすることができる。さらに重度のより無秩序な不整脈の場合は、心臓治療のシーケンスをATP1→電気的除細動→ショックとしてプログラムすることができる。非常に深刻で非常に無秩序な不整脈の場合は、心臓治療のシーケンスを電気的除細動→ショックとしてプログラムすることができる。心臓治療を完全で実効性あるものにするために、エネルギー量を変更した電気的除細動とショックを使用することができる。上述の例では、ATP1およびATP2を異なるパラメータ設定値のATPとしてもよい。例えば、ATP2に、ATP1よりも多いバーストペーシング、短いパルス幅、高いペーシングエネルギーの少なくともいずれかを持たせてもよい。
【0028】
一部の実施形態では、心臓治療スキームの2つのコンポーネント間で不整脈の再検出を可能とすることができる。例えば、上述の最初の心臓治療シーケンスにおいて、不整脈の再検出を、ATP1とATP2のコンポーネントの間、ATP2とATP3のコンポーネントの間、ATP3と電気的除細動のコンポーネント間、および/または電気的除細動とショックのコンポーネント間の少なくともいずれかで実施することができる。一部の実施形態では、再検出された不整脈を分析してその形態的秩序を判定することができる。最初に検出された不整脈への処置として実施した心臓治療を修正して、再検出された不整脈の形態的秩序レベルに関する心臓治療を患者に対して実施するようにすることができる。
【0029】
プログラムされた心臓治療の治療コンポーネントのシーケンスには、さほど秩序正しくない不整脈のATPコンポーネントと再検出期間の数に比べて、より秩序正しい不整脈の方がより多くのATPコンポーネントと再検出期間が含まれる可能性がある。より秩序正しい不整脈の方がATP治療によって改善されやすい。1回のATP試行で不整脈が改善しなくても、その後のさらなる試行で改善する可能性がある。したがって、より秩序正しい不整脈を処置するために実施される心臓治療には、多くのATPコンポーネントを含めてもよい。装置では、治療によって不整脈が改善されていたかどうかを調べるために2つ以上のATPコンポーネント間で再検出期間を有効(可能)にすることができる。不整脈が改善されていれば、装置はプログラムされた治療について新たなコンポーネントを実施しない。
【0030】
対照的に、不整脈がさほど秩序正しくないか、さほど秩序正しくなくなった場合、ATPが効果的である可能性は高くない。したがって、きわめて無秩序な不整脈を改善するためのショックを与える前に使用するATPコンポーネントは少なくなる。使用するATP治療コンポーネントが少ないと、治療の実施中に可能となる再検出期間の数が少なくなる。
【0031】
図2のダイアグラムは、本発明の実施形態に従った形態的秩序レベルと不整脈治療の関連性マッピングの概念を示す。図2は、例えば、心室細動(VF)、多形性(多源性)心室頻脈性不整脈(PVT)、単源性心室頻脈性不整脈(MVT)、および上室性心室頻脈性不整脈(SVT)を含む様々な種類の不整脈を示す。これらの種類の不整脈は、各々が1つ以上の形態的秩序レベルに対応する。この例では、形態的秩序レベルは0〜5の番号が付けられており、0は最も秩序正しい不整脈(この場合、SVT)を表し、5は最も無秩序な不整脈(例えば、VF)を表す。使用する形態的秩序レベルをさらに増やすことも減らすこともできる。
【0032】
秩序レベルを追加すると、不整脈の特定形態的秩序レベルにさらに細かく対応する治療が提供される。一部の実施形態では、不整脈の形態的秩序レベルを連続値として表すことができる。治療時間、治療エネルギー、治療試行などの治療パラメータを、特定の不整脈に対応する形態的秩序レベルの値に基づいて調整することができる。
【0033】
各形態的秩序レベルは、ATP、電気的除細動、またはショックなど、複数の治療コンポーネントを含みうる心臓治療に関連付けられている。種々の心臓治療および/または治療コンポーネントのパラメータは、治療ライブラリ(Rxライブラリ)内のメモリに格納される。図2に示す特定の例では、各形態的秩序レベルに対応する心臓治療は前回のレベルの心臓治療に依存している。この例では、形態的秩序レベルが高くなると各心臓治療に新たな治療コンポーネントが追加され、例えば、レベル1はATP1に関連付けられ、レベル2はAPT1→ATP2に関連付けられ、レベル3はAPT1→ATP2→ATP3に関連付けられており、以下同様である。他の実施形態では、各形態的レベルに対応する心臓治療を、前回の形態的秩序レベルの心臓治療に依存しないようにプログラムすることができる。例えば、レベル4に関連付けられる心臓治療にはATP2→電気的除細動→ショックを含めることができ、レベル5に関連付けられる心臓治療にはショックコンポーネントのみを含めることができる。治療コンポーネントは、関連する形態的秩序レベルを有する不整脈を効果的に処置する任意の組合せおよび/または任意の順序で実施されるようにプログラムされることができる。
【0034】
様々な実施形態において、治療コンポーネントが試行される時間の長さおよび/または試行される治療コンポーネントの数は、形態的秩序レベルの関数としてプログラムされることができる。各形態的秩序レベルでは、関連付けられる心臓治療には、積極性または有効性の順序で並べられた一連の治療コンポーネントを含めることもできる。このようなシナリオでは、「探索時間」が各形態的秩序レベルに関連付けられている。特に、さほど重度でない(より秩序正しい)不整脈を処置する治療は、より重度の(さほど秩序正しくない)不整脈を処置する治療よりも、治療ライブラリを探索する長い探索時間を含む可能性がある。例えば、治療ライブラリ内での探索時間が長くなると、不整脈の改善のために実施されるATP治療コンポーネントが増える可能性がある。図2に示すように、レベル3の不整脈を処置する治療が1つのATP治療コンポーネントしか含まないのに比べ、レベル1の不整脈を処置する治療は3つのATP治療コンポーネントを含む。
【0035】
