説明

後処理装置及び用紙処理装置

【課題】導入搬送路から排紙トレイへ搬送された用紙のバラツキを抑制することで、処理トレイにおける用紙の整合性を向上できるようにする。
【解決手段】後処理装置20は、導入搬送路222、処理トレイ24、排紙トレイ28、上側排紙ローラ229、下側排紙ローラ244、及び制御部50を備える。上側排紙ローラ229及び下側排紙ローラ244は、処理トレイ24における排紙トレイ28側の端部に配置される。上側排紙ローラ229は、下側排紙ローラ244に対して離接自在である。制御部50は、第1類と比較して軽量な第2類に属する場合は用紙80が排紙トレイ28に接触する前に上側排紙ローラ229が用紙80に接触するタイミングで上側排紙ローラ229の下降を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙に対して所定の処理を施す用紙処理部を有する用紙処理装置に備えられ、用紙処理部にて所定の処理が施された用紙に対して後処理を行う後処理装置、及びこれを備えた用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の用紙処理装置の中には、ステープル処理等の綴じ処理や穿孔処理やオフセット処理を行うように構成された後処理装置を備えるものがある。
【0003】
後処理装置は、通常、画像形成部等の用紙処理部から導入された用紙を搬送する導入搬送路、導入搬送路を通過した用紙が載置される処理トレイ、および処理トレイ上で後処理されて処理トレイから排出された用紙が載置される排紙トレイを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような後処理装置では、一般的に、図1(A)〜図1(C)に示すように、後処理されるべき用紙80が導入搬送路222を通過する際に、用紙80の後端部が上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244との間に到達するまで上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とは離間状態に配置され、用紙80の大部分は一旦排紙トレイ28上に載置される。その後、用紙80の後端部が上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244との間に到達したときに、上側排紙ローラ229が下側排紙ローラ244に圧接しつつ上側排紙ローラ229及び下側排紙ローラ244が回転することで、用紙80が処理トレイ24に引き込まれる。処理トレイ24では、用紙80に対して精度よく後処理を行うために用紙80を所定の整合位置に載置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−248685公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の後処理装置では、用紙80の種類が薄紙や小サイズといった比較的軽量なものである場合は、図2(A)及び図2(B)に示すように、導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送された用紙80のバラツキが大きくなる。その理由は、用紙80は、導入搬送路222を通過してから、上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とによって後端部をグリップされるまでの間は、いずれのローラ対にもグリップされないからである。具体的には、用紙80が導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送された際に、用紙80が比較的重いものである場合は、用紙80は自身の重さによって排紙トレイ28上における略一定箇所に載置される。一方、用紙80が比較的軽量のものである場合は、導入搬送路222から排出された際の勢いで用紙80が排紙トレイ28上に散乱し易く、特に用紙80の先端が排紙トレイ28に衝突した後の用紙80の滑り方や跳ね返り方が種々であるために、排紙トレイ28上における用紙80のバラツキが大きくなる。排紙トレイ28上における用紙80のバラツキが大きいと、処理トレイ24に引き込まれた用紙80の整合性が悪くなり、用紙80に対する後処理の精度が低下するという問題が発生する。
【0007】
