説明

微小球性多孔質生体適合性足場並びにその製造方法及び装置

本明細書において提供するのは、大孔及び細孔を含む二相性多孔質ポリマー微小球である。また、本明細書において提供するのは、当該微小球製造のための方法及び装置である。更に本明細書において提供するのは、二相性多孔質ポリマー微小球を使用する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる2008年10月30日に出願された米国仮出願第61/197,803号の利益を主張する。
【0002】
(分野)
本明細書において提供するのは、大孔(macropore)及び細孔(micropore)を含む二相性多孔質ポリマー微小球並びに当該微小球の製造方法及び装置である。更に本明細書において提供するのは、二相性多孔質ポリマー微小球を使用する方法である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
米国特許番号6,337,198(Leveneら)に開示されるものなどの合成生体適合性多孔質足場は、支持細胞増殖及び組織再生のための枠組みとして使用することができる。Leveneらの文献は、二相性孔分布を有するポリマー系足場を製造する方法を開示しており、該比較的大きな孔は約50〜約500ミクロンの範囲であり、かつ該比較的小さな孔は20ミクロン未満である。Leveneらの文献による足場構造の1つの欠点は、その比較的大きな全体サイズである。Leveneらの文献において開示される足場は、皿の形状を有する連続ポリマーの超構造を形成する型(又は皿)を使用して製造される。Leveneらの文献は、直径8mmかつ厚さ2〜3mmの皿を記載する。このサイズの足場は、標的部位に外科的に移植されなければならず、カテーテル、針若しくはチューブを介する注入について、又は脈管環境などの体内の比較的小さな環境への送達について、適していない。
【0004】
固体の生体適合性球体(孔なし)は、(癌組織などの)標的組織の成長に対抗するために、当該組織への血流量を故意に遮断する手段として、従来技術において公知である。当該技術は、塞栓形成又は塞栓療法として周知である−Liuらの文献、JVIR 2005, 16(7):911-935及びChuaらの文献, Clinical Radiology 2005, 60(1): 116-122を参照されたい。これらの固体球は、放射線治療を標的組織に提供するために放射線を送達することもできる。Salemらの文献、JVIR 2006, 17(8):1251-1278を参照されたい。しかしながら、血流は酸素を提供するのに必要であるので、標的領域における完全な塞栓形成は必ずしも望ましくはない。
【0005】
従って、カテーテル、針若しくはチューブを介する注入に適し、生体内の顕微鏡的環境への送達及び懸濁に適し(インビボ)、かつ最小の若しくは最適化された塞栓効果で連続した血流を提供できる、比較的小さなサイズの微小球などの多孔質足場構造についての一般的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
(要旨)
以下の実施態様及びその態様は、例示及び図示を意味するシステム、ツール及び方法と関連して記載及び図示されるが、範囲を制限するものではない。関連技術の他の限定は、明細書の読み込み及び図面の研究により、当業者に明らかになるであろう。各種実施態様において、上記課題の1以上が減少又は解消し、その一方で、他の実施態様は他の改良の方向を志向する。
【0007】
1つの態様において、本明細書において提供するのは、二相性多孔質ポリマー粒子の製造方法であって、該製造方法は:(a)ベースポリマー、第1の溶媒及び第2の溶媒を含む均一溶液を提供すること;(b)大孔スペーサ物質を該溶液に添加すること;(c)該溶液をクエンチング装置に滴加注入すること;(d)該ベースポリマーを固体化させるために該溶液の液滴を大孔及び細孔を有する粒子にクエンチすること;(e)該クエンチング装置から実質的に球状の粒子を取り出し、任意に該粒子を篩にかけること;及び(f)該粒子から任意に大孔スペーサ物質を洗浄すること;を含む。該方法のいくつかの実施態様において、(a)〜(f)の1以上は、42℃未満の温度で実行される。一実施態様において、(a)〜(f)の各々は、42℃未満の温度で実行される。これらの方法により製造された粒子も本明細書において提供される。いくつかの実施態様において、粒子は、実質的に球状の微小球などの微小球である。他の実施態様において、粒子は、更に添加剤を含む。
【0008】
第2の態様において、本明細書において提供するのは、ベースポリマーを含む二相性多孔質粒子であって、該粒子は約20〜約500ミクロンの範囲の直径を有する大孔、及び約1〜約70ミクロンの範囲の直径を有する細孔を含み、かつ、該微小球は約50〜約1100ミクロンの範囲の直径を有する。いくつかの実施態様において、粒子は、実質的に球状の微小球などの微小球である。他の実施態様において、粒子は、更に添加剤を含む。他の実施態様において、粒子は、更に細胞を含む。
【0009】
第3の態様において、本明細書において提供するのは、患者における完全な若しくは部分的な塞栓形成方法であって、該方法は、該患者に本明細書において提供する二相性多孔質粒子を投与することを含む。いくつかの実施態様において、粒子は、血管、静脈、動脈、組織又は器官の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする(例えば、粒子がない場合の灌流量と比較して約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、90%又は約95%)。
【0010】
第4の態様において、本明細書において提供するのは、患者における癌又は腫瘍若しくはその症状を治療するか又は管理する方法であって、該方法は、本明細書において提供する二相性多孔質粒子を、該癌又は腫瘍に直接的に若しくは間接的に血液を供給する該患者の血管、静脈又は動脈に投与することを含む。特定の実施態様において、粒子は、癌又は腫瘍の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0011】
第5の態様において、本明細書において提供するのは、患者に細胞を送達する方法であって、該方法は、本明細書において提供する二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該二相性多孔質粒子は細胞を含む。特定の実施態様において、細胞は、患者の組織又は器官に送達されるか又は接触させられる。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0012】
第6の態様において、本明細書において提供するのは、患者の組織又は器官の細胞を保持する方法であって、該方法は、本明細書に提供される細胞を含む二相性多孔質粒子を該患者に投与すること、及び該細胞を該組織又は器官と接触させることを含む。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0013】
第7の態様において、本明細書において提供するのは、患者の組織又は器官の細胞を移植する方法であって、該方法は、本明細書に提供される細胞を含む二相性多孔質粒子を患者に投与すること、及び該細胞を該組織又は器官と接触させることを含む。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0014】
第8の態様において、本明細書において提供するのは、患者における組織再生のための方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該二相性多孔質粒子は細胞を含み、該細胞は再生される組織と接触させられる。特定の実施態様において、組織は、心臓、肺、神経、脳、肝臓又は膵臓組織である。他の実施態様において、組織は、血管、静脈又は動脈である。いくつかの実施態様において、組織は、傷害又は他の損傷組織である。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。特定の実施態様において、粒子は、患者の心臓、肺、神経系、脳、肺、肝臓又は膵臓に投与される。
【0015】
第9の態様において、本明細書において提供するのは、患者における膵島細胞移植のための方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該細胞は膵島細胞である。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0016】
第10の態様において、本明細書において提供するのは、患者における糖尿病又はその症状を治療するか又は管理する方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該細胞は膵島細胞である。いくつかの実施態様において、膵島細胞は、インスリンを産生する。特定の実施態様において、粒子は、患者の肝臓(例えば、肝臓の門脈)に投与される。特定の実施態様において、粒子は、細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。
【0017】
第11の態様において、本明細書において提供するのは、患者の動脈内近接照射療法のための方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与する。いくつかの実施態様において、粒子は、放射性物質などの添加剤を含む。他の実施態様において、粒子は、癌又は腫瘍に投与される。特定の実施態様において、粒子は、癌又は腫瘍の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする。いくつかの実施態様において、粒子は、癌又は腫瘍に直接的に若しくは間接的に血液を供給する該患者の血管、静脈又は動脈を完全に若しくは部分的に塞栓する。
【0018】
第12の態様において、本明細書において提供するのは、患者に添加剤を送達する方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該粒子は添加剤を含む。いくつかの実施態様において、添加剤は、治療剤又は薬剤である。他の実施態様において、添加剤は、トレーサ又はイメージング剤である。他の実施態様において、添加剤は、診断薬である。
【0019】
第13の態様において、本明細書において提供するのは、特許の添加剤(例えば、治療剤又は薬剤)の長期にわたる及び/又は調節された送達の方法であって、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該粒子は添加剤を含む。特定の実施態様において、粒子は、腔内投与、間質内投与、真皮下投与、経真皮投与又は皮下投与によって患者に投与される。
【0020】
第14の態様において、本明細書において提供するのは、患者の血液から細胞を捕捉し、選別し、又は抽出する方法であって、該方法は、本明細書に提供される二相性多孔質粒子を該患者に投与することを含み、該粒子は該粒子を介する灌流を可能にし、該粒子は、該患者の血液又は隣接組織から該細胞を捕捉し、選別し、誘引し、細胞移動を促進し、又は抽出する。
【0021】
第15の態様において、本明細書において提供するのは、二相性多孔質ポリマー粒子を製造するための装置であって、該装置は、(a)貯槽;(b)クエンチングタワー;(c)直径約5〜約1100ミクロンの範囲の直径を有するノズルを含む注入器;(該槽は該注入器に連結されている)、及び(d)1以上の微細篩(microsieve);を含む。特定の実施態様において、ノズルは、確立した焦点流体工学技術などでの開口(aperature)による層流を提供する他の手段により置換できる。一実施態様において、プランナー(plannar)マイクロチャネルに組み込まれる流焦点幾何学を使用してノズルを置換できる。当該実施態様において、単分散及び多分散系液滴の両方を生成できる。Annaらの文献、(2003) Appl. Phys. Lett. 82, 364を参照されたい。特定の実施態様において、注入器は、チャンバ及びピストンを更に含む。他の実施態様において、貯槽は、撹拌器又は混合器を更に含む。いくつかの実施態様において、貯槽は、本明細書に提供される、第1の溶媒、第2の溶媒、及びベースポリマーを含む。他の実施態様において、装置は、貯槽に取り付けられた導管を更に含み、ここで該導管は本明細書において提供する細孔スペーサ物質を任意に含む。
【0022】
上記の例示的な態様及び実施態様に加えて、更なる態様及び実施態様は、図面を参照することにより、及び以下の詳細な説明の検討により、明らかになるであろう。
【0023】
(用語)
他に定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的な用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開された出願及び他の刊行物は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。本明細書に用語についての複数の定義がある場合、この節の用語は、特に明記しない限り、優先する。
【0024】
用語「約」又は「およそ」は、所与の値又は範囲の20%以内、10%以内、5%以内又は1%以内を意味する。
【0025】
用語「添加剤」とは、物質(substance)、分子又は物質(material)(例えば、生体活性物質)をいい、微小球は、担持でき、包含でき、含浸でき、被覆でき、又は結合できる。いくつかの実施態様において、添加剤は、製造プロセスの間、ベースポリマーに加えることができる。添加剤の非限定的な例には、治療剤、細胞、細胞分化及びシグナル伝達物質、細胞接着因子又は促進因子(例えば、セレクチン、コラーゲン、ゼラチン、グルコサミノグリカン、フィブロネクチン、レクチン、ポリカチオン、ポリリジン、キトサンなど、又は任意のその他の天然若しくは合成生物学的細胞接着薬剤)、抗体、血液凝固剤又は抗凝血剤、放射性線源及び化学療法物質を含む。
【0026】
本明細書において使用する「投与(administer)」、「投与(administration)」及び「投与すること」とは、以下に限定されないが肺送達(例えば、吸入)、粘膜送達(例えば、鼻腔内送達)、真皮内送達、静脈内送達、動脈内送達、胆管内送達、眼内送達、骨内送達、筋肉内送達及び/又は本明細書に記載されているか若しくは従来技術において公知の任意の他の物理的送達方法などにより、体外に存在する物質(例えば、本明細書において提供するla粒子又は微小球)を患者に注入する、又はそうでなければ物理的に送達する行為をいう。疾患又はその症状が治療されるか又はそうでなければ管理されるときに、物質の投与は、典型的には疾患又はその症状の発症の後になされる。疾患又はその症状が予防されるときに、物質の投与は、典型的には疾患又はその症状の発症の前になされる。当該投与は、特定の実施態様において、標的領域(例えば、組織又は器官)を接触させている送達された粒子(例えば、本明細書に提供される粒子及び/又は添加剤)を生じる。
【0027】
用語「二相性孔分布」、「二相性孔粒度分布」、及び「二相性孔サイズ」は互換的に使用され、本明細書において提供する多孔質ポリマー足場又は微小球に存在する2つの異なる範囲の孔サイズ(例えば、大孔対細孔、又は大きな孔対小さな孔)をいう。例えば、いくつかの実施態様において、二相性孔分布における大孔のサイズは約20〜約500ミクロンの位数にあることができ、細孔は約1〜約70ミクロンの位数にあることができる。他の実施態様において、大孔のサイズは約20〜約200ミクロンの位数にあることができ、細孔は約1〜約40ミクロンの位数にあることができる。本明細書で使用される用語「二相性多孔質微小球」、「二相性多孔質重合微小球」又は「二相性多孔質ポリマー微小球」とは、二相性粒度分布の孔を含む重合微小球をいう。
【0028】
本明細書において使用する用語「生体吸収性」とは、分解し、インビボで身体により代謝され、又は身体から除去される物質の能力をいう。
【0029】
本明細書で使用される用語「生分解性」とは、経時的に、化学的に、生理的に、又は他の生物学的手段によって身体により吸収できる物質又は物体(例えば、ポリマー、微小球)をいう。
【0030】
本明細書で使用される用語「生体適合性」とは、他に意図されない限り、深刻な免疫応答、炎症又は他の有害反応を誘導することなくインビボで(例えば、細胞、組織又は器官に)適用される物質又は物体(例えば、ポリマー又は微小球)の特性又は能力をいう。
【0031】
本明細書で使用される「細胞接着促進因子」は、微小球の存在又はそれとの関連のために、微小球の表面に細胞の粘着性を促進するか又は強化する任意の物質を意味する。これらの物質は、しばしば、タンパク質及びポリマーの共有結合を介して微小球の表面に結合しているタンパク質である。
【0032】
本明細書で使用される用語「有効量」とは、所与の疾患若しくはそれに関連する症状重篤度及び/又は持続期間を減少させ及び/又は回復させるのに十分である療法(例えば、本明細書において提供する微小球又は組成物)の量をいう。本明細書において提供する方法の特定の実施態様において、粒子の有効量が患者に投与される。
【0033】
本明細書で使用される用語「移植」とは、移植された細胞が宿主組織により許容され、例えば24時間以上の間その環境で生存し及び持続するプロセスをいう。特定の実施態様において、移植された幹細胞は、更に複製する。
【0034】
他の療法の投与の文脈において、本明細書で使用される用語「併用」とは、複数の療法の使用をいう。用語「併用」の使用は、療法が対象に投与される順番を制限しない。第1の療法は、所与の疾患を有していた、有する若しくはこれに感受性である対象への第2の療法の投与の前(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週又は12週)、該投与と同時、又は該投与後(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週又は12週)に投与できる。任意の追加的な療法は、他の追加的な療法と任意の順序で投与できる。特定の実施態様において、本明細書において提供する粒子は、1以上の療法(例えば、所与の疾患又はそれに関連する他の症状を予防、治療、管理及び/又は回復させるために現在投与される磁気標識細胞でない療法)との併用で投与できる。本明細書に提供される粒子との併用で投与できる療法の非限定的な例には、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質若しくは免疫調節剤又は米国薬局方及び/若しくは医師用卓上参考書に収載される任意の他の薬剤などの添加剤を含む。
【0035】
本明細書において使用される「注入可能な」は、液体培地中の微小球を注入又は点滴することについて、シリンジ、カテーテル、針又は他の手段を介して身体に投与でき、送達でき又は送入できることを意味する。特定の実施態様において、本明細書において提供する粒子は、注入可能な粒子である。
【0036】
本明細書において使用する用語「管理する」、「管理すること」及び「管理」とは、対象が療法(例えば、本明細書において提供する微小球)に由来する有益な効果をいい、これは感染の治癒をもたらさない。本明細書において提供する方法の特定の実施態様において、対象は、疾患の進行又は悪化させることを予防するように、所与の疾患又はそれに関連する1以上の症状を「管理する」ために1以上の療法を投与される。
【0037】
本明細書において使用する用語「微小球」とは、ポリマー又は様々なサイズの本体になるポリマーの組合せをいう。本明細書で使用される微小球は任意の形状である得るが、それらはしばしば実質的に球面形状である。微小球のこれらの構造は、一般に、球形若しくは球状であり得、又は仮想的な球形若しくは球状に結合され得る。微小球は、当該技術分野で公知の任意の方法、例えばγ照射又はβ照射などの照射により殺菌できる。本明細書において提供する微小球は、本明細書に記載され、定義された他の物質を含み得る。しかしながら、用語「微小球」が本明細書において提供する組成物及び方法の説明のために便利な説明を表し、特定の実施態様において、本明細書に記載されている例示的な微小球が正確に形状であること(例えば、粒子であること)に必ずしも限定されないことは認められるであろう。
【0038】
本明細書で使用される用語「医薬として許容し得る」とは、連邦若しくは州政府の監督機関の承認を得ているか、又は動物の、より具体的にはヒトでの使用のための米国薬局方、欧州薬局方又は他の一般に公認された薬局方に収載されていることを意味する。
【0039】
用語「ポリマー」とは、分子単位の複数の反復から構成されている分子をいう。本明細書で使用されるポリマーは、任意の構造の形状、例えば、線形又は分枝(例えば、「複腕」又は「星状)であり得る。したがって、用語「ベースポリマー(base polymer)」とは、例えば、ポリマー及び1以上の添加剤を含んでいる組成物に組み込まれることができるポリマーをいう。用語「コポリマー」とは、2以上の単量種又は重合種の組合せにより形成されるポリマーをいう。用語「ブロックコポリマー」とは、ブロック巨大分子からなるコポリマーをいう。特定の実施態様において、ブロックコポリマーの隣接ブロックは、異種のモノマー由来の単位、又は同種のモノマー由来であるが異なる組成物若しくは構成単位の配列分布を有する単位を含む。本明細書で使用される用語「ポリマー」は厳しい化学的感覚でのポリマーに限定されるべきではなく、本明細書に記載されている特徴を有する他の適切な物質を使用できることに注意されたい。
【0040】
本明細書において使用する用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」とは、所与の疾患の全体的又は部分的抑制;対象における所与の疾患又はそれに関連する症状の疾患進行の進展又は発症の全体的又は部分的抑制;所与の疾患又はそれに関連する症状の進行の全体的又は部分的抑制;に関する。
【0041】
組織又は器官再生の文脈において本明細書で使用される用語「再生する」、「再生」及び「再生すること」とは、新規な組織を増殖させ及び/又は発生させるプロセスをいう。特定の実施態様において、組織再生は、細胞増殖の活性化及び/又は強化を含む。他の実施態様において、組織再生は、細胞移動の活性化及び/又は強化を含む。
【0042】
本明細書で使用される用語「保持」とは、移植された細胞が、例えば数分〜数時間の間、宿主組織又は器官により保持され、例えばその環境で許容され、生存し、持続するプロセスに関する。特定の実施態様において、移植された細胞は、更に複製する。
【0043】
用語「幹細胞」とは、自己再生し、かつ分化した子孫を産生する能力を有する細胞をいう。特定の実施態様において、幹細胞は、間充織幹細胞である。
【0044】
本明細書において使用する用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用される。本明細書において使用する対象は、哺乳動物、例えば非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、ウサギ、その他)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)であり、本明細書に提供される粒子の投与を含む。いくつかの実施態様において、患者は、その疾患又は症状の治療又は管理を必要とする。具体的実施態様において、対象は、ヒトである。
【0045】
本明細書において使用する用語「実質的に球形」又は「一般に球形」とは、最も小さな外部表面積を示す体積として定義される完全な球体に近い形状をいう。具体的には、本明細書に使用する「実質的に球形」は、粒子の任意の断面を見た場合に、平均的大径と平均的小径の差が20%未満であることを意味する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される微小球の表面は、最高1000倍までの倍率において滑らかに見える。
【0046】
用語「治療剤」又は「治療薬剤」は本明細書において互換的に使用でき、かつ所望の、一般的には有益な効果をもたらすように生物の身体の導管に送達される任意の治療活性物質をいう。
【0047】
本明細書において使用する用語「療法」とは、所与の疾患若しくはそれに関連する症状の管理、治療及び/又は回復に使用できる任意のプロトコル、方法及び/又は剤をいう。特定の実施態様において、用語「療法」とは、所与の疾患又はそれに関連する症状管理又は治療に有用な、医療関係者などの当業者に公知の生物学的療法、支持療法及び/又は他の療法をいう。
【0048】
「組織構築」、「組織産生」、「組織工学」及び「組織修復」は、本明細書において提供する組成物及び方法の文脈において互換的に使用され、かつ組織の治癒、成長、再成長又は状態の変化と関連しているプロセス又は事象をいう。包含される組織には、筋肉組織、結合組織、脂肪及び神経組織を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供する治療及び管理方法に適している組織瑕疵には、患者の心臓、冠血管、血管、脊髄、骨、軟骨、腱、靭帯、胸部、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、腸組織、泌尿器系、皮膚、ヘルニア及び歯系組織の瑕疵を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書において使用する用語「治療する」、「治療」及び「治療すること」とは、疾患又はその症状の進行、重篤度及び/又は持続期間の減少又は回復をいう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