加えて、あるいは代替的に、治療コンポーネントまたは一連の治療コンポーネントが試行される時間の長さは、形態的秩序レベルの関数であってもよい。例えば、形態的秩序レベルがより比較的低い場合(これは秩序正しい不整脈に対応する)、ショックを実施する前にATP治療コンポーネントが、さほど秩序正しくない不整脈(すなわち、より高い形態的秩序レベルの不整脈)に対して実施される時間に比べて長い時間実施されてよい。より積極的または最も積極的な治療を実施する前に実施する、1つまたは一連のATP治療コンポーネントの中断(タイムアウト)は、より秩序正しい不整脈の場合の方がさほど秩序正しくない不整脈の場合よりも長くなってよい。例えば、心臓治療の1つ以上のパラメータは、連続変数として表すことのできる形態的秩序レベルに依存してもよい。例えば、CRM装置は形態的秩序レベルに比例した時間だけ、治療コンポーネントシーケンスATP2→ATP3を実施するようにプログラムされうる。この時間後に不整脈が改善されなければ、ショックなどのより積極的な治療が実施される。
【0036】
心臓治療/治療コンポーネントのパラメータ、形態的秩序レベルと心臓治療のマッピングの少なくともいずれかはで静的であってよく、これは特定の患者にとって各形態的秩序レベルに対応する心臓治療は、それが設定された(例えば、装置内で初期設定されるか、又は装置プログラマによって設定された)後は時不変であるということを意味する。一実施形態では、治療/治療コンポーネントパラメータ、および形態的秩序レベルと心臓治療の関連付けは、プログラマを介してCRM装置と通信する患者の医師によって行われる。プログラマで実行されるユーザインタフェースプログラムによって、医師は、一連のダイアログボックスまたはプロンプトに従ってステップを進め、治療/治療コンポーネントパラメータおよび秩序レベルを治療マッピングに設定することができる。他の実施形態では、関連性の少なくとも一部分が臨床観察に基づいて決定されたデフォルト(初期設定)値に装置内で最初にマッピングされ、臨床データの大域的最適化を含んでもよい。デフォルトの治療パラメータおよび/または関連性のマッピングには、さらに効率の良い治療マッピングを創り出すために患者の適応を考慮に入れる場合がある。いったん定められて装置のメモリに保存された治療の関連性は、手動で(例えば、医師によって)変更されるまで不変(静的)に保たれうる。
【0037】
他の実施形態では、心臓治療パラメータおよび/または形態的秩序レベルと心臓治療の間のマッピングは動的であってもよい。治療/治療コンポーネントパラメータおよび治療の秩序レベルに対する関連性の少なくともいずれかは、最初に前述の静的な場合のように決定されて装置メモリに保存されうる。不整脈発作を処置するための装置による治療の実施中または実施後に、治療の有効性を治療結果に基づいて評価することができる。心臓治療パラメータおよび関連性のマッピングの少なくともいずれかは、治療効果の評価に基づいて修正されうる。例えば、治療が特定の形態的秩序レベルに対して積極的過ぎる場合は、治療コンポーネントの治療パラメータを変更することができる。すなわち、より積極的でない異なる治療コンポーネントを形態的秩序レベルにマッピングすることができる。治療が不整脈をタイミング良く改善できるほど積極的でなければ、より積極的な治療が実施されるように治療パラメータおよび形態的秩序レベルの治療に対するマッピングの少なくともいずれかを修正することができる。過去の成功に基づいて適合する頻脈性不整脈治療を実施するための様々な方法とシステムが、本願と所有者が共通する、米国特許第6,801,806号に記載されており、その態様を本明細書に示された実施形態において利用することができる。
【0038】
一部の実施形態では、装置に、心臓治療パラメータおよび形態的秩序レベルと心臓治療の関連性のマッピングの少なくともいずれかを設定するための動的修正処理を行う回路を含むことができる。心臓治療パラメータおよび/または秩序レベルと治療とのマッピングの動的修正は、不整脈発作の間およびその後の少なくともいずれかに実施されうる。一部のシナリオでは、装置は、現在発症している不整脈発作を改善するために、治療中にパラメータとマッピングを自動的に変更することができる。一部のシナリオでは、不整脈から正常な心調律への改善に伴い、治療パラメータの修正および/マッピングを遡及的に適用してもよい。例えば、装置は、不整脈が止まった後に治療シーケンスの有効性を評価して、それが治療パラメータおよび/またはマッピングを修正する最良の方法であったかどうか、或いはどのように最良の方法とできるかを判断することができる。
【0039】
図3のフローチャートは、図2に関連して説明された多段階治療の動的修正の処理を示す。前述のように、形態的秩序レベルは最初に、医師の入力および/またはデフォルト値に基づいて心臓治療に関連付けることができる。治療コンポーネントシーケンス、タイムアウト間隔、探索時間、バーストレート、ペースおよび/またはショックエネルギーレベル、およびその他のパラメータの少なくとも一つを含む、初期の心臓治療/治療コンポーネントパラメータが、最初に設定されうる。
【0040】
不整脈発作が検出されると、不整脈の形態的秩序レベルが判定される(320)。形態的秩序レベルの判定の前または最中に、不整脈は処置を必要としない不整脈に分類されることもある。図2に示す例では、心室性頻脈性不整脈は5つの形態的秩序レベルに分類されている。心房を起源とする不整脈(SVT)は、治療実施不要に関連付けられるゼロの形態的秩序レベルに分類される。VTまたはSVTのような不整脈は、任意の間隔ベースまたは形態ベースの手法によって初期の分類が可能である。
【0041】
不整脈発作の形態的秩序は、1つの手法もしくは複数の手法の組合せによる評価が可能である。例えば、形態的秩序は感知された不整脈発作の心電図(エレクトグラム)信号を解析することによって評価されることができる。心電図信号の解析には、心電図信号の心拍の形態的規則性322の判定を含んでよい。他の実施形態では、形態的秩序レベルは、心電図信号に関連付けられるエントロピー324、もしくはデータ分布の他の尺度に基づいて評価されることができる。血行動態の安定性326は、心電図信号の形態的安定性との相関があるため、形態的秩序レベルの判定に利用されうる。心電図の形態的秩序レベルを判定する他の尺度328も、代替的または追加的に使用されうる。
【0042】
一部の実施形態では、前述したうちの単一の手法が、不整脈発作の形態的秩序レベルを判定するために実施されてよい。他の実施形態では、複数の手法を組み合わせて使用することができる。複数の手法を使用する場合は、不整脈発作の形態的秩序レベルは、例えば、多数決または加重平均など、任意のデータ融合の手法の結果を組み合わせることによって判定されうる。
【0043】
