説明

往復動工具及び往復動工具に装着されるアタッチメント

【課題】安定した作業を行える往復動工具及び安定した作業を行うために往復動工具に装着するアタッチメントを提供する。
【解決手段】モータ3と運動変換部4を内蔵すると共に鋸刃10が装着される出力軸部5を支承するハウジング2を有し、鋸刃10は被加工材と接触する平面部10Bを有し、ハウジング2には、ハウジング2の表面から突出する突出部23を有し、突出部23の突出方向先端にボール23Aが設けられ、ボール23Aの先端が平面部10Bと同一平面上に位置するように構成されている往復動工具1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は往復動工具と、往復動工具に装着されるアタッチメントとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来スクレーパーやサンダー、若しくは鋸刃等の先端工具が装着される先端工具装着部を有し、この先端工具を軸周りに往復回動させて先端工具を駆動し、作業を行う往復動工具が知られている。この往復動工具に例えば鋸刃を装着した構成では、切削速度が携帯用丸鋸等に比べて遅いため、細かな切削作業を行うのに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−100253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の往復動工具は、先端工具に伝達される出力が往復運動であるので手で保持した状態では、工具本体も振動し、細かな作業に支障を及ぼす恐れがあった。またスクレーパーやサンダーを装着して作業する際には、被加工面に対して平行に往復動工具を移動させるべく、往復動工具を水平移動させる必要があるが、振動が発生した状態では水平移動が困難になる場合があった。よって本発明は、安定した作業を行える往復動工具及び安定した作業を行うために往復動工具に装着するアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、動力部と、先端工具が装着されると共に該動力部により往復回動する出力軸部と、該出力軸部と該動力部との間に介在して該動力部の出力を該出力軸部の往復回動運動に変換する運動変換部と、被加工材に対する該先端工具の位置を規定するガイド部と、を備える往復動工具を提供する。
【0006】
このような構成によると、ガイド部により被加工材に対する先端工具の位置が規定されるため、安定した加工作業を行うことができる。
【0007】
上記構成の往復動工具において、該動力部と該運動変換部を内蔵すると共に該出力軸部を支承するハウジングを更に有し、該先端工具は該被加工材と接触する平面部を有し、該ガイド部は、該ハウジングの表面から突出する突出部であり、該突出部は突出方向先端が該平面部と同一平面上に位置するように構成されていることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、先端工具の平面部と、突出部とで往復動工具を支えることができるので、手で保持せずとも往復動工具を水平状態に保つことができ、安定した作業を行うことができる。
【0009】
また該先端の該ハウジング表面からの突出量を変更可能な突出量変更機構を更に有することが好ましい。
【0010】
このような構成によると、種々の先端工具に容易に対応することができる。また平面部を水平に保つ以外にも、例えば被加工材の面に対して平面部を水平以外の所定の角度に保つこともできる。
【0011】
また該突出部の先端は、球面状に構成されていてもよく、該突出部の先端には、自転可能なボールが配置されていてもよい。
【0012】
このような構成によると、突出部が被加工部材に対して滑ることができるため、突出部が被加工材に当接した状態で、容易に往復動工具を被加工材に対して移動させることができる。
【0013】
また該ハウジングは複数の分割ハウジングが組合わせられて構成され、該ボールは、組合わせられた複数の分割ハウジングに挟まれて支持されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、容易にボールを支承することができる。
【0015】
また該動力部と該運動変換部を内蔵すると共に該出力軸部を支承するハウジングを更に有し、該ガイド部は、接地面を有する平板状に構成され該接地面が該被加工部材に接触するように該非加工部材上に載置されるベース部と、該ハウジングに着脱可能に固定されるプレート部と、該プレート部と該ベース部との間に介在し、該ベース部と平行な傾動軸を有する傾動軸部及び該傾動軸部と直交する揺動軸を有する揺動軸部を有して該傾動軸回り及び該揺動軸回りで該ベース部に対して該プレート部を傾動及び揺動可能な回動部と、を含んで構成されるアタッチメント部であり、該ハウジングは、該プレートが固定される装着部を有し、該装着部は、該プレートが該ハウジングに固定された状態で出力軸部の回動軸と該傾動軸とが平行になるように構成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、アタッチメント部が着脱可能であるので、必要な時にだけ、アタッチメント部を装着して、先端工具を被加工材に対して所定の角度に保持することができる。
