説明

後処理機構

【課題】同一位置で綴じ処理された紙束を排紙トレイに排出して積載する際、相互に位置をずらさずとも支障なく積載可能で、尚且つ積載された紙束もその紙束の厚みによらず安定で整合性も良く、後の配布作業においても分別し易い積載紙束を形成し、さらにフェイスアップ・フェイスダウン両方の排紙方式にも対応可能な画像形成装置の後処理機構を提供する。
【解決手段】画像形成部から排出される複数枚の転写紙5からなる紙束15を揃えて綴じる綴じ手段14と、前記転写紙5を排紙トレイ8に排紙する搬送手段とを備える画像形成装置の後処理機構であって、前記搬送手段による排紙に伴って、前記紙束15ごとに前記転写紙を表裏反転して排紙する反転機構と、前記表裏反転に伴って、前記綴じ手段14による前記紙束の綴じ位置をその搬送方向における位置を変えずに搬送方向と直交する方向に変位させる変位機構とを備える画像形成装置の後処理機構を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部から排出される複数枚の転写紙からなる紙束を揃えて綴じる綴じ手段と、前記転写紙を排紙トレイに排紙する搬送手段とを備える画像形成装置の後処理機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置(複写機、プリンター又はファクシミリあるいはこれらの複合機等が挙げられる)の後処理機構としては、画像形成装置により画像が転写されて外部に排出された複数枚の転写紙を一時的に収納する中間トレイと、この中間トレイ上の転写紙束に対してステイプル処理等の所定の綴じ処理を施す綴じ手段と、転写紙を排紙トレイに搬送する搬送手段とを備えたものがある。
このような後処理機構においては、一つの紙束を構成する所定枚数の転写紙が画像形成装置から中間トレイ上に排出された段階でその転写紙束に対して綴じ処理が施され、その綴じ処理の施された転写紙束が中間トレイから排出されて排紙トレイ上に順次積載される。
紙束を排紙トレイ上に順次積載する際、そのまま紙束を積載していくと、ステイプル処理等がされた綴じ部分の周辺が極端に盛り上がり、後の紙束の積載に支障をきたす。そのため、従来は、その綴じ部分が重ならないように紙束を相互にずらして積載していく方法(例えば、特許文献1参照)が報告されている。また特にステイプラーにおいては、表裏どちらの画像面においてもステイプル針の向きを同じにするためにステイプラー本体を反転制御可能な構成としてあるものも報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2531751号公報
【特許文献2】特開平8−143211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては、同一位置でステイプルされた紙束を相互にずらして積載するため整合性が悪く排紙トレイにも余分なスペースが要求される。特に少数枚数で厚みの薄い紙束を積載する場合、排出された紙束のステイプル部分が後続の紙束のステイプル部分に引っかかる虞が生じ、積載後の整合性が一層悪くなる問題がある。
また、ステイプル部分が重ならないように紙束を相互にずらして積載しても、同一位置でステイプルされた紙束を、例えば常に表面を上にして積載していけば、積載後の紙束全体を見るとステイプル位置側が盛り上がってバランスが悪いので紙束が崩れやすい。
さらに、相互にずらして積載された紙束も、それらを持ち運ぶ際には、角を揃えてまとめてから持ち運ぶ場合もあるので、その際は、ステイプル部分周辺が極端に盛り上がってしまうため持ち難く、さらにそれらを分別して配布するときにはステイプル部同士が引っかかって作業を煩わせるという問題も生じていた。
なお、画像形成装置によっては、フェイスアップ・フェイスダウン両方の排紙方式を備えたものがあり、そのような装置に対応して、表裏どちらの画像面においてもステイプル針の向きが同じになるように反転制御可能なステイプラーについての報告もあるが、紙幅方向においてそれぞれ逆の位置にステイプルされることになり、ステイプル位置を表裏の両画像面において同一とすることができないといった問題を抱えており、従来はそのような両面排紙に対応可能な後処理装置が存在しなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、同一位置で綴じ処理された紙束を排紙トレイに排出して積載する際、相互に位置をずらさずとも支障なく積載可能で、尚且つ積載された紙束もその紙束の厚みによらず安定で整合性も良く、後の配布作業においても分別し易い積載紙束を形成し、さらにフェイスアップ・フェイスダウン両方の排紙方式にも対応可能な画像形成装置の後処理機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、画像形成部から排出される複数枚の転写紙からなる紙束を揃えて綴じる綴じ手段と、前記転写紙を排紙トレイに排紙する搬送手段とを備える画像形成装置の後処理機構であって、前記搬送手段による排紙に伴って、前記紙束ごとに前記転写紙を表裏反転して排紙する反転機構と、前記表裏反転に伴って、前記綴じ手段による前記紙束の綴じ位置をその搬送方向における位置を変えずに搬送方向と直交する方向に変位させる変位機構とを備える点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
画像形成部から排出される複数枚の転写紙からなる紙束を揃えて綴じる綴じ手段と、前記転写紙を排紙トレイに排紙する搬送手段とが設けられているので、転写紙が自動的に排紙トレイ上に排出されると共に、排出された複数の転写紙を紙束毎に仕分けする必要がなく、作業の迅速化が図れる。
また、搬送手段による排紙に伴って、紙束毎に転写紙を表裏反転して排紙する反転機構と、表裏反転に伴って、綴じ手段による紙束の綴じ位置をその搬送方向における位置を変えずに搬送方向と直交する方向に変位させる変位機構とを備えているので、紙束は、交互にその表裏が反転した状態で積載されて、しかもその綴じ位置は、排紙の際の見た目は紙束の紙幅方向で相互に異なる位置に施されているように見えるが、実際の綴じ位置はいずれの紙束においても同一となる。
従って、紙束を相互にずらして積載せずとも綴じ部分が一箇所で重なることがないので排紙トレイのスペースを特に余分に設ける必要もなく、さらに綴じ部分が重なることによる極端な盛り上がりも生じないので、何ら支障なく紙束を順次積載することが可能となり、積載後の紙束もその紙幅方向の高さに偏りがなく安定で崩れ難い。
また、上述したように紙束を相互にずらして積載する必要がなく、そしてたとえ紙束の厚さが薄いものであっても後続の紙束の綴じ部分が前の紙束の綴じ部分に引っかかることも無いので積載後の紙束は良好な整合性を示す。
従って、積載後の紙束は持ち運びにも便利であって、さらに綴じ部分同士が接触して引っかかることがないので、配布時においても分別し易い。
本発明の第2特徴構成は、前記綴じ手段がステイプラであって、前記綴じ位置の変位に伴って上下反転するステイプラ反転手段を設けてある点にある。
〔作用及び効果〕
綴じ手段がステイプラであるため、紙束を簡便かつ確実に綴じることが可能である。さらに、綴じ位置の変位に伴って上下反転するステイプラ反転手段が設けてあるため、交互にその表裏が反転した状態で積載された紙束においても、そのステイプル針の向きを常に一定とすることができ、しかも前述したようにステイプル部の位置も同一であるため、フェイスアップ・フェイスダウン両方の排紙方式に対応可能である。
本発明の第3特徴構成は、前記綴じ手段によって綴じ処理された紙束を前記排紙トレイに排紙する際、直前に排紙された紙束の綴じ部分と重ならないように、搬送方向に対して直交する方向に紙束を交互にシフトさせて積載する積載位置変更手段を設けてある点にある。
〔作用及び効果〕
排紙された紙束の綴じ部分とその次に排紙される紙束とが互いに重ならないようにずらして積載されるので、排紙された紙束の綴じ部分に次に排紙される紙束の先端部が引っかかることがなく、よりスムーズで、ある程度の整合性も確保された積載が可能となる。また、積載後の紙束の厚さも、ずらさずに積載した場合と比べて薄くなり得、しかもその紙幅方向とそれに直交する方向の両方向において高さの偏りが無いのでより安定であり、その結果より多くの紙束を積載することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
〔実施形態〕
図1は、本発明を適用した複写機を概略的に示す全体構成図である。図1に示すように、複写機本体1は、原稿画像を読み取る光学系ゾーン2と、像担持体である感光体、感光体を帯電する帯電装置、帯電した感光体に光書込を行って読取ユニットが読み取った画像に対応する静電潜像を形成する書込ユニット、感光体の静電潜像に各色のトナーを供給してトナー像を形成する現像ユニット、および給紙された転写紙にトナー像を転写する転写ユニット等を備えた画像形成ゾーン3と、複写機本体より排出される転写紙5を整合・綴じ処理等を行って転写紙束6を積載していく後処理装置4から構成され、後処理装置4は、画像形成ゾーン3の側面に隣接して設けられている。
