説明

微生物感染を予防または制御するための共生Bacillus芽胞の局所的使用

【課題】細菌、酵母、真菌、またはウイルスによって引き起こされる種々の微生物感染を阻害するための、単離されたBacillus種を利用する治療用組成物、製品、および使用方法を提供すること。
【解決手段】酵母、真菌、細菌、または単純ヘルペスウイルスの増殖を阻害するための局所適用のために適切な、単離されたBacillus種、B.coagulansの芽胞または細胞外産物を含む組成物が、開示される。単離されたBacillus種、B.coagulans株の芽胞または細胞外産物を含む組成物を局所的に適用することによって、酵母、真菌、細菌、または単純ヘルペスウイルスの増殖を阻害する方法が、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、局所的薬剤としての治療用組成物において共生Bacillus生物を利用すること、そして特に微生物感染の予防および制御のためのBacillus coagulans由来の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
共生物質薬剤は、特定の環境において増殖する場合に、しばしば同じ環境において他の生物学的生物の増殖を阻害することによって利益を付与する生物である。共生物質の例には、病原体を置換または破壊するために腸において少なくとも一時的に増殖し得、そしてその宿主生物に対して他の利益を提供し得る細菌およびバクテリオファージが含まれる(Salminenら、Antonie Van Leeuwenhoek,70(2-4):347-358,1996;Elmerら、JAMA,275:870-876,1996;Rafter,Scand.J.Gastroenterol.,30:497-502,1995;Perdigonら、J.Dairy Sci.,78:1597-1606,1995;Gandi,Townsend Lett.Doctors & Patients,108-110頁、Jan.1994;Lidbeckら、Eur.J.Cancer Prev.1:341-353,1992)。共生物質調製物は、1990年代の初期に、健康および長寿に対するそれらの効果について体系的に評価された(Metchnikoff,E.,Prolongation of Life,Wilham Heinemann,London,1910;G.P.Putnam's Sons,New York,NY,1970によって再発行された)。病原微生物を処理するための、1950年ごろにおける抗生物質の発見および広範な使用以来、共生物質の使用は制約されてきた。
【0003】
抗菌剤、特に広い範囲の抗生物質の広範な使用は、重大な結果をもたらした。抗生物質を服用している個人は、消化管の有益な微生物が死滅し、したがって胃腸叢の均衡が変化した場合に、しばしば、胃腸の不調を患う。この不均衡は、ビタミンを産生する消化管の細菌が死滅した場合には、ビタミン欠乏を生じ得、そして/または病原生物が過剰増殖し、そして有益な胃の微生物を置換した場合には、病気を生じ得る。消化管の微生物叢に加えて、有益なおよび/または病原微生物は、口腔、陰部領域、および膣に生息し得る(Thomason J.L.ら、Am.J.Obstet.Gynecol.165 (4 Pt.2):1210-1217,1991;Marsh,P.D.,Caries Res.27 (補遺1):72-76,1993;Lehner T.,Vaccine 3(1):65-68,1985;Hill L.V.& Embil,J.A.,Can.Med.Assoc.J.134(4):321-331,1986)。抗菌薬物の使用は、微生物の不均衡を同様に引き起こし得、そしてこのような領域にコロニー形成する共生細菌、特にLactobacillus株の治療的使用が開示されている(Winberg,J.ら、Pediatr.Nephrol.7(5):509-514,1993;Malin M.ら、Ann.Nutr.Metab.40(3);137-145,1996;米国特許第5,176,911号)。
【0004】
抗生物質耐性を発達させた病原微生物の数は増えるにつれて、第2および第3世代の抗生物質の開発および使用を必要とする。複数の薬物に対して耐性である微生物もまた発生しており、しばしば、種間に広がる複数の薬物耐性を伴い、抗生物質の使用によって制御され得ない重篤な感染を導いている。
【0005】
日和見微生物感染は、しばしば、免疫不全の個人において生じる。免疫不全の個人は、天然の免疫が損なわれており、病原体に対する個人の低減した免疫応答に起因して、病原微生物が内部的にかまたは外部的にのいずれかで、生存および増殖することを可能にしている。免疫不全は、遺伝子の状態、AIDSのような疾患、またはガンの治療(化学療法または放射線治療)および臓器移植後の薬物媒介免疫抑制のような治療的処置から生じ得る。共生物質による病原微生物の阻害は、日和見感染の予防または処置のために、特に免疫不全の個人において有用である。
【0006】
したがって、微生物がすでに耐性であるかまたは耐性になり得る抗生化学物質を使用せずに病原微生物の増殖を制御し得る、予防的および治療的薬剤に対する必要性が存在する。共生物質は、薬物耐性病原体の進化に寄与することなしに、病原体に対して有益な微生物の均衡を回復するために、内部的にかまたは外部的にのいずれかで適用され得る。
【0007】
乳酸産生細菌(例えば、Bacillus、Lactobacillus、およびStreptococcus種)は、食物添加物として使用されてきており、そしてこれらが栄養的および治療的な価値を提供するといういくつかの主張が存在してきた(Gorbach S.L.,Ann.Med.22(1):37-41,1990;Reid,Gら、Clin.Microbiol.Rev.3(4):335-344,1990)。いくつかの乳酸産生細菌(例えば、ヨーグルトを作るために使用される細菌)は、ヒトの腫瘍を予防するのに有用な抗変異誘発特性および抗ガン特性を有することが示唆されている(Pool-Zobel B.L.ら、Nutr.Cancer 20(3):261-270,1993;米国特許第4,347,240号)。いくつかの乳酸産生細菌はまた、細菌の抗菌効果を担う阻害性代謝物であるバクテリオシンを産生する(Klaenhammer T.R.,FEMS Microbiol.Rev.12(1-3)39-85,1993;Barefoot S.F.& Nettles C.G.,J.Dairy Sci.76(8):2366-2379,1993)。
【0008】
抗生物質を産生する選択されたLactobacillus株は、感染、副鼻腔炎、痔核、歯の炎症、および他の炎症状態の処置のために有効であるとして開示されている(米国特許第4,314,995号)。L.reuteriは、グラム陰性およびグラム陽性細菌、酵母、および原生動物に対する活性を有する抗生物質を産生する(米国特許第5,413,960号および米国特許第5,439,678号)。L.casei ssp.rhamnosus株LC-705、DSM 7061は、単独またはPropionibacterium種と組み合わせて、発酵ブロスにおいて、食物およびサイレージにおける酵母およびカビを阻害することが示されている(米国特許第5,378,458号)。また、抗真菌Serratia種、特にS.rubidaea FB299は、単独または抗真菌B.subtilis(FB260株)と組み合わせて、動物の飼料を保存するために動物飼料および/またはサイレージに添加されている(米国特許第5,371,011号)。
【0009】
Bacillus coagulansは、均一発酵条件において、L(+)乳酸(右旋性)を産生する非病原性のグラム陽性芽胞形成細菌である。栄養媒地中に接種された熱処理土壌サンプルのような、天然の供給源から単離されている(Bergey's Manual of Systemic Bacteriology,Vol.2,Sneath,P.H.A.ら、編、Williams & Wilkins,Baltimore,MD,1986)。精製されたB.coagulans株は、エンドヌクレアーゼ(例えば、米国特許第5,200,336号)、アミラーゼ(米国特許第4,980,180号)、ラクターゼ(米国特許第4,323,651号)、およびシクロ-マルト-デキストリングルカノ-トランスフェラーゼ(米国特許第5,102,800号)を含む酵素の供給源として役立っている。B.coagulansは、乳酸を産生するために使用されている(米国特許第5,079,164号)。B.coagulansの株(L.sporogenes Sakaguti & Nakayama(ATCC 31284)と呼ばれる)は、他の乳酸産生細菌およびB.nattoと組み合わされて、蒸かした大豆からの発酵食品を生じる(米国特許第4,110,477号)。B.coagulans株はまた、疾患を減少させ、そして飼料効率を改善し、それによって動物の成長速度を増大させるために、家禽および家畜のための動物の飼料添加物として使用されてきた(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第93/14187号パンフレット
【特許文献2】国際公開第94/11492号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
現在、Bacillus種が、皮膚または粘膜組織上のような好気性条件における共生物質活性を示す能力を有し、それによって微生物感染によって引き起こされる多くの状態を処置、制御、および/または阻害することが見出されている。本発明は、単離されたBacillus種を利用する細菌、酵母、真菌、またはウイルスによって引き起こされる種々の微生物感染を阻害するための、治療用組成物、製品、および使用方法を記載する。
【0012】
本発明にしたがって有用ないくつかのBacillus種が存在する。それらには、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusが含まれる。本発明の例であるが、Bacillus coagulansは、他のBacillus種についての単に1つのモデルであるだけであり、そしてそれゆえ、本発明が限定されるとは考えられない。
【0013】
本発明にしたがって、哺乳動物の皮膚または粘膜に対する局所適用に適切である薬学的に受容可能なキャリア中に、単離されたBacillus種を含む組成物が提供される。組成物の1つの実施態様において、Bacillus種は、芽胞の形態で、組成物中に含まれる。別の実施態様において、Bacillus種は、組成物中に、乾燥細胞塊の形態で含まれる。組成物中において、キャリアは、エマルジョン、クリーム、ローション、ゲル(ジェル)、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物であり得る。
【0014】
本発明の好ましい局面にしたがって、哺乳動物の皮膚または粘膜への局所適用に適切な薬学的に受容可能なキャリア中に、Bacillus coagulans種の細胞外産物を含む組成物が提供される。1つの実施態様おいて、細胞外産物は、単離されたBacillus coagulans種の培養物の上清または濾液である。キャリアは、エマルジョン、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物であり得る。
【0015】
