説明

微生物とフィトスフィンゴシン誘導体との化粧的組合せ

【課題】皮膚の老化を防ぐ及び/又は処理するために特に有利な組合せを提供する。
【解決手段】ケラチン物質のケア及び/又はメイクアップのために用いられる化粧料組成物において、生理学的に許容され得る媒体中に少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物とを含む該化粧料組成物。また、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せを、上皮組織、特に表皮、特に老化した表皮、の修復及び再生能力を強化するために使用する方法、即ち化粧的に使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚の老化を防ぐ及び/又は処理するために特に有利な組合せを提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
表皮は、上皮組織であり、特に皮膚幹細胞を含み、表皮の発芽層を構成するケラチン生成細胞の基底層、該基底層上に置かれた多角形の細胞の複数の層から構成された「棘のある」層(“spiny” layer)、目立つ細胞質の含有物、即ちケラトヒアリン顆粒、を含むぺしゃんこにされた細胞であるといわれている、1〜3の層を含む「顆粒」層、及び最後に、分化の最終ステージにおいてケラチン生成細胞であって角質細胞(corneocyte)と呼ばれるものから構成されている角質層(horny layer)(又は角質層(stratum corneum))と呼ばれる一組の上層に従来分類される。
【0003】
角質層(stratum corneum)、即ち角質層(horny layer)、は有機体とその環境との間の境界に位置する表皮の表面の層である。それは、表皮のケラチン生成細胞の分化から生じる無核細胞であるところの角質細胞から構成されている。角質細胞は、ケラチンに富み、不浸透性の脂質マトリックスにより囲まれている。そのタンパク質及び脂質組成物のおかげで、角質層は本質的な皮膚バリヤーの役割を演じる。角質層は、微生物製剤の侵入を防ぎ、皮膚、従って一般に体、の水和を保つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚の老化の間に、皮膚の起伏に対する良く知られた老化の結果以外に、年齢の高い人により多くの形の不快が報告されている。これらの形の不快は皮膚のバリヤー機能及び表皮のホメオスタシスの低下が原因で起きる。従って、老化した皮膚の角質層は、若い皮膚と比較すると、特に冬季には、低下された細胞内脂質含有量を有する。角質層の組成におけるこの変化は生理化学的な皮膚のバリヤー性を崩壊させる。最終的には、角質層の損傷後のバリヤー機能の回復のスピードが年齢と共に遅くなる。これは表皮のホメオスタシス的な機能の機能不全を意味する(Denda, M., 2002; Ghadially, R. ら, 1995年; Leveque,J.L., 2001)。本出願人は、更に、この同じ環境下で、角質層への生理学的又は化学的攻撃に反応して、特定の遺伝子が個体の年齢に従って有意に異なる調節動力学を示すことを観察した。より具体的には、ある遺伝子の発現の導入が、若い皮膚と比較すると老化した皮膚では遅くされることが見出された。
【0005】
その発現がストレスに曝された年齢の高い個体において特に遅くされるこれらの遺伝子の中に、特にケラチン6B遺伝子(KRT6B)があるが、KRT6Bは、表皮の修復及び再生過程におけるその関与の点から特に有利であることをさらに特徴とする。
【0006】
さらに、皮膚、特に表皮、のホメオスタシスは、皮膚の細胞の増殖の過程と分化の過程との間の精密に制御されたバランスから生じる。これらの増殖及び分化の過程は完璧に制御されている。該過程は、皮膚の更新及び/又は再生に参加し、一定な皮膚の厚さ、特に、一定の表皮の厚さの維持をもたらす。皮膚のこのホメオスタシスは、皮膚の機械的性質を維持することにもまた含まれる。
【0007】
しかし、皮膚のこのホメオスタシスは、ある生理学的因子(年齢、閉経、ホルモン等)又は環境的因子(UVストレス、汚染、酸化ストレス、刺激ストレス等)により損なわれる可能性がある。表皮の再生能力は下がる:基底層の細胞の分割は不活発になり、表皮の更新の緩慢化及び/又は減少を特にもたらす。その結果、細胞の更新は表皮において除去された細胞の損失をもはや補償せず、表皮の退化及び/又は皮膚の厚さの減少及び/又は皮膚の弾力及び/又は引き締まり(firmness)の損失をもたらす。
【0008】
表皮のホメオスタシスの変化は、鈍い及び/又は乏しく明確な外観によってもまた、皮膚の色艶(complexion)に反映される。
【0009】
この現象は、閉経により倍加され得る。女性は、皮膚の拘縮(skin tightening)及び乾燥すること又は組織の老化(xerosis)の出現に不平を言う。閉経と関連するホルモンの不足は特に代謝活性の落ち込みを伴い、ケラチン生成細胞の増殖の減少及び表皮の分化の増加をもたらす。
【0010】
従って、皮膚の厚さを維持し及び/又は増加させて、皮膚の機械的性質を維持し及び/又は改善し及び/又は肌の輝きを促進するために皮膚のホメオスタシスを促進することのできる入手可能な組成物を有することもまた有益である。
【0011】
本発明は、特定の組合せがこれらの要求を満たすことにおいて効果的であることが正確に見出されるという本発明者らによる観察から、特にある遺伝子への発現への刺激作用を通して、より特にはっきりしてくる。有利には、KRT6Bに関して、特に皮膚の老化の間に観察される、ある遺伝子の発現の緩慢化を補うことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
結果として、その第一の特徴に従うと、本発明はケラチン物質をケアする及び/又はメイクアップするために有用である化粧料組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と、属ビフィドバクテリウム種(genus Bifidobacterium species)の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物とを含む組成物に関する。
【0013】
その別の特徴に従うと、本発明は、KRT6B又は KRT10及びインボルクリン遺伝子から選択される少なくとも1の遺伝子の発現を刺激するために、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せの使用、特に化粧用の使用、に関する。
【0014】
より特に、本発明は、KRTB6, KRT10及びインボルクリン遺伝子から選択された少なくとも1の遺伝子の発現を刺激するために、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せを皮膚の老化を患う個体に使用する方法、即ち化粧的に使用する方法、に関する。
【0015】