【0017】
また該ベース部は、該傾動軸部と平行に延びる一方の側縁と他方の側縁とを有し、該ハウジングは、該一方の側縁と該他方の側縁との間に位置していることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、狭い箇所で作業を行う際に、ハウジングが邪魔にならず、作業性の低下を抑制することができる。
【0019】
また該装着部は複数のネジ孔を有し、該プレート部は、該ネジ孔にネジ固定されることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、簡単な構成で、確実にプレート部をハウジングに対して固定及び着脱することができる。
【0021】
また該回動部は、該プレート部を所定の傾動角度で固定可能な傾動固定機構と該プレートを所定の揺動角度で固定可能な揺動角度固定機構とを備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、被加工部材に対する先端工具の角度を任意の角度で容易に固定することができる。
【0023】
また上記課題を解決するために、軸周りに往復回動し先端工具が装着可能な出力軸部を有する往復動工具に装着可能なアタッチメントであって、接地面を有する平板状に構成され該接地面が該被加工部材に接触するように該非加工部材上に載置されるベース部と、該ハウジングに固定されるプレート部と、該プレート部と該ベース部との間に介在し、該ベース部と平行な傾動軸を有する傾動軸部及び該傾動軸部と直交する揺動軸を有する揺動軸部を有して該傾動軸回り及び該揺動軸回りで該ベース部に対して該プレート部を傾動及び揺動可能な回動部と、を備え、該プレート部は、該往復動工具に対して着脱可能であると共に、該出力軸部の回動軸と該傾動軸とが平行な状態で装着されるように構成されているアタッチメントを提供する。
【0024】
このような構成によると、アタッチメントが往復動工具に着脱可能であるので、必要な時にだけ、アタッチメントを装着して、先端工具を被加工材に対して所定の角度に保持することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の往復動工具及びアタッチメントによれば、被加工部材に対して先端工具を所定の位置に規定でき、安定した作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る往復動工具の側面断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る往復動工具の底面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る往復動工具の作業状態における側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る往復動工具にアタッチメントを装着した状態での平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る往復動工具にアタッチメントを装着した状態での正面断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係る往復動工具にアタッチメントを装着した状態での部分側面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る往復動工具にアタッチメントを装着した状態で傾動させた状態での正面断面図。
【図8】本発明の実施の形態に係る往復動工具にアタッチメントを装着した状態で揺動させた状態での部分側面図。
【図9】本発明の実施の形態に係る往復動工具の突出部の変形例に係る断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第一の実施の形態に係る往復動工具について、図1乃至図3に基づき説明する。図1に示される往復動工具1は、鋸刃1Aや、図示せぬスクレーバー、サンダー等を先端工具として装着可能な工具であり、主にハウジング2と、モータ3と、運動変換部4と、出力軸部5から構成され、充電式の電池6を電源として駆動される工具であり、出力軸部5の端部に先端工具である鋸刃10Aが装着されている。
【0028】
ハウジング2は樹脂製であり、中空筒状に形成され、主にモータ3を保持する共に電池6が装着され把持部となる主ハウジング21と、主に出力軸部5を保持する副ハウジング22とから構成され、主ハウジング21と副ハウジング22とで運動変換部4を保持するように構成されている。
【0029】