本発明の別の局面に従って、哺乳動物の皮膚または粘膜へ、単離されたBacillus種を含有する共生物質組成物を局所的に適用する工程;および細菌、酵母、真菌、またはウイルスの増殖を阻害するために十分な時間、このBacillus種を局所的に増殖することを可能にする工程を包含する、細菌、酵母、真菌、またはウイルスの感染を予防するための方法が提供される。1つの実施態様は、上記の適用工程の後に、共生物質組成物においてBacillus種の芽胞を提供する工程、およびこの芽胞が発芽することを可能にする工程をさらに包含する。1つの実施態様において、Bacillus種が増殖することを可能にする工程は、Staphylococcus種、Streptococcus種、Pseudomonas種、Escherichia coli、Gardnerella vaginalis、Propionibacterium acnes、Aeromonas hydrophilia、Aspergillus種、Proteus種、Aeromonas種、Clostridium種、Klebsiella種、Candida種、およびTrichophyton種からなる群から選択される1つ以上の微生物種の増殖を阻害する。特定のウイルス種もまた阻害される。別の実施態様において、適用する工程は、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物の形態の共生物質組成物を適用する。
【0016】
本発明の別の局面に従って、皮膚または粘膜に、単離されたBacilllus coagulans種の細胞外産物を含む組成物を局所的に適用する工程、およびこの組成物が、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの任意の組み合わせの増殖を阻害するのに十分な時間存在することを可能にする工程を包含する、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの組み合わせの増殖を阻害する方法を提供する。1つの実施態様において、適用する工程は、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物の形態の組成物を適用する工程を包含する。
【0017】
本発明の別の局面に従って、可撓性の物品が、哺乳動物の皮膚または粘膜によって着用されるかまたはそれらに付着して、単離されたBacillus種の共生物質活性が、該皮膚または該粘膜の付近でまたは該皮膚または該粘膜上で生じることを可能にすることが意図されている物品に適用された単離されたBacillus種を含む組成物が提供される。
【0018】
本発明の別の局面に従って、単離されたBacillus種を含む組成物を、固体表面に適用する工程;該Bacillus種が表面上に適用された該固体表面を、哺乳動物の皮膚または粘膜と接触させる工程;および該固体表面を、該単離されたBacillus種の共生物質活性の開始を可能にするのに十分な時間、該皮膚または粘膜に接触させ、該皮膚もしくは粘膜の付近のまたは該皮膚もしくは粘膜上での、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの組み合わせの増殖を阻害する工程を包含する、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの任意の組み合わせの増殖を阻害する方法が提供される。1つの実施態様において、上記適用する工程は、おむつ、皮膚または粘膜を拭うための柔軟な物質、皮膚パッチ、粘着テープ、吸収パッド、タンポン、または衣料物品に、組成物を適用する工程を包含する。別の実施態様において、上記適用する工程は、組成物を繊維状または非繊維状の固体マトリックスに染み込ませる工程を包含する。
【0019】
本発明はまた、ラベル、および本明細書中に記載される治療用組成物を含む容器を含む、微生物感染を治療、減少、または制御するための治療システムを記載し、ここで、該ラベルは、感染を治療するための組成物の使用のための使用説明書を含む。
【0020】
本発明は、いくつかの利点を提供する。特に、抗生物質耐性微生物種を産生する可能性のために、抗生物質の使用に対する有害な効果がある限り、従来の抗微生物試薬を使用しない抗微生物治療を有することが望ましい。本発明は、抗生物質耐性病原体の将来の世代の産生に寄与しない。
【0021】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
1.Bacillus種を、哺乳動物の皮膚または粘膜への局所適用のために適切である薬学的に受容可能なキャリア中に含む、組成物。
2.前記Bacillus種が、芽胞の形態で前記組成物中に含まれている、項目1に記載の組成物。
3.前記Bacillus種が乾燥細胞塊の形態で前記組成物中に含まれている、項目1に記載の組成物。
4.前記Bacillus種が、 Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusからなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
5.前記組成物が、組成物1グラムあたり、103〜1012の生存可能な細菌または芽胞を含む、項目1に記載の組成物。
6.フルクト-オリゴサッカライド(FOS)の有効量をさらに含む、項目1に記載の組成物。
7.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約10〜1000ミリグラムの量で存在する、項目6に記載の組成物。
8.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約100〜500ミリグラムの量で存在する、項目6に記載の方法。
9.前記キャリアが、エマルジョン、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物である、項目1に記載の組成物。
10.Bacillus coagulans株の細胞外産物を、哺乳動物の皮膚または粘膜への局所適用に適切な薬学的に受容可能なキャリア中に含む、組成物。
11.前記細胞外産物が、Baillus coagulans株の培養物の上清または濾液である、項目10に記載の組成物。
12.前記キャリアが、エマルジョン、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物である、項目10に記載の組成物。
13.約1〜75重量%のエミュオイルをさらに含む、項目10に記載の組成物。
14.細菌、酵母、真菌、またはウイルスの感染を予防する方法であって、以下:
哺乳動物の皮膚または粘膜に、Bacillus種を含む共生物質組成物を局所的に適用する工程;および
該Bacillus種が、細菌、酵母、真菌、またはウイルスの増殖を阻害するのに十分な時間、局所的に増殖することを可能にする工程、
を包含する、方法。
15.前記適用する工程の後に、前記共生物質組成物中に前記Bacillus種の芽胞を提供する工程、および該芽胞が発芽することを可能にする工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
16.前記 Bacillus種が、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusからなる群から選択される、項目14に記載の方法。
17.前記組成物が、組成物1グラムあたり、103〜1012の生存可能な細菌または芽胞を含む、項目14に記載の方法。
18.前記投与する工程が、1日あたり、108〜1010の生存可能な細菌または芽胞を適用する工程を包含する、項目14に記載の方法。
19.前記投与する工程が、1日あたり、5×108〜109の生存可能な細菌または芽胞を適用する工程を包含する、項目14に記載の方法。
20.有効量のフルクト-オリゴサッカライド(FOS)をさらに包含する、項目14に記載の方法。
21.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約10〜1000ミリグラムの量で存在する、項目20に記載の方法。
22.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約100〜500ミリグラムの量で存在する、項目20に記載の方法。
23.前記Bacillus種が増殖することを可能にする工程が、Staphylococcus種、Pseudomonas種、Escherichia coli、Proteus種、Klebsiella種、Candida種、およびTrichophyton種からなる群から選択される1つ以上の微生物の増殖を阻害する、項目14に記載の方法。
24.前記適用する工程が、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物の形態の共生物質組成物を適用する工程を包含する、項目14に記載の方法。
25.細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの組み合わせの増殖を阻害する方法であって、以下:
皮膚または粘膜に、Bacilllus coagulans株の細胞外産物を含む組成物を局所的に適用する工程;および
該組成物が、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの任意の組み合わせの増殖を阻害するのに十分な時間存在することを可能にする工程、
を包含する、方法。
26.前記適用する工程が、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁液、エアロゾルスプレー、パウダー、エアロゾルパウダー、または半固体処方物の形態の組成物を適用する工程を包含する、項目25に記載の方法。
27.前記組成物が、約1〜75重量%のエミュオイルをさらに含む、項目25に記載の方法。
28.可撓性の物品および該可撓性の物品に適用された有効量のBacillus種を含む製品であって、ここで、該可撓性の物品が、哺乳動物の皮膚または粘膜によって着用されるかまたはそれらに付着して、単離されたBacillus種の共生物質活性が、該皮膚または該粘膜の付近でまたは該皮膚または該粘膜上で生じることを可能にすることを意図されている、製品。
29.前記Bacillus種が、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusからなる群から選択される、項目28に記載の製品。
30.前記有効量が、物品あたり、約103〜1012の生存可能な細菌または芽胞である、項目28に記載の製品。
31.有効量のフルクト-オリゴサッカライド(FOS)をさらに含む、項目28に記載の製品。
32.前記FOSが、物品あたり、約10〜1000ミリグラムの量で存在する、項目31に記載の製品。
33.前記物品が、絆創膏、タンポン、女性の生理用ナプキン、または衣服の物品からなる群から選択される、項目28に記載の製品。
34.細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの任意の組み合わせの増殖を阻害する方法であって、以下:
Bacillus種を含む組成物を、固体表面に適用する工程;
該Bacillus種が表面上に適用された該固体表面を、哺乳動物の皮膚または粘膜と接触させる工程;および
該固体表面を、該単離されたBacillus種の共生物質活性の開始を可能にするのに十分な時間、該皮膚または粘膜に接触させ、該皮膚もしくは粘膜の付近のまたは該皮膚もしくは粘膜上での、細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの組み合わせの増殖を阻害する工程、
を包含する、方法。
35.前記固体表面が、オムツ、皮膚または粘膜を拭うための柔軟な物質、皮膚パッチ、粘着テープ、吸収パッド、タンポン、または衣服の物品からなる群から選択される可撓性の物品を包含する、項目34に記載の方法。
36.前記適用する工程が、前記組成物を繊維性または非繊維性の固体マトリックスに染み込ませる工程を包含する、項目34に記載の方法。
37.前記Bacillus種が、芽胞の形態で、前記組成物中に含まれる、項目34に記載の方法。