即ち、本発明に従う考慮下での組合せは、KRT6B遺伝子について年齢につれて観察される発現の減少を防ぐ及び/又は補償するために特に有利であることが見出される。
【0016】
皮膚細胞のDNA修復のために、属ビフィドバクテリウム種の微生物の分解物、例えばリペアコンプレックスCLR分解物、の使用は、欧州特許出願公開第0043128号から明らかに公知である。
【0017】
以下の書類が、それ自体、基本的に、乾燥した及び/又は敏感な皮膚及び関連した状態を処理する目的のために、微生物、特にプロバイオチックな微生物、しかし分解物とは異なる形の微生物、の使用を提案している。
【0018】
即ち、書類、国際公開第02/28402号は、プロバイオチックな微生物が皮膚の超敏感な反応、例えば免疫学的プロセスの結果である炎症及びアレルギー反応、の制御に有益な効果を有することができることを示す。書類欧州特許出願公開第1609463号,欧州特許出願公開第1642570号,欧州特許出願公開第1731137号及び仏国特許出願公開第2876029号は、敏感な皮膚の処理のために無機カチオンとともに1以上のプロバイオチックな微生物を含む組成物を記載する。書類PCT/FR2006/050768号は、乾燥皮膚と関連する敏感皮膚の処理のために、プロバイオチックな微生物とポリ不飽和脂肪酸及び/又はポリ不飽和脂肪酸エステルとの組合せを提案する。その結果、これらの書類のいずれも属ビフィドバクテリウム種の微生物の分解物の使用を記載しておらず、本発明に従う考慮下の組み合わされた形においてはさらに少ない。
【0019】
フィトスフィンゴシン及びその塩、より特にその塩酸塩、に関しては、それらは皮膚科学の分野においてすでに提案されている。事実、フィトスフィンゴシンはまず第一にその抗菌活性で知られている。すなわち、フィトスフィンゴシンはこの活性の点において、ニキビの処理の点において、及び皮膚上での微生物の成長に対する阻害的活性の点において、利益を得るためにすでに使用されている(米国特許第5326565号及び欧州特許出願公開第0919226号)。より最近、スフィンゴリピッド誘導体及び特にサリチル酸フィトスフィンゴシンタイプの誘導体、はケラチン生成細胞分化を調節する能力を示すと記載された(G Paraghら;Exp Dermatol.2008年12月;第17巻、第12号:1004〜16ページ)。米国特許5882665号公報は、それ自身、抗ニキビ剤、抗菌剤、抗しわ剤、及び皮膚を明るくするための剤として有用であると記載されている新規なサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体を提案している。
【0020】
しかし、本発明者の知る限り、サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と属ビフィドバクテリウム種の微生物の分解物との組合せによりある遺伝子の発現への有益な又は相乗的でさえある効果が言及されたことはない。
【0021】
以下の実施例により示されるように、本発明に従う組合せはKRT6B遺伝子の発現を明らかに刺激するだけでなく、KRT10及びインボルクリン遺伝子の発現をも刺激する。この作用は特にエピスキン(Episkin(商標))、再構築された皮膚モデル、を使用してqRT−PCRにより確認された。
【0022】
本発明の目的のために、該組合せにより示される効果は相乗的であると特徴づけられる。なぜなら該効果は、サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体及び属ビフィドバクテリウム種の微生物の分解物のそれぞれの効果の単純な重ね合わせから期待されるよりも大きいことが分かるからである。
【0023】
その別の特徴に従うと、本発明は、上皮組織、特に表皮、特に老化した表皮の修復及び再生能力を強化させるための、上で考慮された組合せの使用に関する。
【0024】
その別の特徴に従うと、本発明は、上皮組織、特に表皮、特に老化した表皮の修復及び再生能力を強化させるための組成物の製造のために、少なくとも1の属ビフィドバクテリウム種の微生物の少なくとも1の分解物を少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と組合せて使用する方法に関する。
【0025】
上から分かるように、この効果は特に、皮膚の老化プロセスの間に自然に遅くされた遺伝子又は遺伝子群の発現の刺激、より特にKRT6Bの発現の刺激を通して得られる。
【0026】
その特徴の1つに従うと、本発明は、上皮組織、特に表皮の、特に老化した表皮の修復及び再生能力を強化するためのKRTB6、KRT10及びインボルクリン遺伝子から選択された少なくとも1の遺伝子の発現を刺激するために、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せを使用する方法、即ち化粧的に使用する方法に関する。
【0027】
さらに別のその特徴に従うと、本発明は、上で考慮された組合せの皮膚の老化を患っている個体への投与を少なくとも含む処理する方法、特に化粧的処理に関する。
【0028】
この投与は、特に経口的に又は局所的に行われ得る。
【0029】
本発明は、皮膚の厚さを増加させる、肌の色の輝きを促進する、皮膚の機械的性質を促進する及び/又は改善する、及び/又は皮膚の弾性及び/又は引き締まりを促進する及び/又は改善するために、特に生理学的に許容される媒体を含み、皮膚への局所施与に向けられた組成物において本発明に従う組合せを化粧的に使用する方法にもまた関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
属ビフィドバクテリウム種の微生物
上記の通り、本発明に従う活性剤として使用される属ビフィドバクテリウム種の微生物は、分解物の形で使用される。
【0031】
分解物は、細胞分解と呼ばれる現象、即ち、考慮下の微生物の細胞に天然に含まれる細胞内生物学的成分の放出を起こす現象により生物学的細胞の破壊又は溶解の最後に得られる物質を意味する。
【0032】
本発明の目的のために、用語「分解物」は、関心のある微生物の分解により得られる分解物全体又はそのフラクションのみを区別することなく使用される。
【0033】
即ち、本発明はビフィドバクテリウム種の分解物及び/又はそのフラクションの使用に関する。
【0034】
従って、使用される分解物は、細胞内生物学的成分及び細胞壁及び膜の成分から全体的又は部分的に形成される。
【0035】
より具体的には、それは酵素例えば乳酸デヒドロゲナーゼ、ホスファターゼ、ホスホケトラーゼ、及びトランスアルドラーゼ、及びその代謝物を含む細胞質の細胞フラクションを含む。例えば、細胞壁成分は特にペプチドグリカン、ムレイン若しくはムコペプチド及びタイコ酸であり、細胞膜成分はグリセロホスホリピッドから構成される。
【0036】
この細胞分解は、種々の技術、例えば浸透圧衝撃、熱衝撃、超音波により、あるいは遠心力タイプの機械的ストレス下で行われ得る。
【0037】