主ハウジング21は、図2に示されるように、後述の上下方向及び前後方向に延びる平面で二分割され略対称な分割ハウジング21A、21Bから構成されている。図1に示されるように、主ハウジング21内の空間には、上述のモータ3と、運動変換部4とが主に内蔵され、運動変換部4に関してモータ3の反対側に出力軸部5がモータ3から運動変換部4へ向かう方向と直交する方向を回動軸として副ハウジング22内に配置されている。以下の説明においては、出力軸部5の軸方向であって鋸刃10が装着されている端部を下方として上下方向を規定し、上下方向と直交する方向であってモータ3から運動変換部4へ向かう方向を前方として前後方向を規定する。また前後方向及び上下方向と直交する方向であって図1紙面上側を左方として左右方向を規定する。
【0030】
主ハウジング21の後端部分には電池6が装着されている。この後端部分は、上下方向長さがモータ3や運動変換部4等が内蔵されている部分に対して上下方向長さが大きくなるように、下方へ向けて突出するように構成されている。この突出している箇所を突出部23とする。突出部23の下端位置であって左右方向の中心位置(分割ハウジング21A、21Bが互いに接する位置(図2))には、凹部2aが形成されており、凹部2a内にボール23Aが配置されている。凹部2aは左右方向と直交する面で半割された一方及び他方が分割ハウジング21A、21Bにそれぞれ形成されており、分割ハウジング21A、21Bを重ね合わせてボール23Aを挟持している。この突出部23は、鋸刃10の後述の平面部10Bを含む仮想平面上にボール23Aの下端が位置するように構成されている。ボール23Aは、耐摩耗性に優れる金属製の球体であり、凹部2a内に回転可能に配置されている。
【0031】
主ハウジング21において、突出部23の内部には電池6とモータ3との間に介在し、モータ3の回転を制御する制御基板24が配置されている。ハウジング2内において、モータ3の後方には、制御基板24に接続されモータ3のオン・オフに係る信号を出力するスイッチ回路25が設けられており、主ハウジング21上部表面には、前後に移動可能であり、前後に移動してスイッチ回路25を操作するスイッチ25Aが設けられている。
【0032】
また主ハウジング21において前端位置は後述のモータ3の回転軸部31と同軸的な軸心を有する円筒状に構成されている。
【0033】
副ハウジング22は、外殻22Aと保持部22Bとから構成され、外殻22Aで、主ハウジング21前端の円筒状部分に、主ハウジング21に対して前後動のみ可能にバネ22Cを介して装着されている。保持部22Bは、外殻22A内部に配置され、略L字状の円筒状に構成されている。この円筒は、L字状の一端が後方に開口して後述の回転軸部31に対向し、L字状の他端が下方に開口して副ハウジング22外に開口するように構成されている。保持部22Bの後側位置には、後述の回転軸部31後述のスピンドル41を回転可能に軸支するカム側ベアリング26Aが設けられ保持部22Bの下側位置には出力軸部5を回動可能に支承する出力軸側ベアリング26Bが設けられている。また保持部22B内であって出力軸側ベアリング26Bの上方には、出力軸側ベアリング26Bと同軸配置された出力軸側軸受26Cが設けられている。
【0034】
また副ハウジング22において、保持部22Bの下側の開口周辺には、後述のプレート103が装着される図示せぬ一対のネジ孔が形成されている。
【0035】
モータ3は、制御基板24により回転を制御される公知の直流モータであり、回転軸部31を有し、回転軸部31の軸方向が前方となるようにハウジング2内に配置されている。
【0036】
運動変換部4はスピンドル41とクランク部42とから主に構成されている。スピンドル41は、回転軸部31と同軸一体回転するように回転軸部31に装着され、前端部分が保持部22B内に挿入されて、カム側ベアリング26Aに回転可能に支承されている。スピンドル41の前端には、回転軸部31と平行かつ異軸のカム軸部41Aが設けられており、カム軸部41Aの外周には、ベアリング41Bが圧入されている。
【0037】
クランク部42は、出力軸部5に固定されて出力軸部5から後方へと延出されており、その後端に左右方向に並んで平行に延びる二本のアーム42Aが構成されている。この二本のアーム42Aの左右方向の間隔はベアリング41Bの外径と略同一若しくは僅かに大きくなるように構成されている。二本のアーム42A間にベアリング41Bが挿入された状態でスピンドル41が回転すると、ベアリング41Bがスピンドル41の回転軸回りを回動する。この状態においてクランク部42は、アーム42A間にベアリング41Bが挿入されているため、左右方向においては、ベアリング41Bの動作に追従する。しかし上下方向については、二本のアーム42A間の距離がベアリング41Bの外径と略同じ若しくは僅かに大きいため、クランク部42がベアリング41Bの上下方向の動作に追従することはない。即ちスピンドル41が回転することによりクランク部42は左右方向に移動する。クランク部42の前端は出力軸部5に固定されているため、クランク部42は、出力軸部5の中心軸を始点とする振り子運動を行う。
【0038】