例示的実施態様は、図面の参照図に図示される。本明細書に開示される実施態様及び図面は限定的であるというよりむしろ実例的であると認められるべきことが意図されている。
【0051】
【図1A−1B】図1A〜1Bは、本明細書において提供する特定の態様による例示的な生体適合性多孔質微小球(微小球20)を表す。図1Aは、生体適合性多孔質微小球20の断面図である。図1Bは微小球20の断面の部分の拡大図を表し、その二相性孔分布を描写する。
【0052】
【図2】図2は、本明細書において提供する特定の態様による生体適合性多孔質微小球(例えば、微小球20)を製造するための装置(装置50)を示す。
【0053】
【図3】図3は、本明細書において提供する特定の態様による生体適合性多孔質微小球(例えば、微小球20)を製造する例示的方法(方法200)の工程を描写する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(詳細な説明)
以下の説明の全体にわたって、具体的な詳細は、より完全な理解を当業者に提供するために記載される。しかしながら、周知の要素は、開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示しておらず又は記載していない場合がある。したがって、本説明及び図面は、その意味が限定的であるというよりはむしろ実例的とみなされるべきである。
【0055】
(A.二相性多孔質微小球)
本明細書において提供するのは、広範な医学用途における使用のための可変的サイズの生体適合性二相性多孔質足場構造(例えば、粒子、当該微小球)である。特定の実施態様において、足場構造は、液状物質の表面張力を使用して、一般に球形若しくは球状を提供するために、又は仮想的な球形若しくは球状に結合されるように製造され、これを本明細書において微小球という。
【0056】
いくつかの実施態様において、微小球は、直径約50〜約1100ミクロンの範囲である。他の実施態様において、微小球は、直径約500ミクロン未満である。さらに他の実施態様において、微小球は、直径約300ミクロン未満である。これらの直径は、微小球がカテーテル、針、チューブ等を介して、脈管、管内、経食道(transesophogeal)、皮下、真皮下、粘膜下、経気管支、若しくは間質内を含む様々な経路により、インビボで標的組織に送達されることを可能にする。いくつかの実施態様において、二相性孔分布の大孔のサイズは約20〜約500ミクロンの位数であってよく、かつ細孔は約1〜約70ミクロンの位数にあってもよい。他の実施態様において、大孔のサイズは約20〜約200ミクロンの位数であってよく、かつ細孔は約1〜約40ミクロンの位数にあってもよい。特定の実施態様において、二相性多孔質ポリマー微小球は、添加剤を更に含む。
【0057】
一実施態様において、本明細書において提供するのは、約20〜約500ミクロン、又は約20〜約200ミクロンの範囲の直径を有する大孔;及び約1〜約70ミクロン、又は約1〜約40ミクロンの範囲の直径を有する細孔;を含む二相性多孔質ポリマー微小球である。特定の実施態様において、該微小球は、約50〜約1100ミクロン、約50〜約500ミクロン、又は約50〜約300ミクロンの範囲の直径を有する。
【0058】
図1Aは、その中心を通り形成される断面から見た、本明細書において提供する特定の態様による、例示的な生体適合性多孔質微小球20を表す。図1Bは、微小球20の断面の部分の拡大図を表し、その二相性孔分布を描写する。
【0059】
微小球20は、生体適合性のベースポリマー又はモノマー22(この説明においてベースポリマー22という)を含む。特定の態様において、ベースポリマー22は、生体吸収性であり得、及び/又は生分解性であり得る。適切なベースポリマー22の例は、本明細書に他で記載されている。
【0060】
本明細書において提供するのは、任意の所望のサイズを有するように構築できる二相性多孔質微小球(微小球20)であるが、特定の実施態様において、微小球のサイズは、直径約50〜約1100ミクロンの範囲であり、脈管(動脈、静脈、門脈)、管内(例えば胆管木)、経食道的、皮下、真皮下、粘膜下、経気管支、又は間質内送達を含む様々な経路による標的組織台への微小球20のカテーテル系送達を容易にする。他の可能性がある送達機構には、針若しくはチューブを経た注入、及び標的組織における、その上における若しくはその近傍における直接配置を含む。微小球を送達することの他の非限定的な例は、本明細書の他に提供される。
【0061】
本明細書において提供する微小球は、様々なサイズ及び形状の孔で満たし得る。図1A及び1Bの描写例において、微小球(20)は二相性孔分布を有し、これは比較的大きな孔(大孔)(24)及び比較的小さな孔(細孔)(26)を含む。特定の態様において、細孔は約1〜約70ミクロンの範囲の直径を有し、かつ大孔は約20〜約500ミクロンの範囲の直径を有する。当該二相性孔分布は、均一な孔分布と比較して、微小球の全体的多孔性及び表面積を増加させ、微小球の質量密度を低下させ、かつ微小球の孔間の内部接続数を増加させる傾向がある。二相性孔分布は、インビボで微小球を通り帯びその周囲の血流量力学の向上を可能にし、微小球により引き起こされる血流抵抗、乱気流及び圧力差を減少させ、これにより灌流勾配及び凝血(血栓形成)の潜在的形成を減少させることができる。類似の改良された流力学を、血液以外の流体において提供できる。また、二相性配布は、より大きな孔の接着力、固定又は分化を可能にする細胞の隔離部位を許容できると同時に、大孔又は細孔のいずれかを介して微小球による灌流を維持する。
【0062】
大孔及び細孔のサイズにおけるばらつきは、標的組織での(様々なサイズの細胞などの)多種多様の生理活性物質の送達、捕捉又は保持を可能にする。二相性孔分布の表面積及び内部接続の増加は、細胞増殖、組織再生、血管化、及び標的組織へのより高濃度の生理活性物質の送達を容易にすることもできる。大孔は微小球の足場内で機能的な組織の形成のための十分に開いた空間を提供できる一方、細孔は、細胞間接触若しくはコミュニケーション、細胞への栄養分及び酸素の拡散、浸透、並びに細胞を導く表層パターニングを増加させ又はそうでなければ最適化させる大孔間チャネルを形成できる。大孔は、血液又は他の流体が流れることができるチャネルとして役立つこともでき、(例えば、人工血管、胆管又は静脈などの)永久導管に潜在的に分化できる。具体的な微小球における二相性孔分布の多孔性は、微小球の比重が、その標的流体懸濁液又は標的組織のものよりも密に適合する(又はそうでなければ特定の関係(例えば、より重い又はより軽い)を有する)ことができるように設計され得る。
【0063】
一実施態様において、粒子は、細胞接着促進因子を更に含む。別の実施態様において、粉末粒子は、ゼラチンを含む。いくつかの実施態様において、粒子は、架橋される。他の実施態様において、粒子は、架橋されない。特定の実施態様において、粒子は、無菌である。
【0064】
本明細書において提供する微小球は、粒子に加えて、他の物質を含み得る。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される微小球の大孔及び細孔は、本明細書に提供される様々な生理活性物質又は他の添加剤、例えば以下に限定されないが、治療剤、細胞、細胞分化及びシグナル伝達物質、細胞接着因子(例えば、セレクチン)、抗体、血液凝固剤若しくは抗凝血剤、並びに化学療法物質を含むことができ、例えばこれらを担持でき、包含でき、これらで含浸され、被覆され、又は結合され得る。添加剤の他の非限定的な例は、本明細書の他に提供される。当該物質担持微小球は、特定の標的組織への選択された療法の送達及び遷延性曝露を可能にする。大孔及び細孔のサイズは、様々なサイズの添加剤の担持を可能にする、本明細書において提供する実施態様により変更できる。
【0065】
(B.二相性多孔性微小球を製造する装置及び方法)
また、本明細書に提供するのは、本明細書において提供する生体適合性多孔質粒子(例えば、微小球)を製造するための例示的な装置及び方法である。
【0066】
大孔及び細孔を含む二相性孔分布を有するベースポリマーを含む足場を製造するための基礎化学の部分は、米国特許第6,337,198号(Leveneら)に記載されており、これは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。特定の実施態様において、本方法は、(ベースポリマーが可溶性である)第1の溶媒、及び該ベースポリマーが不溶性であるが該第1の溶媒に混和可能な第2の溶媒に溶解したベースポリマーを含む均一溶液を調製することを含む。Leveneらによれば、このように調製された均一溶液は、適切なサイズを有する固体の大孔スペーサ粒子上に成型される。Leveneらの文献によると、大孔スペーサ粒子は、第1の溶媒に溶解しないが、水溶性であり得る。結果として生じる混合は低温でクエンチすることにより相分離され、ポリマー溶液の液体-液体脱混合を最小化すると同時に第1の溶媒の結晶化を生じる。浸出過程は、その後、大孔スペーサを取り除くために実行される。特定の実施態様において、細孔は第1の溶媒(すなわち、ベースポリマーが可溶性である溶媒)の相分離における結晶化により該物質中に作成でき、大孔は該大孔スペーサを溶解する浸出により作成される。いくつかの実施態様において、第2の溶媒は、浸出過程を実行するために使用できる。
【0067】
図2は、本明細書において提供する特定の態様による微小球20を製造するために使用できる装置(50)を描写する。図3は、装置50を使用して微小球20を製造する方法の特定の態様のブロック図を描写する。
【0068】
描写のみの目的で、方法200は、ベースポリマー22を第1の溶媒(該ベースポリマーは可溶性である)及び該ベースポリマーが不溶性であるが該第1の溶媒に混和性である第2の溶媒と混合することにより均一溶液54を調製することを含むブロック202において開始する。特定の実施態様において、第1及び第2の溶媒は混和性であり、ベースポリマーが可溶性である混合物を形成できる。任意の理論に拘束されることなく、溶媒及び加工条件の選択は、液体-液体脱混合の前に起こる溶媒結晶化に決定的に重要である。溶液54における第1及び第2の溶媒の量の比率は、ベースポリマーを実質的に完全に溶解させ、かつ溶液54を実質的に均一にさせるように選択できる。特定の実施態様において、溶媒の総容積に対する第1の溶媒の容積比は、約1%〜約50%v/v、約1%〜約40%v/v、約2%〜約30%v/v又は約4%〜約25%v/vである。特定の実施態様において、溶媒の総容積に対する第1の溶媒の容積比は、約5%〜約15%v/vである。
【0069】
溶媒混合物におけるポリマー濃度は、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約40重量%、又は約5重量%〜約23重量%である。特定の実施態様において、溶媒混合物におけるポリマー濃度は、約10重量%〜約20重量%である。ベースポリマー、第1及び第2の溶媒、並びに大孔スペーサ物質(68)は、様々な適切な物質から選択できる。
【0070】
図示の装置50において、溶液54は、貯槽52において提供される。槽52は、撹拌器、混合器等(示されない)を含むことができ、ベースポリマー22が溶液54に実質的に完全に溶解することを保証する。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ粒子68が第2の溶媒に溶解性である場合、それから大孔スペーサ粒子68は槽52中の溶媒溶液54と混合できる。他の実施態様において、大孔スペーサ粒子68は、後述するように導管66を介して別に加えることができる。図示の装置50において、槽52は、弁56及び/又は62を含み得る導管58を介して注入器60と流体連通である。他の実施態様において、他の適切な装置は、溶液54を注入器60へ供給するために使用できる。図示の実施例では、注入器60は、溶液54が提供されるチャンバ61及び圧力を提供するピストン64を含む。特定の実施態様において、ピストン64は、任意の適切な手段によりチャンバ61の量を減少させ、これにより流体が出口導管70及びノズル72の方へ向かうように、そこに含まれる流体に圧力を適用する。
【0071】
描写のみの目的で、方法200はそれから、大孔スペーサ粒子68を導管66を介して注入器60に加えることを含む、ブロック204に進む。特定の実施態様において、大孔スペーサ68は、第1又は第2の溶媒のうちの1の少量で担持し、溶液54へのスペーサ68の添加を容易にすることができる。例えば、大孔スペーサ68は、それを溶液54に容易に注入可能とさせるように、第1の溶媒と混合することができる。図示の実施態様において、大孔スペーサ68は、出口導管70において(すなわち、ノズル72に相当にできるだけ近い)、かつノズル72を介するタワー80への溶液54の注入に時間的にできるだけ近くで、溶液54に添加される。任意の理論に拘束されることなく、ノズル72への大孔スペーサ68の添加のこの近接性は、大孔スペーサ68と溶液54との間の分離を最小化する傾向がある。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ68は、これらが出口導管70において溶液54内に相当に均一に分散するようになるような様式で添加される。他の実施態様において、他の適切な機構は、大孔スペーサ68を溶液54に加えるために使用できる。他の適切な機構は、大孔スペーサ68を溶液54に、注入器60で、又は他の位置で(例えば、槽52で)添加することを含み得る。いくつかの実施態様において、装置50は、導管66等における適切な篩を使用することなどにより、注入された大孔スペーサ粒子68のサイズを調節する機構又は装置を含み得る。
【0072】
描写のみの目的で、方法200はそれから、タワー80において溶液54及び大孔スペーサ68の混合物の液滴84A、84B(集合的に、液滴84)を作成する様式で、溶液54及び大孔スペーサ68の混合物を注入器60からクエンチングタワー80へと注入することを含む、ブロック206へと進む。図示の装置において、液滴84は、ノズル72を使用して注入器60からクエンチングタワー80へと形成され、注入される。特定の実施態様において、液滴84は、部90への薄層状若しくは非薄層状の拡散の固定された速度及び開口を作成する装置を使用して、注入器60からクエンチングタワー80へと形成され、注入される。ノズル72は、液滴84のサイズを調節するために変化できる1以上の可変的な大きさの開口74を含み得る。いくつかの実施態様において、ノズル72により作成される液滴84のサイズは、直径約5〜約1100ミクロンの位数にある。適切なノズル又は同様の装置は、当業者に公知である。他の実施態様において、液滴84は、注入器60とクエンチングタワー80の間に位置する他の適切な構成された噴霧装置を使用して作成できる。特定の実施態様において、ノズル72を通るタワー80への液滴84の注入速度は、調節ノズル72により及び/又はピストン64に適用される圧力を調整することにより調節できる。いくつかの実施態様において、液滴84のタワー80への注入速度は、本明細書に記載される液滴84のクエンチングを容易にするように調節されるべきである。
【0073】
例示目的のみにより、方法200はそれから、液滴84がタワー80に入ったあとできるだけすぐに液滴84を急速冷却すること(すなわちクエンチング)を含む、ブロック208に進む。特定の実施態様において、クエンチングタワー80は、その中の温度及び圧力を調節し又はそうでなければ制御するための手段(明確には示していない)を含むことができ、又はそうでなければそれを備えることができる。当該圧力及び温度制御手段は、公知技術であり、任意の適切な装置を含み得る。特定の実施態様において、クエンチングタワー80の中の温度及び圧力は、後で詳しく述べるように、液滴84がタワー80に入った後できるだけすぐに液滴84のクエンチングを誘導するように制御される。
【0074】
特定の実施態様において、クエンチングタワー80は、液体の任意の相当な分離(例えば、第1及び第2の溶媒の液体-液体脱混合)が溶液54で起こる前に、液体から固体への溶媒の相転移によるベースポリマー22の急速な重合を誘導するために適切な圧力及び温度を支持することができる。いくつかの実施態様において、タワー80は、急速な温度降下を達成するための適切な非反応性媒体82で満たすことができる。例えば、タワー80の媒体82には、液体窒素又は他の適切な冷却剤を含み得る。いくつかの実施態様において、タワー80の媒体82は、第2の溶媒から構成され得るか又はこれを含み得る。特定の実施態様において、液滴84のクエンチングは、第1の溶媒の結晶化を誘発させ、溶液からのベースポリマー22の固体化(重合)を生じる。いくつかの実施態様において、ベースポリマー22は、大孔スペーサ粒子68の周囲で固体化し、大孔24に相当する固体化したベースポリマー22に痕跡を形成する。
【0075】
特定の実施態様において、液体から固体への相転移も、微小球20内の細孔26のネットワークの形成を生じる。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、タワー80におけるクエンチングが溶液における第1の溶媒の結晶化を引き起こし、これが順次ベースポリマー22の重合及び結果として生じる微小球20の細孔26の形成を誘発すると考えられる。任意の理論に拘束されることなく、第2の溶媒(これは、ベースポリマー22と非混和性であるが、第1の溶媒と混和性である)は、第1の溶媒の結晶化を開始させる成核剤として作用すると考えられる。
【0076】
溶液54中の液体の表面張力のため、特定の実施態様において、液滴84(これは、はじめにタワー80の媒体82に浮遊される)は、通常、球形(spherical shaped)若しくは球形(globular shaped)である(例えば、重力、注入器60により適用できる力などの変形力に供する)。一般に球状液滴84の結果は、液滴84がタワー80においてクエンチされる場合、該結果として生じる固体化ベースポリマー22が一般に微球状に形づくられた構造85A、85B(集合的に、微小球85)を提供する(更に下で説明されるように)一般に球形を保持することである。加えて、比較的小さいサイズの液滴84は、容積比に対して大きな表面積を提供し、これは皿形の型にクエンチングすることを含む従来の方法に関連してクエンチング速度を向上させる。任意の理論に拘束されることを望まないが、より速いクエンチング速度は、冷却の間、液体-液体分離を最小化する。液体-液体脱混合は、細孔26の形成を著しく減少させることができ、これにより二相性孔分布に大きな影響を与え得る。
【0077】
図示の装置50において、タワー80は垂直配向であるが、他の実施態様においてタワー80は他の方向に配向し得る。液滴84及び/又は微小球85の質量密度は、これらが浮遊される媒体82の質量密度より大きくてよく又は小さくてもよい。図示の実施態様において、媒体82より低密度である液滴84A及び/又は微小球85Aは、方向86Aにおいて上昇する傾向がある。対照的に、媒体82より高密度の液滴84B及び/又は微小球85Bは、方向86Bに下がる傾向がある。
【0078】
例示目的のみにより、方法200はそれから、微小球85をタワー80から抽出することを含む、ブロック210に進む。例示の実施態様において、ブロック210の抽出は、微細篩94A、94B(集合的に、微細篩94)を使用して実施される。より具体的には、微小球85は、それぞれ微細篩94A、94Bを組み込む排水路88A、88B(集合的に、排水路88)の一方又は両方を経由して、タワー80から抽出され得る。1以上の適切に構成されたポンプ90A、90B(集合的にポンプ90)は、微小球85を担持している媒体82を、タワー80から排出路88を通り微細篩94を通り、返路106を通ってタワー80へと戻るループを循環させるのに使用できる。部92 Aは、細い導管、例えば篩への微小球の動きを促進させる流動の継続的循環を可能にするチューブ又は他の可撓性物質である。特定の実施態様において、部92Aは、部90Aに取り付けられたチューブであり、これは、例えば該循環を通る流体の流れを促進させるローラポンプ、熱ポンプ又は他の機構であり得る。図示の実施態様において、上の排出路88Aは、媒体82内で上昇する微小球85Aを抽出するためにタワー80の最上部で又はその近くで連結され、かつ下の排出路88Bは、媒体82内で下がる微小球85Bを抽出するためにタワー80の一番下で又はその近くで連結される。
【0079】
装置50が微細篩94による循環媒体82のための任意の適切な機構を含むことができ、かつ装置50のその実施態様が図3に示される特定の循環経路及びポンピング配置に限定されないことは理解されるであろう。特定の実施態様において、排出路88の対の使用は、必要でない。いくつかの実施態様において、微小球85は、適切に構成されたポンプにより単一排出路及び対応する微細篩を通って強制的に通過させられ得る。いくつかの実施態様において、上の排出路88A若しくは下の排出路88Bは操作可能であってよく、又は路88の他の一方は(例えば、適切に構成された弁により)閉じることができる。操作のために選択できるチャネル88の一方は、微小球85の予想質量密度に依存し得る。さらに他の実施態様において、装置50は、異なる数の排出路88を含み得る。ポンプ90は、ローラポンプなどの任意の適切な型のポンプを含むことができ、例えば、任意の適切なポンピング装置において使用できる。1以上のポンプ90は、製造される微小球85の密度に最も適している循環経路に応じて利用できる。
【0080】
微細篩94は、微小球85を捕捉するように設計できると共に、下にある媒体82がそこを通るようにさせる。微細篩94において捕捉される微小球85はそれから洗浄及び更なる処理のために抽出され得る(例えば、手動で、又は任意の他の適切な手段で)。
【0081】
描写のみの目的で、方法200はそれから、全ての残余の大孔スペーサ68及び微小球85由来の溶媒を洗い落とし、二相性孔分布を有するベースポリマー22のみを含むきれいな微小球20を結果として生じることを含む、ブロック212に進む。ブロック212の洗浄プロセスは、微小球85が(媒体82の選択に応じて)タワー80における媒体82を循環するにつれて十分に清浄化された場合、必要ではない場合がある。大孔スペーサ68を取り除くブロック212の洗浄プロセスは、残余の大孔スペーサ68及び溶媒の除去のための、浸出(すなわち、適切な液体又はガス溶媒における大孔スペーサ68の溶出)、加熱及び/又は昇華の適用、又はその他適切な技術を含み得る。例えば、大孔スペーサ68が塩の結晶又は他の水溶性物質である場合、洗浄プロセスは、水に微小球85を浸出させること含むことができる。別の例として、微小球85を、溶媒の完全な昇華のために必要とされる時間、真空ポンプに連結される容器に置くことができる。いくつかの実施態様において、ブロック212の洗浄プロセスは、大孔スペーサ68を取り除く必要がない。例えば、大孔スペーサ68は、洗い落とされることと対照的に、微小球20の大孔にはじめに組み込まれたままであり得る生理活性物質を含むことができ、これはその後、微小球20が配置される生物により取り込まれ得る。ブロック212の終わりに、微小球20は、更に後述するように更なる処理及び/又は適用の準備ができている。
【0082】
いくつかの実施態様において、方法200は、微小球20を殺菌する追加工程(明確には示されていない)を含み得る。非限定的な例として、当該殺菌は、適切な外部照射又はガス系滅菌プロセスを使用することを含み得る。いくつかの実施態様において、方法200は、特定の粒度範囲内の微小球20が特定の用途のために選択できるように、サイズ(明確には示されていない)により微小球20を選別することも含み得る。当該選別は、例えば様々な細かさの微細篩の配置を使用して達成できる。
【0083】
(1.ベースポリマー)
特定の実施態様において、ベースポリマー22は、生体吸収性でもあり得、かつ/又は生分解性でもあり得る、生体適合性のポリマー又はモノマーも含む。いくつかの実施態様において、ベースポリマーは、室温及び体温で、微小球が製造プロセスの洗浄相の間、及びその後のインビボでの処理及び適用の間、その形状及び多孔構造を維持するほど十分に機械的に硬い。
【0084】
ベースポリマー(又はベースポリマーの少なくとも一部)としての使用に適している生体吸収性高分子の非限定的な例には、以下の1以上を含む:
(i)微生物に基づくポリマー:
(a)ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩コヒドロキシ吉草酸塩(co-hydroxyvaerate))(PVBV);
(ii)生物工学由来のモノマー:
(a)α-ヒドロキシカルボン酸及びそのコポリマー、例えば、ポリ(乳)酸(PLA)、ポリ(グリコリド(gloycolide))(PGA);