より特に、この分解物は米国特許第4464362号に記載された技術に従って、特に以下のプロトコルに従って得られることができる。
【0038】
考慮下のビフィドバクテリウム種タイプの微生物は、例えば書類米国特許第4464362号及び欧州特許出願公開第043128号に記載された条件に従って、適切な培養媒体中で嫌気的に培養される。成長(development)の定常相が到達されたとき、培養媒体は、例えば60〜65℃の温度における30分間の低温殺菌により不活性化されることができる。次に微生物は慣用の分離技術、例えば膜ろ過、遠心分離、により回収され、生理学的濃度におけるNaClの無菌溶液中に再懸濁される。分解物は、そのような媒体から細胞質フラクション、細胞壁フラグメント、及び代謝由来の生成物を放出させるために、該媒体を超音波により分解することにより得られることができる。次に、自然の分布におけるすべての成分は、次に弱い酸性水溶液において安定化される。
【0039】
そうすると、一般的に、分解物の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、特に1重量%〜20重量%、特に約5重量%のオーダーの活性物質の濃度を有する分解物が得られる。
【0040】
分解物は、種々の形、即ち溶液の形又は粉末の形、で使用され得る。
【0041】
本発明に最も特に適する微生物は以下の種、
即ちビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブリーブ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンチス(Bifidobacterium adolescentis)又はビフィドバクテリウム シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、及びそれらの混合物から選択された属ビフィドバクテリウム種、に属する。
【0042】
ビフィドバクテリウム ロンガムは本発明に最も特に適する。
【0043】
分解物は有利には、INCI名:ビフィダットファーメントリゼート(Bifidat ferment Lysate)で、EINECS名:ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)で、EINECS番号:306−168−4及びCAS番号:96507−89−0で登録されている分解物であってもよい。
【0044】
リペアコンプレックスCLR(商標)(Repair Complex CLR)の名前でK.リヒター社により販売されており、ビフィドバクテリウム ロンガム種の不活性化された分解物から形成されている製品は本発明の範囲に入る。
【0045】
本発明に従う有用な分解物は上で定義されたものである。
【0046】
サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体
当然に、角質層に存在するフィトスフィンゴシンは、天然に皮膚に存在する3つのスフィンゴイド塩基の1つに相当する。
【0047】
本発明の文脈において、より特に考慮されたフィトスフィンゴシン誘導体は、サリチル酸フィトスフィンゴシンタイプの誘導体、即ち少なくとも1のサリチル酸分子への少なくとも1のフィトスフィンゴシン分子の共有結合から誘導された化合物である。この結合はエステル又はアミドタイプであり得、好ましくはアミドタイプである。
【0048】
本発明の目的のために、これらのサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体は、対応する化合物の種々のイオンの形を含む。
【0049】
そのような誘導体は、有利に以下の構造式に対応する:
【0050】

【0051】
ここで、
Rは、
水素原子,
飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状のC〜C49の脂肪族残基であって、ヒドロキシル基で置換されていてもよい基、
又は
基Y−O(C
を表し、
ここでaは7〜50の整数であり、bは10〜100の整数であり、mは0又は1であり、YはH又は下記式−CO−(C)CHを有するC14〜C22の脂肪酸を表し、
Zは−OH又はエポキシの酸素であり、xは12〜20の整数であり、yは20〜40の整数であり、zは0又は1〜4の整数であり;
は、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC〜C28、特にC10〜C20、特にC12〜C18の脂肪族残基であって、ヒドロキシル基で置換されていてもよい基を表し、且つ
はH、ホスフェート基、サルフェート基、又は糖を表す。
【0052】
そのような誘導体は、より特に欧州特許出願公開第919226号に記載されている。
【0053】
R及びRがそれぞれ水素原子を表し、かつRが直鎖かつ飽和、特にC14のアルキル基を表す式Iの誘導体が本発明に最も特に適する。
【0054】
この誘導体は以下の式に該当する:
【0055】

【0056】
そのような誘導体は特に、エボニックゴールドシュミット社によりフィトスフィンゴシンSLCの名前で販売されている。
【0057】
本発明に従う有用なサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体は、上で定義されたようなものである。
【0058】
使用され得る、本発明に従う組合せを構成するサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体及び分解物のそれぞれの量は、「有効量」ともまた呼ばれ、もちろん所望される効果に依存し、かなりの程度変動することができる。
【0059】
本発明の目的のために、表現「有効量」は、期待される効果、即ち化粧的効果又は治療的効果、を観察するために必要な最小量を意味することが意図され、化粧的効果又は治療的効果を得るために必要な効果的な量は、必要に応じて、同一であり得る又は異なり得ることが理解される。
【0060】
大きさのオーダーを与えるために、本発明を構成する2つの化合物のそれぞれは、組成物の合計重量の0.0001〜50重量%、特に組成物の合計重量の0.001〜10重量%の量で存在し得る。
【0061】
より特に、本発明に従う組成物において、分解物を構成し、かつ属ビフィドバクテリウム種に属する活性剤は、支持体又はそれを含む組成物の合計重量に対して活性物質の乾燥重量で少なくとも0.001%(乾燥重量で表されている)の割合、特に0.01〜20%の割合、より特に0.01〜15%の割合で使用され得る。
【0062】
本発明に従う組成物におけるサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体それ自身は、支持体又はそれを含む組成物の合計重量に対して活性物質の乾燥重量で少なくとも0.0001%(乾燥重量で表されている)の割合で、特に0.001%〜20%の割合で、より特に、0.05%〜2%の割合で組成物に配合され得る。
【0063】
本発明に従う組成物