出力軸部5は上下方向に延びる円柱状に構成され、上端が出力軸側軸受26Cで支承され上下方向の略中央部分において出力軸側ベアリング26Bで支承され、出力軸側軸受26Cと出力軸側ベアリング26Bとの間でクランク部42の前端に固定されている。出力軸部5の下端には、鋸刃10が装着される装着部51が設けられており、アダプタ52を介して鋸刃10が装着されている。
【0039】
鋸刃10は、図2に示されるように半円弧状に構成されており、曲線部分である円弧部10Aに鋸刃が設けられ、円弧部10Aが前方に位置するように円弧の中心で装着部51に装着されている。鋸刃10において、円弧部10Aを規定する平板部分であって下面には平面部10Bが規定されている。
【0040】
上記往復動工具1で切削作業を行う際には、図3に示されるように、鋸刃10の平面部10Bを接地させると共にボール23Aを接地させる。このように接地させることにより往復動工具1は、上下方向と地面とが直交する状態に配置されるので、正確に水平方向に切削作業を進めることができる。往復動工具1は作業者が手で保持して操作するが、ボール23Aと平面部10Bで接地しているため、上下方向(図3における重力方向)については支持する必要が無く、前後方向及び左右方向についてのみ往復動工具1を操作すればよく、故に作業者への負担が減り、安定した作業を行うことができる。
【0041】
次に本発明の第二の実施の形態について図4乃至図8に基づき説明する。図4には、第一の実施の形態で説明した往復動工具1にアタッチメント101が装着された状態が示されている。図4乃至図8においては、前後方向を第一の実施の形態で示される前後方向と一致させ、上下方向、及び左右方向については、後述のベース102に基づき規定される方向として説明する。
【0042】
アタッチメント101は、ベース102と、プレート103と、回動部104とから主に構成されている。
【0043】
ベース102は略長方形の板状を成し一面が被加工部材と接触する接地面を成しており、前後方向が長手となるように構成されている。ベース102において長手方向と直交する短手方向を左右方向と定義し、長手方向及び短手方向と直交する方向を上下方向と定義する。
【0044】
ベース102において一方の長辺近傍には、前後方向に延びる長穴102aが形成されており、この長穴102aから鋸刃10が下方へ突出可能である。又ベース102の前後に位置する短辺において、長穴102aから前後方向へと延長した箇所には、それぞれ切り欠き102b、102bが形成されている。またベース102は、往復動工具1がアタッチメント101に装着された状態で、右側の長辺から左側の長辺の間に往復動工具1が位置するように、その短辺の長さ(左右方向の長さ)が規定されている。
【0045】
またベース102の上面であって前側の短辺近傍かつ他方側の長辺近傍位置には、ガイド102Aが設けられている。ガイド102Aは、左右方向に延びるアーム102Bと、ベース102に固定されてアーム102Bの基端側を固定するとともにアーム102Bを左右方向に移動可能に支持する支持部102Cと、アーム102Bの先端側に固定され、前後方向に延びる側面を有する当接部102Dとを備えている。被加工材が前後方向に延びる側面を有する際には、被加工材の側面に当接部102Dを当接することにより、被加工材の側面に沿ってベース102を前後に移動させることが可能になる。
【0046】
図6に示されるように、プレート103は、長尺状の板状に構成されており、長尺状の一端で図4に示されるように副ハウジング22の図示せぬ一対のネジ孔にネジ103Aで固定され、往復動工具1と一体になるように構成されている。またプレート103の長尺状の他端には出力軸部5の軸方向と同軸方向に開口する図示せぬ穿孔が形成されている。このプレート103と関連して装着部である副ハウジング22の図示せぬネジ孔は、プレート103が装着された状態でプレート部103を支承する後述のボルト部104Eの中心軸(揺動軸)と、出力軸部5の回動軸とが平行になるように構成されている。
【0047】
図4に示されるように、回動部104は、ベース扇状部104Aと、ベース側プレート部104Bとから主に構成されている。図5に示されるように、ベース扇状部104Aは、中心角90度の扇形を成す平板状の板材であり、ベース102の前側に平板が前後方向と直交し半径方向に延びる側縁がベース102の上面上に接地し、中心部分がベース102の長穴102aの前端近傍に位置するように配置されてベース102に接続されている。
【0048】
ベース扇状部104Aにおいて、その中心位置には、ベース102と平行かつベース扇状部104Aから後方に向かって延び、長穴102aの後端近傍でベース102に支持される傾動軸部104Cが装着されている。またベース扇状部104Aにおいて円弧近傍位置には、円弧に沿って形成される長穴状の固定ネジ孔104aが形成されている。
【0049】
図6に示されるように、ベース側プレート部104Bは、短辺と長辺とを有する略長方形を成す平面板状に構成されており、略長方形の一方の短辺が傾動軸部104Cと平行になるように、一方の短辺近傍位置で傾動軸部104Cに支承されて傾動軸部104Cの中心軸(傾動軸)回りに傾動可能に構成されている。ベース側プレート部104Bにおいて、前側に位置する長辺部分には、前後方向に雌ねじが切られた図示せぬネジ孔が形成されており、このネジ孔に操作部104Dがねじ込まれて設けられている。