38.前記Bacillus種が、乾燥細胞塊の形態で、前記組成物中に含まれている、項目34に記載の方法。
39.前記Bacillus種が、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusからなる群から選択される、項目34に記載の方法。
40.前記組成物が、組成物1グラムあたり、103〜1012の生存可能な細菌または芽胞を含む、項目34に記載の方法。
41.有効量のフルクト-オリゴサッカライド(FOS)をさらに含む、項目34に記載の方法。
42.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約10〜1000ミリグラムの量で存在する、項目41に記載の方法。
43.前記FOSが、組成物1グラムあたり、約100〜500ミリグラムの量で存在する、項目41に記載の方法。
44.細菌、酵母、真菌、ウイルス、またはこれらの組み合わせの増殖を阻害するための治療システムであって、ラベルおよび項目1に記載のBacillusを含有する組成物を含む容器を含み、ここで、該ラベルは、該増殖を阻害するための組成物の使用のための使用説明書を含む、治療システム。
【0022】
上記の一般的な記載および以下の詳細な説明の両方は、単に例示的かつ説明的であるだけであり、請求される本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、Bacillus種が微生物感染を予防するかまたは制御する共生物質として、治療化合物に使用され得るという発見に関する。さらに議論するように、本組成物は多くの形状で処方され得る。なぜならば、細菌は生存可能な生物として、栄養細胞または芽胞のいずれかとして提示され、そして目的の組織をコロニー形成するからである。この細胞/芽胞は、組織に対する局所的な適応に適切な組成物中に、または湯船のような懸濁液中に提示され得るか、あるいはおむつ、バンドエイド、タンポン、および類似の私的物品のような可撓性の物品(細菌を局所的に皮膚または粘膜組織へと導入する目的に関する全てのもの)上に提示され得る。
【0024】
Bacillus種はBacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus laterosporus、およびBacillus laevolacticusの群から選択される種であり得、これらは全て芽胞を形成する能力を有し、そして好気的に組織をコロニー形成し得る。従って、本明細書中の多くの例は、特にBacillus coagulans種に言及するが、任意のBacillus種が本発明の組成物、製造物品、システムおよび方法に使用され得ることが意図される。
【0025】
Bacillus種は、そのBacillus属の種間に共通の特性(特に芽胞を形成する能力が挙げられる)に起因して、本発明に特に適している。芽胞は熱および他の状況に比較的耐性であり、この特性により、Bacillus種は製品処方物の保存(有効期限)に理想的となり、ならびに微生物感染に供される組織に対するpH、塩度などの条件下での組織の生存およびコロニー形成に理想的となる。さらに有用な特性として、非病原性、好気性、通性および従属栄養性が挙げられ、このことによって、これらの種は安全となり、ならびに皮膚および粘膜組織をコロニー形成し得る。
【0026】
種々の異なるBacillus種が存在し、これには商業的な供給源および公共の供給源(例えば、American Tissue Culture Collection(ATCC))を介して入手可能な多くの異なる株が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Bacillus coagulans株はATCC受託番号15949、8038、35670、11369、23498、51232、11014、31284、12245、10545および7050として入手可能である。Bacillus subtilis株はATCC受託番号10783、15818、15819、27505、13542、15575、33234、9943、6051a、25369、11838、15811、27370、7003、15563、4944、27689、43223、55033、49822、15561、15562、49760、13933、29056、6537、21359、21360、7067、21394、15244、7060、14593、9799、31002、31003、31004、7480、9858、13407、21554、21555、27328および31524として入手可能である。Bacillus laterosporus株はATCC受託番号6456、6457、29653、9141、533694、31932および64(Bacillus laterosporus BODを含む)として入手可能である。Bacillus laevolacticus株はATCC受託番号23495、23493、23494、23549および23492として入手可能である。
【0027】
これらの種々のBacillus種の細胞培養物、細胞ペーストおよび芽胞調製物を形成する増殖は、一般に当該分野において周知である。Bacillus coagulansについての例示的な培養および調製方法が本明細書中に記載され、そして他のBacillus種についても容易に使用され得る。
【0028】
微生物感染を制御、処置または減少するための共生物質としてBacillus coagulansを使用する、例示的な方法および組成物が、本明細書中に記載される。
【0029】
本明細書中に使用される「共生物質」とは、少なくとも一過性叢または内因性叢の一部を形成し、それによって宿主生物に対して有益な予防効果および/または治療効果を有する微生物(例えば、細菌、酵母、ウィルスおよび/または真菌)をいう。共生物質は、安全であることが一般的に当業者に公知である。任意の特定の機構に拘束されることは望まないが、Bacillus種の共生物質活性は、優れたコロニー形成、望ましくない微生物への寄生、乳酸産生および/または抗菌活性を有する他の細胞外生成物あるいはそれらの組み合わせに起因する、病原体の増殖の競合阻害から生じると考えられる。これらのBacillusの生成物および活性は、相乗的に作用して有益な共生物質効果を生成し得る。
【0030】
A.Bacillus coagulans組成物
本発明者らは、精製したBacillus coagulansが例示的であり、そして種々の微生物病原体の生物学的制御のための共生物質として好ましいことを説明している。
【0031】
B.coagulansは熱耐性の芽胞を形成するので、微生物感染を処置するための薬学的組成物を作製するために特に有用である。薬学的に受容可能なキャリア中に生存可能なB.coagulans芽胞を含む局所処方物は、予防用および治療用組成物の両方を作製ならびに使用するのに特に好ましい。用語「局所(的)」とは、広範に使用され、身体の表皮および/または皮膚表面の両方、ならびに粘膜表面を含む。
【0032】
B.coagulansは非病原性であり、そして一般に安全(すなわち、U.S.FoodおよびDrug AdministrationによるGRAS分類)とみなされる。グラム陽性桿菌は1.0μmより大きい細胞直径を有し、胞子嚢の可変性膨張を伴い、パラ胞子結晶の生成を伴わない。
【0033】
1.B.coagulansの増殖
B.coagulansは好気性および通性であり、代表的に、pH5.7〜6.8、2(重量)%までのNaClを含む栄養ブロス中で増殖されるが、NaClもKClも増殖には必要とされない。約4〜約6のpHが芽胞からの増殖の開始に最適である。約30℃〜約55℃で最適に増殖され、そして芽胞は低温殺菌法を耐え得る。硝酸塩および硫酸塩供給源を利用することによって、通性および従属栄養性増殖を示す。B.coagulansのさらなる代謝特徴は表1に要約される。
【0034】
【表1】

【0035】
B.coagulansは種々の倍地中で増殖され得るが、特定の増殖条件が高レベルの芽胞化を生じる培養物を生成することが、見出されている。例えば、芽胞化は、培養培地が1リットルあたり10mgの硫酸マンガンを含む場合増強され、約80:20の芽胞対栄養細胞の比を生じる。さらに、特定の増殖条件は特に本発明に適した、すなわち微生物感染を制御する、代謝酵素のスペクトルを含む細菌芽胞を生成する。これらの特定の増殖条件によって生成される芽胞が好ましいが、任意の適合した増殖条件により生成される芽胞が本発明に有用なB.coagulansを生成するのに適している。
【0036】
B.coagulansの増殖に適した培地には、Nutristart701、PDB(ポテトデキストロースブロス)、TSB(トリプシンダイズ(tryptic soy)ブロス)およびNB(栄養ブロス)が挙げられ、これらはすべて周知であり、そして種々の供給源から入手可能である。肉および魚組織の酵素消化物を含む、ならびに食品酵母を含む培地補充物が特に好ましい。好ましい補充物は、少なくとも60%タンパク質および約20%の複合糖質および6%の脂質を含む培地を生成する。培地は種々の商業的供給源、特にDIFCO(Detroit,MI)、Oxoid(Newark,NJ)、BBL(Cockeyesville,MD)およびTroy Biologicals(Troy,MI)から入手され得る。
【0037】
B.coagulansの調製の好ましい手順は以下のとおりである。B.coagulans Hammer細菌は、標準的なエアリフト(airlift)醗酵容器を30℃で使用して、5gのペプトン、3gの肉抽出物、10〜30mgのMnSO、および1,000mlの蒸留水を含み、pH7.0に調製された栄養ブロス中に接種されて、そして増殖させられた。芽胞化のために受容可能なMnSOの範囲は1mg/l〜1g/lである。栄養細胞は65℃まで活発に繁殖し得、そして芽胞は90℃まで安定である。醗酵後、B.coagulans Hammer細菌細胞は標準的な方法(例えば、ろ過、遠心分離)を使用して回収され、そして回収した細胞および芽胞は凍結乾燥、噴霧乾燥、空気乾燥または凍結され得る。本明細書中に記載されるように、細胞培養物からの上清は回収され、そして本発明の処方物中において有用な抗菌活性を有する、B.coagulansによって分泌された細胞外薬剤として使用され得る。
【0038】
上の培養物由来の代表的な収量は、乾燥前は1gあたり約1000〜1500億細胞/芽胞である。芽胞は、乾燥後、室温で保存した場合は7年目までは少なくとも90%の生存率を維持し、それゆえ室温でのB.coagulans Hammer芽胞を含む組成物の有効な有効期限は約10年である。
【0039】
2.抗菌活性を有する細胞外生成物
B.coagulans培養物は、抗菌活性を有する分泌生成物を含む。これらの分泌生成物は本発明の治療用組成物において有用である。細胞培養物は上記のように収集され、そして培養上清は、ろ過または遠心分離、あるいはその両方によって回収され、そして得られた上清は治療用組成物に有用な抗菌活性を含む。B.coagulans細胞外生成物の調製は実施例に記載される。
【0040】
3.B.coagulansの供給源
精製B.coagulans細菌は、以下の受託番号を使用してAmerican Type Culture Collection(Rockville,MD)から入手可能である:B.coagulans Hammer NRS T27(ATCC#11014)、B.coagulans Hammer C株(ATCC#11369)、B.coagulans Hammer(ATCC#31284)およびB.coagulans Hammer NCA4259(ATCC#15949)。精製B.coagulans細菌はまた、以下の受託番号を使用してDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkuturen GmbH(Braunschweig,Germany)から入手可能である:B.coagulans Hammer 1915AL(DSM#2356)、B.coagulans Hammer 1915AL(DSM#2383、ATCC#11014に対応する)、B.coagulans HammerAL(DSM#2384、ATCC#11369に対応する)およびB.coagulans HammerAL(DSM#2385、ATCC#15949に対応する)。B.coagulans細菌はまた、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)のような商業的供給者から入手され得る。