形態的秩序レベルの判定に続いて、秩序レベルに関連付けられる治療スキームの最初の治療コンポーネントが実施される(330)。再検出期間が治療コンポーネントの実施に引き続いてもよい。不整脈が改善されると(350)、治療パラメータおよび/または関連性が修正されうる(370)。不整脈が改善されなければ(350)、治療スキームの治療コンポーネントが追加的に適用される。
【0044】
不整脈を改善するための治療の成功または不成功に基づいて、治療パラメータおよび/または関連性を修正することができる。例えば、治療によって不整脈が改善されなかった場合、形態的秩序レベル/治療の関連性は形態的秩序レベルがより積極的な治療に関連付けられるように変更されうる。他方、治療が不整脈の改善に大成功を収めた場合、例えば、不整脈が最初の治療コンポーネントによって改善された場合、形態的秩序レベル/治療の関連性は、形態的秩序レベルがさほど積極的でない治療に関連付けられるように再マッピングされうる。大成功の治療の場合、装置の寿命を延ばすとともに患者の快適性を高めるために、より積極的でない治療を実施するよう、秩序レベル/治療の関連性の再マッピングを試行することができる。形態的秩序レベル/治療の関連性の修正に加え、例えば、1つ以上の治療コンポーネントのバーストレート、刺激エネルギー、実施時間などの、1つ以上の治療パラメータをも修正することもできる。
【0045】
図3の要素320に関連して既に説明したように、不整脈発作の形態的秩序レベルを判定するために、種々の処理を実施することができる。一実施形態では、心電図信号の形態的規則性322を、不整脈発作における類似した心拍の数に基づいて判定することができる。この実施形態は、図4Aと図4Bのフローチャートで示されている。不整脈発作における類似した心拍の数は、各形態的秩序レベルに関連付けられる閾値と比較される。
【0046】
図4Aは、不整脈発作における類似した心拍の数の判定方法を示す。最初の不整脈発作心拍の1つ以上の特性(B1で示す)が抽出される(405)。抽出されたB1の特性は、心臓テンプレートの生成(410)に使用される。心臓テンプレートは、タイミングおよび/またはレート情報、QRS幅、T波振幅、Q波振幅、QT間隔、R−R間隔、間隔統計量、または心臓波形とテンプレートの対応の判定に有用なその他の間隔または属性を含む(ただし、これらに限定されない)、感知された心拍信号の種々の属性および/または属性の範囲などの、波形から得られる代表波形および/または情報を含んでよい。この具体例では、心臓波形のテンプレートは、特定心拍形態を表わす1つ以上の心臓波形特性を識別することによって生成される。この特定波形の特性は、臨界点、有意点、曲率、局所的極値、変曲点、立上りまたは立下り時間、傾斜、基線よりも上および/または下の面積、および周波数および/またはウェーブレット係数などの形態的特性を含む場合がある。
【0047】
次の心拍Bnが検出され、特性が抽出される(415)。Bnの特性は、最初の心拍から生成されたテンプレートと比較され(420)、テンプレート特性に対するBn特性の類似性が判定される。例えば、テンプレートに対する心拍の類似性は、特性相関係数(FCC)を用いて表されることができる。相関係数の計算に基づいて発作心拍と心臓テンプレート心拍の類似性を判定する方法およびシステムが、本願と所有者が共通する、2003年9月30日出願の米国特許出願番号第10/955,831号に記載されている。心拍とテンプレートの類似性は、例えば、FCCが予め定められた数(例えば、約0.9)よりも大きい場合に確認されうる。
【0048】
Bnがテンプレートに類似している場合(425)、テンプレートのカウンタがインクリメントされる(435)。BnがテンプレートT1に類似していない場合(425)、別のテンプレートがBnの特性に基づいて生成される(450)。この処理は、ブロック415〜455に示されるように、次の発作心拍(445、420)を前に生成されたテンプレート(440)と比較し、心拍が前に生成されたテンプレートのいずれかに類似していなければ新たなテンプレートを生成する(450)ことによって続く。心拍がテンプレートに類似している場合はその都度テンプレートのカウンタがインクリメントされる。いずれかの心拍が既存のテンプレートに一致する場合、そのテンプレートのカウンタがインクリメントされる(435)。最終的に、不整脈発作のうちから十分な数の心拍サンプル、もしくは代表的な心拍サンプルが評価され(455、456)、例えばカウンタ値および/または生成されたテンプレートの数などに基づいて形態的秩序レベルが判定されることができる(460)。
【0049】
図4Bは、本発明の実施形態に従って、不整脈発作の類似心拍数に基づいて形態的秩序レベルを判定する処理を示す。この処理は、各形態的秩序レベルに対する類似心拍の閾値尺度に対応する複数の閾値に基づいている。閾値は、例えば、心拍のパーセンテージとして、または予め定められた心拍数(例えば、y心拍のうちのx)として、または生成された区別可能なテンプレート数として、または他の何らかの便利な形式で表されうる。
【0050】
図4Aに関連して説明した処理から得られた最高カウンタ値は、不整脈発作における最大の類似心拍数を表す。この値は、例えば、パーセンテージまたは他の尺度に変換されうる。類似心拍数の尺度が決定され(求められ)(405)、各形態的秩序レベルに対応する閾値と比較される(410、420、430、440)。類似心拍数の尺度が特定形態的秩序レベルに対応する閾値と整合する場合は、不整脈発作がその形態的秩序レベルを有するものとして分類される(415、425、435、445、455)。この例において1の形態的秩序レベルに対応する非常に秩序正しい不整脈は、最大もしくは最高パーセンテージの類似心拍数を有する。この例において5の形態的秩序レベルに対応する最も無秩序な不整脈は、最小もしくは最低パーセンテージの類似心拍数を有する。
【0051】
他の例では、発作心拍の形態的規則性は、テンプレートの心拍特性の拡散度を計算することによって判定されてもよい。形態的秩序レベルは、図5のフローチャートに示すように、心拍特性の拡散度に基づいて判定されてよい。不整脈心拍が検出され、テンプレートとの比較のために心拍特性が抽出される(505)。この例では、特性相関係数(FCC)を計算することによって各心拍がテンプレートと比較される(510)が、他の類似性尺度を使用してもよい。メジアンFCCおよびFCCの拡散度が求められる(515)。メジアンFCCは、形態的秩序レベルの判定に使用される不整脈発作の全心拍に対するFCCの中央値である。FCCの拡散度は、メジアンFCCに中心を置くウィンドウ内にあるFCC値の数である。