【0050】
操作部104Dは、ベース扇状部104Aの固定ネジ孔104aを貫通してネジ孔にねじ込まれており、操作部104Dを回転させてねじ込むことにより、ベース扇状部104Aに対してベース側プレート部104Bを所定の傾動角度で固定することができる。
【0051】
またベース側プレート部104Bの平面の中央位置には図示せぬ孔が貫通して形成されており、この図示せぬ孔を貫通して揺動軸部であるボルト部104Eが設けられている。ボルト部104Eはボルト・ナットから構成されており、プレート103の図示せぬ穿孔を貫通して、ベース側プレート部104Bに対してプレート103をボルト部104Eの中心軸(揺動軸)回りに揺動可能に支持すると共に、所定の揺動角度で固定することができる。
【0052】
上記構成のアタッチメント101を往復動工具1に装着する際には、図4に示されるように、鋸刃10が長孔102a内に挿入された状態で、プレート103を副ハウジング22の図示せぬネジ孔にネジ103Aによりネジ止めする。図5に示される鋸刃10とベース102とが直交している状態から、図7に示される鋸刃10とベース102とが所定の角度αを成すようにするには、操作部104Dを操作し後退させてベース扇状部104Aとベース側プレート部104Bとの固定を解除した状態でベース側プレート部104Bを角度α傾動させ、その後に操作部104Dをねじ込んでベース扇状部104Aとベース側プレート部104Bとを固定する。
【0053】
また図6に示される、鋸刃10がベース102の下面から突出量Z1突出している状態(ボルト部104Eの揺動軸から出力軸部5の回動軸を結ぶ直線と水平面との間が角度β1を成す状態)から、図8に示される、鋸刃10がベース102の下面から突出量Z2突出している状態(ボルト部104Eの揺動軸から出力軸部5の回動軸を結ぶ直線と水平面との間が角度β2を成す状態)にするには、ボルト部104Eを操作して緩めた状態で、プレート103を揺動させ、その後にボルト部104Eを操作して締結する。これらの操作を行うことにより、鋸刃10による被加工材に対する切削深さ、切削角度を容易に変更することができ、往復動工具1による作業性を良くすることができる。またアタッチメント101はネジ止めされる構成であるため、往復動工具1に対して着脱容易であり、必要な時のみアタッチメント101を装着し、それ以外は取り外しておくことにより、往復動工具1の作業の幅を拡げることができる。
【0054】
またアタッチメント101において、ベース102は、右側の長辺から左側の長辺の間に往復動工具1が位置するように構成されている。このように構成されているため、例えば狭い作業環境において、左右方向においてベース102が挿入可能な隙間があれば、必ず往復動工具1も挿入可能になり、切削作業を行うことができる。即ち狭い箇所で作業を行う際に、往復動工具1が邪魔に鳴らず、作業性の低下を抑制することができる。
【0055】
本発明の往復動工具は、上述の実施の形態に限定されず特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば第一の実施の形態においては、ボール23Aを被加工材と当接する箇所として使用したが、これに限らず、当接箇所が球状を成していれば、少なくともスムーズに往復動工具を被加工材上で移動させることができる。また第一の実施の形態においては、主ハウジング21にボール23Aが直接挟持された構成であるため、主ハウジング21に対してボール23Aの位置(突出量)を変化させることができない。よって図9に示されるような突出量変更機構を備える構成であってもよい。具体的には、主ハウジング21にネジ孔121aを形成すると共に、ネジ孔121aにねじ込み可能なネジ部材123の下端にボール23Aを回転可能に保持し、ネジ部材123をネジ孔121aにねじ込んで進退させることにより、主ハウジング21からボール23Aの突出量を変更することが可能になる。またネジ部材123には、ナット123Aがねじ込まれて、主ハウジング21に対して締結することにより、いわゆるダブルナットによってネジ部材123が緩み突出量が変化することを抑制することができる。
【0056】
また本実施の形態では、アタッチメントを往復動工具とは別体として説明したが、これに限らず、往復動工具の構成部品としてアタッチメントを含めてもよい。また先端工具としては、鋸刃についてのみ説明したが、鋸刃に限らず、スクレーパーやサンダー等を先端工具として用いた場合にも、本実施の形態を適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:往復動工具 2:ハウジング 2a:凹部 3:モータ
4:運動変換部 5:出力軸部 6:電池 10:鋸刃 10A:円弧部
10B:平面部 21:主ハウジング 21A、B:分割ハウジング
22:副ハウジング 22A:外殻 22B:保持部 23:突出部 23A:ボール