【0041】
これらのB.coagulans株およびこれらの増殖必要条件は、以前に記載されている(Bakerら、Can.J.Microbiol.6:557-563、1960;Blumenstock、「Bacillus coagulans Hammer 1995 und andere thermophile oder mesophile、sauretolerante Bacillus-Arten-eine taxonomische Untersuchung」、Doctoral thesis、Univ.Gottingen、1984;Nakamuraら、Int.J.Syst.Bacteriol.、38:63-73、1988)。B.coagulansの株はまた、周知の手順(Bergey’s Manual of Systemic Bacteriology、2巻、1117頁、Sneath、P.H.A.ら編、Williams&Wilkins、Baltimore、MD、1986)を使用して天然の供給源(例えば、熱処理した土壌サンプル)から単離され得る。本明細書中に記載される結果は、American Type Culture Collection(ATCC#31284)から得たB.coagulans Hammer(これは本明細書中に記載のように増殖させ、そして凍結乾燥アリコートで−20℃で保存された)を用いて得られた。本明細書中に記載される特性を示す、全てのB.coagulansはこの株の等価物とみなされる。
【0042】
B.coagulansは、この細菌はもともと記載されるようにLactobacillus sporogenesとして標識された、という事実を考慮して、以前はLactobacillusとして間違って特徴付けられていた(Nakamuraら、上述を参照のこと)。しかし、これは間違っている。なぜならば、本発明の細菌は芽胞を生成し、そして代謝を通じてL(+)-乳酸を排出するからであり、両方の局面はその有用性に重要な特徴を提示する。その代わり、これらの発生および代謝の局面は、細菌が乳酸bacillusとして分類されることを必要とし、それゆえ改名された。
【0043】
4.B.coagulansの共生物質抗菌活性
B.coagulans活性によって阻害される病原性細菌には、Staphylococcus aureus、S.epidermidis、Streptococcus pyogenes、S.spp.、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli(腸管出血性(enterohemorragic)種)、Clostridium perfingens、C.difficile、Gardnerella vaginalis、Propionibacterium acnes、Aeromonas hydrophilia、Aspergillus種、Proteus種およびKlebsiella種が挙げられる。B.coagulans活性によって阻害される病原性の酵母および他の真菌には、Candida albicans、C.tropicalisならびにTrichophyton mentagrophytes、T.interdigitale、T.rubrumおよびT.yaoundeiが挙げられる。B.coagulans活性はまた、単純ヘルペスウィルスI型およびII型を阻害する。これらの病原体はおむつかぶれ、経口、性器、頚管および膣内酵母感染症、毒素性ショック症候群、慢性粘膜皮膚カンジダ症、皮膚糸状菌症、細菌性膣症、白癬、水虫およびいんきんのような白癬真菌性感染症、頭皮ならびに爪真菌感染症、丹毒のような表皮障害、開口性創傷感染症、ざ瘡、膿瘍、せつ、湿疹、皮膚炎、接触性皮膚炎、過敏症(hypersensitinitis)、接触性病変、褥瘡、糖尿病性病変、雑多(miscellaneous)日和見感染症、経口および性器ウィルス性病変など当該分野で周知である状態を、引き起こし得る。それゆえ、これらの病原体を阻害する、B.coagulans活性薬剤を含む化合物の局所使用はこれらの状態を予防および治療するのに有用である。
【0044】
上記の病原体の多くに対する本発明の治療用組成物の抗菌活性は、実施例に記載される。さらに、本発明の治療用組成物は、関連組織に対する投与のために処方される場合、以下に記載される感染症を治療するために使用され得ることが意図される。
【0045】
【表1A】

【0046】
他の皮膚および粘膜に感染する微生物および皮膚糸状菌もまた、本発明の化合物および方法を使用して処置され得る。
【0047】
B.フルクトオリゴ糖
フルクトオリゴ糖(F’S)は、本発明の文脈において特に有用な、1つのクラスの糖である。F’Sは、フルクトースとグルコースのポリマーを含む、単一のクラスの天然の炭水化物である。FOSとは、消化されていない、フルクトースのポリマーであり、これは腸管中の状在性のBifidobacteriaおよびLactobacillusによってほとんど独占的に利用され、そしてBacillusによって同様に使用され得る。Clostridium、Staphylococcus、SalmonellaおよびE.coliのような有害な細菌はFOSを代謝し得ず、それゆえBacillusと組み合わせたFOSの使用は有益および共生物質の細菌を増殖させ、そして任意の望ましくない、すなわち病原性微生物と入れ替わらせる。
【0048】
本発明の治療用組成物におけるFOSの使用は相乗効果を提供し、それによって本発明のBacillus含有組成物の効果を増加させる。この相乗作用は、少なくともBacillusに対する食物補充を増加させることによって(これは感染組織において多くの他の細菌を超えてBacillusの増殖を優先的に選択する)細菌の増殖能力を増加させることにより明らかである。従って、処方物におけるFOSの存在は、Bacillusの増殖能力を増加させることによってより効果的な微生物阻害を可能にし、それゆえその利益を提供する。
【0049】
FOSは、種々の天然の供給源(商業的供給者を含む)から得られ得る。天然の供給源から生成物が単離された場合、その成分は広範に変化し得、そしてなお有益な薬剤、すなわち、FOSを提供する。FOSは代表的には約4〜200の糖単位のポリマー鎖長を有し、より長い長さのものが好ましい。例えば、純度は、その処方物中に機能的なFOSが存在する限り、広範に変化し得る。好ましいFOS処方物は、グルコース、フルクトースまたはショ糖のような、単純な糖(単糖類または二糖類)と比較して、少なくとも50重量%のフルクトオリゴ糖、好ましくは少なくとも80%のフルクトオリゴ糖、より好ましくは少なくとも90%のフルクトオリゴ糖、そして最も好ましくは少なくとも95%のフルクトオリゴ糖を含む。糖含量および組成は、周知である種々の複合糖質分析検出方法のいずれかによって決定され得る。
【0050】
FOSの好ましい供給源には、イヌリン、Imperial Suiker Unie(Suger Land、Texas)からのFrutafit IQ(商標(tm))、Americal Ingredients,Inc.(Anaheim,CA)、Fabrchem,Inc.(Fairfield,CT)およびFruittrimfat Replacers and Sweeteners(Emeryville,CA)からのNutraFlora(商標)が挙げられる。
【0051】
C.治療用組成物
微生物感染を予防、処置または制御する場合の使用に適した本発明の組成物は、種々の処方において、Bacillus種細菌(例えば、栄養細胞)または芽胞、Bacillus coagulans、Bacillus cogulans芽胞、B.coagulansの細胞外抗菌物質または抗生物質代謝物あるいはそれらの組み合わせである活性な成分を含む。
【0052】
活性なBacillus成分は、局所投与に適した処方物中に、最終化合物の約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは1重量%〜10重量%を含む。
【0053】
本発明の治療用組成物のための処方物は、他の共生物質薬剤あるいは芽胞発芽および/またはBacillus増殖を促進するための栄養を含み得る。組成物はまた、公知の抗菌薬剤、公知の抗ウィルス薬剤、公知の抗真菌薬剤を含み得、これらは全て、Bacillus生物または芽胞が活性薬剤である場合は、Bacillus活性薬剤の生存率の維持と適合していなければならない。組成物中の他の薬剤は、相乗薬または活性な薬剤のいずれかである。好ましくは、公知の抗菌、抗ウィルスおよび/または抗真菌薬剤は、Bacillusに適合した共生物質薬剤である。組成物はまた、公知の抗酸化剤、緩衝化剤、遮光および化粧用薬剤を含み得る(着色剤、芳香剤、オイル、精油、滑択剤、湿潤剤または乾燥剤を含む)。ビタミンEのような抗酸化剤が含まれ得る。パラアミノ安息香酸のような遮光剤が含まれ得る。合成または天然のみつろうのような滑択剤が含まれ得る。ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロースのような濃化剤が、組成物に添加され得る。
【0054】
芳香剤および精油は、身体を清潔にする製品および方法に使用される組成物に特に適しており、そして全て周知のように、海の塩、ハーブまたはハーブ抽出物、広範な植物または動物からの芳香油、および広範な植物または動物からの芳香剤が含まれ得る。
【0055】
本発明の組成物に有用な好ましい芳香剤には、セントポーリア、乳香および没薬、ラベンダー、バニラ、くちなし、スイカズラ、ビャクダン(sandlewood)、じゃこう、ジャスミン、スイレン、オレンジの花、パチョリ、ヒース、モクレン、琥珀、バラおよび類似の芳香剤が、挙げられる。
【0056】
精油または芳香油を含む好ましいオイルには、アーモンド、アロエ、琥珀、リンゴ、アプリコット、ヤマモモ、安息香(benzion)、サボテンの花、カーネーション、カラギーナン、セダー、シナモン、クローブ、ココナッツ、ヒマラヤスギ、コーパル、エミュ(emu)、ユーカリ、franfipani、乳香および没薬、くちなし、グレープフルーツ、ヒース、ハーブ、スイカズラ、ジャスミン、ホホバ、ケルプ、ラベンダー、レモン、ライラック、スイレン、モクレン、クワ、ジャコウ、没薬、スイセン、オレンジの花、パチョリ、モモ、pinon松、プルメリア(plumeria)、バラ、ローズマリー、ベニバナ、セージ、ビャクダン、スピルリナ、イチゴ、バニラ、スミレ、フジなどのオイルが挙げられる。本発明の組成物中に使用するのに特に好ましいオイルはエミュオイルであり、代表的には、約1重量%〜75重量%の量で使用される。
【0057】
さらに、芳香剤および精油は、種々のバスソルト(入浴用塩)および入浴用石鹸の組成物中に提供され得る。塩および石鹸はまた、当該分野において周知であり、そして海の塩、砂漠の塩、ミネラル塩、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなど、一般に使用されるバスソルトが挙げられ得る。
【0058】
