説明

微小電気機械素子と共に使用される高エネルギー、低エネルギー密度の放射抵抗光学素子

本発明は、可動微小機械光学素子の放射抵抗を改良する方法及び素子を含む。特に、1平方センチメータ当たり100マイクロジュールより小さいエネルギー密度の有パルス・レーザ・エネルギーに約248nm以下の波長において露光されることにより生じる、素子における表面及びバルク材料の変化を減少させるのに適した放射抵抗層が、可動微小機械光学素子に追加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、可動微小機械光学素子の放射抵抗を改良する方法および素子を含む。特に、1平方センチメータ当たり100マイクロジュールより小さいエネルギー密度の有パルス・レーザ・エネルギーに約248nm以下の波長において露光されることにより生じる、素子における表面およびバルク材料の変化を減少させるのに適した放射抵抗層が、可動微小機械光学素子に追加される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
光学微小電気機械システム(MEMS)あるいは空間光変調器(SLMs)は今日、視聴者のための映像を生成するために、映画およびプレゼンテーション・プロジェクタおよびテレビにおいて使用されている。パターンは通常、プロジェクション・スクリーンあるいはビューイング・プレートのような広範囲の表面上に現れる。これらのアプリケーションにおいて、可視波長光(400−800nm)が使用されている。MEMSはまた、光のビームを1つの光学的経路から他の光学的経路に向けるスイッチとして使用されている。スイッチング・アプリケーションにおいて、より短い波長である紫外光ではなく、可視波長の光が通常使用されている。
【0003】
本発明者および彼らの同僚は、最近、SLMsを半導体素子製造に含まれるマイクロリソグラフィ処理に適用した。SLMsは、より微細でより小さく、そしてより高密度にパックされた画像を生成するために使用されている。小さく、高密度にパックされた画像を描写するには、紫外線スペクトル内あるいはそれより短い、短波長の光を使用することが必要である。静電活性化は、超小型鏡を偏向させるために使用される。力を発生させるために、電圧が2つの電極の間で生成される。1つの電極は静的であり、他の電極は、例えば可動超小型鏡のようなアクチュエータに取り付けられている。例えばマスク・ライティング・ツールあるいはチップ製造ツールにおいて使用される、アクチュエータのアレイを有するSLMは、特定のパターンと共にロードされ、ここでアクチュエータは、電磁放射のビームを製作品上に中継あるいは伝送するときに、アドレスされた状態あるいはアドレスされていない状態にある。この中継された電磁放射のビームは、上記製作品上にプリントされるべきパターンのスタンプを含む。このパターンは、それぞれマスクあるいはチップ上にプリントされるべき、パターンの部分集合あるいは完全なパターンであってもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、約248nmあるいはそれより短い波長を含む、短波長の光でSLMsを使用する問題を理解し、MEMS素子の有用性および寿命を効果的に延ばしながら、SLMsを短波長で使用するよう適合させる方法および素子を開発する機会が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、可動微小機械光学素子の放射抵抗を改良する方法および素子を含む。特に、1平方センチメータ当たり100マイクロジュールより小さいエネルギー密度の有パルス・レーザ・エネルギーに約248nm以下の波長において露光されることにより生じる、素子における表面およびバルク材料の変化を減少させるのに適した放射抵抗層が、可動微小機械光学素子に追加される。
【0006】
(発明の詳細な説明)
以下の詳細な説明は、図1−9を参照して行われる。好ましい実施例は、本発明の技術を開示するために説明され、ここに定義される請求項の範囲を制限するものではない。この分野の技術者には、以下の説明に際して、多様な同等の変更が認識されるであろう。
【0007】
マイクロリソグラフィSLMsは、非常に小さく精密な可動光変調素子のアレイ、あるいは鏡のような光学素子を使用する。反射光学素子は、1つの側において数ミクロンから数十ミクロンであってもよい。複数のこのような素子を含むSLMアレイは、1つの側において1センチメータより小さいものから1つの側において数十センチメータにまでなることができる。光学素子の厚さは、1−2ミクロンあるいは350−700nmの厚さであってもよく、あるいはこれより薄くあるいは厚くてもよい。望ましい平坦性(単一の反射素子の山から谷の湾曲率)は、16ミクロンにわたり4−10nm程精密であってもよいし、より精密であってもよい。表面の平坦性および機械的安定性(エッジ・カールに対する抵抗を含む)の双方が要求されることがある。素子の望ましい寿命は、放射の1から100億あるいは1000億パルスおよび多数の機械的たわみであってもよい。素子は、望ましいマイクロリソグラフィ・パターンを作成するために調整されるからである。
【0008】
視聴者のための画像を生成するために使用されるSLMsと比較すると、マイクロリソグラフィSLMsは、より高い光子当たりエネルギーを有するより短い波長の光を使用する。より高いエネルギーの光子は、光学素子の表面およびバルクの物理化学的性質を物質的に変化させるより高い能力を有する。開発の間に、短波長の光において、高エネルギー光子は光学素子の光学的性質を変化させることがあることが観察されている。一般に、一定のフルエンスにおける反射面の性質における光子当たりの純変化は、照射電磁放射の波長に反比例する。一般に、電磁放射の波長がより短いほど、光学素子の表面および/あるいはバルク性質における光子当たりの変化はより大きい。光学素子のバルクおよび材料の性質における結果としての変化は、不可逆であり累積的である。マイクロリソグラフィSLMs光学素子の性質における変化は、望ましくなく不可逆である。変化が忠実度を減少させ、従って生成された画像の質を落とすからである。
【0009】
反射光学素子は、アルミニウムのような、望ましい高反射率の材料から形成される。パルスを有する、照射高エネルギー光子は、500Hzより大きいパルス率および248nm以下の波長において、および1平方センチメータ当たり100マイクロジュールより小さいエネルギー密度において、可動光学素子の表面から反射される。衝突する光子は、光学素子の表面およびバルク性質に相互に影響を与えることがある。