【0052】
形態的秩序レベルは各秩序レベルに関連付けられたFCCの拡散度閾値に基づいて判定される。FCCの拡散度は、各形態的秩序レベルに対応する閾値と比較される(520、530、540、550)。FCCの拡散度が特定の形態的秩序レベルに対応する閾値と整合する場合は、不整脈発作はその形態的秩序レベルを有するものとして分類される(525、535、545、555、565)。この例で1の形態的秩序レベルに対応する非常に秩序正しい不整脈は、メジアンFCCに中心を置くウィンドウ内に有するFCC値数の最大数に対応する最大のFFCの拡散度を有する。この例で5の形態的秩序レベルに対応する最も無秩序な不整脈は、メジアンFCCに中心を置くウィンドウ内に有するFCC値を有する心拍数の最小数に対応する最小FCCを有する。本明細書に説明するような形態的規則性を判定する方法とシステムは、本願と所有者が共通する、米国特許出願番号第11/038,996号にさらに詳しく記載されている。
【0053】
一部の実施形態では、不整脈の形態的秩序レベルは、不整脈発作の心電図信号の複雑性判定に基づいてもよい。エレクトログラムの複雑性は、サンプルエントロピーを使って定量化されることができる。サンプルエントロピーは、信号またはシステムの複雑性または不規則性の統計的尺度である。より小さいサンプルエントロピーは、より低度の不規則性もしくはより高度の複雑性を示す。より大きいサンプルエントロピーは、より高度の複雑性を示す。生理学的信号解析におけるサンプルエントロピーの使用例が、Lakeらによる、Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.,283:R789〜97(2002)、およびRichmanらによる、Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.,278:H2039〜49(2000)に記載されている。
【0054】
サンプルエントロピーは、一定の時間にわたって記録される信号に対して計算され、その信号の不規則性の程度または複雑性の程度を示すことができる。この信号は、n個のサンプルu(1)、u(2)、u(3)、...u(n)の配列にデジタル化される。一実施形態では、この配列はスカラーの配列である。すなわち、各サンプルはスカラーである。他の実施形態では、この配列はベクトルの配列である。すなわち、各サンプルu(i)はp個のスカラーのベクトル、u(i)=[u1(i)、u2(i)、u3(i)、...up(i)]である。サンプルエントロピーについての以下の考察は、n個のサンプルが1組のスカラー、または1組のベクトルである場合に適用される。
【0055】
サンプルの配列はn−m+1の信号セグメントに分割され、各セグメントはm個のサンプルを含み、xm(i)=[u(i)、u(i+1)、...u(i+m−1)]で示される。ここで、1≦i≦(n−m+1)であり、mはnよりも小さい数で各信号セグメントの長さを表す。xm(j)とxm(i)の間のベクトルマッチングスコアDm(i、j)(ただし、j≠i)は2つの信号セグメントの類似性の尺度であり、次のように表わすことができる。

【数1】

【0056】
ここで、Lは、信号セグメントxm(j)およびxm(i)の対応するコンポーネント間の最大差であり、これは次式で示される。
【0057】
【数2】

【0058】
rは閾値である。一実施形態では、パラメータn、m、およびrは各々実験的に決定される。Lは信号セグメントxm(j)とxm(i)の間の類似性を示す。一実施形態では、サンプルエントロピーは次式で示される。
【0059】
【数3】

ここで、
【数4】

【0060】
一実施形態では、SampEnは、一定時間にわたって記録される信号の形態的な不規則性または複雑性の程度を示すために使用されるパラメータである。SampEnは、不整脈発作の形態的秩序レベルを判定するために、形態的秩序レベル1、2、3、...にそれぞれ対応する複数の所定のエントロピー閾値θ1、θ2、θ3、...と比較される。他の実施形態では、Γが、ある時間に亘って記録される信号の形態的な不規則性または複雑性の程度を示すために使用されるパラメータである。Γは、不整脈発作の形態的秩序レベルを判定するために、形態的秩序レベル1、2、3、...にそれぞれ対応する複数の所定のエントロピー閾値γ1、γ2、γ3、...と比較される。
【0061】
一部の実施形態では、不整脈発作の形態的秩序レベルは、周期に基づくエレクトログラム信号の不規則性の解析にSampEnまたはΓを使用することに基づいて判定される。他の実施形態では、不整脈発作の形態的秩序レベルは、エレクトログラムの形態的複雑性の解析にSampEnまたはΓを使用することに基づく。さらに他の実施形態では、不整脈発作の形態的秩序レベルは、エレクトログラム信号の周期の不規則性に関するエントロピーの解析と、エレクトログラム信号の形態的な複雑性に関するエントロピーの解析の両方に基づいて判定される。周期不規則性および/または形態的複雑性によってエレクトログラム信号の形態的な複雑性を解析するためにエントロピー尺度を使用することは、本願と所有者が共通する、米国特許出願番号第11/151,102号に詳しく記載されている。
【0062】
一実施形態では、形態的秩序は、血行動態センサ信号を使用して推測されることができる。これらのセンサの実例として、インピーダンスセンサ、圧力センサ、心音センサ、酸素飽和度センサ、活性センサなどが挙げられる。血行動態センサを使用するときは、形態的秩序判定を必ずしもセンサ信号の継続的な記録に基づいて行わなくてもよい。形態的秩序は、頻脈性不整脈の際に血行動態の悪化の特性を特徴化し定量化することができる血行動態センサ信号の信号形態から抽出されたパラメータから判定されうる。例えば、圧力センサを使用する場合、平均値(指定された期間にわたって計算されたもの)、圧力の変動、圧力の時間微分(dP/dt)、および/または他の特性などのパラメータを、圧力センサ信号から抽出または計算することができる。この後、これらの特性の値は、不整脈の形態的秩序レベルを判定するために、正常洞調律の間に判定することができるそれぞれの閾値と比較される。
【0063】