24:制御基板 25:スイッチ回路 25A:スイッチ 26A:カム側ベアリング
26B:出力軸側ベアリング 26C:出力軸側軸受 31:回転軸部
41:スピンドル 41A:カム軸部 41B:ベアリング 42:クランク部
42A:アーム 51:装着部 52:アダプタ 101:アタッチメント
102:ベース 102A:ガイド 102B:アーム 102C:支持部
102D:当接部 102a:長穴 102b:切り欠き 102a:長孔
103:プレート 104:回動部 104A:ベース扇状部
104B:ベース側プレート部 104C:傾動軸部 104D:操作部
104E:ボルト部 104a:固定ネジ孔 121a:ネジ孔 123:ネジ部材
123A:ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力部と、
先端工具が装着されると共に該動力部により往復回動する出力軸部と、
該出力軸部と該動力部との間に介在して該動力部の出力を該出力軸部の往復回動運動に変換する運動変換部と、
被加工材に対する該先端工具の位置を規定するガイド部と、を備えることを特徴とする往復動工具。
【請求項2】
該動力部と該運動変換部を内蔵すると共に該出力軸部を支承するハウジングを更に有し、
該先端工具は該被加工材と接触する平面部を有し、
該ガイド部は、該ハウジングの表面から突出する突出部であり、該突出部は突出方向先端が該平面部と同一平面上に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の往復動工具。
【請求項3】
該先端の該ハウジング表面からの突出量を変更可能な突出量変更機構を更に有することを特徴とする請求項2に記載の往復動工具。
【請求項4】
該突出部の先端は、球面状に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の往復動工具。
【請求項5】
該突出部の先端には、自転可能なボールが配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の往復動工具。
【請求項6】
該ハウジングは複数の分割ハウジングが組合わせられて構成され、
該ボールは、組合わせられた複数の分割ハウジングに挟まれて支持されていることを特徴とする請求項5に記載の往復動工具。

【請求項7】
該動力部と該運動変換部を内蔵すると共に該出力軸部を支承するハウジングを更に有し、
該ガイド部は、接地面を有する平板状に構成され該接地面が該被加工部材に接触するように該非加工部材上に載置されるベース部と、該ハウジングに着脱可能に固定されるプレート部と、該プレート部と該ベース部との間に介在し、該ベース部と平行な傾動軸を有する傾動軸部及び該傾動軸と直交する揺動軸を有する揺動軸部を有して該傾動軸回り及び該揺動軸回りで該ベース部に対して該プレート部を傾動及び揺動可能な回動部と、を含んで構成されるアタッチメント部であり、
該ハウジングは、該プレートが固定される装着部を有し、該装着部は、該プレートが該ハウジングに固定された状態で出力軸部の回動軸と該揺動軸とが平行になるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の往復動工具。
【請求項8】
該ベース部は、該傾動軸部と平行に延びる一方の側縁と他方の側縁とを有し、
該ハウジングは、該一方の側縁と該他方の側縁との間に位置していることを特徴とする請求項7に記載の往復動工具。
【請求項9】
該装着部は複数のネジ孔を有し、
該プレート部は、該ネジ孔にネジ固定されることを特徴とする請求項7または請求項8のいずれかに記載の往復動工具。
【請求項10】
該回動部は、該プレート部を所定の傾動角度で固定可能な傾動固定機構と該プレートを所定の揺動角度で固定可能な揺動角度固定機構とを備えることを特徴とする請求項7乃至は請求項9のいずれか一に記載の往復動工具。
【請求項11】
軸周りに往復回動し先端工具が装着可能な出力軸部を有する往復動工具に装着可能なアタッチメントであって、
接地面を有する平板状に構成され該接地面が該被加工部材に接触するように該被加工部材上に載置されるベース部と、該ハウジングに固定されるプレート部と、該プレート部と該ベース部との間に介在し、該ベース部と平行な傾動軸を有する傾動軸部及び該傾動軸部と直交する揺動軸を有する揺動軸部を有して該傾動軸回り及び該揺動軸回りで該ベース部に対して該プレート部を傾動及び揺動可能な回動部と、を備え、
該プレート部は、該往復動工具に対して着脱可能であると共に、該出力軸部の回動軸と該傾動軸とが平行な状態で装着されるように構成されていることを特徴とするアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71229(P2013−71229A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213979(P2011−213979)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】