(iii)石油化学系ポリマー:
(a)ポリカプロラクトン(PCL);
(b)ポリエステルアミド;
(c)α型(alphatic)コポリエステル;
(d)芳香族コポリエステル。
【0085】
ベースポリマー(又はベースポリマーの少なくとも一部)を提供するのに使用できる生体吸収性物質の他の非限定的な例には、以下の1以上などの吸収可能な生体適合性バイオマス製品を含む:
(i)多糖:
(a)デンプン、例えば、小麦、トウモロコシ及び/又はジャガイモ;
(b)リグノセルロース物質、例えば、木、藁;
(c)他の多糖類材、例えば、ペクチン、キトサン(chotosan)/キチン、ゴム、ワックス;
(ii)タンパク質及び脂質:
(a)動物性タンパク質及び脂質、例えばカゼイン、乳清、コラーゲン/ゼラチン、フィブリン、グリコサミノグリカン(GAGS);
(b)植物性タンパク質及び脂質、例えばゼイン、大豆、グルテン。
【0086】
本明細書で使用されるベースポリマーに適している追加的な非限定的な例には、以下の1以上を含む:ポリエチレンオキシド/ポリエチレンテレフタラート及びそのコポリマー;乳酸若しくはグリコール酸又はこれら2種の組合せとヒドロキシ末端化可撓性鎖とのコポリマー、例えば、様々な分子量及び形態の並びに市販されているポリ(アルキレングリコール)。ポリ(アルキレングリコール)の例には、以下に限定されないが、ヒドロキシル末端化されたポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(オキシエチレン-コ-オキシプロピレン)及びポリテトラメチレンオキシド鎖、ポリ(オキシエチレングリコール)、ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)-グリコールブロックコポリマー及びポリ(オキシブチレン)グリコールを含む。
【0087】
本明細書で使用されるベースポリマーに適しているさらなる非限定的な例には、以下の1以上を含む:生分解性及び生体適合性のポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸塩、並びにポリエステル、ポリカルボナート、ポリ無水物及びポリ(オルトエステル)のコポリマー;ビスフェノールA系ポリリン酸エステル、例えばポリ(ビスフェノールAフェニルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルホスホン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAフェニルホスホン酸塩)、ポリ[ビス(2-エトキシ)ヒドロホスホン酸テレフタル酸塩]、及びビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)のコポリマー;以下の例示的構造を有するチロシン由来ジフェノールモノマーから誘導されるポリマー:
【化1】

【0088】
式中、R1は、-CH=CH-又は(-CH2-)nであり、ここでnは0又は1〜8の整数であり;及びR2は、最高18の炭素原子を含む直鎖及び分枝アルキル及びアルキルアリール基から選択される。ジフェノール化合物を重合化して、例えば、ポリイミノカルボナート、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリウレタン又はポリエーテルを形成できる。例えば、ポリイミノカルボナート及びポリカルボナートの製造方法については、米国特許番号5,099,060及び5,198,507を参照されたい。本明細書において提供する方法における使用のための適切なジフェノールモノマーには、例として、デスアミノチロシル-チロシン(DT)エステル、例えばデスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE)、デスアミノチロシルチロシンブチルエステル(DTB)、デスアミノチロシルチロシンヘキシルエステル(DTH)、デスアミノチロシルチロシンオクチルエステル(DTO)、又はこれらの組合せを含む。
【0089】
ベースポリマーに適しているなお更なる非限定的な例には以下の1以上を含む:ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリウレタン、厳密に交互のポリ(アルキレンオキシドエーテル)、α-及びβ-ヒドロキシ酸とチロシン誘導体から調製されるジヒドロキシモノマーから重合させたポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリカルボナート及びポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)とのブロックコポリマー、ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリカルボナートとポリ(アルキレンオキシド)とのブロックコポリマー、ポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)とのブロックコポリマー、α-ヒドロキシカルボン酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、及びポリエステルビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)、又はこれらの組合せ。例えば、ポリアリーレートの製造方法については、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許第5,216,115号を参照されたい。
【0090】
一実施態様において、粒子(又は微小球)は、ポリビニルアルコールを含む。別の実施態様において、粒子は、アクリル、アクリルアミド又はアクリレートポリマー又はコポリマーを含む。いくつかの実施態様において、粒子は、ポリビニルアルコール及びアクリル、アクリルアミド又はアクリレートポリマー又はコポリマーを含む。一実施態様において、粒子は、トリスアクリルアミドポリマーを含む。別の実施態様において、粒子ベースポリマーは、N-トリス-ヒドロキシメチルメチルアクリルアミド、ジエチルアミノアシルアクリルアミド(diethylaminoathylacrylamide)、N,N-メチレン-ビス-アクリルアミド、又はこれらの組合せである。1つの実施態様において、粒子は、アクリル酸ナトリウム及びビニルアルコールコポリマーを含む。特定の実施態様において、粒子は、ゼラチンなどの細胞接着促進因子を更に含む。いくつかの実施態様において、粒子は、架橋される。他の実施態様において、粒子は、架橋されない。
【0091】
上記の物質は、ベースポリマーとして(又はその一部として)の使用のための可能性がある物質の非限定的な例である。当該物質のさらに他の非限定的な例には、ヨウ素含浸ポリマー、又は遊離カルボン酸側鎖を含むポリマーを含む。ベースポリマーについて、ハイドロキシアパタイト及びフロウラパタイト(flourapatite)などのアパタイト誘導体を使用することも可能であり得る。任意の上記物質又は本明細書に他所に提供した物質は、例えばモノマー、ポリマー又はそのコポリマーとして、単独で又は任意の組合せで使用できる。
【0092】
(2.溶媒)
特定の実施態様において、第1の溶媒は、ベースポリマー22が様々な濃度で可溶性である溶媒であることにより特徴づけることができる。いくつかの実施態様において、第1の溶媒は第2の溶媒にも混和性であり、連続相媒体を形成する。特定の態様において、第1の溶媒は、急速冷却において結晶化が優先的な相分離機構(第1の溶媒がこの温度範囲に限定されていないにもかかわらず)であるように約-20℃〜約+20℃の融点を有することができ、他の特定の実施態様において、溶媒は約-40℃〜約+40℃の融点を有し得る。ポリ乳酸(PLA)誘導されたベースポリマーの相溶性の第1の溶媒の例は1,4-ジオキサンであり、これは12℃の融点及び低い結晶化エネルギーを有する。他のベースポリマー物質のために他の溶媒を使用できる。
【0093】
特定の実施態様において、第2の溶媒は、ベースポリマーが非混和性であるか又は超低濃度においてのみ混和性である溶媒であることにより特徴づけることができる。しかしながら、第2の溶媒は、第1の溶媒に完全に混和性である。PLAベースポリマー及び第1の溶媒1,4-ジオキサンと相溶性の第2の溶媒の具体例は、水である。第2の溶媒としての使用に適している溶媒の他の非限定的な例には、アルコール、例えば以下に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール及び1,3-プロパンジオールを含む。あるいは、第2の溶媒は、第1の溶媒、大孔スペーサ及び任意の添加剤から構成されているエマルジョンの連続相としても有用であり得る。
【0094】
(3.大孔スペーサ物質)
大孔スペーサ物質68は、いくつかの実施態様において、第1の溶媒及びベースポリマー22に非混和性か、又はわずかにのみ混和性であることにより特徴づけることができる。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質は、第2の溶媒に混和性である。一実施態様において、大孔スペーサ物質は、主に第2の溶媒に混和性である。例えば、塩化ナトリウム(食塩)は、第2の溶媒が水である場合には、適切な大孔スペーサ物質を提供する。洗浄(ブロック212)後の微小球20において若干の残量が残っていれば、塩は生体適合性であるという追加的な利点を有する。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質68は、第1若しくは第2の溶媒のいずれかに混和性でなくともよい。特定の実施態様において、大孔スペーサ物質68は、上記の洗浄プロセス212で使用する第3の溶媒に溶解し得る。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質68は、タワー80を通って循環する間に洗い流されるように、タワー80の媒体82に混和性でもよい。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質68は、後の適用に関して微小球20に組み込まれる添加剤を(少なくともはじめは)維持するように、意図的に洗い流さなくてもよい(例えば、シスプラチンは、媒体82が窒素に基づく場合、大孔スペーサ物質68として使用できる)。大孔スペーサ68は非吸収性でもよく、生体浸食の結果として、微小球20から移動して、(血管などの)より小さな管腔構造の塞栓形成を生じる。
【0095】
認められるように、大孔24のサイズの調節は、大孔スペーサ68を提供するために使用する結晶又は粒子の全体的サイズ、並びに溶液54への大孔スペーサ68の導入のタイミングに依存し得る。また、塩に加えて、又はこれに代わるものとして、上記の溶解性基準のいずれかを満たしている他の無毒性生体適合性の結晶質は、大孔スペーサ物質68として適切であり得る。非限定的な例として、適切な大孔スペーサ物質68は、以下を含み得る:生物学的に許容し得るアルカリ金属及びアルカリ土類金属ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩など;糖の結晶;水溶性ポリマーの微小球;及び、アルブミンなどのタンパク質。特定の実施態様において、本明細書で使用される大孔スペーサ物質68は、塩化ナトリウムである。大孔スペーサ物質68は、より小さな微小球20又はナノ粒子(これは生体吸収性でよく、又は生体吸収性でなくてもよい)を含むこともできる。これらの物質の粒子は、大孔24のために要求される直径を有するものが選択されるべきである。
【0096】
特定の実施態様において、大孔スペーサ物質は、添加剤である。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質は、シスプラチンである。一実施態様において、大孔スペーサ物質はシスプラチンであり、媒体は窒素系媒体である。特定の実施態様において、大孔スペーサ物質は、生体吸収性である。他の実施態様において、大孔スペーサ物質は、生体吸収性でない。特定の実施態様において、大孔スペーサ物質は、血管などの管腔構造を塞栓する。特定の実施態様において、大孔スペーサ物質は、無毒性でかつ/又は生体適合性である。いくつかの実施態様において、大孔スペーサ物質は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩;糖、糖の結晶;水溶性ポリマー、微小球、ナノ粒子、水溶性ポリマーの微小球;タンパク質、アルブミン及び塩化ナトリウム;からなる群から選択される。
【0097】
(4.添加剤)
いくつかの実施態様において、微小球20を製造する方法は、微小球20への1以上の添加剤(例えば、生理活性物質)を含まない。他の実施態様において、微小球20を製造する方法は、微小球20に1以上の添加剤(例えば、生理活性物質)を組み込むことを更に含み得る。この工程は、本製造方法の様々な段階で実施できる。非限定的な例として、添加剤は、タワー80へのその注入の前にポリマー溶液54に導入でき、洗浄後に微小球20の孔に添加でき(ブロック212)、及び/又ははじめに微小球20に存在し続ける大孔スペーサ68に組み込むことができ、又は添加剤は重合プロセスに対する開始因子として作用できる。
【0098】
特定の実施態様において、製造方法の温度変動に耐え得る添加剤は、タワー80への注入の前に、ポリマー溶液54に組み込まれる。当該実施態様において、添加剤は、注入の約1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、4、6時間以内に、溶液に提供できる。いくつかの実施態様において、ベースポリマー22並びに第1及び第2の溶媒は、添加剤をそれに溶解させる前に予め混合でき、又は添加剤は、第1及び第2の溶媒並びにベースポリマー22を混合できた後に最も可溶性である溶媒に溶解できる。液滴84がタワー80においてクエンチされる場合、当該追加的物質は、ベースポリマー22に埋め込まれ得る。微小球20の形成の次の段階の間(例えば、微小球85を形成するための液滴84のクエンチングの後)、当該添加剤は、ベースポリマー22との架橋、イオン結合、酸塩基反応、受容体部位引力、又は重力を介したものなどの様々な手段により、微小球20の表面に接着できる。特定の実施態様において、添加剤は、注入後に溶液に提供される。当該実施態様において、添加剤は、注入後の約1、5、10、15、20、30、45分以内、又は約1、2、4、6時間以内に溶液に提供される。いくつかの実施態様において、添加剤は、注入の間に、溶液に提供される。
【0099】
特定の実施態様において、添加剤は、クエンチングの前に溶液に提供される。当該実施態様において、添加剤は、クエンチングの約1、5、10、15、20、30、45分以内、又は約1、2、4、6時間以内に溶液に提供できる。他の実施態様において、添加剤は、クエンチングの後に溶液に提供される。当該実施態様において、添加剤は、クエンチング後、約1、5、10、15、20、30、45分以内、又は約1、2、4、6時間以内に溶液に提供される。いくつかの実施態様において、添加剤は、クエンチングの間に溶液に提供される。
【0100】
特定の実施態様において、添加剤は、洗浄前に、溶液に提供される。当該実施態様において、添加剤は、洗浄の約1、5、10、15、20、30、45分以内、又は約1、2、4、6時間以内に溶液に提供できる。他の実施態様において、添加剤は、洗浄後に、溶液に提供される。当該実施態様において、添加剤は、洗浄後、約1、5、10、15、20、30、45分以内、又は約1、2、4、6時間以内に溶液に提供される。いくつかの実施態様において、添加剤は、洗浄の間に溶液に提供される。
【0101】
これらの製造の間の微小球20に対する添加剤の導入に加えて又は代替的に、添加剤は、方法200の終結後に微小球20に組み込むことができ、又は被覆できる。特定の実施態様において、添加剤は、ポリマーに共有結合できる。一実施態様において、添加剤は、従来技術において公知の方法を使用して、側鎖遊離カルボン酸基を有するポリマーに共有結合できる。例えば、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許番号5,219,564及び5,660,822;Nathanらの文献, Bio. Congo Chem., 4, 54-62 (1992)及びNathanの文献, Macromolecules, 25, 4476 (1992)を参照されたい。特定の実施態様において、加水分解的に安定接合体は、添加剤が抱合形態において活性である場合に、利用される。加水分解性抱合体は、添加剤が抱合形態で不活性である場合、利用される。
【0102】
特定の実施態様において、添加剤は、粒子に組み込むことができ、又は被覆できる。一実施態様において、微小球20は、抗凝血剤が従来技術の公知の方法により微小球20の表面に共有結合されるように、(ヘパリンなどの)抗凝血剤で被覆できる。当該非血栓形成コーティングは、組織工学又は幹細胞移植又は回収などの用途に有益であり得る。いくつかの実施態様において、微小球20は、細胞の所望の集団のための受容体又は化学誘引物質として機能する生理活性物質で被覆できる。当該被覆は、吸収又は化学結合を介して適用できる。特定の実施態様において、添加剤は、粒子の表面に接着する。一実施態様において、添加剤は、ベースポリマーとの架橋、イオン結合、酸塩基反応、受容体部位引力又は重力により微小球の表面に接着する。
【0103】
特定の実施態様において、添加剤はその後、生きた対象の選択された標的領域における調節された様式で微小球20から放出でき、又は微小球20から放出されることなく流体及び組織を取り囲む接触により活性化できる。添加剤は、微小球20の生体浸食により(ベースポリマー22が生分解性である場合)、微小球20からの拡散により、又は微小球20のポリマー表面への移入により、放出され得る。添加剤は、生理的に又は医薬的に許容し得る担体、賦形剤、安定剤などで提供でき、かつ徐放性又は時限放出製剤で提供できる。また、添加剤は、添加剤が連結されるそれらの送達を容易にするための剤、例えば抗体、抗体断片、成長因子、ホルモン又は他の標的化部分を組み込むこともできる。
【0104】
微小球20での使用に適した添加剤には、生物学的に、又は薬学的に、活性な化合物を含む。生理活性化合物の例には、細胞接着媒介因子、例えば細胞接着に影響を及ぼすことが公知の「RGD」インテグリン結合配列のバリエーションを含むペプチド、生理活性リガンド及び特定の種類の細胞又は組織内増殖を強化するか又は除外する物質を含むが、これらに限定されない。当該物質には、骨誘導性物質、例えば、骨形態形成タンパク質(BMP)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF‐I及びII)、TGF-β、血管内皮成長因子(VEGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍誘導因子(TIF)その他などを含む。
【0105】
薬学的に活性化合物の例をあげると、アシクロビル、セフラジン、マルファレン、プロカイン、エフェドリン、アドリオマイシン(adriomycin)、ダウノマイシン、プルンバギン、アトロピン、クアニン(quanine)、ジゴキシン、キニジン、生体活性ペプチド、クロリンe 6、セファロチン、プロリン及びプロリン類似体、例えばシス-ヒドロキシ-L-プロリン、ペニシリンV、アスピリン、イブプロフェン、ステロイド、ニコチン酸、ケモデオキシコール酸、クロラムブシル、その他を含むが、これらに限定されない。添加剤として使用し得る他の非限定的な例による生理活性物質には、血管拡張剤、例えば硝酸塩(ニトログリセリン、亜酸化窒素系物質)、カルシウムチャネルブロッカー(取引名ベラパミル)、血栓溶解物質(例えば、組織プラスミノゲン因子(TPA)、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ)、抗血小板凝集/接着因子(例えば、IIa-IIIb阻害剤、取引名レオプロ)を含む。
【0106】
他の潜在的添加剤には、従来的若しくは生物学的化学療法剤を含む。従来の化学療法剤の非限定的な例には、白金種化学療法剤、トポ異性体、トポ阻害剤、及び逆転写酵素化学療法剤を含む。生物学的化学療法剤の非限定的な例には、ベバシズマブ、セツキシマブ、3-ブロモピルビン酸、ソラフェニブなどの小分子生物剤、及びマルチキナーゼ阻害剤を含む。他の例示的な添加剤は、本明細書の他に提供される治療剤及び薬剤である。
【0107】
特定の実施態様において、本明細書において提供する二相性粒子又は微小球、組成物及び方法との関連で使用される添加剤は、1以上の治療剤である。本明細書において提供する組成物、方法又はキットにおいて微小球との併用で使用し得る治療剤には、薬剤などの(例えば、1つの、2つの、3つの、4つ以上の)剤を含む。当該治療剤は、任意の1以上の抗腫瘍剤、抗脈管形成剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗細菌剤、細胞毒、化学療法剤又は除痛剤及び/又は抗ヒスタミン剤であり得る。治療剤は、例えば、任意の1以上のホルモン、ステロイド、ビタミン、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、インターロイキン、酵素、抗アレルギー剤、循環器系作用剤、抗結核剤、抗狭心症剤、抗原生生物剤、抗リウマチ剤、麻薬、強心配糖体剤、鎮静剤、局所麻酔剤、全身麻酔剤及びこれらの組合せであることもできる。当該治療剤には、例えば、抗腫瘍剤、脈管形成因子、免疫抑制剤又は抗増殖剤(抗再狭窄剤)を含むこともできる。治療剤の他の非限定的な例には、胎生期因子、線維芽細胞成長因子、転写因子、キナーゼ阻害剤又はアデノシンを含む。特定の実施態様において、治療剤は、抗腫瘍剤、化学療法剤又は除痛剤である。
【0108】
抗血管新生剤若しくは抗腫瘍剤の例には、以下に限定されないが、AGM-1470(TNP-470)、血管新生抑制ステロイド、アンギオスタチン、avβ3に対する抗体、bFGFに対する抗体、IL-1に対する抗体、TNF-αに対する抗体、VEGFに対する抗体、オーラノフィン、アザチオプリン、BB-94及びBB-2516、塩基性FGF可溶性受容体、カルボキシアミド-トリゾール(CAI)、軟骨由来阻害剤(CDI)、キチン、クロロキン、CM 101、コルチゾン/ヘパリン、コルチゾン/ヒアルロフラン、コルテキソロン/ヘパリン、CT-2584、シクロホスファミド、シクロスポリンA、デキサメタゾン、ジクロフェナク/ヒアルロナン、好酸性主要塩基性タンパク質、フィブロネクチンペプチド、グリオーマ由来脈管形成阻害因子(GD-AIF)、GM 1474、塩化金、チオリンゴ酸金、ヘパリナーゼ、ヒアルロナン(高分子量種及び低分子量種)、ヒドロコルチゾネルベータ(hydrocortisonelbeta)-シクロデキストラン、イブプロフェン、インドメタシン、インターフェロン-α、インターフェロンγ-誘導可能タンパク質10、インターフェロン-γ、IL-1、IL-2、IL-4、IL-12、ラミニン、レバミゾール、リノマイド(linomide)、LM609、マルトスタット(BB-2516)、メドロキシプロゲステロン、メトトレキセート、ミノサイクリン、一酸化窒素、オクトレオチド(ソマトスタチン類似体)、D-ペニシラミン、ペントサンポリ硫酸塩、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、胎盤RNアーゼ阻害剤、プラスミノーゲンアクティベータ阻害剤(PAI)、血小板因子-4(PF4)、プレドニゾロン、黄体刺激ホルモン(16kDa断片)、プロリフェリン関連タンパク質、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤、プロタミン、レチノイド、ソマトスタチン、P物質、スラミン、SU1O1、テコガランナトリウム(05-4152)、テトラヒドロコルチゾル-トロンボスポンジン(sthrombospondin)(TSP)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP 1、2、3)、サリドマイド、3-アミノサリドマイド、3-ヒドロキシサリドマイド; サリドマイド、3-アミノサリドマイド、3-ヒドロキシサリドマイドの代謝産物又は加水分解産物、ビタミンA及び硝子体流体を含む。別の実施態様において、抗脈管形成剤は、サリドマイド、3-アミノサリドマイド、3-ヒドロキシサリドマイド、及びサリドマイド、3-アミノサリドマイド、3-ヒドロキシサリドマイドの代謝産物又は加水分解産物からなる群から選択される。一実施態様において、抗脈管形成剤は、サリドマイドである。
【0109】