一実施形態では、血行動態センサ信号は、心電信号センサとともに使用されうる。血行動態センサを、心電図記録(ECG)またはエレクトログラム(EGM)などの心臓電気活性センサとともに使用するときは、ECGまたはGEMのみを用い、エントロピーやその他の形態的規則性尺度などの方法を使用して形態的秩序をまず決定することができる。初期の形態的秩序をECGまたはGEMから判定した後、1つ以上の血行動態センサ信号を使って血行動態の安定性を判定することができる。1つ以上の血行動態センサ信号を使って判定された安定性に基づいて、あらかじめECG/EGMのみから判定された初期の形態的秩序レベルを調整することができる。
【0064】
心不整脈の検出と処置に関連した血行動態センサの使用例が、米国特許第5,330,505号(心臓治療の調整に使用される心電センサおよび/または血行動態センサの使用を記載)、米国特許第4,865,036号(頻脈性不整脈を確認するための心臓内イピーダンスセンサによって測定される前駆出期の使用を記載)、米国特許第5,176,137号(酸素飽和度レベルに部分的に基づく不安定な頻脈性不整脈の診断を記載)、および米国特許第5,554,177号(心臓治療を調整するための心音センサの使用を記載)に記載されている。これらの特許の技術は、本明細書に示す本発明の実施形態によって例示された、不整脈の形態的秩序に基づく自動多段階治療の方法およびシステムとともに使用されうる。
【0065】
本明細書に示す本システムの実施形態は、一般に、患者体内のCRM装置で実施されているものとして説明されており、CRM装置は頻脈性不整脈の処置としての多段階治療を検出して治療することが可能である。様々な種類の単一および複数のチャンバ型CRM装置が、頻脈性不整脈治療に加え、当技術分野で既知のように多くのペーシング治療を実施するために使用されうる。
【0066】
本開示において説明する構成、特性、および特性の組合せは、幅広い植込み型または体外医療機器において実施可能であり、このような実施形態および特性は本明細書で説明する特定の装置に限定されないことが理解される。本明細書で説明するシステムと方法は、例えば、除細動器、心臓除細動器、ペースメーカ、心拍モニタ、および心臓再同期装置など、種々の植込み型または体外診断および/または治療用心臓装置において実施されうる。
【0067】
本システムはマイクロプロセッサベースの構成を有する植込み型心臓除細動器に関連して説明されているが、植込み型心臓除細動器(または、他の装置)は必要に応じて任意のロジックベースの集積回路構成を使用して実施されうることが理解される。
【0068】
一実施形態では、CRM装置は、本発明の原理に従った方法により、エレクトログラム信号の形態的秩序に基づいて心拍信号を処理し多段階治療を実施するように動作する単一チャンバ(室)型装置として構成される植込み型心臓除細動器/除細動器である。他の実施形態では、CRM装置は、2チャンバ(室)型装置として構成される植込み型心臓除細動器/除細動器である。さらに他の実施形態では、CRM装置は、うっ血性心不全(CHF)の処置に使用される心臓再同期装置のように、複数の心腔(例えば、心臓の両心室)に対する電気刺激を感知および/または供給するように構成される植込み型心臓除細動器/除細動器である。
【0069】
ここで図面の図6を参照すると、本発明の頻脈性不整脈治療の選択方法を実施するために使用可能な心調律管理システムの一実施形態が示されている。図6の心調律管理システムは、電気的および物理的にリード線システム110に結合されるパルス発生器(PG)100を含む。PG100のハウジングおよび/またはヘッダには、心臓に電気刺激エネルギーを供給し心臓電気活動を感知するために使用される、1つ以上の電極108、109を組み入れることができる。PG100のPGハウジングの全部または一部は、缶電極109として利用しうる。PG100では、例えば、PG100のヘッダまたはハウジング上に不関電極198が配置されていてもよい。PG100は缶電極109および不関電極198の両方を含む場合、電極198、109は、通常、互いに絶縁されている。
【0070】
リード線システム110は、心臓190にから生じる心臓電気信号を検出し、心不整脈を処置するために一定条件下で心臓190に電気的エネルギーを供給するために使用される。リード線システム110は、ペーシング、感知、よび電気的除細動/除細動の少なくともいずれかに使用される1個または複数個の電極を含んでもよい。図6に示す実施形態では、リード線システム110は、心臓内右心室(RV)リード線システム104、心臓内右心房(RA)リード線システム105、心臓内左心室(LV)リード線システム106、および心臓内左心房(LA)リード線システム108を含む。図6のリード線システム110は、本明細書で説明する多段階頻脈性不整脈の治療法に関連して使用されうる一実施形態を示す。他のリード線および/電極が、追加的または代替的に使用されてもよい。
【0071】
リード線システム110は、人体に植え込まれた心臓内リード線104、105、106を含んでもよく、心臓内リード線104、105、106の一部分が心臓190に挿入される。心臓内リード線104、105、106は、心臓の電気活動を感知すると共に、例えば心臓の様々な不整脈を処置するペーシングパルスおよび/または除細動ショックなど、電気刺激エネルギーを心臓に供給するために、心臓内に配置可能な種々の電極を包む。
【0072】
図6に示すように、リード線システム110は、1つ以上の心腔を感知および/またはペーシングするために心臓外の場所に配置される、例えば心外膜電極などの電極を有する1つ以上の心臓外リード線108を含んでもよい。
【0073】
図6に示す右心室リード線システム104は、SVCコイル116、RVコイル114、RVリング電極111、およびRV端部電極112を含む。右心室リード線システム104は、右心房120を通って右心室119の中に延出する。特に、RV端部電極112、RVリング電極111、およびRVコイル電極114は、心臓に対する電気刺激パルスを感知し供給するために、右心室内の適所に配置される。SVCコイル116は、心臓190の右心房心腔内の適所、または心臓190の右心房心腔につながる大静脈に配置される。
【0074】