本発明に従って考慮されている組成物は、化粧料又は薬品、特に皮膚科の薬品、であり得る。
【0064】
本発明の目的のために、表現「状態の防止」は、皮膚の老化に伴う状態の発生を遅くすること、特に上で定義されたもの、を意味することを意図される。
【0065】
本発明に従って考慮されているすべての組成物は、生理学的に許容される媒体を使用する。
【0066】
本発明の目的のために、用語「生理学的に許容される媒体」は、ケラチン物質、特に皮膚、への組成物の適用に適する媒体を意味することが意図される。
【0067】
一の特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、皮膚の上で活性である少なくとも1の補助剤を含み得る。
【0068】
本発明に従う組合せを補うことのできる種々の成分の量は、考慮下の分野で慣用に使用されている量である。
【0069】
補助の活性剤
本発明の文脈において使用されることのできる補助の活性剤の例として、皮膚の状態を改善するための活性剤、例えば水和させる若しくは潤いを与える活性剤又は天然の脂質バリヤーを改善するための活性剤、例えばセラミド、硫酸コレステロール及び/又は脂肪酸コレステロール及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0070】
皮膚上で活性を有する酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、セレブロシダーゼ、アミダーゼ、及び/又はメラナーゼ、及びそれらの混合物、を使用することもまた可能であり得る。
【0071】
微生物、特にプロバイオチックな微生物、のタイプの活性剤、例えば国際公開第2006/000992号及び国際公開第2006/037922号に記載されているもの、を使用することもまた可能である。
【0072】
本発明の目的のために、用語「プロバイオチックな微生物」は、「生きた乳酸バクテリアを有する粉ミルクを含む食品におけるプロバイオチックの健康と栄養の性質の評価に関するFAO/WHO専門家会議」に従うと、適切な量で消費されるとき、そのホストの健康によい効果を有し、特に小腸の微生物バランスを改良することのできる生きた微生物を意味すると理解される。
【0073】
本発明に適する微生物は、特に子嚢菌、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)、ヤロウィア(Yarrowia)、クルイフェロミセス(Kluyveromyces)、トルラスポーラ(Torulaspora)、スキゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、デバロミセス(Debaromyces)、カンジダ(Candida)、ピチア(Pichia)、アスペルギルス(Aspergillus)及びペニシリウム(Penicillium)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属のバクテリア、バクテロイド、フゾバクテリウム(Fusobacterium)、メリッソコッカス(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ペプトストレポコッカス(Peptostrepococcus)、バチルス(Bacillus)、ペジオコッカス(Pediococcus)、ミクロコッカス(Micrococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)、ワイセラ(Weissella)、アエロコッカス(Aerococcus)、オエノコッカス(Oenococcus)、及びラクトバチルス(Lactobacillus)、及びそれらの混合物から選択されることができる。
【0074】
特に、本発明に特に適する子嚢菌として、ヤロウィアリポリチカ(Yarrowia lipolitica)及びクルイフェロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis)、同じく、サッカロミセスセレヴィシアエ(Saccharomyces cereviseae)、トルラスポラ(Torulaspora)、スキゾサッカラミセスポンベ(Schizosaccharamyces pombe)、カンジダ(Candida)、及びピチア(Pichia)が挙げられ得る。
【0075】
プロバイオチックな微生物の具体的な例は、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム インファチス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルスアシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスアアリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルスクルバトス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルスデルブルッキィ亜種(Lactobacillus delbruckii subsp)、ラクチス(Lactis)、 ラクトバチルスガッセリ(Lactobacillus gasseri)、 ラクトバチルスジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、 ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、 ラクトバチルスラムノスス(ラクトバチルスGG) (Lactobacillus rhamnosus(Lactobacillus GG))、 ラクトバチルスサケ(Lactobacillus sake)、 ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカスサーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、スタフィロコッカスカルノスス(Staphylococccus carnosus)、 及びスタフィロコッカスキシロスス(Staphylococcus xylosus)、及びそれらの混合物 である。
【0076】
より特に、それらは乳酸菌、特にラクトバチルス種及び/又はビフィドバクテリウムの群から誘導されるプロバイオチックな微生物である。これらの乳酸菌の例としてより特にラクトバチルスジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)及び/又はラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスラムノスス(Lactobacillus rhamnosus)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブリーブ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム インファチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンチス(Bifidobacterium adolescentis)又はビフィドバクテリウム シュードカテヌラトゥム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、及びそれらの混合物で挙げられ得る。