他の抗脈管形成剤又は抗腫瘍剤としては、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、代謝拮抗剤、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、アンドロゲン、抗アンドロゲン、抗エストロゲン剤、エストロゲン及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。具体例には、以下に限定されないが、アクチノマイシンD、アルデスロイキン、アレムツヅマブ、アリトレチノイン、アロピュリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド(aminoglutehimide)、アムホテリシン(amphotercin)B、アムサクリン、アナストロゾール、アンサマイトシン、アラビノシルアデニン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アスパリギナーゼエルウィニア(Erwinia)、BCG生菌(Live)、ベンズアミド、ベバシズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、3-ブロモピルビン酸、ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルゼレシン(carzelesin)、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダーベポエチンα、ダウノルビシン、ダウノマイシン、デニロイキンジフチトックス(denileukin diftitox)、デクスラゾキサン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エストラムスチン、エトポシド、VP-16、エクセメスタン、フィルグラスチム、フロキシウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5-FU)、フルタミド、フルベスタント(fulvestrant)、デムシタビン、ゲムシタビン、ゲムツヅマブ、ゴセレリン酢酸塩、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン(例えば、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b)、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、ロムスチン、メシオルタミン(meciorthamine)、メゲストロール、メルファラン(例えば、PAM、L-PAM又はフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、メルカプトポリリジン、メスナ(mesna)、メシラート、メトトレキセート、メトキサレン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロンフェンプロピオネート、ノルバデクス、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸ナトリウム、ペガデマーゼ(pegademase)、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポルフィメルナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラルチトレキセド、ラスブリカーゼ、リボシド、リツキシマブ、サルグラモスチム、スピロプラチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テガフル-ウラシル、テモゾロマイド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン(tioguanine)、チオテパ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツヅマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタンバルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ゾレドロナート、これらの塩、又はこれらの混合物を含む。いくつかの実施態様において、白金化合物は、スピロプラチン、シスプラチン又はカルボプラチンである。具体的実施態様において、薬剤は、シスプラチン、マイトマイシン、パクリタキセル、タモキシフェン、ドキソルビシン、タモキシフェン、又はこれらの混合物である。
【0110】
除痛剤の例は、鎮痛剤又は抗炎症剤、例えば非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、イブプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン(dexketoprofen)、フェニルトロキサミン、クロルフェニラミン、フルビプロフェン、ビオックス(vioxx)、セレブレックス(celebrex)、ベックススター(bexxstar)、ナブメトン、アスピリン、コデイン、リン酸コデイン、アセトアミノフェン、パラセタモール、キシロカルネ(xylocalne)及びナプロキシンであるがこれらに限定されない。いくつかの実施態様において、除痛剤は、オピオイドである。オピオイドは、通常、これらの有効な鎮痛性又は除痛性のために処方される。このクラスに入る化合物の中には、麻薬、例えばモルヒネ、コデイン及び関連した薬物を含む。オピオイドの他の例には、オキシコドン、プロポキシフェン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、及びメペリジンを含む。麻薬には、例えば、以下に限定されないが、パレゴリック及びオピエート、例えばコデイン、ヘロイン、メサドン、モルヒネ及びオピウムを含む。
【0111】
ホルモン及びステロイドには、例えば、以下に限定されないが、成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンテブテート、ピバリン酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルンソリド、ベクロメタゾンジプロピオネート、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバリン酸デスオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン、エストラジオール、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、テストステロンエナンタート(testosteroneenanthate)、プロピオン酸テストステロン、エクイレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、エストラジオールジプロピオネート、エストリオール、エストロン、エストロン安息香酸エステル、アセトキシプレグネノロン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸フルロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルメチステロン、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、エチノジオールジアセタート、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、フルニソリド、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシジオンナトリウムスピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン、テストステロンシピオネート、テストステロンフェニルアセタート、エストラジオールシピオナート及びノルエチノドレル。
【0112】
ペプチド及びペプチドの類似体には、例えば、以下に限定されないが、マンガンスーパーオキサイドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)、グルタチオン、インスリン、ドーパミン、RGD、AGD、RGE、KGD、KGE又はKQAGDVを含むペプチドリガンド(GPEXma受容体に親和性を有するペプチド)、麻酔性ペプチド、エンケファリン、エンドルフィン及びそれらの類似体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)、コレシストキニン及びそれらの類似体、ブラジキニン及びそれらの類似体、及び促進因子及び阻害剤、エラスチン、バソプレシン、ペプシン、グルカゴン、P物質、インテグリン、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル及び他のACE阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、オキシトシン、カルシトニン、IgG又はその断片、IgA又はその断片、IgM又はその断片、エフェクター細胞プロテアーゼ受容体(全てのサブタイプ)のリガンド、トロンビン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、t-PA及び全ての活性な断片又は類似体、タンパク質キナーゼC及びその結合リガンド、インターフェロン(α-IFN、β-IFN、γ-IFN)、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来成長因子、リンフォトキシン、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血管内皮細胞成長因子、エリスロポエチン、トランスフォーミング成長因子、オンコスタチンM、インターロイキン(IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-1O、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、その他)、金属タンパク質キナーゼリガンド、コラゲナーゼ及びアゴニスト及びアンタゴニストを含む。
【0113】
抗体には、例えば、以下に限定されないが、ヒト以外の抗体又はその断片を含む、実質的に精製された抗体又はその断片を含む。各種実施態様において、実質的に精製された抗体又はその断片は、ヒト、ヒト以外の、キメラ及び/又はヒト化抗体であり得る。当該ヒト以外の抗体は、ヤギ、マウス、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ウサギ又はラット抗体であり得る。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体であり得る。
【0114】
抗有糸分裂因子には、エストラムスチン及びそのリン酸化された誘導体、リン酸エストラムスチン、ドキソルビシン、アムフェチニール(amphethinile)、コンブレタスタチンA4及びコルヒチンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0115】
抗凝血剤は、例えば、以下に限定されないが、フェンプロクモン及びヘパリンを含む。
【0116】
抗ウイルス剤には、例えば、以下に限定されないが、アシクロビル、アマンタジンアジドチミジン(AZT又はザイドブジン(Zidovudine))、リバビリン及びビダラビン一水和物(アデニンアラビノシド、ara-A)を含む。
【0117】
抗狭心症剤には、例えば、以下に限定されないが、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリスリトール、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン(三硝酸グリセリル)及びペンタエリスリトールテイラニトラート(pentaerythritolteiranitrate)を含む。
【0118】
抗生物質には、例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジンエリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、チカルシリン、リファンピン及びテトラサイクリンを含む。
【0119】
抗炎症剤及び鎮痛剤には、例えば、ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン及びサリチル酸塩を含む。
【0120】
循環器系作用剤には、例えば、以下に限定されないが、プロプラノロールを含む。
【0121】
強心配糖体薬剤には、例えば、以下に限定されないが、デスラノシド、ジギトキシン、ジゴキシン、ジギタリン及びジギタリスを含む。
【0122】
神経筋ブロッカーには、例えば、以下に限定されないが、アトラクリウムメシラート、ガラミントリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化スクシニルコリン(塩化スキサメトニウム)、塩化ツボクラリン及び臭化ベクロニウムを含む。
【0123】
鎮静剤には、例えば、以下に限定されないが、アモバルビタール、アモバルビタールナトリウム、アプロバルビタール、ブタバルビタールナトリウム、クロラール水和物、エスクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトトリメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラムパラアルデヒド、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパム及びトリアゾラムを含む。
【0124】
局所麻酔剤薬剤には、例えば、以下に限定されないが、塩酸ブピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸エチドカイン、塩酸リドカイン、塩酸メピパカイン、塩酸プロカイン及び塩酸テトラカインを含む。
【0125】
全身麻酔薬薬剤には、例えば、以下に限定されないが、ドロペリドール、エトミデート、ドロペリドール含有クエン酸フェンタニル、塩酸ケタミン、メトヘキシタールナトリウム及びチオペンタールナトリウムを含む。
【0126】
放射性粒子又はイオンには、例えば、以下に限定されないが、ストロンチウム、レニウム、イットリウム、テクネチウム及びコバルトを含む。
【0127】
他の用途において、微小球20は、身体の局所的な標的領域への様々な療法剤又は他の添加剤の送達ビヒクルを提供でき、これは標的領域への療法剤又は他の添加剤の延長された制御性曝露を可能にする。微小球20は、所望の治療剤又は他の添加剤に添加され、混合され、被覆され、又は含浸され、任意の適切な手段により標的領域に注入できる。例えば、微小球20は、以下の添加剤のいずれかを潜在的に送達できる:化学療法、免疫調節物質、ウイルスベクター、化学誘引物質、ポリペプチド、神経伝達物質、生物剤(例えばベバシズマブ)、抗体受容体部位、抗体、抗生物質及び組織分化シグナル伝達物質。あるいは、分子アンテナは、抗体結合部位、酸塩基反応、イオン結合、追加的架橋、及び親水性/疎水性受容体部位を提供するために、微小球構造に結合できる。添加剤の他の非限定的な例は、本明細書の他に提供される。
【0128】
対象、典型的には哺乳動物に最適な有効性を提供する量の添加剤が多孔質微小球20に組み込まれる。特定の実施態様において、対象は、その治療を必要とする。投与の用量及び方法は、対象ごとに、及び治療されている哺乳動物の型、その性別、体重、食事、並用薬物、全体の臨床状態、使用した具体的化合物、これらの化合物が使用される具体的使用、及び当業者が認識する他の因子などの因子により、変化する。特定の実施態様において、追加的投与量は、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、例えば約0.01mg/kg〜約100mg/kg、又は約0.10mg/kg〜約20mg/kgにわたる。添加剤は、単独で、又は他の治療剤若しくは診断剤との併用で、使用できる。通常、治療又は管理は少ない投与量で開始され、これはその後、当該状況下で所望の効果が達成されるまで、小増分ごとに増加できる。加えて、当業者は、具体的な薬剤/剤の適切な量を決定するために、ニュージャージー州モントベールにあるMedical Economics社により発行された医師用卓上参考書などの参照資料を頼ることができ、それゆえ、当該用量又はより低容量若しくはより高用量が本明細書において提供する方法を使用して患者に投与できる。本明細書において提供する方法に従って、特定の実施態様において、薬剤は、当該目的の患者(例えば、患者の領域において)、例えば、患者の状態(すなわち、疾患状態、病気、障害、その他)を治療するか又は管理するために送達される。薬剤は上記のように使用でき、又はエマルジョンなどの他の実施態様に組み込むことができる。
【0129】
(C.医薬組成物)
本明細書において提供するのは、上記の微小球のいずれか、及び医薬として許容し得る液体若しくは他の生体適合性の担体を含む医薬組成物である。組成物は、懸濁液、ヒドロゲル又はエマルジョンの形態であり得る。組成物は、前記液体中の前記微小球の懸濁液であることもできる。いくつかの実施態様において、組成物は、無菌である。
【0130】
医薬として許容し得る液体は、以下に限定されないが、食塩水、緩衝液、水、等張液、生体液又はその混合物であり得る。液体は、塩溶液であることもでき、特定の実施態様において、例えば、約0.01M〜約5Mの量のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛及びアンモニウムからなる群から選択されるカチオンからなる。
【0131】
組成物は、約10重量%〜約90重量%の量の微小球、及び約10重量%〜約90重量%の量の液体(又は他の生体適合性担体)を含み得る。組成物は、約10重量%〜約50重量%の量の微小球、及び約50重量%〜約90重量%の量の液体(又は他の生体適合性担体)も含み得る。
【0132】
治療的な使用に許容し得る薬剤担体には、希釈液、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、封入物質、溶媒、増粘剤、分散剤、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩及び他の有機酸塩などの緩衝液、アスコルビン酸(防腐剤)などの抗酸化剤、ポリアルギニンなどの低分子量(約10残基未満)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリ(ビニルピロリンジノン(vinylpyrrolindinone))などの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンなどのアミノ酸、セルロース又はその誘導体、グルコース、マンノース又はデキストリンなどの単糖、二糖及び他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの対イオン及び/又は非イオン性活性剤、例えばトゥイーン(tween)、プルロニック又はPEGを含む。
【0133】
いくつかの実施態様において、生体適合性の担体は、水性溶液、ヒドロ有機溶液、有機溶液、非水性溶液又はその混合物である。特定の実施態様において、生体適合性担体は、例えば約0.01M〜約5Mの量で、カチオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、アンモニウム及びそれらの混合物からなる塩を含む。
【0134】
微小球内に又はその上に添加される添加剤(例えば、治療剤)は、生理的プロセスに起因してインビボで放出できる。微小球上に添加される薬剤の放出は、pH及び塩濃度により影響され得る。例えば、薬剤放出は、微小球を囲んでいる環境のpH変化又はイオン強度の変化を確立することにより加速できる。当該適切な薬剤-放出状態の決定は、当業者により容易に決定できる。
【0135】
いくつかの実施態様において、添加剤(例えば、治療剤)は、持続放出及び/又は徐放により放出される。特定の実施態様において、添加剤は、一定数の時間、日又は週に渡って放出される。一実施態様において、薬剤の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%又は約100%は、一定期間の後、例えば約3時間、約6時間、約12時間、約18時間後に、又は約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日後に、又は約1週、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週又は約10週以降の後に、微小球から放出される。薬剤放出特性は、部分的には、使用する具体的薬剤の特性に依存するが、当業者により容易に測定できる。
【0136】
いくつかの実施態様において、添加剤(例えば、治療剤)は、一定数の日又は週に渡って、微小球から放出される。一実施態様において、約1%超かつ約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約50%、約75%又は約90%未満の薬剤が、約72時間の期間、約96時間の期間、一週以内の期間、2週以内の期間又は4週以内の期間以内で放出される。
【0137】
(D.二相性多孔質微小球の使用方法)
本明細書において提供する特定の態様に従う生体適合性二相性多孔質微小球20は、広範な医療用途を有し得る。例えば、本明細書において提供する微小球は、組織工学、組織誘導再生、インビボ幹細胞回収、培養、又は標的とするヒト若しくは動物組織における分化、送達及び治療物質の懸濁、並びに/又は他の用途のために使用し得る。任意の理論に拘束されることなく、例えば、長期にわたる局所的な療法を送達する際に、又は細胞増殖及び移植を促進する際に、微小球20のサイズは、それが実質的に生きた対象の任意の標的領域に比較的容易に送達されることを可能にし(非外科的手段により、例えば、カテーテル、針、チューブ等により)、微小球20の多孔構造は、それを当該標的領域内において多用途にさせる。
【0138】
本明細書において提供する組成物及び方法における微小球は、当該技術分野において公知の方法により、組織又は器官(例えば、心臓、腎臓、脊髄、子宮、肝臓又は膵臓)に投与できる(又はそうでなければ接触できる)。特定の実施態様において、微小球は、複数の血液供給、例えば肝臓、肺、脊椎、脊髄、子宮又は膵臓を有する組織又は器官に(例えば、注入により)投与される。特定の実施態様において、粒子は、患者の心臓、肺、神経系、脳、肺、肝臓、子宮又は膵臓に投与される。いくつかの実施態様において、粒子は、組織又は器官内に含まれる1以上の血管、静脈又は動脈に投与される。特定の実施態様において、本明細書において提供する二相性多孔質微小球は、標的領域、例えば組織又は器官又はその近傍などにおける投与又は注入の領域における虚血に対処するために使用される。本明細書において提供する方法のいくつかの実施態様において、微小球は、腔内投与又は注入により患者に投与される。本明細書において提供する方法の他の実施態様において、微小球は、血管内投与又は注入により患者に投与される。
【0139】
微小球は、所望の組織又は器官に全身的に又は局所的に送達できる。いくつかの実施態様において、微小球は、手術の前、その間、又はその後に、組織又は器官に投与できる。他の実施態様において、微小球は、非外科的方法を使用して、例えば、選択された組織への直接注入により局所的に、遠隔部位に、標的部位に受動的に循環させることができ、又は遠隔部位に、及び磁石で標的部位へと能動的に方向付けて、組織又は器官に送達される。当該非外科的送達方法には、例えば、点滴、又は血管内投与(例えば、静脈内投与若しくは動脈内投与)、筋肉内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、真皮内投与又は皮下投与を含む。
【0140】
上記の疾患又は障害は、患者に、本明細書に提供される微小球又は医薬組成物の治療上有効量を投与することにより治療できるか又はそうでなければ管理できる。
【0141】
投与は、典型的には注入により実施される。特定の実施態様において、微小球は、カテーテルにより投与される。他の実施態様において、微小球は、シリンジに取り付けられた針でヒトに注入される。いくつかの実施態様において、投与は、血管にされる。他の実施態様において、投与は、作用部位に、例えば、腫瘍塊に、又は当該治療若しくは管理を必要とする細胞、器官若しくは組織に直接なされる。本明細書において提供する微小球は、予め薬剤を含ませて投与できる。他の実施態様において、微小球は薬液との併用で投与され、該薬液は該微小球の投与の前に、同時に、又は後に投与される。
【0142】
投与されるとき、微小球又は医薬組成物は、注入に適している。具体的実施態様において、微小球を含む微小球又は組成物は、無菌である。微小球は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、γ照射又はβ照射などの照射により殺菌できる。特定の実施態様において、微小球は、無菌技術を使用して無菌的に調製される。いくつかの実施態様において、無菌的に調製される微小球は、治療剤又は薬剤などの添加剤を含む。
【0143】