この発明の目的は、導入搬送路から排紙トレイへ搬送された用紙のバラツキを抑制することで、処理トレイにおける用紙の整合性を向上できる後処理装置、及びこれを備えた用紙処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の後処理装置は、所定の処理が施された用紙に対して後処理を行う。後処理装置は、導入搬送路、処理トレイ、後処理部、排紙トレイ、排紙部、及び制御部を備える。導入搬送路には、所定の処理が施された用紙が導入される。処理トレイには、導入搬送路を通過した用紙が載置される。後処理部は、処理トレイ上の用紙に対して後処理を行う。排紙トレイには、後処理部によって後処理がされて処理トレイから排出された用紙が載置される。排紙部は、処理トレイにおける排紙トレイ側の端部に配置された下側回転体及び下側回転体に対して離接自在に設けられた上側回転体を有する。排紙部は、導入搬送路から排紙トレイへ搬送された用紙を処理トレイへ引き戻す逆送方向及び処理トレイに載置された用紙を排紙トレイへ排出する順送方向に回転自在である。制御部は、排紙部の動作を制御する。制御部は、用紙が所定の第1類に属する場合よりも第1類と比較して軽量な所定の第2類に属する場合の方が用紙が導入搬送路から排紙トレイへ搬送される際における上側回転体の下降開始タイミングを早くし、かつ用紙が第2類に属する場合は用紙が排紙トレイに接触する前に上側回転体が用紙に接触するタイミングで上側回転体の下降を開始する。
【0009】
この構成では、用紙が比較的軽量な第2類に属する場合は、用紙が導入搬送路から排紙トレイへ搬送される際に、用紙が排紙トレイに接触する前に上側回転体が用紙に接触する。このため、用紙と上側回転体との摩擦力によって導入搬送路から排紙トレイへ飛び出す用紙の勢いが弱められる。よって、用紙の先端が排紙トレイに衝突した後の用紙の滑りや跳ね返りが小さくなり、排紙トレイ上における用紙のバラツキが抑制される。
【0010】
上述の構成において、制御部は、用紙が第2類に属する場合、上側回転体の下降時に上側回転体を逆送方向に回転させることができる。上側回転体を逆送方向に回転させることで、用紙と上側回転体との摩擦力がより大きくなり、導入搬送路から排紙トレイへ飛び出す用紙の勢いがより弱められる。このため、排紙トレイ上における用紙のバラツキがより抑制される。
【0011】
また、制御部は、用紙が第2類に属する場合、上側回転体の下降時に上側回転体を回転させないこともできる。この構成によれば、用紙と上側回転体との摩擦力によって導入搬送路から排紙トレイへ飛び出す用紙の勢いが弱められるとともに、上側回転体の摩耗が抑制される。
【0012】
この発明の用紙処理装置は、上述のいずれかの構成の後処理装置を備える。この構成によれば、所定の処理が施された用紙に対して、精度よく後処理が行われる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、導入搬送路から排紙トレイへ搬送された用紙のバラツキを抑制することで、処理トレイにおける用紙の整合性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)〜(C)は、従来の後処理装置の搬送手順の一例を示す図である。
【図2】(A)及び(B)は、従来の後処理装置の搬送手順の一例を示す図である。
【図3】この発明の用紙処理装置の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図4】後処理装置の概略の構成を示す図である。
【図5】導入搬送部、処理トレイ、後処理部、および排紙トレイの構成を示す図である。
【図6】処理トレイの構成を示す図である。
【図7】後処理装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図8】後処理装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】用紙の種類と上側排紙ローラの下降開始タイミングとの関係の一例を示す図である。
【図10】(A)〜(D)は、本発明の実施形態に係る後処理装置の搬送手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る後処理装置が適用される画像形成装置100の概略の構成を示す。画像形成装置100は、用紙処理装置の一例である。画像形成装置100は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部12、用紙に対して画像形成処理を実行する画像形成部14、画像形成部14に対して順次的に用紙を供給する給紙部18、および画像形成部14にて画像形成処理が施された用紙に対して後処理を実行する後処理装置20を備える。
【0016】
画像読取部12は、原稿台126上の原稿の画像を読み取るように構成された光学系ユニット128、および原稿載置台122上の原稿を原稿台126の原稿読取位置に順次的に搬送する自動原稿搬送ユニット124を備える。
【0017】
画像形成部14は、用紙搬送路186に接するように配置された像担持体としての感光体ドラム142を備える。感光体ドラム142の周囲には、露光装置144、現像装置146、転写装置148、およびクリーニング装置150が配置される。露光装置144は、感光体ドラム142を露光することによって感光体ドラム142上に静電潜像を形成する。現像装置146は、感光体ドラム142に現像剤を供給することによって、感光体ドラム142上の静電潜像を現像する。転写装置148は、感光体ドラム142上の現像剤像を用紙に転写する。クリーニング装置150は、感光体ドラム142上に残留した現像剤等を回収する。