画像形成ゾーン3の転写紙排出部9には排出コロ7が設けられている。後処理装置4は、図1において、左側には排紙トレイ8が設けられ、右側には転写紙搬送路10の端部にあたる入口ガイド板16が突設され画像形成ゾーン3の転写紙排出部9に接続されている。転写紙搬送方向下流側には、駆動側の入口コロ17と従動側の入口コロ18が設けられ、排紙トレイ8側に直接延びる転写紙搬送路10は図において略「し」字状に形成され、その湾曲した下端の部分に反転トレイ20側に延びる反転用の搬送路(以下、「反転経路19」と称する。)と搬送方向を切り換える切換爪21が設置され、その下側に反転コロ22、反転爪23が設けられている。また、反転コロ22の下方には反転ガイド板24と搬送コロ25及び叩きコロ26が設けられている。
また、後処理装置4内を上下方向に延びる転写紙搬送路10に沿って、排紙コロ27、従動コロ28、排紙ガイド29がそれぞれ配設されている。
ここで、本実施形態における転写紙5の排紙様式としては、画像形成ゾーン3の排出コロ7により排出された用紙をそのままの状態(フェイスアップ)で中間トレイ11に搬送するフェイスアップ排紙モードと、表裏反転して搬送するフェイスダウン排紙モードの2種類のモードが用意されている。
(1)フェイスアップ排紙モード
画像形成ゾーン3の排出コロ7に転写紙5の先端が来ると、複写機本体1の制御部からフェイスアップ排紙モードによって排紙するという情報が後処理装置4に送られる。このモードでは、転写紙5は入口ガイド板16により第1の駆動手段で駆動される入口コロ17,18に導かれる。この時、切換爪21を作動させる切換爪ソレノイド(図示せず)はオンで切換爪21は実線の位置(A位置)にあり、転写紙5を第2の駆動手段で駆動される各排紙コロ27の方向へ導き、転写紙搬送路10を通って、排紙ガイド29に沿って中間トレイ11上に排出される。
(2)フェイスダウン排紙モード
フェイスダウン排紙モードの場合には、画像形成ゾーン3の排出コロ7に転写紙5の先端が来ると、複写機本体1の制御部からフェイスダウン排紙モードという情報が後処理装置4に送られる。転写紙5は入口ガイド板16により、入口コロ17,18に導かれる。この時、切換爪21を動作させる切換爪ソレノイドはオフで、切換爪21は点線の位置(B位置)にあり、転写紙5は反転動作を行うべく反転爪23と反転コロ22で構成されたくさび状の部分へ進入する。なお、反転爪23の先端は反転コロ22に対してオーバラップするように設定され、反時計方向に加圧されており、転写紙5の進入の障害にならぬように時計方向に回転可能となるように取り付けられている。これにより、転写紙5は反転コロ22と反転爪23とによって生じる搬送力によって、反転ガイド板24に沿って反転経路19を通って反転トレイ20側へ搬送される。
次に、転写紙5の後端が反転コロ22と反転爪23に接する部分から抜け出ると、反転爪23は反時計方向の加圧により、図の点線の位置(C位置)から実線の位置(D位置)まで移動して反転センサ(図示せず)がオン状態となり、その信号に基づいて叩きコロ26を駆動する反転ソレノイド(図示せず)がオンになり、叩きコロ26が実線の位置(E位置)から第2の駆動手段によって高速に駆動されている搬送コロ25と接する点線の位置(F位置)まで転写紙5を挟み込むように移動し、転写紙5は搬送方向が前後逆転(スイッチバック)して、反転爪23に沿って高速で上方(中間トレイ11方向)へ搬送され、第2の駆動手段によって高速で駆動される各排紙コロ27より中間トレイ11に反転排紙として排出される。
図2は、中間トレイ11上に排紙される転写紙を所定枚数集積した後、それらを紙束にまとめて、綴じ処理を行い排紙トレイ8に積載する工程を示している。
中間トレイ11は、排紙方向に沿って上向き勾配を有するように設けられており(図1参照)、さらにその上には、幅寄せ部材12と束押し部材13とが設けられている。
幅寄せ部材12は、転写紙幅方向で2箇所に配置され、モータの駆動によってそれぞれ転写紙幅方向に移動可能であり、転写紙5を同方向に整合すると共に、紙束15についても同方向に精度良くシフト可能である。
また、束押し部材13は、2つの幅寄せ部材12の間に位置するように配置され、モータ駆動によって転写紙幅方向と搬送方向の両方向で移動可能であり、転写紙幅方向に移動する場合は、幅寄せ部材12の移動に伴って移動して、転写紙5を排紙方向に整合すると共に、紙束15についても排紙方向に精度良くシフト可能で、転写紙5やその紙束15を排紙トレイ8上に押し出すことも可能である。