特定の実施態様において、本明細書において提供するのは、腫瘍又は他の癌、非腫瘍形成性脈管形成依存的疾患、又は疼痛、例えば腫瘍若しくは他の癌の存在に関連した疼痛、又はそれらの症状を治療するか又はそうでなければ管理することに適している組成物及び方法である。当該癌には、以下に限定されないが(解剖学的に、及び始原腫瘍部位による両方とも)、肝臓癌、卵巣癌、乳癌、腎癌、肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭頚部腫瘍、胸部腫瘍、脳腫瘍、骨腫瘍、軟組織腫瘍(例えば肉腫、脂肪腫、悪性線維性組織球腫)、血液(リンパ腫など)、カポジ肉腫及び膀胱癌の表面的な形態を含む。特定の実施態様において、治療又は管理の方法は、単独での、又は微小球の塞栓効果との併用での、薬剤添加した微小球から放出される局所的な(又は全体的な)薬剤送達の結果であり得る。特定の実施態様において、本明細書において提供する薬剤添加した微小球は、血管以外の部位特定位置に投与され(例えば、腫瘍塊に直接)、血管塞栓形成は発生しない。
【0144】
しかしながら、癌に加え、血管の異常成長により特徴づけられる多数の他の非腫瘍形成性脈管形成依存的疾患も、本明細書において提供する微小球又は医薬組成物を用いて、下方制御又は上方制御のいずれかを介して、治療でき、又はそうでなければ管理できる。当該非腫瘍形成性脈管形成依存的疾患の代表例としては、肥大性瘢痕及びケロイド、増殖糖尿病性網膜症、関節リウマチ、動静脈形成異常、リンパ管形成異常、静脈形成異常、アテローム動脈硬化性斑、遅発性創傷癒合、血友病関節、複雑骨折(nonunion fractures)クリッペル-トレノネー症候群(Klippel Trenaunay Syndrome)、パークスウェーバー症候群(Parkes Weber Syndrome)、オスラー-ウェーバー-ランデュ症候群(Osler- Weber-Rendu Syndrone)、ブルーラバーブレッブ症候群(Blue Rubber Bleb Syndrome)、皮膚(cutnaoues)及び皮下母斑、血管腫、平滑筋腫、腺腫、過誤腫、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ(tracoma)、月経過多及び脈管接着を含むが、これらに限定されるものではない、。
【0145】
同様に、本明細書において提供する微小球及び組成物は、その必要のある様々な細胞、組織又は器官に薬剤を送達するために使用できる。例えば、微小球及び組成物は、腫瘍又は癌、炎症性疾患又は炎症と関連している他の疾患、又はその症状を治療するか又はそうでなければ管理するために使用できる。他の実施態様において、本明細書において提供する微小球及び組成物は、子宮筋腫を治療するか又はそうでなければ管理するために使用できる。
【0146】
いくつかの実施態様において、薬剤又は治療剤は、微小球の投与前に、組織、器官又は細胞に投与できる。特定の実施態様において、薬剤又は治療剤は、微小球の投与前約1分〜約60分に投与される。いくつかの実施態様において、薬剤又は治療剤は、微小球の投与の1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、4、6、10、12、18、20又は24時間以内に、組織、器官又は細胞に投与される。さらに他の実施態様において、薬剤又は治療剤は、微小球と同時に投与される。特定の実施態様において、微小球は、薬剤又は治療剤の投与前に、組織、器官又は細胞に投与される。特定の実施態様において、微小球は、薬剤又は治療剤の投与前約1分〜約60分に投与される。いくつかの実施態様において、微小球は、薬剤又は治療剤の投与の1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、4、6、10、12、18、20又は24時間以内に、組織、器官又は細胞に投与される。
【0147】
加えて、微小球(生理活性添加剤を伴う又は伴わない)は、以下に限定されないが、糖尿病のための膵臓膵島細胞移植、心筋合成又は保存のための幹細胞投与、骨構造の内での骨促進又は合成、及び肝臓又は肺へのカテーテルでの幹細胞投与を含み得る細胞送達と同時に投与できる。
【0148】
いくつかの実施態様において、細胞(例えば、幹細胞)は、微小球の投与前に、組織、器官に投与できる。特定の実施態様において、細胞(例えば、幹細胞)は、微小球の投与前約1分〜約60分に投与される。いくつかの実施態様において、細胞(例えば、幹細胞)は、微小球の投与の1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、4、6、10、12、18、20又は24時間以内に組織又は器官に投与される。さらに他の実施態様において、細胞(例えば、幹細胞)は、微小球と同時に投与される。特定の実施態様において、微小球は、細胞(例えば、幹細胞)の投与前に、組織又は器官に投与される。特定の実施態様において、微小球は、細胞の投与前約1分〜約60分に投与される。いくつかの実施態様において、微小球は、細胞(例えば、幹細胞)の投与の1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、4、6、10、12、18、20又は24時間以内に組織又は器官に投与される。これらの各種実施態様において、細胞及び/又は微小球は、任意に薬剤若しくは治療剤と共に組織又は器官に投与できる。
【0149】
本明細書において提供する方法における使用のための細胞の有効量は、使用する細胞型及び/又は送達部位に応じて変化し、当該用量は医師により容易に決定できる。特定の実施態様において、細胞の数は、1×105〜1×109の範囲である。例えば、細胞は、約1×106〜1×108、例えば約1×107〜5×107の用量で投与できる。送達されるべき器官又は組織のサイズ、例えば傷害性領域のサイズに応じて、より多い又はより少ない細胞を使用できる。例えば、より大きな傷害領域はより多くの用量の細胞を必要とすることができ、より小さな傷害領域はより少ない用量の細胞を必要とすることができる。受給者の体重を基礎として、有効量は、1×105〜1×109/kg体重、例えば1×105、1×106、1×107、1×108又は1×109/kg体重(又はその任意の範囲)、例えば1×106〜5×106細胞/kg体重であり得る。患者の年齢、一般状態、及び免疫学的状況は、投与される用量を決定する際の因子として使用でき、医師により容易に決定される。
【0150】
微小球20の潜在的機能性を示す本明細書に提供される組成物及び方法の適用の更に非限定的な例示的な領域は、動脈内近接照射療法、膵島細胞移植、及び以下に記載する他のものである。
【0151】
(1.動脈内近接照射療法)
動脈内近接照射療法は、典型的には癌組織又はその症状の治療又は管理のために、動脈を介し体内の標的領域への放射性物質のカテーテルを用いた点滴を含む放射線療法の形態である。送達された放射性物質は、塞栓効果(標的領域への血液供給を塞ぐ)を有することができ、これは標的領域における療法を維持するのに有益であり得る。しかしながら、当該局所的な放射線療法は、典型的には、フリーラジカル、特に酸素フリーラジカルの生成に依存している。酸素フリーラジカルの生成は、標的領域の周囲で酸素を含ませた環境を提供することにより促進できる。従って、酸素の提供には血流が必要であるため、標的領域における完全な塞栓形成は望ましくない場合がある。事実、十分に酸素を含ませた環境は増加したラジカル生成を生じることができ、これは対応する放射線治療効果の増加に結び付けられる。これらの要件に鑑み、本明細書において提供する実施態様に従う多孔質微小球20は、標的領域及び最小若しくは最適な塞栓効果に連続する血液流入(灌流)を可能にすると共に、(標的領域に残って)局部的放射活性源を提供できるので、動脈内近接照射療法に十分適する物質を提供できる。さらにまた、添加治療剤は、標的領域への長期にわたる送達のために微小球構造に組み込むことができる。微小球20は、様々な手段、例えばそれを樹脂で被覆し、及び/又はその後微小球20を放射線に当てることにより、放射性とすることができる。微小球20は、微小球20を形成するのに使用される任意の物質への共有結合により(米国特許出願10/762507に記載される)又は米国特許5011677に記載されている技術により、放射性医薬品を組み込むようにも製造できる。
【0152】
(2.膵島細胞移植)
微小球20の別の例示的な適用は、膵島細胞移植の分野である。膵島細胞移植は、典型的には、提供者の膵臓から、インスリンを産生することができない糖尿病の対象に、インスリン産生膵島細胞を提供する。典型的には、膵島細胞の添加は、カテーテルを用いた点滴を介して、受給者の肝臓の門脈に移植される。この技術に対する現在の欠点は、移植された細胞が、細胞間接触、細胞の圧迫増加、灌流圧の増加、及び局所炎症性反応を生じ得る懸濁液として注入されることであり;該全ての因子はアポトーシス及び移植拒絶の一因となる。移植された細胞の生存可能性は、細胞が細胞間接触を回避又は低減するために十分離れて置かれる場合、充分な血流量が維持される場合、及び生理活性物質が局所レベルで投与される場合に、増加し得る。本明細書に提供される実施態様による多孔性微小球20における移植時の共投与は(生理活性物質を伴い又は伴わずに、かつ完全生体吸収能を伴い又は伴わずに)、減少した細胞集密度を生じることができ、及び連続した灌流を可能にし、これにより移植生存の確率を上昇させる。具体的には、微小球内の大孔構造は、適切な距離離れた膵島細胞を保持することに適している足場を提供するように設計でき、二相性多孔構造は、細胞の内外で適切な血流量力学を可能にする。
【0153】
(3.他の細胞送達及び組織再生)
膵島細胞移植(例えば、細胞分離及び連続した灌流)に適するようにさせる微小球20の特性は、細胞増殖、細胞移植及び組織再生用途の多くの他の型にも潜在的に適するようにさせる。例えば、本明細書において提供する実施態様に従う微小球20は、支持幹細胞分化及び組織産生のための注入可能な足場として作用する幹細胞療法において使用し得る。微小球20(球体面若しくは基質を添加でき、結合でき又は混合できるセレクチン、ホルモン、細胞受容器、ウイルス及び医薬などの生理活性剤を伴う)の注入は、(回収、処理、又は終末の細胞系への分化のための)幹細胞又は標的細胞の移動において、又は具体的実施態様において、機能的な細胞群又は器官のインビトロ産生(器官形成)をもたらし得る。特定の非限定的な幹細胞療法適用には、微小球20及び固有の解剖学的特徴を有する肝臓又は肺への幹細胞の注入を含む。すなわち、肝臓は、動脈の供給及び門脈流入による脈管流入を有し、肺は濃度、回収又は分化のための肺動脈及び気管支動脈による二重流入血液供給を有する。さらにまた、当該微小球20は、細胞遊走及び/又は分化を促進できる様々な促進因子、化学誘引物質又は細胞増強剤で被覆でき又は添加でき、かつ標的領域における局部組織再生の確立を容易にし得る。
【0154】
生体吸収性(又は生体腐食性若しくは生分解性)ベースポリマーを含む微小球20は、更なる利点を有し得る。細胞移植又は組織産生の状況において、当該微小球20は、時間とともに分解されることができ、産生された又は移植された細胞構造のみをその後に残す。分解可能な微小球20は、送達された療法への血流量を増加させることができ、標的組織への療法の浸透を増加させることもできる。微小球20の漸進的な分解は、標的領域への局所的な療法(例えば、薬物療法又は放射線療法)の漸進的な送達も可能にする。
【0155】
特定の実施態様において、本明細書において提供するのは、組織構築及び産生の方法である。いくつかの実施態様において、本方法は、二相性多孔質微小球の組成物を、任意に生体適合性担体において、哺乳動物などの患者に、投与することを含む。
【0156】
本明細書において提供する組織構築及び産生法は、任意の特定の組織型又は任意の特定の器官若しくは身体部位における組織欠損の修復に限定されない利点を提供する。むしろ、本方法は、心臓、冠血管、血管、脊髄、骨、軟骨、腱、靭帯、胸部、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、腸組織、泌尿器系、皮膚、ヘルニア及び歯系組織を含むがこれらに限定されない、任意の種類の欠損組織の、及び任意の身体部分の構築及び産生に適している。更に、特定の実施態様において、二相性多孔質微小球及び細胞、例えば幹細胞(例えば、多能性間充織幹細胞)を含む組成物の使用は、組織許容性及び治療の効果を改良できる。本明細書において提供する方法は、結合組織反応を増加させることもできる。
【0157】
本明細書で提供するのは、患者への幹細胞などの細胞を投与することを含む、患者における組織(又は器官)構築又は再生の方法である。いくつかの実施態様において、細胞は、組織又は器官と接触させられる。特定の実施態様において、患者は、注入可能な組成物を投与される。注入は、9〜26ゲージの従来のシリンジ及び針により実行できる。注入は、内視鏡送達又は腹腔鏡技術などの様々な技術により容易化することもできる。さらに、自己由来細胞及び治療剤などの注入可能な組成物の様々な有利な実施態様と組み合わせる場合、本明細書において提供する方法は、更に組織構築及び産生を向上させるための追加的及びより有益な治療効果を提供できる。
【0158】
本明細書に提供される方法を使用する注入の頻度及び量は、治療される組織又は器官欠損の具体的事例の性質及び位置に基づいて決定される。特定の実施態様において、複数回の注入は、必要でない。しかしながら、他の実施態様において、反復注入は、最適な結果を成し遂げるのに必要であり得る。医療従事者は、各具体的事例ごとに注入の頻度及び量を決定できる。
【0159】
特定の実施態様において、投与の後、微小球は注入部位に固定され、消化されないか又はリンパ系により除去され、及び/又は微小球は注入部位から移動しない。他の実施態様において、微小球は、生体吸収性、又は生分解性である。
【0160】
本明細書において提供する特定の二相性多孔質微小球の特性は、微小球が、有効な組織構築、組織産生及び組織工学のための足場を提供するのを可能にする。注入部位で足場を形成する能力は、本明細書において提供する微小球を、特に組織修復を提供する際に有効にする。足場のサイズは注入の量及び頻度により決定でき、これは実施されている組織構築及び産生の性質及び位置により順次決定される。医療従事者は、具体的事例ごとに注入の正確な量及び頻度を決定することが可能である。
【0161】
足場効果と、本明細書において提供する微小球が幹細胞(例えば、間充織幹細胞)などの細胞を含み得る事実との組合せは、注入の部位での新規な細胞増殖を促進でき、本明細書において提供する方法を、組織構築及び産生のための機構に提供する際に特に有効にさせる。特定の実施態様において、本明細書において提供する微小球は生体吸収性及び/又は生分解性であるので、これらは組織産生のための足場として役立った後に修復された組織に取り込まれることができる。
【0162】
本明細書において提供する方法の特定の実施態様において、組織構築及び産生は、身体、器官又は器官の構成部分へのその封入前に、細胞を含む微小球を特別に物質的に器官に、器官の構成部分に、又は組織に投与することにより、達成される。
【0163】
本明細書において提供する方法は、例えば9〜26ゲージの任意の型の無菌針、及びスリーウェイシリンジなどの対応するシリンジ又は他の注入のための手段により実施できる。注入のための針、シリンジ及び他の手段は、VWR Scientific Products (West Chester, Pa.)、Beckton Dickinson、Kendal及びBaxter Healthcareなどの供給元から市販されている。シリンジのサイズ及び針の長さは、治療される具体的疾患又は障害、注入の位置及び深さ、並びに使用される注入可能な懸濁液の量及び具体的組成物などの因子に基づく具体的注入による。医療従事者は、経験及び本明細書において提供する教示に基づき、シリンジ及び針の選択をすることが可能である。
【0164】
一実施態様において、本明細書において提供する組成物及び方法における使用のための注入可能な懸濁液の製造方法は、以下の通りである。二相性多孔質微小球は、洗浄され、殺菌された後、幹細胞(例えば、間充織幹細胞)などの細胞を含む培養細胞と混合される。細胞はその後、トリプシン処理などによりそれらの元の培養表面から剥離される。微小球、細胞培養培地及び剥離した細胞の混合物は、12時間以上の期間、無菌かつ幹培養細胞に適している培養方法を続けさせる。懸濁液はその後、注入用に準備される。
【0165】
(4.遺伝子治療)
本明細書に提供される組成物及び方法のいくつかの実施態様において、二相性多孔質微小球は、幹細胞などの細胞を含む。特定の実施態様において、細胞は、ヒト胚幹細胞でない。いくつかの実施態様において、細胞は、当該技術分野において公知の技術を使用して、治療剤などの1以上のポリペプチドを発現するように遺伝的に操作される。いくつかの実施態様において、細胞は、例えばベクターにおいてポリペプチドを発現するヌクレオチド配列を含む。特定の実施態様において、細胞は、継続的にポリペプチドを発現する。他の実施態様において、細胞は、一過的にポリペプチドを発現する。さらに他の実施態様において、細胞は、例えば、ポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターの誘導性プロモータ又は他の制御因子の使用により、該ポリペプチドを発現するように制御できる。他の実施態様において、二相性多孔質微小球は、遺伝物質を含む。
【0166】
組換えRNA及びDNA並びにアンチセンスRNA及びDNAを含む、天然若しくは合成起源のいずれかの核酸、ポリヌクレオチド、RNA及びDNAを含む遺伝物質;ハンマーヘッドRNA、リボザイム、抗原核酸、単鎖及び二重鎖RNA及びDNA及びそれらの類似体を、例えば限定ではないが組織特異性エンハンサ及び核移行シグナルなどと組合せて、又は他の要素を伴わずに、従来のトランスフォーメーション又はトランスフェクション技術を介して真核細胞に導入できる。本明細書において使用する用語「トランスフォーメーション」及び「トランスフェクション」には、外来核酸を宿主細胞に導入するための様々な公認の技術に関することを意図し、例えば、以下に限定されないが、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランにより媒介されるトランスフェクション、リポフェクション又は電気穿孔法を含む。宿主細胞を形質転換し又はトランスフェクションする適切な方法は、Sambrookらの文献(2001) 分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY、及び他の研究室マニュアルに見出すことができる。
【0167】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用する発現ベクター及びトランスフェクション技術により、少量の細胞のみが外来DNAをそのゲノムに組み込むことができることは公知である。これらの成分を同定及び選択するために、(例えば抗生物質耐性についての)選択可能な標識をコードする遺伝子は、通常、関心対象の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。選択可能な標識には、例えばG418、ハイグロマイシン及びメトトレキセートなどの薬物に対する抵抗性を与えるものを含み得る。導入された核酸により安定してトランスフェクションされた細胞は、薬物選択により確認できる(例えば、選択可能な標識遺伝子を組み込んだ細胞は生存し、他の細胞は死ぬ)。
【0168】
治療剤の効果的なインビボ移送を得るために、様々なトランスフェクション剤が利用される。本明細書において提供する方法での使用のために適しているトランスフェクション剤の代表例としては、例えば以下のものを含むがこれらに限定されない:リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランにより媒介されるトランスフェクション、四級アンモニウム両親媒性物質DOTMA(ジオレイルオキシプロピル)トリメチルアンモニウム臭化物、GEBCO-BRLによるリポフェクチンとして商業化されているもの)(Felgnerらの文献, (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 7413-7417; Malone らの文献(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 6077- 6081);ペンデントトリメチルアンモニウムヘッドを有する親油性グルタミン酸ジエステル(Itoらの文献 (1990) Biochem. Biophys. Acta 1023, 124-132);代謝性親脂質、例えばカチオン脂質ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS、トランスフェクタム、プロメガ)、及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミルスペルミン(DPPES)(J. P. Behrの文献 (1986) Tetrahedron Lett. 27, 5861-5864; J. P. Behrらの文献 (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 6982-6986);代謝性第四級アンモニウム塩(DOTB、N-(1-[2,3-ジオレオイルオキシ]プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチル硫酸塩(DOTAP)(Boehringer Mannheim)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジオレイルエステル、ChoTB、ChoSC、DOSC)(Leventisらの文献 (1990) Biochim. Inter. 22, 235-241);3β[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)/3β[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロールDC-Cholの1対1混合物(Gaoらの文献, (1991) Biochim. Biophys. Acta 1065, 8-14)、スペルミン、スペルミジン、リポポリアミン(Behrらの文献, Bioconjugate Chem, 1994, 5: 382-389)、親油性ポリリジン(LPLL)(Zhouらの文献, (1991) Biochim. Biophys. Acta 939, 8-18)、過剰なホスファチジルコリン/コレステロールを有する[[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)クレゾキシ]エトキシ]エチル]ジメチルベンジルアンモニウム(dimethylbenzylamionium)水酸化物(DEBDA水酸化物)(Ballasらの文献, (1988) Biochim. Biophys. Acta 939, 8-18)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)/DOPE混合物(Pinnaduwageらの文献, (1989) Biochim. Biophys. Acta 985, 33-37)、ホスファチジルエタノールアミンとの混合物でのDOPE、CTAB、DEBDA、臭化ジドデシルアンモニウム(DDAB)及びステアリルアミンとグルタミン酸(TMAG)の親油性ジエステル(Roseらの文献, (1991) Biotechnique 10, 520-525)、DDAB/DOPE(TransfectACE、GIBCO BRL)、及びオリゴガラクトース連結脂質(Remyらの文献、刊行予定)。
【0169】
様々なトランスフェクションエンハンサ剤も、細胞への生理活性治療因子の移送の効率を上昇させることができる。適切なトランスフェクションエンハンサ薬剤には例えば以下のものを含むがこれらに限定されない: DEAE-デキストラン、ポリブレン、リソソーム破壊性ペプチド(Ohmori N Iらの文献, Biochem Biophys Res Commun Jun. 27, 1997;235(3):726-9)、コンドロイタン系プロテオグリカン、硫酸プロテオグリカン、ポリエチレンイミン、ポリリジン(Pollard Hらの文献 J Biol Chem, 1998 273 (13):7507-11)、インテグリン結合ペプチドCYGGRGDTP、直鎖状デキストランノナサッカリド、グリセロール、オリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオシド間結合でつながれるコレステリル基(Letsinger, R. L.の文献 1989 Proc Natl Acad Sci USA 86: (17):6553-6)、リゾホスファチド、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン及び1-オレオイルリゾホスファチジルコリン。特定の実施態様において、適切なトランスフェクション剤には、1992年12月15日にBehrらに発行された米国特許第5,171,678号、1995年12月19日にBehrらに発行された米国特許第5,476,962号、及び1997年4月1日にBehrらに発行された米国特許第5,616,745号(全ての開示は引用によりその全てが本明細書に組み込まれる)に開示されるリポポリアミンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0170】