【0018】
画像形成部14はさらに、用紙搬送路186における感光体ドラム142の下流に定着装置152を備える。定着装置152は、用紙に転写された現像剤像を熱と圧力とによって用紙に定着する。用紙搬送路186における定着装置152の下流には、画像形成処理された用紙を後処理装置20に導入する導入ローラ154が設けられる。
【0019】
給紙部18は、用紙を収容する用紙収容カセット182を複数備える。各用紙収容カセット182には、用紙を1枚ずつ用紙搬送路186へ送り出す送り出し機構が設けられる。給紙部18はさらに、用紙を画像形成部14へ供給するタイミングを調整するための1対のレジストローラ184を備える。
【0020】
図4に示すように、後処理装置20は、画像形成装置100の装置本体に対して脱着可能に構成される。図3および図4は、後処理装置20を画像形成装置10から引き出した状態を示している。後処理装置20は、画像形成装置100の装置本体に装着されたときには画像読取部12と画像形成部14との間に配置される。
【0021】
後処理装置20は、導入搬送部22、処理トレイ24、後処理部26、および排紙トレイ28を備える。導入搬送部22は、導入ローラ154によって後処理装置20内に導入された用紙を処理トレイ24及び排紙トレイ28へ向けて搬送する。導入搬送部22は、後処理装置20が画像形成装置100に押し込まれた状態において、用紙搬送路186に接続される。処理トレイ24は、導入搬送部22に対して下方から用紙搬送方向の下流側にかけての領域に配置され、後処理部26によって処理されるべき用紙の束を一時的に収容するように構成される。後処理部26は、処理トレイ24上に載置された用紙にステープル処理等の綴じ処理や、穿孔処理を行うように構成される。排紙トレイ28は、導入搬送部22での用紙搬送方向において処理トレイ24の下流側に配置され、後処理部26によって後処理された後に処理トレイ24から排出される用紙を収容するように構成される。排紙トレイ28の上流側端部は、処理トレイ24の下流側端部よりも下方に配置される。排紙トレイ28は、下流側へ向けて上方へ傾斜している。
【0022】
図5に示すように、導入搬送部22には、画像形成部14から送られた用紙を水平方向に搬送する導入搬送路222が形成される。この導入搬送路222に沿って一対の搬送ローラ224および一対の搬送ローラ34が配置される。導入搬送路222における搬送ローラ224の下流側近傍には、搬送される用紙の先端および後端を検出するように構成された用紙センサ226が設けられる。搬送ローラ34は、導入搬送路222を通過した後処理されるべき用紙を、処理トレイ24に排出するように構成される。
【0023】
処理トレイ24における排紙トレイ28側の端部には、上側排紙ローラ229および下側排紙ローラ244が設けられる。上側排紙ローラ229は、導入搬送部22における用紙搬送方向において排紙機構225の下流側端部に軸支される。排紙機構225は、上流側端部に配置された駆動ローラ228のローラ軸227を中心に上下方向に揺動可能に構成される。排紙機構225が上下方向に揺動することで、上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とが離接することができる。上側排紙ローラ229は、駆動ローラ228から伝達された駆動力によって、順送方向及び逆送方向の両方向に回転可能に構成される。上側排紙ローラ229及び下側排紙ローラ244は、排紙部を構成する。
【0024】
導入搬送路222に導入された用紙は、搬送ローラ224および搬送ローラ34によって排紙トレイ28へ向けて搬送される。用紙は、搬送ローラ34から伝達された搬送力によって、搬送ローラ34によるグリップから開放された後もしばらくの間は排紙トレイ28へ向けて移動する。用紙の後端部が上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244との間に到達する前又は到達したときに、上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とが圧接する。上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とが用紙を挟んで圧接した状態で、上側排紙ローラ229が逆送方向へ回転することで、大部分を排紙トレイ28に載置された用紙が処理トレイ24へ引き戻される。その後、処理トレイ24上において用紙に後処理が施された後に、上側排紙ローラ229が順送方向へ回転することで、処理トレイ24に載置された用紙は排紙トレイ28へ排出される。
【0025】