一つの構造では、缶電極109を基準とする(に接続する)RV端部電極112は、右心室内の単極ペーシングおよび/または感知を実施するために使用されうる。右心室内の双極ペーシングおよび/または感知は、RV端部112およびRVリング111の両電極を使って実施されうる。RVリング111電極は任意選択的に省くことができ、双極ペーシングおよび/または感知は、例えば、RV端部電極112およびRVコイル114を使って実現されうる。RV内のセンシングは、端部−リングベクトル(経路)およびRVコイル−SVCコイル、またはRVコイル−缶ベクトルに電気的に結合されるSVCコイルを含んでよい。右心室リード線システム104は、一体構成の双極ペース/ショックリード線として構成されうる。RVコイル114およびSVCコイル116は除細動電極である。
【0075】
左心室リード線106は、左心室のペーシングおよび/または感知用に左心室内またはその近くの適所に設置されたLV先端電極113およびLV近位電極117を含む。左心室リード線106は、上大静脈を経由して心臓の右心房の中に導くことができる。左心室リード線106は、右心房から冠静脈洞入口部(冠静脈洞の開口部)の中に配置することができる。リード線106は、冠状静脈洞を通って左心室の冠状静脈124に導くことができる。この静脈は、心臓の右側からは直接アクセスできない左心室の表面にリード線が届くようにするためのアクセス経路として使用される。左心室リード線106の配置は、鎖骨下静脈経路と、左心室に隣接するLV電極113、117の挿入用に予め形成した案内カテーテルとによって達成されうる。
【0076】
左心室内の単極ペーシングおよび/または感知は、例えば、缶電極109を基準とする(に接続する)LV先端電極113を使って実施されうる。LV先端電極113およびLV近位電極117は、左心室用の双極センスおよび/またはペース電極として併用されうる。左心室リード線106および右心室リード線104を、PG100と併用することによって、心臓の心室がほぼ同期歩調を取って、もしくは段階を追ってペーシングするような心臓再同期療法を提供することで、慢性心不全患者の心臓ポンプ効率が高まるような心臓再同期療法を提供することができる。
【0077】
右心房リード線105は、右心房の感知およびペーシングのために右心房内の適所に配置されるRA端部電極156およびRAリング電極154を含む。ある構成では、例えば、缶電極109を基準とする(に接続する)RA端部156を使用することによって、右心房120内で単極ペーシングおよび/または感知を行うことができる。また別の構成では、RA端部電極156およびRAリング電極154を使用することによって、双極ペーシングおよび/または感知を行うことができる。
【0078】
図6は、左心房リード線システム108の一実施形態を示す。この例では、左心房リード線108は、左心房の感知およびペーシング用に心臓190の外部の適所に配置されるLA先端電極118を有する心臓外リード線として実装される。左心房の単極ペーシングおよび/または感知は、例えば、缶109ペーシングベクトルに対してLA先端電極118を使って達成され得る。左心房リード線108には、左心房の双極ペーシングおよび/または感知を実施するために使用する電極を追加することができる。
【0079】
ここで図7を参照すると、本発明の多段階頻脈性不整脈療法の実施に適するPG260を採用したCRM装置200の実施形態のブロック図が示されている。図7は、機能ブロックに分割されたCRM装置200を示している。これらの機能ブロックの可能な配置には多くの構成が考えられる。図7に示す例は、考えられる1つの機能配置である。CRM装置200は、心臓から心拍信号を受信し、ペースパルスまたは心臓除細動/除細動パルスの形態の電気エネルギーを心臓に供給する回路を含む。
【0080】
図6に関連して前述したように、心臓電極が心臓組織に電気的に結合されるように心臓リード線システム210を植え込むことができる。リード線システム210の心臓電極は、心臓の電気的活動に関連した心拍信号を感知する。感知された心拍信号は、リード線システム210を経由してPG260に伝送されることができる。心臓電極およびリード線システム210を使用することによって、PG260が発生させる電気刺激を心臓に供給して種々の心不整脈を軽減することができる。PG260を心臓電極およびリード線システム210と組み合わせることによって、心拍信号を検出し、治療用の電気刺激を、例えば、左右心室および左右心房のいずれかに供給することができる。例えば、PG260は、本発明の多段階頻脈性不整脈治療に従って、ATP、電気的除細動、および/または除細動ショックをリード線システム210経由で心臓に供給することができる。PG260のハウジングに結合される缶電極205をさらに使用すると、心拍信号を感知し、心臓に電気刺激を供給することができる。
【0081】
一実施形態では、PG回路201は人体への植込みに適した密閉型ハウジングに格納されている。電源は、PG260内に収納された電気化学バッテリ230から供給される。一実施形態では、PG回路201は、制御システム250、EGM感知回路220、および頻脈性不整脈治療回路215を含むプログラム可能なマイクロプロセッサベースのシステムで、頻脈性不整脈治療回路215はペーシングおよびショック治療コンポーネントを含んでもよい。また、PG回路201はメモリ240を含んでもよい。メモリ240を使用して、ある種の不整脈の心拍信号の形態的秩序レベルと不整脈を処置する治療との関連付けを含む治療ライブラリ241を保存することができる。メモリ240を使用して、治療と治療コンポーネントのパラメータ、および他のパラメータおよび/またはデータを保存することができる。メモリ240に保存されたパラメータおよびデータは、内部(オンボード)での様々な目的で使用するか、または必要に応じて外部プログラマユニット245またはその他の患者体外装置へテレメトリ(遠隔測定)により伝送されるか、あるいはこれら両方が可能である。
【0082】
一実施形態では、PG回路201は、1つ以上の血行動態センサ211の動作のためにドライブ/感知回路221を内蔵しうる。センサ回路211、221が生成される信号は、前述のように、不整脈の形態的秩序レベルの判定に使用可能である。
【0083】
制御システム250を使用して、頻脈性不整脈治療回路215、エレクトログラム感知回路220を含む、PG260の種々のサブシステムを制御することができる。また、制御システム250には、本発明の実施形態に従ったエレクトログラムの形態的秩序の判定に使用される1つ以上のテンプレートを提供または処理するためのテンプレート回路を含むことができる。
【0084】