【0010】
反射SLMの使用は、このようなSLMをレーザ・パターン生成のために使用することに制限されない。請求項の範囲は、ここに特定されるようなエネルギー密度および波長におけるレーザに基づくパターン生成のためのこのような技術の使用外にある、他の可動および静的、反射および伝送的光学素子を含むよう意図されている。例として、走査鏡、通信のためのフォトニック・スイッチ、およびMEMSシャッタ・アレイがあるが、これらに限定されない。
【0011】
予測することができる変化のタイプは、光学素子の表面およびバルク性質に大いに依存する。導電、絶縁および半導材料は、同じ波長およびフルエンスの光に露光された場合、反応が異なる。光学素子のバルクおよび表面性質における光子によって引き起こされた変化は、直接あるいは間接的に測定することができる。鏡に対する物質的変化は、硬度、化学的構成、表面の粗さ、材料の損失、膜厚における変化、あるいは光学素子の形における変化によって直接量を測ることができる。鏡の光学的性質における変化は、反射率、正反射率あるいは非正反射率、明るさあるいはコントラストにおける変化を通して質を測ることができる。
【0012】
SLMの光学素子を定義するために使用されるレジスト・パターニング処理は、環境への露出がそうであるように、その後に残余物質を残すことが観察されている。レジスト処理あるいは他の源からの残余炭素が、光学素子の表面上で観察されている。サンプル構造(いわゆる鏡付きサンプル)は、350nmの厚さのアルミニウム/マグネシウム/シリコン合金膜をフォトレジスト上に含んでいた。これらのサンプル構造は、160℃において12時間アニールされた。いわゆる“処理された”構造は、248nmのレーザ光の9000万、2.5mJ/cm、25nsパルスに500Hzにおいて露光された。他のサンプル構造(いわゆる鏡無しサンプル)は、1000nmの厚さのアルミニウム/マグネシウム/シリコン合金膜をアニーリング無しで、単結晶シリコン基板上に有していた。いくつかの鏡無しサンプルは、低エネルギー密度、高エネルギー・レーザ・パルスに露光されることによって処理された。サンプル構造は分析された。
【0013】
サンプルを分析すると、表面の上部の2つの単一層内において相対的に高い炭素の存在が示された。炭素の含有量は、表面より中約9nmにおいて実質的に減少していた。アルミニウム酸化物の層は、炭素と混合したように見えた。予測されるように、合金の微粒が表面において観察され、スパッタ付着の副産物と考えられた。微粒は20−25nmのオーダの大きさで現れた。いくつかの処理されたサンプルにおいて、合金の微粒は表面から放射され、きれいに除去され、隣接する微粒を変化させることなくそして少しも動かすことなく残し、20−30ナノメータの深さのホールを含む平らでない表面を残すように見えた。表面からの微粒の脱着は、H.ヘルバハン、L.ウィードマンおよびH.S.キム、“低フルエンスUVレーザ材料相互作用における光物理的処理および原子層処理への関連性”、アドバンスト・マテリアルス・フォー・オプティックス・アンド・エレクトロニクス、Vol.2、31−42ページ、40(1993)の本発明とは関係のない実験結果と一致する。
【0014】
処理済みと未処理の構造の表面硬度もまた比較された。ヒスティロン・トライボスコープTM分析器によってかけられた力と、AFMを用いて分析された結果を組み合わせると、処理されたサンプルの表面は、分析調査による浸透により抵抗し、従って、処理されていない表面より硬いと考えられた。処理された鏡付きサンプルのTEM画像は、物理化学的に非同質で、炭素の多い、アルミニウム、酸素、マグネシウムおよびシリコンの混合であろうと考えられる膜を示した。材料(酸素および微粒)の損失と表面硬度の強化の組合せは、処理の後に鏡構造の16ミクロンの幅の素子面にわたって観察された5−20nmの湾曲と関連していると推測された。
【0015】
これらの観察から、そしてこれらの観察に一致して、約248nmにおけるあるいはそれより短い波長に露光される予定の光学MEMSの処理のための方法が開発された。平坦化バフ研磨は、鏡構造の下に位置するレジストから鏡をはずす前に鏡に適用されてもよく、より一般的には、短波長に露光される予定の光学MEMS構造に適用されてもよい。CMPバフ研磨は、表面の粗さを小さくするために、非常に小さい砥粒を使用することが望ましい。バフ研磨は、光学MEMSの表面から微粒を取り除いて滑らかにするのに十分なように採用されてもよい。微粒は、反射光学素子の表面およびバルク性質への露光後の変化と関係があると考えられる。バフ研磨は、鏡の表面から微粒を除去するのに十分なように採用されてもよい。適当なpHおよび粘度、その他において、50あるいは70nmの大きさの粒子を有するシリカを基本とするスラリーが役に立つと期待される。より一般的には、粒子の大きさが300nmあるいはより小さい砥粒が役に立つ可能性がある。異なる研磨剤を使用する他のスラリーも同等によく役に立つかもしれない。ATMI、Inc.のACSIグループによって開発され、商標名プラナ・ケム・OS・シリーズ・オクサイドSMPスラリーの名で販売されているスラリーは、望ましい小さい粒子サイズを有している。これらのスラリーの構造は、米国特許第5,993,685号、金属膜を除去するための平坦化構成(1999年11月30日)、第6,267,909号、金属膜を除去するための平坦化構成(2001年7月31日)、および第6,322,600号、内部層誘電膜を除去するための平坦化構成および方法(2001年11月27日)に説明される研究に基づくと考えられる。また、光学MEMS表面の構成により、約5−30、5−20、5−10、10−20、20−30、50−100nm、を含む範囲、あるいは5、10、20、30、50あるいは100nmあるいはそれ以下の材料を除去するバフ研磨を実行してもよい。バフ研磨の限界大きさは、表面構成によって変化する。表面の粗さは、原子間力顕微鏡を使用して観察および測定することができる。
【0016】
図9は、可動微小光学素子の実施例を示している。可動光学素子は、空間光変調器(SLM)アレイにおける鏡素子であってもよい。この鏡は、偏向角度の範囲を通して、あるいは二進数最大値あるいはゼロ偏向に偏向されてもよい。鏡素子の偏向は、入力信号の機能として、線形あるいは非線形であってもよい。