綴じ手段14(例えばステイプルユニットなど)は、中間トレイ11の上方側に設置されたレール上を転写紙幅方向に移動可能である。フェイスアップモードで排紙された紙束の場合、図2(イ)〜(ニ)に示すように、綴じ手段14は排紙方向に向かって左側に移動して表面から左片綴じを行うが、フェイスダウンモードで反転排紙された紙束の場合は、図2(ホ)〜(ト)に示すように、綴じ手段14は排紙方向に向かって右側に移動して裏面から右片綴じを行う。尚、図2(イ)〜(ト)に従って排紙された紙束は、同図の(チ)のように角が揃えられた状態で排紙トレイ8上に積載されるが、1紙束ごとに互い違いに積載して仕分けることのできる、いわゆるドギーテール機能を選択的に使用し得るような後処理装置の場合、図3(イ)〜(ト)のように直前に排紙された紙束の綴じ部分(ステイプル部)Hと重ならないように排紙することが可能なので、図3(チ)のように交互にずれた状態で排紙トレイ8上に積載される。
図6は、本実施形態における、後処理機構の制御動作の手順を示すフローチャートである。紙束を構成する転写紙の枚数(C)と、紙束の部数(K)を予めセットして、複写をスタートすると、まずフェイスアップモードが起動し、Cがカウントされ中間トレイ11上に転写紙が一旦集積される。Cが所定枚数に達すると、綴じ手段14により表面から左片綴じが施され、Kがカウントされて、排紙トレイ8上に積載される。Kがまだ所定部数に達していない場合、一旦Cがリセットされ、今度はフェイスダウンモードが起動して、転写紙が反転排紙される。後はフェイスアップモード時と同様に、Cがカウントされ中間トレイ11上に一旦集積され、Cが所定枚数に達すると、綴じ手段14により裏面から右片綴じが施されて、Kがカウントされる。Kが所定部数に達するまで上述のフェイスアップモードとフェイスダウンモードが交互に繰り返され、Kが所定部数に達すると、Kのカウントがリセットされて終了する。
〔別実施形態〕
図4〜5は、本発明の画像形成装置の後処理機構の別実施形態を示しており、ここでは、フェイスアップモードとフェイスダウンモードが交互に繰り返される際に、それに連動して綴じ手段14(ステイプラー)が反転するステイプラ反転手段を使用している。
【0009】
図5は、別実施形態の綴じ手段14の内部構造(側面図)を示している。ここで綴じ手段14は、雄ネジ溝のある回転軸30、綴じ部(例えばステイプラー等)31、ギアボックス32から構成されている。ギアボックス32内には、ラックギア大34、ラックギア小35、クラッチ36及び反転軸42が連動可能に支持され、反転軸42の端部は閉じ部31の背面部に固定されており、ラックギア大34は中間トレイ11上方の転写紙幅方向に設置固定されているラック33上に係合している。ギアボックス32の外側側面部には、2つの透過型センサー37、38が上下方向に2箇所設けられおり、それぞれクラッチ36と配線41で繋がっている。透過型センサー37、38には、投光部44と受光部45が上下にセットでコの字型に設けられ、その間を光が常に透過している状態にある。綴じ部31の背面部にも、上下方向に2箇所、遮蔽突起39、40が設けられている。
ここで、図4(イ)及び(ロ)に従って、綴じ手段14が中間トレイ11上を転写紙幅方向に移動する際、綴じ部31の上下反転する仕組み(上下反転機構)を説明する。
回転軸30は、両方向に回転駆動可能に後処理装置4内に支持してあり、複写機本体1の制御部から、後処理装置4に綴じ部31の反転制御命令がなされると、回転軸30がモータ駆動により所定方向に回転する。ギアボックス32内には、回転軸30に螺合する雌ネジ部43が固定してあり、回転軸30の所定方向の回転駆動と共にギアボックス32がラック33上を左右いずれか所定方向に移動する。
ギアボックス32の移動と共に、ラック33上に係合しているラックギア大34が回転し、その回転動力がラックギア小35を経て反転軸42に伝えられ、図4に示すように綴じ部31を180度反転させる。そして、綴じ部31の反転動作の際、透過型センサー37、38によるクラッチ制御が行われる。例えば、フェイスアップモードで通常排紙された転写紙5の紙束を綴じる際、図4(イ)のように、回転軸30の正回転でギアボックス32が排紙方向に向かって左側へステイプル可能な所定位置まで移動すると共に、綴じ部31が反転し、その背面部にある上側遮蔽突起39が上側透過型センサー37の凹部に嵌入して、センサー光の透過が遮断されると、上側透過型センサー37はそれを感知し、綴じ部31の回転停止命令と綴じ部の針が上側に位置することの信号をクラッチ36に送り、それによりクラッチが外れ回転動力が綴じ部31に伝達されず反転が完了する。