通信回路235によって、PG260は外部プログラム可能ユニット245および/または1以上のその他の患者体外システムとの通信が可能である。一実施形態では、通信回路235およびプログラム可能ユニット245は、ワイヤーループアンテナおよび無線周波数テレメトリリンクを使用して、プログラム可能ユニット245および通信回路235の間で信号とデータの送受信を行う。こうして、植込み中と植込み後にプログラミングされたコマンドがプログラマ245からPG260に転送されうる。さらに、保存された心臓データは、例えば、PG260からプログラム可能ユニット245に転送されうる。
【0085】
感知回路220は、心臓電極210で感知された心拍信号を検出する。感知回路は、アンプ、フィルタ、A/Dコンバータ、およびその他の信号処理回路などを内蔵してもよい。感知回路によって処理される心拍信号は、制御システム250、不整脈検出器254、および形態的秩序プロセッサ(MOP)256に伝送することができる。
【0086】
不整脈検出器254は、例えば、エレクトログラム信号の心拍数および/または形態を評価することによって、不整脈の存在を検出する。MOP256は不整脈発作の形態的秩序レベルの判定に関連する様々な処理を行う。例えば、MOP256は、図3、4A、4B、および5のフローチャートに記載した処理を行うことができる。MOP256は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの実装形態を含んでもよい。
【0087】
MOP256はエレクトログラムの感知回路および/またはセンサ回路からの信号を解析し、検出された不整脈発作の形態的秩序レベルを判定する。例えば、MOP256は、心電図信号を評価して信号の形態的規則性を判定することができる。MOP256は、代替的または追加的に心電図信号を解析し、信号のエントロピー、例えば不規則性および/または複雑性を判定することができる。さらに、MOP256は、代替的または追加的に1つ以上の血行動態センサ211から得られた信号を解析し、不整脈発作の血行動態の安定性を判定することができる。MOP256は、エレクトログラムおよび/またはセンサ信号の解析に基づいて不整脈の形態的秩序レベルを判定する。
【0088】
不整脈発作の形態的秩序レベルに基づいて、MOP256は、治療ライブラリ241にアクセスし、不整脈の形態的秩序レベルに関連付けられる治療を識別する。頻脈性不整脈治療回路215は、識別された治療の実施を制御する。MOP256は、治療パラメータおよび/または形態的秩序レベルと治療の関連性のマッピングを初期化および/または修正をすることができる。例えば、MOP256は、前述のように、実施された治療の成功または不成功に基づいて、治療および/または治療パラメータに対する形態的秩序レベルの関連性を修正することができる。新たなパラメータおよび/または関連性は、治療ライブラリ241に保存される。
【0089】
本明細書で前述した好ましい実施形態には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な修正と追加を行うことができる。したがって、本発明の範囲は冒頭に示した特許請求の範囲によってのみ定められるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態による、不整脈の形態的秩序に基づいて多段階治療を実施する方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態による、形態的秩序レベルと不整脈治療の関連性のマッピング概念を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による、多段階治療の動的修正のプロセスを示すフローチャートである。
【図4A】本発明の実施形態による、不整脈発作における形態的に類似した心拍数を判定する方法を示す。
【図4B】本発明の実施形態による、不整脈発作の類似した心拍数に基づいて形態的秩序レベルを判定するプロセスを示す。
【図5】本発明の実施形態による、心拍特性の拡散度に基づいて形態的秩序レベルを判定するプロセスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態による、不整脈の形態的秩序レベルに基づいて多段階治療を実施するために使用可能な植え込み型医療装置の一実施形態の部分図である。
【図7】本発明の実施形態による、不整脈の形態的秩序レベルに基づいて多段階治療を実施するために使用可能な植え込み型医療装置の機能コンポーネントを示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不整脈発作を検出するように構成される不整脈検出器と、
不整脈の形態的秩序レベルを心臓治療に関連付けて不整脈発作の形態的秩序レベルを判定する手段と、
前記不整脈発作の前記形態的秩序レベルに関連付けられる心臓治療を実施する手段と、
を含む、心調律管理装置。
【請求項2】
前記形態的秩序レベルが複数の治療コンポーネントを含む多段階治療と関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記形態的秩序レベルの1つ以上が抗頻脈ペーシング治療および心臓ショック治療の一方または両方と関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記形態的秩序レベルが治療の探索時間と関連付けられ、前記治療の探索時間は前記心臓治療が実施される時間の長さを表す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の心電図信号の形態的規則性、前記心電図のエントロピー、および前記不整脈発作の血行動態の安定性の少なくとも1項目に基づいて判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記形態的規則性、前記エントロピー、および前記血行動態の安定性の少なくとも2項目の組合せに基づいて判定される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の1つ以上の心拍信号の形態をテンプレートと比較することに基づいて判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の心拍信号の形態を、前記不整脈発作の別の心拍信号の形態と比較することによって判