【0077】
ビフィドバクテリウム ラクチスの株は、Bb12の名前でハンセン社(Hansen) (Chr. Hansen A/S、デンマーク国、DK−2970 ホエルショルム、私書箱407号、ボエゲ アレ 10−12((Chr. Hansen A/S, 10−12 Boege Alle, P.O. Box 407, DK−2970 Hoersholm, Denmark)から得られ得る。
【0078】
該微生物は、本発明に従う組成物に、生きた、半活性の若しくは不活性の、又は死んだ形で含まれることができる。
【0079】
それ(それら)は、細胞成分のフラクション又は代謝物の形でもまた含まれることができる。微生物、代謝物又はフラクションは、凍結乾燥された粉、培養上澄及び/又は必要に応じて濃縮された形で導入されることもできる。
【0080】
局所組成物の場合は特に、不活性化又は死んだ形のこれらの微生物を使用することが有利であり得る。
【0081】
プロバイオチック微生物に関して、以下のバクテリア及び酵母属が一般的に使用される:
乳酸バクテリア:発酵により乳酸から糖を生産する。乳酸バクテリアはその形態に従って2つの群に分類される:
・ラクトバチルス種:アシドフィラス(acidophilus)(LC1,NCFB 1748);アミロヴォルス(amylovorus)、カセイ(シロタ)(casei (Shirota) )、ラムノスス(rhamnosus)(GG株)、ブレビス(brevis)、クリスパータス(crispatus)、デルブリュッキ(delbrueckii)(亜種ブルガリクス(bulgaricus)、ラクチス)、ファーメンタム(fermemtum)、ヘルベティカス(helveticus)、ガリナラム(gallinarum)、ガッセリ(gasseri)、ロンソニィ(lohnsonii)、パラカゼイ(paracasei)、プランタルム(plantarum)、ロイテリ(reuteri)、ラムノスス(rhamnosus)、連鎖球菌(salivarius)、
・ゴッシ(Gocci):エンテロコッカス(Enterocossus)(フェーカリス菌(faecalis)、フェシウム菌(faeciul))、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)(亜種ラクチス(lactis)又はクレモリス(cremoris))、リューコノストック メセンテロイデス亜種デキストラニカム(Leuconstoc mesenteroides subsp dextranicum)、ペディオコッカス アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)(動物の餌)、スポロラクトバチルス イヌリヌス(Sporolactobacillus inulinus)、ストレプトコッカス サリバリウス亜種(Streptococcus salvarius subsup.)、サーモフィルス(Thermophilus)、
ビフィドバクテリア又はビフィドバクテリウム種:ビフィドバクテリウム アドレセンチス(Bifidobacterium adolescentis); アニマリス(animalis)、ビフィダム(bifidum)、ブレーベ(breve)、ラクチス(lactis)、ロンガム(longum)、インファチス(infantis)、
イースト菌:サッカロマイセス(Saccharomyces)(セレビシエ(cerevisiae)又はブラルディ(boulardii))、
他の胞子形成バクテリア:バチルス(Bacillus)(セレウスヴァートヨ(cereus var toyo)又はスブチリス(subtilis))、バチルス コアギュランス(Bacillus coagulans)、B リケニフォルミス(licheniformis)、エシュリキアコリ株ニッスル(Escherichia coli strain nissle)、プロピオニバクテリウム フリューデンレイッヒイ(Propionibacterium freudenreichii)。
【0082】
乳酸バクテリア及びビフィドバクテリアは、最も一般的に使用されるプロバイオチックである。
【0083】
本発明に最も特に適するプロバイオチック微生物の具体的な例は、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム インファチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスアリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス カセイ亜種(Lactobacillus casei subsp)、カセイ(Casei)、ラクトバチルス カセイ シロタ(Lactobacillus casei Shirota)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス カルバータス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス デルビュルッキ亜種(Lactobacillus delbruckii subsp.)、ラクチス(Lactis)、ラクトバチルス ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus)(ラクトバチルス GG)、ラクトバチルス サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、スタフィロコッカス カルノスス(Staphylococccus carnosus)及びスタフィロコッカス キシロスス(Staphylococcus xylosus)、及びそれらの混合物である。
【0084】
より特に、それらは乳酸バクテリア、例えば特に、ラクトバチルス及び/又はビフィドバクテリウム、から誘導されるプロバイオチック微生物である。これらの乳酸バクテリアの例としてラクトバチルス ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス カセイ(Lactobacillus casei)若しくはビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム インファチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンチス(Bifidobacterium adolescentis)又はビフィドバクテリウム シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0085】