また例えば、フェイスダウンモードで反転排紙された転写紙5の紙束を綴じる際、図4(ロ)のように、回転軸30の逆回転でギアボックス32が排紙方向に向かって右側へステイプル可能な所定位置まで移動するとともに、綴じ部31が反転し、その背面部にある下側遮蔽突起40が下側透過型センサー38の凹部に嵌入して、センサー光の透過が遮断されると、下側透過型センサー38はそれを感知し、綴じ部31の回転停止命令と綴じ部の針が下側に位置することの信号をクラッチ36に送り、それによりクラッチが外れ回転動力が綴じ部31に伝達されず反転が完了する。そしてギアボックス32が所定位置に達した後、紙束がステイプルされる。この別実施形態では、ステイプル針の向きを常に一定とすることができ、しかも前の実施形態同様、ステイプル部Hの位置もフェイスアップ・フェイスダウンの排紙方式によらず同一である。
〔その他の実施形態〕
1.本発明の後処理機構は、複写機においてのみ使用することに限られず、プリンター、ファクシミリ又はこれらの複合機といった他の電子機器において使用しても良い。
2.本発明の後処理機構の綴じ手段は、ステイプラーに限られるものでなく、穴あけ、のりづけなど、紙束をまとめて固定し得るものであれば任意の手段が適用可能である。
3.本発明の後処理機構の綴じ手段は転写紙幅方向に移動可能な構成としてあるが、これに限るものではなく、例えば、転写紙幅方向に予め複数の綴じ手段を設けておき、紙束の幅に応じて、対応する位置にある綴じ手段をそれぞれ別個に使用するような構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した複写機を概略的に示す全体構成図
【図2】転写紙の中間トレイへの集積から綴じ処理をした紙束を排紙トレイに積載するまでの工程模式図
【図3】ドキーテール機能を選択して紙束を排紙トレイに積載する工程模式図
【図4】本発明の別実施形態に係る綴じ部の反転する様子を示した模式図
【図5】本発明の別実施形態に係る綴じ手段の内部構造の概略図。
【図6】本発明の実施形態における後処理機構の制御動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0011】
1 複写機本体
2 光学系ゾーン
3 画像形成ゾーン
4 後処理装置
5 転写紙
6 転写紙束
7 排出コロ
8 排紙トレイ
9 転写紙排出部
10 転写紙搬送路
11 中間トレイ
12 幅寄せ部材
13 束押し部材
14 綴じ手段
15 紙束
16 入口ガイド板
17 入口コロ(駆動側)
18 入口コロ(従動側)
19 反転経路
20 反転トレイ
21 切換爪
22 反転コロ
23 反転爪
24 反転ガイド板
25 搬送コロ
26 叩きコロ
27 排紙コロ
28 従動コロ
29 排紙ガイド
30 回転軸
31 綴じ部
32 ギアボックス
33 ラック
34 ラックギア大
35 ラックギア小
36 クラッチ
37 上側透過型センサ
38 下側透過型センサ
39 上側遮蔽突起
40 下側遮蔽突起
41 配線
42 反転軸
43 雌ネジ部
44 投光部
45 受光部
H 綴じ部分(ステイプル部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部から排出される複数枚の転写紙からなる紙束を揃えて綴じる綴じ手段と、前記転写紙を排紙トレイに排紙する搬送手段とを備える画像形成装置の後処理機構であって、
前記搬送手段による排紙に伴って、前記紙束ごとに前記転写紙を表裏反転して排紙する反転機構と、前記表裏反転に伴って、前記綴じ手段による前記紙束の綴じ位置をその搬送方向における位置を変えずに搬送方向と直交する方向に変位させる変位機構とを備える画像形成装置の後処理機構。
【請求項2】
前記綴じ手段がステイプラであって、前記綴じ位置の変位に伴って上下反転するステイプラ反転手段を設けてある請求項1に記載の画像形成装置の後処理機構。
【請求項3】
前記綴じ手段によって綴じ処理された紙束を前記排紙トレイに排紙する際、直前に排紙された紙束の綴じ部分と重ならないように、搬送方向に対して直交する方向に紙束を交互にシフトさせて積載する積載位置変更手段を設けてある請求項1又は2のいずれか1項に記載の画像形成装置の後処理機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−89237(P2006−89237A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277832(P2004−277832)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】