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の心拍数の不規則性に基づいて判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の心電図信号の形態的複雑性に基づいて判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、前記不整脈発作の血行動態の安定性に基づいて判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記不整脈発作の形態的秩序レベルは、形態的秩序の1つ以上の尺度にそれぞれ関連付けられる1つ以上の閾値を使って判定される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記形態的秩序レベルは、遡及的データベース解析、患者治療の許容範囲、および医師の入力の1項目以上に基づいて前記心臓治療と関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記心臓治療の1つ以上のコンポーネントの実施に続いて、前記不整脈の再検出の検知手段をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記形態的秩序レベルは心臓治療に静的に関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記形態的秩序レベルは心臓治療に動的に関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記形態的秩序レベルは、病歴データ、患者治療の許容範囲、および医師の入力の1項目以上に基づいて前記心臓治療と関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記形態的秩序レベルは、前記心臓治療の効果に基づいて前記形態的秩序レベルと前記心臓治療との関連性を動的に変更することによって、前記心臓治療に関連付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記心臓治療と治療パラメータとに関連付けられる前記形態的秩序レベルの少なくとも1つは実施済みの前記心臓治療の効果に基づいて修正される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記不整脈の形態的秩序レベルを心臓治療に関連付ける手段と、前記不整脈発作の形態的秩序レベルを判定する手段とが、植込み回路からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記植込み回路は、前記不整脈発作の心電図信号の形態的規則性、前記心電図信号のエントロピー、前記不整脈発作の心拍数の規則性、および前記不整脈発作の血行動態の少なくとも1項目に基づいて、前記不整脈発作の形態的秩序レベルを判定するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記植込み回路は、前記不整脈発作の1つ以上の心拍信号の形態をテンプレートと比較して前記不整脈発作の形態的秩序を判定するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記植込み回路は、前記不整脈発作の1つの心拍信号の形態を前記不整脈発作の別の心拍信号の形態と比較して前記不整脈発作の形態的秩序を判定するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記植込み回路は、血行動態センサをさらに含み、前記血行動態センサの出力に基づいて前記不整脈発作の形態的秩序を判定するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記血行動態センサはインピーダンスセンサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記血行動態センサは圧力センサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記植込み回路は、遡及的データベース解析、患者治療の許容範囲、および医師の入力の1項目以上に基づいて前記形態的秩序レベルを前記心臓治療に関連付けるように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記植込み回路は、前記形態的秩序レベルを前記心臓治療に静的に関連付けるように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項29】
前記植込み回路は、前記形態的秩序レベルを前記心臓治療に動的に関連付けるように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項30】
前記植込み回路は、心臓治療の効果に基づいて、前記形態的秩序レベルと心臓治療の関連付けを修正するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項31】
前記植込み回路は、実施済みの前記心臓治療の効果を判定し、前記実施済みの心臓治療の効果に基づいて、前記心臓治療と治療パラメータに関連付けられる少なくとも1つの前記形態的秩序レベルを修正するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項32】
心臓治療のライブラリと、前記形態的秩序レベルと前記心臓治療の関連性のマッピングを記憶する、メモリをさらに含む、請求項20に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−505737(P2009−505737A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528096(P2008−528096)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/032872
【国際公開番号】WO2007/024920
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(592245720)カーディアック ペースメーカーズ,インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】