搬送ローラ34には、この搬送ローラ34の回転軸38を中心に揺動可能な支持アーム32が接続される。支持アーム32の先端にはプーリ30が軸支される。搬送ローラ34およびプーリ30には、キャタピラベルト31が架けられる。キャタピラベルト31は、処理トレイ24上の用紙を、所定の整合位置の方向へ案内する。具体的には、キャタピラベルト31は、排紙トレイ28から処理トレイ24に引き戻された用紙の端部が位置決め部材242に当接するまで、用紙に対して搬送力を伝達するように構成される。用紙の端部が位置決め部材242に当接することで、用紙は搬送方向における所定の整合位置に位置決めされる。
【0026】
処理トレイ24は、排紙トレイ28側へ向かって上方に傾斜するように構成される。処理トレイ24に引き込まれた用紙は自重およびキャタピラベルト31の駆動力によって、処理トレイ24の下端側へ案内される。処理トレイ24上における用紙の搬送手法はこれに限定されるものではなく、他の搬送ローラをさらに設けて他の搬送ローラとキャタピラベルト31との共同作業によって用紙を整合位置に案内するようにしても良い。
【0027】
図6は、処理トレイ24の構成を示す図である。処理トレイ24には処理トレイ24の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)に移動可能に支持された第1の整合板245および第2の整合板246が設けられる。第1の整合板245および第2の整合板246は、処理トレイ24の内部に設けられたラック・アンド・ピニオン機構およびピニオンギアに駆動力を供給するモータを有する第1の駆動部247によって、処理トレイ24の幅方向に移動するように構成される。用紙の幅方向の端部が第1の整合板245および第2の整合板246にそれぞれ当接することで、用紙は幅方向に整合される。ただし、第1の整合板245および第2の整合板246の駆動手法はこの実施形態のものに限定されるのではない。また、この実施形態では、後処理部26も処理トレイ24の幅方向に移動可能になるような構成を示しているが、この発明を実施するにあたって後処理部26を処理トレイ24の幅方向に移動させることは、必須的要件でなく任意的事項である。
【0028】
図7に示すように、後処理装置20は制御部50を備えており、この制御部50に、I/F部52、用紙センサ226、第1の位置センサ228、第2の位置センサ230、第1の駆動部247、第2の駆動部248、第3の駆動部249、および排紙機構225が接続されている。制御部50は、タイマ502を含む。制御部50は、後処理装置20の各部を統括的に制御する。
【0029】
I/F部52は、画像形成装置100のメイン制御部(図示省略)からの各種信号を受信するように構成される。例えば、I/F部52には、搬送される用紙のサイズや厚さを示す信号、後処理装置20にて実行すべき後処理の種別を示す信号、後処理の開始を指示する信号、および用紙に対する画像形成処理が終了したことを示す信号等が入力される。
【0030】
第1の位置センサ228は、第1の整合板245および第2の整合板246の位置を検出するように構成される。第2の位置センサ230は、後処理部26の位置を検出するように構成される。第2の駆動部248は、導入搬送部22に対して駆動力を供給するように構成される。第3の駆動部249は、後処理部26に対して駆動力を供給するように構成される。第4の駆動部250は、排紙機構225に対して駆動力を供給するように構成される。
【0031】
図8は、後処理装置20の制御部50の動作手順の一例を示す。制御部50は、画像形成装置100のメイン制御部からの信号が入力するまで待機する(S1)。
【0032】
制御部50は、画像形成装置100のメイン制御部からの信号が入力すると、用紙センサ226が用紙の先端を検出するまで待機する(S2)。S2の待機ステップにて、用紙センサ226が用紙の先端を検出した時には、制御部50は、内蔵するタイマ502を作動させ計測を開始する(S3)。
【0033】
続いて、制御部50は、現在搬送中の用紙の厚さを判断し(S4)、用紙が薄紙である場合は、タイマ502が設定時間T1の計時を完了させるまで待機する(S5)。ここで、設定時間T1は、設定された搬送速度で搬送される用紙の先端が用紙センサ226を通過してから排紙トレイ28に到達するのに必要な時間よりも短くなるように設定される。設定時間T1は、用紙の先端が用紙センサ226を通過してから上側排紙ローラ229と排紙トレイ28との間に到達するのに必要な時間から、搬送中の用紙に接触するまで上側排紙ローラ229が下降するのに必要な時間を差し引いた時間に設定されることが好ましい。
【0034】
S5の待機ステップにてタイマ502が設定時間T1の計時を完了させた時に、制御部50は排紙機構225を制御することによって上側排紙ローラ229の下降を開始させる(S6)。
【0035】