芳香剤、オイル、および塩は当該分野において周知であり、種々の天然および商業的供給源から得られ得、そしてこのことは本発明の制限を意図しない。例示的な商業的供給源には、Innovative Body Science(Carlsbad,CA)、Scents of Paradise SunBurst Technology,Inc.,(Salem,OR)、Intercontinental Fragrances,Inc.,(Houston,TX)、Scentastics,Inc.,(Ft.Lauderdale,FL)、Michael Giordano International,Inc.,(North Miami,FL)が挙げられる。
【0059】
本発明の組成物に使用され得る化学物質は、種々の商業的供給源(Spectrum Quality Products,Inc(Gardena,CA)、Seltzer Chemicals,Inc.,(Carlsbad,CA)およびJarchem Industries,Inc.,(Newark,NJ)を含む)から得られ得る。
【0060】
活性な薬剤が、局所に投与されるヒトまたは動物の皮膚、膜または粘膜組織に生理学的に適合するキャリアと組み合わせられる。すなわち、キャリアは、活性な成分の懸濁液を作成する場合に使用される界面活性特性を除いて、好ましくは実質的に不活性である。組成物は他の生理学的に活性な構成成分(これは本組成物中の活性な薬剤の有効性を妨害しない)を含み得る。
【0061】
代表的な治療用組成物には、1g投薬量の処方物中に1013〜1012、好ましくは2×10〜1010コロニー形成単位(CFU)の生Bacillus細菌(すなわち、栄養細胞)または細菌芽胞を含む。1つの好ましい実施態様において、治療用組成物は約10mg〜1gのフルクトオリゴ糖を含み得る。処方物は、任意の種々のキャリアおよび/または結合剤を使用して、重量において完備され得る。好ましいキャリアは、1g投薬量の全量を完備するのに十分な量で添加された、微結晶セルロース(MCC)である。
【0062】
本発明の治療組成物のための特に好ましい処方物は、実施例に記載されている。
【0063】
キャリアは、パウダー形態の処方物のための固体ベースの乾燥材料であり得、そして液体またはゲル形態の処方物のための液体またはゲルベースの材料であり得、これらの形態は、ある程度、投与経路または投与様式に依存する。
【0064】
乾燥処方物のための代表的なキャリアには、トレハロース、マルト-デキストリン、米粉、微結晶性セルロース(MCC)、ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、グルコ-オリゴサッカリド(GOS)、デキストロース、スクロース、タルクなどのキャリアが挙げられる。
【0065】
組成物が乾燥しており、そして組成物が固まる(芽胞、塩、パウダー、およびオイル成分の粘着)性向を生じる蒸発オイル(evaporated oil)を含む場合、成分を分散させ、そしてケーキングを防ぐ乾燥賦形剤を含むことが好ましい。例示的な抗ケーキング剤には、MCC、タルク、ケイ藻土、非晶質シリカなど(代表的には、約1〜95重量%の量で添加される)が挙げられる。
【0066】
適切な液体またはゲルベースのキャリア、例えば、水および生理学的塩溶液、尿素、アルコールおよびグルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコール)などが、当該分野で周知である。好ましくは、水ベースのキャリアは、ほぼ中性のpHである。
【0067】
適切なキャリアには、水性キャリアおよび油性キャリア(例えば、白色ワセリン、イソプロピルミリステート、ラノリンもしくはラノリンアルコール、鉱油、芳香性油(fragrant oil)もしくは精油(exxential oil)、キンレンカ抽出油(nasturtium extract oil)、ソルビタンモノ-オレエート、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール(共にまたは種々の組み合わせで)、ヒドロキシプロピルセルロース(MW=100,000〜1,000,000)、界面活性剤(例えば、ポリオキシステアレートまたはラウリル硫酸ナトリウム)を含み、そしてローション、ゲル、クリーム、または半固体組成物を形成するために水と混合される。他の適切なキャリアには、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョン、ならびに乳化剤および軟化剤と溶媒(例えば、スクロースステアレート、スクロースココエート、スクロースジステアレート、鉱油、プロピレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテル、および水)との混合物を含む。例えば、水、グリセロールステアレート、グリセリン、鉱油、合成鯨蝋、セチルアルコール、ブチルパラベン、プロピルパラベン、およびメチルパラベンを含むエマルジョンが市販されている。保存剤もまたメチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、およびエチレンジアミンテトラアセテートの塩を含むキャリア中に含まれ得る。周知の矯味矯臭剤(flavoring)および/または着色剤もまたキャリア中に含まれ得る。組成物はまた、グリセロールまたはポリエチレングリコール(MW=800〜20,000)のような可塑剤を含み得る。キャリアの組成物は、活性成分の薬理学的活性またはBacillus細胞もしくは芽胞の生存率に顕著に干渉しない限り、変化され得る。
【0068】
治療組成物は、種々の方法における適用に適するように処方され得、例えば、皮膚用(例えば、白癬または水虫)のクリームにおいて、口用(例えば、口腔の鵞口瘡)の洗浄液において、膣適用(例えば、膣炎)のための圧注器(douche)において、擦り込み用(chaffing)(例えば、皮膚炎)のパウダーにおいて、足指の爪用(例えば、足白癬)の液体において、入浴において生殖器、足、他の組織の感染を処置するための入浴用塩(bath salt)または入浴用パウダー(bath powder)などにおいて処方され、これらは実施例においてさらに詳細に記載されている。他の処方物は、当業者に容易に明らかである。
【0069】
D. 微生物感染を処置するための治療方法
本発明は、本発明の治療組成物または治療用製造物品を使用して、種々の皮膚および粘膜組織における微生物感染を処置、減少、または制御するための方法を意図する。最適には、この組成物は局所用組成物の適用部位で特に、処置された個体における酵母、真菌、および/またはウイルス力価を効果的に減少させる。例えば、病変における病原性微生物の力価は、皮膚または粘膜の罹患した領域の局所的処置により有意に減少する。開示される処置方法はまた、病原性微生物感染の症状(例えば、感染された病変または微生物により生じた病変に関連する痛み)を減少させ、そしてBacillusでの処置なしで見られるよりも急速な治癒を促進する。
【0070】
本発明の方法は、微生物(すなわち、細菌、酵母、真菌、またはウイルス)感染を処置または予防するための、ヒトまたは動物への、活性なBacillus成分を含む組成物の投与を含む。投与は、好ましくは、クリーム、ローション、ゲル、オイル、軟膏、懸濁剤、エアロゾルスプレー、パウダー、半固体処方物(例えば、坐剤)、または製造物品を用いる皮膚または粘膜への投与であり、全てが当該分野で周知の方法を使用して本発明の治療組成物を含むように処方される。
【0071】
微生物感染の予防または処置に有効である活性Bacillus因子を含む組成物の適用は、一般的に1日〜1ヶ月までの間、10mg〜10gの組成物/適用での1〜10回の適用からなる。適用は、一般的に、12時間おきに1回から4時間おきに1回である。好ましくは、1〜7日間、約0.1g〜5gの組成物/適用での、1日あたり2〜4回の組成物の適用が、微生物感染の予防または処置に十分である。局所的適用のために、この組成物は、症状(例えば、痛み、腫脹、または炎症)が検出されたらすぐに、毎日、病変に適用されることが好ましい。もちろん、特定の経路、投薬量、適用のタイミングは、ある程度、特定の病原体ならびに/または処置される状態およびその状態の程度に依存する。
【0072】
好ましい方法は、1日あたり103〜1012の生存細菌または芽胞の適用を含み、好ましくは1日あたり105〜1010、そしてより好ましくは約5×108〜109の生存細菌または芽胞の適用を含む。さらに、好ましい方法は、病原体の増殖に勝る共生Bacillus種の増殖を促進するために、必要に応じて、1日あたり10mg〜20mgのフルクトオリゴサッカリド、好ましくは1日あたり約50mg〜10g、そしてより好ましくは約150mg〜5gのフルクトオリゴサッカリドをさらに含む組成物の適用を含む。
【0073】
治療入浴用の場合において、1つの実施態様は、石鹸、オイル、芳香剤、塩などの入浴用成分を含み得る、調製された浴に、乾燥Bacillus芽胞の組成物の添加および混合を提供し、続いて、例えば通常の意味の「入浴する」ことにより、感染組織を入浴用の水に接触させる。この実施態様において、治療用の共生芽胞は、本明細書に記載されるような使用説明書を有する系にパッケージングされ得る。代表的な入浴は、1入浴あたり108〜1010CFUの細菌細胞または芽胞、好ましくは1入浴あたり約1×109〜5×109CFUの細菌細胞または芽胞を提供する。
【0074】
微生物感染の処置のための特定の方法は、実施例に記載されており、これには、おむつかぶれ、膣酵母感染、日和見皮膚感染、白癬真菌感染、表面皮膚(superficial skin)感染、座瘡、単純疱疹、陰部ヘルペス病変、水虫などが挙げられる。
【0075】
他に規定されない限り、本明細書に使用される全ての科学用語および技術用語は、当業者により共通に理解されるのと同じ意味を有する。他に言及されない限り、本明細書で用いられるか、または意図される技術は、当業者に周知の標準的な方法論である。実施態様の例は、例示のためだけのものである。
【0076】
E. 微生物感染を処置するための治療システム
本発明はさらに、ラベルおよび本発明による治療組成物を含む、容器を含む微生物感染を処置、減少、および/または制御するための治療システムを意図し、ここで、上記ラベルは、上記感染を処置するための組成物の使用のための使用説明書を含む。
【0077】
代表的には、この系は本発明の治療組成物を含むパッケージの形態で存在するか、またはパッケージング材料との組み合わせで存在する。パッケージング材料は、パッケージの成分の使用のためのラベルまたは使用説明書を含む。使用説明書は、本発明の方法または組成物について本明細書に記載されるような、パッケージングされた成分の意図される使用を示す。
【0078】
例えば、この系は、本発明による治療組成物の1つ以上の単位投薬量を含み得る。あるいは、この系は、大量の治療組成物を含み得る。ラベルは、単位用量またはバルクのいずれか適切な形態で治療組成物を使用するための使用説明書を含み、そして組成物の保存、疾患の徴候、投薬量、投与経路および様式などの情報に関する情報を含み得る。
【0079】
さらに、特に意図される使用に依存して、この系は必要に応じて、以下の成分の1つ以上を組み合わせて、または別個のパッケージ中でのいずれかで含み得る:FOS:入浴用塩、石鹸およびオイル(入浴用途)などの成分。1つの特に好ましい系は、治療方法においてBacillusの共生物質を用いるための使用説明書を共に含む、従来の入浴用塩または入浴用石鹸製品を組み合わせで使用するためのBacillus芽胞の単位用量パッケージを含む。
【0080】
F. 製造物品