最も適する種は、ラクトバチルス ジョンソニィ、ラクトバチルス パラカゼイ、ビフィドバクテリウム アドレセンチス、ビフィドバクテリウム ロンガム及びビフィドバクテルム ラクチス NCC 2818(Bb12 ATCC 27536ともまた表示される)、それらは、それぞれ、1992年6月3日、1999年1月12日、1999年4月15日、1999年4月15日、及び2005年6月7日にブダペスト条約に従ってパスツール研究所(パリcedex15、F−75024、ドクタールー28通(28 rue du Docteur Roux,F−75024 Paris cedex 15)に以下の参照名、すなわちCNCM I−1225,CNCM I−2116,CNCMI−2168及びCNCM I−2170及びCNCM I−3446及びビフィドバクテリウム ロンガム属(BB536)で寄託されている。ビフィドバクテリウム ラクチス株CNCM I−3446は、ハンセン社(Hansen)(Chr.Hansen A/S、デンマーク国、DK−2970 ホエルショルム私書箱407号,ボエゲ アレ 10−12)から得られることができる。
【0086】
本発明の使用に適する活性剤の他の例は、鎮痛活性剤、抗酵母活性剤、抗菌性活性剤、駆虫性活性剤、抗真菌性活性剤、抗ウィルス性活性剤、ステロイド性抗炎症性活性剤、麻酔性活性剤、抗かゆみ活性剤、角質溶解性活性剤、フリーラジカル捕捉剤、抗脂漏性剤、抗ふけ活性剤、抗ニキビ活性剤、皮膚の老化を防ぐこと及び/又は皮膚の状態を改善することを目的とする活性剤、抗老化剤、抗皮膚炎活性剤、抗刺激性活性剤、免疫調節活性剤、乾燥皮膚を処理するための活性剤、制汗性活性剤、乾癬治療性活性剤、抗ヒスタミン性活性剤、治療するための活性剤、自己日焼け活性剤、抗酸化剤例えば緑茶又はその活性フラクション、グリセロール、ラポナイト、カフェイン、芳香性エッセンシャルオイル、脱色素活性剤、剥離性活性剤、脂質制御剤、柔軟にする活性剤、リフレッシュする活性剤、脱臭する活性剤、脱感作する活性剤、漂白する活性剤又は栄養を与える活性剤、及び皮膚の分化及び/又は増殖及び/又は色素沈着を減らすための活性剤、及びそれらの混合物を含む。
【0087】
補助活性剤は、バリヤー機能、皮膚脱収縮剤、抗グリケーション剤、真皮の及び/又は表皮の巨大分子の合成を刺激するため及び/又はそれらの分解を防ぐための剤、繊維芽細胞又はケラチン生成細胞増殖及び/又はケラチン生成細胞分化を刺激するための剤、ざらざらした外皮(horny envelope)の熟成を促進するための剤、NO−シンターゼ阻害剤、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)拮抗剤、脂肪分泌腺の活性を増加させるための剤、脂肪分泌腺の活性を増加させるための剤、細胞のエネルギー代謝を刺激するための剤、界面活性剤、脂肪再構築剤、スリム化するための剤、皮膚の毛細血管の循環を促進するための剤、鎮静剤、皮脂制御剤若しくは抗脂漏性剤、アストリンゼン、抗炎症剤及び抗ニキビ剤から選択され得る。
【0088】
本発明の文脈において使用され得る活性剤、特に抗老化活性剤、の中で、非制限的な例として、大豆タンパクの抽出物例えばSilab社によりRaffermine(商標)の商標名で販売されている製品、アデノシン若しくは合成アデノシン例えばPharma Waldoffにより販売されている製品、プロキシラン(pro−xylane)、ライムギの種の抽出物例えばCohelissの名前でSilabにより販売されているもの、アルファルファ(luzerne)の抽出物例えばVitanolの名前でSilabにより販売されているもの、テトラペプチド(N−acetyl−Gln−ASP−VAL−HIS)例えばDermican LS 9745の参照名でCognisにより販売されている製品、コメのトリペプチド及びジペプチド例えばNutriskinの参照名でSilabから入手可能なもの、モスビーン(Vigna aconitifolia)の種の抽出物例えばVitoptine LS 9529及びVit−A−Like LS9737の参照名でCognisにより販売されているもの、Euglena gracilisの抽出物例えばChronodynの参照名でSedermaから入手可能なもの、パルミチン酸と結合したコムギのアミノ酸、SeppicによりDeepline PVB(Lipacide PVB)の参照名で販売されているもの、ブルーベリーの抽出物例えばCosmetochem社からのHerbasol Myrtille Extract、ショウガの根の抽出物、シイタケ(Lentinus edodes)の水性抽出物例えばSilabからのFermiskin,及びLipotecにより販売されているアンタークティシン(antarcticine)、Punica granatumの抽出物、Liptec社からの、argireline SC36(ヘキサペプチド(アセチル−Glu−Glu−Meth−Glu−Arg−Arg−アミド))、オートムギの抽出物例えばReductineの参照名でSilabにより販売されている製品、ムラサキコメの抽出物例えばOryza社からのムラサキコメの抽出物、つる花細胞の分散物例えばNaolys社からのFiber Booster Sequoia vitis flower、フェルラ酸(ferullic acid)例えばOryza Oil and Fat社からのOryzaferulix、Voandzeia subterranea(バンバラメ(Bambara))の抽出物例えばCognis社からのFiladyn LS 9397、大豆抽出物例えばPentapharm社により販売されている製品Elhibin、加水分解されたプルーン(Prunus domestica)果実抽出物例えばIchimaru Pharco社からの参照名Clairju、が挙げられ得る。
【0089】
特に、本発明に適する皮膚上で活性である他の剤の中では、水和する及び/又は剥離するための活性剤例えばグリコール、ウレア若しくはその誘導体、HEPES,キレート化剤、洗剤、及びジャスモン酸誘導体、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0090】
当業者は、ケラチン物質上への所望される効果に従って該活性剤を選択する。
【0091】
剤型(Galenical forms)
経口投与の場合、本発明の組成物は任意の適切な形、特に経口の溶液の形、シロップ、タブレット、糖衣タブレット、ゲルカプセル、カプセル又は栄養食品若しくは栄養補助品であり得る。
【0092】
本発明に従う組成物は、経口投与に適する少なくとも1の適切な添加物をもまた含み得る。
【0093】
本発明に従って考慮されている組合せは、それを含む任意の組成物と同じように、有利に局所的に投与され得る。
【0094】