他の実施態様において、本明細書において提供する微小球は、発現ベクターを含む。他の実施態様において、微小球は、発現ベクターを含む細胞を含む。発現ベクターは、治療剤又はポリペプチド(又はその部分)をコードする核酸を含み得る。本明細書において使用する用語「ベクター」とは、連結された別の核酸を輸送できる核酸分子をいう。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、これは追加的なDNA部分が連結できる環状二本鎖DNAループをいう。ベクターの別の型はウイルスベクターであり、追加的なDNA分節はウイルスゲノムに連結できる。ウイルスベクターの具体例には、本明細書において提供する微小球及びトランスフェクション剤を使用する遺伝子療法のためのアデノウイルス及びレトロウイルスベクターを含むが、これらに限定されるものではない。生理活性治療因子を含むウイルス様粒子の使用も意図され、該ウイルス様粒子はトランスフェクション剤に物理的に結合され、微粒子にも結合されている。当該ウイルス様粒子は、ジスルフィド架橋を介してインテグリン結合ペプチドCYGGRGDTPに抱合されたポリエチレンイミン(PEI)を使用して設計できる。当該PEI/RGD含有ペプチド/複合体は、サイズ及び中心保護核などのアデノウイルス構造特性、並びにインテグリン及び酸誘発エンドソーム逃避により媒介される細胞侵入などの初期の特性を共有する(Erbacherらの文献、刊行予定)。
【0171】
特定のベクターは、導入される宿主細胞において自律複製が可能である(例えば細菌性複製開始点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入と同時に宿主細胞のゲノムへと組み込まれ、これにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクター、発現ベクターは、それらが機能的に連結される遺伝子の発現を指示することができる。一般に、組換えDNA技術において有用性の発現ベクターはしばしば、プラスミド(ベクター)の形態である。しかしながら、等価な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターの他の形態も意図される。
【0172】
本明細書において使用される組換え発現ベクターには、宿主細胞における核酸の発現に適している形態での核酸を含み得る。これは、組換え発現ベクターが、発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択され、発現される核酸配列に機能的に連結された1以上の制御配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「機能的に連結した」は、関心対象のヌクレオチド配列がヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で制御配列に連結されていることを意味することを意図する(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、又はベクターが宿主細胞に導入される宿主細胞において)。用語「制御配列」とは、プロモータ、エンハンサ及び他の発現制御エレメントを含むことを意図する(例えば、ポリアデニル化シグナル)。当該制御配列は、例えば、Goeddelの文献, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。制御配列には、多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、及び特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的制御配列)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベル、その他などの因子に依存し得ることは、当業者により認められるであろう。発現ベクターが、宿主細胞に導入され、これにより本明細書に記載される核酸によりコードされる融合タンパク質又はペプチドを含むタンパク質又はペプチドを産生することができる。
【0173】
組換え発現ベクターは、原核生物細胞(例えば、大腸菌)又は真核生物細胞(例えば、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母菌又は哺乳動物細胞)におけるポリペプチドの発現のために設計できる。適切な宿主細胞は、更にGoeddelの文献, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)において論述される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えばT7プロモータ制御配列及びT7ポリメラーゼを使用してインビトロで転写し、翻訳できる。
【0174】
別の実施態様において、核酸は、哺乳動物の発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8 (Seedの文献 (1987) Nature 329:840)及びpMT2PC (Kaufmanらの文献 (1987) EMBO J. 6:187-195)を含む。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能はしばしばウイルス性制御エレメントにより提供される。例えば、一般的に使用されるプロモータは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス及びサルウイルス40に由来する。原核生物細胞及び真核生物細胞の両方の他の適切な発現系については、Sambrookらの文献 (2001) 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい。
【0175】
別の実施態様において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型で優先的に核酸の発現を指示することができる(例えば、組織特異的制御エレメントを使用して核酸を発現させる)。組織特異的制御エレメントは、当該技術分野において公知である。適切な組織特異プロモータの非限定的な例には以下のものを含む:アルブミンプロモータ(肝臓特異的;Pinkertらの文献 (1987) Genes Dev. 1:268-277)、リンパ特異的プロモータ(Calame及びEatonの文献 (1988) Adv. Immunol. 43 235- 275)、特に、T細胞受容体プロモータ(Winoto及びBaltimoreの文献 (1989). EMBO J. 8:729-733)及び免疫グロブリンプロモータ(Banerjiらの文献 (1983) Cell 33:729-740; Queen及びBaltimoreの文献 (1983) Cell 33:741-748)、ニューロン特異的プロモータ(例えば、ニューロフィラメントプロモータ;Byrne及びRuddleの文献 (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモータ(Edlundらの文献 (1985) Science 230:912-916)、前立腺特異的プロモータ及び/又はエンハンサ(米国特許番号5830,686及び5,871,726、これらの全ては、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる)、及び乳腺特異的プロモータ(例えば、牛乳乳清プロモータ、米国特許第4,873,316号及び欧州出願公開第264,166号)。発生的に制御されたプロモータ、例えば、マウスhoxプロモータ(Kessel及びGrussの文献 (1990) Science 249:374-379)及びα-フェトプロテインプロモータ(Campes及びTilghmanの文献 (1989) Genes Dev. 3:537-546)も包含される。
【0176】
特定の実施態様において、組換え発現ベクターには、アンチセンス方向で発現ベクターにクローン化されたDNA分子を含む。すなわち、DNA分子は、所与のポリペプチドをコードするmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にする様式で、制御配列に機能的に連結される。
【0177】
アンチセンス方向でクローン化された核酸に機能的に連結され、様々な細胞型におけるアンチセンスRNA分子の継続的発現を指示する制御配列を選択でき、例えば、アンチセンスRNAの組織特異的又は細胞型特異的発現を構成的に指示するウイルスプロモータ及び/又はエンハンサ又は制御配列を選択できる。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率制御領域の制御下で産生される組換えプラスミド、ファージミド又は弱毒ウイルスの形態であり得、その活性は該ベクターが導入される細胞型により決定できる。アンチセンス遺伝子を使用した遺伝子発現の制御に関する議論については、Weintraubらの文献 (Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986)を参照されたい。
【0178】
一実施態様において、癌は、組織特異的エンハンサ及び/又はプロモータを有するDNA鋳型上の毒素遺伝子を、癌細胞における遺伝子の発現に集中して供給することにより、治療できる。例えば、毒素遺伝子には、ジフテリア毒素遺伝子を含むが、これに限定されるものではない。ジフテリア毒素の細胞内発現が細胞を殺すことは公知である。特定のプロモータの使用は、膵臓癌について膵臓特異的プロモータを使用することなどで組織特異的であり得た。従って、膵細胞に送達される機能的なジフテリア毒素遺伝子は、理論的には、全ての膵臓を根絶できる。この戦略は、膵臓癌のための治療として使用できる。組織特異的エンハンサは、ジフテリア毒素の発現が膵細胞でのみ起こることを保証し得る。組織特異的エンハンサ制御下でジフテリア毒素遺伝子を含むDNA/リポポリアミン/微小球複合体は、直接、カニューレ挿入された膵臓の栄養動脈に導入できる。膵臓組織を根絶するのに必要な間、点滴を数回の投与計画で実施できる。ジフテリア毒素に加え、リシン又はコブラ毒因子又はエンテロトキシンの遺伝子などの他の致死遺伝子は、類似の効果により使用し得る。
【0179】
別の具体例は、前立腺癌について治療を必要とする患者の前立腺に対する治療剤などの添加剤を指示する前立腺特異的抗原プロモータ/エンハンサの使用であり得る。また、例えば、特定の癌の癌特性を抑制するp53遺伝子、網膜芽細胞腫遺伝子(及び他の当該遺伝子ファミリー)を含むがこれらに限定されない遺伝子の移入により、特別な癌を治療することもできる。
【0180】
特定の実施態様において、本明細書において提供する組成物及び方法は、膵島細胞移植に関し;膵島細胞は、遺伝子療法により改変される。例えば、遺伝子療法アプローチによる膵島細胞を改変する方法は、細胞をアポトーシスから保護するために記載されており(例えば、Tellezらの文献 (2005) Gene Ther. 12:120-128; Giannoukakisらの文献 (1999) Diabetes 48:1730-1736を参照されたい)、膵島細胞増殖を誘導するか、又はより少ないドナー細胞で疾患治療を促進するために移植された組織の機能を直接的に増強する(例えば、Raoらの文献 (2004) Expert Opin. Biol. Ther. 4:507-5518; Lopez-Talaveraらの文献 (2004) Endocrinol. 145:467-474を参照されたい)。
【0181】
多孔質微小球20の潜在的用途の様々な非限定的な例は、更に下で記載される。
【0182】
(5.細胞の隔離)
微小球20は、活性細胞株を用いてインビボ投与でき、又は微小球20を通って流れる(灌流する)血液の天然な濾過による隔離又は分離のための血流から細胞を抽出する篩として作用できる。微小球20を通る当該灌流は、凝血形成を減少させる機能を果たし得る。促進因子、化学誘引剤若しくは細胞増強剤のドーピング、被覆又は同時投与は、細胞遊走及び/又は分化を促進でき、これは、組織再生、分化、又は特定の解剖学的若しくは組織学的環境における細胞構成要素の変更の目的のために、中実器官、骨及び軟骨、粘膜、内皮、神経、内分泌又は血行性組織/細胞系における局所的組織再生のための基礎を確立し得る。
【0183】
(6.化学塞栓術/放射塞栓術)
化学塞栓術は、(上記の通りの)化学療法及び塞栓形成又は動脈塞栓術の組合せであり、典型的には癌を治療するために使用される。同様に、放射塞栓術は、放射線治療及び塞栓形成又は動脈塞栓術の組合せである。微小球20は、単独の療法として、又は末端の治療的塞栓間のインタースパーション(interspersion)の目的で標的領域に注入され、腫瘍血液供給への塞栓の漸進的移動を可能にすることができ、同時に標的腫瘍への継続的な灌流/血流を提供することができる。微小球マトリクスに対する化学療法剤の添加は、塞栓性物質の末端塞栓効果を用いる療法の曝露のタイミングを改善することにより、療法の有効性を増加させることができる。
【0184】
(7.生体発生装置培地)
生体発生装置は、インビトロ(生体に対し外部的)での細胞の増殖のために使用される装置である。任意の理論に拘束されることなく、生体適合性(生体吸収性又は永続的)微小球20の実行を介する生体発生装置内に設けられ得る間隔の増加は、振動のための表面積を増加させ、細胞内増殖のための結合部位及び陰窩として機能し、更に生体発生装置培地における全ての望ましい基準である細胞間接触を減少させ得る。
【0185】
(8.造影剤/局所化剤の送達)
PCT出願PCT/US98/23777に記載されているものなどのヨウ素含浸ポリマーを含むか又は含有する微小球20は、向肝臓療法の適用におけるその乳状化された性質に起因して最適ではないことが証明されているTc-99MAAに代わるものとして、腫瘍又は器官灌流の真の脈管比の測定に用途を保持できる。微小球20に加え得るトレーサ又は造影剤の他の非限定的な例には、放射性標識抗体、FDG、ヨード化された(iondinated)造影、強磁性薬剤(小粒子酸化鉄(SPIO)など)、ガドリニウムキレート、マグネシウム、バリウム又は様々な診断的及び/又は治療的放射性ヌクレオチドを含む。
【0186】
(9.美容療法/局所的及び経真皮薬物送達)
特定の実施態様において、多孔質微小球20は、芳香剤、緩和剤、日焼け止め及び抗炎症剤、抗真菌剤及び抗微生物剤などの様々な局所的及び経真皮美容物質の遷延性制御性制御送達のためのビヒクルを提供でき、これはSmithらの文献、"固相多孔性微小球の特徴及び有用性:総説(The characteristics and utility of solid phase porous microspheres: a review)", Journal of Drugs in Dermatology, Nov-Dec, 2006に記載されている。微小球20への当該添加剤の組込みは、美容添加剤の周囲組織との直接的な接触を減少させ、これにより該添加剤の代謝半減期を増加させ得る。微小球20の局所的な腔内(脈管及び非脈管)、間質内、真皮下、経真皮又は皮下注入及び固定は、局所的な生物学的利用能の増加及び長期にわたる曝露のための粘稠物質の投与のための足場を創出し得る。孔間距離は、吸収及び局所炎症性反応の程度に影響し得る。ヒアルロニダーゼ等との同時注入は、吸収速度を減少させ、それゆえ療法の有効性を延長し得る。
【0187】
(10.細胞生存率及び貯蔵)
任意の理論に拘束されることなく、細胞を不活性生体適合性多孔質微小球20と混合することは、現在使用されている単一摺動法(single slide method)より効率的なエクスビボ細胞系の貯蔵及び維持を可能にし得る。微小球20は、貯蔵細胞が効率的かつ安全に梱包され得る適切な足場又はマトリクスを提供できる。
【0188】
(11.組織回収/組織展開/器官及び組織工学)
特定の実施態様において、促進因子に加え、微小球20及び幹細胞又は非分化器官細胞系の混合物は、器官及び組織工学のための基本的な機能単位として機能を果たし得る形状に造形又は成形できる。
【0189】
多くの例示的な態様及び実施態様を先に議論したが、当業者は特定の変更態様、順列、追加及びそのサブコンビネーションを認識するであろう。非限定的な例として、微小球20の実施態様は、以下のものにも適用できる:
・心臓組織への骨幹細胞の取り込みの向上;
・媒介型持続性ホルモン反応に基づく避妊薬の生産;
・経真皮注入を介する甲状腺機能低下症又はその症状の治療;
・罹患患者における肺組織の再生(新規な機能的肺組織、血管又は改善された酸素交換のための手段の作成を含む);
・神経学的疾患又は外傷(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳外傷、脊髄傷害)についての神経組織及び脳組織の再生;
・創傷治癒を加速させるための局所血管新生の活性化(すなわち、損傷領域における血管の増殖)。
・持続性抗生物質及び緊急的血栓形成を提供するような外傷状況において適用される粉の生産(すなわち、極度の出血を予防するための凝血の形成)。
【0190】
(E.キット)
また、本明細書において提供するのは、本明細書に提供される上述した微小球及び組成物の成分の1以上で充填した1以上の容器を含む医薬パック及びキットである。キットは、1以上の薬剤を含む微小球、コントラスト剤及び溶液の1以上を含むことができ、該成分の1つ、2つ、3つ又はそれ以上は1つ、2つ、3つ又はそれ以上のバイアルに存在し得る。当該容器に関連するものは、患者(例えば、ヒト又は他の哺乳動物)への投与のための、医薬品及び生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関、該製品の製造、使用又は販売の当局による認可を反映する政府機関により規定された形式での使用及び/又は注意書きについての取扱説明書であり得る。本明細書に記載されているアッセイ又は方法のいずれかの試薬は、キットの成分として含まれることもできる。
【0191】
1つのキット形式において、本明細書において提供する微小球は、1つのバイアルに液体の生理的適合性溶液で存在する。別のキット形式において、本明細書において提供する微小球は1つのバイアルに乾燥形態で提供されることができ、薬液及びコントラスト剤は第2の及び/又は任意に第3のバイアルで提供され得る。特定の実施態様において、コントラスト剤を含む微小球は1つのバイアルに存在し、薬剤は別のバイアルに溶液で存在する。この形態において、2つのバイアルの内容物を、投与前に又は投与時に、共に混合できる。他の実施態様において、コントラスト剤及び薬剤を含む微小球は、1つのバイアルに乾燥形態で提供される。それから粉を投与前に適切な液体に懸濁でき、又は注入可能な溶液を含む第2のバイアルが提供され、両方のバイアルの内容物は投与前に又は投与時に混合される。
【0192】
最後に、別のキット形式において、本明細書において提供する微小球は1つのバイアルに存在し、第2のバイアルにはコントラスト剤を含む医薬として許容し得る溶液を含む。第1のバイアルの微小球は薬剤を予め添加でき、又は薬液は第3のバイアルに任意に存在できる。微小球はそれから例えば投与前に又は投与時に、薬液及び/又はコントラスト剤と共に混合される。
以下の実施例は、例証の目的で、かつ制限の目的なく、提供される。
【実施例】
【0193】
本発明の実施は、特に明記しない限り、分子生物学、微生物学、遺伝分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び変更態様、核酸ハイブリダイゼーション、及び当該関連技術分野における従来の技術を利用する。これらの技術は、本明細書に引用された文献に記載され、かつ該文献において完全に説明されている。例えば、Maniatisらの文献 (1982) 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献 (1989), 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献 (2001) 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献, 「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」, John Wiley & Sons (1987及び年更新); 「免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)」, John Wiley & Sons (1987及び年更新); Gait (編) (1984) 「オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)」, IRL Press; Eckstein (編) (1991) 「オリゴヌクレオチド及びアナログ:実践的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach)」, IRL Press; Birrenら(編) (1999) 「ゲノム分析:研究室マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0194】
(実施例1:二相性多孔質微小球の製造)
【0195】
微小球は、二相性多孔質微小球製造装置を使用して、以下の方法により製造される。簡潔にいうと、0.2gのポリ(DTE炭酸塩)を撹拌し、3mLの1,4-ジオキサン及び0.3mLの水の混合物に溶解し、貯槽において均質溶液を形成する。溶液をその後、注入器の室に注ぐ。7gの塩化ナトリウムを、注入器に連結された導管を介して溶液に添加する。圧力をそれから注入器室に適用し、溶液滴のクエンチングタワーへの注入を可能にする。液滴はタワーに入るとすぐに急速に凍って固体化し、二相性多孔構造を残す。次に、残留塩及び溶媒を微小球から洗い流す。硝酸銀試験が水に塩化物イオンのさらなる放出を示さなくなるまで、洗浄プロセスを数回繰り返す。結果として生じた微小球を水から取り出し、恒量にまで乾燥させる。
【0196】
(実施例2:SEM走査型電子顕微鏡による微小球形態の評価)
【0197】
SEM走査型電子顕微鏡は、微小球の形態を評価するために実施する。簡潔にいうと、サンプルを液体窒素中の微小球の低温破壊により調製する。微小球を一連の加圧-減圧に供し、水での孔の充填を確実にする。次に、サンプルは真空下で乾燥させ、接着性タブを使用して金属突出部に載置する。それらをスパッタコータを使用して銀で被覆する。日立S450 SEMを15kVで検査の用に供する。
【0198】
SEMで得られたデジタル画像の孔のサイズをNIH Image 1.6ソフトウェアにより分析する。評価画像パラメータには、孔域、周囲、楕円の長軸及び短軸を含む。デジタル画像の調整を孔評価の前になす。番号をつけられた孔は、実際のデジタル画像と比較し、孔位置を確認する。適切に表されない特定の孔番号を統計データ分析から除外する。微小球ごとに、2つの異なる倍率(低倍率、200μmのスケール棒)及び高倍率(10μmのスケール棒)の少なくとも3つの異なるデジタル画像を分析する。
【0199】
(実施例3:孔容積及びサイズ分布の評価)
【0200】
大孔スペーサ物質がまだポリマーマトリクス内部であるものとして、微小球を分析する。孔容積及び孔粒度分布は、水銀ポロシメータを用いて異なる圧力での微小球への水銀侵入量を記録することにより決定する。充填圧力は3,000psiaまで記録する。この圧力は、水銀を0.06μm以上の孔に押し込むのに必要とされるエネルギーに相当する。孔径及び多孔性値とは、310μmより小さな直径を有する等価な円筒状の孔をいう。
【0201】
これらの値はウォッシュバーン方程式から決定される。
【数1】

【0202】
式中、Dはミクロンの孔径であり;Pは加圧力(psia)であり;γは、水銀と足場表面(ダイン/cm)間の表面張力であり;及び、φは接触角である。
【0203】
表面張力及び接触角に推薦される値は以下の通りである:
g=485ダイン/cm
φ=130°
【0204】
(実施例4:二相性多孔トリスアクリル微小球の例示的調製)
【0205】
100mlの脱塩水を含むビーカーにおいて、58gの塩化ナトリウム及び27gの酢酸ナトリウムを溶解する。400mlのグリセロールを添加し、pHを5.9〜6.1に調整する。それから、90gのN-トリス-ヒドロキシ-メチルメチルアクリルアミド、35mgのジエチルアミノエチルアクリル-アミド、10 g のN,N-メチレン-ビス-アクリルアミド、並びに20〜500μmの直径及び50〜70 g/molの分子量を有する1〜50gの不溶性微粒子(又は他の適切な大孔スペーサ物質)を添加する。これを60〜70℃で加熱し、100moの熱した300mg/mlのゼラチン溶液を添加する。該混合物の総容積を熱水の添加により980mlに調整し、それから20ml の70mg/mlの過硫酸アンモニウム溶液及び4mlのN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンを添加する。