【0017】
図9において、可動光学素子10は一般に長方形であり、その中間部分の1つに沿って1組のねじり蝶番60によって支えられている。可動光学素子は、任意の形であってもよく、例えば多角形、円形あるいは楕円形であってもよい。上記蝶番は、支持素子50によって支持されている。可動微小素子10、ねじり蝶番60、および支持素子は、例えばアルミニウムあるいは異なる材料である、同じ材料から成っていてもよい。基板20は、導電電極30、40を含む。電極20、30は、基板20内に作られた回路(図示されていない)に接続している。電極の1つと上記光学素子との間に電位差をかけると、静電力が蓄積し、これにより上記可動光学素子が静電気的に引き付けられる(偏向される)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施例1
図1は、超小型鏡構造100の第1の実施例の断面図である。構造100は、光学素子あるいは前面120、支持構造123、および基板140を含む。支持構造は、光学素子120を基板140に取り付けている。基板は、素子120を静電気的に引き付けるために使用される少なくとも1つの電極を含む。可動素子は、その前面において、放射抵抗コーティング110で層が作られている。放射抵抗層110は、実質的に反射性であってもよい。実質的に反射性の表面は、反射率が20パーセントより大きいことが望ましいが、これに限定されない。この反射率水準は、可視範囲におけるよりも、高周波数/低波長においてより低い。前面120と接触する前にエネルギー密度を小さくすることによって、低フルエンス、高エネルギー光子によって引き起こされる、露光された反射光学素子120の表面およびバルク性質に対する光子によって引き起こされる損傷が減少する。低フルエンスは、1平方センチメータ当たり100マイクロジュールより低い、1パルス当たりのフルエンスと特徴付けられる。鏡素子120は、アルミニウムから成っていてもよい。また、アルミニウムと共に、あるいはアルミニウム無しで、ケイ素窒化物、シリコン、チタン、タンタル、あるいはタングステンを含んでもよい。可動光学素子の基礎構造は、アルミニウム、ケイ素窒化物、シリコン、チタン、タンタル、タングステン、あるいは、わずかな量と見なされる弾性ヒステリシスで十分に偏向することができる、十分に延性のない、相互に層にされたあるいは合成された他の材料、のような材料から成ることができるが、これらに限定されない。反射層は、個別に図示されていないが、アルミニウム、銀、金、あるいはいくつかの他のより適した反射面を含んで付けることができる。
【0019】
放射抵抗層110は、ハフニウム、シリコン、アルミニウムの酸化物;イットリウムあるいはスカンジウム;あるいはマグネシウム、カルシウム、ランタン、リチウム、モリブデン、ナトリウムおよびアルミニウム、ネオジム、ガドリニウムあるいはアルミニウムのフッ化物;モリブデンのケイ素化合物;あるいはまたホウ素の炭化物から成る、1つの層あるいは複数の層であってもよい。例えば、アルミニウムおよびシリコンの酸化物の4つから6つの交互の層を使用してもよい。他の実施例においては、多くの層、50あるいは100もの層を使用してもよい。多くの層を使用することは、アンジェラ・デュパレ、ステファン・ジャコブス&ノーバート・カイザー、“基板表面および膜の粗さのUVスペクトル領域のための光学コーティングの質に対する影響”、SPIE Vol.3110、509−516ページ、において異なる状況において言及されており、本文献は510ページにおいて、49層を有するシステムに言及している。また、N.カイザー、H.ユーリグ、U.B.シャレンバーグ、B.アントン、U.カイザー、K.マーティン、E.エバ、“エキシマレーザのための高損傷閾値Al/SiO誘電コーティング”、シン・ソリッド・フィルムス、No.260、86−92ページ(1995)、においても言及されており、これは87ページにおいて24層のシステムに言及している。放射抵抗層は、既知の付着およびイオン打込み技術によって付けてもよい。付着技術は、スパッタリング、CVD、電子蒸着法、レーザ蒸着法、およびレーザあるいはプラズマ助長酸化を含む。
【0020】
鏡の反射面は、望ましい放射抵抗コーティングの付着に先立ち、上記のように、化学的機械研磨(CMP)あるいはいくつかの他のより適した表面スムージング技術によって平滑化することができる。可動光学素子の前面は、高度な平滑さを有することが望ましい。このことは、照射光子の表面に対する相互作用を非干渉にするのに役立つと考えられている。光学素子の表面の平滑さは、2nmRMS(二乗平均の平方根)より小さくなければならず、1nmRMSより小さいことがより望ましく、0.5nmRMSより小さいことがさらに望ましい。
【0021】
このような放射抵抗コーティングは、10億を超過する多数の添加パルスから生じる反射性の損失あるいは損傷を、248nm以下の波長を有する低フルエンス光子に、実質的に減らすことが期待される。表面は、各添加パルスがあっても、より平坦なまま残ると期待される。
【0022】
図1における実施例は、上記鏡素子120の後面上、上記支持構造123上、および上記少なくとも1つの電極150を含む下に位置する基板140上の、反射防止コーティング130を示している。反射防止コーティング130は、マグネシウムあるいはカルシウムのフッ化物、あるいはシリコンおよび/あるいはアルミニウムの酸化物、あるいは、使用される波長において反射防止性質を有するいくつかの他のより適したコーティングの、1つあるいは複数の層から成っていてもよい。反射防止コーティング130は、SLMの光学素子によって生成される反射された画像の忠実度の劣化の原因となることがある、SLM素子の反射面の下における可能性のあるにせの反射を減少させる。さらに、このような放射抵抗コーティングの反射防止性質は、このような高エネルギーで短波長の光子に敏感であるかもしれない下に位置する回路への保護を提供することができる。
【0023】
放射抵抗コーティングの厚さは、通常2−150nmの範囲内にある。5−100nmの範囲内にあることが望ましく、10−50nmの範囲内にあることがより望ましい。
【0024】
反射防止コーティングの厚さは、通常15−80nmの範囲内にある。15−70nmの範囲内にあることが望ましく、20−60nmの範囲内にあることがより望ましい。