局所投与に向けられた組成物は特に水性、水性―アルコル若しくは油性溶液、溶液タイプの分散物若しくはローション若しくはセラムタイプの分散物、液体若しくは半液体の粘稠性を有するミルクタイプのエマルジョン(水性相に脂肪相を分散させることにより(O/W)又は逆(W/O)により得られる)又はクリームタイプの柔らかな、半固体の、又は固体の粘稠性の懸濁物又はエマルジョン、水性又は非水性のゲル、又はイオン及び/又は非イオンタイプのマイクロエマルジョン、マイクロカプセル、マイクロ粒子、又はベシクル性の分散物の形であり得る。
【0095】
本発明に従う組成物のpHは、少なくとも1の水性相(例えば、水性溶液、エマルジョン等)を含むときは、好ましくは4〜9、好ましくは4〜7、有利には5〜6、特に5.5のpHである。
【0096】
本発明に従う組成物は、多かれ少なかれ流動性であり得、白色又は着色されたクリーム、軟膏、ミルク、ローション、セラム、ペースト又はフォームの外観を有し得る。任意的にエアロゾルの形で皮膚に施与されてもよい。固体の形、例えばスティックの形、であってもよい。本発明に従う組成物は、ケア製品として使用され、それだけでなくトイレタリー製品及び/又はメイクアップ製品として使用されてもよい。
【0097】
この組成物は顔、手、脚、又は体のためのマスク、クレンジング、保護、トリートメント又はケアクリーム(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップ除去クリーム、ファンデーションクリーム、アンチサンクリーム)、メイクアップ除去ミルク、又はスキンケアローション、ゲル又はフォーム、例えばクレンジングローション、を構成し得る。
【0098】
一般的に、本発明の任意の組成物は、(体の皮膚の任意の領域の)皮膚又は(口腔の、頬骨の、歯肉の、生殖器の、結膜の)粘膜に施与され得る。
【0099】
公知の方法で、化粧料組成物は化粧料の分野で慣用である補助剤、例えば親水性又は親油性のゲル化剤、親水性又は親油性添加剤、保存料、抗酸化剤、溶媒、香料、フィラー、UV(サン)スクリーン、臭吸収剤及び染料をもまた含み得る。本発明の組成物において使用された成分の含有量及び性質は、当業者により本発明に従って考慮下の組合せの効果に実質的に影響しないように調節される。
【0100】
本発明に従う組合せは、皮膚、特に表皮、の保湿性、ホメオスタシス、皮膚のバリヤー機能を改善し、老化の表皮の兆候、例えばしわ、小じわ、表皮の引き締まり、弾力性、密度及び/又は緊張状態(tonicity)の喪失、を防ぐ及び/又は処理するため、特に有利であり得る。
【0101】
従って、特に本発明により目的とされる皮膚の状態は、皮膚が老化した外観を有する個体、特に45歳超及び/又は閉経後の女性又は非常の高齢の女性における乾燥皮膚及び非常に乾燥した皮膚であり得る。
【0102】
上述のように、本発明は、皮膚の老化している個体に、本発明に従う少なくとも1の組合せの投与を少なくとも含む方法、特に化粧的方法、に関する。
【0103】
そのような処理方法は、例えば日常的な、本発明に従う考慮下の組合せの特に局所的又は経口投与により行われ得る。
【0104】
本発明に従う方法は、単独の投与を含み得る。別の実施態様に従うと、投与は例えば1日以上にわたって、一般的には少なくとも4週間、又は4〜15週間さえ、の持続された期間にわたって、必要に応じて1以上の中断の期間をもって、日に2〜3回繰り返される。
【0105】
詳細な説明及び以下の実施例において、別に明記されなければ、百分率は、重量百分率であり、「〜と〜の間」の形で表現される値の範囲は、特定された下限及び上限を含む。
【0106】
以下の実施例及び図面は、本発明の分野の非制限的な説明により与えられる。
【実施例】
【0107】
実施例1
この実施例において、使用される分解物は、K. RICHTER GmbHによりリペアコンプレックスCLR(商標)の名前で販売される製品であり、該製品はビフィドバクテリウム ロンガム種の不活性化された分解物から構成され、サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体は、フィトスフィンゴシンSLCの名前でEvonick Goldschmidt社により販売されている製品である。
【0108】
以下の4つの組成物の効果がエピスキン(商標)再構築された表皮の分化について試験された。
A:配合物の支持体(エチルアルコール(3%)及び水(97%))、
B:分解物(エチルアルコール(3%)、水(87%)、分解物(10%))、
C:サリチル酸フィトスフィンゴシン(エチルアルコール(3%)、水(96.998%)、サリチル酸フィトスフィンゴシン(0.002%))、及び
D:本発明に従う組合せ=(0.002%のサリチル酸フィトスフィンゴシン+10%の分解物+エチルアルコール(3%)+水(86.998%))。
【0109】
J6エピスキン再構築表皮は、2mLの維持培地(maintenance medium)を含む12−ウェルプレートに入れられ、37℃及び5%COにおいて24時間培養された。培養後、表皮は試験組成物(50μl/再構築された表皮)で局所的に処理され、6時間培養された。
【0110】
これらの効果の特性は、処理から6時間後にリアルタイムPCR法(定量的PCR、qPCR)を用いてサイトケラチン6B(K6B)、サイトケラチン10(K10)、及びインボルクリン(INV)遺伝子の発現を分析することにより明らかにされた。
【0111】
1 保持されたプロトコル
a)分化発現の分析
選択されたマーカーの発現は、処理から6時間、24時間、及び48時間後に、各処理のエピスキン(商)再構築された表皮から抽出されたメッセンジャーRNA上でRT−qPCRにより評価された(複製はRNA抽出の前にプールされた)。
【0112】
b)逆転写
3つの試薬を使用して各サンプルから総RNAを抽出した。
潜在的に汚染しているDNAトレースは、DNAフリーシステムでの処理により除去された。ナノビューNanovue(アマーシャム(Amersham))を使用してRNAが定量された。
mRNA逆転写反応が、オリゴ(dT)プライマー及びスーパースクリプトII酵素(ギブコ(Gibco))の存在下で行われた。
得られたcDNAはナノビュー(アマーシャム)を使用して定量され、cDNAは10ng/μlに調節された。
【0113】
c)定量的PCR
PCR反応(ポリメラーゼ鎖反応)は、「ライトサイクラー(Light Cycler)」システム(ロシュモレキュラーシステムズ社)で定量的PCRにより行われた。この分析システムは、種々のプライマーについて分析条件の事前の設定と引き換えに迅速で効果的なPCR反応を実行することを可能にする。2つの主な要素からなる。
最適化された熱サイクラー:非常に速い熱の移転を許す;
蛍光光度計:DNAに取り込まれた蛍光の強度の連続測定を許す(521nmで検出)
【0114】
以下の特定のフラグメントの増幅を許す、検討されている遺伝子に特異的なプローブのペアが使用された。
【0115】

【0116】
各試料の反応混合物(10μl最終)は以下の通りである:
2.5μgのcDNA
使用された種々のマーカーのためのプライマー