【0206】
この溶液を50〜70℃のパラフィン油に注入し、撹拌する。数分後、アクリル単量体の重合反応は温度の増加により顕在化される。その後、大孔スペーサ物質を洗い流すか、あるいは本明細書において提供する方法を使用して微小球から除去する。その後、微小球をデカントで回収し、慎重に洗浄し、選別し、緩衝媒体中加圧蒸気滅菌器で滅菌する。
【0207】
これらの微小球は、選別較正の後、著しいカチオン電荷及び有効な接着剤(ゼラチン又は変性コラーゲン)を含む塞栓形成に有用な特徴を備えている。
【0208】
(実施例5:5〜20%のポリビニルアルコールを含む二相性多孔質微小球の例示的調製)
【0209】
5〜20gのポリビニルアルコールを、撹拌下、75ml の0.5M H2SO4及び0.1M NaCl溶液に溶解する。懸濁剤を透明溶液が生ずるまで撹拌し、1〜50gの 20〜500μmの直径及び50〜70g/mol(又は他の適切な大孔空間物質)の分子量を有する不溶性微粒子、並びに25mlのギ酸アルアルデヒドをそれから溶液に添加する。結果として生じる混合物を、2%のセスキオレイン酸ソルビタンを含む500mlの撹拌パラフィン油に迅速に注入する。これらの条件下、エマルジョンは懸濁油中にポリビニルアルコールの液滴を伴い形成される。エマルジョンを約80℃で少なくとも6時間加熱し、ポリビニルアルコール鎖上のホルムアルデヒドの凝集体を得る。このようにして架橋ポリビニルアルコールの球状粒子が形成される。
【0210】
粒子サイズは、エマルジョンの撹拌速度により管理する。例えば、300μm程度(平均サイズ)の直径を有する微小球を得るためには、撹拌速度を約250rpmに維持する。
【0211】
ポリビニルアルコールのヒドロゲル微小球をそれから濾過により回収する。あるいは、ポリビニルアルコールのヒドロゲル微小球を遠心により又は単純にデカントすることにより回収できる。大孔スペーサ物質をそれから洗い流すか、あるいは本明細書において提供する方法を使用して微小球から除去する。残った油をメチレンクロリドなどの無極性溶媒又は塩素化溶媒により抽出する。結果として生じる油不含微小球をそれから0.5Mのトリス-HCl緩衝液(pH 9)で終夜室温で処理し、過剰なアルデヒドを中和する。
【0212】
最後に、ポリビニルアルコール微小球を生理的水性緩衝液で洗浄し、所望の直径に篩にかけ、滅菌し、液性懸濁液として保存する。この物質は、塞栓形成手順に使用できる。
【0213】
(実施例6:アクリル酸ナトリウム及びビニルアルコールコポリマーを含む二相性多孔質微小球の例示的調製)
【0214】
重合開始剤として0.5gのベンゾイルペルオキシド及び1〜50gのNaCl(又は20〜500μmの直径及び50〜70g/molの分子量を有する1〜50gの不溶性微粒子;又は他の適切な大孔間隔物質)を60 gの酢酸ビニル及び40gのアクリル酸メチルに添加する。これを、分散安定剤として3gの部分鹸化ポリビニルアルコール及び10gのNaClを含む300mlの水に分散させる。懸濁重合を65℃で6時間実施する。溶媒を除去した後、ポリマーを凍結乾燥器において24時間乾燥させる。20gの乾燥粉を、200gのメタノール及び10gの水を含む鹸化流体中に懸濁する。それから、40mlの10N NaOH溶液は、反応を10℃に維持して一滴ごとに添加し、その後、該反応は30℃で24時間実施した。鹸化反応完了後、反応生成物をメタノールで洗浄し、その後、約50μm〜約240μmの粒子サイズを有する15.8gの球形乾燥鹸化製品が乾燥後に得られる。また、大孔スペーサ物質を洗い落とすか、あるいは微小球から除去する。製品を例えば約50μm増分の篩にかけて較正し、例えば、約50μm〜100μm、約100μm〜150μm、約150μm〜210μmなどのいくつかの粒度範囲を得る。その後、篩にかけられた製品を凍結乾燥できる。
【0215】
(実施例7:ヒト対象における膵島細胞移植のための二相性多孔質微小球の投与)
【0216】
膵島細胞移植手順は以下に記載されている。5年をこえてCペプチド陰性1型糖尿病を有する患者は、最適な医療コンプライアンスにもかかわらず再発性低血糖又は代謝不安定性により複雑化される、弱い血糖コントロールに基礎を置く研究に含まれる。患者は、ステロイド不含免疫抑制療法を受け、これは膵島細胞移植の直前に始まり、mg/kg用量での5つの投与計画のダクリヅマブを各移植後8週以上にわたり点滴投与される。ストロリムス(Strolimus)を移植後3ヵ月間1日1回投与して12〜15ng/mlの標的治療域を達成し、その後、標的トラフ範囲を7〜12ng/mlに下げる。タクロリムスも1日2回投与し、3〜6ng/mlの標的トラフ濃度を達成するよう調整する。加えて、患者は、手順の開始の前に、標準予防抗生物質を与えられる。
【0217】
全ての患者を静脈ミダゾラム及びフェンタニルにより鎮静化させる。酸素を鼻カニューレを介して6L/分で投与する。右側経皮的アプローチを仰臥位の患者に使用する。肝穴(前方又は中部腋窩線)の位置を蛍光透視、超音波検査又は両方の組合せを使用して決定する。全体の蛍光透視時間を手順ごとに記録する。皮下組織及び肝カプセルを局所麻酔剤で浸潤する。22ゲージの千葉針を、蛍光透視若しくは米国の指導による右側門脈の分岐に進める。第2若しくは第3位の分岐をほとんどの場合に選択する。18ゲージのガイドワイヤをそれから主門脈に進める。
【0218】
膵島細胞を基本的にOwenらの文献 (2003) Radiol 229: 165-170に記載されるように調製する。簡潔にいうと、インフォームドコンセントが親類から得られた後、膵臓器官を脳死ドナーから得る。膵島細胞を酵素的及び機械的溶出の組合せを使用して分離し、異物タンパク質不含媒体において調製する。膵島細胞移植は、約4000超の精製膵島細胞等価物が調製されて10ml未満の細胞容積に梱包される場合、ABO血液型互換性が適合する場合、かつグラム染色が陰性でありかつエンドトキシン含有量が5エンドトキシン単位/kgより少ない場合に、進める。膵島細胞同等物に関して発現する膵島細胞の定量化は、150μmを計測する標準膵島細胞を用いて膵島細胞容積における変動を説明する。
【0219】
膵島細胞は、以下の1の治療計画で患者に投与される:
【0220】
I群-二相性多孔質微小球を有する膵島細胞。
【0221】
II群-膵島細胞単独。
【0222】
III群-微小球単独。
【0223】
膵島細胞調製物は、ヘパリン、20%のヒトアルブミン及び微小球(I群における)を含む120mLの補足培地(M 199; Mediatech, Herndon, Va)に懸濁する。梱包された膵島細胞容積が5mL未満の場合、ヘパリン(35U/kg)を添加し、該梱包細胞容積が5mLを超える場合、ヘパリン量を70U/kgに増やす。膵島細胞は、この外筒を介して、又は門脈に置かれる5-F Kumpeカテーテルを介してのいずれかで、投与される。あるいは、特別に設計された堅いマイクロパンクチャセットが、0.038インチ(約0.0965cm)のガイドワイヤを受け入れるように設計された4F外筒を用いて使用できる。路は、ゼラチンスポンジ粒子により塞栓を起こす。いったん堅いマイクロパンクチャキットが利用できたら、路塞栓形成はもはや日常的には実施されない。
【0224】
膵島細胞含有微小球(I群)若しくは膵島細胞不含微小球(II群)、又は微小球単独(III群)は、はじめに60mLシリンジを使用しておよそ10分にわたって投与する。門脈静脈圧は、第1の50mLアリコートの後に、及び次の50mLアリコートの後に、記録する。あるいは、重力に基づく閉点滴バッグシステムを使用して、膵島細胞への剪断力を最小化し、継続的な門脈静脈圧の代替的な間接的監視方法を提供し、及び膵島細胞送達の間の調製物汚染の危険を低下させることができる。該手順は、門脈圧が開始時に20mm Hgより高い場合、又は手順の間にベースライン値の2倍若しくは22mm Hgを超えるまで増加する場合、終了する。患者は、各個人のニーズに応じて、数回の点滴を受け得る。
【0225】
点滴手順の後、任意に、ゼラチンスポンジ綿球を使用する路の塞栓形成によりカテーテルを取り外す。該手順の時、臨床追跡調査時、及び放射線チャート及び画像の確認再調査時に、合併症を記録データから文書化する。インスリンの必要性、絶食グルコース及び糖化ヘモグロビンのレベルの減少、基礎C-ペプチド分泌、及び経時的な血糖可動域の平均振幅について、対象を評価する。
【0226】
(実施例8:心臓損傷ラットモデルにおける二相性多孔質微小球の投与)
【0227】
BMCの調製:成体スプラーグ-ドーリーラットは、塩酸ケタミン(22mg/kg)の筋注投与とそれに続くペントバルビタールナトリウム(30mg/kg)腹腔内注入で麻酔する。全身麻酔下、骨髄を脛骨から18Gの針を有する1mlのヘパリンを含むシリンジを用いて吸引する。骨髄細胞を無菌管に移し、10mlの培地(10%FBS、100U/ml penG含有IMDM)及び100μg/mlストレプトマイシンと混合する。該管を2000rpmで5分間遠心分離し、細胞ペレットを5mlの培地に再懸濁する。骨髄細胞(BMC)及び赤血球(RBC)を分離するために、Yablonka-Reuveni及びNameroffにより記載されている勾配遠心法を使用する((1987) Histochem. 87:27-38)。細胞懸濁液を20%〜60%勾配のパーコールにロードし、細胞を14,000rpmで10分間遠心する。大部分のBMCを含む総体積の上部2/3を管へ移す。細胞を2,000rpmで10分間遠心分離し、それから、パーコールを取り除くためにPBSで洗浄する。これを繰り返し、細胞ペレットを培地に再懸濁し、インビボ研究のために使用する。
【0228】
心筋(Mycardial)傷生成:全身麻酔下、ラットを挿管し、ベンチレータを使用して酸素(2L/分)を補充した室内空気で陽圧換気(180mL/分)を維持した。ラット心臓を2cmの左側開胸により曝露する。低温損傷は、液体窒素への浸漬により-190℃に冷却した金属プローブ(直径8×10 mm)を左心室(left ventrical)自由壁に15秒間適用することにより、生成する。この手順を5回繰り返した後、各1分で合計10回適用した。筋肉層及び皮膚切開は、絹糸縫合により閉じた。該ラットを術後4時間監視し、ペニシリンを筋注投与により与える。
【0229】
移植:心筋損傷の3週後、ラットをランダムに3群に分ける:
【0230】
I群-二相性多孔質微小球を有するBMC。
【0231】
II群-BMC単独。
【0232】
III群-微小球単独。
【0233】
全身麻酔下、ラット心臓を正中胸骨切開により曝露する。様々な濃度(例えば106個)のBMC細胞を含む微小球(I群)、106個の細胞を含む50μlのBMC懸濁液(II群)、又は微小球単独(III群)を、それぞれの移植群における各動物の左心室自由壁瘢痕組織の中央に、ツベルクリンシリンジ又は他の適切なカテーテルを使用して注入する。胸部は、絹糸縫合で閉じ、抗生物質及び鎮痛剤を与える。
【0234】
心臓機能測定:移植の5週後、ラットをケタミン及びペントバルビタールで麻酔する。正中胸骨切開を実施し、心臓を取り出し、動物を全採血により安楽死させる。該3群の心臓機能を、ランゲンドルフ装置及びフィルタ処理Krebs-Henseleit緩衝液(mmol/l:NaCl、118;KCl、4.7;KH2PO4、1.2;CaCl2、2.5;MgSO4 1.2;NaHCO3、25;及び、グルコース、11;pH 7.4)を使用して、5%CO2及び95%O2により平衡化した100mm Hgの圧力で測定する。ラテックスバルーンは僧帽弁を介して左心室に通過し、圧力トランスデューサ、トランスデューサ増幅器及びディファレンシエータ増幅器に連結される。10分の安定化の後、心冠状動脈流を、ペースなしに無拍動状態での時限回収により3回反復で測定する。バルーンサイズは、左心室拡張終期圧が30mm Hgに達するまで、40μlから20μl増分での水の添加により、増加する。収縮期及び拡張期の圧力は各バルーン体積で記録し、生じた圧力を算出する。心臓を秤量し、そのサイズを水置換で測定する。
【0235】
面積測定:左心室自由壁の瘢痕サイズをPfefferらの文献 (1991) Am. J. Physiol. 260:H1406-H1414並びにJugdutt及びKhan.の文献(1994) Circulation 89:2297-2307の技術により測定する。簡潔にいうと、心臓を10%の中和ホルマリンを用いて膨張(30mm Hg)で固定し、それから厚さ3mmの切片に切る。各切片について、左心室の外線及び内線を透明フィルム上にトレースし、計算平面幾何学(Jandal Scientific Sigma-Scan)を使用して定量化する。
【0236】
組織学的研究:移植部位の組織サンプル(0.5cm3)を移植5週後に回収し、組織学的研究のために中和10%ホルムアルデヒドに固定する。サンプルを包埋して切り、10μm厚切片を産生し、これを製造業者の仕様書(Sigma Chemical Co)に記載される通りヘマトキシリン‐エオジンで染色する。
【0237】
瘢痕における移植BMCの同定:全身麻酔下、4匹のラットに傷をつけ、2週間後に骨髄を吸引する。BMCを培養し、上記の通りに5-azaで誘導する。瘢痕組織において移植された細胞を同定するために、細胞をブロモデオキシウリジン(BrdU、Sigma)で標識する。手短にいうと、10μL のBrdU溶液(BrdU、50mg;ジメチルスルホキシド、0.8mL;水、1.2mL)を、培養6日目上の各ペトリ皿に添加し、24時間細胞とインキュベートする。標識細胞+/−微小球を心筋損傷の3週後に瘢痕に移植し、サンプルを前述のとおり移植の5週後に回収する。BrdUに対するモノクローナル抗体を使用して、移植された骨髄細胞を限局する。簡潔にいうと、サンプルをトルエンを用いた脱パラフィン化の後、100%、95%及び70%のエタノールで連続的に再水和する。サンプルの内因性ペルオキシダーゼは、3%過酸化水素を使用して室温で10分間ブロックする。サンプルを、42℃で5分間ペプシン処理し、室温で30分間2N HCl処理する。PBSで3回のリンスの後、サンプルを、湿室において室温で16時間、BrdUに対する抗体とインキュベートする。ネガティブコントロールサンプルを、同条件下PBS(一次抗体なし)においてインキュベートする。試験及びコントロールサンプルをPBSで3回(それぞれ15分)リンスした後、ペルオキシダーゼ抱合ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンGと37℃で45分間インキュベートする。サンプルをPBSで3回(それぞれ15分)洗浄し、それから15分間ジアミノベンジジンH2O2(2mg/mLのジアミノベンジジン、0.03%のH2O2、0.02mL/Lのリン酸緩衝液中)溶液に浸漬する。PBSで洗浄後、サンプルをカバースリップし、撮影する。
【0238】
瘢痕における毛管密度の測定:毛細血管の数を、400倍の解像度の光学顕微鏡を使用して、全ての群の瘢痕組織で計数する。各瘢痕における5つの高倍率視野をランダムに選択し、各々における毛細管の数を平均し、高倍率視野(0.2mm2)当たりの毛細血管の数として表す。
【0239】
(実施例9:ウサギ肝硬変モデルにおける肝移植の間の二相性微小球の投与)
【0240】
雄ニュージーランドホワイトラビットを以下の群にランダムに分ける。
【0241】
I群(コントロール):第1の2週間の0.3ml/kg体重及びその後12週の終わりまで0.2ml/kgの用量の週2回のオリーブ油の皮下注。通常の食塩水での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0242】
II群:第1の2週間の0.3ml/kg体重及びその後12週の終わりまで0.2ml/kgの用量の週2回のオリーブ油の皮下注。骨髄細胞単独での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0243】
III群:第1の2週間の0.3ml/kg体重及びその後12週の終わりまで0.2ml/kgの用量の週2回のオリーブ油の皮下注。骨髄細胞及び二相性多孔質微小球での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0244】
IV群:第1の2週間の0.3ml/kg体重及びその後12週の終わりまで0.2ml/kgの用量の週2回のオリーブ油中50% CCl4の皮下注。通常の食塩水での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0245】
V群:IV群におけるような50%CCl4の投与。骨髄細胞単独での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0246】
VI群:IV群におけるような50%CCl4の投与。骨髄細胞及び二相性多孔質微小球での門脈灌流を、13週に週2回、さらに12週間、投与する。
【0247】
全てのウサギを、門脈灌流の前2〜9日に、永続的門脈カテーテル法のための手術に供する。麻酔下、ウサギは、カミソリで被毛を剃られ、消毒される。手術は、5cm長の上腹部正中切開により実施する。肝臓サンプルは、病理検査及びヒドロキシプロリンアッセイのためにとられる。その後、空腸腸間膜静脈をあけ、静脈の末端分岐の隔離後、創傷をなす。静脈の末端を連結し、封緘先端及び3つの遠位側穴を有する使い捨て可能な無菌硬膜外麻酔カテーテルをヘパリンを含む通常の食塩水で満たす。カテーテルは肝臓の方へと近位静脈への血管切開を介して通し、充分な長さのカテーテルが静脈にある場合、連結により血管に固定する。シリンジを外し、カテーテルが右位にあることを確保した後、カテーテルを適切な長さに切る。カテーテルの開放端は、切断後ただちに注入キャップを有するコネクタに取り付けられる。腹腔を縫合により閉じ、ヘパリン食塩水で満たされる注入キャップを有するカテーテルの開放端を皮下に埋める。
【0248】
約1〜5×107細胞のドナーマウス骨髄細胞(微小球含有又は不含)又は食塩水は、注入キャップに穴をあけることにより、門脈灌流を介してウサギに与える。灌流速度を約2〜5ml/分にセットした。ウサギは細胞投与後24時間に殺す。血液サンプルを、ルーチン的な血液、肝機能及び腎機能検査についての灌流の前及び後の耳縁静脈から採取する。殺した後、肝臓、心筋層、腎臓、肺及び脳をサンプル化し、組織学的検査のためにホルムアルデヒドで固定する。
【0249】
上記の本発明の実施態様は単に典型的であることを意図する。当業者は、ルーチン試験、本明細書に記載されている具体的手順に対して同等のものを超えない範囲で使用することを認識し、又はそれを確認することが可能である。全ての当該同等物は本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲によりカバーされる。さらにまた、この明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」には、その内容が他に明らかに示されていない限り、複数形を含む。従って、例えば、「添加剤」の参照には、当該添加剤の2以上の混合物を含む。加えて、一般当業者は、手術手順が説明及び特許請求の目的でいくつかの具体的な順番で記載されなければならないが、本発明が当該具体的な順番をこえて様々な変更を意図することを認識するであろう。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二相性多孔性ポリマー粒子を製造するための方法であって、
(a)ベースポリマー、第1の溶媒及び第2の溶媒を含む均一溶液を提供すること;
(b)大孔スペーサ物質を該溶液に添加すること;
(c)該溶液の液滴をクエンチング装置に注入すること;
(d)該溶液の液滴をクエンチングして、該ベースポリマーを大孔及び細孔を有する粒子に固体化させること;
(e)実質的に球状の粒子を該クエンチング装置から抽出し、任意に該粒子を篩にかけること;及び、
(f)任意に該大孔スペーサ物質を該粒子から洗浄すること;を含む、前記方法。
【請求項2】
前記粒子が微小球である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粒子が、実質的に球状の微小球である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ベースポリマーが第1の溶媒に溶解する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ベースポリマーが第2の溶媒に溶解しない、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第2の溶媒が前記第1の溶媒に混和性である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ベースポリマーが前記均一溶液に実質的に溶解するように、前記第1及び第2の溶媒が混和性である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第1及び第2の溶媒の総体積に対する第1の溶媒の体積比が、約1%〜約50%v/v、約1%〜約40%v/v、約2%〜約30%v/v、約4%〜約25%v/v、又は約5%〜約15%v/vである、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記溶液におけるベースポリマーの濃度が、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約40重量%、約5重量%〜約23重量%、又は約10重量%〜約20重量%である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記大孔スペーサ物質が、第1の溶媒及びベースポリマーに非混和性か又はわずかにのみ混和性である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記大孔スペーサ物質が第2の溶媒に混和性である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記大孔スペーサ物質が塩化ナトリウムである、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記第2の溶媒が水である、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記大孔スペーサ物質が第1若しくは第2の溶媒に混和性でない、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記大孔スペーサ物質が洗浄において使用する第3の溶媒又は他の媒体に溶解する、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記大孔スペーサ物質が添加剤である、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記大孔スペーサ物質がシスプラチンである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記大孔スペーサ物質がシスプラチンであり、かつ前記媒体が窒素系媒体である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記大孔スペーサ物質が生体吸収性でない、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記大孔スペーサ物質が、血管などの管腔構造を塞栓する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記大孔スペーサ物質が生体吸収性である、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記大孔スペーサ物質が無毒性かつ/又は生体適合性である、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記大孔スペーサ物質が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩;糖、糖の結晶;水溶性ポリマー、微小球、ナノ粒子、水溶性ポリマーの微小球;タンパク質、アルブミン及び塩化ナトリウム;からなる群から選択される、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記ベースポリマーが前記第1の溶媒に可溶性であり、かつ前記第2の溶媒に混和性であり、該第2の溶媒に対する該第1の溶媒の比が、前記ベースポリマーが溶解して均一溶液を形成するのを可能にする範囲にある、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記第1の溶媒が1,4-ジオキサンである、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第2の溶媒が水である、請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記クエンチングが、前記第1及び第2の溶媒の液体-液体脱混合の開始前に、該第1の溶媒の結晶化を生じるのに効果的な速度である、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記クエンチングが、皿形の型において完成されていない、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記大孔が約20〜約500ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記細孔が約1〜約70ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記粒子が約50〜約1100ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記洗浄が、1以上の浸出、加熱及び昇華を含む、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