【0025】
図1における断面図と図9の等角投影図を比較すると、中央の垂直構造123は、光変調構造120と同じ設置面積を持つ必要はないことが明らかである。つまり、ねじり蝶番60は、どちらかの端において支持50を持つよう形成されてもよい。多くの反射性および伝送性ジオメトリは、光変調構造120を支持するための多様な構造を持ちながら、本発明の応用から利益を得ることができる。
【0026】
実施例2
図2は、本発明の超小型鏡構造200の第2の実施例の断面図である。上記構造200は、光学素子220、支持構造223、および基板240を含む。支持構造は、光学素子220を上記基板240に取り付けている。基板は、上記光学素子220を静電気的に引き付ける少なくとも1つの電極を含む。鏡素子は、放射抵抗コーティング210で覆われている。上記コーティングは、248nm以下の波長において低フルエンス光子に露光された場合の、反射素子220に対する、光子に引き起こされるバルクおよび表面における影響を実質的に減少させる。
【0027】
反射光学素子220は、アルミニウムあるいはいくつかの他のより波長の適した反射コーティングあるいは基板から成っていてもよい。放射抵抗コーティング210は、ハフニウム、アルミニウムあるいはシリコンの酸化物、あるいはカルシウム、マグネシウムあるいはリチウムのフッ化物、あるいはホウ素の炭化物の、1つあるいは複数のものから成っていてもよい。プラチナ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、あるいはイリジウムのような金属を、放射抵抗コーティングとしても使用することができる。単一あるいは多層コーティングを付着してもよい。放射抵抗コーティング210は、既知の付着(デポジション)および/あるいはこの分野では既知のイオン打込み技術によって付着してもよい。イオン打込みされた光学素子は、活性化され、この分野の技術者には周知の標準アニーリング手順を使用して、打込み後アニールによって放射抵抗としてもよい。コーティングされていない反射光学素子の上部表面は、放射抵抗コーティング210を形成する前に、平滑化されてもよい。
【0028】
放射抵抗コーティング210は、明るさおよびコントラストの損失率を、10億を超える添加露出から248nm以下の低フルエンス波長光へ、実質的に減少させる。放射抵抗コーティング210は、上記放射への抵抗を、数億パルスの範囲から数10億パルスへ、同等の反射性の損失をもって増加させる。放射抵抗コーティングは、部分的には反射面に到達する光子の数を減少させる遮蔽を形成することによって、そして反射光学素子の原子および電子をその場に固定することによって、光子によって引き起こされる化学的および物理的変化から表面を保護する。
【0029】
図2における実施例はまた、図1と同様に、反射防止コーティング230を上記鏡素子220の後面上に、および上記支持構造223の少なくとも一部の上に有するよう図示されているが、上記少なくとも1つの電極250を含む下に位置する基板240上には有しない。反射防止コーティング230は、マグネシウムあるいはカルシウムのフッ化物、あるいはシリコンおよび/あるいはアルミニウムの酸化物、あるいは、使用される波長における反射防止性質を有するいくつかの他のより適したコーティングの付着によって形成される、1つあるいは複数の層から成っていてもよい。上記反射防止コーティング230は、SLMの反射光学素子によって生成される反射された画像の忠実度の劣化の原因となることがある、SLM素子の反射面の下におけるにせの反射を減少させる。さらに、このようなコーティングの反射防止性質は、このような高エネルギー、短波長の光子に敏感であるかもしれない下に位置する回路への保護を提供することができる。
【0030】
実施例3
図3は、超小型鏡構造300の第3の実施例を示している。本実施例において、反射防止コーティング330は、上記少なくとも1つの電極350を含む基板340のみを覆うように図示されている。上記鏡素子320の後面および上記支持構造は、上記反射防止コーティングに覆われていない。
【0031】
実施例4
図4は、超小型鏡構造400の第4の実施例を示している。上記構造400は、他の実施例と同様に、鏡素子420、支持構造423、基板440、および少なくとも1つの電極450を含む。鏡素子420は、放射抵抗コーティング410に覆われている。本実施例において、反射防止コーティングは完全に省略されている。
【0032】
図1、2、3および4に示される実施例において、鏡素子は、光学素子および構造素子を含むと考えてもよい。光学および構造素子は、アルミニウムあるいはアルミニウムの合金のような1つの基本材料から成っていてもよい。
【0033】
実施例5
図5は本発明によるさらなる他の実施例を示しており、ここで、鏡構造素子520は、その前面522、その後面521、あるいはその両方の上において光学素子で覆われていてもよい。鏡構造素子520は、この場合、ケイ素窒化物、チタン、タンタル、タングステンのようなより延性のない材料、あるいは、シリコンあるいは類似する延性のない材料の合成物のような、わずかな偏向ヒステリシスを示すあるいは偏向ヒステリシスを示さない、いくつかの他のより適した延性のない材料から成ってもよい。
【0034】
超小型鏡構造500は、図1に示されている構造と非常に類似している。鏡構造素子520は、単一の元素構成から成っていてもよく、あるいは、アルミニウム、銅、およびシリコンの合金のような合金から成っていてもよい。さらに、構造素子520は、異なる材料の複数の層を含む、積重ねられた構造であってもよい。上記積重ねられた構造における材料は、一時的変形がパルス間の時間より長く持続する場合に、鏡のどんな一時的変形も効果的に最少にするように設計されてもよい。
【0035】
光学素子522は、アルミニウム、アルミニウムの合金、銀、金、あるいは高反射率を有する任意の他の適当な材料であってもよい。
【0036】
放射抵抗素子510は、上記のように1つの層あるいは複数の層であることができる。
【0037】
アルミニウム超小型鏡は、炭化ホウ素で硬化されてもよい。炭化ホウ素は、ホウ素イオンおよび炭素イオンのイオン打込みによってアルミニウム超小型鏡に付けられてもよい。打込みの後、超小型鏡は、例えば熱アニールによってアニールされてもよい。
【0038】
実施例6−8