本発明はまた、種々の医学的または個人的衛生デバイスを伴う治療組成物の組み合わせによる本発明の有利な局面を利用する種々の製造物品を意図し、これによりこれらのデバイスの使用に関連する微生物感染を減少または予防する。本発明は、固体表面に適用されるか、または皮膚もしくは粘膜と接触させることが意図される任意のデバイスまたは製造物品の固体マトリクスにしみ込ませられるBacillusおよび/または単離されたB.coagulansの活性因子の組成物を含む。好ましくは、固体表面は、皮膚または粘膜上で身に付けられ得るか、またはそこを拭い得る可撓性の物品である。より好ましくは、Bacillusおよび/または単離された活性因子を保有する可撓性アイテムが、皮膚上で身に付けられる場合、この可撓性アイテムは、物品を皮膚へ付着させる手段を含み、これには、例えば、粘着層、間を係合する(interengage)フックおよびパイル(Velcro(R))コネクター、または他の周知の付着手段(例えば、ひも(tie)、スナップ、クロージャー、ゴムひも(elastic)、ボタンなど)が含まれる。
【0081】
Bacillusおよび/または単離されたB.coagulansの活性因子を含む特定の実施態様は、おむつ、ぬれナプキン(ミニタオル)(例えば、赤ん坊用タオルまたは女性用衛生ぬれナプキン)、タンポン、皮膚パッチ、粘着テープ、吸収パッド、衣料物品(例えば、下着、睡眠用衣料)、バスタオル、洗浄用タオルなどである。物品は、繊維性の織物材料、編物材料もしくは不織材料、閉塞(occlusive)もしくは非閉塞フィルムまたはメンブレン、合成ポリマー繊維、フィルム、メンブレンおよび発泡体(例えば、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えば、Tefron(R)またはGor-Tex(R))、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリドおよびポリスルホン)から作製され得る。これらの形態の全ては、当該分野で周知であり、例えば、編物生地もしくは織物生地、不織生地(例えば、フェルトおよび綿芯、綿繊維ボール(fiber ball of cotton))、レーヨン、セルロース、または合成繊維などの材料を含む。
【0082】
Bacillusおよび/または単離されたB.coagulans活性因子は、例えば、パウダーを適用すること、その材料上に共生物質をスプレー乾燥すること、または共生物質を含む溶液中に材料を浸せきし、次いで湿らせた材料を使用するか、または使用前に材料を乾燥することを含む任意の公知の種々の方法を用いて、固体表面に適用され得る。多孔質の材料は、Bacillusおよび/または単離された活性因子をその固体材料の孔または間隙に含み得る。Bacillusおよび/または単離された活性因子は、粘着により(例えば、続いて皮膚に適用される粘着層(例えば、包帯または皮膚パッチ)への付着により)付着され得る。Bacillusおよび/または単離された活性因子は、可撓性物品の製造プロセスの間に固体材料にしみ込ませられ得る(例えば、重合化プロセスの前または重合化プロセスの間に合成組成物に添加される)。Bacillus芽胞の耐圧性および耐熱性は、それらの芽胞を、特に、製造の間での材料への組み込みに適するようにする。Bacillusおよび/または単離された活性因子を保有する任意の固体材料は、標準的なパッケージング材料(例えば、収縮包装材料(shrink wrapper)、シールパケット(sealed packet)、保護包装材料(protective wrapper)、または乾燥もしくは湿った材料の保有に適した分配用容器(dispensing container))を用いて、処理された材料を保持するのに適するように、個々またはグループでパッケージングされ得る。
【0083】
製造物品は、キャリア、塩、FOS、芳香剤などを含む、本発明の治療組成物のさらなる/任意の成分のいずれかを適用し得た。
【0084】
本物品に治療組成物を配置するための種々の任意の方法が使用され得、そしてそのために本発明がそのように制限されることを必要としない。しかし、好ましい方法は、その材料が低湿度のチャンバー中で、液体組成物を含む噴霧混合物に対して曝露される「スプレードライ」法を含み、ここでこのチャンバーは、続いて約80〜110華氏温度に曝されて液体を乾燥し、これにより物品の材料に組成物の成分をしみ込ませる。代表的な負荷量は、1mlの噴霧混合物あたり105〜109cfuの微生物/芽胞であり、約1平方インチの繊維状キャリア/物品材料の外表面に同量が配置される。次いで、乾燥物品は使用のための無菌パッケージに保存する準備が整っている。
【実施例】
【0085】
本発明に関する以下の実施例は、例示であり、もちろん、本発明を特に制限するものとして解釈されるべきではない。さらに、当業者の範囲内にある、現在公知であるかまたは今後開発される、本発明のこのようなバリエーションは、本明細書中以下で請求される本発明の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0086】
実施例1:B.coagulansの抗菌活性
B.coagulansの種々の真菌性病原体を阻害する能力を、インビトロアッセイを使用して実証した。試験した真菌株のTrichophyton種は、American Type Culture Collection(ATCC)(Rockville,Maryland)から入手可能であり、これらのATCC受託番号を表2に示す。このアッセイにおいて、ポテト-デキストロースプレート(DIFCO(R),Detroit,MI)を標準的な手順を使用して調製し、真菌Trichophytonの種々の種についてコンンフルエントなベッド(約1.7×106)を使用して個々に接種した。B.coagulansによる阻害を、10μlのブロスまたは緩衝液中に約1.5×106コロニー形成単位(CFU)を1プレートあたり1試験位置でポテト-デキストロースプレートの中央に直接配置して、プレート上に配置することによって試験した。各試験位置のサイズは、直径約8mmであり、最低3回の試験を、各阻害アッセイについて実施した。ネガティブコントロールは、滅菌生理食塩水の10μl滴であった。そしてポジティブコントロールは、不活性クリーム中の2%ミコナゾール(1-[2-(2,4,-ジクロロフェニル)-2-[(2,4-ジクロロフェニル)メトキシ]エチル]-1H-イミダゾール)の同様の容量であった。次いで、阻害ゾーンを測定する場合は、プレートを30℃にて約18時間インキュベートした。本明細書中で使用される場合「優れた阻害」とは、阻害ゾーンが直径10mm以上であったことを意味し;そして「良好な阻害」とは、阻害ゾーンが直径2mmより大いが直径10mm未満であったことを意味する。
【0087】
B.coagulansによるインビトロ阻害の結果を、表2に示す。試験したTrichophyton種の各々について、感染に関連する疾患状態を、表2の第2列に示す。比較のために、ネガティブコントロールでは、阻害ゾーンは認められなかった。ポジティブコントロールでは、良好な阻害(直径約8.5mm、3回の試験の平均)が認められた。
【0088】
【表2】

【0089】
同様に、B.coagulansの種々の酵母病原体を阻害する能力を、4種のCandida(これらの全ては、表3に示すATCC受託番号を有し、American Type Culture Collection(Rockville,Maryland)から入手可能である)についてインビトロで実証した。このアッセイにおいて、ポテトデキストロースプレート(DIFCO(R),Detroit,MI)を、標準的な手順を使用して調製し、そして約1.7×106の4種のCandidaのコンフルエントなベッドで個々に接種した。B.coagulansによる阻害を、プレートあたり直径約8mmの1つの試験位置でポテトデキストロースプレートの中央に直接配置して、10μlのブロスまたは緩衝液中の約1.5×106CFUをプレート上に配置することによって試験した。最低3回の試験を、各阻害アッセイについて実施した。ネガティブコントロールは、滅菌生理食塩水の10μl滴であった。そしてポジティブコントロールは、10μl容量のミコナゾールクリームであった。次いで、本明細書中先に規定したような同じ基準を用いて阻害ゾーンを測定する場合、プレートを30℃にて約18時間インキュベートした。ネガティブコントロールでは、阻害ゾーンは認められなかった。ポジティブコントロールでは、良好な阻害(直径約8.7mm、3回の試験の平均)が認められた。
【0090】
インビトロ試験の結果を表3に示し、Candida種による感染に関連したヒトの病理状態を、第2列に示す。
【0091】
【表3】

【0092】
同様に、B.coagulansの日和見細菌病原体を阻害する能力を、標準的な細菌病原体スクリーニング(米国食品医薬品局) の一部および市販される固体支持体ディスク(DIFCO(R)BACTROL(R)ディスクセット)上で、Pseudomonas aeruginosaおよびStaphylococcus aureusについてインビトロで実証した。このアッセイにおいて、ポテトデキストロースプレート(DIFCO(R))を標準的手順を使用して調製し、そして4種の細菌の各々について1.5×106のコンフルエントなベッドで個々に接種した。 B.coagulansによる阻害を、プレートあたり直径約8mmの1つの試験位置でポテトデキストロースプレートの中央に直接配置して、10μlのブロスまたは緩衝液中の約1.5×106CFUをプレート上に配置することによって試験した。最低3つの試験位置を、各アッセイについて使用した。ネガティブコントロールは、滅菌生理食塩水の10μl滴であった。そしてポジティブコントロールは、10μl容量のグルタルアルデヒドであった。次いで、本明細書中先に規定したような同じ基準を用いて阻害ゾーンを測定する場合、プレートを30℃にて約18時間インキュベートした。ネガティブコントロールでは、阻害は認められなかった。ポジティブコントロールでは、優れた阻害(直径約16.2mm、3回の試験の平均)が認められた。優れた阻害はまた、日和見病原体であるP.aeruginosaおよびS.aureusの両方についても認められた。
【0093】
実施例2:治療組成物の処方物
処方物1:入浴処方物(入浴あたり/投薬量)
B.coagulans 250,000,000芽胞(約18mg)
バスソルト(海水塩および無機塩) 10g
フルクトオリゴ糖(FOS) 1g
微小結晶セルロース(MCC) 5g
芳香剤 微量

処方物2:局所的軟膏(1mlあたり)
B.coagulans抽出物(実施例3B) 100μl
ラノリン 780μl
エミューオイル 100μl
ゼラニウム精油 20μl
芳香剤 微量

処方物3:スポイト適用についての局所的液体(1mlあたり)
B.coagulans抽出物(実施例3B) 500μl
エミューオイル 450μl
ゼラニウム精油 20μl
Tween−80界面活性剤 30μl
芳香剤 微量

処方物4:パウダー(1gあたり)
B.coagulans 100,000,000芽胞(約8mg)
タルク 992mg
パウダー化ラベンダー芳香剤 微量。
【0094】
実施例3A:B.coagulans芽胞の調製
乾燥されたB.coagulans芽胞の培養を、以下のように調製した。10,000,000芽胞を、24gのポテトデキストロースブロス、10gの家禽および魚組織の酵素消化物、5gのFOSおよび10gのMnSO4を含む1リットル培養に接種した。培養物を高酸素環境下で、37℃にて72時間培養し、培養物1gあたり約150,000,000,000細胞を有する培養物を生成した。その後、培養物を、濾過して培養培地液体を取り除いた。そして細菌ペレットを水で再懸濁して凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥したパウダーを、標準的な優良製造規範(GMP)を使用して微細なパウダーに粉砕した。次いで、このパウダーを、実施例2に記載のように処方物1または処方物4に合わせ、乾燥パウダー組成物を形成した。
【0095】
実施例3B:B.coagulans細胞外産物の調製