また、S4の判断ステップにおいて現在搬送中の用紙が薄紙ではなく、普通紙である場合は(S7)、制御部50はさらに現在搬送中の用紙のサイズがA4サイズ以下であるかA4サイズを超えるサイズであるかを判断する(S8)。制御部50は、現在搬送中の用紙のサイズがA4サイズ以下である場合は、上述のS5ステップへ進む。一方、現在搬送中の用紙のサイズがA4サイズを超えるサイズである場合は、制御部50はタイマ502が設定時間T2の計時を完了させるまで待機する(S10)。ここで、設定時間T2は、設定時間T1よりも大きい値であり、従来の後処理装置にて採用されていた値と同等の値である。
【0036】
S10の待機ステップにてタイマ502が設定時間T2の計時を完了させた時に、制御部50は排紙機構225を制御することによって上側排紙ローラ229の下降を開始させる(S6)。
【0037】
さらに、制御部50は、S7の判断ステップにおいて現在搬送中の用紙が普通紙ではなく、厚紙又は光沢紙やOHP(Overhead Projector)シートといった特殊紙である場合は(S9)、上述のS10ステップへ進む。
【0038】
以上の構成によれば、図9に示すように、現在搬送中の用紙が、A4を超えるサイズの普通紙、厚紙、又は特殊紙といった第1類に属する用紙である場合は、上側排紙ローラ229が上昇位置にある状態で用紙80は排紙トレイ28へ向けて搬送される。そして、用紙80の後端部が上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244との間に到達して用紙80が排紙トレイ28上に載置された後で上側排紙ローラ229が下降を開始し、上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244とによって用紙80の後端部が挟持された状態で上側排紙ローラ229が逆送方向に回転することで、用紙80が処理トレイ24へ引き戻される。第1類に属する用紙は、比較的重いので、用紙80が導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送された際に、排紙トレイ28上における略一定箇所に載置される。
【0039】
一方、図9に示すように、現在搬送中の用紙が、薄紙又はA4サイズ以下の普通紙といった第2類に属する用紙である場合は、図10(A)及び図10(B)に示すように、導入搬送路222に導入された用紙80は搬送ローラ224,34によって搬送される。図10(C)に示すように、用紙80が第2類に属する場合は第1類に属する場合よりも上側排紙ローラ229の下降開始タイミングが早められ、用紙80が排紙トレイ28に接触する前に上側排紙ローラ229が用紙80に接触するように下降を開始する。このため、用紙80と上側排紙ローラ229との摩擦力によって導入搬送路22から排紙トレイ28へ飛び出す用紙80の勢いが弱められる。よって、用紙80の先端が排紙トレイ28に衝突した後の用紙80の滑りや跳ね返りが小さくなり、排紙トレイ28上における用紙80のバラツキが抑制される。したがって、処理トレイ24における用紙80の整合性が向上し、用紙80に対する後処理の精度が向上する。
【0040】
用紙80が第2類に属する場合に、上側排紙ローラ229を下降させて導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送される用紙80に上側排紙ローラ229を接触させる際に、上側排紙ローラ229を逆送方向に回転させることができる。上側排紙ローラ229を逆送方向に回転させることで、用紙80と上側排紙ローラ229との摩擦力がより大きくなり、導入搬送路222から排紙トレイ28へ飛び出す用紙80の勢いがより弱められる。このため、排紙トレイ28上における用紙80のバラツキがより抑制される。
【0041】
また、用紙80が第2類に属する場合に、上側排紙ローラ229を下降させて導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送される用紙80に上側排紙ローラ229を接触させる際に、上側排紙ローラ229を回転させないこともできる。上側排紙ローラ229を回転させないことで、用紙80と上側排紙ローラ229との摩擦力によって導入搬送路222から排紙トレイ28へ飛び出す用紙80の勢いが弱められるとともに、上側排紙ローラ229の摩耗が抑制される。
【0042】
なお、用紙80の先端の位置は、上述の実施形態では一例として、後処理装置20の入口付近に設けられた用紙センサ226の検出結果と用紙搬送速度とを用いて算出したが、上側排紙ローラ229又は下側排紙ローラ244の近傍に用紙80の先端を検出するための用紙検出センサを設けることによって用紙80の先端の位置を検出するようにしてもよい。
【0043】