図5における参照番号は、図1における参照番号に対応し、番号100は番号500に交換される。図6−8にも同様な規則が適用され、図6における特徴は図2に対応し、図7は図3に対応し、図8は図4に対応する。上記の説明は、図6−8において示される特徴に当てはまる。
【0039】
本発明の1つの態様は、光学微小電気機械システム(MEMS)の、放射によって引き起こされる損傷に対する抵抗を改良するための方法である。MEMSは、少なくとも1つの可動変調素子を含んでもよい。変調素子への損傷は、低フルエンス、短波長の電磁放射の添加パルスから生じてもよい。この状況において、低フルエンスは低エネルギー密度を意味する。本方法は、少なくとも1つの放射抵抗層を、少なくとも1つの可動変調素子の前面側上に形成することを含む。本方法によると、放射抵抗層は、約240nmあるいはそれより短い動作波長において実質的に反射性であってもよい。放射抵抗層は、少なくとも1つのハフニウム、アルミニウム、あるいはシリコンの酸化物を含んでもよい。放射抵抗層は、少なくとも1つのマグネシウム、ランタン、あるいはリチウムのフッ化物を含んでもよい。放射抵抗層は、酸化物とフッ化物の組合せを含んでもよい。また放射抵抗層は、打込み層を含んでもよい。この層は、可動変調素子の前面側上に打ち込まれるであろう。打込みは、ホウ素および炭素を含んでもよい。打込みは活性化されてもよい。熱アニーリングのようなアニーリングを、活性化のために使用してもよい。1つの放射抵抗層あるいは複数の放射抵抗層は、約30nmから70nmの厚さを持ってもよい。また、それは約2nmから50nmあるいは50から100nmの厚さを持ってもよい。可動変調素子は、アルミニウム、あるいはケイ素窒化物、シリコン、チタン、タンタル、あるいはタングステンの材料のうちの1つあるいは複数を含んでもよい。放射抵抗層に対する材料構成は、層の上部から層の下部への平均バルク構成であってもよい。反射層は、放射抵抗層を形成するのに先立ち形成されてもよい。反射層は、アルミニウム、銀、あるいは金のうちの1つあるいは複数を含んでもよい。可動変調素子は、後面側を有してもよく、方法はさらに、1つの反射防止層あるいは複数の反射防止層を、素子の後面側の上に形成することを含んでもよい。1つの反射防止層あるいは複数の反射防止層は、マグネシウムあるいはカルシウムのフッ化物を含んでもよい。1つの反射防止層あるいは複数の反射防止層の厚さは、15から100nm、あるいはまた、40から60nmあるいは60から80nmであってもよい。可動変調素子は、反射性あるいは伝送性であってもよい。この状況において、伝送性は、248nm以下の波長に対して実質的に透明であることを意味する。可動変調素子は、シリコン、シリコンの酸化物あるいはアルミニウムあるいはアルミニウムの酸化物を含んでもよい。本実施例の他の態様は、放射抵抗層を形成するのに先立ち、可動変調素子の前面側を平坦化してもよいことである。平坦化の結果は、2nmより良い二乗平均の平方根平坦性であってもよく、1nmより良いことが望ましく、素子の表面にわたって0.5nmより良いことがより望ましい。この状況において、素子は、幅が約16ミクロンであってもよい。平坦化は、約70nmあるいは約50nmのような、300nmより小さい大きさの砥粒を使用して実行してもよい。ここに説明される素子および態様は、多様な有用な組合せに組み合わせることができる。
【0040】
上記の方法に対応して、その結果としての素子が製造される。本発明の1つの実施例は、前面側および前面側上の少なくとも1つの放射抵抗層を含む光学MEMSの少なくとも1つの可動変調素子である。放射抵抗層は、248nmあるいはそれより短い波長における放射に対して実質的に反射性であってもよい。放射抵抗層は、ここに説明される構成のうち任意のものを含んでもよい。素子の平坦性特性は、方法において説明されたものであってもよい。放射抵抗層は、支持非可動基板上に、可動変調素子の後面上に、あるいはこれらの双方の上に形成された1つあるいは複数の反射防止層と組み合わせてもよい。
【0041】
本発明は、上に詳細に説明した好ましい実施例および例示を参照して開示されているが、これらの例示は本発明の範囲を制限するものではないことが理解される。上に開示された技術の変更および組合せは、この分野の技術者には容易に考え付くと考えられる。このような変更および組合せは、本発明および以下の請求項の範囲内にあると見なされるであろう。さらに、好ましい実施例は、可動反射SLM光学素子およびデバイスを参照して説明されている。この分野の技術者には、伝送SLMのような反射SLM以外のMEMS構造も、本発明の態様から利益を得ることができることを理解されたい。伝送SLMsに対しては、放射抵抗層は伝送構造上に形成され、本質的に反射性ではないように選択されてもよい。例えば、反射防止層は、伝送構造の前面あるいは後面側上に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のMEMS構造の第1の実施例の断面図である。
【図2】本発明のMEMS構造の第2の実施例の断面図である。
【図3】本発明のMEMS構造の第3の実施例の断面図である。
【図4】本発明のMEMS構造の第4の実施例の断面図である。
【図5】本発明のMEMS構造の第5の実施例の断面図である。
【図6】本発明のMEMS構造の第6の実施例の断面図である。
【図7】本発明のMEMS構造の第7の実施例の断面図である。
【図8】本発明のMEMS構造の第8の実施例の断面図である。
【図9】超小型鏡構造の一例の等角投影図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可動変調素子を含む光学微小電気機械システム(MEMS)における放射によって引き起こされる損傷に対する抵抗を改良する方法であって、前記損傷は、低フルエンス、短波長の電磁放射の添加パルスから生じるものであって、