B.coagulansの1リットル培養物を、FOSを省略することを除いて、実施例3Aに記載のように調製した。培養物を、FOSを5g/lにて添加した場合に記載のように5日間維持し、そして培養を続けた。次いで、7日目に20mlのニンジンの果肉を添加し、培養物が飽和した(実質的細胞分裂がない)時に、培養物を回収した。培養物をまず30分間、華氏250度でオートクレーブにかけ、次いで4000rpmにて15分間遠心した。得られた上清を回収し、0.8ミクロン(μ)フィルターを通してブーフナー漏斗で濾過した。そして濾液(通過したもの)を回収して、さらに0.2μNalge吸引フィルターに通して濾過した。得られた濾液を回収して(約900ml)、細胞外産物を含む液体を形成し、そして、阻害研究に使用した。
【0096】
Candida albicansを使用する、実施例1に記載のアッセイの後に、上記で生成した細胞外産物の1mlを細菌の代わりに試験プレートに添加した。同じ培養時間の後に、約10〜25mmの阻害ゾーンを認めた。これは、実施例1の用語法を使用すると、「優れた」質の強力な抗菌活性を示した。
【0097】
細胞外産物を含む液体を、足指の爪の真菌感染を処置するために便利であるような、スポイトを使用して組織上への直接適用における使用のための液体軟膏組成物に処方した。この液体軟膏を、約8:2の比で上記で生成した液体細胞外産物とエミュー精油とを合わせて、調製した。そして微量の芳香剤を添加して、不快でない(aesthetic)成分を生成した
あるいは、エミューオイルの代わりに、任意のリポソームまたはオイルベースの経皮送達成分を使用し得る。共生物質細胞外産物のキャリアまたは送達成分に対する代表的割合は、約1〜90%共生物質の範囲であり、そして好ましくは、約10〜75%共生物質の範囲である。
【0098】
実施例4:おむつかぶれを予防するための局所的適用
B.coagulans活性因子、好ましくはB.coagulans芽胞を含むパウダー、エアロゾルスプレー液体、またはエアロゾルスプレーパウダーを、使用前に消費者がおむつに適用する。あるいは、製造業者から供給される使い捨ておむつは、用いられる場合、子供の皮膚に隣接するおむつ材料に浸漬させて、B.coagulans活性因子、好ましくはB.coagulans芽胞を含み得る。おむつが、尿および/または排泄物によって湿めった場合、通常約20分以内に芽胞は活性化される。B.coagulans芽胞の発芽および芽胞が発芽した後のB.coagulansの増殖は、おむつ中のおよび子供の皮膚上の酵母および真菌生物の増殖を阻害するのに十分な抗真菌活性(抗酵母を含む)を生成し、従って、おむつかぶれまたは他のおむつに関連する日和見感染症を予防する。
【0099】
あるいは、またはB.coagulansを用いるおむつの処理に加えて、おむつ部位における子供の皮膚は、B.coagulans活性因子を含む浸漬された軟らかい布タオル、パウダー、エアロゾルスプレー液体、エアロゾルスプレーパウダー、ローション、クリーム、または軟膏を用いて処置され得る。必要に応じて、B.coagulans処方物は、入浴後および/またはおむつ交換時、子供の皮膚に適用される。
【0100】
適切な処方物には、1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞を含むタルクのパウダーおよび必要に応じて芳香剤が含まれる。他の適切なパウダー処方物には、タルク、鉱物油、炭酸マグネシウム、DMDMヒダントイン、および1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞、またはコーンスターチおよび炭酸カルシウムパウダーの1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞が含まれる。イソブタンまたは標準的な方法を使用して作製された他の周知の噴霧剤を含むエアロゾルパウダーもまた適切である。エアロゾルスプレーは、イソプロピルミリステート(約60%(w/w)SDアルコール40-B)、および標準的な方法を使用する噴霧剤としてのイソブタン中に1gあたり約106〜1011のB.coagulans芽胞を合わせることによって処方され得る。化学的噴霧剤を含まない中性水溶液1gあたり、約105〜約1011のB.coagulans芽胞を含む手動ポンプスプレーもまた適切である。適切なスプレー処方物には、B.coagulans共生物質に加えて、アルコール、グリセリン、精製水、およびメチルパラベンが含まれる。クリーム処方物には、アロエベラゲル、イソプロピルミリステート、メチルパラベン、ポリソルベート60、プロピルパラベン、精製水、モノステアリン酸ソルビタン、ソルビトール溶液、ステアリン酸、および1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞が含まれる。別の保護クリームには、タラ肝油に見出される濃度と等量のビタミンAおよびD、パルミチン酸セチル、綿実油、グリセリン、グリセロール、モノステアリン酸、必要に応じて芳香剤、メチルパラベン、鉱物油、ステアリン酸カリウム、プロピルパラベン、および1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞が含まれる。軟膏には、タラ肝油、ラノリン油、メチルパラベン、プロピルパラベン、タルク、必要に応じて芳香剤、および1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞が含まれる。別の軟膏処方物には、ワセリン、水、パラフィン、プロピレングリコール、乳汁タンパク質、タラ肝油、アロエベラゲル、必要に応じて芳香剤、水酸化カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ビタミンA、DおよびE、ならびに1gあたり約105〜約1010のB.coagulans芽胞が含まれる。軟らかい布パッド(すなわち、乳児用拭き取り布)は、水溶液(例えば、水、アンフォテリック2(amphoteric 2)、アロエベラゲル、DMDMヒダントイン、または30%〜70%アルコール水溶液)および1gあたり約104〜約109のB.coagulans芽胞に浸漬される。
【0101】
実施例5:膣酵母感染の局所的処置
顆粒化またはパウダー化バブルバス、バスクリスタル、バスソルト、バスオイル、パウダー、エアロゾルマイクロパーティクルなどを含む入浴用製品は、膣のCandida albicansおよび/またはC.tropicalis感染の処置のために、以下のようにB.coagulans芽胞を含む任意の種々の周知の処方物において生成される。浴槽の水に入れられるバブルバス、バスクリスタル、バスソルト、バスオイルなどについては、標準的な浴槽(約30〜100ガロン)につき約5×109のB.coagulans芽胞が使用される。その結果、バスパウダー組成物は、パウダー1gあたり約150〜200×106の芽胞を含む。刻んで細かくした(chaffing)(タルクタイプ)パウダーについては、タルク、パウダー化オートミール、コーンスターチ、または同様のパウダー材料の1gあたり約1×109のB.coagulans芽胞を使用する。マイクロパーティクルのエアロゾルについては、キャリア1mlあたり約1×109のB.coagulans芽胞を使用する。
【0102】
バスオイルには、鉱物油、ラウレトチ-4、クアテルニウム-18ヘクトライト(quaternium-18 hectorite)、およびフェニルカルビノールのようなオイルベース処方物1mlあたり約109のB.coagulans芽胞が含まれる。例えば、オリーブオイル、ブドウ種子オイル、エミューオイル、スィートアーモンドオイル、ゼラニウムオイル、グレープフルーツオイル、マンダリンオイル、およびペパーミントオイルを含む混合物1mlあたり約109のB.coagulans芽胞を含む(芳香剤有りまたはなし)、天然のオイルベースの処方物もまた、適切である。
【0103】
適切な非石鹸軟化クレンザーは、オクトキシノール-2エタンスルホン酸ナトリウム水溶液、ワセリン、オクトキシノール-3、ミネラルオイル(鉱油)またはラノリンオイル、コカミド(cocamide)MEA、必要に応じて芳香剤、イミダゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウム、EDTA四ナトリウム、メチルセルロース(pH6.5〜7.5に調整する)、および1gあたり約10から約1010のB.coagulans芽胞を含む。他の適切なクレンザーは、約pH7.0に調整され、そして1gあたり約10〜約1010個のB.coagulans芽胞を含む、周知の水、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムがベースの処方を含む。標準的な方法により作製される硬質の機械練り(hard milled)石鹸はまた、約10〜約1010個のB.coagulans芽胞/gを含み得る。なぜなら、芽胞は、石鹸製造の間の圧力および熱に耐え得るからである。
【0104】
水、ソルビン酸カリウム、EDTA 二ナトリウムの溶液中に浸され、そして約10〜約10個のB.coagulans芽胞/ミニタオルを含む軟らかい布製のミニタオルを用いて、外部膣領域を清浄にし得る。処方物についてのさらなる成分は、DMDMヒダントイン、イソプロピルミリステート、メチルパラベン、ポリソルベート60、プロピレングリコール、プロピルパラベン、またはソルビタンステアレートを含み得る。使い捨てミニタオルを用いて膣周辺領域を優しく拭い、次いで廃棄する。
【0105】
さらに、不活性な固体処方物中に約1×10個のB.coagulans芽胞を含む膣坐薬または挿入物は、C.albicansおよび/またはC.tropicalis感染の粘膜処置に有用である。このような処方物は、当該分野で周知であり、そして例えば、コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム)およびポビドンの組合せから作製し得る。症状(例えば、膣のかゆみおよび/または白っぽい分泌物)が検出される間は、1日あたり1〜3個の挿入物(好ましくは就寝時に、最適には計3〜7日間用いられる1日あたり約1個の挿入物)を使用すべきである。
【0106】
実施例6:日和見皮膚感染の予防および/または処置
Pseudomonasおよび/またはStaphylococcus種(代表的にはP.aeruginosa、S.epidermidis、S.aureus)での日和見皮膚感染は、通常、皮膚のアレルギー(例えば、ウルシ皮膚炎のような、植物刺激原に対するアレルギー反応)、とこずれ、糖尿病病変、または他のタイプの皮膚病変に関連して生じる。B.coagulans芽胞(処方物および適用に依存して10〜1010個/ml)ならびに/またはB.coagulansにより産生された細胞外バクテリオシンを含む上清もしくは濾液を含む共生物質処方物は、日和見皮膚病原体を予防または処置するために有用である。さらに、共生物質B.coagulans処方物は、特に損傷または手術切開後のメチシリン耐性のStaphylococcus aureus(MRSA)による感染を予防するために有用である。1mlあたり約1×10〜約1×10個のB.coagulans芽胞を含む、油中水型もしくは水中油型エマルジョン、クリーム、ローション、パウダー、エアロゾルパウダー、またはエアロゾルスプレーを用いる。いくつかの適切なキャリアは本明細書中に記載され、そして他のものは当該分野で周知である。
【0107】
皮膚を、石鹸および水で清浄にし、そして完全に乾燥させる。次いで、B.coagulans含有処方物を皮膚に塗布し、処方物がつま先の間、乳房の下、脇の下、または皮膚が湿っぽくなり得るかもしくは摩擦を示し得る他の領域に到達するのを確実にする。
【0108】