また、導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送される第2類に属する用紙80に接触するために下降開始した上側排紙ローラ229は、一例として、下側排紙ローラ244との圧接位置まで下降する。但し、下側排紙ローラ244との圧接位置まで下降する一定の速度で下降することに限定されない。例えば、下側排紙ローラ244との圧接位置に達するまでの所定の中間位置で一旦停止し、用紙80の後端部が上側排紙ローラ229と下側排紙ローラ244との間に到達したときに下側排紙ローラ244との圧接位置まで下降するように構成することもできる。
【0044】
さらに、上昇位置と下側排紙ローラ244との圧接位置との間における所定の中間領域であって、導入搬送路222から排紙トレイ28へ搬送される用紙80に上側排紙ローラ229が接触を開始する位置から下側の所定の中間領域については、上昇位置から圧接位置までの間における中間領域以外の領域よりも、上側排紙ローラ229の下降速度を低下させるように構成することもできる。上側排紙ローラ229が用紙80を必要以上に押え付けないようにすることで、用紙80の傷みが防がれるとともに、上側排紙ローラ229の摩耗が抑制される。上側排紙ローラ229が用紙80に接触を開始する位置は、実験によって特定される。
【0045】
また、用紙80の厚さは、ユーザによる印刷条件の設定入力情報に基づいて制御部50が判断することができるが、用紙80の厚さを検出するための光センサ等の検出部を備えるように構成することもできる。
【0046】
どのような用紙80が第1類と第2類とのいずれに分類されるかについては、図9に示した分類は一例であり、これに限定されない。
【0047】
また、上側排紙ローラ229は上側回転体の一例であり、ローラに代えて無端ベルトを用いることもできる。下側排紙ローラ244は下側回転体の一例であり、ローラに代えて無端ベルトを用いることもできる。
【0048】
さらに、画像形成部14は用紙処理部の一例であり、用紙処理部は画像形成部14に限定されるものではない。
【0049】
また、上述の実施形態では、本発明の実施形態に係る後処理装置20が画像形成装置100に適用される例について説明したが、この発明に係る後処理装置20が適用される用紙処理装置は画像形成装置に限定されない。
【0050】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
20 後処理装置
24 処理トレイ
26 後処理部
28 排紙トレイ
30 プーリ
31 キャタピラベルト
32 支持アーム
50 制御部
100 画像形成装置
222 導入搬送路
229 上側排紙ローラ(上側回転体)
242 位置決め部材
244 下側排紙ローラ(下側回転体)
245 第1の整合板
246 第2の整合板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理が施された用紙に対して後処理を行う後処理装置であって、
用紙が導入される導入搬送路と、
前記導入搬送路を通過した用紙が載置される処理トレイと、
前記処理トレイ上の用紙に対して後処理を行う後処理部と、
前記後処理部によって後処理がされて前記処理トレイから排出された用紙が載置される排紙トレイと、
前記処理トレイにおける前記排紙トレイ側の端部に配置された下側回転体及び前記下側回転体に対して離接自在に設けられた上側回転体を有する排紙部であって前記導入搬送路から前記排紙トレイへ搬送された用紙を前記処理トレイへ引き戻す逆送方向及び前記処理トレイに載置された用紙を前記排紙トレイへ排出する順送方向に回転自在な排紙部と、
前記排紙部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、用紙が所定の第1類に属する場合よりも前記第1類と比較して軽量な所定の第2類に属する場合の方が用紙が前記導入搬送路から前記排紙トレイへ搬送される際における前記上側回転体の下降開始タイミングを早くし、かつ用紙が前記第2類に属する場合は用紙が前記排紙トレイに接触する前に前記上側回転体が用紙に接触するタイミングで前記上側回転体の下降を開始する、後処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、用紙が前記第2類に属する場合、前記上側回転体の下降時に前記上側回転体を前記逆送方向に回転させる、請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、用紙が前記第2類に属する場合、前記上側回転体の下降時に前記上側回転体を回転させない、請求項1に記載の後処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の後処理装置を備えた用紙処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−47125(P2013−47125A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185468(P2011−185468)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】