前記少なくとも1つの可動変調素子の前面側上に少なくとも1つの放射抵抗層を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約248nmあるいはそれより短い動作波長において実質的に反射性である、上記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物(Hf)、マグネシウムのフッ化物(Mg)、ランタンのフッ化物(La)、アルミニウムの酸化物(Al)、シリコンの酸化物(Si)、又はリチウムのフッ化物(Li)のうち少なくとも1つを含む、上記方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、又はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、又はリチウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、前記可動変調素子の前面側における打込み層である、上記方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記打込み放射抵抗層は、活性化される、上記方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記打込み放射抵抗層は、打込み要素ホウ素および炭素から成る、上記方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であってさらに、複数の放射抵抗層を形成することを含み、前記複数の放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、リチウムのフッ化物、又はホウ素および炭素の活性化された打込み層、のうちの少なくとも1つ含む、上記方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約30nmから70nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約2nmから50nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約50nmから100nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子はアルミニウムを含む、上記方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は、ケイ素窒化物、シリコン、チタン、タンタル、あるいはタングステンのうちの1つあるいは複数の材料を含む、上記方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層に対する前記材料構成は、前記層の上部から前記層の下部への平均バルク構成である、上記方法。
【請求項16】
請求項3に記載の方法において、前記複数の放射抵抗層の任意の1つに対する前記材料構成は、前記層の上部から前記層の下部への平均バルク構成である、上記方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であってさらに、前記放射抵抗層を形成するのに先立ち、アルミニウム、銀および金のうちの1つ又は複数を含む反射層を形成することを含む、上記方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は後面側を有し、さらに、少なくとも1つの反射防止層を前記後面側上に形成することを含む、上記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記反射防止層はCaF又はMgFを含む、上記方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記反射防止層は、マグネシウム又はカルシウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、前記反射防止層は、約15nmから80nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、前記反射防止層は、約40nmから60nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法において、前記反射防止層は、約60nmから80nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は電磁放射を伝送する、上記方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記可動変調素子は、248nm以下の波長に対して実質的に透明である、上記方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、前記可動変調素子はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、前記放射抵抗層は1つの層を含む、上記方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法において、前記放射抵抗層は複数の層を含む、上記方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウム又はカルシウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法において、前記放射抵抗素子は、2つ又はそれ以上のアルミニウムあるいはシリコンの酸化物である、上記方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法であってさらに、前記放射抵抗層を形成するのに先立ち、前記前面側を平坦化することを含む、上記方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、2nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、1nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、0.5nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法において、前記平坦化は、300nmより小さい大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項36】
請求項31に記載の方法において、前記平坦化は、約70nmの大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項37】
請求項31に記載の方法において、前記平坦化は、約50nmの大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項38】