添加剤を提供することを更に含む、請求項1〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記添加剤が、前記クエンチング前に前記溶液に提供される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記添加剤が、前記クエンチング後に前記溶液に提供される、請求項33又は34記載の方法。
【請求項36】
前記添加剤が、前記クエンチングの間、前記溶液に提供される、請求項33〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記添加剤が、前記注入前に、前記溶液に提供される、請求項33〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記添加剤が、前記注入後に前記溶液に提供される、請求項33〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記添加剤が、前記注入の間、前記溶液に提供される、請求項33〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記添加剤が、前記洗浄前に前記溶液に提供される、請求項33〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前記添加剤が、前記洗浄後に前記溶液に提供される、請求項33〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前記添加剤が、前記洗浄の間、前記溶液に提供される、請求項33〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
前記添加剤が前記ポリマーに共有結合されている、請求項33〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記添加剤が、前記ポリマーの1以上の側鎖遊離カルボン酸基に共有結合されている、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記添加剤が前記粒子に組み込まれているか又は被覆されている、請求項33〜44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記添加剤が前記粒子の表面に接着する、請求項33〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記添加剤が、前記ベースポリマーとの架橋、イオン結合、酸塩基反応、受容体部位引力又は重力により微小球の表面に接着する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
(a)〜(f)の1以上が、42℃未満の温度で実施される、請求項1〜47のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
(a)〜(f)の各々が、42℃未満の温度で実施される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記ベースポリマーが、生体適合性ポリマー若しくはモノマーを含む、又は生体適合性ポリマー若しくはモノマーからなる、請求項1〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記ベースポリマーが、生体吸収性及び/又は生分解性ポリマー若しくはモノマー含む、又は生体吸収性及び/又は生分解性ポリマー若しくはモノマーからなる、請求項1〜50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記ベースポリマーが、以下のものを含む、又は以下のものからなる、請求項1〜51のいずれか1項記載の方法:ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩コヒドロキシ吉草酸塩)(PVBV)、α-ヒドロキシカルボン酸及びそのコポリマー、ポリ(乳)酸(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA);ポリカプロラクトン(PCL);ポリエステルアミド;α型コポリエステル;芳香族コポリエステル;多糖、デンプン、リグノ-セルロース系物質、ペクチン、キトサン、キチン、ゴム、ワックス;タンパク質、脂質、カゼイン、乳清、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、グリコサミノグリカン(GAGS);ゼイン、大豆、グルテン、ポリエチレンオキシド/ポリエチレンテレフタラート又はそのコポリマー;乳酸及び/又はグリコール酸とヒドロキシ末端化可撓性鎖とのコポリマー、ポリ(アルキレングリコール)、ヒドロキシル末端化ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(オキシエチレン-コ-オキシプロピレン)、ポリテトラメチレンオキシド鎖、ポリ(オキシエチレングリコール)、ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)-グリコールブロックコポリマー、ポリ(オキシブチレン)グリコール、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸塩;ポリエステル、ポリカルボナート、ポリ無水物及びポリ(オルトエステル)のコポリマー;ビスフェノールA系ポリリン酸エステル、ポリ(ビスフェノールAフェニルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルホスホン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAフェニルホスホン酸塩)、ポリ[ビス(2-エトキシ)ヒドロホスホン酸テレフタル酸塩]、ビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)のコポリマー、チロシン由来ジフェノールモノマー、 ポリイミノカルボナート、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリウレタンポリエーテル、デスアミノチロシル-チロシン(DT)エステル、デスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE)、デスアミノチロシルチロシンブチルエステル(DTB)、デスアミノチロシルチロシンヘキシルエステル(DTH)、デスアミノチロシルチロシンオクチルエステル(DTO)、ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリウレタン、ポリ(アルキレンオキシドエーテル)、α-及びβ-ヒドロキシ酸とチロシン誘導体から製造されるジヒドロキシモノマーから重合させたポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリカルボナート及びポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)とのブロックコポリマー、ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー;ポリカルボナートとポリ(アルキレンオキシド)のブロックコポリマー、ポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)のブロックコポリマー、α-ヒドロキシカルボン酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリエステルビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)、ポリカルボナート、ポリアリーレート、ポリカルボナートとポリ(アルキレンオキシド)のコポリマー、ポリアクリラートとポリ(アルキレンオキシド)のコポリマー、α-ヒドロキシカルボン酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリエステルビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)、又はこれらの組合せ。
【請求項53】
前記ベースポリマーが、以下の化合物を含む、又は以下の化合物からなる、請求項1〜51のいずれか1項記載の方法:
【化1】

式中、R1が-CH=CH-又は(-CH2-)n(nは0又は1〜8の整数である)であり;及び、R2が最高18の炭素原子を含む直鎖及び分枝アルキル及びアルキルアリール基から選択される。
【請求項54】
前記粒子を滅菌することを更に含む、請求項2〜53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
ベースポリマーを含む二相性多孔質粒子であって、該粒子が約20〜約500ミクロンの範囲の直径を有する大孔及び約1〜約70ミクロンの範囲の直径を有する細孔を含み、かつ該微小球が約50〜約1100ミクロンの範囲の直径を有する、前記二相性多孔質粒子。
【請求項56】
前記粒子が微小球である、請求項55記載の粒子。
【請求項57】
前記微小球が実質的に球状の微小球である、請求項56記載の粒子。
【請求項58】
前記粒子が添加剤を更に含む、請求項55〜57のいずれか1項記載の粒子。
【請求項59】
添加剤がポリマーに共有結合されている、請求項58記載の粒子。
【請求項60】
前記添加剤が、前記ポリマーの1以上の側鎖遊離カルボン酸基に共有結合されている、請求項59記載の粒子。
【請求項61】
前記添加剤が、前記粒子に組み込まれているか又は被覆されている、請求項58〜60のいずれか1項記載の粒子。
【請求項62】
前記添加剤が前記粒子の表面に接着する、請求項58〜61のいずれか1項記載の粒子。
【請求項63】
前記添加剤が、前記ベースポリマーとの架橋、イオン結合、酸塩基反応、受容体部位引力又は重力により前記粒子の表面に接着する、請求項62記載の粒子。
【請求項64】
前記粒子が、生体適合性ポリマー若しくはモノマーを含む、又は生体適合性ポリマー若しくはモノマーからなる、請求項55〜63のいずれか1項記載の粒子。
【請求項65】
前記ポリマー若しくはモノマーが、生体吸収性及び/又は生分解性なポリマー若しくはモノマーである、請求項55〜64のいずれか1項記載の粒子。
【請求項66】
前記ベースポリマーが、以下のものを含む、又は以下のものからなる、請求項55〜65のいずれか1項記載の粒子:ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩コヒドロキシ吉草酸塩)(PVBV)、α-ヒドロキシカルボン酸及びそのコポリマー、ポリ(乳)酸(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA);ポリカプロラクトン(PCL);ポリエステルアミド;α型コポリエステル;芳香族コポリエステル;多糖、デンプン、リグノ-セルロース系物質、ペクチン、キトサン、キチン、ゴム、ワックス;タンパク質、脂質、カゼイン、乳清、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、グリコサミノグリカン(GAGS);ゼイン、大豆、グルテン、ポリエチレンオキシド/ポリエチレンテレフタラート又はそのコポリマー;乳酸及び/又はグリコール酸とヒドロキシ末端化可撓性鎖とのコポリマー、ポリ(アルキレングリコール)、ヒドロキシル末端化ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(オキシエチレン-コ-オキシプロピレン)、ポリテトラメチレンオキシド鎖、ポリ(オキシエチレングリコール)、ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)-グリコールブロックコポリマー、ポリ(オキシブチレン)グリコール、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリ無水物及びポリ(オルトエステル)のコポリマー;ビスフェノールA系ポリリン酸エステル、ポリ(ビスフェノールAフェニルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルリン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAエチルホスホン酸塩)、ポリ(ビスフェノールAフェニルホスホン酸塩)、ポリ[ビス(2-エトキシ)ヒドロホスホン酸テレフタル酸塩]、ビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)のコポリマー、チロシン由来ジフェノールモノマー、 ポリイミノカルボナート、ポリカルボナート、ポリアクリラート、ポリウレタンポリエーテル、デスアミノチロシル-チロシン(DT)エステル、デスアミノチロシルチロシンエチルエステル(DTE)、デスアミノチロシルチロシンブチルエステル(DTB)、デスアミノチロシルチロシンヘキシルエステル(DTH)、デスアミノチロシルチロシンオクチルエステル(DTO)、ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリウレタン、ポリ(アルキレンオキシドエーテル)、α-及びβ-ヒドロキシ酸とチロシン誘導体から製造されるジヒドロキシモノマーから重合させたポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリカルボナート及びポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)とのブロックコポリマー、ポリカルボナート、ポリイミノカルボナート、ポリアリーレート、ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー;ポリカルボナートとポリ(アルキレンオキシド)のブロックコポリマー、ポリアリーレートとポリ(アルキレンオキシド)のブロックコポリマー、α-ヒドロキシカルボン酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリエステルビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)、ポリカルボナート、ポリアリーレート、ポリカルボナートとポリ(アルキレンオキシド)のコポリマー、ポリアクリラートとポリ(アルキレンオキシド)のコポリマー、α-ヒドロキシカルボン酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリエステルビスフェノールA系ポリ(リン酸エステル)、又はこれらの組合せ。
【請求項67】
前記ベースポリマーが、以下の化合物を含む、又は以下の化合物からなる、請求項55〜65のいずれか1項記載の粒子:
【化2】

式中、R1が-CH=CH-又は(-CH2-)n(nは0又は1〜8の整数である)であり;及び、R2が最高18の炭素原子を含む直鎖及び分枝アルキル及びアルキルアリール基から選択される。
【請求項68】
前記粒子がポリビニルアルコールを含む、請求項55〜67のいずれか1項記載の粒子。
【請求項69】
前記粒子が、アクリル、アクリルアミド又はアクリレートポリマー又はコポリマーを更に含む、請求項68記載の粒子。
【請求項70】
前記粒子が、アクリル、アクリルアミド又はアクリレートポリマー又はコポリマーを含む請求項55〜67のいずれか1項記載の粒子。
【請求項71】
前記粒子が、トリスアクリルアミドポリマーを含む、請求項55〜67のいずれか1項記載の粒子。
【請求項72】
前記ベースポリマーが、N-トリス-ヒドロキシメチルメチルアクリルアミド、ジエチルアミノアシルアクリルアミド、N,N-メチレン-ビス-アクリルアミド、又はこれらの組合せである、請求項55〜67のいずれか1項記載の粒子。
【請求項73】
前記粒子が、アクリル酸ナトリウム及びビニルアルコールコポリマーを含む、請求項55〜67のいずれか1項記載の粒子。
【請求項74】
前記粒子が、細胞接着促進因子を更に含む、請求項1〜73のいずれか1項記載の粒子。
【請求項75】
前記粒子がゼラチンを含む、請求項1〜74のいずれか1項記載の粒子。
【請求項76】
前記粒子が架橋されている、請求項1〜75のいずれか1項記載の粒子。
【請求項77】
前記粒子が架橋されていない、請求項1〜75のいずれか1項記載の粒子。
【請求項78】
前記粒子が無菌化されている、請求項55〜77のいずれか1項記載の粒子。
【請求項79】
請求項1〜55のいずれか1項記載の方法により製造された二相性多孔質粒子。
【請求項80】
細胞を更に含む、請求項55〜79のいずれか1項記載の粒子。
【請求項81】
前記細胞が幹細胞である、請求項80記載の粒子。
【請求項82】
前記幹細胞がヒト胚幹細胞でない、請求項81記載の粒子。
【請求項83】
請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子及び医薬として許容し得る担体を含む、注入可能組成物。
【請求項84】
患者に請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を投与することを含む、該患者における完全な若しくは部分的な塞栓形成法。
【請求項85】
請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を、直接的に若しくは間接的に癌又は腫瘍に血液を供給する患者の血管、静脈又は動脈に投与することを含む、該癌又は腫瘍を治療するか又はそうでなければ管理する方法。
【請求項86】
前記粒子が、前記癌又は腫瘍の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする、請求項85記載の方法。
【請求項87】
請求項80〜82のいずれか1項記載の粒子を患者に投与することを含む、該患者に細胞を送達する方法。
【請求項88】
前記細胞が前記患者の組織又は器官に送達されるか又は接触される、請求項87記載の方法。
【請求項89】
患者の組織又は器官の細胞を保持するための方法であって、請求項80〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与すること、及び該細胞を該組織又は器官と接触させることを含む、前記方法。
【請求項90】
患者の組織又は器官に細胞を移植するための方法であって、請求項80〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与すること、及び該細胞を該組織又は器官と接触させることを含む、前記方法。
【請求項91】
患者における組織再生のための方法であって、請求項80〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項92】
前記細胞を、再生組織と接触させる、請求項91記載の方法。
【請求項93】
前記組織が、心臓組織、肺組織、神経組織、脳組織、肝臓組織、膵臓組織又は子宮組織である、請求項88〜92のいずれか1項記載の方法。
【請求項94】
前記組織が、血管、静脈又は動脈である、請求項88〜92記載の方法。
【請求項95】
前記組織が、創傷又は他の損傷組織である、請求項88〜94のいずれか1項記載の方法。
【請求項96】
患者における膵島細胞移植のための方法であって、請求項80記載の粒子を該患者に投与することを含み、該細胞が膵島細胞である、前記方法。
【請求項97】
患者の糖尿病を治療するか又はそうでなければ管理する方法であって、請求項80記載の粒子を該患者に投与することを含み、該細胞が膵島細胞である、前記方法。
【請求項98】
前記粒子が前記患者の肝臓の門脈に投与される、請求項96又は97記載の方法。
【請求項99】
前記膵島細胞がインスリンを産生する、請求項96〜98のいずれか1項記載の方法。
【請求項100】
前記粒子が、前記細胞が送達される領域の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする、請求項87〜99のいずれか1項記載の方法。
【請求項101】
患者における動脈内近接照射療法のための方法であって、請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項102】
前記粒子が添加剤を含む、請求項101記載の方法。
【請求項103】
前記添加剤が放射性物質である、請求項102記載の方法。
【請求項104】
前記粒子が、癌又は腫瘍に投与される、請求項100〜103のいずれか1項記載の方法。
【請求項105】
前記粒子が、前記癌又は腫瘍の一時的な又は継続的な灌流を提供する又は可能にする、請求項104記載の方法。
【請求項106】
前記粒子が、直接的に若しくは間接的に癌又は腫瘍に血液を供給する患者の血管、静脈又は動脈に完全に若しくは部分的に塞栓形成する、請求項104又は105記載の方法。
【請求項107】
患者に添加剤を送達する方法であって、請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与することを含み、該粒子が該添加剤を含む、前記方法。
【請求項108】
前記添加剤が、治療剤又は薬剤である、請求項107記載の方法。
【請求項109】
前記添加剤が、トレーサ又は造影剤である、請求項107記載の方法。
【請求項110】
前記トレーサ又は造影剤が、放射性標識抗体、FDG、ヨード化された(iondinated)コントラスト剤、強磁性薬剤、SIPO、ガドリニウムキレート、マグネシウム、バリウム、放射性ヌクレオチド(radioonucleoide)、又はこれらの組合せである、請求項109記載の方法。
【請求項111】
患者における添加剤の長期にわたる及び/又は制御された送達の方法であって、請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を該患者に投与することを含み、該粒子が該添加剤を含む、前記方法。
【請求項112】
前記添加剤が、治療剤又は薬剤である、請求項111記載の方法。
【請求項113】
前記治療剤又は薬剤が、ホルモン、避妊薬、芳香剤、緩和剤、日焼け止め、抗炎症剤、抗真菌剤、抗微生物剤、又はこれらの組合せである、請求項111記載の方法。
【請求項114】
前記粒子が、腔内投与、間質内投与、真皮下投与、経真皮投与、又は皮下投与により患者に投与される、請求項111〜113のいずれか1項記載の方法。
【請求項115】
患者の血液から細胞を捕捉し、選別し、又は抽出する方法であって、請求項55〜82のいずれか1項記載の粒子を投与することを含み、該粒子が該粒子を通る灌流を可能にし、かつ該粒子が該患者の血液から細胞を捕捉し、選別し、又は抽出する、前記方法。
【請求項116】
二相性多孔質ポリマー粒子を製造するための装置であって:
(a)貯槽;
(b)クエンチングタワー;
(c)直径約5〜約1100ミクロンの範囲の直径を有するノズルを含み、かつ該槽が注入器に連結されている、注入器;及び、
(d)1以上の微細篩;
を含む、前記装置。
【請求項117】
前記注入器が、チャンバ及びピストンを更に含む、請求項116記載の装置。
【請求項118】
前記貯槽が撹拌器又は混合器を更に含む、請求項116又は117記載の装置。
【請求項119】
前記貯槽が、第1の溶媒、第2の溶媒及びベースポリマーを含む、請求項116〜118のいずれか1項記載の装置。
【請求項120】
前記貯槽に取り付けられた導管を更に含む、請求項116〜119のいずれか1項記載の装置。
【請求項121】
前記導管が大孔スペーサ物質を含む、請求項120記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−507562(P2012−507562A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534806(P2011−534806)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/062744
【国際公開番号】WO2010/062678
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511004759)
【Fターム(参考)】