B.coagulans共生物質を含有する、エマルジョン、クリーム、ローション、パウダー、エアロゾルパウダー、またはエアロゾルスプレーを用いて皮膚を局所的に処置することに加えて、皮膚を、本明細書中に記載のような共生物質処方物を用いて清浄にし得る。
【0109】
実施例7:白癬真菌感染の処置
白癬(でん風)は、皮膚の外層にコロニーを形成し、しばしばかゆい、一般に白色、褐色または桃色の剥落皮膚の環状斑となる、皮膚糸状菌真菌による胴および頚部の皮膚の局所感染により引き起こされる。一旦白癬が検出されると、罹患領域および周囲の約1〜10cmの領域を、10重量%のB.coagulans芽胞を含有するクリームまたはローションで1日2回処置する。最適には、キャリア1mlあたり約10〜約1010個のB.coagulans芽胞を含む、適切なキャリアを、本明細書に記載する。
【0110】
股部白癬(股部白癬(jock itch))の処置について、コロイド状二酸化ケイ素、イソプロピルミリステート、タルク、および必要に応じて芳香剤の1mlあたり約10〜約10個のB.coagulans芽胞を含むパウダーを、鼠径部領域に適用して、かゆみ、剥落、灼熱感のある皮疹、および刺激の軽減を提供し得る。処置は1日2回、一般に入浴後および就寝時に、症状がもはや検出されなくなるまでである。
【0111】
胴および頚部と接触する衣類(特に下着および寝まき)に、本明細書中に記載されるような適切なキャリア中の約1%〜約20%のB.coagulans活性因子を含むエアロゾルをスプレーして、身体のさらなる領域に感染が広がるのを予防する。
【0112】
実施例8:表層皮膚感染の処置
塞がれた汗腺または皮脂腺のStaphylococcus種(例えば、S.aureus、S.epidermidis)による表層感染は、膿疱、腫脹、膿瘍、麦粒腫、またはようを引き起こす。これらの表層皮膚汗腺は、Staphylococcus種により放出される細菌毒素に起因する水疱形成皮疹(特に乳児において)を伴い得る。
【0113】
1mlあたり約1×10〜約1×10個のB.coagulans芽胞を含む、油中水型もしくは水中油型エマルジョン、クリーム、ローション、またはゲルを用い得る。例示的な局所用ゲルを、等容量のプロピレングリコールおよび水、1重量%のヒドロキシプロピルセルロース(MW 100,000〜1,000,000)、ならびに組合せ物1mlあたり1×10〜約1×10個のB.coagulans芽胞の最終濃度となるように凍結乾燥B.coagulans培養物を一緒に混合し、そして撹拌された混合物を3〜5日間静置してゲルを形成させることにより調製する。他の処方物を、本明細書中に示す。
【0114】
B.coagulansを含有する、エマルジョン、クリーム、ローション、またはゲルを、表層皮膚感染(膿疱、腫脹、膿腫、麦粒腫、もしくはよう)または皮疹を示す皮膚の領域に塗布し、そして皮膚に穏やかに摩り込み、そして風乾させる。塗布は、1日少なくとも1回、好ましくは1日2〜3回(例えば、朝および夜)、または頻繁に洗浄される領域(例えば、手またはおむつの領域)については感染領域の各洗浄の後である。皮膚の炎症が沈静化し、そして観察者に対して皮膚が正常に見えるまでは、塗布を続ける。痂皮が感染領域に生じた場合、1日1回の塗布を、痂皮が長い間存在しなくなるまで続ける。
【0115】
実施例9:挫瘡処置
尋常性挫瘡の処置または予防について、細菌培養物の上清から得たB.coagulans活性成分を含有するクレンザーを、過剰の汚物および油を除去するため、ならびに皮膚の日和見感染を予防するために、皮膚管理用産物として毎日塗布する。適切なクレンザーは、ベントナイト、ココアンホジプロピオネート(cocoamphodipropionate)、必要に応じて芳香剤、グリセリン、酸化鉄、珪酸マグネシウム、水素化ホウ素ナトリウム、塩化ナトリウム、ココアナトリウム(sodium cocoate)、獣脂ナトリウム(sodium tallowate)、タルク、EDTA四ナトリウム、二酸化チタン、HEDTA三ナトリウム、水、および飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の約1%〜約20%(v/v)の水性上清または濾液を含む。
【0116】
類似のクレンザー(特に、敏感肌用)は、水、グリセリン、ジステアリルジモニウムクロリド、ワセリン、イソプロピルパルミテート、セチルアルコール、ジメチコーン(dimethicone)、塩化ナトリウムの基剤(pH約7.0に調整)に懸濁し、そして飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清または濾液を約5%〜約50%(v/v)含む、約30〜50%のコロイド状オートミールを含む。
【0117】
あるいは、皮膚を、任意の周知のクレンザーを用いて清潔にし得、次いで培養上清または濾液からのB.coagulans活性成分を含有するクリームを、必要に応じて2日毎に約1回〜1日約3回、薄いフィルムで皮膚に適用する。適切なクリームは、約10〜12%のアルコール(w/w)ベントナイト、必要に応じて芳香剤、酸化鉄、水酸化カリウム、プロピレングリコール、二酸化チタン、精製水、および飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清または濾液を約0.5%〜約60%(v/v)含む。
【0118】
上記の処方物は、Propioni bacterium acneおよびStaphylococcus epidermidisにより引き起こされる挫瘡を処置するために適切である。
【0119】
実施例10:単純疱疹または陰部ヘルペス病変の処置
一般に口の周辺または口の中の単純疱疹は、単純ヘルペスウイルスI型により引き起こされる。生殖器周辺の類似の病変は、単純ヘルペスII型により引き起こされる。単純ヘルペス感染また、疼痛性の指またはつま先の腫脹(ひょう疽)を引き起こし得る。両方のタイプの単純ヘルペス病変またはひょう疽を、1mlあたり約1×10〜約1×1010個のB.coagulans芽胞を含有する、クリーム、ローション、またはゲル軟膏を用いて処置し得る。
【0120】
口腔単純疱疹については、沈静軟化性唇鎮静剤(smothing emollient lip balm)は、アラントイン、ワセリン、化粧品として受容可能なレベルの二酸化チタン、および1mlあたり約10〜約1010個のB.coagulans芽胞を含む。唇鎮静剤はさらに、遮光剤(sunscreen)(例えば、パディメートO(padimate O))を含み得る。代替的な鎮痛唇鎮静剤は、飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清または濾液を0.5%〜20%(v/v)含有するエマルジョンを形成するように混合した同じ基剤成分を含む。唇鎮静剤を、唇および罹患領域に塗布し、前駆症状(刺痛、かゆみ、灼熱感)が感じられる場合または病変が目に見える場合に予防薬として光フィルム(light film)を形成する。唇鎮静剤を、必要とされる度毎に(例えば、病変が存在する場合は1時間毎)で、そして一般に1日1回就寝時に塗布すべきである。
【0121】
口腔単純疱疹については、培養上清または濾液中のB.coagulans芽胞または細胞外因子を、約20〜40%の白色ワセリン、ワックスパラフィン、ミネラルオイル、イソプロピルラノレート、樟脳、ラノリン、イソプロピルミリステート、セチルアルコール、カルヌバ(carnuba)ワックス、メチルパラベン、プロピルパラベン、二酸化チタン、および必要に応じて芳香剤および着色剤を含む、半固体唇鎮静剤中に処方し得る。
【0122】
陰部ヘルペス病変について、1mlあたり約1×10〜約1×1010個のB.coagulans芽胞および/または飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清もしくは濾液を0.5%〜20%(v/v)含有する、クリームまたは軟膏を、本明細書中に記載のような標準的な方法を用いて処方する。クリームまたは軟膏を、必要に応じて1日少なくとも2回塗布する。
【0123】
実施例11:B.coagulans芽胞を含有する点耳薬または耳洗浄液
外耳管感染の予防または処置について、1mlあたり約1×10〜約1×10個のB.coagulans芽胞および/または飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清または濾液を0.1%〜15%(v/v)含む水性処方物を用いる。芽胞および/または上清を、5〜50%グリセリン、0.1〜5%プロピレングリコール、およびスズ酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムの滅菌水溶液に添加する。代替的な処方物は、1mlあたり約1×10〜約1×10個のB.coagulans芽胞および/または飽和まで増殖させたB.coagulans培養物の水性上清または濾液の0.1%〜15%(v/v)を、0.5〜25%グリセリン、5〜10%アルコール、およびポリソルベート20の滅菌水溶液中に含む。
【0124】
適用のために、使用者は、頭を横向きに傾け、そして約3〜10滴の耳用処方物を、標準的な点滴注入アプリケーター(dropper applicator)を用い、アプリケーターを耳管に入れずに耳に添加する。頭部を、数分間傾けたままにするか、または耳に塊状の綿を用いて軽く栓をして溶液が15分間まで耳の中に残存するようにする。次いで、頭部を傾け、そして過剰の溶液を耳から排出させる。温水を含む軟質ゴム球耳シリンジを用いる穏やかな洗浄を、過剰のものの除去に使用し得る。共生物質溶液を、約5日間まで時々または毎日適用し得る。医師は、耳の中にドレナージ、分泌物、皮疹、重篤な刺激が存在するか、または患者が眩暈感を経験するかを診察すべきである。
【0125】
実施例12:汗疱状白癬の予防または処置
汗疱状白癬(白癬真菌感染)の予防または処置のために、足を、石鹸および水で洗浄し、完全に乾燥させ、そして上記の実施例に記載したようなパウダー、クリーム、ローション、軟膏、またはゲルを足の領域全体に塗布する。最適には、処方物は、約10〜約10個のB.coagulans芽胞または0.5%〜20%のB.coagulans上清もしくは濾液を含む。毎日の処置は、必要に応じて続けられる。
【0126】
さらに、汗疱状白癬を、B.coagulans共生物質または細胞外抗真菌産物を表面にスプレーしたかまたは内部に含浸させた標準的な靴の中敷挿入物(例えば、織物、繊維、または合成発泡体)を用いることにより予防または処置し得る。このように処理された靴の中敷を、新たに処理した靴の中敷と取り替えた場合は、毎日〜2から3ヶ月間履き得る。
【0127】
本発明を、種々の処方物を用いて上記の実施例において記載してきたが、共生物質組成物と適合性の種々の他のキャリア剤を実施例において代用して類似の結果をもたらし得ることは明らかであるはずである。従って、本発明は、本発明の精神から逸脱せずに他の特定の形態で具体化され得る。実施例は、全ての局面において、例示としてのみ考慮され、限定としては考慮されない。そして本発明の範囲は、以下に続く請求の範囲により示される。請求の範囲の法律上等価な意味および範囲の中に入る全ての改変が、本発明の範囲に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2009−269922(P2009−269922A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185292(P2009−185292)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願平10−546112の分割
【原出願日】平成10年4月10日(1998.4.10)
【出願人】(500457634)ガネデン バイオテック, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】