光学微小電気機械システム(MEMS)の少なくとも1つの可動変調素子であって、
前面側と、
前記前面側の上の少なくとも1つの放射抵抗層、
を含む、上記可動変調素子。
【請求項39】
請求項38に記載の素子において、前記放射抵抗層は、約248nm又はそれより短い動作波長において、放射に対して実質的に反射性である、上記素子。
【請求項40】
請求項38に記載の素子において、前記可動変調素子及び前記放射抵抗層は、約248nm又はそれより短い動作波長において実質的に伝送性である、上記素子。
【請求項41】
請求項38に記載の素子において、前記放射抵抗層は、ハフニウム酸化物(HfO)、マグネシウムフッ化物(MgF)、アルミニウム酸化物(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、又はリチウムフッ化物(LiF)のうち少なくとも1つを含む、上記素子。
【請求項42】
請求項38に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、又はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項43】
請求項38に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、又はリチウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項44】
請求項38に記載の方法において、前記放射抵抗層は、前記可動変調素子の前面側における打込み層である、上記方法。
【請求項45】
請求項38に記載の方法において、前記前面側は、2nm又はより良いRMSを有する平坦面である、上記方法。
【請求項46】
請求項38に記載の素子であってさらに、
前記可動変調素子の後面側と、
前記後面側上に形成された少なくとも1つの反射防止層、
を含む、上記素子。
【請求項47】
請求項45に記載の素子であってさらに、
前記可動素子が可動的に結合する、前記可動変調素子の下の非可動基板と、
前記非可動基板の一部に形成された少なくとも1つの反射防止層、
を含む、上記素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可動変調素子を含む光学微小電気機械システム(MEMS)における放射によって引き起こされる損傷に対する抵抗を改良する方法であって、前記損傷は、低フルエンス、短波長の電磁放射の添加パルスから生じるものであって、
前記少なくとも1つの可動変調素子の前面側上に少なくとも1つの放射抵抗層を形成することを含み、前記放射抵抗層は、約248nm又はそれより短い動作波長において実質的に反射性である
上記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物(Hf)、マグネシウムのフッ化物(Mg)、ランタンのフッ化物(La)、アルミニウムの酸化物(Al)、シリコンの酸化物(Si)、又はリチウムのフッ化物(Li)のうち少なくとも1つを含む、上記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、又はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、又はリチウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、前記可動変調素子の前面側における打込み層である、上記方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記打込み放射抵抗層は、活性化される、上記方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記打込み放射抵抗層は、打込み要素ホウ素および炭素から成る、上記方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であってさらに、複数の放射抵抗層を形成することを含み、前記複数の放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、リチウムのフッ化物、又はホウ素および炭素の活性化された打込み層、のうちの少なくとも1つ含む、上記方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約30nmから70nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約2nmから50nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層は、約50nmから100nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子はアルミニウムを含む、上記方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は、ケイ素窒化物、シリコン、チタン、タンタル、あるいはタングステンのうちの1つあるいは複数の材料を含む、上記方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記放射抵抗層に対する前記材料構成は、前記層の上部から前記層の下部への平均バルク構成である、上記方法。
【請求項15】