TaqDNAポリメラーゼ酵素、SRグリーンIラベル(伸長段階の間に二重らせんDNAに挿入するフルオロフォア(fluorophore))及びMgClを含む反応混合物(ロシュ)。
【0117】
d)定量的PCRデータの加工
増幅されたDNAへの蛍光の取り込みは、PCRサイクルの間に連続的に測定される。このシステムはPCRサイクルの関数としての蛍光測定の曲線を得、従って各マーカーのための相対的な発現値を評価することを可能にする。
【0118】
サイクルの数は蛍光曲線の「出口」点に基づいて決定される。分析された単独のマーカーの場合、試料が遅くに出るほど(サイクルの高い数)、mRNAのコピーの初期数は低い。
【0119】
相対的な発現値は、以下の式に従って、任意の単位で表される:

(1/2サイクルの数)x10
【0120】
e)遺伝子の発現に観察された効果の標準化
標準化された解釈のために、以下の分類表が保持された
【0121】

【0122】
2−結果
マーカーに関する3つの調査の発現動力学は、以下の表1に示され、かつ図1において説明される。
【0123】
結果は、G3PDHメッセンジャー(参照遺伝子)の量に関連し、処理されていない対照の%として表されている。
【0124】

【0125】
この試験の実験条件下で、本発明に従う組合せのみが6時間後に、サイトケラチン6B、サイトケラチン10及びインボルクリンをエンコードする遺伝子の発現を増加させる。
【0126】
実施例2
化合物は、場合によって、化学名又はCTFA(国際化粧料成分辞書及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook))名として言及されている。
【0127】

【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、対照(100%)に対する発現の増加パーセンテージを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質のケア及び/又はメイクアップのために用いられる化粧料組成物において、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と、属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の、少なくとも1の分解物とを含む前記組成物。
【請求項2】
上記属ビフィドバクテリウム種の微生物が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブリーブ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンチス(Bifidobacterium adolescentis)及びビフィドバクテリウム シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記分解物が、組成物の総重量に対して活性物質の乾燥重量で、少なくとも0.001%(乾燥重量として表され)の割合、特に0.01%〜20%の割合、より特に0.1%〜15%の割合で使用される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
上記サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体が以下の式:

ここで、
Rは、
水素原子,
飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状のC〜C49の脂肪族残基であって、ヒドロキシル基で置換されていてもよい基、
又は
基Y−O(C
を表し、
aは7〜50の整数であり、bは10〜100の整数であり、mは0又は1であり、YはH又は式−CO−(C)CHを有するC14〜C22の脂肪酸を表し、
Zは−OH又はエポキシの酸素であり、xは12〜20の整数であり、yは20〜40の整数であり、zは0又は1〜4の整数であり;
は、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC〜C28の脂肪族残基であって、ヒドロキシル基で置換されていてもよい基を表し、且つ
はH、ホスフェート基、サルフェート基、又は糖を表す、
に該当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
R及びRがそれぞれ水素原子を表し、かつRが飽和の直鎖のアルキル基を表す、請求項4に記載に組成物。サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体が、

であるか又はその塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
サリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体が、組成物の合計重量に対して活性物質の乾燥重量で、少なくとも0.0001%(乾燥重量として表され)の割合、特に0.001%〜20%の割合、より特に、0.05%〜2%の割合で使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
上記組成物が局所投与に向けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せを、KRTB6,KRT10及びインボクリン遺伝子から選択された少なくとも1の遺伝子の発現を刺激するために、皮膚が老化している個体に化粧的に使用する方法。
【請求項9】
属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と、少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む組合せを、上皮組織、特に表皮、特に老化した表皮、の修復及び再生能力を強化するために化粧的に使用する方法。
【請求項10】
属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物を少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体と組合せて、上皮組織、特に表皮、特に老化した表皮、の修復及び再生能力を強化するための組成物の製造のために使用する方法。
【請求項11】
属ビフィドバクテリウム種の少なくとも1の微生物の少なくとも1の分解物と少なくとも1のサリチル酸フィトスフィンゴシン誘導体とを含む少なくとも1の組合せを、皮膚の老化している個体に投与することを少なくとも含む化粧的処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−168379(P2010−168379A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−3183(P2010−3183)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】