請求項に記載の方法において、前記複数の放射抵抗層の任意の1つに対する前記材料構成は、前記層の上部から前記層の下部への平均バルク構成である、上記方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であってさらに、前記放射抵抗層を形成するのに先立ち、アルミニウム、銀および金のうちの1つ又は複数を含む反射層を形成することを含む、上記方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は後面側を有し、さらに、少なくとも1つの反射防止層を前記後面側上に形成することを含む、上記方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記反射防止層はCaF又はMgFを含む、上記方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、前記反射防止層は、マグネシウム又はカルシウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記反射防止層は、約15nmから80nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記反射防止層は、約40nmから60nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、前記反射防止層は、約60nmから80nmの厚さを持つ、上記方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法において、前記可動変調素子は電磁放射を伝送する、上記方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記可動変調素子は、248nm以下の波長に対して実質的に透明である、上記方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法において、前記可動変調素子はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法において、前記放射抵抗層は1つの層を含む、上記方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法において、前記放射抵抗層は複数の層を含む、上記方法。
【請求項28】
請求項23に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウム又はカルシウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項29】
請求項23に記載の方法において、前記放射抵抗素子は、2つ又はそれ以上のアルミニウムあるいはシリコンの酸化物である、上記方法。
【請求項30】
請求項1に記載の方法であってさらに、前記放射抵抗層を形成するのに先立ち、前記前面側を平坦化することを含む、上記方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、2nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、1nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法において、前記前面側は、前記平坦化の後、0.5nmより良いRMS平坦性を有する、上記方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法において、前記平坦化は、300nmより小さい大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法において、前記平坦化は、約70nmの大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項36】
請求項30に記載の方法において、前記平坦化は、約50nmの大きさの砥粒を使用するCPMを含む、上記方法。
【請求項37】
光学微小電気機械システム(MEMS)の少なくとも1つの可動変調素子であって、
前面側と、
前記前面側の上の少なくとも1つの放射抵抗層、を含み、前記放射抵抗層は、約248nmあるいはそれより短い動作波長において、放射に対して実質的に反射性である、
上記可動変調素子。
【請求項38】
請求項37に記載の素子において、前記可動変調素子及び前記放射抵抗層は、約248nm又はそれより短い動作波長において実質的に伝送性である、上記素子。
【請求項39】
請求項37に記載の素子において、前記放射抵抗層は、ハフニウム酸化物(HfO)、マグネシウムフッ化物(MgF)、アルミニウム酸化物(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、又はリチウムフッ化物(LiF)のうち少なくとも1つを含む、上記素子。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、前記放射抵抗層は、ハフニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、又はシリコンの酸化物を含む、上記方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法において、前記放射抵抗層は、マグネシウムのフッ化物、カルシウムのフッ化物、又はリチウムのフッ化物を含む、上記方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法において、前記放射抵抗層は、前記可動変調素子の前面側における打込み層である、上記方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法において、前記前面側は、2nm又はより良いRMSを有する平坦面である、上記方法。
【請求項44】
請求項37に記載の素子であってさらに、
前記可動変調素子の後面側と、
前記後面側上に形成された少なくとも1つの反射防止層、
を含む、上記素子。
【請求項45】
請求項43に記載の素子であってさらに、
前記可動素子が可動的に結合する、前記可動変調素子の下の非可動基板と、
前記非可動基板の一部に形成された少なくとも1つの反射防止層、
を含む、上記素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−513442(P2006−513442A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564602(P2004−564602)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/SE2003/002025
【国際公開番号】WO2004/061488
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504095793)マイクロニック レーザー システムズ アクチボラゲット (50)
【出願人】(505250029)フラウンホーファー − ゲゼルシャフト ツル フェーデルング デル アンゲヴァントテン フォルシュング エー.ファォ. (6)
【Fターム(参考)】